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福祉広報 2014年9月 669号 テキストデータ

【もくじ】


社会福祉NOW

「差別」と「合理的配慮」
障害者差別解消法の施行に向けて

平成25年6月に障害者差別解消法が成立し、
差別的取扱いの禁止と合理的配慮を
行うよう求められています。今号では、
差別解消法への当事者の見解や
自治体での条例づくりを紹介します。


トピックス
●気づきあい、育ちあう地域づくりをめざして
●特別支援教育における
 学校生活支援ファイルの活用

地域の「みまもり」と「居場所づくり」⑥
●テンミリオンハウス 花時計

福祉職が語る
●全国社会就労センター協議会顧問
 斎藤公生さん


新潟県 佐渡市
日本海佐渡沖、推進800m以深の深層水で育った
紅ズワイガニ。身に甘みがあり、水分が多いのが特徴だ。
茹でたては新鮮で旨すぎ、笑顔がこぼれる。

 

【NOW】

「差別」と「合理的配慮」
障害者差別解消法の
施行に向けて


2014年1月、
日本は「障害者の権利に関する条約」を
批准しました。この条約は障害に関する
あらゆる差別を禁止するとともに、
必要な配慮の提供を求めています。
日本は2007年に署名しましたが、
障害者差別解消法の成立など、
必要な国内法の準備に時間がかかり、
ようやく140番目の批准国になりました。
今号では、障害者差別解消法への
当事者の見解や、自治体での条例づくりを
紹介します。


平成25年6月に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(以下、差別解消法)が成立しました(表1)。この法律は、障害者基本法に則り、第4条の基本原則である「差別の禁止」の規定を具体化するため、表2のように行政機関及び民間事業者に不当な差別的取扱いを禁止し、障害者に対し、「合理的配慮」を行うように求めています。「合理的配慮」とは、例えば、車いすの方が乗り物に乗る時に手助けすることや、窓口で障害のある方の特性に応じたコミュニケーション手段(筆談、読み上げなど)で対応することなどが挙げられます。
ようやく日本でも
障害者の権利が認められた

DPI(障害者インターナショナル)日本会議事務局長の佐藤聡さんは、差別解消法ができたことについて、「ようやく日本でも障害者の権利が認められた。法を知ってもらうことで差別を未然に防止することができる」と話します。佐藤さん自身も差別と感じた経験がありました。お昼時に車イスで中華料理屋に入店した際、お店の人から「今は混んでいるから入らないで。14時以降にきてください」と言われました。佐藤さんは入店を拒否されたので差別だと思いましたが、お店側は「14時以降なら入ってもいいと言っているから差別ではない」と話します。何が差別かという差別の定義(共通の物差し)が定まっていないため、溝は埋まりませんでした。今後、内閣府による差別解消の基本方針、各省庁がまとめるガイドラインにより、どのようなケースが差別にあたるのかを明確にする予定です。
また、差別解消法の課題について佐藤さんは「直接差別の禁止と合理的配慮の不提供の2類型にとどまったことは課題」と指摘します。内閣府の差別禁止部会の議論では、直接差別の禁止と合理的配慮の不提供の他に、「間接差別」と「関連差別」が挙げられていました。「間接差別」とは、一見中立の基準ですが、障害者を排除する結果をもたらす、あるいはもたらす可能性のある差別です。例えば、職員募集をする際に「自力通勤・自力勤務が出来る者」とし、そうでない人を排除してしまうことです。「関連差別」とは、障害に関連する事由を理由とする区別、排除、制限又はその他の不利益取扱です。例えば、盲導犬を連れてお店に入ろうとしたら入店を断られてしまったケースです。国の議論では、現時点では間接差別と関連差別を一律に判断することが難しく、今後まとめる基本方針等で事例を示すとしています。
障害はその人の一部分

東京都知的障害者育成会理事の中野雅義さんは、差別解消法ができたことについて、「障害を理由に差別してはいけないだけでなく、障害がある人に対して、必要な配慮をしないことが差別とされたのは画期的」と話します。そして、「これまでは障害があるというだけで差別や偏見を受けてきた。法ができたことで、障害がある人への観念的な想いに変化があることを期待したい」と話します。障害がない人も背が高かったり低かったり、得意なことや苦手なことなど、色々な要素を持っています。障害がある人も、得意なことや苦手なことがあり、その一つとして障害があります。「障害があるという一部分だけでその人を否定するのではなく、その人全てを見て理解して欲しい」と中野さんは話します。
知的障害者施設があるのが
当たり前な地域

中野さんは知的障害がある人を知ってもらうため、施設がある駒込地域において、福祉講座等で住民向けに話をしています。知的障害者のことを伝えるとともに、「誰もが歳を取れば身体が思うように動かなくなり、認知症等の障害を抱えるようになる。駒込地域は知的障害者の施設を受け入れているのだから、認知症等になっても『お互い様ですよ』と言える安心して暮らしていける地域」と話しています。どんな障害があっても安心して暮らせる地域づくりを目指しています。
また、豊島区立駒込生活実習所では、就労することが困難な生活介護を受けている方に対しても、本人がしたいこと、できること、得意なことを見つけて支援しています。できないことは他の利用者と分担したり、職員がサポートすることで「仕事の成果」を生み出しています。例えば、フェルト生地を手で丸めるのが得意な方がいました。丸めたフェルト生地を材料に、職員がサポートし犬のキーホルダーを作りました。すぐに売り切れてしまうほど人気です。中野さんは「障害を持つ人も健常者と同じように仕事を通じて社会に貢献したいと思っているだろう。仕事をしたい、社会と接したいと意欲を感じてもらえるよう、作ったものが売れたことを伝えている」と話します。
福祉現場では、障害がある方が生活しやすいよう配慮を行ったうえで、その人が持つ想いやニーズを丁寧に把握し、寄り添って支援することが大切です。
当事者の声を踏まえた条例づくり

差別解消法では、それぞれの地域で差別の解消をすすめるため、障害者差別解消支援地域協議会を組織できることとしています。差別解消法が成立する以前から、各地の自治体では差別解消の条例づくりが先行しています。
さいたま市では平成23年3月に「さいたま市誰もが共に暮らすための障害者の権利の擁護等に関する条例」を策定しました。条例をつくるまでに、障害のある人の取り巻く環境を把握するため、差別と思われる521事例を収集しました。事例には「統合失調症の子を持つ親が、娘の妊娠を確認するために産婦人科へ行った際、『このような病気を持った方はウチでは無理です』と診療を拒否された」「幼稚園で合唱発表時に、障害のために問題があるから困ると参加させてもらえなかった」などがありました。
また、当事者を含む公募の市民を募り、条例について話し合う「100人委員会」を設置しました。短期間に11回も開催し、延べ727名が参加しました。さいたま市保健福祉局福祉部障害福祉課ノーマライゼーション推進係の川松茂晃さんは「100人委員会を設置したことで、障害種別を超えて一つのテーブルで話し合えた。種別ごとに抱えるニーズの違いを共有できた」と話します。例えば、車イス利用者にとっては平坦な道が通りやすいですが、視覚障害者にとっては真っ平な道だと手がかりなく歩くのに苦労するなど、抱える課題によって配慮が変わってくるのです。その結果、「○○障害では」なく「障害者としては」という共通した立場で議論ができました。
差別を受けていると
認識していない方へ届けるために

