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福祉広報 2014年10月 670号 テキストデータ

【もくじ】


社会福祉NOW

社会的養護における
家庭的養護の推進と課題

虐待などの理由で親と暮らすことが
難しい児童を、家庭的で
安定した環境で育てられるようすすめる
家庭的養護の現状と課題を考えます。


トピックス

●介護保険制度改正を見据えた
 生活支援サービス推進セミナー

個別ケースからしくみづくりへ①
●豊島区民社会福祉協議会

み~つけた
●育みの家 フェアリーランド仲町台

徳島県 美馬市脇町
町並保存で全国的に有名な脇町は、
交通量も少なく伝統的建築物も、
子どもにとっては格好の遊び場だ。

 

 

 

【NOW】

社会的養護における
家庭的養護の推進と課題

 

保護者がいない、
虐待を受けた等の理由で
社会的養護を必要とする児童は、
東京都だけで約4千人と発表されています。
これらの児童について、都は可能な限り
家庭的で安定した環境で育てることができるよう、
「フレンドホーム」、「ほっとファミリー」等、
家庭的養護制度の活用をすすめています。
今号では、児童養護施設 調布学園の
取組みを交え、家庭的養護の現状と
課題を検討します。


日本における社会的養護の対象児童は、平成26年3月時点で約4万6千人と発表されています。その9割近くが児童養護施設等の施設養護の環境で育てられていますが、海外に目を向けると、施設養護より、里親制度等を活用した家庭的養護が主流となっている国が少なくありません。要保護児童の里親等への委託率は、オーストラリアで93・5%、イギリスで71・7%、韓国で43・6%となっており*、現在15%前後の日本と比べて家庭的養護の環境が整っていると言えます(*厚生労働省「社会的養護の現状について(平成26年3月版)」、各国数値は平成22年前後の状況)。
このような状況もふまえ、国は施設の小規模化や里親制度等の家庭的養護の推進に取組んでいます。
東京都による養育里親制度
「ほっとファミリー」の推進

里親制度とは、家庭での養育が受けられない、もしくは困難である児童を、理解のある温かい家庭で養育するために運用されている制度です。厚労省はその主な意義について、「①特定の大人との愛着関係の下で養育されることにより、自己の存在を受け入れられているという安心感の中で、自己肯定感を育むとともに、人との関係において不可欠な、基本的信頼感を獲得することができる、②里親家庭において、適切な家庭生活を体験する中で、家族それぞれのライフサイクルにおけるありようを学び、将来、家庭生活を築く上でのモデルとすることが期待できる、③家庭生活の中で人との適切な関係の取り方を学んだり、身近な地域社会の中で、必要な社会性を養うとともに、豊かな生活経験を通じて生活技術を獲得することができる」ことをあげ、その推進を掲げています。
東京都でも、平成26年度までに家庭的養護の割合を35%まで引き上げるという目標を掲げ、里親制度の活用をすすめています。里親には養子縁組を目的とせずに一定期間児童を養育する養育里親、専門的なケアを必要とする児童を一定期間養育する専門里親、両親の死亡等により3親等内の親族が児童を引き取る親族里親、養子縁組を目的とした養子縁組里親の4種類があります。東京都は養育里親を「ほっとファミリー」という愛称で呼び、普及をはかっていますが、その責任の重さや、里親のなり手の不足などから、平成26年3月末現在、東京都での適用児童はわずか338人と、都に占める社会的養護全体の1割未満に留まっています。
「フレンドホーム」の積極的な活用

そこで家庭的養護の観点から効果が期待がされているのが、児童養護施設で生活する児童を数日間一般家庭で預かる「フレンドホーム」制度です。
この「フレンドホーム」の制度を積極的に活用しているのが、児童養護施設 調布学園です。調布学園では現在88名の児童が生活しており、職員の杉浦準一さんは、児童には可能な限りこのフレンドホームを活用して、家庭のあたたかい雰囲気を体験してほしいと話します。フレンドホームの意義について、杉浦さんは「児童養護施設で生活する児童の多くは、安定した家庭生活を経験してきていない。児童養護施設では衣食住に困ることはないし、施設の職員も愛情をもって児童に接している。しかし、児童ひとりひとりを特別な存在として扱うことにはどうしても限界がある。フレンドホームを利用することで、家庭で『たったひとりの特別な存在』として愛情をそそがれるという経験は、児童の自己肯定感や、他者との信頼構築に欠かせない」と、その重要性を強調します。
主任職員の石井義久さんはフレンドホームを活用した印象的な事例として、調布学園で生活していた男子の経験をあげました。小学生の時、預かり先のフレンドホームでいうことを聞かず、叱られたその男子は、「叱ってくれるということは、自分のことをちゃんと見てくれているということなんだ」と気づき、自分が周囲に支えられて生きていることを強く意識したといいます。このように、フレンドホームを活用することは、児童にとって社会への扉を大きく開くきっかけになるのです。
孤立する里親への支援が課題

一方、里親制度の普及について、里親支援専門相談員も務める杉浦さんは「ただ『里親になってください』と呼びかけるだけでは、養育家庭制度は社会に広まっていかない」と指摘します。里親支援専門相談員の主な役割は、里親と施設や地域をつなぎ、包括的な支援を行うことです。里親制度の活用がすすまない理由として、杉浦さんは対象児童の抱える問題の複雑化を指摘しました。現在、児童養護施設に入所している児童のうち、半数以上が虐待を受けた経験があります。また、軽度な発達障害および知的障害を持つ児童も多く、養育する里親は児童の事情を理解し、正しい知識をもって対応することが必要です。杉浦さんは、「委託児童の疾患によって夜中も目を離せず、文字通り24時間必死に児童の世話をする里親もいる。肉体的にも、精神的にも限界」と、その難しさを語ります。
養育家庭であるために周囲の理解が得られず、問題を抱え込み、孤立化してしまう里親の例もあります。最悪の場合、里子への虐待に発展してしまう可能性もあります。「愛情があれば乗り越えられる、という精神論だけでは限界がある。里親同士の研修の充実や、施設での相談事業、里親同士の交流会、見守り体制の構築など、関係機関や地域全体で児童を育てるようなしくみが不可欠だ」と石井さんが指摘するように、孤立しがちな里親への包括的な支援体制が求められています。
制度の普及啓発にとどまらない、
包括的な家庭的養護の推進を

