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福祉広報 2015年2月 674号 テキストデータ

【もくじ】

社会福祉NOW

10歳までを見据えた保育
保育所と学童保育、
そして地域社会との連携

トピックス
●障害者の創作活動に関する
権利保護・相談支援

連載 個別ケースからしくみづくりへ⑤
●成城つくしんぼ保育園「けやき広場」

明日の福祉を切り拓く
●福島県視覚障がい者福祉協会
専務理事 中村雅彦さん

 

東京都 八丈島

八丈太鼓は1つの和太鼓を両面から二人一組で
リズムに合わせてアドリブで
叩き合う。

 

 

【NOW】

10歳までを見据えた
保育

保育所と学童保育、
そして地域社会との連携


子ども・子育て支援新制度が
まもなく施行されます。
同制度では幼保の連携を
強化するとともに、学齢期には
放課後児童クラブ(学童保育)の強化を
位置付けています。一方、
国の「放課後子ども総合プラン」は、
「小1の壁」を打破するため、
共働き家庭等のための「放課後児童クラブ」と
全児童を対象とした「放課後子供教室」を
一体的または連携して整備することを
めざしています。本号では、
こうした流れの中で、学齢期を見据えた
保育のあり方を考えます。


リーマン・ショックを契機に保育所待機児問題は社会的な課題となり、保育所定員を増やしてきた年齢層がいよいよ学齢期に到達します。
共働き家庭の子どもたちの多くは、学齢期になると学童保育を利用します。入学式前から利用することが多く、その切り替わりは3月31日から4月1日となりますが、保育所との違いが急激なギャップになることが少なくありません。いわゆる「小1の壁」です。開所時間が短いところでは親の就労に支障を来たすという観点からも言われる言葉ですが、子ども自身の成長にとって円滑な保育の継続性は大切になります。
卒園は成長の通過点

保育所には在園児に限らず、地域の子育て全体を支援していくことが期待されています。卒園した子どもがさらに豊かに成長していく学齢期を見据えた実践もその一つと考えられます。
目黒区にある社会福祉法人愛隣会は、「のぞみ保育園」と「愛隣会学童保育クラブ」を運営しています。同一法人同一敷地内の両施設が具体的な交流をすすめるようになったのは5年ほど前から。きっかけは、保育士として「卒園後の子のことが気にかかる」という想いからでした。
のぞみ保育園では、年長児(5歳児)が7月に初めて学童保育を訪れます。そして、夏休みには学童保育の子どもたちと一緒に遊びますが、最初は年上の大きな学童たちに圧倒されます。そして、午睡(昼寝)をしない日がある1月以降になると、遊びを通じて学童保育の過ごし方を体験していきます。のぞみ保育園主任保育士の高橋美奈子さんは「1~3月になると、すっかり慣れてくる。学童保育を体験することで、不安なく期待をもって卒園できることをめざしている」と話します。
また、高橋さんは「我慢する力、自分をコントロールする力を徐々に育んでいくが、その力を卒園までに完全に付けきれない子もいる。保育所では周りの友だちが自分のことを理解してくれて時として力になってくれるが、卒園すると環境的に厳しくなってくる。だからこそ、その子自身の成長をきちんと引き継ぎ、卒園後にその力を伸ばしていくことが必要になる」と指摘します。
同一法人という取組みやすさはありますが、保育所と学童保育が一緒に子どもの成長を連続して支えていこうとする想いがそこにはあります。
4割近くが移行期に大変だった

東社協では、平成26年9月に「就学前から学齢期への移行期 子ども・子育て支援プロジェクト」を設置しました。保育所、学童保育、区市町村社協のメンバーによるこのプロジェクトでは、具体的なニーズをもとに支援のあり方を考えるため、就学前に保育所等を利用し、学童保育を利用するようになった小学校1・2年生を対象とした「利用保護者アンケート」を10月に実施しました。1千11人から回答を得ています。
(1)学童保育に期待する保育内容
アンケートでは「学童保育で大切にしてほしいもの」に8割の利用保護者が「親のいない時間の『安全性』」を上位に挙げて重視しています。「震災などを考えると、放課後に大人と一緒にいる環境がほしい」、「子どもを狙った事件が絶えないので心配」という声がその背景にあります。次いで多かったのは「異年齢集団との交流を通じた『社会性』」、「ほっとできて『通い続けられる』」です。安全とともに、家庭や学校で得にくい関わりを学童保育に求めていました。
(2)移行期における課題と対応
「学童保育に慣れるまでに大変なことがあった」は36・7%。「開所時間が短く、急に子どもが一人で過ごすようになる」、「学校が始まるだけでも大変なのに、移動や生活の変化が大きく、緊張、ストレスで泣いてしまった」、「保育所との違いにとまどった」などが挙げられます。「なぜ学校が終わってすぐに家に帰られる子がいるのか理解できなかった」という子もいました。
こうした課題に対して「保育所からの支援があった」は5・6%。その中でも、主に上表のような学齢期の生活の変化を見据えた支援が「あってよかった」と評価されています。
(3)保育所と学童保育の連携のあり方
「学齢期に引き続き伸ばしたいこと」では、「自分の気持ちを表現」、「友だちや年下に優しく」、「協調性のある態度」をそれぞれ7割近くが挙げていました。
保育所は小学校には「保育所児童保育要録」を送付しますが、学童保育に対しては特に情報提供するしくみがありません。今回のアンケートでは、「小学校だけでなく学童保育にも情報を引き継いでほしい」が73・0%。これを情報の種類別にみてみると、「保育士が子どもと関わる中で気にかけていること」、「子どもの健康と発育状況」、「意欲的に頑張って伸ばしてきたこと」は、ほとんどの利用保護者が「学童保育にも引き継いでほしい」としています。一方、「子どもの人間関係」、「親子関係や家庭環境」の2つでは、「引き継いでほしくない」もそれぞれ7・1%、16・3%ずつみられました。その理由は「子どもへの先入観を持たれたくない」などとなっています。
連携をすすめるためのしくみ

