【表紙】 奈良県 奈良市 柳生正木坂剣禅道場は、 剣道と禅を通じて心を鍛える 柳生新陰流の精神にも通じる道場。 稽古にも一段と身が引きしまる。 【もくじ】 社会福祉NOW 台風第15・19号を振り返る ~知的障害者施設等の対応~ トピックス 障害者差別解消シンポジウム「みんなで支え合う ともに生きる東京へ」 主催:東京都 【連載】福祉人材の確保・育成・定着に向けた取組み~多様な層へのアプローチ~ 働きやすいしくみづくり(1) 多様な働き方を受け入れて、働き続けられる職場を (町田市 社会福祉法人 合掌苑) 福祉のおしごと通信 社会福祉法人 狛江市社会福祉協議会 福田五十鈴さん 【社会福祉NOW】 台風第15・19号を振り返る ~知的障害者施設等の対応~ 令和元年9月から10月にかけて関東・東北地方を中心に通過した台風第15・19号は、各地に甚大な被害をもたらしました。記録的な強風により民家の屋根が吹き飛ばされたり、河川の氾濫により水や泥が侵入したりするなどの被害が発生しました。福祉施設でも、浸水や土砂災害、停電や断水等、利用者の安全に関わる被害がありました。 今回は、広域での情報収集にあたった千葉県知的障害者福祉協会と、埼玉県で浸水被害を受けた施設の気づきや振り返りをお伝えします。 ~千葉県知的障害者福祉協会~ 台風第15号は、9月9日に強い勢力で千葉市付近に上陸し、伊豆諸島や関東地方南部を中心に記録的で猛烈な風雨をもたらしました。これにより、千葉県を中心とした広範囲で、最大約1ヶ月にわたる停電や断水、多くの住家損壊や農林水産業の被害が発生し、人々の生活に甚大な影響をおよぼしています。 千葉県知的障害者福祉協会(以下、協会) 事務局長で社会福祉法人大久保学園 園長の千日 清さんは、協会の事務局として千葉県内の協会加盟施設・事業所の被害状況の情報収集に奔走したと言います。「幸いにも大久保学園は、台風15号で大きな被害を受けずに済んだ。一時的な停電はあったが、それを除いてライフラインが生きていたため、朝9時の開所と同時に協会の事務局を務める私宛に、行政や関係機関から千葉県内の施設の被害状況を確認する電話が鳴りやまず、日常業務もままならなかった」と発災当日の朝を振り返ります。 協会として県内施設の被害状況を確認するため、千日さんは施設に次々に電話をかけていきましたが、停電のため電話が繋がらない施設も多くありました。個人的に連絡先を把握している施設職員の携帯電話に連絡してみるなど、状況確認を続け、被害情報を集めていきました。そして、今どこの施設が困っているかをまとめ、県内の施設宛にメールを配信しました。千日さんは「大規模な停電が続いていたため、もちろんメールが届かない施設もあったと思う。それでも、どこの施設が困っているのかという情報をメールで配信すると、メールを受け取った近くの施設の方がその施設を見に行ってくれたりした。千葉県内では協会の活動や研修が活発で、施設同士の横のつながりも強い。平時から顔の見える関係ができているため、困った時には助け合える土壌がある」と話します。 協会としての情報収集体制 協会では9月25日~10月1日にかけて改めて台風第15号の被害状況調査を行いました。停電・断水、建物内外の被害状況や被害額に加え、利用者の受入れが困難になったことによる損害額、利用者の健康状況や食事の状況、発災時の備えとして良かったもの、どんな支援があれば良かったと感じているかについて取りまとめました。調査の結果では、情報収集について「備品や物資等必要なものや連絡先を含めた情報が早い段階で入手できていれば、備品・発電機等の貸し借りができた」という課題もあがりました。大規模災害時等の協会としての連絡体制について、千日さんは「今回は大久保学園のライフラインが大きな被害がなかったため、情報収集を行うことができたが、常にそうであるとは限らない。災害の種類や、発災の時間帯などによっても対応は異なると思うが、協会内で『事務局の電話がつながらなかったら、ここに連絡する』などと連絡先の順番を決めておいたり、エリアを分けての対応や、SNSなどの活用等も非常時を想定して検討したい。また、今回の発災時には携帯電話の方が繋がりやすく役に立った。差し支えない範囲で各施設職員の携帯電話の番号を協会に知らせてもらうことも必要と感じている。今後は調査の検証から得られたことを提言したり、今後の災害の際に活かしていくとともに、県内の施設全体で災害への備えの底上げを図っていきたい」と話します。 ~社会福祉法人 けやきの郷~ 台風第19号は猛烈な大雨や暴風を伴い、10月12~13日にかけて関東地方を通過しました。関東甲信越地方、東北地方に河川の決壊による氾濫、家屋等への浸水や土砂の流入等の甚大な被害をもたらしました。 埼玉県川越市にある社会福祉法人 けやきの郷も近辺の川の氾濫により、運営する入所・通所施設が浸水し、土砂が流入する被害を受けました。現在も建物の1階部分の外壁に浸水の跡が残っています。 被災から2か月が経過しようとしていた12月上旬に電気は復旧しましたが、水道は断水したままで、仮設トイレが設置されています。総務課長の内山 智裕さんは復旧状況について「軒並みすすんでいない状況だ」と語りました。 けやきの郷では、史上最大勢力と見込まれた台風第19号が上陸すると判明した時点で、可能な人は在宅避難を保護者に依頼するなど、施設ができうる準備を早めにすすめていました。ただし、大半の入所者の親は高齢等の事情があり、長期的な避難は難しく、家庭には「緊急的」にお願いしたと言います。 台風上陸の当日、残った入所者はグループホームの2階に垂直避難しました。その後2m近く浸水し、消防に救出されました。 台風通過後、入所者は避難所に避難しましたが、12月10日までに入所者は4か所の避難先を転々としています。 1か所目は行政と相談し、市民センターに自主避難しました。しかし、一般の方の利用予約が入っていたので、翌日2か所目の小学校へ移動することになりました。