また、家庭的な環境を整えるため、国は児童養護施設の小規模化をすすめていますが、多くの施設では業務に見合う職員の数と質が確保できないという厳しい現実に直面しています。石井さんは、「児童養護施設で暮らす児童はそれぞれ複雑な事情を抱えており、その養育は決して容易なことではない。施設の職員には、豊富な知識と経験という、高い専門性が必要になる。ところが、児童養護施設で働こうという人が少ない上、職員の離職率は非常に高い。職員が安定して働ける制度や環境を早急に整備しなければ、施設の小規模化どころか、児童の健全な養育という、そもそもの施設の役割を完遂することも難しい」と話しました。これらの課題を解決するためには、労働環境の改善や賃金の確保はもちろんのこと、児童養護施設に関する正しい理解を広めていかなければなりません。
全国的にも、家庭的養護の割合を増やそうという取組みはすすんでいます。福岡市では行政と市民が協働して里親を支える地域のネットワークづくりをすすめており、里親委託率は、平成23年度末までの6年間で、6・9%から27・9%へと急伸しました。大分県でも、里親委託の成功体験を職員で共有したり、説明会の積極的な開催をすすめた結果、里親委託率は7・4%から25・1%へと3倍以上に増加しました。東京都でも少しずつ家庭的養護の割合は増加していますが、未だ多くの児童が施設で暮らさざるを得ない状況に大きな変化はありません。
社会的養護を必要とする児童が、安定した環境でしあわせに過ごし、臆することなく社会へはばたいていくことのできる制度の構築と、それを支えるしくみづくりが求められています。


調布学園の子どもたちの様子

フレンドホームを積極的に活用する調布学園外観

東京都の里親制度の利用状況
東京都の社会的養護の現状

東京都福祉保健局「東京都の社会的養護の現状」より
H26年3月現在

 

 

 

【トピックス】

介護保険制度改正を見据えた
生活支援サービス推進セミナー

全国
社会福祉協議会
が主催


平成27年度から介護保険制度は大きく変わることが予定されています。とくに、要支援者へのサービスは現在の介護保険サービスに加え、多様な主体による生活支援サービスが加わります。制度改正を見据え、全国社会福祉協議会は「生活支援サービス推進セミナー~新たな地域支援事業における住民主体の助け合い活動の役割と課題~」を開催し、全国各地から約300名が参加しました。
介護保険を使って地域づくりを
はじめに、厚生労働省老健局振興課長の高橋謙司さんが介護保険制度改正の内容について説明しました。今回の制度改正の大きなポイントは、要支援者への予防給付(訪問介護・通所介護)を区市町村が取組む地域支援事業に平成29年度末までに移行させることです。現在の介護事業所による既存サービスに加え、NPO・住民ボランティア・協同組合・社会福祉法人・民間企業等による多様なサービスが提供できる仕組みとなります。地域の支え合いにより、家事援助やサロン、配食や見守り、移動支援などが想定されています。多様なサービスを開発し、連携させるため生活支援コーディネーターを区市町村区域、中学校区域に配置します。これらは介護保険制度内のサービスであり、財源構成も変わりません。高橋課長は「介護保険制度を使って地域づくりをすすめて欲しい」と話しました。その他の改正については、特別養護老人ホームの新規入所者を要介護3以上に限定、一定以上の所得がある利用者の自己負担を2割に、低所得者の保険料軽減を7割まで拡大することなどが示されています。
地域のつながりを
取り戻すチャンス
つづいて、「助け合い活動の現状と今度の取組み」と題した7つの事例報告を行いました。事例報告をした1つのNPO法人はなのいえは、赤ちゃんからお年寄りまで、障害の有無に関わらず通えるデイサービスを自主事業で行っています。利用者は認知症があっても、食事の配膳や片付けなどの役割を担っています。NPO法人はなのいえ理事長の内海正子さんは「介護保険サービスはやりすぎると本人のできることを奪ってしまう。できることはしてもらい、できないことを手伝っている」と話します。また、はなのいえは、お年寄りが耕せなくなった農園を引き継ぎ、障害者が地域農園を行っています。地域の循環を作り出し、新たな社会資源を構築しています。内海さんは「介護保険制度などの社会保障が整うことで、地域の繋がりや関係性が希薄になった面もある。今回の制度改正で住民同士の助け合いを再構築し、地域の繋がりを取り戻すチャンスになる」と話しました。
助け合い活動を行う人は
生きがいを感じられる
最後にまとめとして、公益財団法人さわやか福祉財団会長の堀田力さん、日本生活協同組合連合会福祉事業推進部長の山際淳さん、全社協事務局長の渋谷篤男さんによるてい談が行われました。
介護保険制度に助け合い活動が位置づけられたことについて、堀田さんは「社会保障費全体の抑制の流れの中で位置づけられた要素もあるだろう。しかし、助け合い活動を行う人は、お金だけが目当てではなく、自分の力を使って地域のために行い、生きがいを感じられる。また、助けられる人も、できることは自分で行い、できないことを支えてもらい、自立につながる」と助け合い活動の意義を話しました。そして、山際さんは「介護保険サービスが必要ではなくても、電球の交換や庭の手入れなど、ちょっとした困りごとを抱えている高齢者は多い。元気な高齢者が高齢者を支えることもできる。それぞれの地域において、社会資源の見える化を行い、どこにどんな団体がいる等を把握することが求められている」と指摘します。最後に渋谷さんは、「これから自治体で助け合い活動をどのように機能させるかの議論が行われる。住民や助け合い団体と充分に議論してすすめて欲しい」と、自治体への期待を話しました。
介護保険制度に住民の助け合い活動が位置づけられたことは大きな影響があります。それが効果的に機能するには、住民のニーズを丁寧に把握し、既存の介護保険サービスと両輪となって取組まれることが必要です。

厚生労働省作成資料より

渋谷さん(左)、堀田さん(真中)、山際さん(右)によるてい談の様子

 

 

 

【データ】

生活困窮者の子どもを対象とした
学習支援に取組んでいる自治体は12.9%
厚生労働省社会福祉推進事業の調査から

平成25年度厚生労働省社会福祉推進事業による「子ども・若者の貧困防止に関する事業の実施・運営に関る調査・研究事業」では、27年度からの生活困窮者自立支援法の施行を見据え、25年10月に全国の市町村アンケート調査を実施し、1,016の区市町村が回答しました。
子ども・若者の貧困問題に関する庁内体制では、「一元的な所管部署がある区市町村」は4.4%に止まり、「分野に応じて複数の部署で対応している区市町村」が32.6%、「明示的な所管部署がない区市町村」が60.9%となっています。生活困窮家庭の子どもを対象とした学習支援(金銭的な援助のみの事業を除く)の取組みを行っている区市町村は12.9%です。実施している130区市町村では、その事業を実施している部署は「生活保護所管部署」(77.9%)、「教育委員会」(23.3%)、「児童福祉部署」(15.7%)となっています。71.8%が委託事業として行っており、委託先はNPO法人が46.5%、社協が10.7%、社協以外の社会福祉法人が6.2%となっています。
配慮していることは「子どもに対してマンツーマンの対応」(55.8%)、「達成感が得られ、成長を日々実感できるような学習」(43.6%)、「親の理解を得るための個別面談」(41.7%)の3つが多くなっています。一方、課題は「支援対象の子どもの積極的な参加が得られない」(37.8%)、「親の協力が得られない」(28.8%)などが挙げられます(図)。
厚生労働省は6月に福祉事務所設置自治体に対して「生活困窮者自立支援法 事業実施意向調査」を行いましたが、任意事業である「学習支援事業」を「実施予定」の自治体は16.4%にとどまり、「未定」が55.6%にのぼります。施行を見据えた今後の検討が注目されます。