三鷹市では「幼稚園・保育園と小学校との連携推進事業」として、小学校区ごとに「連携地区連絡会」を設置し、学童保育所も参加しています。認可保育所「第2小羊チャイルドセンター」も小学校が主催する連絡会に参加していますが、園長の市川ルミさんは「連絡会ができるまでは、学童保育の職員とは出会った時に気になる子どものことを立ち話する程度だった。連絡会ができてからは特に東日本大震災以降、大切な情報はきちんと共有しようという意識が高まった」と話します。
連絡会では、3月に就学を迎える園児たちの情報を交換し、5月には新1年生の様子を確認します。年長児(5歳児)は秋になると小学校へ給食体験に行き、その際、学童保育を初めて訪問。そして、3月には学童保育の中で実際に遊んでみます。連絡会というしくみがあることで、これらの取組みはすすんできました。
学童保育や小学校と情報交換することで、保育所として改めて気付かされることもありました。「小学校に行くと、靴は立って履きかえる」、「子どもを通じて情報をやりとりするようになる」などは代表的な変化ですが、保育所から保護者への情報提供は不十分でした。チャイルドセンターでは平成24年度から待機児解消のため分園を設置した際、4・5歳児を分園に移しました。分園では朝、親が門までは送りますが、そこから中は子どもがすべて自分のことは自分でする保育へ切り替えました。学齢期における生活の変化をふまえた具体的な保育を実践しています。
●    ●    ●
プロジェクトでは、「小1の壁」だけでなく「小4(10歳)の壁)」の存在も指摘されました。「10歳未満」を対象にしてきた学童保育が多く、その頃には自分なりに放課後を過ごし始めます。また、自分を守り、自分の問題を自ら乗り越えていく力が求められてくる時期です。目の前にある「小1の壁」をただ問題なく通り過ぎればよいのではなく、その先を見据えた成長を保育所と学童保育が一緒に考えていくことが望まれます。
就学前の「保育所」、学齢期の「小学校」「学童保育」とともに「家庭」は、子どもの成長を支えていますが、2つの期をつなぐ存在には、もう一つ、「地域社会」があります(上図)。アンケートでは、地域のシルバースタッフが帰宅路をパトロールする取組みもありました。地域住民の関わりは保育所と学童保育だけで作ることは難しく、区市町村社協やNPOがその推進役を担っていくことも今後、期待されます。


表 学齢期への移行に対する保育所による支援

(1)学童保育帰りに卒園した保育所に寄らせてもらった。
(2)年長の頃に卒園後を見据えた保育をしてくれた。
(3)在園中に学童保育がどんなところかを体験させてくれた。
(4)在園中に同じ学校の上級生や他の保育所の同級生との友だち関係づくりを支援してくれた。
(5)小学校だけでなく学童保育にも情報を引き継いでいてくれた。
(6)卒園後、保育所で先生たちを手伝い、最小学年に移行したギャップの中で改めて役に立つ自分でいられることを支援してくれた。


調査報告書は
2月下旬に関係機関に
配付するとともに、
東社協図書係にて
頒布します。

 

 


【トピックス】

障害者の創作活動に関する
権利保護・相談支援

東京アール・ブリュット
サポートセンター
Rights(ライツ)
開設

社会福祉法人愛成会は厚生労働省「平成26年度 障害者の芸術活動支援モデル事業」を受託しました。宮城、東京、滋賀、奈良、広島の全国5か所が実施しているこの事業は、障害のある方々やご家族、障害のある方の創作活動を支援する人たちを支え、そのノウハウを積み上げて全国に普及していくことを目的としています。その中で、愛成会では、この事業を「心の真ん中にある衝動Tokyo"Brut"プロジェクト」と名付けて実施しています。
創作活動支援の
総合的な窓口の設置
近年、障害のある方々の芸術が日本の新しい文化財産のひとつとして注目されており、作品を様々なところで目にする機会が増えています。余暇活動で作ったものが芸術的に高い評価を得たり、企業がそれらの作品をTシャツやマグカップ等のデザインにして販売したりと、障害のある方々の創作活動の幅は広がりつつあります。一方で、障害があるために自分の意思を表現することが難しい人や言葉の理解に壁がある人にとって、「作品の権利は誰のものなのか」「ビジネスとして活用する際の著作権はどうなるか」など、より丁寧な対応が求められます。しかし、こうした芸術的価値や商業的権利関係の問題について、本人だけでなく家族や支援者が得られる情報や相談できる場所は限られていました。
今回のモデル事業では、特に権利保護・相談事業を重要項目の一つとして位置付け、愛成会の「東京アール・ブリュットサポートセンターRights(ライツ)」(以下、Rights(ライツ))を開設しました。常時対応する相談員とアドバイザーに加え、著作権などの権利保護や成年後見人制度に詳しい弁護士、美術等の分野の専門家に「外部アドバイザー」として協力依頼し、より詳細な相談にも応えられる体制づくりをしています。また、月1回、弁護士と無料相談できる機会(要予約)も設けています。
平成26年12月の開設以降、「自分の作品を出展できるところを知りたい」「芸術活動として支援する方法を教えてほしい」など本人や支援者、福祉施設関係者を中心に相談が寄せられています。「これまで都内では障害者の創作活動に関する総合的な相談窓口がなかった。今後は行政や学校、企業、美術関係者、一般の方など幅広い相談への対応が求められる」と法人企画事業部の椋本優花さんは話します。また、法人事務局の渡部紗貴子さんは「モデル事業を実施する5団体の連携や、東京都、愛成会のある中野区の地域商店街との連携など、これまでのネットワークを活用している」と事例や情報の共有に向けた取組みを話します。
情報共有の場づくり
Rights(ライツ)のもう1つの活動は、著作権の権利保護に関する研修会の開催です。26年12月に弁護士を招き、障害者の創作に関する権利保護についての研修会、相談事業に関する取組み等の紹介とワークショップを行いました。「今回は施設関係者の参加が多く、非常に活発な意見交換があった。創作活動分野での障害者の権利保護について、情報を提供する場の必要性は高い」とアートディレクターの小林瑞恵さんは話します。
また、愛成会がRights(ライツ)開設にあわせて障害者関係施設に行ったニーズ調査でも、障害者の創作活動に関する幅広い情報が求められていることが明らかになりました。「画材の選び方や作品の保管方法等のハード面、支援方法や指導者不足等のソフト面、契約方法や販売、所有権や著作権といった管理面の課題など、創作活動の支援について各施設が個別に抱えていることが分かった」と法人企画事業部の三浦千晃さんは話します。そのためRights(ライツ)では、相談事例や施設のニーズを踏まえ、研修等で関係者が課題を共有できる横のつながりも作っていきたいと考えています。
多方面から支援する
愛成会ではRights(ライツ)のほかに、モデル事業として4つの活動も展開しています。①創作活動をサポートする人材育成、②展覧会の開催、③ネットワークづくり、④作家の調査・発掘です。
これらの事業では、愛成会が今まで築いてきた地域との関わりを活かした活動を行っています。例えば、人材育成事業では、愛成会のアトリエpangaea(ぱんげあ)の活動を踏まえたワークショップを開催しました。このアトリエは、10年前から地域で暮らす障害者を中心に所属や年齢、障害の有無を問わず、地域住民も自由に過ごせる場所として毎月1~2回開催しています。その活動をさらに多くの人たちに知ってもらい、創作活動を支援する輪を広げることを目的として、人材育成の事業を実施しています。
また、中野区内の商店街と連携し、街全体を美術館としてアール・ブリュットを発信する取組みの経験を活かして、モデル事業の展覧会やネットワークづくりを進めています。「障害者の創作活動への支援は一団体で取組むのではなく、他職種や他団体、地域住民など様々な関係者と連携することが重要。そして権利に関する理解を広げていくと同時に、障害のある方の社会参加や自立につなげていくことを目指している」と小林さんは話します。
障害者の創作活動は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて今後さらに注目される分野となります。そのため、権利保護や創作活動支援を行うモデル事業から見えてくる可能性と課題を検討し、より充実した支援体制を構築することが求められています。

