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東京都社会福祉協議会

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福祉広報 2019年11月 731号 テキストデータ

【表紙】
愛媛県 宇和島市吉田町
おいしいみかんができる理由は
瀬戸内海の潮風と照り返す太陽の光、
水はけのよい栄養分を多く含んだ土壌だ。
収穫を迎え笑顔もはじける。


【もくじ】
社会福祉NOW
生活福祉資金・教育支援資金の貸付における昨今の課題と役割
【連載】福祉人材の確保・育成・定着に向けた取組み~多様な層へのアプローチ~
広がる外国人材の受入れ(2)
一人ひとりに向き合って着実な支援・育成を
(杉並区・マイルドハート高円寺)
トピックス
老朽化した施設の建替えをすすめている社会福祉施設の
都有地を活用した代替施設への移転の取組み
第2ハトホーム・青梅学園


【社会福祉NOW】
生活福祉資金・教育支援資金の
貸付における昨今の課題と役割
低所得世帯の子どもが十分な教育を受けられないことによる、世代間での貧困の連鎖や、格差の固定化が問題となっています。
このため国を挙げて、世帯の経済状況に関わらず、すべての子どもが夢や希望を持って大学等に進学できるよう、支援の充実が図られているところです。
今号では、「生活福祉資金・教育支援資金」から見える昨今の課題と社会福祉協議会の役割について、今後の高等教育の無償化もふまえ取り上げます。
教育支援資金の目的は、
「世帯の将来的な生活の安定と自立」
近年、経済的な理由から子どもたちが進学を断念することがないよう、さまざまな制度の充実が図られています。高校進学では、国の就学支援金により授業料が軽減されています。東京都では、授業料軽減助成制度により私立高校に通う低所得世帯の子どもは、ほぼ授業料分が補助されます。大学等への進学においては、日本学生支援機構の給付型や無利子奨学金制度等が拡充されています。
さらに来年4月からは、「高等教育における修学支援新制度」(以下、「高等教育無償化」)が始まります。低所得世帯の学生に対し、大学等の授業料及び入学金の減免や、給付型奨学金が拡充される等、さらなる修学の支援がすすめられています。※1
社会福祉協議会(以下、「社協」)が実施する生活福祉資金貸付制度※2の一資金である教育支援資金は、昭和30年代から続く制度です。低所得世帯の子どもの進学や修学継続を支援するため、入学金や授業料・教材費等の貸付けを無利子で行っています。貸付により、借受世帯の将来的な生活の安定と経済的な自立を促すことを目的としています。返済は、学校を卒業した後に、基本的には子ども自身が行います。返済が終わるまでの間、区市町村社協は、民生委員等の地域の関係機関と連携して継続的な相談支援を行いながら関わっていきます。
教育支援資金の貸付の現況と、ケースを通して見える課題
進学を支援するさまざまな制度が整備されてきているなか、教育支援資金の貸付において気を付けていることは『利用できる制度は利用し、過不足ない貸付を行う』ということです。制度利用には手続きが必要であり、期日までに行わなければなりません。また、奨学金等の支給時期は入学後であり、入学金等の立替払いが前提となっています。一時的にでも資金を用立てなければならないことは、経済的に余力のない低所得世帯にとっては大問題です。したがって、利用できる制度の情報は早めに伝え、いつ、いくら必要なのかシミュレーションをし、資金計画を立てる支援が重要になってきています。
昨年度の教育支援資金の貸付決定件数は、1千48件です(図)。そのうち、4割が生活保護受給世帯です。世帯構成では、母子または父子のひとり親世帯が全体の72%でした。ここ数年その割合は増加しています。
生活保護世帯では、ひとり親世帯が占める割合が高いことに加え、親が外国籍である世帯も多くなっています。
ケースを通して、ひとり親世帯をはじめ低所得世帯の多くは仕事等で忙しく、目の前の生活に手いっぱいで、子どもの将来に向き合う時間がとりにくい様子が伺えます。結果として、受験の準備や各種制度の理解が十分でないまま、手続きが遅れてしまうというケースが少なくありません。また、書類の管理や手続きが苦手であったり、学費等の納期直前にあわてての相談、学費等の額の把握ができていないなどのケースも散見されます。
世帯と一緒に悩み、喜びあえるために~足立区社協の取組み~
足立区社協では、区内の進学率が高くない状況等もふまえ、より多くの区民に修学の支援ができるよう、教育支援資金の広報に力を入れています。
以前は、進学の時期にのみ区内の広報誌に教育支援資金を掲載し広報していました。しかし、年度によって貸付件数が大きく異なることから、区民に十分な情報が伝わっていないのではと考えました。また、それまでの教育支援資金の支援により把握した世帯の課題から、できるだけ早い時期に、進学資金にかかる制度をより具体的に知り、見通しを立ててほしいと考えました。
そこで、区民向けに「教育支援資金説明会」を開催し、広く区民に広報する取組みを始めました。時期も高校進学者には志望校が決まる三者面談後の10月に開催し、大学進学者には日本学生支援機構の申請時期に合わせるなど工夫をしています。
さらに、この説明会を、昨年までは土曜日の午前中に開催していましたが、アンケートの結果、週末の夜の要望が高かったことから、今年は金曜日の午後7時からの開催にしました。その結果、父親の参加も多く一定の効果が得られたと言います。
参加者の関心は、「うちは貸付が受けられるか」「入学前に送金されるか」「手続きは簡単か」等でした。説明会で直接制度や学費に関する説明を受けたことで、その後の個別の貸付相談に進むことができました。相談では、卒業までの学費について、日本学生支援機構と教育支援資金の支援を受けた場合の資金計画を作成し、世帯の理解を促しました。
足立区社協の山本さんは、「生活保護世帯やひとり親の世帯では、周囲からも孤立してしまい、真に相談できる相手がいない場合も多くある」と言います。「子どもの進級や進学を心配したり、どうしたら子どもが自立できるのかを考えたり、世帯と一緒に悩みながら相談をすすめている」「子どもが成長していく姿を世帯と一緒に喜びあえるのは、生活福祉資金ならではのもの。生活福祉資金でしか行えない支援を大切にしていきたい」と言います。
「高等教育無償化」における社協の役割