そこでも授業が始まるため移動となり、3か所目となる公民館、その後4か所目となる福祉総合センターへ行政との連絡調整のうえ移動することとなりました。 「入所者の大半に自閉症や行動障害があり、一般避難所は無理だと思った。避難生活は、元々男女別で生活していたのが共同生活になったり、日中活動がなくなったことでルーティンがなくなり不安定になるなど、入所者にストレスがかかっている。これまでの施設での生活の中で安定してできるようになってきたことが、できなくなってしまった」と内山さんは語ります。 職員は被災後1ヶ月は施設の復旧と避難先での支援に半々に分かれて業務にあたりました。現在は、復旧にあたっていた職員も避難先で支援員として勤務しています。被災直後は、職員から給料の支払いを心配する声も聞かれました。 自分たちと同じ状況を生まないために伝えたい 被災した施設の工事は始まっていますが、再び入所できるようになるまでには早くて3、4か月、全面復旧には約9か月かかると言います。復旧予算も9億円ほどかかると見込まれます。「水害による被災は今回で2回目で、違う土地で施設を建て直したい気持ちもあるが、土地が見つからない。利用者が待っているので、同じ土地で復旧するしかない」と内山さんは言います。 今回の被災を受け、内山さんは平時からの準備として必要なことについて「集団で避難できる場所を確保しておくべきだった。さらに言えば、県外など同時に被災しない場所への避難も視野に入れておくと良かったかもしれない。また、災害救助法など災害時に適用される法律や、公的な支援はどのような法律に基づいて動くのか、被災時に起こりうる事態について予め知っておけば良かった」と振り返ります。 また「支援の申し出や必要な支援について聞かれたことも多くあった。しかし、こちらもどこに何をお願いすれば良いか分からない状況だった。『これとこれができます』等、何ができるのか具体的に提案していただけるとお願いしやすかったかもしれない」とも振り返ります。 今回、被災直後には埼玉県立大学、日本社会事業大学、埼玉工業大学の教員や学生、ボランティア、埼玉県内の知的障害関係施設職員等が泥出しを行ってくれました。また、空いていたデイサービスに一時的に避難させてくれたりするなど、「共助」の力が大きかったと言います。 「次に自分たちと同じ状況で困る施設がないように、教訓として伝えられることを伝えていきたい」と内山さんは語ります。 〈けやきの郷 台風通過後の様子〉 【トピックス】 障害者差別解消シンポジウム 「みんなで支え合う ともに生きる東京へ」 ◆ 主催:東京都 東京都は、共生社会の実現を目的として、平成30年10月に、「東京都障害者差別解消条例(以下、都条例)」を施行しました。今回、障害者差別解消について理解を促進し、取組みを一層推進していくため、令和元年12月20日(金)に障害者差別解消シンポジウム「みんなで支え合う ともに生きる東京へ」が開催されました。 障害者差別解消法と都条例 はじめに、都福祉保健局障害者施策推進部課長代理 松川邦夫さんより、障害者差別解消法と都条例についての解説がありました。平成28年4月に施行された障害者差別解消法には「不当な差別的取扱いの禁止」「合理的配慮の提供」の2つのポイントがあります。そのうち「合理的配慮の提供」は、障害のある方から社会的障壁の除去を必要としている旨の意思表明があった場合に、負担が重すぎない範囲で、必要かつ合理的な対応を行うことを行政機関等に義務づけ、事業者は努力義務としています。そして、都条例においては事業者による「合理的配慮の提供」を義務化していることが特徴です。負担が過重かどうかについては、場面ごとに総合的・客観的に判断し、申し出のあった方法では対応が難しい場合には、建設的な対話を通じて、代替手段の選択も含めて対応することが大切です。また、都条例では「相談体制の整備」や「紛争解決の仕組みの整備」が設けられていることや、ヘルプマークやヘルプカード、民間事業者向けの研修事業についての紹介がありました。 「合理的配慮に向けた様々な取り組み」 次に、日本電気株式会社(以下、NEC)コーポレートコミュニケーション部の池田俊一さんが登壇し「合理的配慮に向けた様々な取り組み」と題して講演しました。池田さんは「事業を通じて“インクルージョン&ダイバーシティ”を実現するためには、社員や社内の文化を変えていかなければならない。会社の制度や研修機会を通して社員各自の能力や経験値を上げ、相互に高め合い成長できる文化をつくることが重要」と話します。 具体的な取組みとして、障害者雇用を推進するために採用の専門窓口を設置し、選考時に必要な配慮に対応していることや、入社後に生じるさまざまな課題や合理的配慮についての相談窓口の設置があげられました。社内啓発については、障害者差別解消法や合理的配慮等についてのe-ラーニング研修、障害者スポーツのセミナーや体験会、ボランティア活動等を積極的に実施しています。また、社会的課題に取り組むNPOや社会起業家を支援する「NEC社会起業塾」を卒業した方々と社員が一緒に活動することにより、障害に対する意識を高める取組みもすすんでいます。 そのほか、駅のバリアフリー調査や、視覚障害のある方が使いやすいATMの評価・開発、空港のフライト情報の見やすさや分かりやすさの検証等の事例も紹介されました。 「私たちの考える合理的配慮」 続いて、NPO東京ユニバーサルデザイン・コミュニケーターズ(TUDC※)の皆さんにより「私たちの考える合理的配慮」をテーマとした、障害当事者の方の実体験に基づく三つの寸劇が披露されました。代表の諏訪正晃さんは「合理的配慮は、皆さんと障害当事者との間の建設的対話によって生まれる。双方が納得する解決策を求めて考え続けることが大事。寸劇がヒントになれば」と強調しました。 一つ目は、聴覚障害のある方が地域のお祭りに行った際、手話通訳が無く、がっかりしたという場面でした。