【表紙】 北海道 江別市 北の大地にも爽やかな季節がめぐってきた。 花のくび飾りを作ろうか。 【もくじ】 社会福祉NOW 民生委員・児童委員活動のこれまでの100年とこれから トピックス 「その人らしく生きる」ことを地域で支える成年後見制度をめざして 【連載】質と量の好循環をめざした福祉人材の確保・育成・定着(6) 事業所の“ご近所づきあい”で地域の福祉職の力の底上げへ (社福)東京都福祉事業協会 特別養護老人ホーム赤羽北さくら荘 主任事務員 井坂哲朗さん 東京都北区赤羽北高齢者あんしんセンター 社会福祉士 関口久子さん 福祉のおしごと通信 社会福祉法人二葉保育園 児童養護施設 二葉むさしが丘学園栄養士 田中大介さん  【NOW】 民生委員・児童委員活動のこれまでの100年とこれから 民生委員制度の源といわれる済世顧問制度は、平成29年に創設100年という大きな節目を迎えます。 さらに平成30年には、東京の民生委員制度のはじまりである救済委員制度が100周年を迎えることから、今号では、この100年の歴史をふり返るとともに、これからの民生委員・児童委員活動について考えます。 長い歴史を持つ民生委員制度の創設当時は、弱者救済や救貧対策が民生委員の主な活動でしたが、近年では、子育てに関すること、児童虐待、高齢者や介護に関すること、社会的孤立に関することなど、活動の幅や対象が広がり、役割も変化してきています。しかし、いつの時代も変わらず民生委員・児童委員が築いてきた「安心感」は地域づくりにおいて欠かせないものです。 制度創設100年という大きな節目を迎えた今、全国の民生委員・児童委員はその力を合わせて、地域づくりへの取組みをさらにすすめていこうとしています。 100年の歴史をふり返る 民生委員制度の源は、大正6年に「防貧」事業の遂行と、個人・社会の向上を目的として、岡山県に誕生した済世顧問制度にあります。 東京の場合は、大正7年に設置された「救済委員」にさかのぼります。当時、東京府内で慈善活動を実施していたさまざまな機関や団体が連携して結成した「東京府慈善協会」が、生活困窮者の多い地域に常設の相談所を設置し、相談所ごとに救済委員を任命して住民の生活状態の調査や支援を行いました。その後、この救済委員は、民生委員制度の前身として、当時全国的に広がっていった「方面委員(大正7年大阪府で発祥)」へ一本化されていきました。 昭和4年に制定され、昭和5年施行予定であった救護法が財政難のため先送りされた際には、全国の方面委員が、制度実施へ向けて強く働きかけを行いました。その結果、救護法は昭和7年に施行され、方面委員は救護を行う市町村長の補助機関として位置づけられました。 昭和11年には、方面委員令が制定され、方面委員制度は全国統一になりました。 昭和21年、旧生活保護法が施行され、貧困に陥った理由や原因を問わず、差別なく必要な保護を受けられるようになりました。同年の民生委員令公布によって、当時の「方面委員=救貧委員」との考え方を変えるため、生活困窮者の救貧活動のみでなく、児童、母子福祉、老人福祉、家庭における諸問題、保健衛生など広く地域の福祉増進に携わる「民生委員」に名称が改められました。 昭和22年に児童福祉法が公布された際、民生委員は児童委員を兼ねることになり、翌年の民生委員法の公布により、民生委員は法定化しました。なお、昭和25年に改正された生活保護法では補助機関から協力機関となりました。 昭和26年、社会福祉団体の再編がすすめられる中、民生委員・児童委員は社協の設立に大きく貢献しました。そして、昭和27年より、救貧から防貧活動を強化する世帯更生運動が全国的に始まり、昭和30年に民生委員・児童委員と社協が協働で行う「世帯更生資金(現・生活福祉資金)貸付制度」が導入されました。 高度経済成長期に突入すると、都市部への人口集中、核家族化、地域におけるつながりの希薄化などが問題視されるようになりました。民生委員・児童委員に対しても、自主性の発揮と多様化する福祉問題に対応できる力が求められるようになりました。そこで昭和42年、制度創設50周年を機に民生委員・児童委員が一丸となって、社会に問題を投げかける「モニター調査」を展開するようになりました。昭和43年に全国で実施した「居宅ねたきり老人の実態調査」では、在宅で生活するねたきり高齢者の状況をわが国で初めて明らかにし、ねたきり高齢者等に対する福祉施策の拡大・充実に大きな影響を与えていきました。 地域福祉の担い手としての期待の高まり 現在、全国で約23万人、東京でおよそ1万人の民生委員・児童委員が活動しています。 住民に身近なところで支える「地域福祉の担い手」として、高齢者や障害のある方の安否確認や見守り、子どもたちへの声かけなどを行うほか、地域住民の身近な相談相手として、医療や介護の悩み、妊娠や子育ての不安、失業や経済的困窮による生活上の心配事など、さまざまな相談に応じています。その上で必要な支援が受けられるよう、「専門機関とのつなぎ役」をするほか、地域住民や関係機関・団体と協力して地域の絆づくりをすすめ、誰もが安心して住み続けられる地域をめざし、地域福祉の充実のための取組みをすすめてきました。 また、民生委員・児童委員は、「災害時要配慮者」の支援にも重要な役割を果たしています。日々の見守りや訪問活動を通じて、地域の高齢者や障害のある方の避難支援の必要性などを把握し、災害などの発生に備え、町内会等とも協力しつつ、避難支援の体制づくりの中心的な役割を担っています。 これからも地域とともに 平成28年度、東京都民生児童委員連合会は、これまでの100年の歴史をふり返るとともに、これからの10年を見据えて「東京版活動強化方策」を策定し、全都の委員活動に共通する強化策を5本の柱として提起しました。 まずは、住民の多様なニーズに対応するための「(1)個別支援活動の向上」とともに、近隣委員同士で支え合いながら地域で活動を行うためのチームである「(2)班体制の確立」が重要課題です。そして委員活動をバックアップする「(3)民児協組織の強化」や制度創設70年を迎えた「(4)児童委員活動の充実」が期待されています。さらに、関係機関・団体、住民を巻き込んだ「(5)協働による地域福祉活動」の展開を検討することも大切な視点です。 また、生活課題の重層化や制度の狭間にいる方々の把握と対応の難しさ、なり手の不足と経験豊富な委員が少なくなる中で、質の高い個別支援活動を続けていくためのキーワードとして、「5つの『つ』」を掲げました。