図 学習支援事業を実施する上での課題

 

 

 

【マンスリー】

子供の貧困対策
に関する
大綱まとまる

●政府は閣議で、今後5年間の子どもの貧困対策の基本方針となる大綱を決定した。世代を超えた貧困の連鎖を断つため、学校や自治体と連携し、家庭環境に応じた支援を行うスクールソーシャルワーカーを配置する。今後5年間に現在の1,500人から1万人に増やす。また、高校生向けの給付型の奨学金や大学生向けの無利子奨学金を拡充することなどが盛り込まれた。     (8/29)

●保育所の定員3千人増
●都は保育所の定員3千人増を目指し、今年度の一般会計補正予算案で32億円を追加計上すると発表した。土地代や賃料が高値である都内の事情を踏まえ、土地やビルを借りる事業者への補助額を拡充する方針。           (9/3)
●児童相談所全国共通ダイヤル3桁に
●厚生労働省は、虐待通報等を受付ける「児童相談所全国共通ダイヤル」を現行の10桁から3桁にする方針を決めた。虐待の早期発見のため、来年度予算概算要求に電話転送システムの開発費等3億7千7百万円を計上した。      (9/7)
●待機児童2万1371人
●厚生労働省は、今年4月1日時点での保育所待機児童が2万1371人になったと発表した。前年と比べ1370人減り、4年連続減少となった。政令市では福岡、名古屋、千葉、京都で待機児童がゼロになった。            (9/12)
●特養の定員総数1.5倍に
●東京都は、施策目標を盛り込んだ長期ビジョン案を公表した。現在、定員総数約4万人の特別養護老人ホームを2025年度末までに1.5倍の6万人に増やす。              (9/12)
●6割の男性がマタニティマーク知らない
●内閣府が発表した母子保健に関する世論調査によると、マタニティマークを知っている男性は3割であることがわかった。小児救急の電話相談を受付ける全国共通の短縮番号を知っている人も1割しかいなかった。          (9/13)
●認知症の診断、受診まで9カ月半
●認知症の人と家族の会などのアンケートによると、家族に物忘れなどの異変が表れ、認知症を疑いながら、医療機関を受診するまで平均で9か月半かかっていることがわかった。本人が受診拒否をしたのが主な理由。        (9/17)
●子どもの性的被害16.7%増加
●警察庁は、今年上半期にインターネットのコミュニティサイトがきっかけで性的な被害に遭った18歳未満の子どもが前年同期比16.7%増の698人だったと発表した。掲示板の運営会社に対策強化を要請した。            (9/18)
●土砂特別警戒区域に特養など39か所
●都が指定している土砂災害特別警戒区域内に病院や特別養護老人ホームなどの要援護者の関連施設が39か所あることがわかった。   (9/24)

 

 

 


【共同募金】

10月1日より
赤い羽根共同募金が始まりました

今年も10月1日から赤い羽根共同募金運動が始まりました。共同募金に寄せられた募金は、地域のボランティアグループ、NPO団体、社会福祉協議会、民間の社会福祉施設などが行う様々な活動に役立てられます。
皆さんのあたたかい志をよろしくお願い致します。

東京の運動期間
10月1日(水)~3月31日(火)

*東京都共同募金会ホームページ
 http://www.tokyo-akaihane.or.jp/

 

 

 


【連載】


「学びの場」から
地域を考える

豊島区民社会福祉協議会の
学習支援の取組み

昨今、福祉サービスは制度改正等で分野ごとに
よりきめ細かく行われるようになってきました。
一方、複数の福祉課題を抱える人々に対して、
一つの枠組みで支えることに限界も生じています。
そこで、本連載では6回にわたり、
複数の課題を抱えたケースに対して、
地域がもつ既存の社会資源を組み合わせた
新たなしくみづくりや、
アプローチを行っている団体や施設の
取り組みをご紹介します。


連載第1回目は、豊島区民社会福祉協議会のコミュニティソーシャルワーク事業として実施している「学習支援」について取り上げます。
現在、豊島区民社協では、様々な理由から支援を必要としている子どもたちを対象に、平成22年度から「ちゅうりっぷ学習会」、24年度から「にじいろ学習会」、そして26年度からは小学校と連携した「あおぞら学習会」を運営しています。この「学習支援」は、地域の民生児童委員や青少年育成委員、ボランティア等の協力を得ながら、社協のコミュニティソーシャルワーカー(CSW)が軸となって地域支援活動として作り上げてきました。

見えにくい課題に目を向ける
豊島区民社協は、区から委託をうけたコミュニティソーシャルワーク事業として中学校区(地域包括圏域)全圏域8か所のうち、6か所の圏域内にある「区民ひろば」※にCSWを2名ずつ配置し、地域支援活動に取り組んでいます(27年度に全圏域にCSWを配置予定)。CSWは、地域の生活課題の発見や、個別相談支援、地域の様々な社会資源のネットワーク化、新たな仕組みづくり等の活動をしています。日々の個別相談では、ライフラインを断たれても自宅での生活を望む人の支援、引きこもりの息子の相談、認知症の親の介護や看取りについてなど、世代も課題も幅広く対応しています。一方、地域住民にとって、同じ地区で多くの問題を抱えている人や家族の存在は、近所づきあいの希薄化やプライバシーの保護で見えにくくなっています。
豊島区民社協の地域福祉推進課長(CSW担当)の大竹さんは「地域に住む高齢者の存在や課題は、制度の動きにあわせて民生児童委員や住民が意識的に目を向けるようになってきた。しかし、地域の子どもやその家族が抱えている課題は家庭のこととして、なかなか目が届かない」と話します。
リーマンショックの影響で厳しい不景気だった5年前、ホームレス支援団体が行う炊き出しに地域の子どもが並んでいるという情報が民生児童委員から豊島区民社協に伝えられました。そこで地域の関係者から区内の子どもたちの現状を聞きとりました。また、その地区で、子ども家庭支援センターと子どもまつりを共催し、子どもたちと一緒に食事づくりを行うとともに、「子ども相談コーナー」を開設して状況把握に努めました。すると、母子世帯で生活が厳しい家族、被虐待児童、親が不在がちの子どもなど、厳しい環境にある子どもたちの存在が明らかになりました。また、そういった環境にある子どもたちが学校の授業についていけなくなっている状況も、課題として指摘されました。
このように、地域で隠れていた子どもたちの課題に取り組むため、CSWを中心に、地域の関連機関や住民が関わる「学習支援」というしくみづくりが始まりました。