高等教育無償化は、「貧困の連鎖を断ち切り格差の固定化を防ぐこと」を目的に来年4月からはじまります。大学等の授業料減免及び給付型奨学金の支援対象者・支援額が大幅に拡充されるものです。
ただし、これも実際には、世帯の所得状況や進学する学校によって支援の内容が異なり、相応の自己負担も発生します。特に、私立や理系の大学等に進学する場合、授業料等の減免や給付型奨学金だけでは必要な費用をまかないきれないのが実態です。
無償化の対象とされた学校も専門学校では全体の62%※3にとどまり、対象外の学校に進学する場合には無償化の支援を受けることができません。
このような状況も含め、世帯では、さまざまな情報の中から進路を見定めていくことが、より必要となってきます。社協では、高等教育無償化の制度理解を促すとともに、さらに複雑化した学費等の調達方法について、資金計画を立てる支援も必要となっていきます。
教育支援資金の目的である「世帯の将来的な生活の安定や経済的な自立につなげる」ためには、子どもが学校等を卒業し就職することが大切です。子どもが修学を継続し、卒業できるよう、世帯が学費以外に抱えている課題等がある場合も含めて、社協の他の機能や地域の社会資源等も活用した解決を行うなど、社協本来の役割を果たしていく必要があります。
※1 高等教育における修学支援新制度
住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯の学生を対象に、大学、短大、高等専門学校(4・5年生)、専門学校への修学の支援を拡充する制度であり、令和2年4月より実施される。詳しくは、文部科学省のホームページ参照。
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/index.htm
※2 生活福祉資金貸付制度
戦後の民生委員の活動から昭和30年制度創設。低所得世帯、障害者世帯、高齢者世帯に無利子、低利子で貸付と相談支援を行うことで生活の安定と経済的自立を図ることを目的とする福祉事業。
借入れには資金ごとに要件がある。詳しくは本会ホームページ参照。
https://www.tcsw.tvac.or.jp/activity/kasituke.html
※3 令和元年9月30日現在(文部科学省ホームページより)
図 教育支援資金貸付決定者の内訳(東社協平成30年度実績)
足立区社協説明会の様子


【連載】
連 載No.2
福祉人材の確保・育成・定着に向けた取組み~多様な層へのアプローチ~
福祉人材の確保・育成・定着に向けたさまざまな取組みの一つとして、福祉施設や事業所では、福祉を学んだ新卒学生だけでなく、未経験者や主婦層、高齢者、外国人など多様な人材に対し、採用や育成・定着のためのさまざまな工夫やアプローチを行っています。多様な背景を持つ人たちが、福祉の仕事に関わるきっかけや働く環境をつくるための取組みや工夫等を取り上げます。
広がる外国人材の受入れ(2)
一人ひとりに向き合って着実な支援・育成を(杉並区・マイルドハート高円寺)
EPAで多数の外国人を受け入れる
「EPA(経済連携協定)」とは、日本との二国間の経済連携の強化を目的とした制度です。介護分野では相手国における看護学校・大学の看護課程修了者など一定条件を満たした者を対象に募集・選考を行い、日本語研修を経て日本で介護福祉士候補者としてEPAに基づく滞在・就労が認められます。現在は、インドネシア・フィリピン・ベトナムの3か国と協定が結ばれています。入国後3年以上の就労・研修を経て介護福祉士の資格を取得すれば、日本での永続的な就労と家族の帯同も可能となります。
社会福祉法人鵜足津福祉会の特別養護老人ホーム「マイルドハート高円寺」には、現在13名のEPA介護福祉士候補者と、香川県の法人本部施設で介護福祉士候補者としてEPAに基づく就労・研修を経て介護福祉士に合格し、異動してきた1名が就労しています。外国人職員は合計で14名となり、同ホームの介護職員の約1割にあたります。
同ホームでは、受入れ前からさまざまな準備をし、体制を整え、受入れ後には親身に候補者たちの生活・仕事・学習を支えています。施設長の鈴木員世さんから工夫や実態をお聞きしました。
ベトナム人候補者から受入れ開始
同ホームが、初めてEPA候補者を受け入れたのは、平成28年8月のことです。まず、すでに受入れ実績のあった法人本部施設の視察を行いました。EPA候補者たちが施設のイベントで積極的に出し物を演じ、入居者の家族に受け入れられている様子を見て、施設の雰囲気をこれまで以上に明るく変えてくれる可能性を感じ、「始めは手探りでも何とかやってみよう」と導入を決めました。
第1期生は、法人本部施設での受入れ経験があったことよりベトナムから3名を受け入れました。その後、平成30年8月にベトナムからさらに5名を、平成30年12月にはフィリピンから3名、インドネシアから2名を受け入れました。
原則として、ベトナムからの候補者は12か月間、インドネシア・フィリピンからの候補者は6か月間の訪日前日本語研修を修了してから入国します。入国後は、ベトナムは約2・5か月間、フィリピン・インドネシアは6か月間の訪日後日本語研修及び介護導入研修を修了し、各受入れ施設へ配属となります。※1国によって入国時の日本語能力と研修期間が違うため、受入れ後の施設でのオリエンテーションは、国ごとに少し対応を変える必要がありました。しかし、半年ほど経過して一定の介護技術を習得したころには、3か国のどの国の候補者からも、安心して現場を任せられるほど成長する者が現れ始め、大きな戦力になっています。
住居の確保が大きな課題
鈴木さんが、受入れ前の準備として、最も困難を感じたのは住居の確保でした。「40軒以上、断られた」と言います。
「国土交通省住宅局(平成30年度)家賃債務保証業者の登録制度等に関する実態調査報告書※2」において外国人世帯の入居について7割の大家が「一定の拒否感を持つ」と回答しているように、外国人に対して入居の制限を設けている賃貸物件は少なくありません。
同ホームでは、第1期生は法人所有の職員用マンションを利用しましたが、第2期目の受入れ時は人数が増え、外部から借りなければならなくなり、住宅の確保は難航しました。
都会である東京での就労は、候補者たちからも一定の人気があると言います。その一方で、物価やとりわけ住居費の高さについては、それほど広く知られてはいません。都心で希望の条件がそろった部屋を探すこと自体がとても難しいことであるため、時には、候補者の希望とのミスマッチもありました。「就労を希望する施設がどのような環境にあるか、マッチング前に理解を深めてもらうことも大事」と鈴木さんは言います。