(表1) 東京都民生児童委員連合会の寺田晃弘会長は、「民生委員の先達の方々は、常に住民の立場で社会状況の変化に応じたさまざまな活動に邁進してきた。私たちは、そうした価値ある経験を誇りを持って受け継ぎ、これからも住民や関係者の皆さんと協力して取組んでいきたい」と話します。 近年、国においては、福祉諸制度の見直しがすすめられており、誰もが主体的に参加し、ともに支え合う中で安心して生活を送ることができる「地域共生社会」の実現がめざされています。 また、地域福祉の担い手の確保が難しくなる中で、地域住民や社協、福祉施設等の関係機関がつながり、住民一人ひとりが主体的に地域の課題を解決していく「新しい支え合い」が必要になってきています。民生委員・児童委員も含めた多様な主体がそれぞれの力を発揮し、安全・安心な地域づくりが広がっていくことが期待されます。 東京都民生児童委員連合会 寺田晃弘会長 表1 質の高い個別支援活動を続けていくためのキーワード「5つのつ」 100年にわたる活動をつむぎゆき、訪問や声掛け等を通じて世帯のニーズをつかむ。 そのニーズを関係機関に的確につたえ、適切な支援につながったか、過不足はないか確認する。 さらに世帯の自立を支え、周囲の関係者とともに支え合う地域力をつちかう。 表2 100周年シンボルマーク 平成29年に民生委員制度が創設100周年を迎えるにあたり、全国民生委員児童委員連合会が作成。民生委員のシンボルマークであるハートでできた四葉を囲む円は、人々・地域の暮らしと成長を表し、「これからも地域とともに」というキャッチコピーには、これまで地域とともに歩んできた実績を背景に、これからもずっと地域の方々と共に歩み続けるという、民生児童委員の想いが込められています。 【トピックス】 「その人らしく生きる」ことを地域で支える成年後見制度をめざして 一般社団法人日本成年後見法学会主催 緊急シンポジウム 平成29年4月17日、全社協・灘尾ホールにて、緊急シンポジウム「成年後見制度利用促進基本計画と市区町村の役割〜地域福祉と『地域連携ネットワーク』を考える〜」(一般社団法人日本成年後見法学会 主催)が開催されました。 認知症などにより判断能力が不十分になった人を法律面や生活面で支援する現行の成年後見制度は、平成12年のスタート以来、多くの人を支えてきました。一方で、制度の対象となり得る認知症の方や障害のある方の人数に比べて、利用者数は少ない状況です。また、主な利用者と想定していた、まだ判断能力が不十分になる前の方が利用できる任意後見と、やや判断能力が不十分になった方に向けた法定後見の補助類型の利用が少なく、判断能力がほとんどない人が対象の後見類型の利用に偏重していること等、制度の理念と現実の違いも生じていました。 こうした状況において、成年後見制度の整備を志向する世界初の成年後見法分野の宣言である「横浜宣言」(平成22年採択、平成28年改訂・修正)を経て、平成28年4月、「成年後見制度の利用促進に関する法律」(同年5月23日施行)が成立しました。その後、「成年後見制度利用促進基本計画」(以下、「基本計画」)が平成29年3月24日に閣議決定され、成年後見制度本来の理念である「ノーマライゼーション」「自己決定権の尊重」「身上保護の重視」に沿う制度の見直しと利用促進が図られるようになりました。基本計画では、今後の目標として(1)利用者がメリットを実感できる制度・運用の改善、(2)権利擁護支援の地域連携ネットワークづくり、(3)不正防止の徹底と利用しやすさとの調和、(4)権利制限に係る措置(欠格条項)の見直しが掲げられています。 このうち、(2)の「地域連携ネットワークづくり」は、全国どこでも必要な人が成年後見制度を利用できることをめざし、各地域において、権利擁護支援が必要な人の早期発見・対応と、本人の意思決定支援や身上保護を重視した後見活動を支援する体制のある地域のネットワークづくりを、福祉等の関係者と後見人等により本人を見守る「チーム」対応と、それを支援する専門職団体による「協議会」等によりすすめていくとされています。これには地域連携ネットワークの整備・運営の中核を担う機関が必要であるとし、広報機能や相談機能等を持つ「中核機関」を、市町村の直営または委託等の方法で設置・運営することが想定されています。 本シンポジウムでは、この「地域連携ネットワークづくり」を軸に、成年後見制度の現状や基本計画の内容に関する基調報告、先進的な取組みの実践報告、パネルディスカッションが行われました。 パネルディスカッションでは、公益社団法人あい権利擁護支援ネット理事長の池田惠利子さんが、「地域連携ネットワークづくりは『後見の社会化』である」と述べ、全国社会福祉協議会常務理事の渋谷篤男さんは、「たとえ後見人がついても、本人と後見人を支える『地域』が必要であり、こうした地域ができることが『連携』である」と話しました。また、日本成年後見法学会理事長の新井誠さんは、「現在利用者が少ない任意後見の拡充のため、さまざまな方法を検討し、徹底的な広報をしていくことが必要」と指摘しました。 後見人には専門職や法人が選ばれる場合も多いですが、利用者の身近な人が就任する親族後見人は、本人の意思尊重や生活支援を一層重視していく上で大切な存在です。一方で、そのサポート体制づくりも求められます。新井さんは、「親族後見人の支援体制にも地域連携ネットワークの存在が重要」と述べました。さらに、公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート相談役の大貫正男さんは、「市民後見人も『後見の社会化』であるため、共生社会を実現させていくうえで、人材育成と利用をすすめていけると良い」との考えを示しました。 最後に、日本成年後見法学会副理事長の赤沼康弘さんは、「地域で連携したネットワークづくりは、基本計画の策定以前から既に取組みがすすめられているところであり、働きかけを行えば、まだ参加していない機関も加わっていく」と述べ、その役割を果たす中核機関の重要性を伝えました。渋谷さんは、「ただ集団で取組むことがネットワークではなく、具体的な一人の人を支えていくため、かかわるそれぞれの人が価値観を擦り合わせた連携を図ることが必要」と話し、社協の取組み等、既存の地域の支え合いや結びつきを活用しながら成年後見のネットワークを構築していくことを提案しました。 