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福祉広報 2015年12月 684号 テキストデータ

【もくじ】

社会福祉NOW

次の時代を担う世代に
「保育のしごと」を伝える

トピックス

●第12回児童虐待防止月間推進セミナー
●でたでたDATA 医療・福祉昼間就業者数 平成47年までに16万7千人増


連載 社会福祉法人の社会貢献・地域貢献⑨ (社福)武蔵野(武蔵野市)
●「食」を通して地域を支える

福祉職が語る (社福)至誠学舎立川顧問 高橋利一さん
●与えられることを待っていては何も変わらない


神奈川県 横浜
いつもの通学路。
大丈夫かな、渡れるかな、
さりげなく見守る目があたたかい。

 

 

【NOW】

次の時代を担う世代に
「保育のしごと」を伝える


東社協第3期3か年計画
(平成25~27年度新規重点事業)では、
「保育のしごと啓発事業」を実施してきました。
保育所待機児解消のための
保育所増設にともなって
保育人材需要が増加する中、
子ども・子育て支援新制度も施行され、
更なる専門性も求められています。
今号では、これから進路や職業を
選択していく次世代にむけて
保育所が「保育のしごと」を伝える
取組みについて紹介します。


「勇気をふりしぼって挑戦してみて本当に良かった」「保育士に”なりたいな~“だったのが、”なりたい!“になった」。これらは、東京都保育人材・保育所支援センター(東京都福祉人材センター内)が実施した「高校生向け保育の仕事 職場体験」に参加した高校生の声です。
高校生に体験の場を提供

「高校生向け保育の仕事 職場体験」では、保育のしごとに興味がある都内の高校生に対し、保育所での職場体験を実施しています。保育のしごとの魅力ややりがい、そして意義や専門性を伝える機会であるとともに、将来の進路選択の参考にしてもらうことを目的としています。
平成26年度に開始した本事業ですが、26年度は23校27名が参加をしました。募集人数の約10倍の申込みがあり、一定数の高校生が保育のしごとに興味を持っている状況がみられました。そこで、27年度は事業規模を拡大し、484名が196か所の保育所において職場体験を行いました。
実施後のアンケートでは、保育士のしごとに関して、「誇りをもって仕事をしている姿を近くで見られた」「とても大変だけれどやりがいのある仕事」という感想がありました。また、今まで知らなかったしごと内容として、片付けや掃除、命を預かることの大切さや責任とともに、「家庭環境、性格、苦手・得意なことを把握し、その子に合った接し方」「すべてを手伝うのではなく、意欲を持たせるように誘導したり工夫したりすること」等、具体的な専門性があげられていました。
保育のしごとを通じて職業観を育む

保育の現場では、資格取得のための実習やボランティアなど様々な方を受入れていますが、近年、職場体験として保育の現場が活用されることが増えています。東社協総務部では保育部会と連携し、会員保育所を対象に「保育所における職場体験受入れ状況に関するアンケート調査」を平成27年6月~7月に実施し、904園より回答いただきました。これから進路や職業を選択していく次世代に着目すると、小学生から高校生まで幅広く受入れが行われていました(図1)。小学生の受入れは約2割でしたが、中学生は9割、高校生では、約半数の保育所で受入れが行われていました。
中学生の受入れに関しては、文部科学省の「職業や仕事の実際について体験したり、働く人々と接したりする学習活動」に位置づけられる「中学生の職場体験」が大きな割合を占めていました。全体の回答の中でも受入れ依頼者として学校・教育委員会が最も多く約7割という回答でした(図2)。学校側が受入れ事業所に求めているのは、「勤労観、職業観を育む体験活動」です。そのため、働く姿を近くで見せ、しごとには大変なこともあるが、やりがいもあることを理解してもらうことが重要な意味を持っています。
職場体験の依頼者や手続きは様々です。「中学生の職場体験」が自治体の施策にも位置づけられている地域や、保育主管課が学校からの依頼を取りまとめ体験先をふり分ける方法もみられました。また、企業やNPOがマッチングに関わっているという回答も少数ながらみられる中、大半は、学校や教育委員会から保育所が個別に相談や依頼を受けていました。その他にも、保幼小中の連携会議や地域教育連携会議、保育所職員や卒園児・保護者など、地域のつながりを通して依頼を受けている様子もみられました。
自治体が「中学生の職場体験」の受入れ事業所と学校のマッチングに関わっている町田市では、年度初めの4月に教育委員会が市内外の事業所等に対して受入れ可否や可能な場合の時期、人数、条件等の調査を一括で行い、中学校との調整を行っています。そして、9月、11月、1月の3期に分けて20校の中学2年生が連続した5日間、職場体験を行います。町田市教育委員会学校教育部指導課の柴田典子さんは、「職場体験は、今年で11年目となる。中学2年生の時に保育所で職場体験をした方が、保育所に保育士として就職したという話も聞く。他にも、美容師のしごとを体験し美容の専門学校にすすんだり、小学校での体験がきっかけとなり教師になったという例もある。職業観を育むことが目的ではあるが、関心や興味があることを実際に体験することで、進路のちょっとした指針や方向づけになっている様子もみられる」と話します。
東社協が実施した調査においても、保育所が小学生・中学生・高校生の職場体験を受入れる際の目的についてたずねたところ、対象年齢が上がるにつれて、保育のしごとへの関心やキャリア教育の視点が高くなる傾向にありました(図3)。高校生については、「保育のしごとに関心をもってもらいたい」は小学生の約2倍、「キャリア教育の面から『仕事をすること』を学ぶ機会にしてほしい」は、小学生の3倍以上でした。
小学生へは保育所から声かけも

小学生の場合は、卒園児を中心に本人や保護者からの依頼による受入れや、園の独自事業での受入れという回答がみられました。依頼を受けるだけでなく、「保育所から働きかけて」という回答が複数見られるのが特徴です。「卒業生に手紙配布」「卒園児に職場体験やボランティアをしませんかというお誘いのプリントを郵送」などの回答がみられました。また、「卒園児が学童利用可能学年を超え、放課後をボランティアとして当園で過ごす」という保育所もありました。
中央区にある月島聖ルカ保育園園長の高久真佐子さんは、「どの年齢の子を受入れるかで伝える内容は違う」と言います。「高校生は保育の仕事に就きたいという希望をもって体験に来る子が多いので、保育士の専門性を意識して体験してもらう。中学生は、保育士が働く姿を見せる中で、保育のしごとを知ってもらい、興味を持ってもらう。小学生は、当園では4年生から夏体験ボランティア等で受入れている。卒園生が参加することも多く、毎日来る子もいる。保育のしごとを伝えるというよりは、園児から頼ってもらったり感謝されたりする体験の中で、自分の存在意義を感じてもらっている。先生たちにとっても卒園児の成長が確認できる場となっている」と話します。
保育のしごとを伝える