愛成会利用者が
描いた字を使った
今回の事業のロゴ

アトリエpangaeaでの創作の現場体験の様子

心の真ん中にある衝動Tokyo"Brut"展(品川)

 

 


平成27年度国および東京都予算案固まる

平成27年度国予算案


1月14日、平成27年度の国予算案が閣議決定されました。社会保障関係費は3.2%増となっています。平成26年4月の消費税増税による増収は8兆2千億円。そのうち1兆3,620円が「社会保障の充実」に充てられました。介護報酬は2.27%減に引き下げる一方、介護職員の処遇改善加算のみ増額するとしました。障害福祉サービスの報酬は据え置かれています。また、税制改正の大綱では、社会福祉法人を含む公益法人への課税は見送られました。さらに、同日、「保育士確保プラン」が発表されています。
子育て関係では、「子ども・子育て支援新制度」を施行させるとともに、「『子育て支援員研修制度』の創設」や「児童養護施設等の職員配置の改善」等が盛り込まれています。また、妊娠期から子育て期にわたる総合的相談支援拠点として「子育て世代包括支援センター」の整備が位置づけられています。
高齢者介護関係では、「改正介護保険法」を施行させ、生活支援コーディネーターの養成のための指導者研修の実施等を盛り込んだほか、「外国人への技能実習制度の見直し」を位置付けています。ました。また、「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」を改め、新たな総合戦略を策定するとしています。
生活困窮者関係では、「生活困窮者自立支援法」を施行させ、「新たな生活困窮者自立支援新制度を担う相談支援員等の養成」を実施するとともに、「生活保護の住宅扶助基準と冬季加算の見直し」、が盛り込まれました。また、遺族基礎年金を父子家庭も対象とします。
障害福祉関係では、「計画相談支援」の強化をすすめるとともに、「障害者の地域生活支援のための拠点等整備」をモデル事業で新規に位置付けています。


平成27年度東京都予算原案

1月16日、平成27年度東京都予算の知事原案が発表されました。福祉と保健は3.9%増。7.5%の都税収入の増とともに、既存事業の見直しによる財源確保額は前年度比1.6倍となり、新規事業325件が前年度比で1.8倍の数となっています。また、新たな7基金を創設し、「福祉先進都市実現基金」は400億円となっています。
高齢社会対策では、介護保険法改正に伴う「生活支援コーディネーター養成研修事業」、活発な企業活動等を活かした「多様な主体の地域貢献活動による地域包括ケアの推進」、「認知症支援コーディネーター事業」、「認知症支援推進センター設置事業」、低所得高齢者向けの「生活支援付すまい確保事業」などが新規です。
少子社会対策では、保育所の民間社会福祉施設サービス推進費補助を「保育士等キャリアアップ補助」と「保育サービス推進事業」に再構築しました。「保育従事職員宿舎借り上げ支援事業」、児童養護施設のない区市等での「サテライト型児童養護施設事業」「認定こども園新制度移行支援特別補助」(生活文化局)等が新規事業となっています。
障害者施策では、「短期入所開設準備経費等補助事業」、「就労支援機関等スキル向上事業」、福祉施設の自主製品を販売する「福祉・トライアルショップの展開」、「精神障害者早期退院支援事業」、「精神保健福祉士配置促進事業」等が新規事業です。
また、特別養護老人ホーム、老人保健施設、保育所、障害者(児)施設を対象に「借地を活用した施設設置支援事業」が位置付けられています。借地料の一部を5年間補助する事業です。
福祉人材確保では、「介護人材確保に向けた学校説明会の実施」、「介護職員キャリアパス導入促進事業」等が新規となっています。

 

 


【マンスリー】2014年12月26日~2015年1月25日

介護報酬
マイナス
2・27%

●政府は閣僚折衡で、9年ぶりに介護報酬を2015年度から2.27%下げることを決めた。介護報酬の上乗せ要因となる賃上げには1.65%分、千数百億円を回す。全国平均の介護保険料額は現在の4,972円から5,550円程度に上昇する試算。
また、東京都は介護職員の処遇改善を目的とする介護職員キャリアパス制度を導入した事業者に助成を行うことを決めた。       (1/11)


●障害基礎年金、更新時の減額が6割増える
●日本年金機構が開示したデータによると、国の障害基礎年金を受け取っている人が1~5年ごとの更新時に支給を打ち切られたり、金額を減らされたりするケースが2010~13年度間で6割増えていたことがわかった。        (1/5)
●「福祉貢献インフラファンド」を設立
●東京都は2015年度、保育所や特別養護老人ホーム等の施設整備を促すため「福祉貢献インフラファンド」を設立する方針を固めた。都が50億円を出資、民間にも出資を募って総額100億円規模のファンドを目指す。        (1/5)
●5人に1人が認知症に
●厚生労働省が公表した推計によると、全国の認知症者数は、2025年に最大で約730万人に上る。12年時点では約462万人で65歳以上の7人に1人だが、25年には5人に1人に増加。  (1/7)
●介護休暇制度を拡充
●厚生労働省は6月までに介護休暇制度の拡充案をまとめる。現在は家族1人につき原則1回に限っている休みを、分割して複数回取得できるようにする。16年に育児・介護休業法を改正し、17年の施行を目指す。          (1/9)
●自殺者数 5年連続減少
●警察庁と内閣府は、2014年の自殺者数(速報値)は前年比1,909人少ない2万5,374人だったと発表した。減少は5年連続。       (1/15)
●認知症のおそれのある人 運転免許制度見直し
●警察庁は、75歳以上の高齢者に対する運転免許制度を見直し、認知症の進行具合の確認強化する道路交通法の改正試案を公表。更新時検査で認知症のおそれがあると認定された人に、医師の診断を受けるよう義務化。       (1/15)
●保育士試験を年2回に
●厚生労働省は、保育士増加のための計画を公表した。2017年度末には約6万9千人の保育士が不足すると推計。現在年1回の保育士試験を年2回実施して受験しやすくする等の対策を盛り込んだ。                (1/14)
●6割が入所前に虐待された経験
●厚生労働省の児童養護施設入所児童等調査によると、児童養護施設で暮らす子どもの6割近くが、入所前に両親らに虐待された経験があることがわかった。入所理由で最も多いのも虐待で、過去最高の37.9%に上った。        (1/17)

