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福祉広報 2015年11月 683号 テキストデータ


【表紙】


社会福祉NOW

大島土石流災害から2年
いまだから大切な福祉


トピックス
●さぽ☆どり ドリームプラン・プレゼンテーション
●でたでたDATA 三宅村の帰島から10年

連載 社会福祉法人の社会貢献・地域貢献⑧ 聖ヨハネ会(小金井市)
●人としての尊厳を守るフィッティングサポート

明日の福祉を切り拓く 副島賢和さん
●傷ついた子どもたちを支える『通訳』になる

 

長野県 信濃町
豊かな森の樹の上、
ツリークライミングで遊ぶ子供たち。
緑の中で空に近づく楽しさは格別だ。

 

 


【NOW】

大島土石流災害から2年
今だから大切な福祉

平成25年10月16日未明、
台風26号による豪雨により
東京都大島町では大規模な
土石流災害が発生しました。
あの日から2年。行方不明者3名の捜索は
現在も続けられています。
応急仮設住宅で暮らす方は、
復興住宅の完成に伴い生活環境が変わる
大きな節目の時期を迎えようとしています。
福祉施設では、大規模災害に備えるための
取組みが継続して行われています。
本号では、土石流災害から2年を迎えた
大島の状況をお伝えします。


現在、大島町では、28年2月の完成にむけて島内2か所で復興住宅の建設がすすめられています。応急仮設住宅で生活する23世帯のうち、21世帯が入居の意向を示しています。町の復興計画では、4つの柱が掲げられ、地域基盤とインフラの復旧・機能強化や復興まちづくりが行われています。
先を見通せる大切さ

沢沿いの自宅が土石流の被害に遭った澤田吉雄さんは、町が検討している沢の拡張工事に伴い、自宅が立ち退き対象になる予定です。自宅に流れ込んだ土砂の片づけは終わり、当初は修理して住むことを考えていました。しかし、立ち退き後の代替地がまだ示されていないため、修理も建て直しもすることができない状況です。被害の少なかった離れの2階に住みながら町の検討の行方を見守っています。「沢の拡張も町のことを考えたら仕方がないからな…」と、自分の意思だけでは前に進めない複雑な心境をのぞかせます。
大島社会福祉協議会(以下、大島社協)では、26年4月より生活支援相談員を2名配置しています。応急仮設住宅等へ巡回訪問等を行ないながら、町で生活する住民の生活上のニーズを把握し必要なサービスにつないでいます。大島社協が毎月発行する「かわら版」は、応急仮設住宅と併せて、被害が大きかった地区を中心に戸別配布しています。町のお知らせやイベント情報と共に、復興住宅建設の様子を写真で伝える等の工夫がされています。生活支援相談員の草野圭孝さんは、「集合住宅や家賃などを初めて経験する人が多く、町での生活環境も大きく変わっている。先のことが考えられない不安を軽減するためにも、正確な情報を少しでも早く伝え、住民自身が今後の計画を立てたり選択ができるようにしている」と話します。
大島社協では、被災者支援に関して、町と定期的に「大島町被災者生活支援連絡会※」を開催しています。復興計画に関する町の検討状況や、決定事項を確認できる場です。そして、気になる住民について専門職と情報を共有できる場でもあります。草野さんは「被災者と同様に支援側にも、今後の支援の先を見通せる情報が必要」と指摘します。
いまなお選択や決断を迫られる

29年前の昭和61年(1986年)、大島では三原山が噴火し全島避難を経験しました。約1万人の島民はおよそ1か月間避難生活を送りました。
2年前の土石流災害では、死者36名、行方不明者3名、全壊建物137軒という甚大な被害を受けました。しかし、その被害は元町神達地区を中心に局所的に発生したもので、発災直後から島民の中には災害に対して温度差がありました。2年経った現在では、その温度差がより顕著になってきています。
澤田さんや応急仮設住宅で生活している方のように、2年が経過するいまなお、様々な場面で選択や決断を迫られている方がいます。その一方で、発災直後から特に日常生活に変化がなかった方や、2年が経過する中で既に以前の日常に戻った方もいます。島内でも災害への関心が薄れるなど、大島では、いま難しい時期を迎えています。
新しい大島の力

以前の大島にはボランティアセンターがありませんでした。2年前の土石流災害時には、災害ボランティアセンターが立ち上げられ、都立大島高校の生徒や都内で暮らす大島出身者など、特に若者の関わりが大きな力となり住民を元気づけました。大島社協ボランティアセンター副センター長の鈴木祐介さんは、「これまで大島の若者には、地縁系の青年会のようなつながりしかなかった。災害をきっかけに、20~30代を中心としたボランティアグループが立ち上がったのは新しい動き。社協が開催するふくし祭り等のイベントを共催するなど町を支える力になっている」と話します。
また、25年11月に住民の交流の場として避難所で開始された「あいべぇ」は、現在も応急仮設住宅内の集会場で行われています。そして同時期に、町で生活する住民のために元町2丁目のふれあい館で始めた2か所目の「あいべぇ」は、大島社協としては27年3月をもって終了させる予定でしたが、「知っている人から友達になれる」と住民から大切にされる場所になり、運営を住民が引き継ぎ、現在も週一回開催されています。
土石流災害の教訓をふまえた取組み
― 大島老人ホーム

2年前の土石流災害では、大島老人ホームは都内で初めて福祉避難所を設置して要配慮者を受入れました。これまで大島では、災害時に開設する福祉避難所は大島老人ホームと町の2か所でしたが、現在は新たに町の施設がもう1つ指定されています。避難指示や勧告が発令された場合、要配慮者は町の施設に避難します。そして、専門的な支援が必要な方を大島老人ホームで受入れる流れです。大島老人ホームでは、ショートステイ枠やデイサービスを縮小しての受入れを検討しています。
大島老人ホーム施設長の藤田竹盛さんは、「2年前の教訓をふまえ、町と連携を密にして体制づくりをすすめている」と話します。まずは、町と締結している「災害時配慮者の避難支援等の協力に関する協定書」を見直しました。要配慮者の範囲は、要支援・要介護に加え、一人暮らし高齢者及び高齢者のみ世帯を追加しました。また、町の施設が福祉避難所になった場合においても、車両要請があれば送迎の応援を行うことにしています。大島では車椅子対応の車両は少なく、要配慮者の状態を把握している法人職員が対応した方が安心なためです。実際に26年2月に大雨により避難勧告が発令された際にも、事前に町から大島老人ホームに連絡が入り、要配慮者を福祉避難所へ送迎しました。そして、福祉避難所の運営については、町が看護師や介護員、ボランティアの確保を行うよう取り決めています。
命を守るための備え

