【表紙】 山口県 岩国町 えびす祭り 「まいこんだ。まいこんだ、福の神が、まいこんだ、なにかひとつ、やってくれ…」 獅子を先頭に行列が続き、子どもの心はウッキウキ 錦帯橋を見上げる空は真っ青に抜け、かけ声ひとつみんなが笑った! Photo 管 洋志 Suga Hiroshi 【もくじ】 社会福祉NOW “おしゃれ!かわいい!おいしい!”を生み出す~障害分野のものづくりのいま~ トピックス 平成29年九州北部豪雨における福岡県社協の取組み 【連載】福祉×情報(2) ターゲットを明確にした採用ツールによる、伝えたい相手に届ける情報発信 (社福)三幸福祉会 総務部 採用担当 金子紗紀さん 明日の福祉を切り拓く コミュニケーションデザイナー 「おおきな木」代表 加藤未礼さん 【NOW】 “おしゃれ!かわいい!おいしい!”を生み出す ~障害分野のものづくりのいま~ 近年、障害者施設でおこなわれるものづくりは、これまでの「作業所等での“製品”」という枠を超え、おしゃれでかわいい「商品」や、「芸術作品」を生み出す場へ変わってきています。 今号では、福祉の心を大切にしながらも、社会に“おしゃれでかわいい"と認知されはじめてきた障害分野のものづくりの視点と取組みをご紹介します。 支える側の意識を変える  東社協知的発達障害部会 東社協知的発達障害部会では、平成29年度に「文化・芸術活動支援特別委員会」を新たに設置しています。委員長である(社福)正夢の会「コラボたまワークセンターつくし」施設長の大浦孝啓さんは、「障害者のアート展示や施設でつくった商品の物販などはさまざまな場所で行われているが、職員はそれらの見せ方や売り方がわからないと感じていた。また、それを学べる場もなかった。障害のある方がいきいきと活躍するために、利用者の作品や商品を発表・販売する場をつくるとともに、支援する側が利用者のつくったものをどう見せていくかを学ぶ場や、ネットワークをつくりたかった」と語ります。 平成29年12月9日(土)、飯田橋セントラルプラザで本委員会が主催するイベント「Session! TOKYO50(以下、セッション)」が開催されました。都内にある福祉施設が出店し、ハンドメイドの雑貨やお菓子などを販売するブースと、障害のあるメンバーの作品展示が行われ、28施設が参加しました。当日、会場はたくさんのお客さんで賑わいました。店頭に並ぶ商品はどれも利用者がつくった自信作です。包装やディスプレイにも各施設の個性とこだわりが感じられました。 セッションの開催に向け、委員会ではアートやものづくりのセミナーやディスプレイ講座を開催しました。それは先進的な取組みを学んだり、意識改革につながる気づきを得る機会となりました。大浦さんは、「利用者のつくったものは丁寧につくられている。きちんとした売り方をすれば一般のものと同じだけのクオリティがある。まずは支援する側の意識をそこに持っていくことが必要だった」とふり返ります。 そして、「アート活動や物販は利用者と社会をつなぐきっかけであり、障害のある方のものづくりは共生社会の入り口になれるということに気づけた。だからこそ、私たち職員がしっかりと学ぶ必要性を実感している。『利用者が手をかけることができ、売れるものをつくる』。そういう視点でものづくりを考えることは楽しい。職員や利用者のモチベーションにもつながっていってほしい」と話します。 コンセプトを明確にして変った  障害者福祉施設「小茂根福祉園」 (社福)恩賜財団東京都同胞援護会「板橋区立小茂根福祉園」は、知的に障害のある人の通所施設です。現在、「KOMONEST」のブランド名で、自家焙煎の珈琲やTシャツ等の商品を企画・製造、販売しています。 8年前、外部のコーディネーターとともに「Yes! I’m here※1」というコンセプトを考案し、就労継続支援B型の自主製品の一部をコモネストとして立ち上げました。KOMONE(小茂根)とNEST(鳥の巣)を合わせた造語で、障害者の巣立ち(自立)への願いが込められています。コンセプトが明確になったことで、職員からも次々にアイディアが提案されました。 以前から珈琲は取扱っていましたが、他店で焙煎した珈琲豆を購入し、簡易な袋への封入を中心とした作業でした。今は、年間を通じて一定の味を保てるよう自家焙煎し、鮮度と味にこだわっています。そして、利用者が描いたロゴマークとマスコットを採用して、プロのデザイナーの協力も得ることで心惹かれるレトロなデザインのパッケージに仕上げました。ターゲットを「アウトドアが趣味の30代男性」と具体化し、ブランディングすることで、「おしゃれ!」と品質デザイン両面で、多くの人に手にとってもらえるオリジナルブレンド「フクロウ珈琲(296COFFEE)」が生まれました。 現在は、焙煎は職員が担当し、利用者は珈琲粉の封入作業、専用袋へのスタンプ押し等を担当しています。「将来カフェの仕事がやりたいから、ここの(珈琲の)お仕事をしっかりやるの」と珈琲担当の女性利用者は今後の希望を語ります。 生活支援員の上田トシ江さんは「自信を持って美味しさを伝え、販売する利用者の姿に『よし!自分たちでやっていける。珈琲をやってよかった』と思った」と話します。 福祉施設においても、外部の専門家と連携しものづくりにコンセプトをもつことで、職員の発想が徐々に変わり、ブランディングのノウハウや意欲が向上しました。さらに、仕事の捉え方や取組み方にも変化があります。それは、職員がともに楽しみながらも、利用者が将来の夢を思い描ける自立へむけた取組みへとつながっています。 魅力的なブランドとして発信する  (一社)アプローズ「アプローズ南青山」 一般社団法人アプローズ「アプローズ南青山」は、平成26年開所の就労継続支援B型事業所です。フラワーショップ「BISTARAI BISTARAI」のブランドで、企業の受付などに飾られるディスプレイ用のフラワーアレンジメントやブーケ等を制作し、ネットショップ等で販売しています。 利用者(障害者スタッフ)の多くは精神や知的障害のある方々です。ほとんどがお花を扱うのは未経験ですが、専門職スタッフである有名店出身のフローリストに教わりながら、一つひとつアレンジメント技術を身につけています。「こんなイメージで」という抽象的な注文も、お客さんの思いを丁寧に汲み取り、個性を活かした色合いや花材でアレンジを加えて商品に仕上げます。