教育と福祉の
現場をつなぐ
「世間では学習は学校や家庭でするものと考える傾向がある。しかし、学校の授業でついていけなくなる子どもたちの背景には、本人だけでなく、家族の生活困窮や親の病気、不在など様々な要因がある。こうした課題は、地域のなかで貧困の連鎖など別の形であらわれる可能性がある」と大竹さんは話します。そのため、豊島区民社協では福祉の課題として「学習支援」に取り組むため、学校や地域への働きかけを行いました。
教育現場では子どもが授業についていけるように理解度に合わせた様々な工夫を行っています。しかし、何らかの事情で小学校の低学年から授業についていけなくなる子どもたちは、徐々に遅れをとり、高学年になればなるほど学校側もサポートすることが難しくなるという現状があります。
「区民ひろば」配属のCSWはある時、地域内の小学校が学習に遅れがある子どもたちへの支援を検討しているが、地域の協力をもらいたい、との情報を得ます。そこで、子どもたちを取り巻く福祉の課題と、教育現場でのニーズをつなぐ「子どもの学習支援」について、学校をはじめ地域の関係者と検討を重ね、学習会の開催にいたります。

ネットワークづくりは過程が大事
「学習支援」では、主に住民がボランティアとして子どもたちに教科を教えます。また、調理実習や社会科見学を行う学習会もあります。子どもたちはこの学習会を通して幅広い世代の大人と接し、見まもられる機会を得ています。
この「学習支援」には、子どもたちに勉強を教える住民ボランティアの存在が重要です。「豊島区には、地域で何かしたいと考えている住民は多い」と大竹さんは話します。しかし、住民たちにとって、地域の課題や取組みを、個人で把握し行動するのは難しいことです。また、住民にネットワークの重要性を訴えるだけでは、支援の輪に入ろうと思ってもらえません。
「学習会の活動を通して、住民は子どもたちと関わるなかで地域の課題に気づき、CSWの活動や地域の支援の取組みを具体的に理解できる。それが支え合うしくみにつながっていく。実際に、3つの学習会では各地域の個性に合わせながら、民生委員や青少年育成委員、元小学校の先生や大学の先生、大学生など地域に住む多くの人たちがボランティアとして協力してくださり、その輪がひろがってきている」と話します。

地域で支えるしくみにするために
さらに学習支援により、支援が必要な家庭の情報把握も目指しています。学校側の協力を得て、単にチラシ等で学習会を知らせるのではなく、直接話をする機会も大切にしています。それは、支援が必要でも地域につながりにくい状況にある家族に対して、学習会を通して、相談窓口があると知るきっかけになると考えるからです。
このように、CSWの働きかけから、子どもの学習支援を通して、小学校や民生児童委員などの地域の関係者、住民で地域を支えるゆるやかなつながりが生まれています。既存の関係機関や住民がともに課題に取り組むプロセスを大切にすることで、見えにくい課題に気づく地域のネットワークの土台が築かれていきます。


※区民ひろば
区立小学校の通学区域を基礎的な単位とした地域コミュニティづくりのための施設です。乳幼児から高齢者の方まで地域社会の多様な活動の拠点です。


豊島区民社会福祉協議会
大竹宏和さん(後列右)地域福祉推進課長
森田陽子さん(後列中央)CSW
宮坂誠さん(後列左)CSW
大学生ボランティアの皆さん(前列)


あおぞら学習会の様子
子どもたちはボランティアと
一対一で教えてもらう


学習会で使っている教材

 

豊島区民社協が
運営する
学習会

●ちゅうりっぷ学習会:夏・冬休み他、
 月1~2回土曜日に開催(25年度小学生20人参加)
●にじいろ学習会:7~8月の夏休み期間に開催
 (25年度小学生11人、中学生3人参加)
●あおぞら学習会:毎週木曜日開催


※ボランティアとして23年度は17人、24年は57人、25年は85人が参加。
 現在は学生ボランティアがチーム「つばめ」を結成し、地域の民生児童委員、
 青少年育成委員等と連携して学習会の運営を行っている。

 

 

 


【部会】

在宅福祉サービス部会

住民相互の
たすけあい活動


在宅福祉サービス部会(以下「部会」という。)は昭和63年に福祉団体連絡協議会に設置され、平成12年に東社協の第2次中長期計画にもとづく連絡協議会規程の改正に伴い、業種別部会連絡協議会に位置付けられた比較的新しい部会です。
部会は都内で活動する住民参加型在宅福祉サービス団体59団体で構成されています。各団体では、利用者(利用会員)も活動者(活動会員)も双方が団体の会員となり「家事援助」「介護」等のサービスを、「非営利」「有償制」で行っています。支援を必要とする利用会員とサービスを提供する活動会員を団体のコーディネーターがマッチングします。また、介護保険法や自立支援法等の法制度では対応できない生活ニーズや、日常の困りごとに対して地域住民のたすけあい、支えあいをシステム化しているところに特徴があります。
サービス内容は、家事援助(掃除や整理整頓、洗濯、食事の準備、買い物、通院介助など)や介護の他、近年は子育て世代を対象に、産前産後、育児疲れや体調不良の時の家事援助、育児支援、外出同行などのほか、短時間で行えるゴミ出し、電球交換、庭の水やりなどをワンコイン(500円)で支援する「ちょこっとサービス」など、地域の人のニーズに沿った活動などを始めた団体もあります。
運営法人は任意団体、NPO法人、生協、福祉公社、社会福祉法人、社会福祉協議会など様々な団体です。利用会員も上記のように高齢者、障害者、子ども、母子等、団体ごとに地域の状況に応じた会員制度になっています。運営法人の中には、在宅福祉サービスと法内の事業の両方のサービスを提供している団体もあります。
部会活動としては、総会、その時の部会を巡る課題について検討する情報交換会を部会員全体で行っています。職員(コーディネーター)向けの研修等として、部会の研修体系にもとづくコーディネーター研修、コーディネーターの日常の課題等を協議するコーディネーター学習会を開催し、会員の日常活動を支援しています。
27年度からの介護保険法の改正では、区市町村が主体となる生活支援サービスとして、訪問介護・通所介護に加え、家事援助、外出支援、配食、買い物支援など部会会員団体が実施しているサービスも含め、多様な団体が行う多様なサービスに期待が寄せられています。地域のニーズを受け止め住民同士のたすけあいとして必要とされる活動を行っていくために、部会として生活支援サービスへの対応について検討を進めていきます。
〈次回は精神保健福祉連絡会です〉

