【表紙】 東京都世田谷区 岡さんの家 肌寒い冬のはじまり、 日暮れも足早に訪れる 「いつもの雰囲気、みんながいるだろう」 一軒家へ向かう心はどこか緩やか 自由に賑わう声が家中に響き渡る 【もくじ】 社会福祉NOW 地域に潜在する キーパーソンのいない人たち トピックス 「平成27年9月関東・東北豪雨」災害から 周辺自治体への広域避難について考える 〜茨城県つくば市・つくばみらい市〜 【連載】 社会福祉法人の地域ネットワーク⑦大田区 「おおた福祉ネット」で地域にある福祉の“縁”をむすぶ 〜共通課題の福祉人材対策、そして、エリアごとの取組みへ〜 明日の福祉を切り拓く 「岡さんのいえTOMO」オーナー 東京ボランティア・市民活動センター運営委員 小池良実さん 【NOW】 地域に潜在する キーパーソンのいない人たち 地域に暮らしながら、身近に頼ることのできる家族・親族等(キーパーソン)がいない人たちがいます。 そのような人たちの中には、これまで家族が支えていたものの、 両親や配偶者の高齢化あるいは病気などでバランスが崩れ、深刻化して課題が顕在化することがあります。 今号では、地域包括支援センター、社会福祉協議会の事例から、 そのような人たちへどのように関わっているのかその現状と実践を考えます。 連携した支援で困りごとを サポート   たいとう地域包括支援センター 台東区の人口は約20万人。7か所の地域包括支援センター(以下、包括)があります。たいとう地域包括支援センターの担当エリアには、雑居ビル、タワーマンションなどが多く、転居してきた住人と昔からの住人が入り混じって生活しています。 たいとう地域包括支援センターには医療機関、民生児童委員、地域住民、商店などさまざまなルートで相談が寄せられます。相談には、周囲にキーパーソンがいないため本人の生活課題が深刻化し、緊急を要する状態であることが少なくありません。 例えば、もの忘れがあるひとり暮らしの70代のAさん。未婚で親族と疎遠なため、キーパーソンとなって動ける人がいないケースでした。公共料金等の未払いなど金銭管理ができておらず、包括職員が同行で医療機関を受診すると、認知症と診断されました。そこで、ケアマネジャー、社協、区役所と連携をとりながら、介護保険サービスと社協の地域福祉権利擁護事業を利用することになりました。その後、疎遠だった親族の連絡先が判明したものの、その親族も高齢で積極的な関わりが難しく、施設入所を検討。包括職員の同行で、Aさんは複数の施設を見学し、親族が保証人となって入所に至りました。 このケースでは、各機関が連携することで切れ目のない支援ができました。しかし本来包括では、身元保証や相続に関する問題は対応できません。病院や施設から保証を求められた場合には、本人の状況に応じて適切な制度につなげることになりますが、この事例では動けるキーパーソンがいないため包括職員が随時判断を求められ対応しました。 たいとう地域包括支援センターの向坂修也さんは「キーパーソンのいないケースの場合、緊急性はあっても、あわてて判断せず周りに意見を聞くようにしている。ご本人の意思を尊重し、対応することが大切」と話します。 その人らしく地域で 安心して暮らせる生活支援   足立区社協「権利擁護センターあだち」 キーパーソンのいない人は、入院や施設入所時の対応、死後事務のニーズが高くなります。 足立区の人口は約68万人。高度経済成長期には広大な土地に工場や団地が建ち、多くの人が集まりました。低所得者、生活保護世帯の比率が比較的高いのも特徴です。 足立区社会福祉協議会「権利擁護センターあだち」は、平成17年4月から、社協の独自事業として身寄りのいないひとり暮らしの高齢者が安心して暮らせる生活支援サービス「高齢者あんしん生活支援事業」を開始しました。以前からセンターには、入院や施設入所時の身元保証に関する相談が寄せられていました。これをきっかけに身元保証に準ずるサービス提供について検討し、高齢者自身が終末期まで安心できる人生設計が立てられるように、包括的な相談と具体的な支援サービスに対応することを目的に事業を開始しました。 寄せられる相談の多くは、包括やケアマネジャー経由です。区内25か所の包括に事業を周知しており、包括から社協へ相談が入ります。事業が始まってみると、親族との関係が希薄になっていて、周囲に動けるキーパーソンがいないケースが多くみられました。 利用対象は、区内在住で契約内容を理解できる判断能力のある65歳以上のひとり暮らしの方。「支援可能な親族がいない」「資産が3千万円以下」などの条件があります。利用にあたっては、年会費2千400円を支払い、将来判断能力の低下などにより支払いができなくなった場合の入院費3か月分と火葬代相当として52万円を契約時に預託します。 事業を担当する職員は7人。緊急時に備えて、夜間や休日も携帯電話を交替制で持ちます。利用者へは月1回の電話、半年に1回は訪問し、体調などに変化がないか確認しています。入院した場合は、保証人に準じたお手伝いに加え、希望があれば、日用品の入院セットを病院へ持っていったり、医師による説明の場に同席もします。利用者が亡くなった場合、契約時に作成した公正証書遺言に従い、遺言執行者の司法書士等と連携して葬儀などを行います。これまでに契約したのは約90人。現時点で約60人が継続して利用しています。 初回相談から面談、公正証書遺言を作成し契約するまでに最低約4か月。この契約準備期間は利用者にとって自分の「老いじたく」を考える時間であり、入院時の対応の他に、死後のことについても決めておきます。利用開始後、状況によっては成年後見制度や生活保護へつなげます。 権利擁護センターあだち課長の米村美亜さんは、「この事業ではひとりの利用者を職員2人体制で対応している。地域福祉権利擁護事業も兼務しているため、成年後見制度へ移行が必要なときの判断などノウハウが活かされ、長期利用者へ切れ目のない支援が円滑に行える」と話します。今後の契約者増に応えていく必要があり、そのための人員体制を確保することが課題です。 地域に目配り その人に寄り添った支援   府中市地域包括支援センターあさひ苑 府中市の人口は約25万人。市内に11か所の包括があります。近年、都市部から転入してくる高齢者が増え、介護ニーズの増加が予想されます。 