 

 


【連載】

保育園の機能を
活かした親子広場

成城つくしんぼ保育園
「けやき広場」の取組み


昔は大家族で暮らす中、
祖父母等から自然と育児のノウハウが
伝えられてきました。現在は、核家族化がすすみ、
親と子だけで向き合う「密室の育児」が増えています。
今号では、保育園の機能を活かして
地域の親子広場を運営する、
社会福祉法人新川中原保育会
成城つくしんぼ保育園園長の
布川順子さんにお話を伺いました。


世田谷区にある成城地域は高級住宅街で有名ですが、都営住宅やマンションもあり、子育て家庭も暮らしている地域です。また、世田谷区は待機児が多い区でもあります。保育園に入園できず育児休業を延長した親や専業主婦など、様々な親子が生活しています。

地域とともに子どもを支える
社会福祉法人新川中原保育会は1985年に保護者・地域と職員が共同して運営する無認可の共同保育所を三鷹市でスタートしました。現在は、三鷹市の共同保育所は認可園となりました。世田谷区祖師谷と成城に認可園を開設し、計3園を運営しています。3園ともに地域の親子広場を常設で運営しています。
新川中原福祉会は、地域とともに子どもを支える保育を実践し、30周年を迎えました。子どもたちが心身ともにすくすく育ち、地域の人が子育ての喜びを共感しあいながら安心して預けることができるよう、誰でも気軽に立ち寄ってもらえる保育園づくりを目指しています。

相談になる前に「広場」で解決
保育園は、地域の子育て家庭の育児相談を掲げていますが、養育者が自分から電話をかけて相談するのはハードルが高く、あまり相談がないのが実態です。そこで、保育園の中に、いつでも・だれでも・訪れることができる「居場所」を用意し、保育士や親同士で話す中で、子育ての悩みが相談になる前に自然と解決できるよう、常設の広場を運営することにしました。成城つくしんぼ保育園園長の布川順子さんは「保育園には安心・安全に保育できる環境があり、保育の専門家がいる。地域の親子が訪れる『居場所』をつくりやすい」と話します。

ベテラン保育士を配置
成城つくしんぼ保育園が運営する「けやき広場」は、平日9時半から12時、13時半から16時まで開所しています。主任保育士を経験し退職したベテラン保育士2名を配置し、どんなことにも対応できるようにしています。専業主婦の親子や育休中の親子、母親だけでなく父親や祖父母が訪れることもあります。1日平均10組前後で、平成25年度は延べ4千人が訪れました。毎日訪れる人、人が多いと行きにくいから雨の日に訪れる人など、様々です。
広場では、離乳食や子どもが食べやすい料理教室を企画したり、おもちゃの手作り会のサークルもあります。広場の親子が自由に借りられる「けやき文庫」もあります。保育園で節分などの行事がある際は、広場の親子も参加しています。また、実際に保育園を利用してみる「保育体験」も行っています。
さらに、毎月小児科医に広場に来てもらい、子育てに関する様々な悩みを相談できる日を設定しています。その日に来られない親子は相談したい内容をメモにして事前に渡します。相談内容は、「爪はどうやって切ればいいの」「子どもが鼻そうじを嫌がるのですが…」など、病院では聞きにくい日常の些細な疑問もあります。

自然と子育てのノウハウを伝える
布川さんは「親は『自分の子育ては間違っていないのか』と常に不安を抱えている」と話します。けやき広場の職員は、絵本の読み聞かせ方を見せて伝えたり、子どもがおもちゃを上手に使えたときには「上手にできたね」とその場で優しく話しかけるなど、子育ての仕方を自然に伝えています。また、親が子どもへの声かけなどがスムースにできた場合は、集団の中でできたことを共有し、親の自信を育むことにつながっています。
また、広場では、室内に入ったら手を洗う、室内では靴を脱ぐ、挨拶をするなど、日常生活の基本的なルールを伝えるようにしています。密室で孤独に過ごす親子が増えていることもあり、けやき広場は社会のルールを伝える役割も担っています。

子育てに自信を持てる
広場を訪れた親子の変化について、布川さんは「子育てに自信が持てて、少し余裕が生まれる」と話します。同じ立場の親子が集い、日常の小さな悩みを話す中で、「不安を感じているのは自分だけではない」と思うようになります。月齢が高い子の様子を見て、自分の子どもの将来を想像でき、安心感が生まれます。
発達が気がかりな子がいた場合は、親と関係を築きながら関係機関につないでいます。また、親の様子が心配な場合は、丁寧に話を聞きながら関係機関と連携して対応しています。子ども家庭支援センター等から紹介され、広場を訪れる親子もいます。

地域の親子にとって必要だから
けやき広場は、法人が自主的に運営しています。布川さんは「地域の親子には、いつでも・だれでも集える居場所が必要と考えて運営している」と話します。広場の利用者がバザーの収益で滑り台を提供してくれたり、費用面で協力してくれています。
また、広場の運営をし始めたことで、地域の子育て情報が自然と入るようになりました。広場を訪れる親から「近所で虐待が起きているかもしれない」などの情報が入ったり、子ども用品が安いお店や親子連れで入れるお店の情報が集まるようになりました。

地域の声に耳を傾け、それぞれの法人・施設が持つ機能を活かした取組みが求められています。

 

広場を訪れた親の声

家庭にいるだけでは経験できない遊びをたくさん先生から教えていただき、子どもの世界観が広がっていくのがとてもうれしく、けやき広場があって本当に良かったです。小さな悩みもすぐに解決できて、毎日とても楽しく子育てしていられるのもこの広場のおかげです。
A君のママ

けやき広場では、いつも先生に笑顔で迎えていただき、育児についてのアドバイスをいただくことができました。他のママとも交流ができて、楽しい時間を過ごさせていただいています。毎日のように通っています。広場がなかったら、どのようになっていたか想像ができません。
B君のママ

 

Junko Fukawa
布川順子
社会福祉法人
新川中原保育会
成城つくしんぼ保育園
園長

木のぬくもりに囲まれた
居心地の良い
広場

自由に借りられるけやき文庫

社会福祉法人
新川中原保育会

1985年に無認可の共同保育所を三鷹市で開設。
三鷹市に1認可園、世田谷区に2認可園を運営。
3園ともに地域の親子広場を常設で運営している。
2014年に30周年を迎えた。