2年前の土石流災害では、大島老人ホームの機械室の排水溝から水が逆流し床上浸水しました。その時の教訓をふまえ、町の補助により大型の非常用発電設備を設置し、施設予算で自動排水設備を設置しました。藤田さんは「電気が使えなくなると、照明、ポンプ、冷暖房、トイレ、エレベーター等の全てが使えなくなる。利用者の安全、福祉避難所で受入れた要配慮者の命を守ることが施設の使命」と話します。
備蓄品の変更も行いました。これまで、3日間の朝・昼・晩の食事は、それぞれ別のものを確保していました。災害時の食糧は ”その場をしのぐためのもの“と見直し、食のレパートリーを減らし、3日分の備蓄を5日間分に増やし、保管場所を2か所とし、米は300キロを確保しています。
また、土石流災害を想定した訓練を実施しています。山側から流れてくる土石流から逃れるため、山側の棟の利用者を海側の棟に避難させ、防火扉と土嚢で流入を防ぎ、山側の居室の掃き出しを開放し土石流を流すようにしました。それ以外にも、災害時は自宅へ帰ることが難しくなるため、2~3日分の着替えをロッカーに保管するようにし、泊まり込み訓練や連絡網訓練も実施しています。藤田さんは「災害時に幹部職員が不安になると職員に不安が伝わってしまう。そして、利用者の生活も不安定になる。皆が落ち着いて行動できるよう冷静な対応と心構えが必要」と指摘しました。
要配慮者の情報を町と共有

大島町地域包括支援センターでは、要介護・要支援認定者、独居高齢者、高齢世帯等の避難時に必要な援助(歩行状態、移動手段、排泄状況、認知症の状態)について、ケアマネジャーや介護事業者、社協、民生児童委員等と連携しながら、情報収集しています。集めた情報をもとに名簿を作成し、町担当課と実際の避難方法について協議しています。災害に備え、早め早めに住民に情報提供するように心がけています。
●    ●    ●
大災害から2年を迎えた大島は、島民の力に支えられながら復興にむかっています。その中で、住民に寄り添い、住民の命を守るため、今だからこそ福祉の力が求められています。


※大島町被災者生活支援連絡会(毎月1回定例開催)
大島町 ・福祉けんこう課(子ども家庭支援センター)
・土砂災害復興推進室
東京都 ・大島支庁総務課福祉係(福祉事務所)
・島しょ保健所
その他 ・大島社会福祉協議会(生活支援相談員)
・担当地域の民生児童委員


岡田地区の復興住宅建設現場

澤田吉雄さん宅。
自宅の片づけは終わったが、
沢拡張の検討を見守る

ふれあい館での「あいべぇ」
「あいべぇ」は伊豆大島の方言で
「行こう!」と言う意味

町で唯一の
大島老人ホーム
施設長の藤田竹盛さん

 

 


【トピックス】

福祉の魅力を語り、
輝く個性で未来を拓く

 

ドリームプラン・
プレゼンテーション
2015

「応援」と大きく書かれた幕を背に、7名のプレゼンターが、それぞれの夢への一歩を踏み出しました。
今年も知的・発達障害者の福祉に携わる人たちが、自分の実現したい理想の福祉について語る、「知的・発達障がい者福祉サポーターズドリームプラン・プレゼンテーション2015(以下、さぽ☆どり。同名実行委員会主催)が、9月26日に、文京学院大学仁愛ホールで開催され、7名が登壇しました。さぽ☆どりは、「障がいがあってもその人らしく幸せに生きていける世界」を目指して平成25年にはじまったイベントです。当日は福祉関係の仕事に就く人、福祉を専攻する学生なども含め、約300人が集まりました。
さぽ☆どりのプレゼンテーションには4つのルールがあります。①説明は禁止。10分間のストーリーで語ること、②映像も音楽もオリジナルのものを使用すること、③プレゼンターが自分の声で、ひとりで語ること、④プレゼンター一人ひとりに、夢を叶えたい「あきらめない理由」があることです。
生まれてきてくれてありがとうと
世界中の人に伝えたい
知的障害者のヘルパーをしている渡辺類子さんは、知的障害を持った少年を支援した実体験を語りました。少年は3歳の時に障害があることがわかりました。少年のお父さんは息子の将来を心配し、毎日たくさん勉強を教えました。お母さんは息子との関わり方がわからず悩んでいました。少年は障害を持ったことをきっかけに、笑うことを忘れ、いつの間にか声が出なくなってしまいました。そこで、渡辺さんが少年の支援をすることになりました。
渡辺さんは、常に笑顔を絶やさずに少年を受け止めました。たくさん言葉をかけながら、楽しい経験をともにし、勝負するときはもちろん本気で向き合います。産道体験(お母さんのお腹の中を擬似体験する)を行い、お母さんのお腹の中で、はじめは米粒ほどだった命が少しずつ大きくなり、やっと生まれてくることや、少年がどれほど両親に愛されて生まれてきたのかを伝えました。少年が笑顔を取り戻してくれた時のことを思い出し、「笑顔は心を開く鍵。人が笑うことでこんなに感動することはなかった」と話しました。
渡辺さんは、何かの理由で傷つき、「生きていていいのかな」と悩んでいるすべての人に対して伝えたい思いがあります。自分の心と体は自分のものであること、自分はお母さんのお腹の中にいる時からずっと愛されているということを、産道体験により、感じてほしいのです。そして、世界中のすべての命に対し「あなたは大切な人です。世界を幸せにできます」というメッセージを伝えること、すべての命を祝福し、すべての命が、生きていく未来が楽しみな社会にすることが夢であると語りました。
「体験こそ理解への第一歩」
障害への理解が広がる社会へ
田中博巳さんは、自分の子どもが障害を持っていることから、「障がいを持つ子の親として、子どもの未来をよりよくするための活動をあきらめるわけにはいかない」と強い決意を持って、「ちょこボラ」という事業について提案しました。障害者と社会の接点を増やし、地域社会に理解があれば、障害者とその家族が暮らしやすい社会になるという思いがあったからです。
「ちょこボラ」とは、企業が毎月1回、社会貢献や社員教育を目的に、社員を平日の午後にボランティアとして地域の障害者施設に派遣し、実際に障害者のサポートを行うことで、支援や理解の輪を広げる取組みです。派遣された人が、体験した事を自分の家族、友人、同僚などに話すことで、理解が広まり、障害者サポーターやボランティア、障害者雇用が増えていきます。ちょこボラで体験した事が、「困っている人を助けたいけれど、あと一歩勇気が出ない」という人の背中を押してくれるきっかけになることを目指します。田中さんの夢は、障害を持つ人も持たない人もお互いに助け合い、成長できる社会が広がっていくことです。
壁のない暮らしやすい社会で、
その人らしく生きるために
藤波永子さんは、障害を持つ弟と一緒に外出することが恥ずかしかった経験がありました。家族でレストランに行ったとき、テーブルマナーがわからず落ち着きがない弟を見て、一緒に外食はできないと感じました。しかし、藤波さんが福祉施設で働くようになり、障害を持っている人でも、社会で活躍できる可能性を感じました。弟にも、テーブルマナーを教えてみると、覚えてくれました。一緒にレストランに行けることがわかったのです。そこで、障害を持つ人でも自分の夢を持ち、社会で活躍できるように支援をしたいと考えました。藤波さんは、障害者にマナーを教えたり、コミュニケーション能力を磨いたり、職業訓練をする機会を提供するNPO法人を作り社会で活躍できる人に育てていくことが夢です。