受入れ開始前に職員や家族へ説明
受入れ開始前に、職員に対しては、EPAの制度概要と、候補者たちの出身国の概要や来日時に想定される日本語能力、介護福祉士資格取得に向けた今後3年間のスケジュールなどを説明しました。各ユニットのリーダーには、さらに個別の打合せの機会を持ちました。
入居者やその家族には、年に1度の定例家族懇談会の場で、理解を求めました。家族からは、応援の声もある一方で、戸惑いの声も聞かれました。しかし、いったん受入れが始まると、候補者たちが懸命に介護業務に取り組む姿を見て、徐々に反応が変わっていったと言います。「最初は様子を見ていた家族の方から、候補者に声を掛けてくれるまでになった。入居者にとっては、かわいい孫のような存在として受け入れられている」と鈴木さんは言います。
受入れ後の配置と介護技術の指導
同ホームでは、施設全体でユニット制を採用しています。10人の入居者に対し、4~5名の職員が専属で担当します。1ユニットにEPA候補者を1~2名ずつ配置し、主にOJTで育成をすすめています。
第1期生の受入れ当初は、細かい計画を立てて、習得した介護技術を一つ確かめては次に進むといった、慎重なやり方でした。そのため、座学で習った知識をすぐに実践できず、かえって成長に時間をかけすぎてしまうという状況がありました。
そこで、第2期生からは、介護技術の指導や進行は現場のユニットに任せることとし、施設長を中心とする管理部門は、生活面と日本語の指導を受け持つ、というように分業制で行うこととしました。月に1回のミーティングでそれぞれ進捗を確認し合う機会も持つことにしました。
今は、介護技術の指導は、経験・習得した技術をチェックリストで把握し、全体の進度を確認しながら進めています。これは日本人職員に対する方法と同じです。そのほかに、入居者家族との対面や電話での会話など、苦手意識を持ちやすい業務をフォローしたり、ケース記録などで日本語の使い方を確認するなどの配慮をしています。
職員からは、指導を真剣に受け止め、できないことがあれば素直に悔しがる候補者たちの姿をみると指導や自身の仕事へのモチベーションも上がる、との声も聞かれます。
日本語学習と国家試験対策を丁寧にサポート
受入れ施設は、候補者の国家資格取得に向けた日本語および介護技術の習得を、研修指導者を配置してサポートしていくことが求められます。
同ホームでは、就業時間の中から週に5~6時間を日本語学習の時間に充てています。シフトをやりくりするため、所属するユニットの職員たちの協力は不可欠です。
就労経過年数により、外部講師によるスクールから個人学習へ段階を踏んだ学習方法をとります。苦手分野や遅れが生じれば、早めに克服できるよう、研修指導者を中心とする職員が積極的に関わって進捗状況を確かめ、個別に指導を行います。
定期的に漢字テストや国家試験の模擬テストを行ったり、過去問の中から間違いやすいポイントを職員手作りのプリントでアドバイスすることもしています。
また、一緒に本屋へ出かけ、興味のある雑誌や小説を選んだり、外食先で味わった日本食のレシピの書き取りや調理実習を行ったりと、日常生活を言語や日本文化への理解に結び付ける工夫をしています。
平成28年に来日した第1期生は、現在、国家試験を控えた追い込みの時期に入っています。直前には集中して学習できるよう、勤務体制を配慮する予定です。
一人ひとりを着実に育成したい
施設長の鈴木さんは、今後について、「日本で働く外国人の労働環境を取り巻くトラブルなどの報道があるが、そのようなことのないよう、自ホームでは複数ある受入れ制度のうち、当面はEPAに注力し、毎年ではなく1年ごとに受け入れることで、着実な育成に取り組んでいきたい」と話します。また、「候補者たちには、日本で働くことに満足して、充実した生活を送ってもらいたい。受入れ後、入居者、家族、職員たちの理解と協力のおかげでここまで来た。簡単なことではないが、引き続き覚悟をもって受入れや育成をすすめていきたい」と意欲を見せます。
※1 制度の概要はこちら。
「公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)」ホームページhttps://jicwels.or.jp/
※2 福祉広報2019年7月号
「NOW 安心して地域に住み続けるために~居住支援協議会の取組み~」で紹介
マイルドハート高円寺 施設長
鈴木員世さん
(左)職員同士の交流会にて
(下)授業風景


【トピックス】
老朽化した施設の建替えをすすめている社会福祉
施設の都有地を活用した代替施設への移転の取組み
◆ 第2ハトホーム・青梅学園
現在、都内の2つの社会福祉施設で、東京都福祉保健局の【都有地を活用した社会福祉施設の建替え促進事業(以下、「建替え促進事業」)】を活用した福祉施設の建替えがすすめられています。
2つの施設の、代替施設への移転準備や移転後の事業スタートから軌道に乗せるまでの様子を紹介します。
【都有地を活用した社会福祉施設の建替え促進事業】とは
東京では福祉施設の老朽化がすすんでも、敷地が狭隘で地価が高く、現地での建替えや仮移転用地の確保が困難な状況にあります。東社協では「地域福祉推進に関する提言2013」の中で、大都市における施設建替えの困難性を明らかにして建替え時の仮移転用の共同利用施設の設置を提言しました。その後も、東社協の東京都高齢者福祉施設協議会では、大都市東京における施設建替えに関する諸課題を整理して、老朽化した施設の建替え促進のための検討を重ねているところです。
「建替え促進事業」とは、東京都が福祉施設の建替えを促進して安心安全な福祉サービスの質の向上を図ることを目的に、清瀬市内の都有地を活用して、特養用と障害者支援施設用の2種類の代替施設の建物を整備し、施設の建替え期間中に利用できるよう建物を貸し付けるものです。
特養用の代替施設は3階建て定員120名、1~3階の居室部分は全室がユニット型の居室になっています。利用期間は3年を超えない期間で、それ以降は別の福祉施設が建替えのための代替施設として利用します。同じ敷地には駐車場・駐輪場も用意されています。
ハトホームの建替えに向けた検討がスタート
社会福祉法人村山苑が運営するハトホームは、昭和46年に東村山市に開設した特養です。開設当初の建物は平屋1棟でしたが、平成9年に建物を増設し、南館・北館の2棟となり、180名の方が入居しています。開設当初からの南館はすでに48年以上が経ち、建物のいたるところで老朽化がすすみ、都度修繕等を重ねてきました。しかし、今後も修繕を重ねながら事業を継続し続けることは困難との判断に至り、平成28年に施設内に「南館建替え検討委員会」を設置して、施設の建替えを前提とした検討に入りました。
