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支援費制度下における相談機能・情報提供機能に関する利用者・情報提供機能に関する調査結果のあらましです。
調査名称 | 支援費制度下における相談機能に関する調査 |
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対象 | 本会会員通所施設及び「東京都障害者通所活動施設職員研修会」会員 |
実施主体 | 東京都社会福祉協議会 |
実施時期 | 平成16年3月26日~4月9日 |
実施方法 | 郵送による送付、郵送による回収 |
回収 | 利用者調査 450人中177人(39.9%) 通所施設調査 150施設中75施設(50.0%) |
回答方法 | 選択肢による回答および自由回答 |
全体の83.6%の人が「気軽に相談できる人がいる」と回答し、相談できる人としては、「今、通っている施設の職員」82.4%、「家族」60.8%、「友だち」30.4%となっています。本人と日常的に関わる人たちの中で相談が行われており、社会資源の活用は多くありません。相談相手としては、問題解決も重要ですが、それ以上にまず、話をよくきいてくれることや、身近にいることが大切と考えられる傾向があります。
支援費制度の理念である利用者本位の自己選択を実現していくためには、選択できるサービスやその利用方法が理解されることが必須ですが、全体の2割以上の人が説明を聞いたとは思っていない状況がです。
相談してみたいこと(してみたかったこと)には、「将来への不安」、「健康のこと」、「休日の過ごし方」があげられましたが、「どこに相談したらよいかわからない」(31.6%)、「どんなことでも相談にのってもらえるのか不安」(35.0%)といった相談窓口や相談ごとのもちかけかたや対応といった相談する前段階で不安をもっている傾向があります。また、過去に相談した時に、納得いかない経験を持つ人もいます。
過去の相談で相談してよかったという経験がなかったため、相談することを躊躇したり、相談したいことがあっても、適当な相談先がわからないという状況がうかがえます。一つだけではなく、利用できる可能性のあるいろいろな福祉サービスへの関心が示されています。相談窓口は日常的にいつも会っている相手ではないので相談する側にとっては気軽に話しができない緊張する場となります。本人がなるべく普段どおりに話せるよう誰かが一緒についていく、もしくは誰かに一緒についていってもらうよう手配するといった支援も有効です。
支援費制度に関する説明は、利用者に対する説明だけでなく、家族からの理解が重視される傾向がうかがえます。利用者への説明にあたっては、分かりやすい説明を工夫している施設は半数にとどまっており、工夫に苦慮している様子もうかがうことができます。また、他の居宅サービスの利用につながる具体的な説明や見学の機会の提供までは十分に取り組めていません。
通所施設を利用している時間以外の利用者の生活状況については、利用者との日頃の会話からよりも家族からの把握が9割近くと最も多くなっています。
他の事業所等のサービスを利用しているかどうかについては、9割の施設で何らか把握は行われています。
通6割以上の施設で、他の居宅サービス事業所に関する不満を利用者から聞いているほか、他の事業所と方針の違いを感じている施設も3割あります。しかしながら、他の事業所のことに口をはさめないなどその調整を行うことに困難を感じている状況もあり、ケアマネジメントの位置づけのない支援費制度において、サービス間の調整が不足している状況がみられます。
利用者の将来の希望は、利用者からも直接聞いている一方で、9割近くの施設で「家族としての希望」も家族から聞いています。利用者の将来の希望をふまえた長期的な支援を通所施設としても取り組んでいるが、他の事業所と具体的に調整して支援するような取り組みまではできていない状況がうかがえます。
個別支援計画の見直しは定期的に行っている施設が多くみられますが、定期的な見直し以外では、主として本人の状況の変化に気がついたときなどに見直しが行われています。このことからも、本人から具体的な要望などがなかなか示されることが少ない様子もうかがえます。定期的な見直しとともに、利用者の要望を反映していく取り組みが必要となります。
通所サービスだけで本人のニーズをカバーできないとき、他の事業所や相談機関を紹介している取り組みはみられますが、具体的な調整ではなく紹介にとどまっているのが6割近くみられます。支援費制度においてケアマネジメント等のサービス調整の機能が十分に位置づけられていない中で、サービス間の利用の調整に通所施設が取り組めていない状況があります。
東京都社会福祉協議会 福祉部地域担当 小島
TEL:03-3268-7172