成年後見制度は、限られた人が利用する、本人と後見人による一対一の制度ではなく、さまざまな人が、社会に存在する多様な制度を適切に活用し「その人らしく生きる」ことを、後見人をはじめ地域にいる人や資源が支え、実現させていく制度です。今般の法改正並びに基本計画の策定により、こうした成年後見制度本来のあり方が明確にめざされることになります。その柱となる地域連携ネットワークの構築には、地域社会で生活する一人ひとりが成年後見制度を「我が事」として捉えていくこと、それを専門職が支援し、後押ししていくことが期待されています。 【データ】 災害時の近隣による安否確認 近所付き合いが「ある」場合の近隣への声かけは、「ない」場合の5倍 熊本地震の概ね3カ月間の対応に関する検証報告書 観測史上初めて、最大震度7を短期間に2度記録し、熊本県を中心に甚大な被害をもたらした「平成28年熊本地震」から、この4月で1年が経過しました。熊本県内では、現在もなお4万人以上の方々が避難生活を余儀なくされています。 災害に際し重要となることの一つが、地域住民による「共助」です。平成29年3月31日、熊本県危機管理防災課は「熊本地震の概ね3カ月間の対応に関する検証報告書」を公表しました。熊本県民や県職員、関係機関等へのアンケート及びヒアリング調査に基づき、熊本地震で「円滑に対応できた点」「課題が生じた点」「課題に対する改善の方向性」を取りまとめています。このうち「自助・共助による対応」の項目では、共助の効果として、住民のつながりが強い地域や日ごろから活動が盛んな自主防災組織があった地域は、住民同士による早期の安否確認や自主的な避難所運営が行えたと述べています。 例えば、報告書内アンケートで「震災時に地域や近所の人と協力して行ったこと(複数回答)」について、「何もしなかった」と回答した人が、普段近所付き合いがない人は75.5%だったのに対し、近所付き合いがある人は32.7%でした。「近所の人の安否確認」は、近所付き合いがない人で「行った」と回答した人は9.6%でしたが、近所付き合いがある人では51.7%が安否確認として声かけ等を行ったと回答しています。日ごろの住民同士のかかわりが災害時にも生きていることが伺えます。 災害に向き合える共助のある地域づくりには、自主防災組織等といった枠組みだけでなく、それを実のあるものにするうえでも、住民一人ひとりによる関係性の積み重ね、また、その関係づくりを支える専門職の働きかけが大切だと言えます。 【マンスリー】 福祉のできごと 2017.3.26-4.25 3/31 保育所保育指針が改定 厚生労働省は社会保障審議会保育専門委員会におけるとりまとめを受け、保育所保育指針を改定した。平成27年4月に施行された「子ども・子育て支援新制度」、0〜2歳児を中心とした保育所利用児童数の増加など保育をめぐる状況が大きく変化してきていることが改定の背景で、専門委員会で議論されてきた改定の方向性をふまえたもの。平成30年4月1日より適用される。 http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/hourei/H170404N0170.pdf 3/24 利用者がメリットを実感できる成年後見制度へ 政府は、成年後見制度利用促進法に基づく成年後見制度利用促進基本計画を閣議決定した。基本計画のポイントとして3点をあげ、29年度から5年間の工程表を公表している。 3/28 特別養子縁組の対象年齢引き上げへ 特別養子縁組制度について、厚生労働省の有識者検討会は、対象年齢を現行の原則6歳未満から引き上げる必要があるとの提言をまとめた。 4/1 離職介護福祉士等の再就業の促進めざす 離職した介護福祉士について都道府県福祉人材センターに対し、氏名・住所等を届け出ることを努力義務とする「介護福祉士の資格等取得者の届出制度」が創設された。 4/3 日野市、子どもの貧困対策基本方針を策定 日野市は都と連携して実施した生活実態調査等の結果等から「日野市子どもの貧困対策に関する基本方針」を策定。「すべての子どもたちが、夢と希望を持って成長していけるような地域」の実現に向け、5つの目標を掲げている。 4/11 障害のある未就学児への発達支援の向上へ 厚生労働省は、児童発達支援センター等が行う支援の質の確保及び向上をめざし、全国共通の枠組みとして「児童発達支援ガイドライン(案)」を策定した。6月末を目途に発出予定。 4/14 熊本地震から1年、都営住宅等の提供を延長 熊本地震から1年が経過した。都では3月27日、一時避難先として提供している都営住宅等に入居している被災者の入居期間を、要件を満たす場合に1年間延長するとした。 4/18 介護保険法改正法案が衆議院で可決 介護保険関連法の改正案が衆議院本会議で可決された。「共生型サービス」を新設することなどが柱で、参議院を経て今国会で成立する見通し。 【連載】 事業所の“ご近所づきあい”で地域の福祉職の力の底上げへ 「うきあか会*1」(北区)は、社会福祉法人の呼びかけにより結成された、地域包括支援センター圏域での介護事業所間のネットワークです。共に学ぶ研修の場を設けたり、物品の貸し借りや研修講師の派遣など、地域の中で事業所同士のご近所づきあいを10年続けています。 その効果は、施設の職員定着率の良さや、地域内で育成に関わる人材が育つ地域づくりにもつながっています。 (社福)東京都福祉事業協会 特別養護老人ホーム赤羽北さくら荘 主任事務員 井坂 哲朗 東京都北区赤羽北高齢者あんしんセンター 社会福祉士 関口 久子 「うきあか会」は北区内の地域包括支援センター圏域の介護事業所間ネットワークです。(社福)東京都福祉事業協会「浮間さくら荘*2」(以下、さくら荘)が、赤羽北高齢者あんしんセンター(地域包括支援センター)圏域内の全施設・事業所に声をかけ平成19年3月に発足しました。介護老人福祉施設、介護老人保健施設、グループホーム、デイサービス・デイケア、サービス付き高齢者向け住宅、ケアハウスなど計16施設・事業所が参加しています。 施設を出て地域の中へ 平成18年の介護保険制度改正当時は、民間企業が続々と介護業界に参入した時期でした。赤羽北高齢者あんしんセンターの関口久子さんは、「民間事業所やさまざまな福祉サービスが増える中、一緒に研修等を受けるたびに違和感があった」と話します。