プレゼンターが、自分の描く夢や実現したい事業について発表を終えると、7名の熱い思いに会場からは共感と応援のあたたかい拍手が送られました。
福祉に携わる人の夢を聞き、障害者福祉について前向きな気持ちになる1日になりました。今後もこのようなイベントが広がり、継続されていくことが期待されます。

 

 


【データ】

三宅村の帰島から10年、
38.2%の高齢化率と17人の新一年生

平成12年の噴火災害に伴い三宅島では、島民が全島避難しました。4年5か月の避難生活の後、平成17年2月1日に避難指示が解除されて帰島を果たして今年で10年になります。9月16日には沖ヶ平地区の規制が解除され、これにより帰島後も続いていた居住地区での規制が全て解除されました。
住民基本台帳による三宅村の人口の推移は、図のようになっています。ただし、これは住民基本台帳による人口数です。
帰島直後の人口は住民基本台帳では3,163人ですが、村が行った「帰島状況確認調査」では人口は2,158人で帰島割合は67.6%となっていました。
噴火前に29.0%だった高齢化率は、今年の1月現在で38.2%で、これは、島嶼地域の中でも極めて高い高齢化率となっています。噴火前にはそれぞれ3校ずつあった小学校と中学校は、現在は小中学校の統合校が1校となっています。それでも、本年度は17人の新小学一年生が同校に入りました。
村では今年2月1日からの1年間を「帰島10周年記念年」として記念事業を通じて復興に向けて取組んでいる姿を広く発信しています。

 

 


【マンスリー】2015年9月26日~10月25日

待機児童、
5年ぶりに増加

●厚生労働省は、認可保育所などへの入所を希望しながら入れない「待機児童」が、今年4月1日時点で2万3,167人に上り、前年同期より1,796人増えたと発表した。待機児童の増加は5年ぶり。今回より従来の保育所に加え、子ども・子育て新制度に位置付けられた幼保連携型認定こども園等の特定教育・保育施設と特定地域型保育事業(うち2号、3号認定)の数値を含む。  (9/29)

●特定行為に係る看護師の研修制度が施行
●国民の3人に1人が65歳以上となる2025年の地域医療の充実を図るため、厚生労働省では、10月1日から、一定の診療補助を手順書に従い行うことができる「特定看護師」の養成をスタートした。手順書では、看護師に診療の補助を行わせる「患者の病状の範囲」及び「診療の補助の内容」等が定められている。       (10/1)
●子どもの支援情報を1か所で 内閣府がホームページを開設
●内閣府は、経済的に厳しい家庭に対する支援情報をまとめたホームページ「子供の貧困対策 子供の未来応援プロジェクト」を開設した。子どもが具体的な困りごとを入力して、勉強や仕事の悩みを相談できる窓口を検索できる。   (10/1)
●関東・東北豪雨、激甚災害に適用
●政府は、9月7~11日の台風18号や関東・東北で記録的豪雨を受けた大規模水害を激甚災害に指定した。被災自治体が実施する農業施設の復旧事業に対し、国の補助率を通常の8割程度から9割程度に引き上げる。         (10/6)
●介護事業者の倒産件数、すでに57件
●東京商工リサーチは平成27年1月から9月までの「老人福祉・介護事業」の倒産件数が、前年の年間件数(54件)を上回り、57件に達したと発表した。過去最悪ペースで推移している。(10/8)
●児童虐待相談が、過去最高件数に
●厚生労働省は、平成26年度中に、全国207か所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は8万8,931件で、前年の7万3,802件より120%増加し、過去最高だったことを発表した。厚生労働省は、妊娠期からの切れ目ない支援の強化と、児童相談所や市町村の連携強化と資質向上を提言している。           (10/8)
●墨田区で「障害者のための災害対応力強化事業」が初実施
●墨田区は10月9日から10日にかけて、震度6強の地震が発生したという想定で、障害者と区民ボランティア約40人が避難所に一泊し、自助共助について考える「障害者のための災害対応力強化事業」を実施した。         (10/9)
●障害者就労施設等の調達 清掃や施設管理で約121億円
●厚生労働省は、平成26年度における障害者優先調達推進法に基づく国等における障害者就労施設等との調達実績を公表した。26年度調達実績の合計は前年より約28.3億円増加し、151.3億円だった。内訳は、物品の調達が約30億円、清掃や施設管理等の役務の調達が約121億円だった。
(10/16)

 

 


【連載】

人としての
尊厳を守る
フィッティングサポート

社会福祉法人聖ヨハネ会の取組み

社会福祉法人聖ヨハネ会は、カトリックの精神に基づき、
永遠の生命を有する人間性を尊重し、
「病める人、苦しむ人、弱い立場の人」に奉仕します
という基本理念に基づき事業運営している法人です。