府中市地域包括支援センターあさひ苑の担当エリアには、人口約3万人、高齢者は6千人、うち介護が必要な方は800人、包括がリスト化した見守りが必要な要支援者は200人。常に困りごとが深刻化しないよう目配りしています。同センター長の清野哲男さんは「キーパーソンがいない人は、これまで人とつながらず助けてと言わずに生きてきた人が多い。そのため、支援の入口部分での信頼関係づくりが重要。支援を受けたいと思える気持ちになるよう寄り添いながら対応する必要がある」と話します。 療育手帳の制度は昭和48年から始まり、当時手帳を持つことは任意でした。地域と接点なく暮らす知的障害のある60代のBさんは、両親の意向により療育手帳はなく、比較的裕福な家庭であったことから福祉サービスを利用しないで暮らしていました。しかし、両親の相次ぐ病気で自立した生活が困難な状態となり、民生児童委員の訪問から包括への報告でBさんの存在がわかりました。Bさんにはサポートが必要でしたが、知的障害に加えて高齢となり判断能力が低下し、従前から地域とのつながりがなかったことで信頼関係を結ぶことが難しい状況でした。また、Bさんが自身のおかれている困難な状況がわからないなどの課題もありました。そうした中、包括では何度も訪問を重ね、寄り添いながら病院の受診や必要な支援へつなげました。清野さんは「周囲に気づく人がいて若い時期に相談があったら、Bさんにとってより安心した生活支援のサービスへとつなげられたかもしれない」と話します。 包括には医療機関、薬局、民生児童委員、自治会などからキーパーソンが不在で本人も周囲も困っているケースの相談が寄せられます。そんなとき、現状をきちんと把握し、支援機関につなぐためには、もう一度信頼関係を作り直していかなければなりません。 ●     ●     ● 区部と市部の事例では、共通して「キーパーソンがいない」ことで、周囲が発見したときは深刻化していることがわかります。地域とかかわらず生きてきた人が、住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、包括や社協ならではのノウハウを活かし、多くの関係機関と連携しながら、今後も切れ目のない必要な支援のできる地域づくりが必要です。 たいとう地域包括支援センター 権利擁護センターあだちの相談窓口 足立区社協 「高齢者あんしん生活支援事業」 パンフレットと様式 府中市地域包括支援センター あさひ苑 センター長 清野哲男さん 【トピックス】 「平成27年9月関東・東北豪雨」災害から 周辺自治体への広域避難について考える ◆ 茨城県つくば市・つくばみらい市 平成27年9月9日に上陸した台風18号の影響により、関東や東北地方で記録的な大雨となり、広範囲で浸水被害や土砂崩れが起こりました。甚大な被害を受けた茨城県常総市では市役所も浸水被害を受けました。隣接するつくば市とつくばみらい市は常総市からの要請を受けて、常総市の避難者の受入れを行いました。 ◆つくば市での取組み 発災当時、つくば市内にいる常総市民から「常総市に戻れない」と電話で連絡を受け、状況確認後、避難所を市内に開設することにしました。夏場ということを考慮して、エアコン設備があり、各10名を受入れできる施設を選びました。最終的には、7か所の一般避難所と5か所の福祉避難所を開設しました。 福祉避難所は26年に協定を結んだ民間の福祉施設に開設しました。つくば市保健福祉部社会福祉課係長の木本昌昭さんは「この協定は、他市の住民を受入れることは想定していなかった」と話します。当時開設した福祉避難所には2つの経緯があります。1つは常総市にある福祉施設の要配慮者をつくば市内の同系列福祉施設で受入れたケース。もう1つは、つくば市内の一般避難所にてつくば市の保健師が常総市民の状況を確認し、ハイリスクだと判断したときには、つくば市役所社会福祉課が窓口となって調整し、福祉避難所にて受入れたケースです。後者の経緯から福祉避難所の利用に至ったのは、高齢者が30人、身体障害者1人です。移送は主に福祉避難所の職員や要配慮者の家族が担いました。避難所では相談受付のチラシを掲示するなどして、不安なことは常駐している保健師に相談できるしくみをつくりました。 同市市長公室危機管理課課長補佐の鬼塚宏一さんは、「他市の住民を受入れるにあたってかかる経費は災害救助法の適用になることを事前に内閣府へ確認し、県の指示が出る前から準備をしていた」と振り返ります。当時、被災前に常総市の要配慮者がどのような福祉サービスを利用していたかについて把握できていませんでした。災害救助法との兼ね合いを考慮して、介護保険の「緊急短期入所」に切り替えることを常総市に提案し、対応しました。 「今回の災害は、逃げ遅れて布団の上で亡くなった人がいない。これはしっかり地域の中でコミュニティが築かれていたからこそ」と鬼塚さんは顔が見える関係の重要性を強調します。 ◆つくばみらい市での取組み つくばみらい市は、人的被害はなかったものの、建物等被害は57件にのぼりました。つくばみらい市も、常総市から「避難所が不足しているから避難者を受入れてほしい」と要請を受けました。そこで、つくばみらい市民の受入れ避難所とは別に、常総市民の受入れを想定して「つくばみらい市総合運動公園」と「きらくやまふれあいの丘すこやか福祉館」の2か所で避難所を開設しました。DMAT(災害派遣医療チーム)の医師や保健師のアドバイスからサポートが必要だと判断した避難者は、各避難所で必要な対応をとりました。 つくば市同様、避難者の状況は受入れるまでわかりませんでした。医療体制の確保はDMATなどの医療支援チームが、ほぼ毎日避難所を訪問し、医療的なケアが必要な人へ対応を行っていました。精神的なケアを要する避難者については、保健師がサポートする体制がありましたが、なかには本人の意思により車内で過ごす人もいました。子どもたちへは市内のサッカークラブチームが、サッカーを通じて交流してもらったことが子どもたちの精神的ケアにつながりました。なかには、つくばみらい市社協が呼びかけて集まったボランティアが、避難者の話に対し傾聴してくれる場面もありました。 避難所運営にかかわる職員は昼間に多く配置していました。つくばみらい市総務部安心安全課係長の大久保正道さんは「夜間に体調を崩す人や車上荒らし防止のために見回りを行っていたため、夜間に配置する職員の人数を増やした方が良いという意見もあった」と振り返ります。