さいたま市では、差別が起きたときに相談する窓口や対応の仕組みを整えましたが、相談や通報は年間10ケースにも満たない状況です。川松さんは「差別がなくなったわけではない。役所等のそれぞれの課で対応できているケースもあるが、相談しても良いということが伝わっていなかったり、そもそも自分が差別を受けているということを認識していない方もいるのではないか」と指摘します。先ほどの障害を理由に診療を拒否された事例のように、差別が長期間続くと、当たり前だと感じてしまい、声をあげることをしなくなります。さいたま市では、条例の理念を広く周知するため、わかりやすくまとめたパンフレットを作成し、小学校に配布したり、地元のJリーグチーム等のイベントを通して伝えています。
●    ●    ●
差別解消法が成立したことがゴールではなく、これからがスタートです。福祉関係者は、差別や合理的配慮の理解を広めるとともに、差別的な扱いを受けている人がいればエンパワメントし、自分で伝えられない人には、その困りごとを代弁することが求められています。

佐藤 聡さん
DPI(障害者インターナショナル)
日本会議 事務局長

中野 雅義さん
東京都知的障害者育成会理事
豊島区立駒込福祉作業所・
駒込生活実習所 施設長

 

表1 「障害者の権利に関する条約」成立までの取組み

2006年12月
2007年9月
2011年8月
2012年6月
2013年6月
2014年1月

国連総会で障害者の権利に関する条約が採択
日本が条約に署名
障害者基本法が改正
障害者総合支援法が成立
障害者差別解消法が成立、障害者雇用促進法が改正
日本が障害者の権利に関する条約を締結(世界で140番目)

 

表2
障害者差別解消法の
ポイント

不当な差別的取扱い

障害者への合理的配慮


国の行政機関・
地方公共団体等

禁止

不当な差別的取扱いが
禁止されます

法的
義務

障害者に対し、合理的配
慮を行わなければなりま
せん。


民間事業者(※)
※民間事業者には、個人事
 業者、NPO等の非営利事
 業者も含みます。

禁止

不当な差別的取扱いが
禁止されます。

努力
義務

障害者に対し、合理的配
慮を行うよう努めなけれ
ばなりません。

利用者が作成した
キーホルダー


さいたま市
誰もが共に暮らすための
障害者の権利の擁護等に
関する条例(簡明版)

 

 

【トピックス】

気づきあい、育ちあう地域づくり
をめざして


練馬区社協が
シンポジウム
を開催


都内で地域福祉コーディネーターやコミュニティソーシャルワーカーを配置する社協は7か所。その一つの練馬区社協は、平成23年度から豊玉地区と光が丘地区をモデル地区として地域福祉コーディネーターを配置しています。その3年間の活動を報告するとともに、地域社会の危機感を共有してこれからの地域づくりを考えるべく、8月8日にシンポジウム「つながりのある地域をつくる」を開催し、地域づくりに関心のある区民150人が参加しました。
都市部こそ今後急激にすすむ高齢化
シンポジウムの冒頭、練馬区社協の地域福祉活動計画策定・推進評価委員会委員長の森本佳樹さん(立教大学教授)が基調講演を行いました。森本さんは「日本社会は人口の減少が推計され、今後、50年間で高齢化率は40%近くまで上昇する。団塊の世代が全て75歳以上となる2025年は間近に迫っている。高齢者の人口が今でも多い地方は緩やかに高齢化がすすむ一方、若いと言われてきた都市部はこれから75歳以上の人口が急速に増える。相当に危機感をもって今から対策を始めないと間に合わない」と警鐘を鳴らします。そして、これを解決するためには、①自助(予防や自立支援)、②互助(関係性の再構築)、③共助(社会保険等)、④公助(税等)の「のびしろ」から考えても、「自助と互助をどのように高めるかが大きな課題」とし、「住民は『やらされる』のではなく、自分たちの住んでいるところで主体的にすすめていくことが重要」と話しました。
この課題提起を受けて、同委員会副委員長の明星マサさん(つくりっこの家理事)は、自らの経験と実践をふり返り、「地域で暮らす住民同士、どのような課題を抱える人であっても、まずは一人の地域住民と捉えて、知り合うことが大切」と話します。当事者を課題のあるサービスの受け手としてのみ捉えるのではなく、一緒に創り出す担い手という視点です。これが互助を高めていく上で極めて重要となります。そして、明星さんは「社協の言う『地域福祉』は分野を超えたもの。そこにつながりの限りない可能性があるので注目している。どのような課題を抱えている人でも住民と考え、一緒に作っていく、そんな練馬区社協に期待している」と話しました。
つながりのある地域をめざして
豊玉地区と光が丘地区からは、それぞれ住民と地域福祉コーディネーターが取組んできた実践を報告しました。
豊玉地区の練馬アーケード商店会会長の山村晴彦さんは、商店会を拠点にした住民活動を紹介し、「地域で活動する人たちが新たに知り合い、課題を共有することが大切」と話しました。地域福祉コーディネーターが地域の関係者の集まりに足を運ぶことで作ってきた関係者懇談会の場が課題をみんなで考える場へと育ってきました。そして、山村さんは、その取組みを関係者に限らず、「近所の人たちが集い、気軽に話し合えるまち」へと発展させていく必要性を強調しました。
光が丘地区では実際にあった「孤立死」をきっかけに「孤立」を自分たちの課題ととらえ直し、自分たちにできることを話し合うことを重ね、「『孤立死ゼロ』をめざす冊子」を作成しました。光が丘地区連合協議会副会長の高原進さんはそれを活用し、「顔の見える関係づくりを地道にすすめ、日常的に話し合うしくみを作っていきたい。地域福祉コーディネーターは、気軽な地域の相談役。地域に投げかけをしてくれて、地域と行政のつなぎ役となっている」と話しました。
いずれの地区も、活動そのものがゴールではなく、地域の住民のつながりの輪を広げて地域の課題そのものを解決していくことが問われています。