今回の調査で、職場体験を受入れる中で保育のしごとを伝える際の工夫や重視している点をたずねました。職員の工夫として、雰囲気や楽しさを感じてもらうことや、保育所で働く多職種としての関わりがあげられています(表1)。そして、保育のしごとを伝える際に最も重視している点は、「子どもとの関わりを楽しく思ってもらう」でした。一方、楽しさだけでなく、うまくいかないことや、掃除、保育準備等の雑務を体験してもらうことで実態を伝えていました。また、チームで関わる専門性の高いしごとであること、命を預かるしごとであること、個人情報の取扱い等の説明にも重点を置いていました。
●    ●    ●
職場体験は、次の時代を担う世代が保育のしごとに出会い、関心を深める機会の一つとなっています。自分たちも大切に育てられたことを感じ、虐待予防や地域の子育て支援につなげたい等、進路や職業選択だけでなく、これから地域の大人、親になっていく世代に対して保育所はメッセージを込めて職場体験を受入れています。

 

表1 保育のしごとを
伝えるための
職員の工夫(主な回答)

(1)園の雰囲気を良くし「来たい」という気持ちになれるように心がけている。
(2)保育士自身も楽しんで保育している姿を見せている。
(3)自分から子どもの中に入れない時は声をかけて、一緒に関われるようセッティングする。
(4)担当クラスの保育士や保育所で働くすべての職員が対応し、説明したり話をしたりしている。
(5)「職場インタビュー」に、保育士だけでなく栄養士や看護師にも参加してもらう。
(6)多職種で(園全体で)受入れ、学校のねらいに沿えるようにしている。
(7)手伝ってくれたことに感謝の気持ちを伝える。
(8)体験した学生も大切に育てられてきたのだということを思い出してもらう。

 

 

【トピックス】

頼りあい・支えあえる
福祉コミュニティーづくり


第12回
児童虐待防止月間
推進セミナー


11月は児童虐待防止推進月間です。キャンペーンやシンポジウムなど様々な普及啓発活動が全国で行われました。
11月13日に、社会福祉法人至誠学舎立川児童事業本部と、立川市社会福祉協議会が共催した第12回児童虐待防止推進月間セミナー「大人も若者も子どもも頼りあい・支えあえる福祉コミュニティーづくり~子ども・若者支援ネットワークづくりに向けて~」が、開催されました。
悩みや課題を抱えた家庭を地域につなげ、地域で支えていくために、地域でできることを参加者と共に考える機会にしたいという趣旨のもと、大人や子ども、若者の支援に取組む方がシンポジストとなり、講演を行いました。地域のボランティア団体や、民生児童委員、一般市民、福祉を学ぶ学生などが参加しました。
子どもたちに学習の機会を
保障するために
初めに基調講演として、法政大学名誉教授で社会福祉法人至誠学舎立川顧問の高橋利一さんが登壇しました。高橋さんは、児童虐待通告が増加する現状とその内容や防止の取組みについて説明しました。そして、児童養護施設の子どもたちの大学進学について、「児童養護施設の子どもたちがやっと大学に入学しても、4年間通い続けるための支援が足りない。切れ目なく教育の機会を均等に提供できるような生活支援や、学費の応援が必要。社会的養護とは、社会みんなが親となり子どもたちを見ていくこと」と指摘しました。
家族再統合の支援を通して
シンポジウムでは、はじめに児童養護施設至誠大地の家施設長の高橋誠一郎さんから話がありました。至誠大地の家では、早期家庭復帰をめざし、子どもたちだけでなく保護者や祖父母、おじ、おば等も含めた家族の支援にも力を入れています。行事に家族を招待して、子どもの成長を一緒に喜び合う中で、家族内の力関係を適切な状態に戻していきます。他にも、カウンセリングの充実や、親の持っている力を引き出す支援などをしています。
高橋誠一郎さんは、「施設を地域の社会的養護の拠点にしていきたい。地域と一緒に家庭復帰後の家族支援を一緒に考え、家庭支援や地域支援を充実させていきたい」と話しました。
高校での「カフェ」の実践を通して
東京都立砂川高等学校通信制課程主幹教諭の田中正仁さんは、生徒たちにとって情報が極めて不足している状態にあると感じ、生徒の情報スキルを高め、人とのつながりを持ってもらいたいと考えていました。そこで、田中さんは、5分模擬授業やボランティアによる学習支援、フードバンク、心理専門家の家庭訪問による支援、地域学習教室開設などの取組みをはじめました。「砂川カフェing」では、コーヒーを飲みながら進路相談や、NPOなどの地域活動の情報提供を行ないます。しかし、なかなか生徒たちに来てもらえませんでした。サービスやシステムばかりつくっても、生徒たちが「ハードルが高い」と感じてしまえば、生徒たちは心を開いてくれないのです。取組みを通し、生徒たちは身近で心を許している人や信頼できる人を求めていることがわかりました。田中さんは、「生徒たちにとって、しくみづくりだけでなく、その利用ができるようになるためには、ハードルが低く心を許せるような相手の協力が必要」と指摘しました。
若者支援の現場を通して
認定NPO法人育て上げネットは、主に15歳以上の若者への就労支援を中心に若者のサポートを行っています。近隣で起きた虐待事件をきっかけに、子どもへの支援の必要性を痛感した若年支援事業部担当部長の井村良英さんは、「学校にも家にも居場所がない子が安心して学び、自分らしく過ごせるサードプレイスの役割も担っている。10月からは高校中退者等のための学習スペースもはじめた。今後は、学習スペースまで通うエネルギーのない若者に対する支援を考えているので、地域の方にも手伝っていただきたい」と協力を呼びかけました。
虐待かな?と思ったら・・・
シンポジウムのあとは、実際にあった虐待事例をもとに東社協が作成した小冊子『こんなことに気づいてあげて』を使い、ロールプレイを行いました。気になる家庭に対し「これって虐待なのでは?」と感じた時に、地域住民として何が出来るのかを考えました。
地域でしかできないことがある
高橋誠一郎さんは「施設の子も地域住民。一緒に支えてほしい。施設の取組みや考えを発信しながら、地域の方と一緒にできることを考えていきたい。子どもたちと人のぬくもりを分かち合えるような方に是非手伝ってもらいたい」と話しました。
田中さんは「今後、学校は、生徒たちにとってもっと身近な大人を求めていくだろう。以前、学校と音信不通になっていた子が地域のサッカークラブにいたことがあり、地域とのつながりを更に活かしたいと感じた。何度も声を掛けて人間関係を作れる人が生徒の心を開いていく」と語りました。
井村さんは「ロールプレイを見て、このように動いてくれる大人が増えるためにはどうしたらいいのだろうと考えさせられた。相談することは恥ずかしいことではないことを伝えてあげられたらよい」と話しました。
最後に、立川市社協地域福祉コーディネーターの早川郁子さんが、「立川市で行っている学習支援や居場所づくり、フードバンク事業について、是非一緒に取組みませんか」と参加者へ協力を呼びかけました。
虐待や貧困問題が顕在化し増加している今日、専門機関や制度だけで解決するのではなく、地域の力が必要とされています。困りごとを抱えた人にとって、地域住民は、身近で信頼できる存在であることが望まれています。