「花屋さんのセオリーを乗り越えるアレンジをする方もいて、潜在的な発想力や感受性に驚かされる」と、代表理事の光枝茉莉子さんは話します。一方、花を通じて社会貢献をしたいと入職したフローリストも、福祉の仕事は初めてという人ばかりでした。障害者スタッフへの説明の仕方等は、福祉現場で経験を積んだ福祉スタッフがサポートしています。 「アプローズ南青山」が重視するのは、「居場所」ではなく「就労」の場であること。障害者スタッフは「ブランドの担い手」という意識の下、やりがいを持って安定した通所を続け、一般企業の障害者雇用などにすすんでいる人もいます。ホームページの制作はプロのデザイナーに依頼し、見せ方にも気を配ります。そこには、事業を立ち上げる前の都庁在職時に、障害者施策に携わり事業所を訪問する中で、「利用者にはもっと働けるチャンスがあるのでは?」「こんなに美味しいお菓子をつくっているのに、知られていないなんて勿体ない」と感じた光枝さんの思いがあります。「フラワーショップとして発信し、福祉事業所であることは後から知るという順番が大事。『障害者が制作しているから』ではなく、商品に魅力を感じて買ってもらえるよう、フラワーショップとしての努力が必要」と光枝さんは話します。 アプローズがめざすのは、花を通じたウェルフェアトレード※2の自然な流れをつくりだすことです。その先にあるものは、障害者事業所の変革だけではありません。「今、生花業界には売上減少や人手不足の課題がある。私たちなりの〝花の仕事〟ができれば、福祉分野の力で生花業界の役に立てることもあるはず」と光枝さんは言います。商品の質に力を入れ、ブランドとして発信するという企業の発想を取り入れた福祉の取組みは、両分野を盛り上げる相乗効果をもたらし始めています。 これらの事例から見えてくるのは、社会に向かって意識を開き、発信したいコンセプトを持ち、利用者のさまざまな魅力を引出して表現していく姿です。「ものづくり」を通じてこれまでのイメージではなく、いまの福祉の姿を伝えていく、共生社会に向けての大きな力になっています。 (関連記事:P10「明日の福祉を切り拓く」) 大浦孝啓さん Session! TOKYO50当日の様子 生活支援員の上田トシ江さん 296COFFEE アトリエでの制作風景 ※1 私らしく・・・ 住みなれたこの町で私らしく暮らしていきたい。 いろいろなことにチャレンジしてみたい。 自分のことは自分で決めたい。 夢をかなえたい。 ※2 ウェルフェアトレード “Welfare=社会貢献”と“Fair trade=公正な取引”を掛け合わせた造語で、社会的弱者と言われている人たちの作る製品などを適正価格で購入することによる社会的支援活動のこと。 (「BISTARAI BISTARAI」HPより) 【トピックス】 平成29年九州北部豪雨における福岡県社協の取組み_福岡県社会福祉協議会 平成29年7月5日から6日にかけて発生した九州北部豪雨は、福岡県と大分県に甚大な被害をもたらしました。死者36名、行方不明者2名、住家の全壊・半壊が約1千100件(平成29年12月25日現在)に上るなど特に被害の大きかった福岡県では、現在も多くの方が仮設住宅等での生活を余儀なくされています。発災から災害ボランティアセンター(VC)閉所までの取組みを福岡県社会福祉協議会に伺いました。 ◆初動~災害ボランティアセンターの立上げ支援 福岡県社協では、5年前の集中豪雨(平成24年7月九州北部豪雨)の経験をふまえ、大雨が予想された7月3日の段階で「災害救援情報」を発行し、市区町村社協や福祉施設に対して厳重警戒を呼びかけました。5日には常務理事を本部長とする福岡県社協災害救援本部を設置し、市区町村社協や福祉施設へのファックスや電話による情報収集を開始。さらに朝倉市、添田町、東峰村には先遣隊を送って現地調査を行いました。幸い福祉施設に大きな被害はなく、避難所も行政が対応していたため、福岡県社協では災害ボランティア活動支援プロジェクト会議(支援P)等の団体と協力し、災害VCの立上げと運営支援に注力することになりました。 災害VCの立上げはスムーズにいかない点もありました。朝倉市では事前に設置場所が決められていなかったため場所探しが難航。7月9日に朝倉球場に本所を開設しつつ、さらに甚大な被害のあった杷木地域の老人福祉センターに団体受付サテライトを開設しました。しかしその後、仮設住宅建設のため朝倉球場が使用不可となり、本所は8月2日に杷木地域の別の拠点に移転することを余儀なくされました。また、用意していた災害VCの各種様式が実態に即していなかったため直前に見直しを迫られるなど、ハード、ソフトの両面で課題がありました。 東峰村でも村の中央に架かる橋が崩落し村が分断されたため、当初から小石原地区と宝珠山地区の2か所に災害VCを設置しなくてはなりませんでした。 ◆社協による職員派遣 人的支援については、被害が大きかった3市町村社協では災害時相互支援協定に基づく近隣社協による支援準備がすすめられており、また福岡県社協では、田川市郡内での支援協力で対応できた添田町を除く2社協からの要請に基づく市区町村社協職員の派遣協力依頼をすすめていました。こうして発災から一週間後の7月12日から、3市町村5か所に設置された災害VCのうち4か所への職員派遣が始まりました。その後、職員派遣は県内にとどまらず、九州・中国・四国ブロックの社協にも広がりました。福岡県社協地域福祉部長の堀圭介さんは「これほど長期化するとは思っていなかったが、多くの協力をいただいた」と感謝しています。 また福岡県社協も通常業務を休止させることなく、全局対応で3市町村社協に職員を派遣し続けました。これにより「朝夕の県社協災害救援本部による情報共有と現地の調整が一定程度できた」と話します。 ◆ボランティア活動を支える取組み 8月からは現地でのボランティア活動を環境面で支える取組みとして、福岡県老人福祉施設協議会と福岡県知的障がい者福祉協会の協力により会員施設の職員を災害VCに派遣しました。炎天下での活動による体調不良や怪我等、安全面を見守る看護師と、活動者と資機材を現場まで移送する送迎スタッフです。これまでも福祉施設職員が有志で災害ボランティア活動に参加することはありましたが、今回はより専門性を発揮できるよう組織的に調整しました。 