人口71万人の練馬区でそれぞれの地域につながりをあまねく作っていくのは極めて壮大です。地域福祉コーディネーターを配置していない石神井地区でも、社協の運営する障害者作業所の利用者が近隣の小学校の新一年生の下校時間に合わせて散歩して子どもの安全・安心を守る活動が生まれています。大泉地区では、区の地域振興課が地域活動支援拠点を設けて、地域の魅力ある情報を発信しながら、地域の人たちが集まる場を作っています。
行政や専門機関のサービスが不足しているから住民がそれを補うのではなく、住民のつながりに意義があるからこそ、つながりのある地域づくりが今、大切になっています。

練馬区におけるさまざまな拠点

 

特別支援教育における
学校生活支援ファイルの活用


8月25日
研修会開催

平成19年の改正学校教育法の施行に伴い、特別支援教育が法的に位置づけられ、全ての学校において障害を持つ幼児・児童・生徒の自立や社会参加に向けた教育がすすめられています。
東京都教育委員会では特別支援教育について、乳幼児期から学校卒業後まで一貫性ある支援を行うため、「個別の教育支援計画充実事業」等を実施してきました。そのためのツールのひとつとして「個別の教育支援計画」が用いられてきましたが、平成28年度からは名称を「学校生活支援シート」と改め、書式の見直しや、新たに「学校生活支援ファイル」の導入も予定されています。
そのような中、学校生活支援ファイルの活用について、都内の特別支援学校等が主体となって、特別支援教育に携わる教職員・福祉関係者を対象とした研修会が東京で開催されました。
学校生活支援ファイルの導入
はじめに、東京都教育庁指導部特別支援学校教育担当課長の山本優氏から、学校生活支援シートと学校生活支援ファイルについての説明がありました。
現在、個別の教育支援を行う上で問題とされているのは、進級や進学のたびに支援の連続性が途切れてしまうことです。学校生活支援シートでは、指導による児童の変化や有効な支援のあり方等、より進級・進学時の引継ぎを意識した書式に見直しが行われました。このシートについて、山本氏は「『つながり』と『安心』を意識して、現場で活用してほしい」と話しました。
学校生活支援ファイルについては、この学校生活支援シートに加え、「就学支援シート」「個別移行支援計画」等を一冊にまとめ、児童・生徒への一貫性ある支援に活用しようという取組みです。山本氏は「情報共有のしくみを作ることで、学校だけではなく、医療や福祉等、関係機関との連携をすすめることができる」と話しました。
「教育と福祉の連携」
長野県での一貫した支援の実践
次に、日本相談支援専門員協会副代表の福岡寿氏が、長野県中野市で実施している障害児支援の取組みを中心に、講演を行いました。
中野市では、特に乳幼児期から就学期にかけての移行支援に力を入れています。関係機関がチームを結成し、保護者の障害受容に向けた相談や、個別支援計画を活用した引継ぎ等を行っているのです。支援を行ううえで大切なことは、保護者や障害児本人を不安にさせないことだと福岡氏は強調します。「障害児の家族と関係機関がそれぞれ個別につながる『扇形の支援』では、支援のあり方に統一性がなく、保護者にも不信感を与えてしまう。障害児本人を軸に、家族や学校、事業所などの関係機関が連携し、一貫性ある支援を継続して行う『輪型の支援』が必要だ」と福岡氏は話しました。
本人を尊重した、『つなぐ』支援を
最後に参加者による意見交換の時間が設けられ、「学校だけではなく、地域の支援機関と連携できるような支援シートの作成が必要ではないか」、「支援シートの情報に頼りすぎて、本人との関係づくりが疎かにならないか心配だ」など、様々な意見が出されました。
学校を卒業した後の社会生活も見据え、これからも障害者本人の意思を尊重できるような、障害者支援の取組みをすすめていく必要があります。

 

 

【マンスリー】

広島土砂災害、
死者72人

●8月20日に発生した広島土砂災害では、局地的な短時間大雨により、安佐北区、安佐南区の住宅地後背の山が崩れ、同時多発的に大規模な土石流が発生した。8月28日までに死者72人、行方不明者4人となり、約1,300人が避難生活を続けている。8月19日に「安佐南区災害ボランティアセンター」「安佐北区災害ボランティアセンター」が設置され、被災者支援ボランティア活動に対応している。             (8/20)


●平成27年度介護保険制度改正の内容示される
●厚生労働省は、全国介護保険担当課長会議を開催し、27年度施行の介護保険制度改正について、要支援者への予防給付が地域支援事業へ移行されることや、介護予防・日常生活支援総合事業のガイドラインが示された。       (7/28)
●学童保育利用者、93万人で過去最高
●全国学童保育連絡協議会は、学童保育所を利用する児童は93万3535人(5月1日現在)で、前年より4万4782人増え、過去最高を更新したと発表した。施設も461カ所増えて2万2千96カ所となった。             (7/28)
●児童虐待、過去最多を更新
●厚生労働省は、児童相談所が2013年度、児童虐待の相談や通報を受けて対応した件数が7万3765件であるという速報値を発表した。統計を取り始めた1990年度以降最多を更新した。 (8/4)
●HIV感染者の4割が離職や転職を経験
●厚生労働省研究班の調査によると、HIV感染者の4割が離職や転職を経験していることがわかった。就労者の8割近くが職場で病名を知られることに不安を感じていた。また、薬や治療の効果が向上していることも判明。       (8/8)
●介護職員の離職率下がり、16.6%に
●介護労働安定センターが実施した介護労働実態調査によると、2012年10月からの1年間の介護職員・訪問介護員の離職率が16.6%で、昨年度より0.4%下がったことがわかった。厚生労働省は全産業平均の15%程度に下げることを目標としている。              (8/11)
●刑務所出所者の雇用主に奨励金
●法務省は、出所者を雇った協力雇用主に対し、1年間で最大72万円(出所者1人当たり)の奨励金を支給する制度を来年4月から始める方針。無職出所者の再犯率は就職している出所者の4倍に上るため再犯防止が目的。      (8/18)
●ギャンブル依存症、536万人に
●厚生労働省の研究班は、ギャンブル依存症の人が536万人に上るとの推計を初めて発表した。IT依存の傾向がある成人は421万人(5年前から約1.5倍)。アルコール依存症の人は109万人。
              (8/20)

 

【連載】

住民同士が共にはぐくむ
居場所づくり   テンミリオンハウス「花時計」の取組み


最終回では、
世代間交流型の
「居場所」として武蔵野市にある
テンミリオンハウス「花時計」をご紹介します。
「花時計」は武蔵野市が独自に取り組む
「テンミリオンハウス事業」(※)の補助を受け、
住民主体で高齢者向けのミニデイサービスや
乳幼児親子向けのひろば、児童向けの講座などを
行っています。地域に住む高齢者も子どもも
楽しめる居場所づくりをしてきた「花時計」は
今年で10年目を迎えています。