また、手配した段ボールが届かなかったため、すぐに仕切りを作ることができませんでした。数日経って、仕切り用の段ボールが届き、「きらくやまふれあいの丘すこやか福祉館」でも、避難者に仕切りを作るようにすすめました。しかし、避難者から「避難者同士で仲良くなったので仕切りは必要ない」という声がありました。「仕切りがない分、避難者同士が会話をする機会となり、お互い支えあっていたのだと思う」と同市社協ボランティア市民活動センター長の松尾好明さんは指摘します。家族と離れて避難所生活を送っている避難者もいましたが、「『家族の安否がわかれば良い。一緒の避難所へ移動せずここにいたい』と話す人がいた。それは、ここの避難所の居心地が良いという理由ではなく、別の避難所でのルールや新たな付き合いなどコミュニティが変わることが不安だったのではないかと思う」と同市市民経済部市民サポート課課長の豊嶋千恵子さんは言います。また、同市保健福祉部社会福祉課課長補佐の成嶋均さんは「避難者同士が声をかけ合う雰囲気だったので、職員が気付けない避難者の変化を、避難者に教えてもらうことがあった」と話します。 「きらくやまふれあいの丘すこやか福祉館」には、0歳から92歳まで幅広い世代が避難していました。松尾さんは「避難してきた高齢者は80代が多かった。洗濯機が届く前は洗濯板と桶を使って各自自分で洗濯できるくらいADLがしっかりしていた」と振り返ります。続けて「職員が全て手を差し伸べることが良いわけではない。今後の日常生活を考慮し、避難所でもこれまで通り普段の生活ができるように工夫することが大切」と強調します。 ◆経験をふまえて  「減災対策協議会」を発足 被害が広域にわたる災害では、市内の避難所だけでは避難者を収容できず、市外への避難を行う必要があります。しかし、当時は市町村間で決めごとがなく、初動対応に時間がかかりました。そこで、28年2月に鬼怒川とその隣接する小貝川の下流域の10市町(つくば市、常総市、つくばみらい市、筑西市、八千代町、下妻市、龍ヶ崎市、守谷市、取手市、結城市)と茨城県、国土交通省等で構成する「鬼怒川・小貝川下流域大規模氾濫に関する減災対策協議会」を発足し、減災に取組んでいく方針を決めました。協議会では、市町村間の広域避難について検討しています。これにより事前に避難予定者数の把握や受入れる避難所の開設準備ができるようになります。 ※本号で紹介した事例のさらに詳しい内容は、  本会の「災害に強い福祉」実践ポータルサイトでご覧になれます。 (右から) つくば市市長公室危機管理課 主任 鈴木誉幸さん 課長補佐 鬼塚宏一さん 保健福祉部社会福祉課 係長 木本昌昭さん 國府田悠葵さん (右から) つくばみらい市保健福祉部社会福祉課  課長補佐 成嶋均さん 市民経済部市民サポート課  課長 豊嶋千恵子さん 総務部安心安全課  係長 大久保正道さん つくばみらい市社会福祉協議会  事務局長 浅川昭一さん ボランティア市民活動センター  センター長 松尾好明さん  総務係兼事業係 坂本清貴さん 【マンスリー】2018.10.26-11.25 11/5 「社会福祉住居施設及び生活保護受給者の 日常生活支援の在り方に関する検討会」初会合 厚労省は、「社会福祉住居施設及び生活保護受給者の日常生活支援の在り方に関する検討会」を開催した。6月に公布された改正生活困窮者自立支援法を受け、検討会では社会福祉住居施設(無料低額宿泊事業)の対象範囲や、設備・人員・運営に関する基準の在り方等について有識者からの意見を聴取する。 10/27 世田谷区でセクシュアル・マイノリティ支援者 養成研修講座を開催 世田谷区立男女共同参画センターらぷらすは、当事者団体や関連分野の専門家などを講師に、セクシュアル・マイノリティ支援の基礎を学ぶ研修講座を開催した。 10/31 共働き世帯が6割を超す 都は平成29年度東京都福祉保健基礎調査「東京の子供と家庭」の結果をまとめた。小学生までの子供を養育する両親世帯では、共働き世帯の割合は61.5%。育児休業制度利用割合は父が4.8%、母が36.1%で父母とも前回調査(24年度)と比べ増加した。 11/2 「第38回全国障害者技能競技大会」開催 「第38回全国障害者技能競技大会(アビリンピック)」が沖縄県那覇市で開催された。全国から382名の選手が参加し、「ビルクリーニング」「ワード・プロセッサ」「喫茶サービス」など全22種目で日頃培った技能を互いに競い合った。 11/5 避難行動要支援者名簿の作成等に係る 取組状況の調査結果等を公表 消防庁は、避難行動要支援者名簿の作成等に係る取組状況の調査結果等を公表した。30年6月1日現在、調査対象1,739市町村のうち97.0%が名簿作成済と回答。30年度末までに99.5%が作成済となる予定。また、名簿作成済の市町村のうち、平常時における名簿情報提供先として、民生委員を挙げた市町村が92.5%と最も多かった。 1/16 女性向け「防災コーディネーター研修」開催決定 都は、女性向け「防災コーディネーター研修」を初開催することを発表。避難生活で困りごとを抱える女性や要配慮者の多様なニーズに対応する防災知識やコミュニケーション能力を学ぶ実践的な研修であり、女性のリーダー的人材育成を目的としている。 11/19 「東京都障害者差別解消条例」の 普及啓発パンフレットを作成 都は、「東京都障害者差別解消条例」の施行にあたり、わかりやすく条例の内容を伝えるための「障害者差別解消条例普及啓発パンフレット」を作成した。条例の特徴や、社会の中で見受けられる差別や合理的配慮の提供についての4コマ漫画などを掲載。 11/21 「東京都民生委員・児童委員大会」開催 都と東京都民生児童委員連合会は、「東京都民生委員・児童委員大会」を開催した。大会では、多年にわたり顕著な功績があった民生委員・児童委員の表彰等が行われた。 【連載】 社会福祉法人の地域ネットワーク 連載No.7 平成28年9月に設立した東京都地域公益活動推進協議会は、(1)各法人、(2)地域(区市町村域)の連携、(3)広域(東京都全域)の連携の三層の取組みにより、社会福祉法人による「地域における公益的な取組み(以下、地域公益活動)」を推進しています。