演者の方は「聞こえない人の情報保障について理解が広がってほしい」と話しました。 次は、視覚障害のある方が電車で「席が空いていますよ」と遠くから声がかけられましたが、誰に向けてのものか分からず返事をしないでいると、急に手を引っ張られ転んでしまったという場面です。演者の方は「近くに来て私に話しかけていると分かるようにしてくれるとうれしい。腕や肩に軽く触れていただくのもいい」と話しました。さらに、視覚障害のある方が道路を横断する際、歩道と車道を区別するため、歩道に白杖で確認できる程度の段差が不可欠であることが説明されました。一方、車椅子を使う方からは「国交省のガイドラインでは歩道の段差は2cmが標準。2cm以下なら車椅子で上がれる。しっかり守ってほしい」と別の視点からの話もありました。 最後の寸劇は、車椅子を使う方が多目的トイレが空くのを待つ場面です。中から出てきた人の障害の有無は、一見分かりません。演者の方は「外見からは分からなくても配慮を必要としている方もいる。多目的トイレを利用するのは車椅子を使う人だけではなく、オストメイトの方、性的マイノリティの方など、さまざまな人が使う。しかし、使いたい時に使えなくてはたいへん困る」と話し、多目的トイレの数が足りていないことや、利用の必要がなければ使わないことも配慮の一つであることも示されました。 終わりに、合理的配慮の提供について「行政機関や事業者だけではなく皆さんにもできることがたくさんある」と締めくくられました。 「素敵に輝く社会を目指して」 シンポジウムの最後は「素敵に輝く社会を目指して」と題し、シドニーパラリンピック男子車椅子バスケットボール日本代表のキャプテンをつとめた根木慎志さんが講演しました。パラリンピックの価値や歴史等について触れた後、根木さんが全国各地の学校で行っている活動について話しました。 当初、障害の困難さを話してほしいという依頼で講演をした際、子どもたちに「大変」「かわいそう」と捉えられてしまったと振り返ります。ある時、競技用車椅子で走り、シュートを決めると「すごい!かっこいい!」と子どもたちから歓声があがりました。「その時、一人の人間として輝いている瞬間を伝えたいと思った。それから講演の形を変え、車椅子バスケを実際に見たり、やったりすることを通じて、楽しさや難しさを伝えている」と言います。そして「楽しかった」「すごい人が来た」というだけでは終わらないよう、障害のこともしっかり話します。「困ることが障害とするならば、車椅子バスケをするときに私に障害は無い。でも、みんなの教室に行くとなればどうか、子どもたちに聞くと『階段が障害』と答える。ではそれをつくったのは、と問いかけていくと、社会が障害をつくっていることに気づいていく。具体的に、こんなことに困る、でもこうすると困ることがなくなるということをきちんと伝えている」と話します。 そして「障害の種類もさまざまであれば、困ることも、楽しみも違う。その違いを互いに理解し、助け合えば、一人ひとりが素敵に輝ける社会がつくれる」と結びました。 TUDCの皆さんによる寸劇の様子 ※TUDCは、車椅子を使う方、視覚、聴覚障害のある方などを含む、さまざまなメンバーで構成され、ユニバーサルデザインの普及啓発を行っている団体。 令和2年度 国および東京都予算案固まる 令和2年度国予算案 令和2年度の国予算案は令和元年12月20日に閣議決定されました。社会保障関係費は5.1%の増となっています。令和元年10月の消費税率引き上げに伴う増収分を活用する「新しい経済政策パッケージ」の令和2年度の使途として、「『子育て安心プラン』を前倒した待機児解消に向けた受け皿の整備」、「保育士の処遇改善」、「幼児教育・保育の無償化」、「就学前障害児の発達支援の無償化」、「高等教育の無償化」、「リーダー級の介護職員の処遇改善と介護職員以外の処遇改善」、「障害福祉人材の処遇改善」が盛り込まれています。 多様な就労・社会参加の促進に向けて、「就職氷河期世代向け短期間で取得でき安定就労に有効な資格等取得支援」、「雇用施策と福祉施策の連携による重度障害者等の就労支援」、「自治体と連携した地域における外国人材の受入れ・定着支援」等が新規事業です。 保健・医療・介護の充実として、「介護納付金の総報酬割全面導入に伴う被用者保険者への財政支援」、「外国人介護人材の受け入れ環境整備」、「若手介護職員同士のネットワークの構築」、「介護ロボットやICT導入支援の拡充」、「介護施設等における防災・減災対策の推進」等が盛り込まれています。 安全・安心な暮らしの確保等に向け、「ひきこもり等の社会的孤立に対するアウトリーチの充実による自立相談支援機能強化」、「成年後見制度の利用促進のための体制整備」、「農業分野等と福祉分野の連携強化」、「災害時における福祉支援体制の整備推進」、「里親家庭への24時間の相談対応・緊急対応」、「保育園等における医療的ケアを必要とする子どもの受け入れ体制の整備の推進」、「リーダー的介護職員の育成とチームケアによる実践力の向上」等があげられています。 さらに、「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」の令和2年度における取組みでは、引き続き「社会福祉施設等の防災・減災に関する緊急対策」として「非常用自家発電設備整備」等の予算が計上されています。 令和2年度東京都予算案 令和2年1月24日、東京都は令和2年度の予算案を発表しました。「福祉と保健」は前年度比1.6%増です。 高齢社会対策の推進では、大規模災害時に高齢者施設等の事業継続と利用者の安全確保のための「高齢者施設等のBCP策定支援事業」、「AIとIoTにより認知症高齢者問題を多面的に解決する東京アプローチの確立」、認知症の人等の支援ニーズと認知症サポーターをつなぐチームオレンジの整備推進のための「認知症サポーター活動促進事業」、学生が認知症について正しく理解し身近な問題として意識するきっかけとなるよう「認知症の人とその家族に優しい街東京へ向けての学修会」等が新規の予算として盛り込まれています。 