テンミリオンハウス「花時計」は世代を超えて楽しく過ごせる地域の居場所として、住宅地の一角にある一軒家で活動しています。玄関前には色とりどりの花が植えられていて、家の中に入ると子どもを連れたお母さんたちとお年寄りたちが一緒にリビングで講座を受けていました。隣の和室ではお母さんたちが寛ぎながら談笑して、二階の「るーぷる」は子どもたちが元気に遊べる空間となっています。
花時計では、体操や健康麻雀、手芸などの様々な講座を毎日行っています。市内在住の65歳以上で、自分自身で通える高齢者と乳幼児親子は誰でも無料で利用ができ、1日平均で高齢者は20名、乳幼児親子は10組ほど訪れています。また、児童向けに日本の伝統文化を学べる茶道や筝曲、手芸の講座もあります。スタッフの手作りケーキを楽しめる喫茶は誰でも利用できるようになっています。

テンミリオンハウス事業に挑戦
花時計は地元の小学校のPTAで出会った主婦たちの「やってみよう」という挑戦からはじまりました。「花時計」施設長の石嶋さんは、「運営団体である『ゆう3(ゆうスリー)』は、PTAで出会ったメンバーで作られたグループで、当時から料理サークル等の活動をしている。子育てがひと段落してからも地域で何かしたいという思いがあった」と話します。
メンバーは子育てをしながらヘルパーの資格を取得したり、地域の活動に参加してきましたが、武蔵野市がテンミリオンハウス事業の運営団体を募集していることを知り、「これまで積み重ねてきたお互いの強みを生かし、世代を超えて住民が集える居場所づくりをやってみようという気持ちで応募した。申請書類の準備から運営にいたるまで分からないことはいっぱいあったが、既に始まっていたテンミリオンハウスを見学させてもらったり、研修に参加して情報を集めたり、話し合いを重ねながら、なんとか『花時計』始めることができた」と石嶋さんは話します。

利用者からスタッフへ、
講師から利用者へ
石嶋さんをはじめスタッフのチームワークで続けてきた花時計の10年間は、利用者や地域の住民によっても支えられてきました。
「これまで利用者だったお母さんたちから、今度は花時計に関わりたいと言っていただき、今はアルバイトとして調理を担当してもらっている。また、ボランティアとして関わって下さる方もいる。講座の講師も『お手伝いしたい』と言って下さる住民の方にお願いしている」と花時計スタッフの久守さんは話します。さらに、講師が別の講座に利用者として参加し、他の利用者と交流することもあります。このように利用者とサービス提供者という垣根を越えて、「花時計で何かしたい」という気持ちを大切にして一緒に居場所を育んできました。

地域の
さまざまな関係者と
連携して
もう一つの柱として、地域の関係者との連携があります。テンミリオンハウス事業では、武蔵野市民社協が起業・運営支援を武蔵野市からの委託で行っています。住民にとって立ち上げから運営まで様々なハードルがあるため、社協は事業の企画や内容の相談、スタッフ研修、運営団体同士の交流をする代表者会議の開催など、安定した運営が行えるよう支援をしています。
「社協の担当者はテンミリオンハウスのスタッフ会議に参加して利用者に関する話を聞き、個別対応の検討をすることもある。在宅介護支援センターとテンミリオンハウスの情報交換会では、社協、民生委員、地域社協も参加して協力するしくみもある」と武蔵野市民社協の林さんは話します。また、会議の場だけでなく、テンミリオンハウスのイベントに一緒に参加し、スタッフや利用者と交流することもあります。花時計では在宅介護支援センターや地域社協と共催でイベントや高齢者サロンを開催しています。このような地域にある福祉関係者の連携がテンミリオンハウス事業を支えています。

住民として「共に助けあう」
「花時計では、高齢者も乳幼児親子も地域の方も昼食を一緒にとってもらっている。同じ家の中で世代を超えた交流をもつことは、核家族世帯の方や一人暮らしの高齢者にとっても大事な時間になっていると思う」と石嶋さんは話します。
他に行くところがないと話す高齢者や一人で来た子連れのお母さんにスタッフが声をかけると、会話が生まれ、利用者同士の交流もはじまります。道端で会うと挨拶したり、しばらく講座に来ない人を心配して電話をしたりと、花時計をきっかけに地域住民として互いに見まもり合うつながりも生まれています。
石嶋さんは「最近感じる変化としては、花時計の活動も10年経ち、長く利用してきた方の年齢が高くなり、対応を考えていく必要がある。そして、新しいマンションなどの建設やお母さんたちの口コミで乳幼児親子の利用が増えてきた。また、児童の講座に来ていた小学生も今は中高生になり、今後ボランティアで関わってもらえるよう、季節の便りを送って活動の紹介をしている」と話します。
これからも地域や利用者の様々な変化に応じながら、人と人のつながりを大切にした世代を超えた居場所づくりを続けていきます。

今回は住民が主体となり、行政の支援のもと福祉関係者と連携し、地域の細かなニーズに応じた居場所づくりの取組みを紹介しました。
本連載では6回にわたり、地域の困りごとを発見し、解決につなぐための機能を持つ「みまもり」と「居場所づくり」に焦点をあて、専門機関と住民が協働して取組んでいる地域づくりの実践を取り上げてきました。
地域のもつ資源や規模は多様ですが、ご紹介したそれぞれの活動や工夫が、皆様の取組みのご参考となれば幸いです。


※テンミリオンハウス事業
武蔵野市が介護保険制度のスタートに伴い、1999年から地域での見守りや社会とのつながりが必要な高齢者等の生活を総合的に支援している事業。地域の福祉団体や地域住民が、年間1,000万円(テンミリオン)を上限とした市の補助を得て、デイサービスやショートステイなど施設ごとに特色ある事業を展開している。現在、市内に7か所ある。


Kazuko Ishijima
石嶋和子(中央)
テンミリオンハウス「花時計」施設長

Emiko Hisamori
久守江美子(左)
テンミリオンハウス「花時計」スタッフ

Junichiro Hayashi
林純一郎(右)
武蔵野市民社会福祉協議会


講座の様子
庭を使って遊ぶ親子の様子
多世代で一緒に過ごす昼食の様子


利用者たちが折った折鶴で作成された
花時計の看板(折鶴ウェルカムボード)

テンミリオンハウス
「花時計」
運営主体:ゆう3(ゆうスリー)
設立:2005年3月10日
スタッフ:7名、アルバイト6名
利用日/時間:月曜日~金曜日(10時~16時)

 

 