また、夏休みの時期になりボランティア活動者数の減少が懸念されたため、継続的な参加を促す取組みとして、県内の市区町村社協が主催するボランティアバスの運行費用の助成も行いました。1回につき最大10万円の助成金を支給するもので、12社協が実施した33件に助成しました。財源は福岡県社協に寄せられた支援金を活用しました。 ◆県社協による情報発信 地域福祉部地域課長の川崎展裕さんは、これまでの災害対応の経験からインターネットを活用したタイムリーな情報発信の必要性を感じていました。今回、支援Pの応援で環境整備が進み、ウェブサイトで「災害救援情報」や災害VCの活動状況を随時更新したり、フェイスブックでの情報提供を始めることができました。川崎さんは「活動者数やニーズ件数等のデータを掲載したことで、5年前と比べてマスコミやボランティアからの簡単な問合せが格段に減った。リアルタイムで情報を届けられるようになった」と言います。 一方で課題も多く、「たとえばニーズ完了件数では、数字上は未完了でも実際には完了しているものが多くあり、『まだこんなに残っているのか』という誤解を与えかねなかった。現地のニーズ票を確認して修正したが、どのような情報を発信するのかあらかじめ整理しておき、現地と見解を共有しておくことが必要だった」と言います。 ボランティア活動者数が減ってきた段階での情報発信についても「もっと具体的なところを示せればよかった」と言い、「どこのエリアでどのような状況だからこれだけの人が必要なんだということを、地図や写真を使ってわかりやすく発信できたら、発災から時間が経っても参加してくれる人や長く関わってくれる人が増えたと思う」と振り返ります。 また災害時の状況は刻一刻と変化していきますが、個人を含めた多様な主体による発信がSNS等で瞬く間に拡散され、タイムラグが生じたり情報が錯綜したりすることがあります。広域の団体として、現場職員やネットワークを活用して収集した情報をある程度まとまった形で整理し、正確に発信していくことがより一層求められます。 県内の災害VCは10月末までに閉所し、これに伴い福岡県災害救援本部も廃止されました。避難所も11月末までにすべて閉鎖され、避難者の多くはみなし仮設住宅や建設型仮設住宅等で生活再建に向けた暮らしを始めています。 福岡県社協では、今後も被災地の市町村社協と連携しながら復興に向けた取組みをすすめていく予定です。 左から地域課長 川崎展裕さん、地域福祉部長 堀圭介さん、事務局次長 波多江重則さん、施設課長 武田明彦さん 災害救援情報は7月3日~10月16日まで計21号を発行 【マンスリー】2017.11.26-12.25 12/8 診療報酬・介護報酬・障害福祉サービス等報酬が改訂 平成30年度の介護報酬改定は+0.54%、障害福祉サービス等報酬改定は+0.47%となった(今年度末までの経過措置とされていた食事提供体制加算については今回の改訂では継続)。 12/7 高齢者被害、特別相談件数は519件 都が平成29年9月に実施した関東甲信越ブロック「高齢者悪質商法被害防止共同キャンペーン」において寄せられた高齢者被害特別相談の件数は519件、うち、80歳以上の方に関する相談は20%超だった。 12/8 10年以上の介護福祉士の処遇改善へ 政府は「新しい経済政策パッケージ」を閣議決定した。2020年度末までに32万人分の待機児童の解消、勤続年数10年以上の介護福祉士について月額平均8万円相当の処遇改善を行うことなどを盛り込んだ。 12/12 雇用障害者数、実雇用率がともに過去最高 厚労省によると、平成29年度に民間企業や公的機関などにおける雇用障害者数は49万5,795人(前年比4.5%増)、実雇用率は1.97%(前年比0.05ポイント上昇)で、ともに過去最高を更新した。 12/12 地域福祉計画策定のガイドラインを通知 厚労省は、「地域共生社会の実現に向けた地域福祉の推進について(通知)」発出した。平成30年4月に施行される改正社会福祉法をふまえ、市町村が策定する地域福祉計画のガイドライン等について。 12/14 生活扶助基準の引き下げへ 厚労省は、生活保護費のうち食費などに充てる「生活扶助」の見直し案を盛り込んだ報告書をまとめた。一般低所得世帯の消費実態との均衡を図り、平成30年10月から段階的に引き下げる。 12/15 生活困窮者と地域がつながり支え合う 厚労省は、社会的に孤立している生活困窮者に対し、地域住民とのつながりをつくり、相互に支え合うことに寄与する取組みを新たに制度的に位置づけるなどを盛り込んだ「生活困窮者自立支援及び生活保護部会の報告書」を公表した。 12/15 ひとり親世帯、正規職員の割合が増加 厚労省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果」によると、ひとり親世帯の就業状況では正規の職員の割合が増加。世帯収入等の状況では、母子世帯の母自身の平均年間就労収入は増えているものの200万円にとどまることがわかった。 12/18 多摩市都営住宅団地でスーパーの移動販売が開始 都は買い物弱者への支援策として、多摩市内の都営住宅団地内でスーパーの移動販売を開始した。都営住宅団地内での実施ははじめて。 【連載】 ターゲットを明確にした採用ツールによる、伝えたい相手に届ける情報発信 (社福)三幸福祉会は、23区内の複数箇所で特別養護老人ホームや有料老人ホーム、保育所を運営する法人です。 職員数は約250人、平均年齢は26.5歳で、若い人材が多数活躍しています。 今号では、採用広報の情報発信について、情報の受け手の立場から各種ツールを見直し、成果を挙げている事例を紹介します。 (社福)三幸福祉会 総務部 採用担当 金子 紗紀さん 平成14年に設立された三幸福祉会では、3年後の特養新設を控え、福祉系に限らず学生数自体が減少する厳しい状況のなか、人材の確保・育成・定着に一層、力を入れています。 ■ターゲットに合わせ、説明会のスライド資料を見直し 法人総務部の金子紗紀さんは、前任者の異動に伴い26年に採用担当になりました。採用活動のすすめ方すらよくわからないなか、副理事長に相談しつつ、できることから取組んでいくことにしました。 はじめに手をつけたのは、職場説明会で使用するスライド資料の更新です。三幸福祉会では、教育や人材ビジネスを展開するグループ法人と同様、可能性ある若い人材を育てていくことを大切にしており、新卒採用に重点が置かれていました。