この理念に基づき、
制度だけでは支援できない地域で暮らす方の
福祉ニーズに対応する「フィッティングサポート」の
取組みをご紹介します。


「いつもお心をいただきまして、ありがとうございます」と達筆な字で書かれた残暑見舞いのはがきは、聖ヨハネ会が「フィッティングサポート」を提供したSさんから、後日、法人の職員宛に送られてきたものです。支援以前のSさんの様子からは想像がつかない程の心の変化が読み取れます。
平成20年の夏、衛生状態が極めて悪化した一軒家でひとり暮らしをしていたSさんは83歳。ゴミ等が溢れ、風呂やトイレが使用できずに排泄物を市道の側溝に廃棄し、ネズミや害虫の発生により、近所からは苦情が絶えない状況で、市や包括支援センターも対応に苦慮していました。サービス拒否や被害意識が強くありましたが、聖ヨハネ会が行っている配食サービスだけは受けていたため、安否確認と様子観察を続けていました。様子を見るうちに、高齢者詐欺のターゲットになっている様子や衛生状況の悪化、火事の心配も出てきたことから、「このままでは人としての尊厳を守れない」と考え、自己判断できるこの時期に、本人の同意を得て、積極的な介入・支援をしようと法人として検討するようになりました。
時間をかけた関係作りと
連携支援の計画に基づく支援
Sさんへの支援について、高齢者福祉部門3施設で検討し、制度に基づく支援に限らず、法人として本人に必要な支援を行うことを決定しました。現在、桜町聖ヨハネホーム(特養)の園長である藤井律治さんは、当時は在宅サービスセンターの職員として、配食サービスの担当者と共に何度も自宅を訪れました。また、月に2回位、自宅にお迎えに行き、在宅サービスセンターに来てもらい、食事を無料で提供し、会話するなかで、少しずつ関係づくりをするとともに、サービスを受けることに慣れていただけるようにしました。Sさんには、「大切な物を入れられるようプラスチックの衣装ケースを提供する。この中に入れたものは絶対に処分しないがそれ以外の物は処分する。自宅の清掃をしないと介護サービスが受けられない」と説明していきました。Sさんは半年かかって、清掃等の支援を受けることを決めました。
この間、関係機関担当者会議を何度も開き、情報共有、課題の共通認識を図り、支援プランの立案等を行いました。また、サービス実施にあたっては、本人に支援方針を説明し、「同意書」と「申込書」に記入してもらい、意思確認の経緯をわかりやすく残すように工夫しました。
Sさんが在宅での自立した生活を維持するためには、まず、自宅もご自身も清潔にする必要がありました。自宅の清掃と同時に入浴や衣類・寝具の交換等の支援を行い、一挙に住環境を整える支援が考えられました。3泊4日のショートステイ利用で、入浴や皮膚のケア、食事の支援をし、その間に法人の職員が自宅の一斉清掃、消毒・殺菌、ゴミ類及び汚染物の廃棄等を行うという計画です。そして、長く入浴していなかったSさんのショートステイ利用に先立ち、別棟の在宅サービスセンターでの入浴、衣類交換を行う段取りとしました。Sさんの自宅の一斉清掃を行うスタッフについて、法人内で社会貢献活動と位置づけて取組むことを表明した上で、職員の中から協力者を募りました。法人内の各部門の職員の他、市の介護福祉課、包括支援センターとも役割分担して進め、また、理事会・評議員会でも報告して法人全体での共通理解を図りました。
一斉清掃後は、今後の生活について考えていただくことや、ヘルパーの導入、医療機関の受診などを提案して必要な支援につなげ、Sさんは、特養などへの入所が必要になるまでの間、サービスを利用しながら在宅生活を継続することができました。

法人の理念に則った実践を
「フィッティングサポート」と定義
小金井市立本町高齢者在宅サービスセンターのセンター長、山極愛郎さんは、「法人の理念に基づき、自分たちが何をすべきか、職員に意識化を図るためにフィッティングサポートと定義づけをして取組むことにした」と言います。制度だけではなく、必要なニーズに対応していくことこそ社会福祉法人である聖ヨハネ会がやるべきことと考え、数多く存在するサービスラインには乗らないケースに法人独自のフィッティングサポートで対応しています。
これまでに対応した事例には次のようなものがあります。
○要介護認定を受けていない状況のまま急激に認知症が進んだ一人暮らしの高齢者への総合的な支援
○本人の希望する在宅でのターミナル支援(派遣計画外でも必要性に応じて夜間も含めた訪問による見守りや支援の実施)
○精神面、認知面での低下があり、詐欺的被害にあった経験から、お金を使いたくないと介護保険サービスの利用が進まない方への支援

一つひとつの事例を見ていくと、本人の状況も登場する関係者も異なり、また、必要とされる支援も様々です。聖ヨハネホーム園長の藤井さんは「支援を必要とする方が安定して暮らすために、本質的に何が必要かと考えれば、必然とやるべきことが見えてくる」と言います。「制度」に着目してそのフレームから対象者を見る発想ではなく、支援を必要としている「人」に着目して支援を創り出していく発想が求められているといえるでしょう。

実践経験が地域社会を支える
職員の意識を変える
家族形態の変化、独居や高齢者世帯や認知症高齢者の増加等を背景として、キーパーソン不在のケースが増えていますが、こうしたケースへの介入は介護保険サービスだけでは困難な場合も多いのが現実です。これに対し聖ヨハネ会では、在宅分野でまずは「フィッティングサポート」をしっかりと根づかせたいと考え実践しています。そして、最終的には在宅支援のたすきを施設職員とも共有し、必要に応じてたすきを受け渡していきたいと考えています。老いから終末まで、その人らしさを大切にした尊厳ある支援を最期まで行いたいと願っています。
社会福祉法人の使命や理念を「フィッティングサポート」という名称で概念化させることで、地域で暮らす人を支えています。そして、地域に目を向け、在宅生活を支えていく職員として人財育成しようと努めていることが社会福祉法人聖ヨハネ会の取組みからうかがい知ることができます。

Takekawa Kazuhiro
竹川和宏
聖ヨハネ会 法人事務局長(右前)

Yamagiwa Yoshirou
山極愛郎
小金井市立本町
高齢者在宅サービスセンター
センター長(左前)

Fujii Ritsuji
藤井律治
桜町聖ヨハネホーム園長(左後)

Suzuki Harumi
鈴木治実
桜町高齢者在宅サービスセンター
センター長(右後)


社会福祉法人
聖ヨハネ会

昭和26年4月に法人設立。
カトリックの精神に基づき、
永遠の生命を有する人間性を尊重し、
「病める人、苦しむ人、弱い立場の人」に
奉仕すること基本理念としている。
病院、特養ホーム、ディサービス、
障害福祉サービスなどの事業を運営。
〒184-8511 東京都小金井市桜町1-2-20


清掃前の
Sさん宅

清掃後の
Sさん宅

Sさんから届いたはがき

聖ヨハネ会のフィッティングサポートの定義●

介護保険制度に基づくサービスの枠組みや営利を目的とした事業者都合等からはこぼれ落ちてしまうケースの福祉ニーズに対し、人としての尊厳が守られた生活が営めるように必要な社会サービスの利用ラインに乗せたり、ケースの個別性に応じ手間暇をかけることを惜しまない福祉サポートをフィッティングサポートと言う。

 

 


【ゆーすけ】

アクティブ福祉in東京'15を開催したよ!
●東社協東京都高齢者福祉施設協議会では、9月29日に「第10回高齢者福祉研究大会 アクティブ福祉in東京'15」を開催しました。
全76題の講演発表、全10題のポスター発表に加え、社会学者の上野千鶴子氏が、「どんなケアがほしいのか?当事者主権の立場から」をテーマに記念講演を行いました。
約1,300人の来場者が集まり、各法人の研究発表や実践報告を聴くため、会場は大変なにぎわいを見せていました。

暴力・虐待のない社会をめざす
フォーラムを開催したよ!
●東社協児童・女性福祉連絡会では、5つの児童女性福祉関係部会と4つのNPOが協働して9月27日にフォーラム「子ども女性への暴力・虐待のない社会をめざして」を開催し148名の方が参加しました。
東社協暴力・虐待を生まない社会づくり検討委員会が作成した地域住民と一緒に考える小冊子『こんなことに気づいてあげて』を紹介した後、当事者からの声を発表するとともに、参加者がリレートークを行いました。

 

 