東京都地域公益活動推進協議会では、地域ネットワークの立ち上げのための事務費や、複数法人の連携事業開始時期の事業費の助成を行うとともに、地域ネットワーク関係者連絡会等を開催し、他の地域と情報交換できる機会をつくっています。 大田区 「おおた福祉ネット」で 地域にある福祉の“縁”をむすぶ 〜共通課題の福祉人材対策、そして、エリアごとの取組みへ〜 大田区では、平成27年度に区内の法人が集って「大田区社会福祉法人協議会(おおた福祉ネット)」を設立し、複数法人が連携して体験型学習支援などの地域における公益的な取組みを行う「おおたスマイルプロジェクト」の推進、福祉人材の確保・育成・定着をめざした「おおた福祉カレッジ」などに取組んできました。活動から3年を経て、さらなる連携をすすめるべく、「おおた福祉ネット」のパンフレットを一年かけて作成しました。 児童分野の事業に取組んでいる(社福)大洋社では、緊急に対応が必要な数多くの母子を長年にわたって支援してきました。しかし、ふと予防的な視点に立ってみると、『もっと地域に対する取組みが必要なのでは…?』と思い当たりました。そのことを大田区社協へ相談したところ、連携できる法人で一緒に考えていこうということになりました。 そこで、平成27年7月に「区内社会福祉法人による地域公益事業を考えるつどい」を開催し、参加した21法人がさらに「場」を継続していこうとしたのが「大田区社会福祉法人協議会」です。まず取組んだのは、複数の法人が連携して体験型学習支援などの地域における公益的な取組みを行う「おおたスマイルプロジェクト」の推進。この取組みを推進しつつ、ネットワークの趣旨に賛同する法人が増え、今では40法人となり、親しみやすい「おおた福祉ネット」という愛称も付きました。 分野を越え、お互いを知り 得意分野を活かす 事務局を担うのは大田区社協。地域連携係主任の菊地隼人さんは「ネットワークなので、『長』は決めず、フラットな関係であることが特徴」と説明します。運営は5つの幹事法人を決めて行っています。その一つの(社福)有隣協会の大竹伸康さんは「この場があってこそ始まったことはいくつもある。各法人に得意分野はあるが、お互いが近いようで遠い。知ることで視野が広がり、強みを活かせる」と話します。また、(社福)池上長寿園地域包括ケア担当課長の木下篤信さんは「高齢分野ではすでに事業種別や職能団体などの連携は図られているが、地域における公益的な取組みにはやはり分野を越えた連携が必要。自分の法人運営だけで精一杯な法人も少なくない」と話します。 設立から3年。今、重点的に取組んでいることの一つは、福祉人材・確保・育成のプロジェクト「おおた福祉カレッジ」。もう一つは、地域共生社会の実現に向けた取組みをすすめるべく、「おおた福祉ネット」を可視化するパンフレットづくりです。 共通課題である福祉人材対策を 協働する「おおた福祉カレッジ」 大田区でも〝福祉人材〟の確保や定着をめぐる厳しさは各法人の共通課題です。まずは28年度からそれぞれの法人で行っている内部研修を他の法人にも試験的に開放するなど、できることから始めました。そして、29年度には17法人が協働して相談・面接会「ふくしのしごと市」を実施し、152人が参加。30年11月18日にも19法人が参加して2回目を行いました。チラシには「大田区の福祉の仕事にまるごと出会える日」と銘打ち、未経験者や転職希望者、60歳代以上、主婦など、地域の多様な人材を対象としています。子育て世代も来やすいよう、キッズスペースを児童分野の法人が担当する工夫もしています。 大田区社協地域連携係長の福本昌恵さんは「多くの人に福祉への関心を持ってもらいたい。法人のみなさんに固有の人脈があり、社協では思いつかないチラシの配り方も提案された」と話します。「広報」にもこういった各法人が持つ得意分野を活かせることに気づかされます。 また、未経験者に具体的なイメージを持ってもらうため、「ふくしのしごと市」ではテーマを設定して現場で働く人たちのトークセッションを行います。その人選では「シニア世代で誰か話せる人はいる?」「じゃあ、うちで」。これも複数の法人が連携するメリットの一つ。さらに、来てくれた参加者にアンケートを配り、福祉の仕事への不安などを把握し、次なる展開を考える参考にします。 地域を意識するには、 「エリア」が重要 一年かけてようやく完成したパンフレット。(社福)大田幸陽会の勢古勝紀さんは「ネットワークに参加していても、どんな活動ができるかイメージができない法人もある。パンフレットづくりにあたり、幹事法人で手分けして、全法人を訪問しそれぞれの実情を把握した」と話します。 また、おおた福祉ネットでは区内を4つのエリアに分け、各エリアで法人の種別や業種を越え、さらには民生委員やNPOとも連携して「地域共生社会の実現」に取組むことを次なる目標にしています。地域を意識するためにも「エリア」で取組むことは重要です。(社福)大洋社のひまわり苑施設長の近藤真弓さんは「身近な法人がお互いを知ることが大切。おまつりや行事を案内し合うだけでも良い。例えば、高齢者や障害者の施設で子どもとの交流が必要ならば、うちには子どもたちがいるとか」。各法人が持つ力。それは施設や職員の専門性に限りません。利用者たち自身も地域に根差した法人の持つ大きな力なのかもしれません。 (社福)有隣協会の大竹さんは「それぞれの地域にある課題をどう解決するかが重要。そのためには社会福祉法人以外との連携も必要で、それをすすめるうえでも社会福祉法人側のネットワークに何ができるかを明らかにする必要がある」と話します。 広く対外的にも「おおた福祉ネット」を知ってもらうためのパンフレットづくり。そこで、力を借りたのは「プロボノ」です。企業人等の豊富な経験と知識を活かし多様な主体による地域貢献活動を支援する「東京ホームタウンプロジェクト」に手助けしてもらい、語り合った「実現したい思い」をプロボノのコピーライターが形にしてくれました。それは「福祉の現場でいままで手を差し伸べられなかった人にもっと柔軟な支援を提供したい」「思いを法人間でつなぎ、地域の自治会、そしてみなさんへと拡げ、共に福祉に向き合いたい」といった思いです。これも法人だけでは難しいことを市民の力を得て実現できた大きな経験の一つでした。   ◆ 「ネットワークで福祉の〝縁(えん)をむすぶ〟存在となる」。これがパンフレットに謳う「おおた福祉ネット」のミッションです。