その視点から改めてスライドをチェックしてみると、法人理念や研修体系など必要な要素は入っているものの、見せ方の点で若い世代への訴求力が不足していると感じました。 「ターゲットである新卒学生向けとしては、説明文の表現やイラスト、写真など全体の印象が堅かった」と金子さんは言います。そこで、「色はピンクを基調にかわいく、明るく元気なイメージ」をコンセプトに、スライドを作成し直すことにしました。プレゼンテーションソフトの効果的な使い方をインターネットで調べて、法人運営に関するポジティブな数字をグラフ化したり、職員の表情や職場の雰囲気が伝わる写真を大幅に増やしたりしました。 スライドの見直しはお金をかけずにすぐ取組むことができ、説明会で参加者の反応がわかることもよい点でした。また日常業務の説明をする現場職員自身が説明会に参加する意義を感じられるよう、スライドの最後によくある質問の一覧を入れて質問をしやすい雰囲気をつくるなどの工夫もしました。金子さんは「学生は仕事への夢をもって説明会に参加してくれたのだから、夢をもったまま帰ってほしい」と想いを語ります。 ■親しみある採用サイトと広報ツールの作成 説明会参加者を増やすためには、幅広い情報発信が必要です。若い世代はまずインターネットで情報を探すため、その入口を整えることが不可欠だと考えた金子さんは、採用サイトのリニューアルを提案しました。法人内では必要性がなかなか理解されない状況もありましたが、半年間、粘り強く提案し続け、ようやく27年度に実現しました。採用サイトも説明会のスライドと同様のコンセプトで見直すことを制作会社に伝え、いきいきと働いている職員の姿を前面に出した、楽しく、親しみある雰囲気のサイトになりました。 また、採用広報活動に使用するリーフレットの作成や法人パンフレットのリニューアルにも取りかかりました。リーフレットは採用サイトと同じ制作会社に「かわいく楽しく、福祉っぽくない福祉のイメージで」作成することを依頼し、若者向けファッション雑誌のような満足のいくものができました。リーフレットは求人票と一緒に各回300か所ずつ、年3回学校に送付しているほか、就職セミナー等でも配布しています。金子さんは「合同説明会で配架すると、確実に参加者が足を止めて手にとってくれるようになった」と実感しています。リーフレットのデータは制作会社から買い取り、デザインソフトを購入して法人内で修正・更新できるような環境を整えました。 こうした取組みの効果はどのように出ているのでしょうか。金子さんは「採用サイトの反響がどれくらいかはわからないが、採用者の傾向に変化があった」と言います。たとえば、25年度は新卒採用者27人のうち福祉系大学や専門学校卒は6人でしたが、28年度は新卒採用者29人のうち福祉系大学や専門学校卒が23人に増えました。「福祉系学校の出身者は一般学校の出身者よりも定着率が高いので、その意味で必要としている人材を採用できている」と金子さんは手応えを感じています。 ■法人全体で情報発信に取組む 29年5月には、これも以前から提案していた法人ウェブサイトのリニューアルを実施しました。作業をすすめるにあたっては、別施設の施設長で、グループ系列の専門学校講師も務める柳沼亮一さんと一緒に行うことになりました。金子さんと同じようにリニューアルの必要性を感じていたためです。そして、この機会に二人で広報部を組織することになり、兼任ではありますが、さらに広報活動を推進していく体制が強化されました。SNSを新たに始める際も、やはり最初は理解が得られにくかったそうですが、柳沼さんがSNSの説明や導入効果に関する資料を作成し、上司を説得することができました。広報部としての協力体制ができた成果といえます。 採用活動からスタートし、法人全体の情報発信まで着実に取組みをすすめてきていますが、苦労や課題もあります。「職員の魅力や職場の雰囲気を伝えるには、とにかく写真が重要。人選から本人への撮影依頼、周りの職員も含めたその後のフォローなど内部調整に気をつけている」と金子さんは言います。他にも利用者や家族など許可を得ていない方が写り込んでいないか、適切でない内容ではないか等にも気を配っており、「写真を見た人から思わぬ指摘を受けることもあるので、細心の注意が必要」と強調します。 金子さんは、介護業界のネガティブなイメージを変えていきたいと考えています。「“介護業界にはこんな素敵な人が働いているんだ!”と共感や尊敬ができるような魅力的な人材を発信していきたい。法人全体で広報や情報発信の意識を高めていけば、もっと変わってくると思う」と今後の展望を語ります。そして福祉を学ぶ学生だけではなく、多くの人に福祉の魅力を伝えていくため、これからも積極的な情報発信に取組んでいきます。 更新前 必要な要素はすべて入っているものの、内容・表現とも全体的に堅いつくり。 更新後 法人のアピールポイントを数字化・グラフ化。写真も増やしてやわらかな印象に。 【東社協発】 報告_人材の定着に向けた多様な働き方―産休・育休後の復帰も当たり前に―(児童部会「人材対策委員会」) 現在、出産・子育てを経て働き続けられる職場づくりが、社会全体で求められています。特に児童養護施設では、長年勤務する職員の存在は、顔見知りがいつも施設にいる安心につながることから、退所児童のケアの意味でも重要です。こうした背景から、東社協児童部会「人材対策委員会」では、平成29年12月8日に「人材の定着に向けた多様な働き方―産休・育休後の復帰も当たり前に―」を(社福)福田会「広尾フレンズ」で開催し、都内の児童養護施設の職員約30名が参加しました。 はじめに、働き方最適化コンサルタントで社会保険労務士の松永祐子さんから、「働き方改革」など最近の社会情勢や制度の説明がありました。そして、産休・育休後も長く働き続けられる職場づくりには、「その人自身がどのような生活をしていきたいか考えて伝える力と、相談できる環境の両方が必要」と話しました。 実践事例報告では、まず(社福)子供の家「子供の家」施設長で本委員会の委員長である早川悟司さんが、施設運営の視点から「休業に備えた人員体制など、労働環境を検討するだけではなく、自己実現や達成感など、職員個人の想いも考慮することが重要」と話し、休業する人個々のニーズに応じた多様なサポートの必要性を提示しました。 (社福)二葉保育園「二葉学園」本園ホーム長の椎野草子さんは、自身の産休・育休経験から「妊娠した7年前は前例がほとんどなく、ホーム長という立場もあって戸惑った」と言います。けれども、「職場の支えが大きかった。今は複数の職員が休業後に復帰しており、勤務モデルとなれたことが次につながっていると感じる」と話しました。 (社福)六踏園「調布学園」・「第二調布学園」は、出産後も長く働き続ける環境が以前からあり、休業を取りながら勤務を続けている、現在60歳代の職員もいます。家庭支援専門相談員の戸谷義則さんは、「委員会などに責任者を置かず、皆で相談し合う風土が施設にあることが関係しているかもしれない」と、その理由を話します。そして、今回の事例発表にあたり、産休・育休を経験した職員による座談会を施設で設け、「『誰かが何とかしてくれる』のではなく、子育てしながら働ける環境を自分たちで考えてつくっていった」、「独身で働いている人も大事な存在。お互いを尊重することが大切」などの意見が出されたと紹介しました。 職員同士互いに思い合い、新しい命を歓迎する環境は、「生まれること」や「家族」について施設の子どもたちと考える大切な機会でもあります。産休・育休後も長く働き続けられる環境づくりに向け、施設全体で意識的に取組む重要性を確認し合う時間となりました。 報告_第66回東京都社会福祉大会を開催 平成29年12月15日に東京都、東京都共同募金会、東京都社会福祉協議会の共催により、東京都庁第一本庁舎の大会議場にて東京都社会福祉大会が開催されました。当日は、東京の社会福祉の発展に功績のあった825名(団体)に、東京都社会福祉大会知事感謝状、福祉のまちづくり功労者に対する知事感謝状、東京都共同募金会会長表彰状、東京都社会福祉協議会会長表彰状・感謝状が贈呈されました。式典では、受賞者を代表して4団体の功績がスライドで紹介されました。 東京都社会福祉協議会会長表彰を受賞された大田区子ども家庭支援センター 子育て応援コーナー運営委員会は、地域の民生委員・児童委員、ボランティアの方々と連携し、『地域総がかりの子育て』をめざし、子育て情報の提供や保護者の育児不安解消のためにさまざまな事業を展開し、地域福祉の向上に尽力しています。 なお、東社協会長表彰・感謝の受賞者名と功績概要は、本会ホームページ*に掲載しています。 *http://www.tcsw.tvac.or.jp/activity/taikai.html 受付中_ゆめ応援ファンド助成  都内におけるボランティア・市民活動の開発・発展を通じて市民社会の創造をめざすために、必要な資金の助成を行います。 ▽対象:(1)ボランティア・市民活動団体、(2)(1)の活動を推進している民間非営利団体 ▽助成金額:単年度助成は上限50万円、継続助成は1年につき上限50万円(3年間助成) ▽助成内容:(1)学習会・研修会の開催、(2)調査・研究の実施、(3)器具・器材の開発・購入、(4)市民への啓発、(5)先駆的・モデル的活動、(6)その他 ▽申込方法:募集要項を入手し、申請書に必要事項を記入し、送付。申請書は都内のボランティア・市民活動センターやホームページで入手できます。 ▽申込締切:1月31日(水)消印有効(持込の場合は17時まで) ▽申込・問合せ:東京ボランティア・市民活動センター 電話:03(3235)1171 http://www.tvac.or.jp/news/50146 告知_市民社会をつくるボランタリーフォーラムTOKYO 2018 地域社会、子ども、貧困、障がいなど、今、社会で起こっているさまざまな課題を取り上げ、その解決に向けて、わたしたち市民にできることを一緒に考えるイベントを開催します。 ▽日時:2月9日(金)~11日(日) ▽会場:飯田橋セントラルプラザほか(総合受付はセントラルプラザ10階) ▽参加費:2千円(1分科会のみ参加の場合は1千円)(当日、総合受付にてお支払い/学生割引あり/一部追加料金が必要な分科会あり) ▽内容:多様なテーマで28の分科会を実施します。詳細は、フォーラムホームページをご覧ください。 ▽申込方法:フォーラムホームページより申込み、または参加申込書に記入の上、FAXまたは郵送。 ▽申込・問合せ:東京ボランティア・市民活動センター  電話:03(3235)1171  FAX:03(3235)0050  ホームページ:http://www.tvac.or.jp/vf/  参加申込書:goo.gl/em8mtr 【中期計画】 平成29年度重点事業の取組み(1) 「平成28~30年度東社協中期計画」の、29年度重点事業の取組みの中から「福祉の魅力可視化プロジェクト」をご紹介します。 福祉の魅力可視化プロジェクト 平成28~30年度東社協中期計画では、重点目標の一つとして、「地域の福祉力を高めるための福祉人材の確保・育成・定着と地域社会の担い手づくり」を掲げています。その目標の実現に向けて、福祉の魅力を伝えることを通じ、「地域にある課題」「その解決に向けた実践」に関心をもつ人材が地域で育つことを推進するため、本プロジェクトを設置しています。 29年度は、田園調布学園大学教授の村井祐一さんを座長に、福祉施設・事業所、区市町村社会福祉協議会、ボランティアセンター、NPOの方に委員をお願いし、(1)地域での気づきを高め、地域の福祉力を高めていくことを目的とした福祉の正確な情報と魅力の可視化のあり方、(2)(1)をすすめることを目的に、主に中学校の職場体験を福祉施設が受け入れる場面を想定した具体的なツール作成に取組んでいます。 第1回プロジェクトの様子 次回は、Vol.10「平成29年度重点事業の取組み(2)」についてです。 【明日の福祉】 想いをデザインする 言葉にすることで描けるものがある 加藤未礼さんは、人々の想いを形あるものにデザインしていく「コミュニケーションデザイナー」として、主に障害のある人が通う福祉施設の商品企画のコーディネートを通して、福祉職員のミッションを共にデザインしています。 障害のある人たちも、他者に与えられる価値をたくさん持っています。そこをコーディネートするのが、福祉職員のみなさんの一つの大きなミッションです。そのミッションを具体的にデザインすることは、とてもワクワクする活動です。