【部会】

医療部会

福祉医療で
地域を
支えます

医療部会は、「無料・低額診療事業」を行う病院・診療所(34ケ所)と老人保健施設(11ケ所)で構成されている部会です。
病院・診療所については、社会福祉法第2条第3項第9号に「生計困難者のために無料または低額な料金で診療を行う事業」と規定され、老人保健施設については、同項第10号に「生計困難者に対して無料又は低額な費用で介護保険法に規定する介護老人保健施設を利用させる事業」と規定されています。経済的理由によって適切な医療や介護サービスを受けることができない人々を対象に、負担を軽減して、医療や介護サービスを受けていただいています。
MSW分科会、医事研究会、老人保健施設分科会の3つがあります。MSW分科会は、経済的理由で医療を受けられない人々への相談業務の研修や困難事例の解決方法の研究などを行っており、最近ではホームレスを支援する団体に協力するなどの活動もしてきました。
医事研究会は、医療制度、診療報酬や公費制度などの研究・研修によって、会員施設の医療施設としての活動を支援し、また「無料・低額診療事業」の実績調査などによって広報資料の提供などもしています。老人保健施設分科会は、高齢化社会での無料低額利用事業の在り方などの研究・検討をする分科会です。
近年では、社会の変遷に応じて、従来の被保護者やホームレスだけでなく、人身取引被害者、DV被害者、医療を受けられないで困っている外国人など、広く生計困難者一般を対象とすることが求められており、多様な相談に広く応えられるように東京都社会福祉協議会「医療相談室」を設置し対応しております。
今後は、地域包括ケアにおける医療・介護の提供、社会貢献活動における医療・介護の提供といった点で、地域社会から「無料・低額診療事業」・「無料・低額利用事業」が利用されるように部会活動を展開してまいります。

〈次回は在宅サービス部会です〉

 

 

【東社協発】

福祉の仕事の悩み、
まずは相談してみてください

※両相談窓口の対象は、都内の福祉施設・事業所で働いている方です。ゆっくりお話をうかがいます。一緒に問題の整理をして解決の糸口を探していきましょう。

東京都福祉人材センターでは、都内の福祉職場で働く方々のための悩み相談をお受けする窓口を7月25日から開設しました。
仕事のモヤモヤ、この先のモヤモヤ、こころのモヤモヤ、まずは何でも相談してみて下さい。相談は無料です。

福祉職場で働くあなたのための
福祉のしごとなんでも相談
○仕事の悩み、職場の悩み、将来の悩み
【電話】03(5212)5513
【相談受付時間・予約受付時間】
平日10時~17時30分
会って相談していただくこともできます。福祉の仕事にくわしい専門の相談員がお話をうかがいます。
【相談場所】・東京都福祉人材センター(予約優先)・東京都福祉人材センター多摩支所(要予約)


福祉職場で働くあなたのための
こころスッキリ相談
○話を聞いてほしいなどこころの相談
【電話】0120(981)134 フリーダイヤル
【相談受付時間・予約受付時間】
毎日9時~22時(年末年始を除く)
15分程度の電話相談は24時間受付
会って相談していただくこともできます。臨床心理士・産業カウンセラー等の相談員がお話をうかがいます(外部機関に委託)。

詳細は
東京都福祉人材センターホームページ
をご覧ください。
http://
tcsw.cmskit.jp/jinzai/index.html
東京都福祉人材センター 検索

 

第29回
食事サービスを考える
つどいを開催します


東京食事サービス連絡会では、10月11日に第29回「食事サービスを考えるつどい」を開催します。皆さまのご参加をお待ちしています。
【テーマ】「市民が参加する、在宅支援の食事サービスとは」
【日時】10月11日(土)10時40分~16時
【場所】セントラルプラザ12階
【内容】①講義「市民が担う食事サービスの意義」野村知子氏(桜美林大学健康福祉学群教授)、②講義「制度改正の動向について」内藤佳津雄氏(日本大学文理学部教授)、③事例報告「市民参加による、在宅支援支援の食事サービスとは」報告者‥調布ゆうあい福祉公社、NPO地域ケアネットワーク ゆいまーる 講師‥山崎美貴子(東京ボランティア・市民活動センター所長)
【参加費】 2000円(資料代・お弁当込)
【問合せ】東京ボランティア・市民活動センター
電話 03(3235)1171
http://www.tvac.or.jp/

 

【囲み1】

 今年も介護現場におけるさまざまな取り組みを発表する場として、"アクティブ福祉in東京"を開催します。日々の介護現場での取組み・実践、施設、個人、グループでの研究成果などを発表する学会形式の研究大会です。ポスター発表も行います。

第9回高齢者福祉研究大会
アクティブ福祉 in 東京’14


●日   程 平成26年9月30日(火)9:20~17:00
●会   場 京王プラザホテル 新宿
●参加対象 高齢者福祉に関心のある方
●定   員 1400名程度

●プログラム

◇シンポジウム
 「語ってもらおう!日本の介護
        ~広がる海外からの介護人材~」

介護現場では、今や外国人介護士は共に働く仲間となっています。「どうして日本で働こうと思ったの?」「介護の仕事の魅力、やりがいって?」など、外国人介護士の方々に率直に語ってもらうことで、日本の介護現場の魅力を新たな視点で見つめ直します。

◇81題におよぶ口演発表
◇12題のポスター発表
◇福祉職場の情報コーナーの設置
◇福祉機器等展示コーナーの設置

●参 加 費 一人6000円(学生500円)
●申込み方法 指定の参加申込書でお申込みください。当日参加も可。
東社協東京都高齢者福祉施設協議会ホームページから
ダウンロード。
http://www.tcsw.tvac.or.jp/bukai/kourei/index.html
●申込み先 株式会社アイフィス アクティブ福祉in東京'14係(担当:久保田・玉城)
〒112-0005 文京区水道2-10-13
TEL:03-5395-1202 FAX:03-5395-1207
●主   催 社会福祉法人東京都社会福祉協議会
東京都高齢者福祉施設協議会
「アクティブ福祉in東京’14」実行委員会
●開催内容に関する問合せ先
東京都社会福祉協議会 福祉部 高齢担当
TEL:03-3268-7172 FAX:03-3268-0635
E-mail:kourei@tcsw.tvac.or.jp

 

【囲み2】

平成26年広島県大雨災害
義援金のお知らせ

平成26年8月19日からの大雨災害により被害を受けた被災者への援護の一助として、広島県では以下の通り義援金を受け付けています。皆様の温かいご支援をよろしくお願いいたします。

受付方法
〇口座振込み(口座振込手数料は免除)
・口座名義:日本赤十字社広島県支部長
      藤田 雄山
 広島銀行 大手町支店
 普通 3392929
 もみじ銀行 鷹野橋支店
 普通 3020105
 広島信用金庫 鷹野橋千田支店
 普通 0451631
・口座名義:社会福祉法人広島県共同募金会
 広島銀行 三川町支店
 普通 0620947
 広島県信用農業協同組合連合会 本所
 普通 0004791
〇郵便振替(手数料免除)
通信欄「平成26年大雨災害」と記入
・口座名義:広島県共同募金会
     (広島県大雨災害義援金)
 ゆうちょ銀行
 00920-5-234852
受付期間
平成26年8月22日~12月26日