【東社協発】

フクシの魅力★発見セミナー

東京都福祉人材センターでは、介護福祉士の専門学校や社会福祉士の大学を会場として、福祉の仕事や福祉活動に興味・関心のあるひとに向けたセミナー、「フクシの魅力★発見セミナー~学んで、感じて、好きになる!~」を開催しています。このセミナーでは、一般都民向けと中高生向けに対象をわけて、福祉に関する講演会や福祉・介護体験等を通して、福祉の仕事の魅力等を伝えています。
10月17日(土)、学校法人細谷学園日商簿記三鷹福祉専門学校で一般都民向けセミナーが行われました。特別養護老人ホーム文京大塚みどりの郷施設長の奈良高志さんを講師に迎えた講演会と、同専門学校講師陣による、自分の身体で実際に福祉用具に触れて体験する介護体験や、福祉業界について説明する講義が行われました。
講演の中で、奈良さんは、「ご利用者さんとのかかわりのなかで、苦労することもあるし、時にはつまづいてしまうこともある。ただ同時に、職員に感動や感謝の気持ちを与えてくれるのも、他ならぬご利用者さんたち」と、自身の体験や実際の事例などを例に挙げながら、仕事の中で得られるたくさんの感動ややりがいについて話しました。
また、介護の仕事をめざす人たちに向けて、「介護の仕事はやりがいがあるが、とても難しい仕事。身体・心・頭のすべてを使う。『他にできることもないから介護”でも“やろうか…』や『自分には介護ぐらい”しか“できないから』などの理由で介護の現場で働いても決して長続きはしない。人が好きで、お年寄りが好きな方で、『介護”だから“したい』という明確な意志を持って介護の仕事を選んでもらえれば、とてもやりがいのある仕事になる」と話しました。
フクシの魅力★発見セミナーは、都内各地の会場で順次開催されます。各回の講師や開催場所等についての詳細は、東京都福祉人材センターのホームページよりご覧ください。


一般都民向け
http://www.tcsw.tvac.or.jp/jinzai/20150903hakken1.html
11月20日(金) 東京国際福祉専門学校
11月21日(土) 読売理工医療福祉専門学校
11月29日(日) 東京医療秘書福祉専門学校
2月13日(土) 東京福祉専門学校
2月27日(土) 東京YMCA医療福祉専門学校

中高生向け
http://www.tcsw.tvac.or.jp/jinzai/seminarMiryoku.html
11月21日(土) 首都大学東京
12月5日(土) 町田福祉保育専門学校
1月23日(土) 道灌山学園保育福祉専門学校
1月30日(土) アルファ医療福祉専門学校
2月13日(土) 東京福祉専門学校
2月20日(土) 読売理工医療福祉専門学校

講演中の奈良さん

関東・東北豪雨
被災地域への支援

9月9日に上陸した台風18号の影響により、9月10日から11日に関東、および東北地方で記録的な大雨となり、栃木県、茨城県、宮城県を中心に、広範囲での浸水被害や土砂崩れなど、甚大な被害がありました。
本会では、関東ブロック災害時相互支援協定やNPO等とのネットワークにより、茨城県常総市へ支援を行いました。また、都内各区市町村社協やボランティアセンターにおいても、災害時相互支援協定や姉妹都市関係により被災各地域への職員派遣や、ボランティアバス等による支援が行われています。
10月16日に、第3回区市町村ボランティア・市民活動推進事務局連絡会議が開催されました。その中で、都内ボランティアセンターによる関東・東北豪雨の各地域への支援の取組みの共有の場が設けられました。
始めに、関東ブロック災害時相互支援協定に基づき、本会と区市社協職員が茨城県常総市へ支援を行った報告が行われました。練馬区ボランティア・市民活動センターの西川澄子さんは、「被災者のニーズとボランティアを結ぶ、マッチング班に配属になった。被災地では、経験豊富なボランティアの方や、地元のボランティアの方が活躍していた。短い派遣期間の中で、応援社協として、ボランティアとしっかり連携を取ることが大切だと感じた」と話しました。
荒川ボランティアセンターからは、鹿沼市の支援を行った報告がありました。荒川ボランティアセンターの薮田真理子さんは、「被災者の家を1軒ずつ訪問して回った。住民は遠慮していたり、ボランティアの存在を知らなかったりする。こちらが待っているだけでは被災者の声はあがってこない。戸別訪問によってニーズが出てきた頃にはボランティアが減ってしまい、足りないこともあった。被災直後だけでなく継続的に被災地の情報を発信していくことが重要」と話しました。
台東ボランティアセンターから、姉妹都市である宮城県大崎市へ支援を行った北村一功さんは、災害ボランティアセンターを閉館する時期に派遣され、引継ぎに向けて動きました。「訪問調査班の一員として、被災者の家を戸別訪問した。継続的な支援を必要としている人や、声をあげられずにいる人がいた」と、被災地での長期的な支援の必要性を指摘しました。
その他にも、世田谷ボランティアセンター(栃木県小山市への支援)、北区社会福祉協議会(栃木県日光市への支援)、八王子ボランティアセンター(栃木県日光市への支援)の報告がありました。
被災地では現在も継続した支援が必要とされており、今後も連携した支援や情報発信が必要とされています。


東社協新会員のご紹介

▽東京都高齢者福祉施設協議会
地域包括支援センター伊興/特別養護老人ホーム ハピネス昭和の森/特別養護老人ホーム 椿/オーネスト成増(軽費老人ホーム)/オーネスト成増(特別養護老人ホーム)/もみの樹園/特別養護老人ホーム花みずき/ケアハウスまぁむ/橋戸の丘/特別養護老人ホーム 寿老の里/南大泉かがやきの里/都市型軽費老人ホームケアハウスかみれん
▽東京都介護保険居宅事業者連絡会
ブライトケアー/オーネスト成増(居宅介護支援)/グループホームこすもすあやせ/訪問介護ステーション竹の塚/ショートステイ保木間/東中野キングス・ガーデン/やさしい手 吉祥寺訪問介護事業所
▽知的発達障害部会
クローバーズ・ピア日本橋/Sora/府中市立心身障害者福祉センター(生活介護)/なごみの里(生活介護)/おだまき/さくらの園/小金井市児童発達支援センター/小金井市福祉共同作業所/リアン文京/楽患チャイルド
▽保育部会
キッズタウンむかいはら保育園/キッズハウス池尻大橋/こんぺいとう保育園/本郷ゆうし保育園/すずのき台保育園/せんかわ みんなの家/南馬込第二保育園/神宮前保育園にじ/西原保育園ゆめ/さゆりの丘保育園/みなみ野さゆり保育園
▽情報連絡会員
クローバーズ・ピア浜町公園/ほのぼのボランティアクラブ/すきっぷ/ソラの家/ヘルプコネクションひねもす/志村ゆめの園障害者相談支援センター/ヘルプフル/放課後等デイサービス 悠友キッズ/さぎそうハウス/ステラ千住保育園/足立区小規模保育室ステラ綾瀬/足立区小規模保育室 ステラ竹の塚/足立区小規模保育室 ステラ中央本町/にじ/支援事業 紅/支援センターきらきら/ウィズブック保育園志村坂上/ウィズブック保育園新江古田/ウィズブック保育園大岡山/ウィズブック保育園大森海岸/ウィズブック保育園天王洲/ウィズブック保育室瑞穂/ウィズブック保育室東別院/デイセンターたまぷらねっと”わ“/さくら橋コミュニティセンター/たまだいら児童館ふれっしゅ/フレンドリープラザ墨田児童会館/雲柱社/外手児童館/岩戸児童センター/汐入ふれあい館/第七峡田小学童クラブ/文化児童館/和泉児童館/かがわサポートセンター ウイングス/かがわの家/れいめい宝学童クラブ/れいめい堀切学童クラブ/亀戸児童館/光が丘子ども家庭支援センター/江東きっずクラブ深川/江東きっずクラブ明治/江東区深川北こども家庭支援センター/江東区大島四丁目学童クラブ/江東区大島子ども家庭支援センター/江東区大島八丁目学童クラブ/江東区東陽子ども家庭支援センター/江東区南砂子ども家庭支援センター/江東区平野児童館/汐入学童クラブ/汐入小学童クラブ/汐入東小にこにこすくーる/小金井市子ども家庭支援センター/小金井市立あかね学童保育所/小金井市立みどり学童保育所/小平市子ども家庭支援センター/大泉子ども家庭支援センター/目黒区中央町児童館/練馬区高松小学童クラブ