 

 

 


【東社協発】

平成26年度
第1回

社会貢献事業に関する
セミナー開催報告

東社協社会福祉法人協議会(法人協)では、9月8日に第1回社会貢献事業に関するセミナー「今、社会福祉法人が行動するとき~東京における社会福祉法人の連携による社会貢献事業の実施に向けて~」を開催しました。
このセミナーは、各法人及び施設関係者に対して、社会福祉法人を取り巻く現状を説明し、法人協が平成26年度事業計画に基づき検討している社会貢献事業の現時点での事業実施案を提示し、事業への理解と参画を促進することを目的としています。
まず、高橋利一法人協会長の開会挨拶のあと、「社会福祉法人の在り方等に関する検討会」委員でもある社会福祉法人中心会の浦野正男理事長が講演を行いました。「社会福祉法人は、財源が制度的に保障されない分野の事業であっても必要性が高いことについて、長年取り組んできた。しかし、そういった各法人の活動が見えないとの批判もある。社会福祉法人の在り方が問われる今、全国1万7千の社会福祉法人がそれぞれの資源を使って連携し、『点』ではなく『面』で制度の谷間の課題に対して取組む姿勢を見せる必要がある」と話しました。
ルーテル学院大学和田敏明教授は「地域が社会福祉法人に求める社会貢献事業の取組み」をテーマに講演しました。「社会貢献事業は、①個々の施設や日常圏域、②市町村、③広域の3段階での実践が重要だ。社会福祉法人はこれまで地域のニーズ発見やサービス開発を行ってきた。今後はその資源を行政の地域福祉計画や広域の取組みに組み込むことが求められる」と述べました。
講演を踏まえ、法人協から東京における社会福祉法人の連携による社会貢献事業の実施について提案がありました。社会貢献事業推進委員会の相羽孝昭実行委員長から「東京の社会福祉法人が種別の枠を超えて、広域の連携ネットワーク事業を積極的に行い、社会福祉法人の役割を果たし、国民の理解を得ていきたい」と推進理由を説明しました。続いて、東社協福祉部長が現時点の事業案及び今後の予定に関する説明を行いました。
提案では①各法人が特別会費を拠出し、東社協が基金を設置して事業を実施する、②連携して行う事業内容の1つの案として、寄り添い型の相談支援事業が示されました。(右下図参照)まずは、相談事業に取り組むことによってニーズを発見し、その「人」に必要な支援を繰り返し、サービスの創造につなげたいと説明がありました。
各法人・施設の意向を踏まえ、できるだけ多くの法人の参加により事業を実施できるよう、現在、業種別部会や社会福祉法人などから意見収集をしています。

都内の法人関係者、366名が参加

 

NPO法人運営入門講座
2014

東京ボランティア・市民活動センターでは、1997年から続く、毎年好評の講座「NPO法人運営入門講座2014」を開催します。10月1日より7回連続で、NPO法人(特定非営利活動法人)の設立と運営で求められる一通りの知識を、経験豊富な講師陣が分かりやすく解説します。
これからNPO法人を設立する方や新任者の方はもちろん、ベテランの方の復習や専門家の方にもおススメです。
【日程・内容】第1~3回は実施済み
第4回 10月10日(金)「年間運営」
講師‥池本桂子 氏(シーズ理事)
第5回 10月17日(金)「会計」
講師‥水口剛 氏(高崎経済大学教授)
第6回 10月24日(金)「労務」
講師‥白澤義之 氏(社会保険労務士)
第7回 10月31日(金)「税務」
講師‥岡田純 氏(税理士)
【時間】19時~21時(第7回のみ18時30分~21時)
【会場】飯田橋セントラルプラザ10階会議室
【対象】NPO法人の役員・職員・会員・協力者、NPO法人の設立を検討しているグループ・個人、NPO支援機関の役職員、専門家等
【参加費】各回1人につき2千5百円(全回参加1万7千5百円)※欠席回の音声記録をお聞きいただけます。代理出席も可能。
【申込み】ホームページ
(http://www.tvac.or.jp/news/32703)、郵便又は、FAXで下記申込先へ。
氏名・所属団体名・団体内での役割・法人格の有無・住所・電話・FAX・メールアドレスと参加希望回を明記。
【共催】NPO法人シーズ=市民活動を支える制度をつくる会
【主催・問合せ・申込み先】東京ボランティア・市民活動センター(TVAC)※月曜・祝日休館 〒162|0823 東京都新宿区神楽河岸1|1セントラルプラザ10階
TEL 03(3235)1171 FAX 03(3235)0050

 

 

 

【資料ガイド】

施策・会議資料
●『平成25年度「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況』(厚生労働省/6月/URL http://www.mhlw.go.jp/stf/
houdou/0000049293.html)
 過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害の状況について、厚生労働省が平成14年から年に1度、労災請求件数や、「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数などを取りまとめたもの。
●『「多様な正社員」の普及・拡大のための有識者懇談会報告書』(厚生労働省/7月/URL http://wwwhaisin.mhlw.
go.jp/mhlw/C/?c=201565)
●『第6回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」資料』(厚生労働省/9月/URL http://wwwhaisin.mhlw.go.jp/
mhlw/C/?c=202965)
●『平成25年度東京都児童福祉審議会児童虐待死亡事例等検証部会報告書』(東京都/7月/URL http://www.metro.
tokyo.jp/INET/KONDAN/2014/07/40o7e300.htm)
●『第1回医療介護総合確保促進会議議事録』(厚生労働省/7月/URL http://
wwwhaisin.mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=202285)
●『第3回社会保障審議会福祉部会資料』(厚生労働省/9月/URL http://www.
mhlw.go.jp/stf/shingi/0000057563.html)
調査結果
●『健康意識に関する調査』(厚生労働省/8月/URL http://wwwhaisin.
mhlw.go.jp/mhlw/C/?c=201633)
 健康に関する意識の傾向を捉え、「平成26年版厚生労働白書」の作成等に当たっての資料を得ることを目的として、平成26年2月に実施したもの。
●『高齢期の独居化と介護に向けた準備』(第一生命経済研究所/4月/URL http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/
ldi/report/rp1404b.pdf)
 単身で自宅に住む自立高齢者を対象に行った、将来希望する介護の方法や介護に向けた準備の実態をたずねるアンケート調査。
●『学童保育実施状況調査結果』(全国学童保育連絡協議会/7月/URL http://
www2s.biglobe.ne.jp/Gakudou/2014kasyosuu.pdf)
 全国学童保育連絡協議会が毎年行っている、学童保育の実施か所数や入所児童数などの実施状況調査の2014年5月1日現在の結果。
●『野宿者への襲撃の実態に関する調査』(認定NPO法人 自立生活サポートセンター・もやい/8月/URL http://
moyai-files.sunnyday.jp/pdf/2014
0814_nojyukuweb.pdf)
 野宿者への襲撃の実態について、都内の各地で活動するホームレス支援団体、生活困窮者支援団体等の協力により、炊き出し、夜回り等の活動に参加する野宿者(ホームレス状態の人)に対して行ったアンケート調査。
その他
●『「がん」になってもあなたらしい生活を過ごすためのハンドブック』(作成:株式会社タイカ 監修:がん研究会有明病院看護部/7月/URL http://www.
taica.co.jp/topics/2014/07/post-50.html)
 がん治療や緩和ケアに対する正しい知識の啓発、およびがん患者の療養生活の質を高めるために有用なセルフケアの情報を提供するための冊子。
●『子どもとともに~東日本大震災 被災地子ども支援NPO 三年の歩みと未来への提言~』(特定非営利活動法人 チャイルドラインみやぎ/3月/URL
http://cl-miyagi.org/report/452/)
 今後、再び起きるかもしれない災害に対して各地域、個人が日ごろから備えてほしいという意図で、チャイルドラインみやぎの震災後の支援活動と、子どもの現状をまとめた書籍。