区全域では共通課題の「福祉人材対策」、そして、4つのエリアごとに「地域共生社会の実現」。〝縁〟をキーワードに、この2つのプロジェクトをすすめていく取組みが始まっています。 多くの人たちに福祉の仕事への関心をもってもらうことを願う 「ふくしのしごと市」 「おおた福祉ネット」幹事法人のみなさん 社会福祉法人 池上長寿園/社会福祉法人 大田幸陽会/社会福祉法人 大洋社 社会福祉法人 有隣協会/社会福祉法人 大田区社会福祉協議会 プロボノの手助けも得ながら 一年かけて丁寧に作成してきた パンフレット 【東社協発】 全国児童養護施設協議会にて、東社協児童部会作成 「自立支援コーディネーター実践報告集 『子どもの未来を拓く〜自立支援コーディネーター30の実践〜』」が 松島賞を受賞しました 松島賞は全国児童養護施設協議会初代会長故松島正儀先生が、「若き従事者の研究奨励のために」と、児童養護施設職員の優れた研究に対して創設されたものであり、今年で41回を迎えました。 平成24年より東京都の独自事業として自立支援強化事業が始まり、「自立支援コーディネーター」は自立支援に関わる専門職として、全国に先駆けて配置されました。そして25年から東社協児童部会にて自立支援コーディネーターグループ(現在は自立支援コーディネーター委員会)を発足し、地域ごとの4ブロックに分かれて時流に即した問題意識を持ち寄り、それぞれのテーマに基づいて、関係機関の見学を行ったり、施設で利用できる書式やツールを作成してきました。 本冊子は自立支援コーディネーターの6年間の取組みと、実践の振り返りにより作成したツールが掲載された4章からなる実践報告集です。自立支援強化事業の成り立ちや概要、ブロック活動の中ですすめてきた研究成果とともに、各自立支援コーディネーターの実践事例の中から、共有しておきたい内容や特徴的な取組みについてピックアップして30の実践を掲載しています。 受賞の際には、「今まさに児童養護施設に強く求められている自立支援を実践するうえでのツールとなり、全国各地で取組まれることにより、子どもの育ち、自立がどの施設においても等しく支えられるものとなることを期待したい」と評価をいただきました。 〈応募受付中〉ゆめ応援ファンド助成 都内におけるボランティア・市民活動の開発・発展を通じて市民社会の創造をめざすために、必要な資金の助成を行います。 ▽対象 1.ボランティア・市民活動団体、2.1の活動を推進している民間非営利団体 ▽助成金額 単年度助成は上限50万円、継続助成は1年につき上限50万円(3年間助成) ▽助成内容 1.学習会・研修会の開催、2.調査・研究の実施、3.器具・器材の開発・購入、4.市民への啓発、5.先駆的・モデル的活動、6.その他 ▽申込方法 募集要項を入手後、申請書に必要事項を記入し送付。申請書は都内のボランティア・市民活動センターやホームページで入手可 ▽申込受付開始 12月14日(金) ▽申込締切 31年1月31日(木)消印有効(持込の場合は17時まで) ▽申込・問合せ先 東京ボランティア・市民活動センター 〒162-0823新宿区神楽河岸1-1 セントラルプラザ10階 電話 03(3235)1171 http://www.tvac.or.jp/news/50283 平成30年度東京都災害福祉広域支援ネットワーク 連携訓練を開催しました 11月20日(火)に、東社協種別部会、都内職能団体、区市町村行政、区市町村社協など、計37団体71名参加のもと、平成30年度東京都災害福祉広域支援ネットワークによる連携訓練を開催しました。 本ネットワークは、東京都内で大規模災害が発生した際に、福祉施設や福祉避難所等へ福祉専門職の応援派遣により被災者支援を行うことを目的に、平時から連携訓練等を通じてしくみの理解や各団体における発災時対応における課題整理等を行っています。 29年度に引き続き実施した今回の訓練では、まず27年に発生した「関東・東北豪雨」災害における福祉施設の水害被害の経緯とその対応について、(社福)築水会 特別養護老人ホーム築水苑の長尾智恵子前施設長から、また、東社協知的発達障害部会における東日本大震災以降の被災地支援活動について、岩田雅利災害対策委員会委員長からそれぞれ報告いただきました。 午後からは、グループに分かれて2つのプログラムを行いました。プログラム1では、福祉施設や福祉避難所における災害時の課題、施設職員や外部の応援派遣職員等の役割や業務内容等について整理しました。プログラム2では、地震の発災を想定し、東社協種別部会、都内職能団体、区市町村行政、区市町村社協の各団体が、福祉専門職の応援派遣を行う、受入れる等の場合において、どのような役割や課題があるのか話合いを行いました。 今回の訓練を通じて、福祉施設が被災した場合の実情と備えるべき課題を学ぶとともに、都内での本ネットワークの取組みを推進するうえで、さまざまな団体の取組み状況や方針の共有、今後に向けた課題理解、顔の見えるつながりをつくる機会となりました。 長尾智恵子さん 岩田雅利さん 【ゆーすけ】 中学生に福祉の魅力を伝えるための ツールを作成したよ ●東社協では、平成28〜30年度の中期計画における重点目標の一つとして、「地域の福祉力を高めるための福祉人材の確保・育成・定着と地域社会の担い手づくり」を掲げています。その目標の実現に向けて、福祉の魅力を伝えることを通じ、「地域にある課題」「その解決に向けた実践」に関心を持つ人材が地域で育つことを推進するため、29年12月から「福祉の魅力可視化プロジェクト」(座長:田園調布学園大学 人間福祉学部 学部長・教授 村井祐一氏)を設置しています。プロジェクトでは、高齢・障害・児童それぞれの福祉施設の職員が、中学生の職場体験の場において福祉の魅力を伝えるためのツールを作成しました。東社協ユースページに掲載しておりますので、アレンジしながらご活用ください。  なお、30年度は本ツールを実際に中学生の職場体験受入れの場で活用し、実践事例を得ながら改訂を行う予定です。 資料例1体験前後の中学生の考えを把握し比較する資料 資料例2体験期間中の課題として提示し関心をもって 体験に関わるように投げかける資料 【明日の福祉】 あなたはあなたのままでいい 岡さんが伝えてくれたこと 小池良実さんは、東京・世田谷区にある「岡さんのいえTOMO」のオーナーとして、子どもからお年寄りまで誰もがホッとできる居場所づくりに取組んでいます。