 

 


【資料ガイド】

施策・会議資料
●『社会保障審議会児童部会 児童虐待防止対策のあり方に関する専門委員会報告書』(厚生労働省/9月)
●『不登校児童生徒への支援に関する中間報告』(文部科学省/9月)
●『障害者雇用・就労推進連携プログラム2015』(東京都/9月)
調査結果
●『少年非行に関する世論調査結果』(内閣府/9月)
●『平成26年労働環境調査結果』(厚生労働省/9月)
●『長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果』(厚生労働省/9月)
27年4月から6月までに実施した、長時間労働が疑われる事業場に対する労働基準監督署による監督指導の実施結果。
その他
●『社会福祉の手引き2015』(東京都/9月)
●『認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)パンフレット』(東京都/9月)
「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」の普及等を目的として作成されたパンフレット。

 

 


【明日の福祉】

傷ついた
子どもたちを支える
『通訳』になる

副島賢和さんは、入院している子どもたちが通う病院内の学校「さいかち学級」の担当をしつつ、病気の子どもたちのよりよい生活のため、病院と学校の橋渡しをする活動に取組んでいます。

Soejima Masakazu

副島賢和
昭和大学大学院保健医療学研究科准教授「さいかち学級」担当。学校心理士SV。大阪Tsurumiこどもホスピス教育部門担当。著作に『あかはなそえじ先生のひとりじゃないよ』(教育ジャーナル選書)等


不登校のきっかけの13%は「病気」
もともと私は都内の小学校で教師をしていたのですが、自分の病気がきっかけで、学校に来られない子どもへの支援に関心を持つようになりました。そして児童心理学を学ぶために大学院に通っていた際、不登校になったきっかけの約13%は病気だという調査結果を目にして、衝撃をうけました。
友人関係等で不登校になった子どもについては、教師は熱心に学校に戻れるよう支援をします。しかし、病気の子どもについては「できることはない」と、支援をあきらめてしまう教師も少なくありません。病院側も、退院してから学校に戻るための支援をすることはないため、退院後に学校へ通えなくなり、勉強についていけなくなったり、友人関係が上手くいかなかったりして、不登校になってしまう子どもたちがたくさんいたのです。この支援の狭間で苦しんでいる子どもたちを助けたいと、院内学級である「さいかち学級」に異動を希望し、医療と教育の連携に取組みはじめました。
医療と教育の「通訳」と「仲人」
しかし、制度や慣習等の壁は厚く、当初は病院と学校、双方から理解を得られませんでした。それでも、「子どもたちのため」ということを繰り返し伝え、何度も対話を重ねることで、だんだん協力の意義を理解してもらうことができ、学校の担任に子どもの病気について医師からの説明を受けてもらったり、医師に学校まで子どもの様子を見に来てもらったりと、小さな連携を積み重ねていくことができました。それは医療でも教育でも、「子どもたちのしあわせ」を一番に考えているからこそ、手を取り合うことができたのだと思います。
私の役割は、「通訳」と「仲人」です。医療と教育では、それぞれの分野ではたらく人の考え方が違い、使う言葉も違います。私はお互いが正しく相手を理解しあえるように、お互いにわかりやすい言葉で伝える「通訳」をしつつ、双方の協力できるところを見つけ出して、「仲人」として連携の糸口をつなぎあわせるのです。
今、最も課題だと感じているのは、社会の関心の薄さです。当事者にならなければ、院内学級の存在さえ知ることはありません。今後はこのような連携をより広く行えるよう、各地での取組みの共有や、人材育成、市民の意識啓発等にも力を入れ、支援のしくみを構築できたらと考えています。
転んでも起き上がれる環境を
病気による痛みは、身体的なものだけではありません。精神的にも、子どもたちは深く傷つきます。この「さいかち学級」に来る子どもたちは、病気や怪我によって自信を失っています。「自分の病気で親に迷惑をかけている」、「自分は生きていていいのだろうか」と思う子どももいます。そんな子どもたちに、この学級では日々の学びを通して「自分だってできるんだ!」と思える瞬間を作り、自信を取り戻してもらうことに、全力を注いでいます。
挫折や失敗から、人はたくさんのことを学ぶことができます。しかし、挫折したままでは意味がありません。今の学校には、子どもたちに立ち止まったり、転んだりすることをゆるさない雰囲気があると感じます。病気や勉強等で挫折を経験することがあっても、再び立ち直れるような制度、環境が必要なのです。
病気の子どもたちは、みんな精一杯病気とたたかっています。私も子どもたちの笑顔のため、どれだけ転んでも、あきらめないつもりです。さまざまな理由で傷ついた子どもたちが、もう一度自信をとり戻せますように。

 

 


【図書ガイド】

【生活困窮者自立支援関連書籍特集!】
平成27年4月から完全施行された、生活困窮者自立支援法。各自治体で新たな生活困窮者の自立支援事業が展開されるに伴い、人材養成研修が各所で行われています。そこで今月の特集はコチラ!!