日々の活動を、少し角度を変えて面白がれるスキルを持てたら、こんなにクリエイティブな職業はないと思います。 ◆何もないところから「つくり合う」 幼少期、家には楽器がたくさんあり、造形教室に通っていたこともあって、芸術や文化が身近にありました。中学・高校では演劇部で、将来は演出家になりたいと思っていました。何もないところから何かをつくる仕事、限られた空間の中で人に感動を与えられることが魅力でした。 社会人になり、大手の雑貨インテリアショップで10年勤務しました。その時に、大量生産・大量消費ではなく、1点ものの商品やその商品の背景にある物語に魅力を感じました。売り場づくりは、手法は違いますが演劇の魅力に通じるものがあります。店長になると、スタッフが楽しく働け、自己実現できるような人材育成の視点も得ました。やれるだけの結果を出したところで、子育てと仕事の両立が難しくなり、私の持っているスキルを活かして地域で社会に貢献できる仕事がないかと考えるようになりました。 その後、区立小学校の特別支援学級での介添えをする臨時職員に就き、約20人の知的に障害のある子どもたちと本当に楽しい、素敵な日々を過ごしました。その子どもたちが18歳になり、小茂根福祉園に通い始めたことがきっかけで、小茂根福祉園で商品企画のコーディネーターの仕事をすることになりました。 ◆「もの」を売ることは簡単じゃない 「もの」を通じて、それが「福祉施設」や「障害のある人」への世の中のイメージにもなります。ところが福祉施設では、もらったものを利用して「もの」をつくるという昔の感覚がまだ残っているところがあります。福祉施設自身が悪いイメージを生み出している一面もあるのです。本来ものづくりは、マーケットのニーズに基づいて行われ、お客さんにお金を出してもらっている以上は「商い」だと思っています。現在23の福祉施設・団体に関わっていますが、意識の改革が最も重要だと考えています。「授産品→商品」「福祉喫茶→カフェ」「福祉バザー→マルシェ」「福祉作業所→工房」この言葉のとらえ方の間には、とても長い距離を感じます。 福祉の現場の大変さ、切実さは十分知っています。どこの職員のみなさんも本当に頑張っています。職員のみなさんは、例えば災害発生時などに、具体的に発揮できる多様なスキルと力をもった人たちです。社会の中でその尊い仕事が認知され、もっと評価された方がいいと感じています。そして、障害のある人たちの存在意義を伝え、社会に認知・理解されるようにしていく役割が職員のみなさんにはあります。世間の人に気持ちを少し寄せてもらう手段として、「商品」や「カフェ」、「アート作品」などがあると考えると、それがかっこよく、かわいく、面白くあると、訴求力が高まり、気に留めてくれる人が多くなると私は考えています。想いを伝える「媒体」なのです。 ◆職員が町のプレーヤーに 平成29年12月に開催したイベント「セッション」*では、出店する施設に組織としてのコンセプトを言葉にするように宿題を出しました。「そのぬくもりに答えがある」など、各施設で練り上げた言葉が出てきました。想いを言葉で描くことで発信につながります。考えるきっかけがあり、やり方をつかめると意識も開き、発信力も高まります。福祉施設や職員のみなさんは自分たちの想いや力を言語化することが、まだまだ足りていません。自分の仕事に誇りをもって、“福祉の仕事は面白い”と自分の言葉で発信できるようになるとカッコイイ!と思います。 一緒に同じ時代を生きる私たちが、各地でプレイフルな「福祉」を勃発し、世の中の価値観に揺さぶりをかけるムーブメントを起こしていきましょう。 Kato Mirei 加藤未礼 大手雑貨インテリアショップで10年、区立小学校の特別支援学級の臨時職員2年を経て、2008年「大きな木」を立ち上げ。主に障害のある人が通う福祉施設の商品企画コーディネート、カフェの立ち上げ・運営コンサルティング、アートや商品販売のイベントディレクションなど、フリーランスで活動。29年12月東社協・知的発達障害部会主催イベント「セッション」では、コーディネーターを務める。 *東社協 知的発達障害部会主催 【本】 平成29年4月施行 省令会計基準対応 社会福祉法人会計の実務 第4編 決算実務・決算モデル編 本書には決算における社会福祉法改正の影響、決算スケジュール、社会福祉充実計画の承認制度、内部留保と制度改革、財務規律の強化、決算における具体的な取組み、決算手続きの意義と目的、決算書の体系、決算整理、内部取引の消去、注記、事業種別4種の決算整理仕訳事例と決算演習問題、決算予備作業チェックリストと決算書モデルを収録しました。 ◆規格 A4判/421頁 ◆発売日 2018.1.9 ◆定価 4,104円(税込み) 平成29年4月施行 省令会計基準対応 社会福祉法人会計の実務 第1編〜第3編 第1編 経理規程・経理実務編 社会福祉の会計を理解するために、会計の役立ち、経理規程の体系とポイント、複式簿記の仕組みと機能、出納の実務を収録。 ◆規格 A4判/162頁 ◆定価 2,160円(税込み) 第2編 会計基準の体系と具体的取扱編 会計基準の概要、事業区分・拠点区分・サービス区分、計算書類の体系、債権・債務管理、固定資産管理、施設整備会計、減価償却制度と国庫補助金等などを収録。 ◆規格 A4判/293頁 ◆定価 3,348円(税込み) 第3編 運営費運用指導と月次処理 会計の特徴は制度の特徴、運営費の使い方に関する行政指導、運営費運用通知における内部取引の取扱い、月次演習問題、月次会計データ出力モデルなどを収録。 ◆規格 A4判/238頁 ◆発売日 2017.9.5 ◆定価 2,592円(税込み) 【アンテナ】 講座・シンポジウム 第29回こうさい療育セミナー ▶申込締切 1月26日(金) ▶日時 2月2日(金)9時~16時 ▶場所 鉄道弘済会 総合福祉センター「弘済学園」(神奈川県) ▶参加費 [一般]終日:5,000円、午後のみ:3,000円、[学生]無料 ▶内容 【テーマ】「困難」を乗り越えるための「事例検討」~行動障害に対する多角的視点からのアプローチ~、【午前】療育支援公開、【午後・分科会】「障害特性と愛着障害により癇癪などの強い衝動性を見せる軽度知的障害児への支援」、「自閉症にAD/HDを合併しパニックなどの行動障害を見せる中軽度知的障害児への支援」、「家庭での養育が困難になった、他害やこだわりなどの行動障害を見せる女子児童への支援」、「愛着形成につまずきのある高校生年齢の中度知的障害児への『将来を描いた支援』」、「中高生年齢で行動障害が重篤化し、入所施設利用を開始した2事例の支援を考える」、「最重度・自閉症で行動障害を有する利用者へのコミュニケーション支援」、「言語機能が比較的高い通所利用者の思春期・青年期における生き辛さとその支援」、「氷山モデルを用いた行動障害のアセスメントと改善に向けたアプローチ」 ▶申込方法 FAX、又は下記ホームページより申込 ▶申込・問合せ先 鉄道弘済会 総合福祉センター「弘済学園」 第29回こうさい療育セミナー係 ☎0463-77-3222 0463-77-3225 http://www.kousaikai.or.jp/school/ 全国障害者生活支援研究セミナー ▶申込締切 1月26日(金) ▶日時 2月17日(土)10時~17時(9時半受付)、18日(日)9時半〜15時半(9時受付、分科会2のみ9時15分) ▶場所 新宿NSビル NSスカイカンファレンス、NS会議室 ▶定員 300名 ▶参加対象 障害者の生活支援にかかわる支援者の方、障害当事者とご家族の方、テーマに関心のある方 ▶参加費 【両日】正会員:10,000円、情報会員:11,000円、その他:12,000円(学生:6,000円)、【1日】正会員:6,000円、情報会員:6,500円、その他:7,000円(学生:3,500円) ▶内容 【1日目】基調講演:「『共生社会』を考える〜本人中心の視点から」尾上浩二氏(DPI日本会議副議長)、パネルディスカッション:「まぜこぜトーク〜現場が創る共生社会とは?」〈パネリスト〉中西昌哉氏(ベテスダの家)、奈良﨑真弓氏(本人会サンフラワー)、下郡山和子氏(つどいの家)、〈助言者〉尾上浩二氏、〈コーディネーター〉小林博氏(藤沢育成会)、【2日目】分科会①意思決定支援、②サポートシステム、③エピソード記述、④行動障害▶申込方法 下記ホームページから申込書をダウンロードし、郵送、又はFAXにて申込 ▶申込・問合せ先 【申込】京王観光 調布支店 〒182-0024 調布市布田3-1-7 池田ビル5階 ☎042-484-2881 042-484-1321、【問合せ】全国障害者生活支援研究会(サポート研)事務局 ☎044-271-8788 http://support-ken.net/ 権利擁護・虐待防止セミナー ▶申込締切 1月30日(火)必着 ▶日時 2月13日(火)10時10分~17時(9時半受付) ▶場所 全社協・灘尾ホール ▶定員 200名 ▶参加対象 社会福祉協議会(日常生活自立支援事業、成年後見センター、生活困窮者支援事業関係部所)、社会福祉法人・施設、民生委員・児童委員、市区町村、都道府県、児童相談所、福祉事務所、地域包括支援センター、在宅介護支援センター、障害者虐待防止センター、障害者権利擁護センター、児童家庭支援センター、子育て世代包括支援センター、自立相談支援センター、地域生活定着支援センター、非営利組織・専門職組織、教育機関関係者、対人援助専門職(社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士)等 ▶参加費 10,000円 ▶内容 【講演】「地域における高齢者の福祉と権利擁護~支える地域を創る~(仮)」杉山孝博氏(川崎幸クリニック院長、認知症の人と家族の会副代表)、「これからの障害者福祉と共生社会の実現」野澤和弘氏(毎日新聞論説委員)、【シンポジウム】「包括的な権利擁護と生活支援の取組に資する連携・協動に向けて」〈コーディネーター〉岡部卓氏(首都大学東京都市教養学部教授)〈シンポジスト〉右京昌久氏(岩手県社会福祉協議会事務局次長/地域福祉企画部長)、崎山由紀子氏(堺市社会福祉協議会 生活支援課権利擁護支援係主査)、清水明彦氏(西宮市社会福祉協議会常務理事)、廣瀬みどり氏(社会福祉法人みおつくし福祉会 東さくら園施設長)、吉成晋二氏(社会福祉法人村山苑 法人企画課長) ▶申込方法 下記ホームページから申込書をダウンロードし、FAXにて申込 ▶申込・問合せ先【申込】名鉄観光サービス(株)新霞ヶ関支店 ☎03-3595-1121 03-3595-1119 【問合せ】全国社会福祉協議会 政策企画部 ☎03-3581-7889 http:///www.shakyo.or.jp/ 高齢者・障がい者権利擁護の集い ▶日時 2月2日(金)13時~17時半 ▶場所オリンパスホール八王子 ▶参加費 無料 ▶内容 (予定)【日弁連からの報告】、【基調講演】「意思決定支援の意義と課題」上山泰氏(新潟大学法学部教授)、【基調報告】「意思決定支援に関する調査」東京三弁護士会多摩支部 高齢者・障がい者権利擁護の集い実行委員会、【パネルディスカッション】「意思決定支援の実践について」〈パネリスト〉上山泰氏、赤沼康弘氏(弁護士/東京三弁護士会多摩支部)、池田惠利子氏(社会福祉士/(公社)あい権利擁護支援ネット代表理事)、山本繁樹氏(立川市社会福祉協議会)、臼井弘文氏(八王子市高齢者福祉課)、〈コーディネーター〉宮武洋吉氏(弁護士/高齢者・障がい者権利擁護の集い実行委員長) ▶申込方法 FAXにて申込 ▶申込・問合せ先 東京三弁護士会多摩支部事務局 ☎042-548-3800 042-548-3808 http://www.tama-b.com/ 事例研究発表会 【(1)障害者(児)施設、(2)児童養護施設】 ▶申込締切 (1)2月9日(金)、(2)2月19日(月)▶日時 (1)2月14日(水)10時~16時半、(2)2月23日(金)10時~16時半 ▶場所 (1)(2)新宿区立角筈区民ホール ▶参加費 無料 ▶内容 (1)【基調講演】「障害者(児)施設における利用者本位の支援のあり方(仮)」宗澤忠雄氏(埼玉大学教育学部准教授)、【事例発表】七生福祉園、千葉福祉園、東村山福祉園、八王子福祉園、日野療護園、(2)【基調講演】「虐待経験のある子どもへの治療的ケア」中垣真通氏(子どもの虹情報研修センター研修課長)、【事業報告】石神井学園連携型専門ケア機能モデル事業経過報告、【事例発表】事業団児童養護施設 ▶申込方法 ホームページより申込 ▶申込・問合せ先 東京都社会福祉事業団 ☎03-5291-3614 http://job-gear.jp/jigyodan/index.htm 