少子社会対策の推進では、精度の高い虐待リスク判定を可能とするプログラム開発と児童福祉司等の人材育成を図る「児童相談所情報標準化・人材育成事業」、児童養護施設等の児童の措置解除後の社会的自立につなげるための「児童養護施設等(措置費の拡充(特別育成費))」、里親への養育支援までの一貫した支援を行うモデル事業として「フォスタリング(里親養育包括支援)機関事業」、「保育所等における園外活動支援事業」、広く都民に子育ての機運醸成を図るとともに子育て支援を担う人材確保推進のための「子育て支援人材発掘!とうきょうチルミルプロジェクト」、「ひとり親家庭支援センター(多摩部)の設置」等が新たに盛り込まれました。 障害者施策の推進では、障害分野におけるICT機器の導入について普及啓発を図る「障害者支援施設ICT機器導入支援モデル事業」、「障害者手帳のカード化」、「発達障害専門医療機関ネットワーク構築事業」、「失語症者向け意思疎通支援モデル事業」等が新たに位置付けられました。 この他、都営住宅施設活用事業として、高齢者等の居場所づくりのための「おとな食堂(仮)」の設置も新規事業に位置付けられています。また、ボランティア活動への参加促進として、「ボランティアレガシーネットワークシステムの構築」、多文化共生社会の実現に向け、「多言語相談(支援)事業」、「在住外国人支援事業助成」、「やさしい日本語普及・活用促進事業」等が新たな事業となっています。 【連載】 No.5 福祉人材の確保・育成・定着に向けた取組み ~多様な層へのアプローチ~ 福祉人材の確保・育成・定着に向けたさまざまな取組みの一つとして、福祉施設や事業所では、福祉を学んだ新卒学生だけでなく、未経験者や主婦層、高齢者、外国人など多様な人材に対し、採用や育成・定着のためのさまざまな工夫やアプローチを行っています。多様な背景を持つ人たちが福祉の仕事に関わるきっかけや、働く環境をつくるための取組みや工夫等を取り上げます。 働きやすいしくみづくり(1) 多様な働き方を受け入れて、働き続けられる職場を (町田市 社会福祉法人 合掌苑) ずっと働き続けられる職場を 令和元年8月に公表された独立行政法人福祉医療機構の調査※によると特別養護老人ホームの72・9%が要員不足であり、うち12・9%が利用者の受入制限をしている、と回答しています。高齢化がすすむなか、人材不足が施設運営に影響をおよぼす深刻な事態を危ぶむ声もあります。 今回は、町田市にある社会福祉法人 合掌苑での取組みをご紹介します。合掌苑が多様な働き方を受け入れるさまざまな取組みを始めたのは平成14年頃です。その頃は就職戦線がまだ買い手市場といわれ、学生の人数も現在より多く、合掌苑でも十分な採用人数を確保していたといいます。ところが、一年以内の離職率は7割、出産後の復帰もほぼ0と、定着率は高くはありませんでした。このような状況をみて、理事長の森一成さんは、若い労働人口が減少する将来に備えて、職員が辞めなくなる工夫が必要だと真剣に考え始めたと言います。 夜勤の壁 出産後の復職の大きな障壁は「夜勤」です。出産を機に夜勤ができなくなると、同僚たちの負担がさらに増すことから、職場での居心地が悪くなり、離職につながっていました。森さんは、欧米の介護施設の視察中に、日本とは違い、どの施設も夜勤はすべて専従者が担っていることに気づきました。「夜勤専従」の制度を取り入れることで、女性がずっと働き続けられる職場づくりができるのではと考えました。 月給制から時間給制へ 夜勤専従を導入するためには、月給という制度を見直す必要がありました。月給で評価する限り、夜勤のできない育児中の職員もそうでない職員も平等に日勤と夜勤に就き、同じ働き方・労働時間となります。そこで、12か月分の給与と賞与の合計額を年間勤務時間で割り、時間給を算出しました。これにより、日勤の職員と夜勤専従者の給与体系を明確に分けることができ、それぞれのライフスタイルによる勤務時間帯、勤務形態の選択が容易になりました。 時間に対する意識の変化を 時間給という実績をもとにした支給制度にしたことで予想外の効果もありました。時間に対する職員の意識が強まり、タイムカードの打刻忘れや有給休暇の申告漏れの減少につながりました。 また、職員一人ひとりの働き方に変化を起こすための方策も実施しました。それまでは、勤務予定時間より早く出社したり、タイムカードを打刻した後に居残ったりと「サービス残業」を行う職員の姿が見られました。時間給の導入以降は、このような時間が30分を超えた場合は、上長へ理由を報告することを義務付けました。「サービス残業」は歓迎されることではない、ということを法人自らが示すことで、帰りやすく、オンオフの切り替えのしやすい職場をめざしました。 長期休暇の取得を促すためのリフレッシュ休暇も新設しました。上期に4日、下期に4日設定し、他の休暇・休日と併せて1週間以上の長期休暇をとる場合に利用できることとしました。森さんは「長期間休んで、リフレッシュすると表情が違い、新たな気持ちで業務に励んでもらえる。今ではほとんどの職員が利用している」とその効果を語ります。 夜勤専従者の募集を開始 従来の就業制度では、1回の夜勤は、1日8時間の勤務の2回分である16時間連続と長いものでした。合掌苑では、夜勤専従者を募集するにあたり、夜勤手当を引き上げるとともに、1回の夜勤を9時間としました。2人がペアとなり、交代で1週間に3回または4回の夜勤に就くことにより、週の半分が休みとなります。「趣味にまとまった時間を使いたい人、目的があって貯蓄したいという人、経験やスキルは十分備えているが、昼間の来客などの接客業務は苦手だという人など、応募動機はさまざま。5年以上の介護職従事経験を必須条件としているが、人気は上々」と森さんは話します。 導入当初、職員からは、夜勤がなくなった分の手当が減ることへの不満もありました。