関口さんの声かけで、さくら荘内の特養やショートステイ、デイサービス、在宅介護支援センター(当時)、訪問介護、居宅介護支援の6部門の主任が集まり、地域の中の社会福祉法人である自分たちには、今後どのような役割が求められるのかを半年間話し合いました。そして「地域の中に出て行こう」と方向性が決まりました。「施設内では反対の声はなかった。そのような施設の風土が実現を後押ししてくれた」と関口さんは話します。 施設長をはじめとする職員の賛同も得て、当時、地域包括支援センター設立にむけてイメージが出ていた圏域内の全施設・事業所に、さくら荘施設長名で施設間ネットワークの呼びかけを行いました。第1回目の会合では9施設の施設長が集まりました。2回目以降は現場の支援員や相談員が集まり意見を交換しています。事務局はさくら荘が担っていますが、実行委員会形式をとり、実行委員会の会合を毎月、会議を3〜4か月に1回開催しています。事業計画・報告も作成し、暑気払いや交流会なども実施しています。 事業所の〝ご近所づきあい〟 うきあか会の主な取組みは、参加者からのアイディアで、「圏域内で無料の研修の実施」と「物品貸出し」となりました。 研修は各施設へのアンケートで上位のテーマを採用し、年2回実施しています。参加費無料で実施するために、うきあか会の施設・事業所職員の人的なネットワークを活用しています。当初は、つながりのある外部の方に講師をお願いしていましたが、10年続ける中で、うきあか会の施設職員や関係者が人材育成に関わる立場になり、研修を提供するという好循環も生まれています。圏域内で人材が育つ土壌がつくられることで、春にはうきあか会の各施設・事業所の主任を集めた中間管理職研修を実施したり、行政担当者に依頼し、勉強会を開くこともあります。研修開催に関わる、資料代や講師の交通費等は事務局を担うさくら荘が共催という立場をとり、負担しています。 物品貸出しについては、「お互いさま・貸し出しリスト」(表1)を毎年作成しています。各施設から貸出し可能な物品リストを提出してもらい更新しています。貸出し希望は事務局に連絡が入り調整を行います。例えば、敬老会の時期には紅白幕、夏祭り時期には椅子やテーブル、車いすなどの希望が多いです。グループホームやデイサービスなどは物品を保管しておくスペースがなく、購入するための予算にも限りがあります。特養は保管スペースが確保しやすく、新しい施設よりは歴史があり規模が大きい分、保有している物品数も多いです。 また、物品と共に、各施設の職員自身が提供できることもリストの項目に入れています。「英会話ができる」「介護保険の説明ができる」「トランス(=トランスファー:移乗)の指導ができる」などです。ある時、各施設の新任職員への指導について「先輩によって教え方が違う」という声がありました。そこで、この「指導できる」という人的資源を活用し、うきあか会の新任職員全体で学ぶ場も設けました。 制度に乗らない困りごとを頼みやすい関係は、お互いのやり取りの潤滑油になっています。本来業務を円滑に行うことができるようになった他にも、ちょっとしたお願いをし合える関係が生まれています(表2)。「地域の普通のお家にあるような交流がしたかった」と関口さんは言います。 地域の力をつける 北区社協から、地域のおまつり参加の声かけがあったことをきっかけに、うきあか会として地域マップを作成し、イベント時に住民に配付し始めました。これまでに、AED、町のお医者さん、トイレマップ、車いす貸出場所などのマップを作成しました。日中事業所内で業務がある人は、情報をまとめる際の事務を担当します。外に出ることが多い包括の職員が情報収集するなど、本来業務を活かした情報収集と、住民への情報提供を行っています。 福祉施設をまとめたマップを活用し、地域の方や民生児童委員向けに説明会を開催したことがあります。その際に、「地域内にこんなに福祉施設があったのか」という感想がありました。特養は建物も大きく地域の方に認識されやすいですが、グループホームのような外観からは目立たない施設についても、どのような施設かを説明し、理解を深める機会になりました。 10年間続けてきて 10年前は、道路でお互いの施設のバスがすれ違うことはあっても、職員同士が話す機会はほぼありませんでしたが、10年ご近所づきあいを続けていく中で、駅のホームで職員同士が立ち話ができるほどの関係になってきています。さくら荘主任事務員の井坂哲朗さんは、「中核職員同士の交流は、他ではなかなか耳にしない。この地域の福祉職の力の底上げにつながっていると感じる」と話します。そして、関口さんは「地域の福祉職の定着率の良さもあり、うきあか会が続けてこられた」と言います。さらに井坂さんは「顔がわかるだけでなく腹の内も見せられる関係になれ、うきあか会がある事で定着につながっている面もある。さくら荘でもこの数年退職者はいない」と言います。 今後の課題について井坂さんは、「民間事業所は異動や転勤などで数年で担当者が変わってしまうこともあり実行委員会も古くからのメンバーに固定しがち。地域公益活動を行いたいという目的を持つ施設が出てくるなど、10年を一つの節目にし、今後の自分たちの地域づくりをどうしていきたいかを、今年度の集まりでは話していくつもり」と話します。 困ったときに助けあえるご近所づきあいは、今後の福祉人材の確保・定着・育成を考えて行く上でも、地域の課題解決力を高めていく視点でも更に注目される取組みです。 *1…うきあか会(うき=浮間・あか=北赤羽) *2…平成29年4月に移転し、名称を「赤羽北さくら荘」に変更 表1 お互いさま・貸し出しリスト 貸し出し可能な物品・人材の主な内容 ホットプレート、わたあめ機、たこやき器、コーヒーサイフォン、カラオケセット、デジタルカメラ、ビデオ(DVD)、楽器、茶具、装飾幕、着ぐるみ、衣装、カツラ、会議室など 介護予防の講演、陶芸講師、介護技術・認知症等の講師派遣、手話通訳、要約速記、自主研修への参加など 研修会内容 困ったときの介護技術、介護職の接遇、人材育成(コーチング基礎研修・リーダーの要因など)、なりたい自分になる、災害時の対応 など 表2 ご近所づきあいの事例 海外からの見学者に対応するために通訳のお手伝いをお願いする デイのボランティア向け説明会で理学療法士にきてもらい説明してもらう 居宅介護の担当者が利用者宅を訪問し、椅子しかなかった時にデイサービスに必要なものを借りに行く 行事が少ないグループホームに、近隣デイサービスが声をかけて遊びに来てもらったり、イベントがある際に声をかけあい一緒に参加できるようにする ある施設の理学療法士に学校から依頼があった際に、うきあか会にも話を共有し一緒に学校で説明する機会を得る など 研修会の様子 【ゆーすけ】 奨学生たちが目標や夢を語ったよ! 