 

 


【東社協発】

特養介護職員充足状況に関する緊急調査報告

8割以上の施設が
人材不足への影響を懸念

都内の特別養護老人ホーム(以下、特養)では、利用者の重度化がすすみ、要介護4が平均です。職員配置基準では、利用者3人に対し、職員1人と定められています。しかし、都内の特養は重度化に対応するため、利用者3人につき、平均1・9人を配置しています。
平成26年12月に東社協東京都高齢者福祉施設協議会は「特別養護老人ホームにおける介護職員充足状況に関する緊急調査」を実施し305の特養から回答を得ました(各データは12月1日時点)。
調査では、都内の特養が介護職員の確保に向けて職員の処遇改善などに取組んでいるものの、約半数(47・5%)で職員不足が生じていることが明らかになりました。各施設では介護職員配置に関する指定基準を満たしているものの、重度化に対応する手厚い配置計画を満たすことができていません。職員不足の人数は「1~3人」が6割と最も多くなっています。
こうした職員不足への対応としては、「施設内行事の中止、制限等」が28施設、「特養入所の抑制」が9施設、「ユニットの閉鎖」が3施設となっています。また、施設がやむを得ずサービスの受入れ抑制や特養入所の抑制を行うことにより、在宅介護への負担が危惧されます。
さらに、約6割の施設で来年度の新規採用の実施が難しい状況にあることがわかりました。今後、職員の数を増やしていくための対策として、「給与処遇改善」(84・3%)、次いで「介護報酬地域加算の割合引き上げ」(76・1%)、「キャリアアップ制度の構築」(45・6%)が必要と回答しています。そして、8割以上の施設が「次期予算の介護報酬の減額は介護人材の確保に悪影響がある」と回答しました。
1月、政府は平成27年度の予算案を閣議決定しました。介護や医療に関わる社会保障費が1兆円増額するなか、介護サービスの公定価格である介護報酬は2・27%の引き下げとなりました。今後、要介護高齢者が更に増加するなか、報酬減額よる介護人材不足やサービスそのものへの影響も懸念されています。

 

シンポジウム

暴力・虐待を
未然に防ぐために
できること


児童・女性を支援している福祉施設・関係団体等を対象にシンポジウムを開催します。地域住民と連携して施設等が実践している暴力・虐待を未然に防ぐ取組み事例報告などを行います。
▽主催 東社協児童・女性福祉連絡会
▽日時 平成27年3月5日(木)
13時半~17時
▽会場 飯田橋レインボービル一階    CD会議室
▽内容
(1)基調報告
石渡和実氏(東社協 暴力・虐待を生まない社会づくり検討委員会委員長)
(2)施設等による4つの実践報告
①「二葉ホームスタート」
二葉保育園
②「かしわ塾・ちゃーはんの会」
母子生活支援施設かしわヴィレッジ
③「地域生活サポートシステム」
婦人保護施設いずみ寮
④「地域福祉コーディネーターの活動を通して見えたこと」
練馬区社会福祉協議会
▽申込・問合せ
東社協 児童・障害担当
TEL 03(3268)7174
FAX 03(3268)0635


第28回
都内相談機関研究協議会
を開催します


▽主催 民間相談機関連絡協議会、東京ボランティア・市民活動センター
▽日時 平成27年3月9日(金)     13時30分~16時30分
▽会場 東京ボランティア・市民活動センター会議室(〒162|0823 新宿区神楽河岸1|1 セントラルプラザ10階)
▽テーマ 「問題解決に導く相談について学ぶーケース検討の再構築―」
▽講師 中核地域生活支援センター「がじゅまる」センター長 朝比奈ミカさん
東京ボランティア・市民活動センター 所長/民間相談機関連絡協議会会長 山崎美貴子さん
▽対象 民間相談機関連絡協議会 会員 ※会員を優先しますが、定員に余裕のある場合は、一般(非会員)の方も参加できます。
▽参加費 会員 2千円、一般(非会員) 2千500円
▽定員
50名
▽締切 3月6日(金)※メールまたはFAXにてお申し込みください。
FAX 03(3235)0050
(メールボックス60番)
Mail:info@minsouren.org
HP:http://www.minsouren.org/

 

 


【部会】

身体障害者福祉部会

障害者が
安心して暮らせる
地域社会をめざして


身体障害者福祉部会には、身体障害者関連の施設や機関89か所(2015年1月末現在)が参加しています。施設入所支援や生活介護、就労支援を行う施設・事業所を中心にスポーツセンター、視覚・聴覚障害がある人のための施設や点字図書館など、身体障害に関わる幅広い仲間で活動しています。具体的には「地域福祉推進に関する提言」の作成に向けた調査研究、各事業所のサービスを向上させるための研修会、従事者同士の交流、部会員への情報提供などを行っています。
身体障害のある人を支える上で、最近課題になっていることのひとつに、障害の重度化と高齢化があります。そのため、私たちの会員施設の中には、看護師の配置を増やしたり、介護職員によるたんの吸引等の制度に対応したりと、様々な努力をしているところが少なくありません。部会ではそうした医療的ケアの調査を毎年行い、実態の把握に取組んでいます。医療的ケアについては、制度が整備された反面、曖昧だった部分が整理され、介護職員が行うことが難しい医療的ケアの内容もはっきりするなど、必ずしも取組みが広がる結果に結びついているわけではありません。しかしながら、部会ではこうした実態を行政や社会に伝えながら、重度の障害がある人の支援体制をどのように考えていくか、真摯に取組んでいます。
また、研修会は、「支援現場における接遇」「虐待防止」「支援現場の職員に対するメンタルヘルス」などをテーマに開催し、現場の職員がすぐに実践に活かせるような研修を目指しています。こうした研修を行うことにより、各事業所が孤立せずに、部会員全体が一緒にサービス内容を向上させることができるよう取組んでいます。
障害の一元化に伴い、私たちは他分野の障害関係団体とも連携して共通課題を整理しながら、障害のある利用者が、住みやすい地域社会を形成していく一翼を担えるように取組みを続けていきます。


〈次回は民間助成団体部会
です〉

 

 