しかし、夜勤がなくなり、身体への負担減も実感できるようになると、日勤に専念できることを喜ぶ声が多くなっていったと言います。徐々に夜勤専従者の割合を増やし、現在では夜勤は完全に専従者のみに切り替わっています。 育児中の女性を応援する~マザーズプロジェクト 法定では産前休暇は6週間以上のところを、合掌苑では8週間としています。出産を経験した職員からの「つわりの時期が辛く、休みが欲しかった」という意見に応え、出産直前だけでなく、妊娠が分かった時からいつでも取得でき、時間単位での取得も可能としました。出産後は、正社員の身分のまま6時間まで時短での勤務をすることができます。 平成26年からハローワークと協力して産休育休明けの女性の採用を強化する「マザーズプロジェクト」にも取り組みました。10月に4月入職の募集を始め、保育園の入園申請の時期を考慮して12月に内定を通知します。そのほかに、扶養する子どもに対する手当支給、平日夜間と日祝日に開設する利用料無料の企業内託児室や、母子世帯のための職員寮の開設等、働く「マザーズ」を応援するしくみを充実させたことで、ハローワークから常時求職者の紹介が来るようになりました。 能力や貢献度に応えられる処遇を 高齢者の活躍を促す雇用のしくみとして、合掌苑では、在籍中に60歳を迎えた職員を対象に65歳まで同じ給与額を維持しています。段階的に65歳、70歳で手当て等は減額となりますが、体力に自信がなくなったり、余暇を充実させたいと思ったときにも、フレキシブルに就労形態の見直しができます。これも、時間給を採用したことで実現できました。「現在在籍する職員の最高齢は83歳。働く意欲が高く、専門資格や豊かな経験を持った人材が長くいてくれるのは有難いこと」と森さんは話します。 「それ」を理由に断りません 社会貢献にもつながる採用促進のプロジェクトも行っています。「働きづらさ」を25項目に表し、「25大雇用」と称し「それを理由に断らない採用」を行っています。就労支援団体とつながりを持ち、これまでに知的障害、精神障害、うつ、ひきこもり等、さまざまな事情を抱えた人を受け入れてきました。試用期間を設け、その人のできる仕事を見極め、徐々に就労時間や日数を増やし、本採用をめざすというものです。なかには、本人の希望により試用期間のまま数年在籍する人もいます。周辺の学校の登下校で騒がしくなる時間が苦手で、それを避けて就労時間を決めている人もいます。森さんは「受け入れる職員に障害についての理解を言葉で説くよりも、実際に職場で触れあうことで分かることはずっと多い。この人にはどんな仕事ができて、それをするためにはどんな配慮をすればよいのか、ということを日々の業務や面談を通じて考えていく。誰もが何かの役に立ちたいと考えているもの。それぞれができることをやって、結果的にお互いの為になればよい」と話します。 多様な働き方、人材の受入れを 合掌苑ではこれらの取組みに12~13年かけてきました。待遇面についての変革は特に、職員に対し「なぜこのしくみが必要なのか」を説明してきました。今後の人材確保について、森さんは「日本全体で人口が減少していくなかで、フルタイムで従来通りの働き方のできる人口もまた減少していく。限定的な働き方なら可能だという人たちを惹きつける施策が必要だ。外国人材もますます重要となってくるだろう」と危機感をもって語ります。「一億総活躍社会」の実現に向け、「働き方改革」がすすめられていくなか、「雇い方改革」ともいえる、一歩先を見据えた取組みがすすめられています。 夜勤ローテーション例 〈合掌苑提供〉 社会福祉法人合掌苑 理事長 森一成さん 25大雇用〈合掌苑提供〉 ※独立行政法人福祉医療機構(WAM)『平成30年度「介護人材」に関するアンケート調査』https://www.wam.go.jp/hp/keiei-report-r1/ 全国の特別養護老人ホーム3561施設を対象に行われた 【東社協発】 報告 社会福祉法人の地域公益活動『テーマ別』情報交換会が開催されました 東京都地域公益活動推進協議会では、現在、社会的な課題である3つのテーマ【住まいの支援】【ひきこもり支援】【災害時の支援】について、都内の社会福祉法人を対象に令和元年12月13日(金)に情報交換会を開催しました。先駆的な取組みを行っている都内・外の社会福祉法人から、取組み事例を報告いただき、質疑応答が活発に行われました。 【住まいの支援】では、京都市の居住支援協議会と市内の社会福祉法人が一人暮らし高齢者等の住まいの確保と見守り支援をしている「高齢者すまい・生活支援事業」について、京都老人福祉協会の上田充子さんから、住まいの支援が必要とされる理由や不動産会社等との信頼関係づくりの大切さや具体的な実践事例等の話がありました。 【ひきこもり支援】は、滋賀県の社会福祉法人ネットワークである縁(えにし)創造実践センターの下で行われている「甲賀・湖南ひきこもり支援『奏―かなで―』」の実践を、さわらび福祉会の金子秀明さんから、当事者とその家族の声、そして寄り添う職員の思いをふまえ語っていただきました。 【災害時の支援】は羽村市内特養3園の災害時の協力体制構築を亀鶴会神明園の中村正人さんから、発表いただきました。 地元のさまざまな方に、地域公益活動を正しく理解してもらい、信頼関係を構築しながら共に支援できる環境づくりが大切であることや、近隣の社会福祉法人とネットワークをつくって協働事業にすることで大きなシナジー効果を生み出している、との話に参加者は大きくうなずいていました。 参加者との質疑応答では、3つの実践に共通して、地域公益活動が法人内に定着することで、確実に職員全体の資質向上が図られていることが明らかになりました。一方で、それぞれの事業には安定的な財源がなく、事業継続のための苦労や中長期的な展望を立てることが難しいといった話もありました。 最後に、この情報交換会を企画した事業開発委員会委員長の田中雅英さんが「現在、全国でさまざまな地域公益活動の実践がなされている。