精神疾患の早期発見・早期治療と最新の治療 ▶日時 2月16日(金)14時~16時(13時開場) ▶場所 都庁第一本庁舎5階 大会議場 ▶定員 500名 ▶参加費 無料 ▶内容 【講師】水野雅文氏(東京都精神保健福祉協議会理事長、東邦大学医学部精神神経医学講座教授) ▶申込方法 申込不要 ▶申込・問合せ先 地域生活支援センターあさやけ ☎042-345-2077、就労支援センター北わくわくかん ☎03-3598-3337、東京都精神保健医療課 ☎03-5320-4464 社会的な差別・抑圧によって加害者となった女性への支援 ▶日時 2月24日(土)13時~17時 ▶場所早稲田大学早稲田キャンパス 8号館地下1階B101教室 ▶定員 300名 ▶参加対象社会福祉士、保護観察官、保護司等の関係者、一般市民、学生等 ▶参加費 東京社会福祉士会会員・学生:1,000円、他の道府県社会福祉士会会員・保護司:1,500円、その他(一般):2,000円 ▶内容 【基調講演】「『加害者』と『被害者』の両面性」香山リカ氏(立教大学教授・精神科医・NHKラジオパーソナリティー) 、【シンポジウム】「社会的な差別・抑圧によって加害者となった女性への支援」〈シンポジスト〉香山リカ氏、渡辺智子氏(回復者)、白木麗弥氏(第一東京弁護士会 弁護士)、〈コーディネーター〉橋本久美子氏(社会福祉士・刑事司法ソーシャルワーカー/東京社会福祉士会 司法福祉委員会委員) ▶申込方法 メール、又はFAXにて申込 ▶申込・問合せ先 東京社会福祉士会 司法福祉委員会 ☎03-6907-0511 03-6907-0512 office@waseda-spike.jp 【年頭所感】 協働を活かし、地域の力を高める 新しい年の初めに皆様にご挨拶を申し上げます。去る年は社会福祉法人制度改革への対応に各法人が尽力することにはじまり、民生児童委員制度が創設から100周年を迎えました。 こうした中、社会福祉法のさらなる改正が行われ、「地域共生社会」の実現に向けた施策が打ち出されています。この「地域共生社会」ですが、これは、まさに私たちが平成28~30年度の中期計画でめざしている「協働をすすめ、地域の課題解決力を高める」ということそのものといえるでしょう。 幅広いネットワークを活かした私たちの取組みは、地域の力を高めることにつながるものでなければなりません。新しい年に東社協らしい取組みを皆様とすすめていけるよう、本年もご支援をお願いします。 東京都社会福祉協議会 会長 青山 佾 【くらし】 めざしたい「道」が見えた 調布市福祉まつりにボランティアスタッフとして関わった大学4年生の入江彩さんにお話を伺いました。 私は町田市内にある大学で精神保健福祉を学んでる4年生です。昨年の冬に、調布市内の福祉関係団体等が市民主体で行う調布市福祉まつり(以下、福祉まつり)にボランティアスタッフとして参加しました。今回で2回目になります。 3年生の春、大学のゼミの先生が調布市の委員会の委員であったことから、調布市社協の方をご紹介いただきました。 ◆どんどん関心がひろがる 実は、これまでほとんどボランティアの経験がありませんでした。私は川崎市に住んでいますが、調布市社協の方とご縁ができたことで、その地域のことが知りたくなりました。そこで、3年生の秋、調布市で行われた小学生対象のイベントにボランティアとして参加してみました。子ども達やスタッフへ連絡事項を伝える役割となり、慌ただしく1日が過ぎました。地域でこのような活動があることなど、初めて知ることも多かったです。 それからさらに地域での活動に興味が湧いて、幅広い年齢層が参加する福祉まつりにかかわりたいと、社協の方へ連絡を入れました。 ◆自分の行動に変化を感じる 初めて福祉まつりに参加した時、最初は不安と緊張がありました。ですが、大勢の方が話しかけてくれ、だんだんと楽しくなる自分がいました。最後には「自分から来場者へもっと積極的に話しかければよかった。」との思いが残りました。 1回目は受け身でしたが、2回目は気持ちに余裕がありました。自分なりに、あいさつと言葉づかいに気をつけて、初めて会う方に「福祉っていいな」と思ってもらいたいと意識してかかわっていました。子どもや高齢の方へ自分から話しかけられ、スタッフの方の動きを見て、どう手伝えばよいかわかるようになっていきました。 振り返ると、ボランティアをする前と後の自分の変化を感じます。初めての時は、不安や迷いから行動に移せない私がいました。日頃、子どもと接する機会がなかった私は、小さな子どもとの接し方にとまどいました。しかし、担当したドッヂビーの受付で「ドッヂビー、小学校でやったよ」と話しかけられた時に思いました。「考え、まずは行動しよう」と…。気持ちが変化していき、その場に応じて対処し行動できるようになっていきました。 ◆私の中の迷いとその後の道 しかしまだ、私の中では不完全燃焼なところがあります。福祉まつりの体験コーナーで受付担当をしている最中、ある方が困っていたので声かけしたら、恥ずかしがっているように見えました。手助けするか躊躇していると、他のスタッフの方がすぐに解決してくれました。 きっかけは些細ですが、当事者の方が「どうしてほしいのか」という視点に立って考えることで、手助けできることが増えると気づき、もっと自分の視野を広げていきたい、学んでいきたいと思う出来事でした。 大学での病院等での実習では、「その人らしく地域生活が送れるためにはどうしたらいいのか?」と考える機会が多くありました。 自由に家族や友人と会いたい時に会え、生活できる今の私は幸せだと思います。そう感じるからこそ、さまざまな方が「地域で安心して生活するための心の支えになりたい」と思いました。地域にかかわって働きたいと、こんなにハッキリとめざしたい「道」が見えたのは人生の中で初めてのことです。 ◆やりたいことが思いっきりできる ボランティアは、何らかのしばりが無い分、私は思いっきりやりたいことができると感じています。もしボランティア活動を行うなら、初めての時は「どこまでやっていいのか」と不安に感じると思います。それでも、まずは一歩前に出て、チャレンジをしてみてほしいと思います。行動することで、周囲の関係者や自分の考えが影響を受け変わっていった経験から、それはきっと大切なことだと、今の私は強く感じます。