検討の中で「建替え促進事業」を知り、情報収集に努めてきました。老朽化した都内の社会福祉施設の建替えを困難にしている要因は、建替え期間中の仮移転用地の確保と代替施設の建築のためにかかる費用です。村山苑では、「建替え促進事業」の活用を前提とした建替えのための具体的な検討に入り、応募の手続きを経たのちに借受けが決定しました。
移転に向けた準備
借受け決定後は施設内に、移転の計画を立てるチーム、代替施設の入居者を決定するチーム、移転後のサービスを具体化させていくチームを作り、準備に入りました。
移転に向けた準備は、かつて移転を経験した社会福祉法人の話も参考にしました。また、必要な物品をどのように準備するか、代替施設に備え付けられている物品類はどのようなものなのか、何を持ち込むか、あるいは他の施設で不要になったものを譲りうけることは可能か、新規で何を手配するかなど、一つひとつ確認をしながらすすめました。
平成30年1月からは、利用者と家族の方たちに移転への理解を得るために説明会等を複数回行い、清瀬市の代替施設への移転の意向などの確認を取りました。当初、家族からは、環境が変わることでの本人の健康状態への不安、面会のしづらさ、かかりつけ医が変わることへの不安等、さまざまな懸念が出されました。これらの一つひとつの不安に対応するために、東京都や清瀬市等関係機関と調整を図って、家族の理解を得られるよう努力を重ねました。最終的には移転する入居者を決めるための意向調査を行い、この中で、「清瀬に移転してもよい」、「どちらでもよい」と回答した方たちを中心に88名の方に移転をしてもらうこととしました。
ハトホームは長年にわたり従来型の特養として運営してきました。代替施設はユニット型の定員120名規模の建物です。そこで88名の方たちが生活をすることになります。従来型とユニット型では職員の動きも大きく変わってきます。代替施設は、どこの施設が利用しても無理なく使えるように広く余裕のある設計となっており、当然、ハトホームとは間取りも違います。入浴・清拭・排泄等の支援のための備品や物品もこれまでとは違うものを使うこととなるため、職員にさまざまな戸惑いが生じることが想像されました。利用者の居室をどう割り振るか、ユニットをどのように使いこなしていくか、職員が施設見学を重ね、施設の図面を前にシミュレーションを繰り返し、不安を払しょくするための取組みをすすめました。
さらに、代替施設移転といえども、その間の利用者の住居は東村山市から清瀬市に移るため、住民票の異動が必要であることがわかりました。利用者一人ひとりの異動手続きを家族の理解を取り付けながら施設で行わなくてはならず、これにも対応できるよう準備をしました。
代替施設の職員確保
東村山市から清瀬市の代替施設に移転するにあたって最も大きな課題は、職員の確保でした。代替施設で働く職員は、常勤・非常勤・パートを含めて約50名になります。移転にあたって、職員の約4割が異動することとなりました。異動する正規職員の中には、これまでと違い自家用車やオートバイでの通勤に切替えたり、代替施設の近くに引っ越すことになった職員もいます。非正規職員の大半は、ハトホームの地元である東村山市に住所のある方です。当初、代替施設で働きたいという非正規職員はほとんどいませんでしたが、施設を見学してもらい、村山苑と代替施設間で朝晩の送迎車両を手配することで今では数名の方が異動し働いています。
移転後の生活とこれからの課題
今年9月に利用者の代替施設への移動が行なわれました。福祉車両10台を手配し、午前中だけで全員の移動が無事完了し、清瀬市の代替施設で、新たに「第2ハトホーム」の生活がスタートしました。当日のお昼は、全員が新しいユニットで昼食をとることができました。
第2ハトホーム施設長の岡野雅和さんは「代替施設移転後も、利用者支援の質が落ちることなく、サービスが提供され続けている。多くの利用者のみなさまは混乱もなく、これまで同様に穏やかな生活を送っている。むしろ今は、我々職員が新しい施設に戸惑っている状態。これから職員がこの施設に慣れてくれば、さまざまな場面で効率的な動きができるようになる。その時には、この施設で第2ハトホームとしてどのようなことができるのかをみんなで考えていきたい」と話します。
社会福祉法人村山苑事務局長の相原弘子さんは「建替え促進事業があったおかげで、建替えについて前向きに検討をすすめることができた。建替えの際の課題であった代替施設の用地確保と代替施設建設のための時間と経費が大幅に削減できて、安定した法人運営と新しい施設の充実のためにとても大きな効果があると実感している」と話します。
社会福祉法人村山苑理事長の品川卓正さんは「第2ハトホームは、代替施設での事業展開はこれから1年9か月だが、その間に清瀬市の特養として、例えば、大規模災害の際に地域の拠点として何ができるのか、どのような地域貢献ができるかを模索していきたい」と話します。
青梅学園の建替えと代替施設活用
青梅市内の住宅街にある社会福祉法人南風会青梅学園は、昭和39年設立の障害者支援施設(生活介護・施設入所支援)で、現在は知的障害の方たち40名が生活しています。昭和46年に施設の建替えを行い鉄筋の園舎となり、平成10年に増改築を行いながら、現在の建物で48年間事業運営がなされています。青梅学園では施設の老朽化を見越して、約10年前から園舎の建替えに関する検討をすすめていました。利用者の環境の変化による混乱を最小限にとどめるために、施設の近隣で仮設施設を建設するための敷地を確保することや、近隣で会社の寮など仮設施設に代用できそうな建物の空き情報を収集していました。そのようなときに都の「建替え促進事業」のことを知りました。東京都の設置した代替施設は青梅市内ではありませんでしたが、この事業を活用した建替えが、時間も費用も最も効率的であると判断し、代替施設の第一期利用(2019年~)の応募を前提とした建替え計画を作成しました。
利用者の家族へは、建替え計画の段階から説明会等で理解を得るよう努めたうえで「建替え促進事業」へ応募手続きを行い、借受けが決定しました。
障害者支援施設用の代替施設は3階建てで定員96名、1階に作業室と大きな食堂があり、2~3階は全室がユニット型の居室です。
利用者の安心安全の準備
取材日の10月初旬は、11月の移転に向けた準備の最中でした。