その活動を各地域の社会資源として根付かせていくためには、社会福祉法人の地道な活動を地域の方たちにより一層『見える化』して知ってもらうことが大切」と結びました。 会場の様子 発表者:左から、上田充子さん、金子秀明さん、中村正人さん 案内 「福祉の仕事就職フォーラム」を開催します 東京都福祉人材センターでは「福祉の仕事就職フォーラム」を開催いたします。参加申込や履歴書の持参は不要です(託児サービスは要事前申込)。福祉の仕事に関心がある方、資格・経験がない方もお気軽にご来場ください。 ▽日 時 令和2年3月26日(木) ▽時 間 12時~17時 ▽会 場 東京国際フォーラム 地下2階ホールE1、2 ▽参加費 無料 ▽対 象 令和3年3月卒業予定の学生や、福祉の仕事に関心がある方。 *既卒者や転職者向けに年度途中の求人もあります。 ▽出展法人 都内の高齢者や障害者、児童、保育分野等の施設・事業所170法人(都内最大級)。各法人が仕事の内容や職員採用情報、仕事の魅力、やりがい等についてご説明します。 ▽福祉業界セミナー「フクシをシロウ! フクシの“今”と“未来”をつなぐ」 福祉の現場の最前線で働く職員から、業界の現状や将来の展望等を語っていただきます。 ▽「福祉の仕事相談コーナー」 福祉人材センターの相談員が福祉の仕事や資格等に関するご相談に応じます。 ▽詳 細 東京都福祉人材センター内の左記特設サイトをご覧ください。 https://www.fukushi-forum.jp/ ▽問合せ 東京都福祉人材センター 電 話 03-5211-7923 FAX 03-5211-1494 メール forum@tcsw.tvac.or.jp 「移送サービスのつどい2020~知って得する、移送のあれこれ~」を開催します 今回は、東京オリンピック・パラリンピック期間中の交通状況を把握し、対策を学びます。また、移送サービスが抱えている課題の共有を行います。 ▷共催:東京ハンディキャブ連絡会、東京ボランティア・市民活動センター ▷日時:3月14日(土)10時30分~17時(受付:10時~) ▷会場:東京ボランティア・市民活動センター A・B会議室 ▷参加費:一般 2,000円/東京ハンディキャブ連絡会 会員 1,500円 ▷申込方法:申込フォームまたはFAX※申込締切:3月12日(木) ▷申込先:東京ボランティア・市民活動センター 電話:03-3235-1171 FAX:03-3235-0050 申込フォームhttps://www.tvac.or.jp/2018_4.html ▷企画内容についての問合せ先:東京ハンディキャブ連絡会 電話およびFAX:03-3206-8939 第33回都内民間相談機関研究協議会 「今あらためて『依存』を知ろう」を開催します 依存症研究のエキスパートである精神科医の松本俊彦先生をお招きし、依存症について正しく学び、私たちの社会の身近な課題として改めて考えます。 ▷共催:民間相談機関連絡協議会 東京ボランティア・市民活動センター ▷日時:3月25日(水)19時~21時 ▷会場:東京ボランティア・市民活動センター A・B会議室 ▷参加費:民間相談機関連絡協議会会員 1,000円 一般(非会員) 1,500円 ▷申込方法:FAXまたはメール ※申込締切:3月24日(火)。定員になり次第締切 ▷申込先:民間相談機関連絡協議会 FAX:03-3235-0050 メール: info@minsouren.org 【マンスリー】 福祉のできごと 2019.12.26-2019.1.25 ※対象期間外のできごとを掲載させていただく場合もあります 12/26 「地域共生社会に向けた包括的支援と 多様な参加・協働の推進に関する検討会」 最終取りまとめを公表 厚労省は、「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」の最終取りまとめを公表した。「断らない相談支援」「参加支援」「地域づくりに向けた支援」の3つの支援を一体的に行う市町村の新たな事業を創設すること等を提言している。 12/13 「一般介護予防事業等の推進方策に 関する検討会」取りまとめを公表 厚労省は、「一般介護予防事業等の推進方策に関する検討会」の取りまとめを公表した。そのなかで、一般介護予防事業は、住民主体を基本としつつ、効果的な専門職の関与も得ながら、多様な関係者や事業等と連携することが必要であるとされた。また、それらの取組みを効果的・効率的に行うために、PDCAサイクルに沿った推進が重要であることが示された。 12/25 障害者の実雇用率 民間企業で過去最高を更新 厚労省は、令和元年の「障害者雇用状況」集計結果を取りまとめた。その結果、民間企業の雇用障害者数は56万608.5人で対前年比4.8%の増加、実雇用率は2.11%で対前年比0.06ポイントの上昇で、いずれも過去最高であった。 12/26 都内特養入所申込者数が約5%減 東京都は、「特別養護老人ホームへの入所申込等に関する調査結果」を公表した。平成31年4月1日時点において、都内の特別養護老人ホームへの入所申込者数は29,126人となり、平成28年度の前回調査比で約5%減少した。入所の必要性が高いと考えられる「在宅・要介護3以上かつ優先度高」の申込者は約3%減少した。 1/6 産科等医療機関などへの 同行支援を行う事業を開始東京都は、妊娠や出産に関するさまざまな悩みに看護師等の専門職が電話やEメールで対応する「妊娠相談ほっとライン」に相談された方で、一人で医療機関を受診することに不安を抱える方等に対し、産科等医療機関などへの同行支援を行う事業を開始した。予期しない妊娠や経済的困窮、社会的孤立、DV等のさまざまな背景があり、妊娠・出産について周囲への相談や受診をすることが難しいと判断された方が対象となる。 