シンポジウムの様子(左)、ロールプレイをする至誠学園職員の皆さん(右)

 

 

【データ】

東京都の医療・福祉分野の昼間就業者数
平成47年までに16万7千人増
東京都「東京都就業者数予測」から

少子高齢化が急速に進み、東京都の人口構造も、今後、大きく変化することが予想されています。東京都の人口は、平成32年にピークである1,336万人を迎え、47年までに1,280万人まで減少するとされています。また、生産年齢人口も減少し、47年には803万人まで減少するとされています(「東京都男女年齢(5歳階級)別人口の予測」より)。それに対して、高齢者は年々増加を続け、団塊の世代がすべて75歳以上となる37年までに、この傾向がさらに顕著になると見込まれています(図1)。
東京都は、22年10月1日現在の国勢調査の結果を基に、「東京都就業者数の予測」を10月21日に公表しました。その中で、昼間就業者数は、基準年となる22年の817万4,194人から減少傾向で推移し、47年には737万8,257人になると見込まれています。
しかし、産業別の昼間就業者数では、医療・福祉は最も増加する産業と予測されており、47年までで16万7,377人増加すると見込まれています。特に、女性の増加数が大きいとされ、男性の3倍以上の12万8,550人増と見込まれています。
一方、全国1万6,973か所の医療・福祉事業所の17%が「3年前よりパートタイマーなど非正社員の割合が増えた」と回答しており(「2014年就業形態の多様化に関する総合実態調査」より)、安定した労働環境の整備についても重要な課題となっています。
今後、就業者の増加が見込まれ福祉現場での早急な人材確保が課題となる中、誰もが安心して働くことのできる職場づくりに取組んでいくことが求められます。

 

 

【マンスリー】

2015年10月26日~11月25日

障害者差別
解消法へ向けた
ガイドラインを公表

●厚生労働省は、平成25年6月に成立・公布され、平成28年4月から施行される障害者差別解消法を推進するため、事業者別に講ずるべき対応指針が示されているガイドラインを公表した。福祉事業者向けガイドラインでは、サービスの利用拒否、利用制限(場所・時間帯などの制限)等の不当な差別的取扱いと考えられる例示の他、合理的配慮、障害特性に応じた対応、事業者における相談体制の整備等についても具体的事例を交えて必要な考え方が記載されている。       (11/11)

●介護保険総合事業、全国約90か所で前倒し実施
●厚生労働省は、10月1日現在の介護予防・日常生活支援総合事業、包括的支援事業の実施状況を公表した。本年度中に総合事業に取組む市町村は202か所で、前回調査から、90余りの市町村が前倒しでの実施を決めた。東京都内では、10区市が27年度中の実施。       (10/26)
●9割が子育てに地域の支えが重要
●厚生労働省は「平成27年度版厚生労働白書」を公表した。15歳以下の子どもを持つ親のうち男性の7割弱、女性の8割弱が子育てに負担や不安を感じ、9割を超える人が地域の支えが子育てに重要だと考えていた。       (10/27)
●都内初 品川区がセブンイレブンと見守りネットワークを開始
●品川区は、㈱セブン-イレブン・ジャパン、品川区社会福祉協議会の三者間で「民間企業と連携した高齢者等地域見守りネットワーク事業」に関する協定を締結した。配食等のお届けサービス利用者や店舗来店者が対象で、区内68店舗の従業員が見守り活動を行う。異変を感じたら、区や地域の在宅介護支援センターに情報提供する。 (11/2)
●一億総活躍社会実現に向けた厚労省の考え方を公表
●厚生労働省は、第2回厚労省一億総活躍社会実現本部において一億総活躍社会実現に向けた厚生労働省の考え方を示した。医療・福祉サービス分野におけるサービスの質の向上及び業務の効率化・スリム化の推進、ひとり親・多子世帯の支援(子どもの貧困への対応等)、社会的養護を必要とする子どもへの支援(児童福祉法等改正)、介護離職ゼロにむけた在宅・施設サービスの整備の充実・加速化等について数値目標を掲げた。 (11/12)
●児童福祉法対象年齢20歳未満へ引き上げに向けた検討
●厚生労働省は、新たな子ども家庭福祉のあり方に関する専門委員会のワーキンググループにおいて、児童福祉法の対象年齢を20歳未満に引き上げることなどを検討している。現在は、原則18歳未満で必要な場合には20歳未満まで措置延長できることとされている。      (11/12)
●高齢者虐待の未然防止と早期発見について通知
●厚生労働省は「養介護施設従事者等による高齢者虐待の再発防止及び有料老人ホームに対する指導の徹底等について」を各都道府県知事等に通知した。養介護施設従事者等による深刻な高齢者虐待等の事案が複数発生している事態を受けたもの。
(11/13)

 

 

【連載】

「食」を通して
地域を支える
社会福祉法人武蔵野の取組み


武蔵野市にある
URサンヴァリエ桜堤団地では高齢化がすすみ、
一人で食事をしている高齢者が多くいました。

そこで、社会福祉法人武蔵野は、
団地自治会と連携し、
団地集会室でコミュニティ食堂を開催しています。
今号では、「食」を通して地域を支える
社会福祉法人の取組みを
紹介します。

 