移転の準備を進めている社会福祉法人南風会事務長の大沼満美子さんが中心となって、青梅学園から代替施設へ運ぶ物品の振り分け、業者等との連絡調整や全体のスケジュール確認を行っていました。
移転の準備で最も優先しているのが、利用者の環境変化への影響をどのように減らしながら移転をすすめるかです。
常勤職員は、青梅市の敷地に残る通所サービスと法人本部の職員以外は、ほぼ全員が清瀬市での勤務に変更になります。非常勤職員とは面談を重ねて施設見学なども行ない、勤務時間の配慮や送迎等をすることで代替施設で働いてもらうこととなりました。これまで青梅学園で働いていた職員と同じ顔ぶれで代替施設へ移転することが、利用者にとって最も環境の変化への影響が少なくなるだろうとの判断です。
畳の部屋に3人一部屋で生活している青梅学園から、ユニット型の代替施設への移転も、利用者にとっては大きな変化になります。令和3年に完成予定の青梅市の施設敷地内に建てられる新たな建物は、ユニット型となることが決定しています。代替施設での生活の時間を、ユニット型の生活に慣れるための期間と考えて、当面は2人で一部屋を利用して、慣れてきたところを見計らって1人一部屋とすることを目標に支援していくことになりました。
大沼さんは、「96名定員の建物施設で40名の利用者が生活をする。今は何度も施設のなかを回って、利用者一人ひとりの日常の動線をイメージしながら危険な箇所がないかを探し出している。危険があれば安全確保のためにどのような対応が必要だろうかを考えて行動しているところ。また、代替施設といえども地域とのつながりは常に意識している。地域の方々に施設に来てもらったり、積極的に地域の集まりにつながっていけるようにしたい」と話します。
●   ●   ●
今後、東京都では、板橋区にも特養用の代替施設を建設する計画があり、準備が進められています。また、世田谷区では、区が所有する施設・事業所の改修工事に伴う一時的な代替のための施設を用意して運用を始めています。
東社協の高齢者福祉施設協議会では、建替えのための諸課題を検討してマニュアルを作成し、都内法人・施設の建替え促進の検討に資する取組みをすすめているところです。
右)社会福祉法人村山苑理事長 品川卓正さん
左)第2ハトホーム施設長 岡野雅和さん
特養棟 施設概観
【第2ハトホーム】
ユニットのリビングの様子
[青梅学園]
建て替え応援プロジェクト
チラシ


【マンスリー】
福祉のできごと
 2019.9.26-2019.10.25
※対象期間外のできごとを掲載させていただく場合もあります
10/29
台風第19号を「激甚災害」に指定する政令を閣議決定
政府は、令和元年台風第19号による災害を、「激甚災害」に指定する政令を閣議決定した。さまざまな財政援助等の措置が適用されることとなった。11月1日より公布・施行。また、10月18日には「特定非常災害」として指定し、即日施行した。被災地域に居住する方々を対象に、運転免許のような許認可等の満了日の延長措置や、法令上の義務を履行できない場合の免責措置等が講じられる。
9/26
「地域・職域連携推進ガイドライン」改訂
厚生労働省は、超高齢化社会や働き方改革等、国民の働き方やライフスタイルの変化、多様化に鑑みて、「地域・職域連携推進ガイドライン」を改訂した。地域・職域連携の基本的理念や連携の在り方、具体的な取組み実施のために必要な事項、地域・職域連携推進協議会の効果的な運営方策等について整理した。
9/27
東京の福祉の仕事の魅力PR動画を作成
東京都は、「TOKYO福祉のお仕事アンバサダー」として任命したハローキティが出演する福祉の仕事の魅力を伝える動画を作成した。高齢、障害、保育等の分野で活躍している方にインタビューし、福祉の仕事の魅力ややりがいをわかりやすく伝える内容となっている。動画はアンバサダーの特設サイトで公開している。
「TOKYO福祉のお仕事アンバサダー特設サイト」
http://tokyo-fukushi-imageup-campaign.jp/
9/27
「外国人の子供の就学状況等調査結果(速報)」公表
文部科学省は、特別区を含む1,741の市町村教育委員会を対象に、外国人の子供の就学状況の把握を行った。学齢相当の外国人の子供の住民基本台帳上の人数は、小学生相当と中学生相当併せて124,049人であった。うち、不就学の可能性があると考えられる外国人の子供は19,654人であった。


【東社協発】
令和元年台風15号、19号による被害への東社協における災害支援活動
9月8日(日)から9日(月)にかけて関東地方に上陸した台風15号、10月12日(土)から13日(日)にかけて関東・東北地方を通過した台風19号により、関東地方や東北地方を中心に浸水、停電、断水、家屋の倒壊、損傷などの多くの被害が発生しました。被害を受けられた方々に、心よりお見舞いを申し上げます。
こうしたなか、被害を受けた各地域では、被災者の支援のため災害ボランティアセンターが開設されています。東社協および関東近隣の社会福祉協議会ではネットワークによる応援を行っています。
【台風15号】
◆千葉県社協からの要請により、関東ブロック都県・指定都市社会福祉協議会災害時相互支援協定に基づき、関東ブロック内11都県8政令指定都市社協において、9月下旬から10月下旬にかけて以下の災害ボランティアセンターに応援職員を派遣しました。
鋸南町/鴨川市/君津市/南房総市/館山市/富津市
◆東京は鋸南町を担当し、都内区市町村社協とともに常時5名、計49名の職員が応援にあたりました。
【台風19号】
(都内)
◆台風通過後の10月13日(日)に、都内及び関東ブロック内の各社協に被害情報等の確認、情報収集を行いました。東社協では、14日(月)に都内で被害が大きかったあきる野市社協、八王子市社協、青梅市内特養(1か所)に先遣職員4名、16日(水)にあきる野市社協、日の出町社協、奥多摩町社協、檜原村社協に職員5名を派遣しました。以降、随時、都内社協および関東ブロック内社協の状況を確認しています。
◆都内では、世田谷区、大田区、調布市、狛江市、八王子市、あきる野市の社協等において、災害ボランティアの受入れと支援を開始しました。これに伴い、10月16日(水)以降、東社協では、継続的に職員を派遣し、情報収集と災害ボランティアセンターの支援等を行っています。
◆10月15日(火)に、東京都と協働で「東京都災害ボランティアセンター」を設置し、東京ボランティア・市民活動センターを中心に、地域の災害ボランティアセンター等への支援活動を実施しています。
(関東ブロック)