※詳しくは広島県のホームページで
 ご確認ください。

 

【資料ガイド】

施策・会議資料
●『平成25年度障害者の職業紹介状況等』(厚生労働省/5月/URL http://
www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000045834.html)
●『第5回社会保障審議会介護給付費分科会介護報酬改定検証・研究委員会資料』(厚生労働省/7月/URL http://
wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=201301)
●『第1回子育て支援員(仮称)研修制度に関する検討会資料』(厚生労働省/8月/URL http://wwwhaisin.mhlw.
go.jp/mhlw/C/?c=201797)
調査結果
●『不登校に関する実態調査~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~』(文部科学省/7月/URL http://www.
mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1349949.htm)
 今後の不登校生徒への支援策の参考とするため、平成18年度に不登校だった生徒の5年後の状況等についての追跡調査。
●『有料老人ホームを対象とした指導状況等のフォローアップ調査(第5回)』(厚生労働省/7月/URL http://www.
mhlw.go.jp/stf/houdou/0000049905.html)
 老人福祉法で施設名称や管理者などを届け出ることを義務付けられている有料老人ホームに該当しながら、届出が行われていない施設の、届出や指導の状況について、都道府県からの報告内容をまとめたもの。また、前払金の保全措置の実施状況についてもあわせて調査した。
●『地方公共団体の障害者職員採用試験調査結果』(障害者欠格条項をなくす会/6月/URL http://www.dpi-japan.org/friend/restrict/shiryo/digest_20140625.pdf)
 障害者差別解消法、改正障害者雇用促進法の2016年度施行を見据え、「試験の共通的なあり方」を明らかにするために、2013年度、都道府県・指定都市・中核都市について、試験案内と受験申込書の記述内容を調査。
その他
●『区市町村職員・地域包括センター職員必携 高齢者の権利擁護と虐待対応お役立ち帳』(公益財団法人東京都福祉保健財団/6月/URL http://www.
fukushizaidan.jp/htm/014kenri/
kenri_shiryo.html)
 区市町村職員・地域包括支援センター職員の地域支援事業における権利擁護業務、特に高齢者虐待対応・防止業務に活用するため、ポイントをテーマ別に整理し、まとめた資料集。

 

 

【福祉職】

福祉的就労と
二人三脚の55年間


全国社会就労センター協議会
顧問
斎藤公生
Kosei Saito

3歳の時北海道で小児マヒに罹患し、両下肢、左半身に障害を持つ。昭和34年、授産施設に利用者として入所し、39年に東京リハビリ協会の前身の開設に派遣される。51年に(社福)東京リハビリ協会設立専務理事、54年に理事長に就任(現・理事)。この間、東社協に都授産施設連絡会を設立し、全国社会就労センター協議会会長、日本セルプセンター会長、全社協理事、東社協理事、厚生労働省社会保障審議会・障害者部会委員等を務める。

28歳で入所授産施設の経営に参画
私が3歳の時、住んでいた北海道の人口5千人弱の農村で小児マヒが大流行しました。8名の幼児が罹患し、私も両足、左手、左聴覚、左視覚に障害を持つ身となりました。
高校卒業時は就職氷河期で、障害にあう職場がなく、やむなく身障者入所授産施設に入所しました。当時は就職できない身障者向けの入所授産施設の民間委託制度が法制化され、北海道には大型の先進的な授産施設が多くありました。
私が入所して4年目に、経営者の知人が東京に授産施設をつくることになり、私も職員として事業に加わりました。昭和39年の東京オリンピック・パラリンピックの年に、東京リハビリ協会の前身である無認可施設が稲城市に開設されました。パラリンピック選手村で使用する寝具リネンの契約を東京都と締結し、多くの病院等との契約も順調に進みましたが、開業3年目で開設者の努力も空しく、経営が破綻してしまいました。債権者の意向で、私も28歳にして経営に参画することとなり、以後、10年近く債権者と協力し、債務の返済と障害者従事者の職場維持に一意専心に取組みました。その結果、昭和52年に厚生大臣の認可施設として、身障者入所授産施設を開設することができました。また、立川市の要請のもと、市有地の提供や助成金をいただき、身体・知的障害者の授産施設を立川市に開設しました。
全国初!入所施設廃止に取組む
平成7年、稲城市の身障者入所授産施設の老朽化に伴う施設建替が始まり、「入所施設廃止」の検討に入りました。
契機は、昭和50年の国連総会で障害者の権利条約が採択され、その中に「障害者は人間として同年齢の市民と同一の基本的権利を有する」という一節が盛り込まれたことです。「障害者であるというだけで、なぜ他人と同室で365日寝食を共にしなければならないのか?」私も昭和34年に利用者として他人と寮生活を送った経験があり、長年疑問を抱いてきた問題でした。まさに「異常」な生活環境を変えたかったのです。
所得、住居、生活支援への取り組み
ひと口に寮を廃止し町中で生活すると言っても、現実には「所得保障」、「住居問題」、「生活支援」等、大きな壁が幾重にも立ちはだかりました。特に、対象利用者40名中30名は障害程度が「第1種」の重度者で、生活維持のための所得保障(工賃)確保の手段が最大の懸案事項でした。
商品として評価される品質を保ち、一定の生産能力を確保するシステムを徹底的に研究しました。出した結論は「機械化をもって障害をカバーする作業所づくり」でした。その結果、年収は1人平均115万円となり、障害年金等と合算して200万円台の確保に成功しました。
住居の確保に関しては、障害者に対する住民の誤解や偏見が根強く、全員の住まいが決まるまでに1年を要するなど、困難を極めました。
生活の課題は、今まで衣食住の多くの面で職員の支援を得ていた利用者が、日常生活を1人で送れるのかということでした。それを見極めるため、4LDKのマンションを借上げ、生活訓練を行ないました。結果として、全員が新居に移転した後、3人の職員による支援があれば自立した生活ができると判断しました。
移転後、思わぬ出来事がありました。8名の方が結婚したのです。もし今も寮生活を送っていたなら、結婚することもなく、職員に依存する生活から脱却できなかったでしょう。
今、彼らが幾多の困難を克服し、障害を物ともせず、自立生活を堅持する姿を見て、障害者就労支援のあり方と、福祉事業に携わる経営者や職員の、責任の重さと職業の奥深さを改めて感じます。
さて、現在最も心を痛めているのは、雇用に繋がらない障害者に対する、福祉制度による就労の場の確保と地域生活に誘導する施策がないことです。障害者総合支援法の就労継続支援B型の根本的な制度改善をすすめ、1人でも多くの重度障害者が自立生活に移行できるよう、寮廃止の経験をふまえて取組む所存です。