調理スタッフが地域に出ていく
社会福祉法人武蔵野 桜堤ケアハウスの周辺地域では、コミュニティセンターや団地が主催するお祭りがいくつもありました。桜堤ケアハウスでは、給食調理業務を委託せず直営で行っています。桜堤ケアハウス調理員の井口大也さんは、「美味しい食事を食べると、みんな幸せになる。『食』を通じて地域とかかわりたかった。足腰が弱って施設まで来られない人にも届けたくて、地域に出ていくことにした」と話します。7年ほど前から、調理スタッフ自らがお祭りなどに模擬店を出し、周辺地域の方々と顔なじみの関係を作ってきました。
その取組みの成果として、地域の方々とすれ違う際に、それまでの「おはようございます」に加えて「この前のお祭りで買った『肉まん』は美味しかったよ」などの会話が生まれ、地域との距離が縮まりました。地域との「食」を通したつながりは、当初は食事サービスのスタッフのみの活動でしたが、4年前からは桜堤ケアハウスの全職員でかかわるようになりました。

団地住民の課題を把握
桜堤ケアハウスから徒歩3分の場所に、約950世帯が暮らす「URサンヴァリエ桜堤団地」があります。高齢化率は約32%(市全体約21%)です。団地自治会が行った地域の関係機関懇談会では「ゴミの分別やゴミ出しが困難」「隣近所から孤立している」等の団地住民の課題が明らかになりました。
桜堤ケアハウスは、団地で暮らす高齢者の生活課題を共有したいと、自治会事務所内に高齢者向け配食の配達ステーションを設けました。そして、団地住民の中から配達してくれるボランティアを募集することで、日常的に自治会役員や事務員、ボランティアの方々と顔なじみの関係を作りました。
さらに、平成25年度には、団地で暮らす高齢者の生活実態を把握するために、自治会と桜堤ケアハウスとが協働で全世帯にアンケート調査を実施しました。回答した65歳以上の世帯の約半数が80歳以上で、そのうち独居、老齢夫婦のみの世帯が約9割、食事を毎食一人で食べている方は半数以上、そして会食型食事サービスの利用希望は半数程いました。これらをふまえ、「食」を通して住民同士が出会える居場所づくりの必要性を考えました。
団地自治会には、住民同士の親睦を深めるサロン活動がいくつかありますが、自治会活動に関心を持つ住民の減少、担い手の固定化などと役員の負担増が課題でした。そこで、桜堤ケアハウスでは、自治会役員と「コミュニティ食堂」の具体化に向けて話合いをしました。財源は、東京都の「地域の底力再生事業助成」を活用しました。フロアを切り盛りするボランティアスタッフは団地住民から募集し、利用希望者への試食会を行うなど、開店に向けての調整を重ねました。

「火曜」にみんなが「通う」
平成26年9月にコミュニティ食堂「よりあい食堂かよう」をオープンしました。名称は、試食会にいらした方からの提案により、「火曜」と「通う」をかけ、「よりあい食堂かよう」と名付けました。団地の集会室を会場とし、毎週火曜日の正午から午後2時まで開いています。毎回30名程が参加し、ガラス張りの明るい場所で、食事を食べながら会話を楽しんでいます。1食500円で栄養バランスのとれた美味しい食事が食べられます。
参加者は、主に自立している高齢者ですが、介護サービスを利用している方や認知症症状がある方も参加しています。桜堤ケアハウスの在宅介護支援センター職員らが食事中にテーブルをまわりながら、世間話の中から困りごとを聞きだし、介護保険サービスや他の社会資源につなげています。また、12月からは、利用者からの希望で「歌の会(介護予防事業)」が始まります。

安心して参加できる
参加者のAさんは夫婦で参加しています。夫には認知症があり、介護サービスやテンミリオンハウス*も利用しています。Aさんは「『かよう』等のランチを利用することで昼食を用意する負担が減った。スタッフは認知症サポーターの ”オレンジリング“をつけている人もいて安心できる」と話します。
ボランティアスタッフは10名程が登録し、3名ずつローテーションで担当しています。1人月1~2回の活動です。「毎週だと負担感があるけれど、これくらいならちょうどよい」とボランティアの皆さんは話します。急に休む必要ができた場合などは、自治会役員さんらが代理を打診してくれるなど、コーディネートしています。

職員が地域に出るための工夫
桜堤ケアハウスの食事サービス部門では、施設利用者への食事の質を落とさず、職員が地域に出ていくための工夫を考え、通常業務の無駄を洗い出して見直しをしました。
当初は、調理スタッフが地域に出ていくことを「大変かもしれない」と躊躇している職員もいました。しかし、実際に「かよう」で調理してみると、地域住民が「美味しい」と直接感想を寄せて、やりがいを感じるようになりました。時間がゆったり流れる食堂の雰囲気の中で、仕事ができるのも楽しさのひとつのようです。
調理スタッフに限らず職員が地域に出ていくことで、今までより地域住民と顔見知りになることができました。「こんにちは」の挨拶から、世間話や地域の話題になり、そして健康・医療・介護の話と不安を早めに把握でき、訪問につながるケースもあります。相談になる少し前の困りごとや悩みをキャッチし、専門職が早めにアプローチできました。

住民が主役。専門職は黒子
「よりあい食堂かよう」の運営について、自治会役員・事務員は会場予約や利用人数の集約、ボランティアスタッフの調整、助成金の申請手続きなどを担い、ボランティアスタッフは利用者のお迎えや料理の配膳を担っています。そして、桜堤ケアハウスは調理スタッフと相談員を派遣し、調理や相談対応、また運営がスムースに行えるようコーディネートを担っています。市の生活支援コーディネーターも「かよう」を通して、住民同士の支え合いづくりにかかわっています。

専門職の主導ではなく、団地住民が中心に取組むことで、自然な近所づきあいと顔見知りのネットワークが広がります。桜堤ケアハウス施設長の阿部敏哉さんは、「住民の関係性を壊さないようにかかわるのが大切。専門職の役割は、住民同士の関係づくりをそっと後ろからお手伝いすること」と話します。社会福祉法人武蔵野では、「かよう」の取組み成果を生かし、他地域での展開も検討しています。


社会福祉法人
武蔵野

平成4年に設立、6年に現在の法人名に変更。
児童、障害、高齢まで
様々なライフステージで支援を必要とされる
方々を対象に21施設、38事業を展開。
「地域社会に役立つ」を基本理念に、
福祉サービスを必要とする方の
基本的人権を尊重し、その人らしい
暮らしが送れるように支援している。

 