◆関東Aブロック社協幹事として、10月16日(火)に関東Aブロック内各県市社協(群馬県、栃木県、茨城県、埼玉県、さいたま市)に職員を5名派遣し、現地状況を把握しました。
◆栃木県社協からの要請により、10月24日(木)から12月2日(月)(予定)まで、佐野市災害ボランティアセンターには東京から、栃木市災害ボランティアセンターには東海ブロックから応援職員派遣(1クールあたり5~6名)を行っています。
以下のとおり、義援金・支援金を受け付けています。詳細については、受付団体に直接お問い合わせください。みなさまのあたたかいご支援をよろしくお願いいたします。(10月30日時点)
義援金
「令和元年台風第19号災害義援金」
■中央共同募金会-令和元年12月30日(月)まで
●ゆうちょ銀行
口座番号:00130-0-421020
口座名義:中央共同募金会令和元年台風第19号災害義援金
●三井住友銀行
支店名 東京公務部
口座番号:普通0162529
口座名義:(福)中央共同募金会 災害義援金口
●りそな銀行
支店名:東京公務部
口座番号:普通0126781
口座名義:(福)中央共同募金会
各県共同募金会の受付期間は下記のとおりです。
■埼玉県共同募金会-令和元年11月30日(土)まで
■静岡県共同募金会-令和元年12月27日(金)まで
■茨城県共同募金会、栃木県共同募金会、群馬県共同募金会
-令和2年1月31日(金)まで
■岩手県共同募金会、宮城県共同募金会、長野県共同募金会、福島県共同募金会-令和2年3月31日(火)まで
支援金
「台風19号災害に伴うボランティア・
NPO活動サポート募金」
被災地で活動するボランティアグループ・NPO団体に助成するしくみです。
■中央共同募金会―令和2年3月31日(火)まで
●三井住友銀行
支店名:東京公務部
口座番号:普通0162585
口座名義:(福)中央共同募金会
※クレジットカードやコンビニでのご寄付も可能です。
義援金
「令和元年台風15号及び19号等にかかる義援金」
被災した福祉施設等への義援金です。
■全国社会福祉協議会 社会福祉施設協議会連絡会
-令和元年11月29日(金)まで
●三井住友銀行
支店名:東京公務部
口座番号:普通0167239
口座名義:社会福祉法人 全国社会福祉協議会 社会福祉施設協議会連絡会(義援金口)
●ゆうちょ銀行
口座番号:00170-3-708194
口座名義:全国社会福祉協議会施設協連絡会義援金口
ホームページ
その他の情報は、ホームページに随時掲載しております。
東社協ホームページ
https://www.tcsw.tvac.or.jp/saigai/index.html
東京ボランティア・市民活動センター
https: //www.tvac.or.jp/news/50393
報告
東京都地域公益活動推進協議会による実践発表会が開催されました
東京都地域公益活動推進協議会(以下、「推進協」)では、平成28年9月の設立以来、(1)各社会福祉法人、(2)地域(区市町村域)、(3)広域(東京都全域)の3つの層で「地域における公益的な取組」を推進しています。
この10月に、2回にわたり「令和元年度 東京都地域公益活動推進協議会 実践発表会」が開催されました。10月2日(水)には「(1)各社会福祉法人」の取組み発表が行われました。
推進協会長の品川卓正さんから「東京都内の多くの社会福祉法人が行うさまざまな取組みは、十分に知られているとは言い難い。この発表会を、まずは関係者が取組みを共有し、今後に活かすための場とするとともに、広く社会にも知っていただく場としたい」との開会の挨拶で始まりました。
この日は計9法人から実践発表がありました。コメンテーターを務めた東京都立大学名誉教授の小林良二さんからは「各法人が民生委員や社協とつながることで、アイデアが生まれて、地域が動き出している。どの法人からの発表も、そのことが『見える化』された素晴らしい実践発表だった」とまとめの言葉がありました。
続く10月15日(火)には、「(2)区市町村ネットワークや複数法人の連携」による取組みの実践発表会が開催されました。区市町村ネットワークの取組みとして、フードドライブの実施、地域に貸し出せる物品や会議室など各施設の資源の情報を集約した冊子の発行、子ども食堂の開催や学習支援の実施、福祉人材確保のための合同面接会の実施等が報告されました。
ここでもコメンテーターを務めた小林さんから「複数の社会福祉法人が、できることをそれぞれに持ち寄って、地域ネットワークを基盤として連携し、地域や住民に貢献している。運営や企画をするのは大変なことだが、取組みを地域に広げることや、『見せる化』することなど、ネットワークだからこそできることがある。今日の発表からも、さまざまな取組みと広がりを見ることができた。今後も地域とタイアップして、地域に根差した活動をしていただきたい」との総括がありました。
発表の様子
報告
第14回高齢者福祉実践・研究大会
「アクティブ福祉in東京’19」
第14回高齢者福祉実践・研究大会「アクティブ福祉in東京’19」が9月30日(月)に京王プラザホテルにて開催され、1千170人が参加しました。62題の口演発表と5題のポスターセッションによる報告のほか、会場では介護ロボット体験コーナーやモデル就職ブース、東京都内の高齢者福祉施設・事業所で働く若手介護職員のユニット「東京ケアリーダーズ」による学生向けブース等が設けられました。
口演発表では、「リハビリ・アクティビティ・レクリエーション・認知症ケア」「リスクマネジメント・経営・業務改善・品質・人材育成」「医療・看取りケア」「地域ケア・居宅・ソーシャルワーク」「日常ケアの向上」のテーマに分かれて発表が行われました。研究テーマの妥当性、研究内容の価値性・深度・正確性、プレゼンテーション能力の項目について厳正な審査の結果、各会場のテーマにおける口演発表の総得点数が1位の6題が優秀賞を受賞。さらに、優秀賞6題のうち、抄録の総得点数が最も高い発表1題が最優秀賞を受賞し表彰されました。
表彰式の様子
優秀賞受賞発表一覧


【アンテナ】
助成金
生き生きチャレンジ2019 福祉作業所助成事業
 12月10日(火)必着  福祉作業所で利用者を雇用して利益をあげ、賃金アップを目指す事業の設備投資費等(令和3年3月までに実施する事業が対象)  上限70万円  所定の申請書類に必要事項を記入し、郵送にて応募  (社福)読売光と愛の事業団 作業所係 〒100-8055 千代田区大手町1-7-1読売新聞東京本社内
 03-3217-3473
 https://www.yomiuri-hikari.or.jp/