近年その活動は、中高生や児童養護施設の退所者など、若者世代へも広がっています。 Koike Kazumi 小池 良実 「岡さんのいえTOMO」オーナー 大叔母から託された昭和の面影を色濃く残す一軒家を、平成19年に世田谷区地域共生のいえとして地域に開放。「まちのお茶の間」をめざして、世田谷トラストまちづくり大学卒業生をはじめとする仲間とともに運営会議を組織して活動を続け、年間2000人が訪れる地域の居場所として定着している。羽根木プレーパーク元世話人。東京ボランティア・市民活動センター(TVAC)26年度地域の居場所活性化モデル事業検討委員。現TVAC運営委員。 ◆岡さんのいえの誕生 私の大叔母にあたる岡ちとせは、戦後、世田谷区上北沢で近所の子どもたちに英語やピアノを教えていました。私は子どもの頃、大好きな岡さんに会うため、にぎわいのあるこの家にたびたび遊びに来ていました。岡さんはいつも紅茶とケーキで迎えてくれ、笑顔で私の話に耳を傾けてくれました。 私が結婚し出産した頃には岡さんは90歳近くになっていて、そのうちに区内在住の唯一の親族である私が医療や介護の窓口を務めるようになりました。それから6年ほど経った平成18年、岡さんは「この家は私の子どもみたいなものだから、子どもたちや地域のために役立てて」と言い遺し、天に召されました。その遺言に従って始めたのが「岡さんのいえTOMO」です。 水曜日は自由に過ごせる「開いてるデー」、日曜日は囲碁や水彩などの「サンデークラブ」として開けているほか、各種教室やイベントなども行っています。27年からは、世田谷区が実施する中高生対象の居場所「たからばこ」を受託事業者である(公財)児童育成協会とともに週1回開催しています。また、28年からは児童養護施設などの退所者のための食事会「岡’s(おかず)キッチン」を月1回、区から委託を受け、始めました。 ◆児童館の後に寄れる居場所を たからばこには前身となる取組みがあります。24年、「児童館が閉館する18時以降に、中学生がコンビニでたむろしていたら通報されてしまった」という話を近くの児童館から聞きました。当時、岡さんのいえの活動を熱心に手伝ってくれていた学生に「何かできないかねぇ」と相談したら「じゃあ食事会でもやりましょうか」と言ってくれたので、月に1回「岡さんち食堂」を始めることになりました。 ナタを振り下ろすように野菜を切る女の子や、初めて生の肉に触れる男の子など、生活経験の少なさに驚きましたが、世代の違う人たちが集まって夕飯を一緒に作って食べるということが、この家にとても似つかわしい感じがしました。岡さんち食堂は子どもたちの卒業と同時に自然消滅してしまいましたが、その後、区の若者支援担当課とつながるご縁があり、子ども達やボランティアスタッフの大学生の声を聞きながらたからばことして運営しています。 ◆関わってくれたスタッフの思い 当初、大学生ボランティアと私と元プレーワーカーの青年が入り、手探りで始まった中高生の居場所。「小学生までは居場所がある。でも中高生になると行く場所がなくなってしまう」と心を砕いていた彼でしたが病気で急逝。私は、たからばこには彼の命も乗っていると思って取組んでいます。 今は、多くの大学から学生ボランティアを募集し始めて、約1年経ったところです。空中分解の危機は何度もあったのですが、学生や大人などその時々で助けてくださる方がいて、今日があるように感じています。 ◆岡さんだったらどうするか 私が区から2つの事業を受託することを運営会議で報告したとき、メンバーからは「小池さんは福祉に舵を切ったのですか」と言われました。ゆるやかにまちに場をひらくことを岡さんへの恩返しと思ってやってきた私自身は、福祉やまちづくりということをあまり意識しないでやってきました。むしろ岡さんはそういった言葉がない時代からこの町にしっかり根を下ろしていらしたので、「いや、岡さんだったらどうするかなって考えました」と説明したらみんな納得してくれました。 どこの家族にも問題の大小はあっても、誰にも言えないことがあるものではないかと私は思っています。問題を抱えたとき、私は岡さんにたくさんの話を聞いてもらっていました。その岡さんと過ごした時間が今の自分を後押ししてくれています。私はそこで「あなたはあなたのままでいいから」と教えてもらった気がしています。その言葉があってここまで生きて来られたと思っているので、若い世代にその恩を送りたいと思っています。 たからばこは、こちらだけが何かを「やってあげている」という感覚はなく、相互作用で相手からもらっているものもたくさんあります。警戒していた子どもに笑顔が出てきたときは、役に立てているのかなと感じられてうれしいです。中高生に囲まれてご飯を作る機会。それはありそうでない時間なので、私自身、豊かな時をもらっています。 ◆みなさんがやりたいことを 岡さんのいえは、みなさんがどうしたいのかを具現できる場でありたいと思います。私の場ではなく、みんなの場だということを大切にしたい。みんなには、中高生も高齢者も含まれます。私を手伝うのではなく、自分がやっているという実感をみなさんにもっていただけるとうれしい。 「あなたはどうしたいの?」ということを問いかけていって、できることがあれば、じゃあやろうかという姿勢は変えたくないと思っています。でも夕食会でビーフシチューやすき焼きをご希望されても、材料費がかかりすぎるので無理ですよ(笑)。 玄関から室内をうかがうと、親戚の集まりのような温かい雰囲気が感じられる。中高生の居場所たからばこは、「なんでもできる日」や「夕食会」を主なプロブラムとして、子ども達や学生ボランティアの声を聞きながら運営している。 【アンテナ】 助成金 社会福祉事業並びに研究助成 12月27日(木)〜31年1月24日(木)17時必着 開拓的・実験的な社会福祉を目的とする民間の事業(原則として法人)ならびに科学的調査研究(個人・法人いずれも可)。 