調理員の井口大也さん。
優しい人柄と手際の良さが自慢です

ボランティアのお子さんも
配膳に活躍しています

彩りの良い栄養バランスもとれています。
せともの食器で温かみがあります

ボランティアのみなさんと
生活支援コーディネーター(左端)

 

*テンミリオンハウス
武蔵野市が、地域の福祉団体や地域住民に年間1,000万円(テンミリオン)を上限に補助し、ミニデイやショートステイ等、特色ある事業を展開。

 

 

【東社協発】

「ユニバーサル就労」学習会開催

平成27年4月施行の生活困窮者自立支援法では、区市等による任意事業として「就労訓練事業」(いわゆる「中間的就労」)が導入されました。就労に困難を抱える生活困窮者に就労の機会を提供するとともに、生活面や健康面での支援を行う事業です。
千葉県にある社会福祉法人生活クラブ風の村(以下、風の村)では、約10年前より生活困窮者に限定せず、「はたらきたいのに はたらきにくいすべてのひと」を「ユニバーサル就労」として受入れ、就労の機会を提供しています。東社協社会貢献事業検討委員会広域連携事業に関する勉強会では、10月27日に、NPO法人ユニバーサル就労ネットワークちば副理事長の平田智子さんを講師に招き、ユニバーサル就労についての勉強会を開催しました。
平田さんは、風の村の職員としてユニバーサル就労の立ち上げからしくみづくりに取組んできました。きっかけは、風の村が新規施設を立ち上げる際に住民や地域から聞いた声でした。新しく地域にやってくる法人に期待することとして、防災拠点としての食料備蓄、ホームレスやニート・引きこもり支援などの意見と共に、”はたらく場を提供してほしい“という声がありました。平田さんは、取組みのきっかけについて「生活協同組合が母体の社会福祉法人であり、『自分たちにとっていいことをつくり出す』という組合員活動の風土があった」ことが取組みを推進に導いたと話します。
ユニバーサル就労の具体的な対象者は、障害者手帳の有無にかかわらず、精神的な理由、身体・知的な理由、子育てや介護で時間に制限がある方や、ニート、引きこもり等社会的な理由で現在の雇用形態でははたらきにくい人です。触法状態の方は除きますが、触法歴のある方は対象にしています。「本人が”はたらきたい“と思っていることを条件とし、居場所、生きがいも含めてユニバーサル就労として受入れている」と平田さんは話します。ユニバーサル就労の方を、風の村では継続的に通う人を意味する「コミューター」という名称でよんでいます。非雇用型の①無償コミューター、②有償コミューター、雇用型の③最低賃金保障職員、④一般賃金職員の4段階に分かれます(表1)。
事業所では、受入れにあたって「人と接する仕事」、「力を使う仕事」、「入力業務」、「PC以外の事務作業」などに業務分解を行います。職員以外にもできる業務が複数あることがわかり、それらをユニバーサル就労の方に担ってもらっています。「ユニバーサル就労の方へ業務を切り出すことで、職員はより専門業務に専念できる等の効果がみられた」とユニバーサル就労の受入れ効果について説明しました。
平田さんの説明の後、出席委員による質疑応答や意見交換が行われました。「中間的就労に関する気持ちのハードルがさがった」「感銘をうけた」という感想がありました。そして、生活困窮者自立支援法における自立相談窓口を受託している委員からは「このような社会資源が欲しいと思っている」との意見がありました。
また、保育所で障害者雇用を開始した委員より、採用に至るまでの取組み紹介がありました。「職員理解や仕事の切り出し等に時間は要したが、障害者雇用を導入することができた。できないと思っていたが、保育園にもできることがある」と話しました。その他にも、「東京の社会福祉法人も様々な取組みをしているが、まだお互い把握しきれていない。連携していけることを実践事例やモデルを伝えながら広めていければ」との感想がありました。
本会では、社会福祉法人の広域連携による社会貢献事業として中間的就労に関する取組みの、28年度からの実現にむけて検討を行っています。


魅力ある職場づくりのために


11月4日に、研修会「福祉職場の労務管理とキャリアパスを活かした人事管理~人材育成と働きがいのある職場づくりの構築に向けて~」が、国立オリンピック記念青少年総合センターで405名の参加者を得て開催されました。
東社協福祉施設経営相談室、労務専門相談員の綱川晃弘さん(社会保険労務士)を講師に迎え、例年実施している労務管理研修に、今年度新たにキャリアパスを活かした人事管理の内容を加えて実施しました。
初めに、綱川さんは、人事労務管理を通じて「魅力ある職場づくり」を行っていくことは、単に必要な人材の確保を目的にするにとどまらず、「法人の価値向上」を実現することが最終目的であるとしました。その上で、人事管理と労務管理の違いについて以下のように説明しました。
〇労務管理‥「法令」を基に、労使関係を中心とした職員全体、職群を対象として管理する分野
〇人事管理‥「経営(事業)戦略」を基に、人材採用から退職までの個人を対象として管理する分野
研修の前半で、最近の労働法関連の主な改正動向とその内容、留意すべき経過措置や今後の施行予定、さらに再雇用職員の継続雇用の特例措置、保育所のお泊り保育対応等労務管理の基本的事項について説明がありました。
後半では、人事管理について、役割等級制度や評価制度(目標管理制度・人事考課制度等)の考え方等の説明がありました。その中で、「人事管理は採用・配置・育成・評価・処遇・退職をサイクルとして考えていくことが重要。制度があってもそれがサイクルとして機能していない法人もある」と指摘しました。そして、法人の求める人材像を明らかにし、求める人材を増やす目的で人事管理制度を整え、機能させていくことが必要と述べました。
国の介護職員などの処遇改善加算におけるキャリアパス要件の設定や、東京都保育士等キャリアアップ補助等の制度が施行される中、施設・事業所にとってキャリアパスの構築をどのように考えていくのかが喫緊の課題となっています。綱川さんは「キャリアパスの作成だけで満足することなく、職員自身のキャリアビジョン(職業生活における将来目標)を充実させることも不可欠」と締めくくりました。
本会、東京都福祉人材センター研修室では、全社協キャリアパス対応生涯研修課程に対応した生涯研修課程(初任者、中堅職員、チームリーダー、管理職員)と併せて、独自研修として中核人材養成研修、指導職チャレンジ研修を実施しています。また、経営相談室において福祉施設・事業所からの人事・労務管理全般に関する相談を受付けています。