【福祉のおしごと通信】 「市民が主体」への理解が深まる日々 狛江市社会福祉協議会(以下「社協」)の職員になって8年目の福田五十鈴さんに、社協の仕事の魅力や難しさ、やりがいについて、お話しいただきました。 ●地域の人や活動を応援する仕事 子どもの頃から祖父母と同居し、いわゆる「おじいちゃん・おばあちゃんっ子」でした。中学生の時、老人ホームでの職場体験で気持ちが温かくなる経験をし、「お年寄りに関わる仕事をしたい」と、漠然と福祉を志しました。 社協を知ったのは、大学生の時です。専攻分野を絞りきれず選んだ地域福祉のゼミで、都内の社協に実習に行きました。さまざまな事業に同行し、多くの利用者や活動者等に引き合わせていただきました。支え手を支える仕事があることを知り、職員の方々も魅力的だったので、社協で働きたい気持ちが固まりました。 新卒で狛江市社協に入職し、当時のこまえボランティア・センター(以下「ボラセン」)に配属になりました。 まず地域の人や活動を知るため、市内のボランティアグループや施設等を見学し、活動に参加しました。各所で未熟な私を叱咤激励いただき、地域の方々との関係をつくりながら仕事を理解していきました。 当時印象に残っている仕事は、毎年開催する「ボランティアのつどい」の企画、運営です。意見も立場も異なる人が集まる中で、一つのことをつくり上げるのは簡単ではありません。滞りなく進行するために、思慮なく発言、行動してしまうこともありました。そんな時、経験豊かな先輩職員から、意見や立場の違いに至る理由や経緯を聞き、地域の方に寄り添い、段階を踏むことなど、社協職員として大切な姿勢を学びました。 ●職員としての立場や役割に悩む 平成28年に、狛江市市民活動支援センター(以下「センター」)がオープンし、ボラセンはセンターへと移行しました。私にとっては、仕事への向き合い方を問われ、考えさせられる大きな経験となりました。 ボラセンでは、対象の多くは福祉的なボランティアで、職員として社協の一事業を担当する意識でした。一方、センターでは、より多くの分野の活動を対象としています。また、公設民営のセンターとして、運営委員をはじめ、より多くの市民がセンターの運営や事業に参加することになりました。必ずしも社協と近い考え方の方ばかりではなく、相談や事業に対し視野を広げるよう、何度も指摘をもらいました。当初は市民から何を求められているのか分からず、違いに戸惑うばかりでした。 そんな中で契機になったのは、広報誌の創刊です。市民の編集委員と共に、ゼロから紙面をつくりました。編集長から「事務局が手綱を引きすぎるとみんなでつくる良さがなくなってしまう。はみ出しすぎないように見守ってほしい」と言われたことが大きな気づきになりました。自由さにハラハラする気持ちをぐっとこらえると、職員にはない発想の企画がたくさん生まれていきました。 色々な視点や考え方が交差する過程を見守る中で、「さまざまな価値観を受けとめる」というセンター職員としてのスタンスが徐々に身に着きました。以降、自分が社協職員として、それぞれの事業で、どういう立場や役割で市民の方と関わるか、強く意識するようになりました。 ●社協への期待に応えたい 市民活動や地域での活動は、関わる方々や自分の頑張り次第でどうにかなることばかりではありません。タイミングや条件が合わなかったり、合意形成が難しく、実を結ばないこともたくさんあります。そのことを分かっていても、自分に原因があるのではと落ち込むことがあります。 時々、社協内外で知り合った方たちと、食事をしたり、休日に山登りに行くなどしてリフレッシュしています。さまざまな経験を持つ方との話は、学ぶところが多く刺激的です。悩んだ時にもふと思い出し、励まされています。 昨年度、地域総務係に異動し、主に社協会費の募集や歳末たすけあい募金などを担当しています。財政的に支えていただくために、社協という組織や活動に共感してもらう必要がありますが、さまざまな事業を行っている分、難しさもあります。それでも、協力して下さる方々の「社協、もっと頑張って」という期待に精一杯応えていきたいです。 今後も社協の色々な事業を通じて、地域の方々の思いの実現に向け、一緒に汗をかいていきたいと思っています。 福田五十鈴 Isuzu Fukuda 社会福祉法人狛江市社会福祉協議会 平成24年4月入職。こまえボランティア・センター、狛江市市民活動センターを経て、現在、地域福祉課地域総務係に所属。 【アンテナ】 助成金 第1期 芸術文化による社会支援助成 3月2日(月)消印有効 東京を拠点とする芸術団体や中間支援団体、福祉団体、NPO等が主催する、多様な社会環境下の人の参加による芸術創造活動や芸術文化の特性を活かし社会や都市のさまざまな課題に取り組む活動等を行う事業 上限100万円 所定の申請書類に必要事項を記入し郵送(簡易書留等) (公財)東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京 企画室企画助成課「芸術文化による社会支援助成」担当 〒102-0073 千代田区九段北4-1-28 九段ファーストプレイス8階 03-6256-8431 https://www.artscouncil-tokyo.jp 講座・シンポジウム 私のまち“東京”で豊かに生きる 「東京ホームタウン大学2020」 2月20日(木)13時半~20時半 東京大学 伊藤国際学術研究センター 無料 各プログラム400名※定員に達し次第締切 基調講義「2020年代、超高齢社会を展望する」、テーマ別分科会、トークセッションほか ホームページにて 東京ホームタウンプロジェクト事務局(認定NPO法人サービスグラント内) 03-6419-4021 [主催]東京都福祉保健局 https://hometown.metro.tokyo.jp/ 2019年度 日本介護福祉学会 関東地区公開講座 「介護現場の研究の質を高めるステップアップセミナー」 2月22日(土)13時~16時半 