総額1億円※1件あたりの金額は定めない 所定の申込書一式を郵送 三菱財団事務局 〒100-0005 千代田区丸の内2-3-1 03-3214-5754 http://www.mitsubishi-zaidan.jp/ 杉浦地域医療振興助成 (研究分野・活動分野) 31年1月1日(火)〜2月28日(木) 日本国内で「地域包括ケアの実現」「健康寿命の延伸」に関する研究または活動する個人、団体 1件あたり研究分野は上限300万円、活動分野は上限50万円 所定の応募書類をメール 杉浦記念財団 0562-45-2731 info@sugi-zaidan.jp http://sugi-zaidan.jp 講座・シンポジウム 防災コーディネーター研修 12月25日(火) 【地域生活編】31年1月26日(土)・2月23日(土)【職場編】1月27日(日)・3月2日(土)各日10時〜17時 東京都庁第一本庁舎・NS新宿ビル 各50名 無料 女性防災人材の育成 (1)〜(3)をすべて満たす方(1)都内在住、在勤、在学の女性の方、(2)全2日間参加できる方、(3)防災の基礎知識を身につけている方 所定の申込書を郵送、FAX、メール、ホームページ(要事前申込) 防災コーディネーター研修事務局㈱サイエンスクラフト内 〒102-0085 千代田区六番町13-7中島ビル2F 03-3263-3121 03-3263-3122 tokyobosai_coordinator@scraft.co.jp http://www.bousai.metro.tokyo.jp/tonarigumi/1005416/ 訪問看護フェスティバル 31年1月12日(土)12時50分〜17時 東京都庁第一本庁舎 無料 基調講演「写真が語る、いのちのバトンリレー〜在宅看取りの現場から」、公開座談会、寸劇他 ホームページ、往復はがき、FAX※座席に余裕がある場合当日参加も可 東京都看護協会 〒162-0815 新宿区筑土八幡町4-17 03-5229-1281 03-5229-1524 http://www.tna.or.jp/ 東京都失語症者向け 意思疎通支援者養成事業普及啓発シンポジウム 31年1月13日(日) 1月20日(日)14時〜16時 中野セントラルパークカンファレンスホール 200名 無料 1.動画上映「失語症のある人が困ること」2.パネルディスカッション「失語症とともにいきいきと暮らす」 一般都民 所定の申込書を郵送、FAX、メール(要事前申込) [申込・シンポジウムに関すること]東京都言語聴覚士会 〒164-8512 中野区中野4-1-1中野サンプラザ9階 03-6859-7568 03-5388-1413 shitsugo-shimpo@st-toshikai.org [事業に関すること]東京都福祉保健局障害者施策推進部計画課社会参加推進担当 03-5320-4147 http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/koza/situgosyosimpojiumu.html 高齢者アクティビティ開発センター (1)【アクティビティ・ケア実践フォーラム全国大会】 31年1月13日(日)13時〜16時半、14日(月・祝)10時〜16時 国立オリンピック記念青少年総合センター 300名 【会員】2日間5,000円/1日3,000円【一般】2日間7,000円/1日4,000円【学生】2日間3,000円/1日2,000円 認知症や障害がある方の地域でのいきいきとした暮らしを支援するアクティビティケア (2)【アクティビティ インストラクター資格認定セミナー】 31年1月27日(日)・3月24日(日) 中野サンプラザ 各日70名 8,300円 「心の栄養士」として要介護者のQOL向上を目指すアクティビティケアの基礎知識を1日5時間で学ぶ (1)(2)とも ホームページ、FAX、郵送 芸術と遊び創造協会 高齢者アクティビティ開発センター 〒165-0026 中野区新井2-12-10 03-3387-5461 03-3228-0699 http://aptycare.com/ こうさい療育セミナー 31年1月25日(金) 2月1日(金)9時〜16時 総合福祉センター弘済学園 【一般】終日5,000円/午後のみ3,000円【学生】無料 立場やライフステージの違いを越えて大切にしたいこと〜 FAX、ホームページ 鉄道弘済会 0463-77-3222 0463-77-3225 http://www.kousaikai.or.jp/ 全国障害者生活支援研究セミナー 31年1月25日(金)定員次第締切 2月16日(土)10時〜16時45分、17日(日)9時半〜15時半 川崎市コンベンションホール 300名 【両日とも参加】正会員10,000円/情報会員11,000円/一般12,000円/学生6,000円【1日のみ】正会員6,000円/情報会員6,500円/一般7,000円/学生3,500円 本人中心支援の検証とこれから 郵送またはFAX 京王観光㈱調布支店 〒082-0024 調布市布田3-1-7 042-484-2881 042-484-1321 [主催]全国障害者生活支援研究会 http://support-ken.net/ 【資料ガイド】 施策・会議資料 ■第1回上手な医療のかかり方を広めるための懇談会議事録(厚生労働省/10月) ■第163・164回・165回社会保障審議会介護給付費分科会資料(厚生労働省/10月・11月) ■学校、保育所、認定こども園及び認可外保育施設から市町村又は児童相談所への定期的な情報提供について(文部科学省/10月) ■九都県市「外国人材の受入れ等に向けた環境整備」提言(都生活文化局/11月) ■子ども・子育て会議(第38・39回)資料・動画(内閣府/11月) ■児童虐待死亡ゼロを目指した支援のあり方(都福祉保健局/11月) ■「障害者の雇用を支える連携体制の構築・強化」の改正(文部科学省/11月) ■小・中学校等における病気療養児に対する同時双方向型授業配信を行った場合の指導要録上の出欠の取扱い等について(通知)(文部科学省/11月) ■児童福祉審議会提言「子育て家庭を地域で支える仕組みづくり」(都福祉保健局/11月) ■教育の無償化に関する国と地方の協議(内閣府/11月) ■第5回高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施に関する有識者会議資料(厚生労働省/11月) ■育児・介護休業法について(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html 