あすなろ福祉財団助成金
 12月15日(日)消印有効  日本国内において3年以上の継続した活動実績があり、障がい者の自立及び社会参加に関する様々な活動を実施している非営利法人  (1)障がい者の自立及び社会参加に関する活動:10~300万円(総事業費の5割まで)(2)障がい福祉サービス事業所等の設備整備及び環境改善:10~400万円(総事業費の8割まで)(3)障がい者の文化・芸術・スポーツの振興のための諸活動:10~200万円(総事業費の8割まで)  所定のフォームに必要事項を入力し印刷後、添付資料を添えて郵送にて応募  (公財)あすなろ福祉財団 助成金申請係〒111-0051 台東区蔵前1-5-1 テクノフレックスビル2階
 info@asunaro-zaidan.or.jp
 https://www.asunaro-zaidan.or.jp/subsidy/
「連合・愛のカンパ」助成
 12月15日(日)必着  新たに地域における「ふれあい・助け合い活動」を開始する任意団体、NPO法人、グループ、サークル等  上限15万円  所定の申請書類に必要事項を記入し、郵送にて応募  (公財)さわやか福祉財団 〒105-0011 港区芝公園2-6-8 日本女子会館7階  03-5470-7751
 https://www.sawayakazaidan.or.jp/
講座・シンポジウム
第6回 都医学研都民講座
 11月29日(金)14時半~16時  学術総合センター内一橋講堂 先着500名(要約筆記あり)  無料  講演「子どもと母のメンタルヘルス」  11月25日(月)必着  往復はがきまたはメールにて  (公財)東京都医学総合研究所事務局研究推進課普及広報係 〒156-8506 世田谷区上北沢2-1-6
 tomin@igakuken.or.jp
 http://www.igakuken.or.jp/public/tomin/fy019/tomin06.html
発達支援センターセブンクローバー 第15回 心理講演会
 12月8日(日)10時~12時半  島田療育センター厚生棟  140名  1,000円   講演「発達が気になる子どもと家族を支える地域社会をめざして-子どもへの具体的な支援方法を理解し、地域での連携について考える-」  子どもの発達に関心のある方  12月3日(火)17時45分  メールフォームまたはFAXにて  (社福)日本心身障害児協会島田療育センター支援部
 042-374-2101  042-374-2089
 https://www.shimada-ryoiku.or.jp/tama/
第14回 ソーシャルワーク研究所シンポジウム
 12月8日(日)13時~18時  明治学院大学白金校舎  80名  一般5,000円、大学院生3,000円、学生1,000円(短大生~大学生)   「わが国のソーシャルワーカーは実践の軸足をどこに置くべきなのか-『当事者の暮らし』を支える支援の方法を考える-」講演、パネルディスカッション  定員になり次第  FAX送信後、参加費振込  ソーシャルワーク研究所 明治学院大学北川清一研究室気付
 03-5421-5344
 swkenkyu@mail.meijigakuin.ac.jp
 http://www.meijigakuin.ac.jp/~kitaga
wa/social/symposium.html
石井十次賞 受賞記念講演会
 12月10日(火)15時~16時半  野村証券東京本社1Fホール  70名(手話通訳あり)  無料  第28回石井十次賞を受賞した阿部志郎氏による講演  定員になり次第  FAXまたはメールにて  (公財)愛恵福祉支援財団
 03-5961-9711  03-5961-9712
 loveandgrace@aikei-wf.or.jp
 http://www.aikei-fukushi.org/
令和元年度 海外情報講演会
 12月11日(水)13時半~16時半  日比谷図書文化館B1F日比谷コンベンションホール(大)  100名  一般2,000円、会員無料(WUPジャパン会員、公園財団賛助会員)  「公園におけるインクルーシブな取り組み-オーストラリアと日本の事例から-」講演ほか  定員になり次第  FAXまたはメールにて  (一財)公園財団 公園管理運営研究所
 03-6674-1188  03-6674-1190
 staff-midori@prfj.or.jp
 https://worldurbanparksjapan.jp/
その他
第7回 芥川龍之介恋文大賞
 令和2年1月6日(月)必着  大切な人に届けたい想いを書いた手紙を募集※表彰式を3月8日(日)に芥川龍之介ゆかりの宿「一宮館」で開催  日本在住の小学生以上  600字以内の日本語で手紙を書き、必要事項を記入して郵送  (社福)愛の友協会 芥川龍之介恋文大賞事務局 〒299-4332 千葉県長生郡長生村金田2133
 0475-32-2587
 http://www.ainotomo.or.jp
※この他にも東社協ホームページに各種情報を掲載しています  https://www.tcsw.tvac.or.jp/about/keyword/kakushu.html
資料ガイド
施策・会議資料
●第1回社会保障審議会介護保険部会介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会 議事録(厚生労働省/8月)
●高等教育の修学支援新制度の対象機関(確認大学等)の公表(文部科学省/9月)
●特別支援教育 平成30年度実施事業(文部科学省/9月)
●厚生労働省関係の主な制度変更(令和元年10月)について(厚生労働省/9月)
●成年後見制度利用促進専門家会議第1回中間検証ワーキング・グループ 資料・議事要旨(厚生労働省/10月)
●障害者優先調達推進法に基づく国等による障害者就労施設等からの調達実績(平成30年度)について(厚生労働省/10月)
調査結果
●「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成30年度)」結果(文部科学省/9月)
●「都への提言、要望、相談等の状況2019」(平成30年度年次報告)(都生活文化局/9月)
●平成30年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果(文部科学省/10月)
●あなたの街の少年犯罪(警視庁/10月)
その他
