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介護保険制度をよりよくするための利用者アンケート集計結果の概要
実施のあらまし
調査名称 |
介護保険制度をよりよくするための利用者アンケート |
対象 |
都内の指定居宅介護支援事業者を通じて介護保険のサービスを利用している方 |
実施主体 |
東京都社会福祉協議会 |
実施時期 |
平成13年2月14日~3月2日 |
主な内容 |
- 居宅介護サービスにおける支給限度額に対する利用状況
- 居宅介護サービスに対する満足度
- サービスや事業者に関する情報収集の現状
- 介護支援専門員に対する期待
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実施方法 |
都内の指定居宅介護支援事業者を通じて286名の利用者にアンケートを配付し、配布したアンケートに利用者本人または家族等が記入して直接、東社協に返送してもらった。 |
回答者数 |
181名(回収率:63.3%) |
調査結果の概要
調査回答者の基本属性
- 48の都内指定居宅介護支援事業者からの協力を得て286名に調査票を配付し、181名からの回答を得た(回収率:64%)。
- 回答の4割近くは利用者本人による記入であった。回答者は要介護度が低い人が若干多いものの、おおむねそれぞれの要介護の人から均等に回答を得ることができた。
支給限度額に対する利用状況
- 5割近くの利用者が、支給限度額に対して半分以下の利用率であった。
- 要介護度別にみると、「要介護Ⅱ」「要介護Ⅲ」に利用率の低い人が多く、一方、「要介護Ⅳ」「要介護Ⅴ」では、限度額一杯またはそれ以上にサービスを利用している人が多い。
支給限度額まで利用しない理由
- 限度額までサービスを利用しない理由は、「現在のサービスで足りている」が6割近くで最も多いが、「利用料の負担が気になる」「自立のためにはなるべく使わない方がよい」「緊急に必要になったときが心配だ」を挙げる人がそれぞれ2割近くで続いている。
- 要介護度別にみると、介護度の低い人では「自立のため」が多くみられ、介護度の高い人では「利用料の負担」「緊急に必要なときが心配」を挙げる人が増える。
- 介護保険前から利用している人よりも、介護保険が始まってから利用して介護サービスを使い慣れていない人の方が利用率は低い傾向にある。
4つの居宅介護サービスに対する満足度
- 「訪問介護」「通所介護」「福祉用具購入・貸与」を利用した人のそれぞれ半数以上が「満足している」と答えたが、「ショートステイ」に対する満足度は4割弱にとどまっている。
- 「満足している」「不満がある」を選んだ人以外に、「不満はないが、少し気になることはある」を選んだ人が、それぞれのサービスで3割前後ずつみられる。
訪問介護を利用してみて気になること、困ったこと
- のべ74の自由回答が寄せられたが、「ヘルパーの急な変更や頻繁な変更が困る」「ヘルパーの資質に対して不安を感じる」「家事援助の範囲が限定されすぎている」などの声がみられる。
通所介護を利用してみて気になること、困ったこと
- のべ61の自由回答が寄せられたが、「介護保険後の利用定員増できめ細やかな対応が不十分になった」「プログラムの内容をもう少し考えて欲しい」「送迎に融通性が欲しい」「通所時の様子を連絡して欲しい」などの声がみられる。
ショートステイを利用してみて気になること、困ったこと
- のべ40の自由回答が寄せられたが、「ショートステイに行ったら状態が悪くなるのでは・・・と不安で、安心して利用できない」「ショートステイ中の過ごし方が分からなくて不安だ」「使いたい時に、空きがなかなか少ない」などの声がみられる。
福祉用具貸与・購入を利用してみて気になること、困ったこと
- のべ34の自由回答が寄せられたが、「介護支援専門員の知識や他の専門職との連携が不足している」「必要性が理解できないまま購入して役に立たなかった。試用ができない」「償還払いなどの手続きが煩雑だ」などの声がみられる。「入院したらレンタルしていたベッドを返却しなければならないが、入院時の多忙な時に返却の手間がかかる」といった具体的な声もあった。
介護サービスの内容に関する事前の情報収集の状況
- サービスに関する情報収集について6割に近い利用者が介護支援専門員を通じて行っている。
- 「家族や知り合いに相談する」他、「利用している人に相談」「見学や試用をする」など、より具体的なイメージによる情報を求めようとする行動もみられる。
指定居宅介護支援事業者(介護支援専門員)の選択
- 約半数が「以前から利用しているところ」で介護支援専門員を選んでいる。
- 「要介護認定の通知とともに区市町村から送付される一覧から選んだ」が2割弱であり、自宅から近いあるいは名前を知っているなどの理由で介護支援専門員を選んでいる。また、1割弱が「他に知らなかった」としており、介護支援専門員をどのように選べばよいかよくわからないままに依頼した人がみられる。
サービスを決定する際にアドバイスしてくれたキーパーソン
- 6割以上の人がサービスを決める時によいアドバイスをしてくれた人として「介護支援専門員」をあげているが、「いなかった」と答えた人も1割を超えている。
- サービスを決める際に、介護度の低い人は家族・親族に相談する割合が多いが、要介護度が高い人ほど専門家からのアドバイスを参考にする割合が多くなっている。
ケアプランを作成した介護支援専門員に対する印象
- 6割前後の人が「本人や家族の話しをよく聞いてくれた」「ケアプランに意見を反映してくれた」など親身になって利用者の話を聞いてくれたと回答している。
- ひとり暮し世帯では、介護支援専門員とのよりよい関係や信頼度を示す項目に対しての回答が他の世帯構成より低く、コミュニケーションが十分でない様子が表われている。
介護保険制度の改善して欲しい点
- 「保険料や利用料の負担」や「要介護認定の手続き(6ヶ月ごとの更新が煩雑など)」、「介護サービス事業者を選ぶための情報の不足」が改善して欲しいことの上位に挙げられた。
介護保険制度に対する自由意見
- のべ102の回答が寄せられた自由回答では、「保険料や利用料の負担」について低所得者への配慮や将来に向けた不安への配慮を求める声、「要介護認定」について6ヶ月ごとの更新手続きが煩雑だという意見や利用者の日常の状態を正確に判定して欲しいなどの声がみられる。また、ニーズに合った「サービス量の確保」を求めるとともに、研修の充実や連携の強化、サービスの質のチェックのしくみ等による「サービスの質の向上」が求められている。そして、利用者から分かりやすい「ニーズに合った介護サービスを選べる情報」を求める意見がみられた。