東京都社会福祉大会を
開催します

東京都、東京都共同募金会、東京都社会福祉協議会は、第64回東京都社会福祉大会を開催します。
表彰式において本会は、東京の社会福祉に功績のあった個人・団体158名51団体に対して、東京都社会福祉協議会会長表彰状、・感謝状を贈呈します。また、表彰式の他、明星学園中学校・高等学校和太鼓部による公演を行います。
▼日時 12月18日(金)14時~15時45分
▼場所 東京都庁第一本庁舎 5階大会議場
▼問合せ 庶務担当
TEL 03(3268)7171


地域福祉フォーラム
東京力×無限大

▼日時 28年1月30日(土)13時~17時
▼会場 飯田橋レインボービル、飯田橋セントラルプラザ
▼参加費 500円(当日支払い)
▼定員 270人
▼内容 〔基調講演〕「多様性ある東京における福祉コミュニティづくり」木原孝久さん(住民流福祉総合研究所)〔分科会〕①マンション暮らしin東京~ささやか・地道なご近所づきあい~、②地縁×〇〇=力、③あした天気になぁれ!~子どもたちの「明日」のためにできること~、④人があつまる組織、あつまらない組織
▼申込み・問合せ先 地域福祉担当
FAXまたはE-mailにて申込み
TEL 03(3268)7186
FAX 03(3268)7222
E-mail:chiiki_07@tcsw,tvac.or.jp
URL:http://www.tcsw.tvac.or.jp/
about/documents/20151125-chiiki.
pdf

 

 

【ゆーすけ】

東京都民生委員・児童委員大会を開催したよ!
●11月18日(水)都内民生児童委員約1,800名が、文京シビック大ホールに一堂に会し、第69回東京都民生委員・児童委員大会を開催しました。今年度は、1,250名の委員に都知事表彰が贈られました。また、これからの1年間の活動指針となる大会宣言には、問題を抱えた子どもたちの言葉にならない思いに気付き、声を掛け、寄り添っていけるよう、思いやりのある温かな「おせっかい」を率先して行っていくことなどが盛り込まれました。
後半の記念講演は、岡山県立岡山盲学校講師、社会福祉法人岡山県視覚障害者協会理事を務める、竹内昌彦様にご登壇いただきました。


「介護のコト体験フェア」を開催したよ!
●11月22日(日)、東京都福祉人材センターでは、「今、未来がアツイ!フクシの世界を知ろう!介護のコト体験フェア」を東京国際フォーラムにて開催しました。福祉や介護に興味のある学生や、現在在宅で介護をされている方、福祉分野へ進学・就職を考えている方などが集まりました。
メインステージでは、ケアマネジャーの仕事についての寸劇や、NPO法人UBdobeのメンバーによるトークショーが行われました。各ブースでは、東京都介護福祉士会や、社会福祉法人による移乗のポイントや、口腔ケア、おむつの上手な使い方などのレクチャーが行われ、参加者が体験しながらプロの技を学びました。
<介護のコト体験フェアのページ>
https://www.tcsw.tvac.or.jp/jinzai/eventH25.html

 

 


【福祉職】

与えられることを
待っていては、何も変わらない


社会福祉法人至誠学舎立川
顧問

高橋利一
Toshikazu Takahashi

1939年東京生まれ。児童養護施設至誠学園指導員、施設長。1993年日本社会事業大学教授を経て、法政大学現代福祉学部教授。法政大学名誉教授。社会福祉法人至誠学舎理事長、至誠学園統括学園長をつとめ、現在同顧問。児童養護実践の専門性の発展に寄与していくことを目的とした、一般社団法人日本児童養護実践学会の立ち上げに発起人として関わり、現在理事長を務める。

施設の子どもたちと一緒に
育てられた
私が母に連れられて祖父の経営していた立川の少年保護施設に来たのは、5歳の時でした。それからは、施設の子どもたちと寝起きを共にし、同じ学校に行き、同じものを食べて育ちました。高校へ通う費用が工面できないとなれば、施設の子どもたちも総出で子豚を育て、それを売って学費を捻出していました。
施設の子どもたちと一緒に育ってきて身についたのは、福祉職として、支援を受ける立場になって支援策を考えるということです。そのためには、一人ひとりにどこまで寄り添えるかが問題になってきます。「あの子のためにこうしよう」と思えるような関係づくりが、より深いニーズに気づくことにもつながります。
「ニーズの種」を見つける
それと同時に、支援を実現し継続するには、資金面等、経営者の視点も必要になります。継続した支援には必ず協力者が必要です。子どもたちの立場になりつつ、支援者として適切にそのニーズを代弁し、協力者を獲得し、支援につなげる。目的や目標を明確にして、それを実現するためには何が必要で、どんな過程を経れば良いのか。それらを具体的に示すことができれば、支援の道はひらけます。
例えば既存の児童養護施設では、子どもの受け入れが2歳からとなっており、乳児院から施設に入ってくる子どもは、親から乳児院、乳児院から児童養護施設と、大切な時期に何度も環境が変わっていました。そこで、社会福祉法人至誠学舎立川では、0歳から入所が可能で、家族の再統合にも取組める、新しいかたちの児童養護施設の立ち上げを計画したのです。資金面で大きな壁がありましたが、この施設をつくることで、どんな子どもが、どんなふうに助かるのかということを丁寧に説明した結果、企業から寄附をいただくことができ、平成21年に「至誠大地の家」を立ち上げることができたのです。0歳児は自分で意志を示すことはできません。私たちは、今まで関わってきた多くの子どもたちへの支援から「ニーズの種」を見つけ、まだ見ぬ入所者の最善の福祉のために、必要な協力者を得て、施設の立ち上げという花を咲かせることができたのです。
与えられることを待っていては、
何も変わらない
児童養護施設は公の措置に基づく施設であるため、資金を公的な補助に頼りがちです。しかし、与えられることを待っているだけでは、決して現状をより良いものにすることはできません。
それは施設にいる子どもたちも同じで、施設を巣立った後、社会に依存しているようでは、誰も面倒を見てはくれません。自分が何をしたいのか、何を周りにしてほしいのか、それを適切な時期に、適切な相手に発信できれば、必ず誰かが手をさしのべてくれます。子どもたちには、「施設にいたからできなかった」ではなく、「施設にいたからできた」という自信をもって、社会で活躍してほしいと思っています。
理念を大切にしてほしい
戦後まもなく設立され、現在まで続いているような法人は、設立当初の理念が今も経営者、従事者の中で生きているのだと思います。最近は新しく事業を始めるにしても、今目の前で求められているニーズへの対応を優先して、理念については見栄えの良い言葉を選んで後付けしているような印象を受けます。しかし、特に福祉という人を相手にする仕事においては、理念は非常に大切なものです。法人の根幹となる理念が組織の末端まで浸透していればこそ、既存の制度やニーズにとらわれず、本当に必要とされていることに気づき、支援につなげることができます。
既存のニーズに頼ることなく、常に「ニーズの種」を探し、当事者の目線でものを見ながら、支援者の頭で考える。それが今後、福祉の分野で活躍するための鍵ではないでしょうか。