 

 

 

【みーつけた】

地域で眠っていた
主婦の力を活用する保育園

育みの家
フェアリーランド仲町台


育みの家 フェアリーランド仲町台

0~3歳までの乳児を対象とした認可外保育施設。定員30名。
幼稚園から帰ってきた幼児、小学3年生までの学童の受け入れも行っている。
スタッフは主婦を積極的に採用し、子連れ出勤、扶養の範囲内の短時間勤務を認めている。
主婦及び潜在保育士の活用等の取組みが認められ「平成25年度よこはまグッドバランス賞認定企業」選出。
■育みの家 フェアリーランド仲町台
http://www.fairy-land-2012.jp/

フェアリーランドの園長。
特定社会保険労務士事務所代表。
5児の母でもある
菊地加奈子さん。


結婚・出産し、専業主婦になったけれど、「もう一度働きたい」と思った時に、就職活動をするために子どもを預ける環境が必要になります。しかし、子どもを保育園に預けるためには働いていないといけません。これが、主婦の仕事復帰の大きな壁となっています。
*立ち上げは全員「主婦」スタッフで
「育みの家フェアリーランド仲町台」園長の菊地加奈子さんは、自身もこの壁にぶつかり、一度は仕事復帰を諦めました。しかし、2児の子育てと、第3子妊娠・出産をする中で、社会保険労務士の資格を取得し、事務所を開業しました。そして、働きたいと思っているかつての菊地さんのような母達を支え、自分の子どもを近くで見たいという母の思いなどを叶えるため、2013年2月、事務所内に認可外保育施設を開設しました。フェアリーランドの最大の特徴は、スタッフが全員「主婦」ということです。子連れ出勤、扶養の範囲内の短時間勤務を認め、主婦を積極的に採用しています。立ち上げの際は、全員主婦スタッフにこだわって採用をしましたが、現在は大学生インターンを受け入れるなど、門戸を広げています。
*どんなことも「お互い様」
子育てをしながら働く親にとって職場に一番気を使うのは「子どもの急な病気」です。しかし、スタッフが全員主婦だと、当然のこととして理解があります。また、子連れ出勤のスタッフの子どもは、母親が自分以外の子どもの世話をしていることに慣れず、初めは不安定になってしまうことがあります。これもお互い様なので、慣れるまで勤務日数や勤務時間を一時的に減らしたり、別の一時保育を利用したりするなどの工夫をして乗り越えてきました。主婦である難しさを、お互いに理解していることが何よりの強みです。
また、スタッフは保育園や幼稚園等での勤務経験がある方や、一般企業で働いた後に保育士等の資格を取得した方です。これまでの経験に、現在の子育ての経験が加わり、子どもを預ける保護者にとっては心強い相談相手です。スタッフも保護者と同じように悩んで子育てをしている仲間なのです。
*「宿題を見てあげたい」という
 母の思いから
午前中は1~2歳児が中心ですが、午後は同じフロアで、幼稚園から帰ってきた幼児や、小学生も受け入れています。学童の受け入れに関して菊地さんは、「『小学生の我が子の宿題を近くで見てあげたい』という私のわがままな思いで始めた」と話します。しかし、菊地さんの思いは、地域で働きながら子育てをする母のニーズでもあります。実際、周りに声をかけてみると、利用したいという声があがり、毎日平均5~6人の小学生が通ってきます。近隣の学童保育に入りづらいというわけではなく、我が子が安心して過ごせる場であり、乳幼児とともに過ごすことで思いやりの気持ちを育んでほしいという思いから選択しているそうです。
このような体制は、認可外だからこそ可能な面があります。しかし、雇用主の菊地さんの立場としては認可を受けて安定した雇用をしてあげたいという思いもあり、「今後、より働きやすい環境を整えていきたい」と考えています。
*地域で暮らす人を支えたい
菊地さんは主婦の力を活用したいと考える企業のサポートにも力を入れ、講演等を積極的に行っています。
また、地域で活動する他の団体との繋がりも生まれています。仲町台では「ひきこもり高齢者」の問題があります。この問題に取り組むNPO団体と協働して、公営団地の空き集会場を使用し、高齢者とフェアリーランドの保育士が一時保育を行う事業を立ち上げる予定です。高齢者を雇用し賃金を支払い、子どもと触れ合うことで生きがいを生み出すことがねらいです。「それぞれの団体の良さを生かして、地域で暮らす人たちを支えていきたい」と菊地さんは話します。
地域に眠っていた主婦の力を生かす環境を整えたのは菊地さんです。しかし、この大きな力が5児の子育てをしながら働く菊地さん自身や、フェアリーランドの子ども・保護者を支えています。そして今後は、地域で暮らす人々まで広げて支えていこうとしています。

 

 

 


【図書ガイド】

【福祉職場のコミュニケーション】
職場の連携、気遣い、リーダーシップ。あらゆる現場で必要とされる「人間関係力」を見直してみませんか?