●「鉄道駅バリアフリーに関する優先整備の考え方」(都都市整備局/9月)
●令和元年台風第19号による被害状況等について(内閣府/10月)
●令和元年台風第15号被災者の皆様への生活支援情報案内(総務省/10月)
●令和元年台風第19号被災者の皆様への生活支援情報案内(総務省/10月)
●「看護基礎教育検討会」報告書(厚生労働省/10月)
●「児童虐待死亡ゼロを目指した支援のあり方について」平成29年度東京都児童福祉審議会児童虐待死亡事例等検証部会報告書(都福祉保健局/10月)
●「災害時福祉支援活動の強化のために-被災者の命と健康、生活再建を支える基盤整備を-」提言(全国社会福祉協議会/10月)
●「全社協アニュアルレポート(年次報告書)2018-2019」(全国社会福祉協議会/10月)
●高齢者運転免許自主返納サポート協議会加盟企業・団体の特典一覧(警視庁/10月)


【くらし今ひと】
楽しみが感じられる環境づくりを
認知症や障害等により、自分一人では福祉サービスの利用や日常的な金銭管理等をすることが難しい方を支援する「地域福祉権利擁護事業」(以下、地権事業)の生活支援員として活動されている山本俊治さんにお話しいただきました。
◆高齢者、地域へ貢献したい
現役の時は、40年銀行に勤めました。毎朝都心に通い、夜に帰宅するという、地域とは関わりのない生活を送っていました。福祉関係に興味を持つようになったのは、企業年金の仕事で、高齢者と関わったことがきっかけです。本来受けられるはずのサービスや税制上の優遇措置が、年金等に関する書類の書き間違いや記入漏れにより、受けられなくなる人が多く、高齢者だけでは対応するのが難しいのではないかと思うようになり、お手伝いできる誰かがいると良いと感じました。
定年退職して生活の場が地域に移り、今度は地域に貢献したいと考えました。銀行時代に取得した社会保険労務士の資格を活かしたい、元々知っていた成年後見人をやってみたいと思い、情報を集めていたところ、市民後見人の存在を知りました。自分が住んでいる国分寺市社協に相談したところ、市民後見人の養成はその当時行っていませんでしたが、地権事業の生活支援員を提案されました。説明を聞き、自分が考えていた高齢者のお手伝いができる事業だと思い、活動を始めました。
◆「幸福寿命」という考え方
地権事業は、社協職員である専門員と社協に雇用された地域住民である生活支援員がペアとなってご本人を支えます。
生活支援員は、専門員が作成した支援計画に基づき、定期的にご本人宅に訪問します。活動内容は、生活費のやりくりや、給付金の申請書等の書類の確認や作成等をご本人が行えるようお手伝いします。ご本人の生活状況や部屋の様子の変化に目を配ることも大切な仕事で、気づいたことは毎回専門員に報告するようにしています。ご本人に代わってではなく、ご本人が主体となって手続き等がスムーズにできるようにお手伝いすることが仕事です。生活支援員になって約1年半経ち、現在3人の方を担当しています。
活動していると、ご本人が不要と思って捨てた書類の中に大切な書類が混ざっていた、ということがよくあります。そのような時は、受けられる権利を捨てることなく守ることができ、良かったなと思います。
活動の際は、ご本人の意思を尊重するのはもちろんのこと、ご本人と同じ立ち位置で話をすすめながら、ご本人の幸福感、楽しみを培っていくこと、そして、自分自身が楽しむことを意識しています。健康寿命という言葉がありますが、生きていて幸せ、楽しいと思える「幸福寿命」という考え方もあると私は思います。「あの人が来たのは1時間だったけど楽しかった」「福祉サービスを受けるための書類の整理を手伝ってくれてほっとした、安心した」と感じてもらえる生活環境づくりができると良いですね。
また、ご本人から質問されたことに対して、曖昧な答えをしないように気をつけています。説明する一つひとつの事項がご本人の生活に直接関わっているので、分からないことは必ず持ち帰り、調べてから答えるようにしています。
一方で難しいと感じることは、ご本人との距離感です。中には「全部やってくれる?」と言われる方もいますが、できるだけご本人が行えるよう、それぞれの人に合わせて対応しています。時には、事業としてできないことをお断りすることもありますが、一貫した対応をすることでご本人の信頼につながると考えます。
◆今後に向けて
今後は生活支援員の経験を積んで市民後見人も受任したいです。市民後見人になった際は、生活に困っている人達を支えていきたいと思います。


【東社協の本】
福祉施設にできる災害時の利用者と地域の高齢者・障害者・子どもたちへの支援は…?
~「都内福祉施設・事業所における災害時の利用者ならびに地域の高齢者・障害者・子ども等への支援に関するアンケート調査」結果~
平成30年度に実施したアンケート調査をまとめました。調査結果をふまえた11のポイント、調査結果の概要、資料編を掲載しています。
◆規格 A4判/110頁 ◆発売日 2019.6.11
◆定価 600円+税
保育園における震災時対応ガイドライン
~子どもたちの命を守るために~
震災に遭遇したとき、子どもたちの命を守るため的確な行動をすることが不可欠です。地震発生時から園児の引取りが終了するまで、園業務を限られた職員が迅速に行うための指針をとりまとめました。
調布市保育園協会ガイドライン作成委員会(編)、齋藤實(執筆・監修)
◆規格 A4判/71頁 ◆発売日 2014.2.3
◆本体 2,500円+税
高齢者や障害者などへのサポートマニュアル〔改訂第2版第6刷〕
地域社会で暮らす高齢者、障害者に対して、市民が街の中でサポートしたり、企業・事業所の従業員の方々が適切に接客・接遇するための正しい知識や技術を学べるよう、障害別に解説しています。
◆規格 A5判/85頁 ◆発売日 2008.3.1
◆本体 952円+税


【なるほどWord】
地域福祉権利擁護事業(日常生活自立支援事業)
認知症高齢者や知的障害、精神障害等のある方のうち判断能力が十分でない方を対象に、利用者との契約に基づき、地域で安心して暮らせるように支援する事業です。福祉サービス利用援助をベースに、日常的な金銭管理サービス、重要書類の預かり等の支援を区市町村社会福祉協議会等で実施しています。
事業の詳細は東社協HPをご覧ください。
https://www.tcsw.tvac.or.jp/activity/kenriyougo.html
 

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