【資料ガイド】

施策・会議資料
●『第4回高齢者の地域におけるリハビリテーションの新たな在り方検討会 資料』(厚生労働省/11月/URL http://www.
mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000064454.html)
●『第2回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会 資料』(厚生労働省/11月/URL http://www.mhlw.go.
jp/stf/shingi2/0000065769.html)
●『ひとり親家庭等の在宅就業支援事業評価検討会報告書~ひとり親家庭等の在宅就業支援事業の評価と今後の在宅就業支援の在り方について~』(厚生労働省/8月/URL http://www.mhlw.go.
jp/file/06-Seisakujouhou-1190000
0-Koyoukintoujidoukateikyoku/000
0054737.pdf)
平成26年3月から7月にかけて検討した結果をとりまとめたもの。
●『第14回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」資料』(厚生労働省/12月/URL http://www.mhlw.go.jp/stf/
shingi2/0000069299.html)
●『平成27年度介護報酬改定に関する審議報告』(厚生労働省/1月/URL http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000070816.html)
平成26年4月より17回にわたって審議を重ね、事業者団体ヒアリングを実施。これに基づき、平成27年度介護報酬改定に関する基本的な考え方をとりまとめたもの。
調査結果
●『母子保健に関する世論調査』(内閣府/9月/URL http://survey.gov-online.go.jp/h26/h26-boshihoken/
index.html)
今後の施策の参考とするために、母子保健に関する国民の意識(妊娠などに関する認知、育児に関する認知、地域での子育てに関する認知)を把握する目的で行った調査。
●『平成25年介護サービス施設・事業所調査概況』(厚生労働省/10月/URL http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/service13/index.html)
全国の介護サービス利用状況や職員配置状況、利用者への提供内容などを把握し、今後の介護サービス関連施策の基礎資料を得る目的で、介護保険制度における全ての施設・事業所に対して行った調査。
●『東日本大震災における震災関連死の死者数(平成26年9月30日現在調査結果)』(復興庁/12月/URL http://
www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat2/sub-cat2-1/20141226_
kanrenshi.pdf)
各地方公共団体の協力を得て、東日本大震災における震災関連死の死者数(平成26年9月30日現在)を調査したもの。
●『第2回日本人の就業実態に関する総合調査』(独立行政法人 労働政策研究・研修機構/11月/URL http://www.jil.
go.jp/press/documents/20141125.pdf)
就業形態の多様化が進む中で、日本人の働き方の実情を体系的、継続的に把握することを目的とした調査で、2010年に続けて2回目。調査項目は、就業率、就業形態等の就業構造や労働時間、賃金、能力開発、職場、労使関係、転職状況、副業、満足度、生きがい等の就業意識など、幅広く就業実態に関わる項目を網羅。今年度調査では、「パワーハラスメント」「メンタルヘルス」を特別テーマとして取り上げた。
その他
●『小規模事業者のための職場研修の手引』(発行:東京都福祉保健局 編集:社会福祉法人 東京都社会福祉協議会/11月/URL http://www.tcsw.tvac.or.
jp/activity/kensyu.html#tebiki)
小規模な事業所が自らの手で研修の企画・運営ができるよう、これまでの成果を反映し、職場研修づくりの手順を一からまとめたもの。ページの順に沿って取組み、作成例や付録の様式を活用して、専門的な知見に裏付けられた体系的な職場研修をつくりあげることを目的としている。

 

 


【明日の福祉】

会員の枠組みにとらわれず
障がい者の支援を考えていく

中村雅彦

公益社団法人福島県視覚障がい者福祉協会 専務理事

中村雅彦さんは特別支援学校の教諭等、福島県で障がい者の教育と福祉に携わってきました。東日本大震災で教え子が犠牲になったことをきっかけに、震災で避難が困難だった方や犠牲になった方のご遺族等への聞き取り調査を始め、現在は被災した障がい者の支援活動を行っています。

なかむら まさひこ

1946年福島県生まれ。公益社団法人福島県視覚障がい者福祉協会専務理事及び福島県点字図書館館長、福島県視覚障がい者生活支援センター長を兼任している。長年にわたり障がい者の教育と福祉に従事。

私は福島県で特別支援学校教諭として勤務した後に、福島県教育庁や県立養護学校及び盲学校の校長、県立養護教育センター所長、桜の聖母短期大学教授など長年にわたり、障がい者の教育と福祉に従事してきました。
避難が難しい障がい者への
聞き取り調査を始める
東日本大震災の直後、これまで関わってきた多くの教え子たちの安否が気になり、安否確認と支援を始めました。数十年ぶりに会う教え子たちは、堰を切るように話をしてきて、震災及びその後の避難生活で相当のストレスを感じていることが伺えました。そんな矢先に、教え子の悲報が届きました。避難が困難である障がい者の支援を訴えるためには多くの事例が必要であると感じ、2011年4月から津波で犠牲になった障がい者のご遺族や関係者等への聞き取り調査を始めました。障がい者は例え住み慣れた家であっても、地震で物が倒れたたけで玄関に行くことすら困難になります。あと少しの支援があれば助かった例が次々と浮かび上がってきました。
これらの聞き取りを事例としてまとめるとともに、その中で見えてきた問題や、それを解決するためのヒントを提言という形で掲載して、「あと少しの支援があれば―東日本大震災 障がい者の被災と避難の記録―」(ジアース教育新社)を2012年2月に発行しました。
小さな単位の組織が障がい者を助ける
私は、震災直後の2011年4月から福島県視覚障がい者福祉協会の専務理事に就任しました。それと同時期に開始した聞き取り調査を通して、災害時の協会のあり方について考えさせられました。なぜなら、大規模な災害が発生した時に障がい者を助けるのは、地区レベルの協会や家族会など小さな単位の組織だということが見えてきたからです。
災害時の救助や安否確認を自治体で行うにはとても時間がかかります。また、県レベルの大きな団体が震災直後にできたのは安否確認程度で、各地の状況を把握するのが難しく、震災情報の提供や生活支援に乗り出すまでには時間がかかりました。地区レベルの組織であれば、地区内の詳細な情報をすぐに提供できるとともに、避難者を直接支援しに行くことができます。ですから私は、県レベルの協会から細分化した下部組織を構成し、(下部組織を持っている場合でも)下部組織が非常時にいつでも機能するように予算や権限を持たせておく必要があると感じています。
会員の枠組みにとらわれず
支援していく
現在、福島県内には視覚障がい児・者が約6千人いると把握しています。そのうち、福島県視覚障がい者福祉協会の会員は240名です。協会に属していなくても多くの情報が得られる時代なので、組織離れについて考えなければなりません。しかし、私は会員以外の方に対しても必要な情報を積極的に届けるべきだと考えています。特に、視覚障がい者は普段から様々な情報をテレビやラジオ等から入手しています。しかし、災害時には電気が止まってしまい情報が入らず、その場から動くことのできなかった方がいました。非常時のための対策を協会として考え、提供しておく必要があると思います。会員の枠を越えて、どこにも属していないような方とどうつながっていくかと考えておくことがとても重要で、協会はそのためにあると私は思っています。それが結果として会員ではない方からも必要とされ、協会の存在意義となるのではないでしょうか。
今後の展望
まずは協会外部の意識改革のため、県民を巻き込んだ事業と広報に取り組んでいます。また、県内の他の障がい者団体等との交流の必要があると感じています。震災を機に、1つの団体よりは、大きな組織で社会に訴える方が効果的なこともあると感じたからです。福島県内には障がいごとの多くの団体があるので、交流の機会を増やす努力をしています。
個人としては今後も、障がい者の生活の安定を願って支援に取り組んでいきます。福島県には、原発事故の影響で自宅に戻れない障がい者が2500人以上はいると把握しています。住む場所は違っても、仲間との交流や食事、運動、買い物など震災前の生活に少しでも近づけるよう支援をしていきたいと思います。