①伝える力/1,944円/対人援助現場で「わかってもらえる」極意を伝授。高室流対人援助技術を紹介。噛み砕いて話してもなかなか理解してもらえないのはなぜなのか?
②ソーシャルワーカーのジレンマ ―6人の社会福祉士の実践から―/1,944円/福祉現場の連携はそれぞれの立場を理解するところから始まる。障害・高齢・児童・生活保護・医療・人材養成。各分野のエキスパートが現状の福祉現場の精神的な難しさを紹介。「解決」の前に「理解」を。
③この1冊で連携強化 ケアマネ業務「報・連・相」/2,880円/高齢者援助の要、ケアマネージャー必携!天敵(?)になりがちな医療者との連携に必要な知識と報告書の文例を詳解。併載の医療養護スッキリ解説集も大好評。
④認知症ケアの十ヶ条/1,188円/認知症ケアの基本を人間的コミュニケーションをテーマにマンガで紹介。
【筒井書房 最新刊情報】
●新 必携社会福祉士2015 共通科目・専門科目/4,104円/ロングセラーの『必携』がリニューアル。わかりやすさはそのままに、二分冊を一冊にまとめて新発売!
●知的障害者の自己決定支援 ―支援を受けた意思決定の法制度と実践/1,944円/「支援を受けた意思決定」とは?世界の基準と日本の現状、取り組みを詳しく紹介。
●ボランティア白書2014/4,104円/特集・災害ボランティア。今日的課題として、生活困難・社会的孤立防止への取り組みを地域活動の事例を紹介。
【期待の新刊】
●梦明かり さつまのしふく/1,944円/新ジャンル『介護小説』の第二弾!

 

 

 


【アンテナ】

助成金

元気シニア応援団体に
対する助成活動

申込締切 10月15日当日消印有効 助成対象 高齢者を対象にした健康管理・増進、自立支援、生きがいづくり等活動を行なっている民間非営利の団体、ボランティアグループ、特定非営利活動法人等で、所定の要件(申請時点で1年以上の活動実績を有し継続して運営している等)を満たす団体 助成金額 15万円(1件1団体あたり) 申込方法 ホームページより申請書をダウンロードし、必要書類と合わせて郵送申込・問合せ先 生命保険協会「元気シニア応援活動」事務局(担当:市毛・北澤) 〒100-0005 千代田区丸の内3-4-1新国際ビル3階
・03(3286)2643
http://www.seiho.or.jp/

トヨタ財団
国内助成プログラム

申込締切 10月31日15:00助成対象 ①地域で活動するNPO等の組織が地域の課題解決につながる担い手を育成するプロジェクト②未来の担い手が地域住民とともに、地域課題の解決につながる新たな仕事(組織や事業)の立ち上げに向けて実施するプロジェクト 助成金額 1年間プロジェクト上限300万円、2年間プロジェクト上限600万円(共に1件1団体あたり) 申込方法 ホームページより登録を行い、企画書をダウンロードし、記入した企画書をアップロード 申込・問合せ先 公益財団法人トヨタ財団 ・03(3344)1701
http://www.toyotafound.or.jp/

認定NPO法人取得資金
助成プログラム

申込締切 10月31日 助成対象 社会福祉分野で活動し、認定NPO法人の取得を計画している特定非営利活動法人助成金額 上限30万円(1件1団体あたり) 申込方法 ホームページの申込フォームから申込の上、追加資料を郵送 申込・問合せ先 公益財団法人損保ジャパン記念財団事務局〒160-8338 新宿区西新宿1-26-1
http://www.sj-foundation.org/

組織の強化・
事業活動の強化資金
助成プログラム

申込締切 10月31日 助成対象 特定非営利活動法人・社会福祉法人であり、社会福祉に関する活動を行う団体で、原則として2016年3月末までに完了する事業 助成金額 上限50万円(1件1団体あたり)助成内容 団体の基盤強化に結びつく事業に必要な費用、組織の強化に必要な費用、事業活動の強化のために行う、新たな事業、又は既存事業の拡充・サービス向上に必要な費用 申込方法 ホームページの申込フォームから申込の上、追加資料を郵送 申込・問合せ先 公益財団法人損保ジャパン記念財団事務局 〒160-8338 新宿区西新宿1-26-1
http://www.sj-foundation.org/

年賀寄付金配分団体の
公募

申込締切 11月14日当日消印有効 助成対象 社会福祉法人、更生保護法人、特例社団法人、特例財団法人、一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人、公益財団法人、特定非営利活動法人、営利を目的としない法人。「お年玉付郵便葉書等に関する法律」に定められた10の事業 助成金額 上限500万円(1件1団体当たり)。活動・チャレンジプログラム50万円 申込方法 ホームページより申請書をダウンロードし、郵送 申込・問合せ先日本郵便株式会社 総務・人事部環境・社会貢献室年賀寄付金事務局 〒100-8798 千代田区霞が関1-3-2
・03(3504)4401
http://www.post.japanpost.jp/kifu/topics/h260827_01.html


講座・シンポジウム

篁一誠講演会
自閉症の人への支援

日時 10月27日 場所(公財)江東文化コミュニティ財団森下文化センターAV・ホール定員 80名 参加費 東京都自閉症協会会員:500円、その他:1,000円 内容 「生活場面のデザインについて(成人編)」◎生活空間の整理について◎教える環境の整備◎余暇の過ごし方◎家事への参加 申込方法 「篁講座1027申込み」として、①氏名②所属・立場③連絡方法(住所、FAX、メールアドレス)を記入の上、下記宛先に申込 申込・問合せ先NPO法人東京都自閉症協会
・03(6907)3531 03(6907)3546
autism@bz04.plala.or.jp

医療と介護の連携

日時 11月11日 場所日本赤十字社2階大会議室 参加費 8,000円 内容 基調講演「社会保障における医療と介護の連携」講師:三浦公嗣氏(厚生労働省老健局長) シンポジウム「地域包括ケアシステムにおける民間事業者の役割」コーディネーター:京極 宣氏(全社協中央福祉学院学院長)、シンポジスト:香取幹氏(株式会社やさしい手代表取締役社長)、宮島渡氏(高齢者総合福祉施設アザレアンさなだ総合施設長)、中井孝之氏(シルバーサービス振興会常務理事)、助言者:渡辺由美子氏(厚生労働省保険局医療介護連携政策課長) 申込方法 ホームページ申込フォームより 申込・問合せ先 医療・福祉フォーラム事務局(北隆館) ・03(5449)7061
http://www.hokuryukan-ns.co.jp/

腰痛予防対策講習会
(東京会場)

日時 10月21日 場所安全衛生総合会館5F 定員50名程度(先着) 参加対象社会福祉施設関係者 申込方法 ホームページより申込 申込・問合せ先 中央労働災害防止協会健康快適推進部企画管理課 ・03(3452)2517
http://www.jisha.or.jp/he
alth/
ソーシャルワーク研究所
シンポジウム