①生活困窮者自立支援ハンドブック/中央法規出版/1,620円
②事例でみる生活困窮者 相談支援員必携/中央法規出版/2,376円
③保護のてびき 平成27年度版/第一法規/389円
④生活保護手帳 2015年度版/中央法規出版/2,700円
⑤生活保護「改革」と生存権の保障 基準引下げ、法改正、生活困窮者自立支援法/明石書店/3,024円
⑥図解説明でそのまま使える! 社会保障制度指さしガイド 平成27-29年度介護報酬対応版/日総研出版/4,320円

【ケアマネ業務関連 新刊書籍!】
⑦早引き ケアマネジャーのための介護報酬加算・減算ハンドブック/ナツメ社/1,944円
⑧早引き ケアマネジャー・介護職のためのケアサービス文例ハンドブック/ナツメ社/2,160円
⑨早引き ケアマネジャーのためのケアプランの書き方&文例ハンドブック/ナツメ社/1,944円
⑩早引きケアマネジャーのための医療知識ハンドブック/ナツメ社/2,052円
⑪仕事の進め方がよくわかる 新人ケアマネジャーの現場サポートブック/ナツメ社/1,944円
⑫介護支援専門員のためのケアプラン作成事例集/中央法規出版/3,024円
⑬法的根拠に基づく介護事業所運営ハンドブック Q&Aでおさえる業務のツボ/中央法規出版/1,944円

 

 


【アンテナ】


助成金

障害者職場定着支援
奨励金

申込締切 認定申請:対象労働者の雇入れ、又は職場支援員の配置のいずれか遅い日から3か月以内 助成対象 障害者を雇い入れると共に、その業務の遂行に必要な援助や指導を行う職場支援員を配置する事業主助成金額 短時間労働者(所定労働時間が週20時間以上30時間未満):1万5,000~2万円(企業規模による)、短時間労働者以外:3~4万円(企業規模による)、委託による支援:1万円(支援1回あたり) 申込方法 所定の申請書に必要書類を添付の上、事業所を管轄する都道府県労働局、又はハローワークへ提出 申込・問合せ先 都道府県労働局、又はハローワーク


講座・シンポジウム

フォーラム「在宅医療と
地域包括ケアシステム」

日時 11月17日13時~17時(開場12時半) 場所 日本赤十字社2階大会議室 参加費 8,000円 内容 基調講演「在宅医療と在宅介護の連携(仮)」二川一男氏(厚生労働省医政局長)、シンポジウム「在宅医療と地域包括ケアシステム」〈コーディネーター〉京極 宣氏(浴風会高齢者保健医療総合センター長)、〈シンポジスト〉雨宮志門氏(浴風会病院内科医長)、長瀬慈村氏(乳腺クリニック長瀬外科院長、柏市医師会副会長)、山下巌氏(法山会山下診療所理事長)、宮崎和加子氏(全国訪問看護事業協会事務局長)、〈アドバイザー〉北波孝氏(厚生労働省医政局地域医療計画課長) 申込方法FAX又は、下記ホームページから申込 申込・問合せ先 「在宅医療と地域包括ケアシステム」フォーラム事務局(北隆館 03(5449)4950
http://www.hokuryukan-ns.co.jp/

てんかん講座
「高齢者のてんかん」

申込締切 各回前日 日時11月27日14時~16時 場所 東京都障害者福祉会館1階会議室 参加費 3,000円 内容 「高齢者のてんかん」太組一朗氏(日本医科大学武蔵小杉病院脳神経外科) 申込方法 下記ホームページより申込書をダウンロードしFAX、又はメールで申込 申込・問合せ先 日本てんかん協会東京都支部 03(5272)6078
http://tokyo-tomoshibi.jim
do.com
epitokyo@yahoo.co.jp

社会福祉トップセミナー

申込締切 11月24日 日時 12月8日~9日 場所 全社協・灘尾ホール 定員 200名 参加対象 ①社会福祉法人・社会福祉施設等の役員・幹部職員、②都道府県・指定都市・市区町村社会福祉協議会役員・幹部職員、③社会福祉関係団体、民生委員・児童委員、学識経験者、④都道府県・指定都市・市区町村行政幹部職員 参加費 15,000円 内容 1日目:基調講演「社会福祉法改正への対応と社会福祉法人のあるべき姿」磯彰格氏(全国社会福祉法人経営者協議会会長、全国社会福祉協議会副会長)、[講演Ⅰ]「急速な少子高齢化、人口減少社会の社会保障を展望する」権丈善一氏(慶應義塾大学商学部教授、社会保障制度改革推進会議委員、医療・介護情報の活用による改革の推進に関する専門調査会委員)、[講演Ⅱ]「今を生きる子どもたちのために」渡辺久子氏(渡邊醫院副院長、元慶応義塾大学医学部小児科専任講師)、2日目:シンポジウム「地域で援助・支援を必要とする人々への総合的な福祉活動の展開」〈シンポジスト〉古内保之氏(岩手県社会福祉協議会専務理事、全社協政策委員会幹事)、白江浩氏(全国身体障害者施設協議会副会長、社会福祉法人ありのまま舎常務理事、全社協政策委員会幹事)、平田ルリ子氏(全国乳児福祉協議会会長、慈愛会清心乳児園施設長)、長瀬慈村氏(柏市医師会副会長、乳腺クリニック長瀬外科院長)、〈コーディネーター〉 井康行氏(全国社会福祉協議会副会長)申込方法 所定の用紙に記入の上、FAXにて申込 申込・問合せ先 【参加申込】名鉄観光サービス㈱新霞が関支店
・03(3595)112103(3595)1119
【内容】全国社会福祉協議会政策企画部広報室
・03(3581)7889

食事サービスを考える
つどい

日時 12月20日10時半~16時(10時開場) 場所 飯田橋セントラルプラザ12階 参加費 2,000円 内容 第1部(事例報告):事例報告「いろいろな人が集う"コミュニティ喫茶花しょうぶ"の活動」隅田耕史氏(NPO法人フェリスモンテ事務局長)、第2部:「南オーストラリア州の配食サービス(Meals on Wheels)について」清水洋行氏(千葉大学文学部社会学講座准教授)、第3部:講義とワークショップ「ボランティア活動の広げ方、ボランティアの集め方」、講義「多様な食支援の可能性」〈講師〉山崎美貴子氏(東京ボランティア・市民活動センター所長)、〈コーディネーター〉平野覚治氏(全国老人給食協力会専務理事)、事例「常設型サロンこぶしの家(大田区)」こぶしの会、「男性料理教室(世田谷区)」老人給食協力会ふきのとう 申込方法 所定の申込用紙に記入の上、FAX又は下記ホームページより申込 申込・問合せ先 東京ボランティア・市民活動センター 03(3235)0050
http://www.tvac.or.jp


その他

障害のある方々の
創作活動にまつわる
権利を守る無料法律相談

日時 11月25日 場所社会福祉法人愛成会 参加費無料 内容 障害のある方々の創作活動にまつわる法的な事柄に関する法律相談 申込・問合せ先 東京アール・ブリュットサポートセンターRights・03(5942)7251(平日10時~17時)