 

 


【図書ガイド】

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⑤藍染かつら/2,592円
⑥どっか~ん/2,592円
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【アンテナ】

助成金


杉浦地域医療振興助成

申込締切 2月28日 助成対象 国内で活動実績を有する個人又は団体 助成金額 300万円(1件1団体あたり)助成内容 医療従事者等の多職種が連携して、地域包括ケアを実現しようとする活動や研究への助成 申込方法 申請書をメール添付にて送付 申込・問合せ先 杉浦地域医療振興財団 ・0566(72)3007
info@sugi-zaidan.jp
http://sugi-zaidan.jp


講座・シンポジウム

精神障がい者の生活の
しづらさ
その実際と理由を探る

日時 2月18日※申込不要 場所 都庁第一本庁舎5F大会議場 定員 500名 内容 井藤佳恵氏(精神科医師、東京都健康長寿医療センター研究所研究員)、稲葉剛氏(自立生活サポートセンターもやい理事、埼玉大学非常勤講師)による講演 問合せ先 地域生活支援センターあさやけ・042(345)2077、NPO法人わくわくかん・03(3906)9997、東京都福祉保健局精神保健・医療課・03(5320)4464

メンタルヘルスの集い

日時 3月7日※申込不要場所 有楽町朝日ホール 定員 600名 内容 特別講演:「わかったようでわかっていない大人の発達障害」加藤進昌氏(公益財団法人神経研究所理事長、昭和大学発達障害医療研究所長) フォーラム:「もっと知ってください!私たちのこと~発達障害者のニーズと理解~」提言者:渡壁典弘氏(大学職員、東京大学農学生命科学研究科)、村上由美氏(言語聴覚士、認定コーチングスペシャリスト )、シンポジスト:石隈利紀氏(筑波大学副学長・附属学校教育局教育長)、加藤潔氏(はるにれの里札幌市発達障害者自立支援センターゆい所長)、堀江まゆみ氏(白梅学園大学子ども学部発達臨床学科教授)、コーディネーター:市川宏伸氏(東京都立小児総合医療センター顧問)、総合司会:池田真理氏(東京大学大学院助教) 問合せ先 日本精神衛生会
・03(3269)6932

認知症の人の
新しい居場所づくり!!
地域でともに暮らしていくために

日時 3月7日 場所 全水道会館会議室 定員 90名(先着) 参加費 5,000円内容 第1部「認知症カフェの実践 普通に認知症を語りたい」西澤恵氏(認知症介護者のおしゃべり会主宰)、「若年認知症家族会の活動報告」田中悠美子氏(若年認知症家族の会ねりまのMARINE)、第2部「認知症の理解を深める 本人を地域で支えるために」斎藤正彦氏(東京都立松沢病院院長) 申込方法 下記ホームページの申込用紙に記入の上、FAXで申込申込・問合せ先 若年認知症サポートセンター事務局(干場・遠藤) 03(5368)1956
http://jn-support.com/

初期認知症対応研修会

日時 2月22日 場所 TKP大手町カンファレンスセンターホール22G 定員 240名 内容 講義①「認知症の人の支援における最近の動向」②「初期認知症にみられる行動・心理症状の理解と対応の基本」③「初期認知症の人の生活の支障とアセスメントの重要性」 シンポジウム「初期の認知症の人に対する在宅支援での作業療法士への期待」 申込方法 下記ホームページより 申込・問合せ先 日本作業療法士協会事務局 ・03(5826)7871
https://ssl.form-mailer.jp/
fms/7d41d286271105

障害者権利条約と障害者差別解消法について

日時 2月27日 場所 昭島市保健福祉センター(あいぽっく)4F講習室 内容藤岡毅氏(東京弁護士会・藤岡毅弁護士事務所)による講演 申込方法 下記ホームページより 申込・問合せ先 自立生活センター昭島
http://ws.formzu.net/fgen/S23571225/

罪に問われた障害者への
社会的支援

日時 2月28日 場所 上智大学四谷キャンパス12号館102号室 定員 240名 参加費 東京社会福祉士会の会員・学生:1,000円、他道府県社会福祉士会の会員:1,500円、一般:2,000円 内容 基調講演『社会で支えることの意味―「共生社会を創る愛の基金」がめざすもの』講師:村木厚子氏(厚生労働省事務次官) シンポジウム「社会的支援のさまざまな取り組み」シンポジスト:小畑輝海氏(更生保護法人両全会理事長)、石川恒氏(社会福祉法人紫野の会・知的障害者支援施設「かりいほ」施設長)、浦崎寛泰氏(東京エリア・トラブルシューター・ネットワーク代表、弁護士、社会福祉士)、村木厚子氏(同上) コーディネーター:松友了氏(東京社会福祉士会理事、関西福祉大学客員教授、保護司) 申込方法①氏名②住所・電話番号・メールアドレス(自宅か職場か明記)③職場名④会員・非会員かを明記の上、メールで申込 申込・問合せ先 司法福祉委員会事務局 ・03(6907)0511
info.tcsw.shihoufukushi@gmail.com

みんなねっとフォーラム2014
「本人と家族が安心して生活していくためには」

日時 3月6日※申込不要場所 津田ホール 定員 490名 内容 講演『精神障がい者の「住まい」を考える~英国の居住支援から学ぶ~』上野勝代氏(神戸女子大学家政学部家政学科教授) シンポジウム「英国メリデン版訪問家族支援を日本で実現するために…」シンポジスト:宗未来氏(〈独〉国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター、精神科医師)、上久保真理子氏(ぴあクリニック、精神保健福祉士)他、コーディネーター:佐藤純氏(京都ノートルダム女子大学准教授) 問合せ先 全国精神保健福祉会連合会
・03(6907)9211