3月22日(水)、飯田橋セントラルプラザにおいて、「西脇基金感謝の集い」が開催されました。 「西脇基金感謝の集い」は、基金の創設者である西脇さん、「西脇基金を支える会」代表の宮内眞木子さんをはじめ、基金を支えてくださる多くの方々への感謝の気持ちを改めて共有するとともに、基金から奨学金の給付を受けている奨学生同士が交流を図ることを目的としています。 当日は、西脇さん、宮内さんにお越しいただき、奨学生や里親・児童養護施設の職員などあわせて65名が集まりました。お二人からはあたたかい応援メッセージをいただき、奨学生たちは今後の進路や目標、将来の夢など自分の思いを語りました。 奨学生にとっては、自分が多くの人に支えられ見守られていることを実感するとともに、自分の経験を後輩に伝えるなど奨学生同士のたてのつながりをつくる、貴重な時間となりました。 西脇基金は、児童養護施設や里親のもとで暮らしている児童が、大学・短大・各種学校等へ進学する際の学費を支援しています。「学びたい」という子どもたちの気持ちを大切にし、学力による選考をしない給付型の奨学金で、平成28年度は176名が当基金を活用し、勉強に励んでいます。 西脇基金については、以下のページをご参照ください。 東社協ホームページ「西脇基金について」 http://www.tcsw.tvac.or.jp/info/report/nishiwaki.html 韓国社協の方が東社協にも来てくれたよ! 4月5日(水)、韓国社会福祉協議会の方6名が、日本の社会福祉協議会を視察する一環として、東社協を訪問されました。 東社協の位置づけや取組んでいる事業等を説明した後、東京ボランティア・市民活動センターの見学を行いました。韓国社協の方からは、共同募金会との関係や低所得世帯の子どもへの支援などについて等、数多くの質問がありました。 また、韓国の社会福祉協議会の現状も伺い、有意義な交流の時間となりました。 がまだせ!熊本 短期間に最大震度7を2度観測し、熊本県を中心に甚大な被害が発生した平成28年熊本地震から1年が経過しました。熊本県内では、現在もなお4万人以上の方々が避難生活を続けています。 東社協では昨年度、「災害に強い福祉推進事業」の一環として、熊本県の福祉施設等に災害当時の状況や福祉避難所の運営等に関するヒアリングを実施し、ブックレットを作成しました。まだ震災の爪痕が色濃く残る中、復興に向けて日々取組みをすすめている被災地の方々の力強い姿を、ヒアリングを通じて感じてきました。 今年度も引き続き現地に赴き、現在の取組み等についてお話をお伺いしながら、復興を応援するとともに、災害に強い福祉について考えていきます。 東社協総務部企画担当では、Facebookで東社協のセミナーや研修の報告、出版物、社会福祉法人の取組みなどさまざまな情報を毎週発信しています。ぜひご覧ください。 https://www.facebook.com/soumu.kikaku.toushakyo/ 【東社協発】 案内:経営相談事業を実施しています 経営相談室では、社会福祉法人・福祉施設の経営・運営に関する相談を受けつけています。日常の施設運営にかかる相談のほか、弁護士・公認会計士・税理士(29年度より)・社会保険労務士がそれぞれの専門分野の相談に応じます。 平成28年度は、一般相談が約1千200件、専門相談が約100件、総数で1千300を超える相談をいただきました。社会福祉法人制度改革への対応が求められる中、例年に比して制度改革に関連する相談が多かったことが特徴となっています。 また、経営相談室では、社会福祉法人・福祉施設等への情報提供として「経営相談室だより」を発行しています。 問合わせ先 経営相談室 TEL 03(3268)7170 ※本相談室へのご相談は、東社協ホームページにある指定の相談票にご記入のうえ、k-soudan@tcsw.tvac.or.jpへお送りください。 ※経営相談室だより http://www.tcsw.tvac.or.jp/activity/keieisien.html 案内:福祉サービスに関する苦情相談ポスター 福祉サービス運営適正化委員会では、利用者のサービス向上のため、社会福祉法第2条に規定する社会福祉事業を経営する事業者を中心に、苦情相談ご案内のポスターを配付しています。 「新年度になり担当者が変わった」「同じ法人内で新しい事業所ができた」「破れてしまったので取り換えたい」など、新しいポスターをご希望の場合は以下によりご連絡ください。 ※デザインはこれまでのものと変わりません。ポスター、送料は無料です。ご希望の部数、送付先、ご担当者名をお知らせください。 問合わせ先 福祉サービス運営適正化委員会 TEL 03(5283)7020 FAX 03(5283)6997 E-mail kaiketsu@tcsw.tvac.or.jp 【中期計画】~協働を進め、地域の課題解決力を高める~ 1中期計画の推進 東社協では、「平成28〜30年度東社協中期計画」(平成28年3月策定)の2年目を迎えます。「めざすべき地域社会の姿(=それぞれの地域課題を主体的に解決できる地域社会)」を設定し、都道府県域の社協として、その実現への取組みを多様な主体の協働により推進しています。 中期計画に基づく取組みと成果を、ホームページをはじめとした媒体を活用し、広く情報発信するとともに、地域における取組みにつながるための可視化と共有をすすめます。 推進方策1 中期計画の各地域における具体化の推進 めざすべき地域社会の実現に向けて、中期計画における取組みが各地域において具体的に活かされていくことをめざします。 推進方策2 多様な主体や関係機関との連携による解決の推進 東社協だけでは解決できない課題については、多様な主体や関係機関との連携による解決をめざします。重点目標においては、特に教育機関との連携により具体的な取組みをすすめていきます。 推進方策3 東社協らしい役割の発揮 東社協の「5つの基本的な役割」を指標とし、真に求められる役割に照らした優先順位をつけつつ、それぞれの事業が東社協らしい役割を発揮して目標を実現できることをめざします。 