日時 11月15日 場所明治学院大学白金校舎2号館2101教室 定員 80名(定員になり次第締切) 参加費 5,000円 内容 講演:「ソーシャルワーカーの専門性と役割―議論を沸騰させる分析視角の共有を目指して―」田中千枝子氏(日本福祉大学)、シンポジウム:「一般医療機関におけるアルコール依存症支援の障壁―疾病と向き合う一歩を踏み出すための支援を考える―」稗田里香氏(東海大学) 「自殺のリスクを抱える人への支援の障壁―生と死をめぐる問題を手がかりに―」久保美紀氏(明治学院大学) 「福祉事務所における生活困窮支援の障壁―社会福祉の『縮小化』傾向をワーカーとして如何に読み解くべきか―」岡部卓氏(首都大学東京) 総合司会:北川清一氏(明治学院大学、ソーシャルワーク研究所) 申込方法 ホームページより参加申込書をダウンロードし、FAXにて送信。参加費事前振込 申込・問合せ先 ソーシャルワーク研究所
03(5421)5344
swkenkyu@mail.meijigakuin.ac.jp
http://www.meijigakuin.ac.jp/~kitagawa/social/sympojium.html


その他


特別養護老人ホーム
駒場苑
施設見学会

申込締切 10月15日 日時 11月11日 定員 15名(先着) 参加対象 高齢者福祉施設の施設長、従事者、高齢者福祉を始め広く福祉事業を担っていこうとしている方、また関心のある方 内容 施設見学、講話「スタッフが育つサービス~7つのゼロへの挑戦~」坂野悠己氏(施設長補佐)、講話「スタッフが育つ施設改革~日本一を目指して~」中村浩士氏(施設長) 申込方法 FAX又はメールにて申込 申込・問合せ先 愛恵福祉支援財団事務局
・03(5961)9711 03(5961)9712
lovegrac@kitanet.ne.jp

 

 

 

 

【新刊】

東京都内区市町村社協における新たな挑戦
「課題発見・解決志向型の
新たな地区社協」づくりに向けて

●家族や地域の絆が薄れ、多様な課題がある中、住民主体による福祉コミュニティづくりをすすめるため、先進地区の事例をもとに「新たな地区社協」のあり方を提起しています。
◆規格 A4判/130頁
◆定価 1,080円 (税込み)


ふくしのしごとがわかる本
〔改訂第4版〕

●福祉職場への就職を目指している方を対象に、福祉の仕事にはどのようなものがあり、就職するにはどのような資格や条件が必要か等について解説しました。福祉の仕事の求人の現状や傾向、分野ごとの仕事の内容、就職に関わる情報源などを紹介しています。
◆規格 B5判/102頁
◆定価 540円 (税込み)

社会福祉法人設立・運営の手引き
2014年版

●東京都福祉保健局の助言を得て、社会福祉法人の設立準備にあたっての指針を提示するとともに、社会福祉法人の設立準備から一連の様式の実例を例示しています。法人設立に係る26年3月最新改正通知、改正新会計基準勘定科目も反映。様式集CD-ROM付き。
◆規格 A4判/409頁
◆定価 4,320円 (税込み)
※10月10日に発行予定です

 

 

 

 

【くらし】

 

子どものころの
親戚の家のような
場所です

毎週火曜日に
「ひびのさんち」に来ている
松久さんと藤田さんにお話をうかがいました。

「ひびのさんち」との出会い
藤田さん)これまで娘夫婦と同居していましたが、より自分らしく生きていこうと考え、武蔵野市に引っ越してきました。新しい地域に早くなじみたいと思い、武蔵野市「ささらの会」が掲載していた居場所の情報を見て、電話で近隣の居場所について伺い、「ひびのさんち」を教えていただきました。
 初日から周りの方とすごす時間がとても心地よく、居場所とはこういうところだと私の心にすっとおりてきました。それ以来、毎週火曜日の「ひびのさんち」を楽しみにしています。
松久さん)私はコミュニティーセンターで、「みどりの縁がわ」(※大野田福祉の会企画のもう一つの居場所)のお手伝いをしている方から「ひびのさんち」を紹介されました。一軒家で、しかも昼食が無料と聞き、最初は一体どんなところだろうと思いました。でも、実際にはふだんのままで無理なく過ごせる場所でした。ここに来てもう2年がたちます。
●温かいつながりを感じながら
藤田さん)「ひびのさんち」では、いろいろな方とお話することができます。年を重ねてからの過ごし方に不安もありましたが、人生の先輩たちと一緒に過ごすことで、これからの生きる土台ができた気がします。こうして元気に過ごす私の姿に、娘家族も安心しているようです。
松久さん)お昼や茶菓子を持ち寄って、その日に来た人たちでいただきます。家で一人分の料理を作りすぎたときはおすそ分けをします。多めに作った方が美味しいですしね。昔、近所でおすそ分けしていたようなつながりが、ここにはあります。
藤田さん)「ひびのさんち」では特に役割は決まっていませんが、お昼の準備や片付けもなんとなく自然に流れていきますね。「ひびのさんち」で人の優しさに触れて、私自身も心が豊かになり、周りの人に何かプラスになることをしたいと思うようになりました。
●アクティブに過ごしています
松久さん)最近の趣味は武蔵野市が行っている銭湯での体操教室に通うことです。「ひびのさんち」や「みどりの縁がわ」で出会う人たちとの交流も楽しんでいます。毎日行くところがありますね。ひとりでは分からないことも、外に出ると色んな角度から情報を得られます。なので、これからも体が動くかぎり外に出かけていきたいです。
藤田さん)私も健康第一と考えているので、フィットネスクラブで体力づくりをしています。シルバー会や食の安全と環境のボランティア、障害児童の活動など、地域の様々な取組みにも参加するようにしています。
●地域住民として役立ちたい
松久さん)大家さんをはじめ、「ひびのさんち」をつくってきた方々は地域のことを考えて活動していて、素晴らしいと思います。大きなことはできないけれど、私なりに何かお役に立ちたいと思っています。
藤田さん)私も「ひびのさんち」がもつ温かいつながりが次の世代にも続いてほしいです。そのためにも、同じ地域住民としてできることから恩返ししていきたいです。

松久さん(左)と
藤田さん(右)

住宅地にある一軒家「ひびのさんち」

 

GROUPナビ!

ふれあいの居場所
「ひびのさんち」

地域の人たちが「誰でも」「いつでも」気軽に」足を運べる"地域の縁側"を作りたいと、武蔵野市の13地域社協のひとつ「大野田福祉の会」が家主の日比野さんの協力を得て2009年4月にオープンした「居場所」。今年で5周年を迎えた。年間延べ900人が来訪。利用者と運営側と分けない居場所づくりをしている。
毎週火曜日11時~15時。

月刊「福祉広報」

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