 

 


【資料ガイド】

施策・会議資料
●『新たな時代に対応した福祉の提供ビジョン案資料』(厚生労働省・新たな福祉サービス等のあり方検討プロジェクトチーム/9月)
●『不登校・中途退学対策検討委員会中間まとめ』(東京都教育庁/10月)
平成27年5月に設置された委員会における、公立学校での今後の不登校・中途退学対策の在り方についての中間まとめ。
●『平成27年版厚生労働白書』(厚生労働省/10月)
●『福祉先進都市・東京の実現に向けた地域包括ケアシステムの在り方検討会議中間まとめ』(東京都福祉保健局/10月)
調査結果
●『平成27年高年齢者の雇用状況』集計結果(厚生労働省/10月)
●『障害のある児童生徒の学校生活における保護者等の付添いに関する実態調査結果(概要)』(文部科学省/10月)
合理的配慮の不提供の禁止等を規定した「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」の施行を控え、小・中学校における保護者の付添いに関する標記調査の結果。
●『平成27年夏期路上生活者概数調査の結果』(東京都福祉保健局/10月)
都内における路上生活者数を把握するために、道路・公園・河川敷・駅舎等の路上生活者の概数調査結果。
●『平成27年度地方版子ども・子育て会議の取組(市町村子ども・子育て支援事業計画)事例調査報告書』(内閣府/10月)
子ども・子育て支援施策を効果的に実施し、継続的に地方版子ども・子育て会議において支援事業計画の点検・評価、見直しを行うため、活発な活動を行っている会議の取組みや、他の自治体にとって参考となるような支援事業計画の事例について調査し、その結果を事例集として取りまとめた報告書。
●『平成26年社会福祉施設等調査の概況』(厚生労働省/11月)
その他
●『医療保障ガイド(改訂版)』(公益財団法人生命保険文化センター/11月)

 

 


【アンテナ】


助成金

第17回北川奨励賞

申込締切 平成28年1月15日必着 助成対象 難病や障害をもつ子どもとその家族への社会医学的な実践、セルフヘルプ活動、ボランティア活動を進め、すでに何らかの実践を行っている個人、又は比較的規模の小さなグループ等 助成金額 上限50万円(1件あたり)助成内容 ①団体活動の運営に関する費用、②会の主催する講演会・研修会・イベントの開催費用、③その他難病や障害をもつ子どもとその家族の支援に関する活動費用 申込方法 下記ホームページより申込用紙をダウンロードの上、メール、FAXにて申込 申込・問合せ先 コーポレートガバナンス協会北川賞事務局
・045(263)6965 045(263)6966
http://www.teamcg.or.jp
info@teamcg.or.jp


講座・シンポジウム

セミナー
「地域自立生活支援の
哲学と方法」

申込締切 12月16日 日時 12月23日(水・祝)10時半~16時50分 場所 テクノエイド協会会議室 定員 60名(先着順) 参加費 一般:4,000円、所員:3,000円 内容 【基調報告】「助けてと言える社会―生活困窮者を支える視点―(仮)」奥田知志氏(NPO法人抱樸理事長)、【シンポジウム】「地域自立生活支援の意義と展開」〈シンポジスト〉熊木正人氏(厚生労働省年金局年金課企画官)、佐藤寿一氏(宝塚市社会福祉協議会事務局長)、戸枝陽基氏(社会福祉法人むそう理事長)、〈コーディネーター〉原田正樹氏(日本地域福祉研究所理事、日本福祉大学)、【総括講演】「地域自立生活支援の哲学と方法」大橋謙策氏(日本地域福祉研究所理事長、東北福祉大学大学院) 申込方法 所定の申込用紙に記入の上、FAXにて申込 申込・問合せ先 日本地域福祉研究所事務局
・03(5225)0237 03(5225)0238
http://www.jicw.jp
jicsw@mx8.alpha-web.ne.jp

第31回こんぼ亭
「精神疾患は
どうして起こるのか?」

申込締切 平成28年1月15日 日時 1月23日13時~15時半 場所 かめありリリオホール 参加費 事前申込:3,000円(賛助会員:2,000円)、当日:3,500円 内容 精神疾患はどうして起こるのかを、遺伝や育ち、環境に係る研究成果から考える講演会。講師:尾崎紀夫氏(名古屋大学医学部附属病院精神科・遺伝カウンセリング室) 申込方法 参加費を振込の上、はがき又は電話、FAX、メールにて申込 申込・問合せ先 地域精神保健福祉機構(コンボ)〒272-0031 千葉県市川市平田3-5-1トノックスビル2階
・047(320)3870 047(320)3871
comhbotei@gmail.com

集中講座
「ケアの本質をさぐる
~難病・障害の生と死を見つめて~」

日時 平成28年1月30日13時~17時(受付12時半) 場所 東京YWCA会館(お茶ノ水)2F217号室 定員 50名(先着) 参加費 一般:2,500円、会員・学生:2,000円内容 第1提題「筋ジストロフィー病棟の患者と看護師たち」菊池麻由美氏(慈恵医大医学部看護学科准教授)、第2提題「難病を受け入れて生きる意義とは」釘宮明美氏(白百合女子大学文学部教授)、第3提題「発達障害児の家族・治療者として生きて」岩崎清隆氏(前群馬大学医学部保健学科准教授)、全体討議・質疑応答 申込方法 電話又はFAX、メールにて申込 申込・問合せ先 生と死を考える会 ・03(5577)3935(火・金/午後)03(5577)3934
koenkai@seitosi.org
研修会
「精神疾患のある人の
『からだ』の健康」

日時 平成28年1月30日14時~16時 場所 三鷹産業プラザ703~705会議室 定員 150名(先着順) 参加費 無料 内容 精神疾患の当事者が主体的に生活に取り入れられる「からだ」の健康に関する情報や機会についての研修会〈講師〉近藤伸介氏(東京大学医学部附属病院精神神経科)申込方法 下記ホームページより申込書をダウンロードの上、FAXにて申込 申込・問合せ先 社会福祉法人巣立ち会
・0422(34)2761 0422(39)7781
http://sudachikai.eco.to/