面接・電話場面における
対応と関わり方を学ぶ
いじめ・不登校・ひきこもり・
親子関係の確執・他

日時 2月21日 場所 成城ホール4階集会室 定員50名 参加費 一般:3,800円、学生割引(25歳未満)・職場団体割引(5名以上):1,800円、学校団体割引(5名以上):1,700円 申込方法 下記ホームページの申込用紙に記入し、郵送・FAX・メールで申込 申込・問合せ先 日本子どもソーシャルワーク協会 〒157-0066 世田谷区成城2-29-1203(3416)6994
swkoza@jcsw.jp
http://www.jcsw.jp/seminar.html


その他

手話通訳者養成講習会

申込締切 3月15日(消印有効) 日時 5月20日~2016年3月16日の毎週水曜場所 オリンピック記念青少年センターほか 定員 ①手話のできる都民育成講習会120名②地域クラス180名③通訳者クラス60名④指導者クラス60名 申込方法 下記ホームページの申込書に記入の上、郵送。※選考試験あり 申込・問合せ先 東京手話通訳等派遣センター 〒160-0022 新宿区新宿2-15-27第3ヒカリビル5F ・03(3352)3335
http://www.tokyo-shuwa
center.or.jp/
東京都福祉保健局生活支援課
・03(5320)4147

事例研究発表会

申込締切 2月13日 日時 2月24日 場所 野方区民ホール 内容 障害者(児)施設事例発表、基調講演申込方法 ホームページより申込・問合せ先 東京都社会福祉事業団事務局施設経営係
・03(5291)3614
http://job-gear.jp/jigyo
dan/index.htm

 

 


【くらし】

仲間と過ごす場所が
あるから、毎日が
楽しい。

社会福祉法人ネット
「仲間の家」の活動を通して
アルコール依存症と
向きあう、
土屋好美さんに
お話をうかがいました。

土屋さんは一人暮らしをしていた65歳のとき、アルコール依存症と診断されました。そこでアルコール依存症者を対象とする作業所「仲間の家」の利用を検討しましたが、65歳という年齢から「介護保険優先の原則」により障害福祉の専門的なサービスを受けることができませんでした。(「介護保険優先の原則」は障害者総合支援法第7条に規定があり、サービスの重複する場合は介護保険の適用が優先される)。
そこで、土屋さんは利用者ではなく「お試し通所」という立場で「仲間の家」に半年間通いました。今はソーシャルホーム(無料低額宿泊施設)で生活し、寮の手伝いに積極的に取組む毎日ですが、「仲間の家」との関わりも続いています。
●「仲間の家」で、夢中になれる
ものづくりに出会えた
平成24年に東村山市のケースワーカーさんから「仲間の家」を紹介された時は、「つまらなければ二度と行かなければいいんだ」と、軽い気持ちで見学に行きました。ところが、ここの人たちはみんな楽しそうに作業をしていて、ほとんどの人がアルコール依存症をかかえているとは信じられませんでした。その雰囲気にひかれ、私もひとりの仲間として、ここでものづくりに取組むようになりました。
今は、ビーズやレースなどで木製の箱や額縁を飾って、宝石箱や壁にかける飾りを主に作っています。あまりにも作品がかわいらしいので、バザーに出店して、「これは私が作ったんだよ」と言うと、みんなにびっくりされます(笑)。色々な所をまわって材料を仕入れるところから、デザインを考え、小さなビーズをつまようじで一つひとつ糊付けする作業まで、すべて自分でやっています。亥年の生まれだからか、イノシシのように飽きっぽいけれど、夢中になってやっていますよ(笑)。
こうして自分の作品が認めてもらえることは本当にうれしいし、生きがいでもあります。「仲間の家」で、好きなことができることにとても感謝しています。
●アルコール依存症には
まわりの理解も必要
アルコール依存症について、社会の理解がすすんでいないと感じます。アルコール依存症になると、飲酒の量をコントロールするブレーキが完全に壊れてしまいます。
私のまわりにも「もう何年も断酒してるんだから、少しくらいいいだろう」と友人に言われてお酒を飲んでしまい、再び大量の飲酒を繰り返すようになった人たちがいます。私自身もひとり暮らしをしたら、またやめられなくなると思いますよ。今は寮生活と「仲間の家」に支えられて、2年間お酒を飲まない生活を送ることができています。自分ひとりの努力だけでなく、まわりの理解や協力がとても重要だと感じます。
●会話を大事にしている
現在、寮では朝5時に起きて、調理担当の職員が来る前に30人分の食器をならべたりしながら、準備をしています。夕食の準備や寮の掃除などもしているから、結構忙しいんですよ。
寮ではいろいろな人たちが生活しています。私は話をするのが好きだから、つい元気よく話しかけてしまうけど、相手のペースにあわせて接しなくてはいけないですね。それでも、会話をすることは大切だと思います。「仲間の家」の活動でもいろいろな人と話をして充実感をもつことができていますし、これからも続けていきたいと思います。


社会福祉法人ネット
仲間の家

日本で最初のアルコール依存症者の作業所として、東村山市に平成2年に開所された。平成24年から就労継続支援B型の施設として、ショッピングバッグ作り等の下請け仕事をベースに、手すきはがきやアロマ製品等、利用者の個性を尊重した自主製品の製作を行っている。
連絡先:042-392-5060

 

 

【新刊】

介護等体験マニュアルノート
〔2014年12月改訂版〕

●介護等体験に対する理解を助け主体的な学習を促進することを目的に刊行したマニュアルノートを、このたび改訂版を発行しました。「介護等体験の目的と概要」「介護等体験のしくみと準備」「体験中のいろは~」「ワークシート・各種様式」などを掲載しています。
◆規格 A4判/67頁(ファイル付き)
◆定価 648円 (税込み)


生活相談員のための
ショートステイマニュアル

●ショートステイあり方検討委員会では、相談員や多職種の方々にもっと理解してほしいと思い、ショートステイマニュアル作成小委員会を立ち上げました。相談員は、ショートステイのプロとして基本的な知識の習得や、リスクマネジメントの視点などが必要不可欠と考え、本書は振り返りとしても活用いただけます。CD-ROMつき。
◆規格 A4判/94頁
◆定価 1,404円 (税込み)


社会福祉施設のための
ボランティア・コーディネーション
ガイドブック

●ボランティアの協力を得るために、ボランティアをどのように迎え、効果的に活動し、継続的な支援者になってもらえばよいのでしょうか。社会福祉施設におけるボランティア受入れの基本的な流れ、地域と連携したボランティア・コーディネーションの方法について紹介しています。
◆規格 A5判/80頁
◆定価 1,080円 (税込み)

月刊「福祉広報」

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