推進方策4 経営強化の推進 東社協が将来に向けて安定的に求められる役割を果たすことができるよう、引き続き経営強化の推進に取組みます。 次回は、(2)重点目標1 協同を進め、ニーズを見逃さずに解決できるしくみづくり です 【おしごと】 ごはんを毎日おいしく食べる、当たり前の日常の尊さを伝えたい 児童養護施設の栄養士として毎日の「食」を支える田中大介さんのおしごとの魅力をお伝えします。 高齢・保育分野を経て児童養護へ 両親が栄養士だったこともあり、高校に進学する頃には栄養士を一つの職種として意識していました。小さい頃からずっとサッカーをやっていたので、当時はスポーツ分野の栄養士になりたいと考えていました。 管理栄養士の資格を取得して最初に就職したのは、特養や老健が併設された高齢者複合施設です。学んだ知識を使って実際にマネジメントをしてみたいと思ったのです。栄養面から利用者のケアマネジメントを行うという意味で、専門職としての知識を生かせる職場でした。 その後、以前から子ども分野に関心があったので保育園に転職したのですが、結婚や子どもの誕生など自分自身の環境が大きく変わったため、再び転職を決意し、二葉むさしが丘学園に就職しました。実は応募段階では保育園での募集だと思っていたので児童養護施設のことは詳しく知らなかったのですが、子どもの成長段階に関わるという点では同じだと思い、飛び込んでみました。 栄養士の業務、その他の業務 栄養士としての仕事内容は、毎日の食事を安定的に提供できるよう、献立を考えて食材を発注することです。調理は基本的には4人の調理員が行いますが、自分で調理することもあります。規模は違いますが、保育園時代は発注から調理まですべて一人でやっていたので、そこは大きな違いです。他には子どもの話を聞いたり、ケアワーカーのフォローをしたりと、施設の中で必要ないろいろなことやっています。実は「その他」の業務の方が多いかもしれません(笑)。極端に言うと「その他」の業務が大事とも言えます。 また、食事は毎日のことなので、子どもたちからは「これは嫌い」「あれはいやだ」と不満を言われることの方が多いくらいです。それだけ子どもたちは、日々のさまざまな想いを食卓を通して表現していると思います。 栄養士として仕事を続けるうちに、より直接的に子どもたちと関わることができるケアワーカーへの異動を考えた時期もありました。しかし、栄養士としてできることがまだまだたくさんあると思い、続けています。 環境を整え、続けることの意義 食べることは大事なことですが、あまりにも日常的過ぎるので見過ごされてしまう部分があります。施設はさまざまな環境で育ってきた子どもや職員が集まって生活をする場です。食事をおいしく味わいながら食べられる環境づくりは、まだ課題があると感じます。栄養士は一人ひとりの状況を把握しながら、適切な環境を整えるような働きかけをする必要があります。 施設は子どもたちが社会に巣立っていった後、立ち返る場所です。施設での体験が、この先いろいろな経験をしていく中で実を結ぶことになるので、やはり日常的な場面で関わることがとても大事ですし、続けることの意義や取り扱うものの重みを感じます。 また東社協児童部会の給食研究会では、ここ数年、児童養護施設における栄養マネジメントについて研究しており、事例検討を重ねています。取組みの成果や自分たちの専門性をいかに子どもや施設の実践に還元し、さらにそれを社会に発信していけるかがこれからの課題です。 成長を見届けることがやりがい 私たちには子どもたちを社会に送り出していく責任や役割があります。目に見える成果がすぐに現れる仕事ではありませんが、子どもたちを育て、成長を見守っていくことに大きなやりがいを感じています。毎日ごはんをおいしく食べるという当たり前の日常の尊さを子どもたちに伝えて、将来、「あれ食べたな」「これ食べたいな」「あれどうやって作るんだっけ?」「味噌汁、やっぱいいわー」など思い出してもらえたらうれしいです。 田中大介 Daisuke Tanaka 社会福祉法人二葉保育園/児童養護施設 二葉むさしが丘学園栄養士 高齢者複合施設や保育園で栄養士として勤務した後、平成21年から現職。 東社協児童部会給食研究会会長。 【資料ガイド】 施策・会議資料 〈社会福祉法人制度改革〉平成29年3月29日発出通知・事務連絡、平成29年4月6日通知(厚生労働省/3月・4月) 「租税特別措置法施行令第25条の17第6項第1号の要件を満たす定款の例について」等。 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000142657.html 介護保険最新情報vol.587・588(厚生労働省/3月・4月) 「指定介護老人福祉施設等の入所に関する指針についての一部改正について(通知)」、「高齢者等に対する配食サービスにかかるガイドラインの発出等について」 第10回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会資料(厚生労働省/3月) 子供の貧困に関する指標の見直しに当たっての方向性について(内閣府/3月) 障害福祉サービス等及び障害児通所支援等の円滑な実施を確保するための基本的な指針(厚生労働省/3月) 調査結果 特別養護老人ホームの入所申込者の状況(厚生労働省/3月) 「特別養護老人ホームへの入所申込等に関する調査」の結果(福祉保健局/3月) 「発達障害者支援センター運営事業における新たな支援のあり方に関する調査」の結果(厚生労働省/3月) 平成28年度 東京都福祉保健基礎調査『都民の生活実態と意識』の結果(速報)(福祉保健局/3月) 平成28年度 介護従事者処遇状況等調査結果(厚生労働省/3月) 28年度 障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査の結果(厚生労働省/3月) 平成27年度 認可外保育施設の現況取りまとめ(厚生労働省/3月) 平成28年4月の保育園等の待機児童数とその後(平成28年10月時点)の状況について(厚生労働省/3月) インターネット福祉保健モニターアンケート結果『健康に関する意識と地域のつながりに関する意識等について』(福祉保健局/3月) その他 東京の防災プラン進捗レポート2017(総務局/3月) 