 

 

【図書ガイド】

【いちおし 受験対策本】
▽夏が終わって、本格的に始まる受験勉強。 筒井書房のいちおし受験対策本はこちら。

①新必携社会福祉士 共通科目専門科目2015/4,104円/大変長らくお待たせ致しました。創刊から20年の信頼の書。『必携』で合格を掴み取りましょう。
②らくらく暗記マスター 社会福祉士国家試験/1,512円/重要ポイントを“覚える学習”をお手伝いする一冊。着実な得点アップにつながる暗記のための参考書。精神保健福祉士版(1,728円)も。
③社会福祉士国家試験模擬問題集2015/3,672円/出題基準や過去問の出題傾向を徹底分析して作問した450問を収載。確実な実力を身につけることができる、受験者必携の一冊です。精神保健福祉士版(3,024円)も。
④らくらく突破 社会福祉士 試験によくでる問題集2015/2,786円/直近の過去問で、試験の傾向を確認。平成25年度・第26回試験の問題と解答・解説を収録しています。
⑤介護・福祉職のための医学用語辞典/2,808円/介護・福祉の現場で必要な1200の医学用語について、介護上の留意点・観察のポイントを加えて解説。現場の実務書、資格取得の参考書として幅広く利用が可能。

【社会福祉士受験対策講座】
▽第27回試験対策講座のご案内。

試験日までの受験勉強の進め方は?
苦手な科目の克服法は?
どんな参考書を買ったらいいの?
……毎年大好評の講師が、この時期必要な基礎力(=基礎的な知識)を身につけることを目指した講座を開催。
人気講座のため毎回定員がオーバーします。お申し込みはお早めに。
お気軽にお電話ください。

 

 

【アンテナ】

助成金

社会福祉事業研究開発
基金助成事業

申込締切 9月30日必着 助成対象 一般助成:社会福祉に関する民間の事業で、先駆的・開発的活動研究に従事する個人及び団体。また、原則①具体的で応用可能な内容を有する企画であること②公的補助、他の民間機関からの助成と重複しないこと③備品購入費、設備・整備費のみに充当されるものでないこと 特別助成:日本国内において、対応が急務となっている下記社会課題に関する民間の支援事業を対象とする。①精神障害者及びダウン症者②児童虐待防止③ホームレス問題④更生保護の活動⑤認知症 助成金額 一般助成:上限40万円(1件1団体あたり)総額500万円、特別助成:上限70万円(1件1団体あたり)総額1,500万円申込方法 申込用紙・添付資料を郵送 申込・問合せ先 社会福祉事業研究開発基金助成申込係 〒100-8233 千代田区丸の内1-4-1三井住友信託銀行株式会社年金企画部業務チーム気付
・03(6256)3581
http://www.shakyo.or.jp/sponsor/130731_2.html


講座・シンポジウム

社会福祉実践家のための臨床理論・技術研修会

日時 10月18日 場所明治学院大学白金キャンパス 定員 ワークショップB:20名、C:30名。その他は定員なし 参加対象 社会福祉の実践活動を行っている方(基調講演はどなたでも。先着順) 参加費 基調講演とワークショップ:3,000円、基調講演のみ:1,000円 内容 基調講演:「いきいきとゆたかな実践を続けるために―ソーシャルワーカーのためのメンタルヘルス基礎講座―」講師:天笠崇氏(代々木病院精神科医)、ワークショップ…A「自分を育てる」コーディネーター:明治学院大学新保美香氏 B「チーム(職場)を育てる」コーディネーター:明治学院大学八木原律子氏 C「地域を育てる」講師:コミュニティ・オーガナイジング・ジャパン理事小田川華子氏、コーディネーター:明治学院大学榊原美樹氏 申込方法 メール・FAX・電話にて申込 申込・問合せ先 明治学院大学社会学部付属研究所
・03(5421)5204・5205
03(5421)5205
issw@soc.meijigakuin.ac.jp

身近な人の、身近な問題
DVを知って
DVをなくす

申込締切 9月12日消印有効 日時 9月23日 場所 昭島市公民館1階小ホール定員 150名 内容 ①「DVって?~被害者とその子供をサポートするために~」講師:西山さつき氏(NPO法人レジリエンス副代表)②「被害を受けた方への支援のしくみ」講師:東京ウィメンズプラザ職員 申込方法 ホームページ・FAX・メールより申込 申込・問合せ先 東京ウィメンズプラザ事業推進係
・03(5467)1980 03(5467)1977
wkoza@tokyo-womens-plaza.metro.tokyo.jp
http://www.tokyo-womens
-plaza.metro.tokyo.jp/conte
nts/seminar_140923.html

精神医学のカルテ

日時 9月28日、10月4日 場所 成城ホール4階定員 50名 参加費 一般:1講座3,800円、全4講座12,000円/学生割引及び職場団体割引(5名以上):1講座1,800円、全4講座6,000円/学校団体割引(5名以上):1講座1,700円、全4講座5,800円 内容 9月28日12:30~14:30「パニックや不安をどう考えればいいのか~クリニックでの臨床現場から~」講師:石川憲彦氏(児童精神科医)、14:50~16:50「ネット社会を浮遊する若者たち~消費型オタクと表現型オタク他~」講師:関正樹氏(児童精神科医)、10月4日12:30~14:30「新しいうつ病をどう考えていくのか~非定型化とはなにか~」講師:滝川一廣氏(児童精神科医)、14:50~16:50「人格障害論の実像~『境界例化』と『脱境界例化』~」講師:高岡健氏(児童精神科医) 申込方法 申込用紙を郵便・FAX・メールにて送付 申込・問合せ先 日本子どもソーシャルワーク協会事務局
・03(5727)2133 03(3416)6994
swkoza@jcsw.jp
http://www.jcsw.jp/

がんの患者や家族の
こころのケア

日時 9月20日 場所 東京ボランティア・市民活動センター 定員 40名 内容 精神腫瘍科に関すること、日本の病院の現状や問題点、患者の心の状態が治療方法選択等の意思決定に及ぼす影響等について。講師:大西秀樹氏(医師・埼玉医科大学国際医療センター精神腫瘍科教授) 問合せ先患者の権利オンブズマン
・03(5363)2052
http://kanjakenri.com/

地域居住による
生活困窮者支援

日時 10月13日 場所 東医健保会館 参加費 1,000円 内容 基調講演:「地域生活支援の新しい戦略~困窮化と高齢化への包括的対応~」宮本太郎氏(中央大学法学部教授)、パネルディスカッション:〈パネリスト〉園田眞理子氏(明治大学理工学部教授)、宮島俊彦氏(元・厚生労働省老健局長/岡山大学客員教授)、宮本太郎氏(同上)、滝脇憲氏(自立支援センターふるさとの会常務理事)〈コーディネーター〉高橋紘士氏(国際医療福祉大学大学院教授/高齢者住宅在団理事長/支援付き住宅推進会議共同代表)申込方法 FAX又はメールで 申込・問合せ先 自立支援センターふるさとの会事務局
・03(3876)8150 03(3876)7950
info@hurusatonokai.jp