調査結果 ■青少年地区委員会活動の事例調査(都青少年・治安対策本部/10月) ■東京都子供への虐待の防止等に関する条例(仮称)の基本的な考え方に対する意見募集結果(都福祉保健局/11月) ■子育て支援に関する行政評価・監視−保育施設等の安全対策を中心として−〈結果に基づく勧告〉(総務省/11月) ■平成29年度福祉行政報告例の概況(厚生労働省/11月) ■SNSを活用した教育相談の結果(都教育庁/11月) その他 ■全社協アニュアルレポート(年次報告書)2017-2018(全国社会福祉協議会/10月) ■平成29年度スクールカウンセラー実践活動事例集(文部科学省/11月) 【くらし】 強みも弱みも理解し、 「その人らしく」を 支援する 障害者雇用の働くまでの取組みから就職して働き続けるために 基本となる生活も合わせて支援をしている 「あきる野市障がい者就労・生活支援センターあすく」センター長の 原智彦さんにお話をお伺いしました。 長野県の公立中学校で英語の教員として9年間勤めた後、東京学芸大学で養護学校教諭の免許を取得。平成3年に東京学芸大学附属養護学校へ着任。都立あきる野学園養護学校、都立青峰学園で進路指導を担当し、29年より現職。 ◆英語教員から特別支援学校教員へ 長野県の中学校で英語の教員をしていた私が特別支援学校の教員を志したのは、中学生だったときの担任の先生の影響です。その先生はもともと聾学校の教員で、当時は通常学級の担任をしていました。魅力的で好きでした。先生のすすめもあり、養護学校で一週間授業をしたことがきっかけです。また、私の曾祖母は聴覚障害がありましたが、家族は公にしておらず、子ども心に「変だな」と思っていたことも、根底にあるかもしれません。 特別支援学校の進路担当として20年間、多くの卒業生を送り出しました。退職後は、成人期となった卒業生を支援したいと思い、現在はあきる野市障がい者就労・生活支援センターあすく(以下、あすく)で相談支援をしています。あすくには、個別の相談室やフリースペースがあり開所時間は自由に利用できます。行事もあり、リフレッシュや登録者同士の情報交換の場にもなっています。トラブルがあったときに相談できる場ということだけではなく、日常の中で気軽に立ち寄れて、安心できる居場所をめざしています。 ◆特徴や強みと仕事をマッチング 就労継続支援B型作業所に通っていた20代の人が、一般就労をめざして相談に来ました。その人は、職場内における暗黙の了解や慣習は理解しづらくても、マニュアルがあれば真面目に取組むことができるという強みがありました。仕事内容がわかる写真付きのシートを利用して、どんな仕事が合うか考えました。そしてルールが決まっている品出しの仕事が向いているのではと考え、実習を経て就職しました。会社側がマニュアルを整備してくれたこともあり、本人も自信をもって働き続けています。とても印象的なケースでした。 病気で体が不自由になった60代の人のケースも印象に残っています。接客や調理の仕事の経験がある人だったため、地域の飲食店で実習後、就職しました。その飲食店で若い店員が「●●さんですよね?以前アルバイトしていたお店でやさしく教えてくれましたよね。今度は私が教える番」と話しかけてきました。その店員は以前の勤務先でアルバイトをしていた学生だったのです。地域で働くということはまさにこういうことだと思いました。どこかで会っていたり互いに支えあっているのです。 また、仕事を辞めたいという相談を受けることもあります。もうひと踏ん張りすれば仕事を続けられそうな人には、継続できるよう支援をします。しかし、その仕事を続けると心身の健康を崩してしまいそうな人であれば、離職の調整や手続きの支援をします。続けられないのは本人が悪いのではなく、本人の特徴と仕事内容とのマッチングがうまくいかなかったのだと思います。 福祉制度やサービスが増え、社会の理解もすすみ、障害があっても働ける人が増えてきました。都では30年10月に「東京都障害者差別解消条例」が施行され、合理的配慮の提供が義務付けられました。しかし、漠然と「配慮してほしい」だけでは雇用する側は配慮の方法がわかりません。障害には個別性があります。本人が自己理解を深め、強みと弱みを伝えられれば、会社側も可能な範囲で対応できるのではないでしょうか。 ◆ライフステージに合わせた支援 就労と生活の両面から支援をすることも課題です。出産・育児などのライフイベントや年齢で変化していく生活に合わせて支援も変えていかなくてはいけません。働きたいと思ったそのときに、支援や相談できる場が必要です。 本人も支援者も学びを継続する生涯学習の必要性も感じています。例えばスマートフォンやSNSは便利で多くの人が利用するようになりました。給与明細もWEBで見られるようになりました。時代は常に流れています。学校での学びがゴールではなく、新しい情報を知ることが大切です。地域で生涯学習できる環境があればと、あすくでは講座や勉強会などの取組みを始めています。 障害のある人たちが自分らしくあり、成長し続けられることを、これからも応援したいと思います。 【本】 NEW ふくしのしごとがわかる本 2019年版 福祉の仕事と就職活動ガイドの最新版。(1)福祉分野の求人の現状や傾向、(2)高齢・障害・保育・児童・女性・低所得・地域福祉など各分野の職場や職種・仕事内容、(3)福祉関係の主要資格、(4)就職活動の実際、(5)就職や福祉の仕事に関する情報源など、福祉の仕事に興味・関心がある方に最適な一冊です。 ◆規格 B5判/110頁 ◆発売日 2018.11.28 ◆本体 650円+税 子どもの未来を拓く 自立支援コーディネーター30の実践 児童養護施設の自立支援コーディネーターは、施設入所中の自立に向けた準備から施設退所後のアフターケアに至るまで、総合的な自立支援を担う専門職です。現場における実践はもちろん、東社協児童部会での学習会や研修会、研究活動等を通じて、児童養護施設における自立支援の標準化に向けた取組みを積み重ねてきました。本書はこれまでの到達点と課題を整理した実践報告集です。実践の振り返りに基づいて作成したツールも掲載しています。全国児童養護施設協議会の第41回児童養護施設職員研究奨励賞(松島賞)を受賞しました。 ◆規格 A4判/152頁 ◆発売日 2018.7.19 ◆本体 1,000円+税