作業療法フォーラム
「障害者の就労支援への
かかわり」

日時 平成28年2月7日13時~16時(開場12時半) 場所 (東京会場)AP秋葉原 参加費 無料 内容 障害者就労支援の現状と今後の課題、どのような関わりが必要かなどを考える、当事者を含む関連団体や関連職種団体との相互理解・連携を促進するための講演会及びシンポジウム。【講演】師:大山泰弘氏(日本理化学工業株式会社会長)、【シンポジウム】パネリスト:大山泰弘氏、山口理貴氏(作業療法士、ジョブコーチ)、白岩源一氏(北会津公民館館長) 申込方法 件名を「作業療法フォーラム出席希望」として、本文に①会場名②氏名③職種④連絡先を記載の上、メールにて申込 申込・問合せ先 日本作業療法士協会
・03(5826)7871
ot_forum_jigyou@yahoo.co.jp


その他

「60歳からの主張」
発表イベント

申込締切 12月20日必着日時 平成28年1月11日(月・祝)13時半~15時(開場13時)会場 時事通信ホール 定員 200名(※応募多数の場合は抽選) 参加費 無料 内容 「60歳からの主張」として、【テーマ】A社会保障についてのご意見、B自由課題 【部門】①エッセイ・小論文、②川柳 申込方法 ①往復ハガキ:往信面に郵便番号、住所、氏名、年齢、電話番号、参加希望人数(2名まで)、返信面に自身の郵便番号、住所、氏名を明記、②メール:件名に「発表イベント参加希望」と明記し、氏名、年齢、電話番号、参加希望人数(2名まで)を明記の上、下記まで送付 申込み・問合せ先 (主催)公益社団法人 全国老人福祉施設協議会 〒104-0032 東京都中央区八丁堀3-1-3 飯野ビル3F 「60歳からの主張」イベント招待HP係
info@60sai.jp

NHKハートスポーツ
フェスタ

日時 12月20日10時~16時 場所 東京都多摩障害者スポーツセンター 参加費 無料 内容 障害の有無に関わらず誰もが参加でき、スポーツを通じた交流を楽しむことを目的とした、車いすテニスなどの各種障害者スポーツ体験など申込・問合せ先 東京都多摩障害者スポーツセンター「NHKハートスポーツフェスタ」係
・042(573)3811(9時~21時、水曜休館)

投資詐欺未然防止・財政・金融経済等に関する
講師派遣

講演料 無料 内容 ①悪質な投資勧誘による被害の拡大防止のために、各地域の職場・学校・グループ等の研修や各種会合等への講師派遣。②小・中学生、高校生を対象に「生きる力」「自立する力」を支援するための金融経済教育や、国の財政の現状や将来の課題を知ってもらうためなど、地域の人たちの要望に応じた講師派遣。①②の講師派遣により地域の方との双方向のコミュニケーションを行うとともに、所が保有している情報・視点について、地域の方へのフィードバック 申込・問合せ先 財務省関東財務局東京財務事務所総務課広報担当
・03(5842)7011
http://kantou.mof.go.jp/tokyo/index.html

 

 

 

【くらし】

作業所の利用者と
地域の小学生が
仲良くなる

小学一年生の
下校時間に合わせて
利用者が見守りウォーキングをしている
白百合福祉作業所の
大垣喜久江所長と支援員の
小林浩史さんにお話をうかがいました。

大垣)練馬区社協が運営している白百合福祉作業所は就労継続支援B型事業所として、主に知的障害のある利用者が通っています。箱折りなどの受注作業や「さをり織り」などの自主製品づくりをしていますが、もう一歩、「地域に向けて何かできないか」という活動の一つとして、「しらゆり見守りウォーキング」に平成25年から取組んでいます。これは近隣の石神井小学校の下校時刻に利用者が散歩に出て子どもたちを見守る活動です。特に4~5月は新しい生活に不安の多い新一年生の下校時刻の安全を見守る活動となっています。
小林)利用者の力を地域で活かす活動として始めたものですが、7~8年前から小学校の授業に参加する「地域学習会」に取組んでいます。学習会を始めた頃は、「小学生にどう知的障害を理解してもらうか」というように『我々が間に入らなきゃ』という感覚がありました。でも、「障害者である彼ら」ではなく、「ここにいる人」をわかってもらえればいいんだということに気づかされました。私たち職員が説明するよりも、本人たちが「こんなことしています」「こんなことが好きです」と、直接伝えた方が子どもたちからはたくさん質問も出ます。授業の最後に利用者が「仲良くしてくれますか?」と言うと、「はーい!」という答えが返って来ます。作業所に見学に来てくれると、職員よりも速く箱折りしちゃう姿を見て「すごーい」と、子どもたちの歓声が上がります。これはもう、障害を説明するときにありがちな「○○ができない」という伝え方ではありません。
大垣)ウォーキングを通じて子どもたちから「何やってるの?」「頑張ってねー」と自然な声がかけられたり、あたり前に挨拶を交わしたりすることに大きな意味があると思います。その距離感や関係性の変化は子どもを通じて親に伝わり、親子で作業所に遊びに来てくれたりもします。「子どもに頼まれたから」と作業所で販売している梅干しをお母さんが買いに来てくれたこともあります。
小林)(作業所から離れた)駅前の清掃活動も行っていますが、やはり目の前にある地域に出ることで、そこが「庭」になってきました。「昔、小学生との間であった出来事から関係がうまくいっていない…」という利用者もいました。心からの子どもの言葉にふれることで、利用者自身からは具体的な言葉での感想はなくても、いつもと違う表情など五感全てで感じ取っているのがわかります。
大垣)作業所の帰りに何時間も交差点にたたずんで行き交う人をみる利用者もいます。これは想像ですが、彼らにとって「自宅」と「作業所」を往復する暮らしの中で、その時間は自由に社会と関わることのできる貴重な時間なのかもしれません。
小林)見守りウォーキングは、自分たちから外に出ていく活動です。「安全チェック!」と意気込みながら活動し、散歩途中のバス停で待つ人からは「いつもありがとう」という言葉もかけられます。そして、今では子どもから名前で呼ばれる姿も見られるようになってきました。

白百合福祉作業所(左)と、石神井小学校(右)

月刊「福祉広報」

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