東京都特殊疾病対策協議会報告書『これからの難病対策』(福祉保健局/3月) 【アンテナ】 助成金 施設設備等助成 ▶申込締切 5月31日(水) ▶助成対象 社会福祉事業を行う、社会福祉法人及びNPO法人(当該施設の所在する地域の社会福祉協議会の推薦状を添付、NPO法人は主に障害者関係に従事している施設) ▶助成金額 原則、総事業費の75%以内(上限額は車両200万円、什器備品150万円) ▶助成内容 車両、什器備品、その他(修繕工事など) ▶申込方法 下記ホームページより申込 ▶申込・問合せ先 東京馬主協会 http://www.toa.or.jp/ 木下財団助成 ▶申込締切 5月31日(水)必着 ▶助成対象関東地区にある障がい児・者の地域活動センター、グループホーム及びこれに類似するサービスを提供する施設を運営する非営利法人▶助成金額 30万円(1件あたり限度) ▶助成内容 施設の増改築、補修又は備品等の購入費 ▶申込方法 下記ホームページより申込書をダウンロードし、郵送にて申込 ▶申込・問合せ先 木下財団 〒104-0042 中央区入船3-2-7第二明治ビル6F ☎03-6222-8927 http://www.kinoshita-zaidan.or.jp 地域福祉チャレンジ活動助成 ▶申込締切 5月31日(水)消印有効 ▶助成対象 助成テーマにチャレンジする意欲があり、かつ他の団体等と協働で活動していく団体▶助成金額 2年間400万円(1年200万円限度) ▶助成内容 調査・研修費、会議費、物品費、活動・運営費、雑経費 ▶申込方法 下記ホームページより申請書をダウンロードし、郵送にて申込 ▶申込・問合せ先 ニッセイ財団高齢社会助成事務局 〒541-0042 大阪府大阪市中央区今橋3-1-7日本生命今橋ビル4F ☎06-6204-4013 http://www.nihonseimei-zaidan.or.jp/ 配食用小型電気自動車寄贈事業 ▶申込締切 6月9日(金)必着 ▶助成対象①高齢者を主な対象とし、原則として、1年以上継続して、週1回以上、調理・家庭への配食・友愛サービスを一貫して行っていること、②法人・任意団体を問わず、非営利の民間団体、③現在の活動を継続するにあたって、配食用の車両が不足しており、本寄贈によって運営の円滑化が見込まれること ▶助成金額 100万円(配食用小型電気自動車1台分) ▶申込方法 都道府県・指定都市又は市区町村社会福祉協議会、あるいは全国老人給食協力会いずれかの推薦を受けたうえ、申請書を郵送にて申込 ▶申込・問合せ先 みずほ教育福祉財団福祉事業部 〒100-0011 千代田区内幸町1-1-5みずほ銀行内 ☎03-3596-4532 http://www.mizuho-ewf.or.jp/ 生き生きチャレンジ2017 福祉作業所助成 ▶申込締切 6月16日(金)必着 ▶助成対象福祉作業所で、利用者を雇用して収益をあげ、賃金アップをめざす事業 ▶助成金額 100万円(1件あたり限度) ▶助成内容 設備投資費等 ▶申込方法 下記ホームページから申込用紙をダウンロードし、郵送にて申込 ▶申込・問合せ先 読売光と愛の事業団・作業所係 〒100-8055 千代田区大手町1-7-1 ☎03-3217-3473 http://www.yomiuri-hikari.or.jp/ 講座・シンポジウム 穏やかな死を迎えるために ▶日時 6月1日(木)14時〜16時(13時半開場) ▶場所 北とぴあ14階 カナリアホール ▶定員 100名 ▶参加費 無料 ▶内容 「死を受けとめること」川越厚氏(医療法人社団パリアン理事長、クリニック川越院長) ▶申込方法 FAXにて申込 ▶申込・問合せ先 愛恵福祉支援財団 電話:03-5961-9711 03-5961-9712 フレイル予防の栄養 ▶日時 6月4日(日)14時半〜16時 ▶場所年輪デイホーム ▶参加費 無料 ▶内容講演者:横山友里氏(東京都健康長寿医療センター研究所研究員、管理栄養士) ▶申込方法 電話にて申込 ▶申込・問合せ先 サポートハウス年輪 電話:042-466-2216 地域共生社会を目指して ▶日時 6月5日(月)13時〜17時(12時半開場) ▶場所 日本赤十字社2階 大会議室▶参加費 8,000円 ▶内容 【基調講演】「地域包括ケアの深化」蒲原基道氏(厚生労働省老健局長)、【シンポジウム】「地域包括ケアと『我が事・丸ごと』地域共生社会」、コーディネーター:高橋良太氏(全国社会福祉協議会全国ボランティア・市民活動振興センター所長、地域福祉部長)、シンポジスト:牛村隆一氏(鴨川市・健康推進課長兼福祉総合相談センター長)、浦田愛氏(社会福祉法人文京区社会福祉協議会 地域福祉コーディネーター)、西元幸雄氏(社会福祉法人青山里会常務理事)、アドバイザー:後藤真一郎氏(厚生労働省社会・援護局地域福祉課 地域福祉専門官) ▶申込方法 下記ホームページ、電話、FAX、メールにて申込 ▶申込・問合せ先 フォーラム事務局(北隆館) 電話:03-5720-1161 03-5720-1166 http://www.hokuryukan-ns.co.jp/ care@hokuryukan-ns.co.jp その他 毎日社会福祉顕彰 募集 ▶申込締切 5月31日(水)必着 ▶表彰件数3件 ▶対象 全国の社会福祉関係者及び団体の中から、特に優れた功績をあげ、社会福祉の発展向上に貢献している個人あるいは団体、(1)学術、(2)技術、(3)創意、(4)奉仕、(5)勤勉、(6)その他 ▶申込方法 所定の候補推薦用紙に必要書類を添付して申込(他薦のみ) ▶申込・問合せ先 毎日新聞東京社会事業団〒100-8051 千代田区一ツ橋1-1-1 電話:03-3213-2674 民間社会福祉施設職員海外研修生募集 ▶申込締切 7月31日(月)必着 ▶日時 平成30年4月中旬〜6月下旬(予定)のうち、3週間〜2か月以内 ▶場所 【合同研修】デンマーク(5日間)、【個別研修】研修者自身が設定(原則3カ国以内) ▶定員 若干名 ▶参加対象 【年齢】27歳以上45歳以下、【経験年数】5年以上、【職種】介護職員、生活指導員、作業療法士、保育士等、【その他】研修する具体的なテーマを有し、将来にわたり社会福祉業務に対する知見を深め福祉業務を続ける意欲があり、日常的英会話能力を有する、民間社会福祉施設等の直接処遇職員 ▶助成金額 