JVC国際協力コンサート

日時 12月12日15時開演(14時開場) 場所 昭和女子大学人見記念講堂 チケット代 S席:10,000円、A席:5,000円、B席:4,000円、C席:3,000円(全席指定) 申込方法 電話、FAX又はホームページにて申込 申込・問合せ先 JVCコンサート事務局
・03(3836)410803(3835)0519
http://www.ngo-jvc.net/
concert/

視角系難病医療相談会

日時 12月13日12時半~16時半 場所 東京都難病相談・支援センター 対象疾患 網膜色素変性症、加齢黄斑変性症、難治性視神経症、網膜脈絡膜萎縮症など 参加費 無料(要予約) 申込方法 はがき又は電話、FAXで申込(相談会名、住所、氏名、病名、電話番号を記入のこと) 申込・問合せ先 東京都難病相談・支援センター 〒150-0012 渋谷区広尾5-7-1
・03(3446)1144(平日10時~16時)03(3446)0221

訪問看護フェスティバル

申込締切 12月18日 日時 平成28年1月16日10時~15時半 場所 東京都庁第一本庁舎5階大会議室 参加対象 看護職・看護学生、医療・介護職、都民(訪問看護に興味のある方) 参加費 無料 内容 基調講演「ひとりひとりが主役の社会」落合恵子氏(クレヨンハウス主宰)、現役訪問看護師によるリレートーク「始めてよかった訪問看護」、公開座談会「頼りにしてます!訪問看護」〈座長〉椎名美恵子氏(東京訪問看護ステーション協議会副会長)、〈ゲスト〉内藤誠二氏(内藤病院院長)、澤田敦子氏(墨田保健所保健師)、坂本真理氏(慈生会中野ケアプランセンター主任介護支援専門員)、大野教子氏(認知症の人と家族の会東京都支部代表者)、介護用品展示、相談会他 申込方法 はがき又はFAXにて申込 申込・問合せ先 東京都看護協会「訪問看護フェスティバル」担当 〒162-0815 新宿区筑土八幡町4-17
・03(5229)128103(5229)1524

 

 


【くらし】

元気な姿をみなさんに
おみせしたい
けれども・・・

2年前に
大島土石流災害で
自宅が被害を受け、
現在は自宅の一部をボランティアグループ
「ぼらん」の活動場所として開放している
山内小夜美さん81歳にお話をうかがいました。


普段の生活がこんなにありがたいとは思ってもいませんでした。みなさんのおかげで生活が少しずつ良くなっていくことへ毎日感謝しています。
●一時は行方不明者リストに
土石流が発生した日の前日、歯科治療のためたまたま上京していました。天気が悪く、優柔不断な普段の私なら行くかどうか迷うところでしたが、その日はなぜか迷いはなく背中を押されるように出かけました。
その夜、大規模な土石流災害が起こりました。沢沿いにある自宅も被害を受け、一時は私も行方不明者リストに載っていたそうです。島内に住む弟から連絡があり、役場に所在を知らせる電話をしました。
大島に戻ると、港に迎えに来た弟は長靴を持って待っていました。とにかく大変なことになっているということでした。自宅は鉄骨の柱のおかげで幸いにも全壊は免れましたが、1階には流れ込んだ土砂が1m位堆積していました。室内も泥が飛び散り、家具も倒れたり流されたり。玄関の扉も、仏壇も夫の位牌も流されてしまいました。
弟の家で2、3日世話になりました。仮設住宅にも申し込みましたが、車がつかえないと生活が不便になるため、あきらめて自宅に戻ることにしました。
1階はまったく使えませんでしたが2階と3階はそのまま使うことが出来ました。トイレや電源が2階にもあったので、何とか自宅で生活できました。
●泥かきしている姿が心配
数日後からはボランティアさんが30人位来てくれました。毎日来てくれて、一人暮らしの時とは違う若いパワーをいただけました。ある時、土砂をかき出すため、床下に潜って作業をしている方の頭や顔が泥で汚れている姿に心配が募り、「もうよしてください。結構ですから。病気になったら困ります」と言ったことがあります。すると、「おばさんこそ休んでください。おばさんが病気になったら僕たちがやっている意味がない」と言われました。胸がギュッとしめつけられる思いでした。
この先どうなるんだろうと落ち込んだ気持ちでしたが、だんだん元気が出てきて、周りの人から笑顔が出てきたねと言われるようになりました。一緒に冗談を言ったり笑ったり、そういうことで元気が出ました。
●ボランティアが集まる場所
自宅の横には、父が住んでいた木造の家がありましたが、全壊しました。建物がなくなったその場所は、いつからかボランティアさんが集まり、海や夕日を見ながら作業後おしゃべりをする居場所になりました。外が寒い季節になってきたので、物置に使っていた場所を片付け、みなさんに使っていただくことにしました。やがて集まるボランティアさんたちが「ぼらん」というグループになりました。今でもぼらんの事務所として自宅の一部を開放しています。日曜日の午後に平均6~7名集まります。私は、お茶くらい入れるわ!とお茶係をしています。内地の方も、近所の方もきます。誰でもどうぞという場所です。
内地からも島内からもボランティアさんが来てくれて、本当にお世話になりました。みなさんにどうご恩返しができるか考えました。独りよがりかもしれませんが、自分が元気でいることが、みなさんに対して何よりのご恩返しになるのではないかと思うようになりました。
ただ一つ。2年が経ち、みなさんのおかげで元気になれて、元気な姿をみなさんにお見せしたいけれど、「私は元気ですよ」というのが悪い気がしてしまう気持ちもあります。亡くなられた方、仮設住宅で生活している方、まだまだおつらい方がいらっしゃいます。
人とのつながりは本当に切れません。冥土の土産というか、死んでも決して忘れないと思います。

 

 


【新刊】

社会福祉施設・事業者のための
規程集 マイナンバー編 CD-ROM付き

●マイナンバー制度は、社会保障や税、災害対策などの手続きを効率化するための制度です。特定個人情報を扱う前までの措置として、①基本方針の策定、②取扱規程等策定が求められています。本書は、民間事業者のリスク対応としてマイナンバーへの適切な対応を図ることに加え、事業者が提供する福祉サービスの利用者支援の見地からも作成されています。
◆規格 A4判/211頁
◆定価 2,160円(税込み)

 

ふくしのしごとがわかる本
〔改訂第5版〕

●福祉の仕事と一言で括っても、高齢者、障害者、児童など分野の幅も広く、また職種についても介護職員、生活相談員、生活支援員、介護支援専門員、保育士、看護師、栄養士など様々です。この冊子は、どのような福祉の仕事があり、必要な資格や要件、就職活動をどのように進めたらよいのかについてまとめたものです。福祉の仕事の求人の現状や傾向、特徴をはじめ、分野ごとの福祉の仕事の内容、就職活動の実際、就職に関わる情報源等を紹介しています。
◆規格 B5判/104頁
◆定価 648円(税込み)

月刊「福祉広報」

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