その他

第12回
読売福祉文化賞募集

申込締切 9月30日 参加対象 ①公益性のある創造的な事業で、ハンディを持つ方や地域の人々に元気を与え、ネットワークを広げている②個人又は団体が生き生きとした活動の場を持てる支援や企画を実践している③福祉の現場において、多様な文化の向上に尽くしている④明確なテーマを持って、目覚ましい実績をあげ、将来も継続、発展が期待できる 内容21世紀にふさわしい福祉活動に取り組んでいる団体等を顕彰(12月に読売新聞紙上やホームページで発表、表彰式を行う予定) 応募方法 申請書に必要事項を記入の上、郵送 応募・問合せ先 読売光と愛の事業団・読売福祉文化賞事務局 〒100-8055(住所不要)
・03(3217)3473
http://www.yomiuri-hikari.
or.jp

西脇基金
チャリティー
コンサート

日時 9月30日 場所 なかのZERO大ホール 参加費 前売:自由席3,000円、指定席3,500円、当日:自由席3,500円 内容 出演者:富岳太鼓、STUDIOHANA 申込・問合せ先 西脇基金を支える会
・03(3256)3674

ロゴス点字図書館
チャリティ
映画会

日時 10月9日 場所なかのZERO大ホール 入場料 2,000円 内容 『わが母の記』視覚障害者用音声ガイド付き上映 申込・問合せ先ぶどうの木ロゴス点字図書館
・03(5632)4428 03(5632)4454

第11回
ゴールド
コンサート

日時 10月13日 場所東京国際フォーラムホールC 参加費 ゴールドシート指定(特典付)8,000円、SS席指定4,000円、S席指定3,500円、A席自由2,000円(高校生以下無料)、車椅子席指定2,000円 申込方法 チケットぴあ 申込・問合せ先 日本バリアフリー協会ゴールドコンサート事務局
・03(5215)1485 03(5215)1735

 

【くらし】


ありのままの自分を見せる
それが私の向き合い方

統合失調症と向き合いながら、
高齢者在宅サービスセンターあすなろみんなの家で、
介護職員として働く渡邉浩さん。
働きだして6年半、ほとんど欠勤もなく
働き続ける渡邉さんのお話を伺いました。


やっぱり人と接したい
私は、「接客業がしたい」という思いからホテルの専門学校に通い、卒業後、タイのバンコクにあるホテルに就職しました。しかし、慣れない土地で働く中で、統合失調症を発症しました。仕事を辞め、しばらく自宅で静養した後、まずはリサイクル洗びんセンターで5年働きました。洗びんセンターで働きながらホームヘルパー2級の資格を取りました。自分の中で「やっぱり人と接する仕事がしたい」という気持ちがあって、平成20年1月から現在の「あすなろみんなの家」で週5日の非正規職員として働かせてもらうことになりました。少しずつ勤務時間を延ばしていって、今は毎日9時~18時で働いています。
●利用者さんやスタッフに
 支えられながら
介護職員として働いてみて思うこの仕事のやりがいは、自分がしたことが直接相手から返ってくるところです。「ありがとう」と言ってもらえるととても嬉しいし、やる気も出ます。先日、利用者さんから「渡邉さんのお嫁さんに良さそうな人を紹介したい」と言われました。びっくりしましたが、自分が働いている姿を見て、信頼してくれているからこそ紹介しようとしてくれたことは、とても嬉しいと思いました。
逆に、難しいと思うのは、利用者さん一人ひとりの特性を知るために相手の生活に踏み込んで話をすることが必要なところです。ホテルの仕事の時は、お客さんの生活に踏み込むことはなく、あくまでお客さんとして距離感を保っていたけれど、介護の仕事では、この人は左耳が聞こえづらいから右側から話さないといけないとか、普段家ではこんな生活をしているとか、それぞれの利用者さんをよく知ろうとしなければならないからです。
それから、レクリエーション活動の時に利用者さんの前に立ってやることが苦手です。でも、難しいことは周りのスタッフに対して正直に言うようにしています。そうすると周りもわかってくれて、代わりに前に立ってくれるので、私は裏方にまわってできることをします。そんな風にフォローしてくれる周りのスタッフには感謝しています。
●ありのままの自分を見せる
この障害と向き合うためには、早寝早起きをし、しっかりと食事をして生活リズムを整えることが一番大事です。私は両親と暮らしているので、家族の理解とサポートもとても大きいです。それから、人に対しては職場と一緒でありままの自分をオープンに見せるようにしています。隠そうとして自分を閉じていると罪悪感を感じてしまうので、医師からも「オープンでいる方が渡邉さんに合っている」と言われています。仕事以外のプライベートの時間では、趣味のフォークギターでビートルズなど洋楽の曲を弾くなどして過ごしています。
●正社員をめざしたい
今後の目標は、「正社員として働くこと」です。どんな仕事でも真面目に働くので、正社員になりたいです。介護の仕事でなれれば嬉しいのですが、正社員となると統合失調症のこともあるのでなかなか難しいです。働きながらフォークリフトの免許を取得したので、それを活かしたい気持ちもあります。そういう私の考えを、施設長の今さんも応援してくれますし、「できる限り長くここで働いてほしいと思っているよ」とも言ってくれています。
だから、ここで働いている限りは、これからも真面目に働いていきます。

話しやすい雰囲気と
優しい笑顔が
印象的です


入浴後の
利用者さんの
髪を整える
渡邊さん

 

 

【新刊】

全国介護保険
担当課長会議資料
(平成26年7月28日 厚生労働省)

●この資料は「全国介護保険担当課長会議(厚生労働省・平成26年7月28日)」で配布された資料を複製したものです。
◆規格 A4判/392頁
◆定価 1,620円 (税込み)


社会福祉法人制度の
在り方について

●この資料は「社会福祉法人の在り方等に関する検討会(厚生労働省・平成26年7月4日)」でまとめられた報告書を複製したものです。
◆規格 A4判/42頁
◆定価 324円 (税込み)


東京都における介護サービスの
苦情相談白書 平成26年版
―平成25年度実績―

●平成25年4月から平成26年3月までの1年間に都内区市町村、東京都、東京都国保連に寄せられた苦情相談等の事例を調査し、その結果を取りまとめました。
発行:東京都国民健康保険団体連合会
◆規格 A4判/235頁
◆定価 1,000円 (税込み)

月刊「福祉広報」

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