【滞在費】1日1万円、【航空運賃】50万円限度、【現地交通費】10万円限度 ▶申込方法 所属施設長の推薦書を添付し、応募書類を郵送して申込 ▶申込・問合せ先 中央競馬馬主社会福祉財団 〒105-0001 港区虎ノ門4-1-21葺手第2ビル6F(6月19日まで)、〒105-0000 港区虎ノ門1-2-10虎ノ門桜田通ビル2F(6月20日以降) 電話:03-5472-5581 小規模社会福祉施設の防火実務講習会 ▶申込締切 講習希望日の2か月前程度 ▶場所 希望する施設・場所 ▶参加対象 比較的小規模の認知症又は障がい者グループホーム等の勤務者等(最大20名程度) ▶講習料等 5万1,200円(詳細は応相談、区市町村により補助金制度の活用も可) ▶内容 勤務員が手薄な時間帯を想定し、防火管理上の危機管理対策の一環として「実践的行動力」を身につける防火実務講習、【実施方法】オーダーメイドによる①ヒアリング・現地調査、②資料作成、③講習(座学・実技) ▶申込方法電話、FAX、又は郵送にて申込 ▶申込・問合せ先 東京防災救急協会 講習事業部講習第二課 防火実務講習(担当:清水) 〒102-0083 千代田区麹町1-12東京消防庁麹町合同庁舎3階 電話:03-3556-3702 03-3556-3705 http://www.tokyo-bousai.or.jp/ 【くらし】 福祉専門職だからこそ伝えられる楽しくリアルなストーリー 府中市内で医療や介護をテーマにした劇を上演している多職種劇団「FKB88」のみなさまにお話を伺いました。 活動をはじめたきっかけは? 清野さん)我々が劇団を始めたきっかけは府中市地域包括支援センター(以下、「包括」)で行っている「認知症サポーター養成講座」です。市内の11か所の包括が市民向けに開催していました。大人だけでなく、子どもに認知症を理解してもらうため「認知症ってどういうこと?人が年を取って困ることはどんなこと?」か、小学生向けの分かりやすい劇をつくり、見せていこうといくつかの包括で始めました。 広井さん)メンバーは多彩な経歴をもつ多職種の集まりです。現職の福祉専門職である我々ですが、元制作会社でした私を含め、元旅芸人だった清野さん、元俳優だった川田さんがいました。そうすると話は早く、寸劇をつくり上げるための台本を清野さんが、小道具や大道具は元制作会社の私が少ない予算でつくり上げ、出演する役者は元俳優のヘルパー事業所の川田さんをはじめ、さまざまな専門職がその職種を演じるなど、とてもリアルな劇が仕上がりました。 川田さん)活動の輪が広がりはじめたのは、認知症のタウンミーティングで劇を行った場です。都立多摩総合医療センター(旧都立府中病院)の内科部長が偶然会場に来ていて、「今度子どもも巻き込んだ市民向けの企画を行うので、この劇をぜひやってほしい」と依頼されました。そこで考えた劇が、認知症の母と息子の二人暮らしが、地域で発見され、その家族がいろいろなサービスを使っていくという内容です。サービスを利用するにはさまざまな職種の人が関わります。たった2人の市民のために、大勢の人が支援していることを知ってほしいと考えつくりました。 映像化した劇は医療介護連携のイベントの際に映像として何度も流され、顔見知りの関係者が出演しているのを発見すると笑いが起こり、劇団への参加希望や、イベントの依頼が増えてくるようになりました。 活動の中で実際の業務に通じることはありましたか。 楠原さん)福祉用具事業所の私は、本人、家族、ケアマネジャー、自分の4者のみとなっていた視野が、より多角的に考えられるようになっていきました。 清野さん)私は包括の立場として、人と人をつなげていく役割があると思いますが、何かと線を引きがちなところがありました。この活動をしながら自然と線引きをしなくなり、垣根は自分がつくっていたものだと気づきました。 特に医師との垣根がだいぶ低くなりました。普段話す機会の少ない副院長や部長の先生などがこの劇団に参加してくれています。介護側からは医療との壁が高く感じることがありますが、劇では在宅診療している医師が医師役で一緒に出演してくれます。先日、ある高齢者のサービス担当者会議でメンバー全員がFKB88だったということが起こりました(笑) 広井さん)一つの作品をつくり上げる過程で、メンバーのいろいろな専門スキルが発揮される過程を楽しめることも醍醐味です。メンバーがとても協力的で、苦労することがないです。むしろ、劇だからこそ自由にやれる、一生懸命やることをみんなが楽しんでいます。 川田さん)介護を知らない方にも「ヘルパーはどうやってお願いしたらいいか?」「ケアマネは?」「包括は?」と劇を観て気づくきっかけになるよう、広く観てもらえるようになりたいと思います。介護のことに親しみを感じ、分かりやすく伝わるような劇をこれからも作っていきたいです。 楠原さん)今後の野望としては府中市だけでなく、近隣へとひろがっていけたらと思っています。 前列右)清野哲男さん 前列左)川田康隆さん 後列右)広井勝夫さん 後列左)楠原俊介さん 劇団FKB88(府中絆バンド88) 医師・歯科医師・薬剤師・介護関係機関(ケアマネ、ヘルパー、デイサービス職員など)・市民・ふれあいポリス・民生委員・社協・地域包括支援センター・市役所職員などの府中市内で働くメンバーで構成されています。 【本】 NEW  困りごとから探せる介護サービス利用法 本書は「かんたんわかる 介護サービス利用法」(平成25年3月)として発行していたものを、リニューアルした書籍です。地域包括支援センターでよくある相談をもとに、困りごとから使えるサービスを探すことができる「悩み解決!介護サービスナビ」を新たに盛り込みました。 ◆規格 A5判/195頁 ◆発売日 2017.5.1 ◆定価 1,944円(税込み) 災害時要援護者支援ブックレット6 『災害に強い福祉』要配慮者支援活動事例集 東日本大震災や熊本地震など各地の実践を合わせた15の事例について「災害に強い福祉」を構築するために掲載しています。 ◆規格 A5判/269頁 ◆発売日 2017.3.31 ◆定価 1,080円(税込み) 高齢者や障害者などへのサポートマニュアル〔改訂第2版第6刷〕 好評につき増刷しました。 高齢者、障害者等を接客・接遇する上で、介助の基本的な知識および技術を学ぶ。講習会や福祉教育での参考図書としてもご利用いただきたいと思います。 ◆規格 A5判/85頁 ◆定価 1,028円(税込み)