目白大学新宿キャンパス 一般1,000円、学会会員500円 研究実践報告「実践研究の取り組みと効果」、パネルディスカッションほか ホームページにて※当日参加可 日本介護福祉学会 関東地区公開講座事務局 jarcw.kanto@gmail.com http://jarcw.jp/html/taikai_kouza.html 児童福祉施設経営セミナー 3月5日(木)10時~16時半 AP新橋 4階「Dルーム・Eルーム」 8,800円 100名※定員に達し次第締切 「複雑化する子ども家庭福祉をめぐる課題と社会的養育のあり方」をテーマに講演ほか ホームページまたはFAXにて[申込先]名鉄観光サービス株式会社 MICEセンター 03-3595-1121 03-3595-1119 (独)福祉医療機構 経営サポートセンターリサーチグループ セミナーチーム 03-3438-9932 https://www.wam.go.jp/hp/jidou_2019 メンタルヘルスの集い (第34回日本精神保健会議) 3月8日(日)10時15分~16時 有楽町朝日ホール 無料 600名※先着順 映画上映「星に語りて~Starry Sky~」、フォーラム「災害とメンタルヘルス」 不要 (公財)日本精神衛生会 03-3269-6932 http://www.jamh.gr.jp ストレス科学シンポジウム 第10弾 3月8日(日)13時~17時 早稲田大学 井深大記念ホール 無料 400名※先着順 「うつにならない」をテーマに、講演「うつ的悪循環の克服:仕組みを知って対処しよう」ほか ホームページまたはFAXにて (公財)パブリックヘルスリサーチセンター ストレス科学研究所 03-5287-5168 03-5287-5072 https://www.phrf.jp 令和元年度 配偶者暴力(DV)防止講演会(第2回) 3月7日(土)13時半~16時半 立川市女性総合センターホール 無料 180名 「―あなたは悪くない―配偶者暴力(DV)に気づくために」をテーマに講演 ホームページ、FAXまたはハガキにて※託児あり 要事前申込 2月26日(水)受信・消印有効 東京ウィメンズプラザ 事業推進担当「DV防止講演会(第2回)」 〒150-0001 渋谷区神宮前5-53-67 03-5467-1980 03-5467-1977 http://www1.tokyo-womens-plaza.metro.tokyo.jp/seminar/tabid/378/Default.aspx おおた社会福祉士会 区民公開講座 3月7日(土)15時~17時 大田区消費者生活センター 無料 100名※先着順 「ひきこもりに関する課題や取り組みについて」をテーマに講演、意見交換ほか 不要 おおた社会福祉士会事務局 03-3774-2955 https://www.facebook.com/events /169109537653705/ コミュニティフォーラム2020 3月8日(日)13時~(18時半~懇親会) エビススバルビル「EBiS303」カンファレンススペース5F 6,000円※学割1,000円引 200名※定員に達し次第締切 テーマ「今、あらためてコミュニティと出会う」。家族、健康、教育、職場の視点からコミュニティを考えるテーマセッションほか ホームページにて (NPO)CRファクトリー event@crfactory.com https://crfactory.com/6074/ 見て!聞いて!笑って! わかっちゃう障害理解。 3月21日(土)13時半~16時半 戸山サンライズ2階 無料 講演「パラリンピックが東京に教えてくれること―障害者を取り巻く社会・支える社会」ほか(手話通訳あり) 不要 新宿区手をつなぐ親の会 oyaoyaganbare@yahoo.co.jp http://www.shinjuku-oyanokai.com/ ※この他にも東社協ホームページに各種情報を掲載しています https://www.tcsw.tvac.or.jp/about/keyword/kakushu.html 資料ガイド 施策・会議資料 ●社会保障審議会介護保険部会「介護保険制度の見直しに関する意見」とりまとめ(厚生労働省/12月) ●「労働基準法の一部を改正する法律案要綱」答申(厚生労働省/1月) ●「難病・小児慢性特定疾病地域共生ワーキンググループ」とりまとめ(厚生労働省/1月) 調査結果 ●平成30年度都道府県・市区町村における障害者虐待事例への対応状況等(調査結果)(厚生労働省/12月) ●令和元年度介護事業経営概況調査結果(厚生労働省/12月) ●「令和元年(2019)人口動態統計」年間推計(厚生労働省/12月) ●「令和元年度学校保健統計調査」速報値(文部科学省/12月) ●無戸籍の学齢児童生徒の就学状況に関する調査結果(令和元年5月10日時点)(文部科学省/12月) ●令和元年度学校基本調査(確定値)(文部科学省/12月) ●「男性の家事・育児参画状況実態調査」結果(都生活文化局/12月) ●令和元年度地域おこし協力隊の定住状況等に係る調査結果(総務省/1月) ●平成30年「国民健康・栄養調査」結果(厚生労働省/1月) ●令和元年障害福祉サービス等経営概況調査結果(厚生労働省/1月) ●平成30年度母子家庭の母及び父子家庭の父の自立支援施策の実施状況(厚生労働省/1月) ●「令和元年度犯罪被害者等の実態に関する調査」報告書(都総務局/1月) その他 ●令和元年度厚生労働省補正予算案の概要(厚生労働省/12月) ●「社会福祉法人の事業展開等に関する検討会」報告書(厚生労働省/12月) ●平成30年度東京都児童福祉審議会児童虐待死亡事例等検証部会報告書(都福祉保健局/12月) ●令和元年度民生委員・児童委員の一斉改選結果(厚生労働省/1月) ●年金特別会計 平成30年度決算(厚生労働省/1月) 【東社協の本】 今すぐ役立つ!感染症予防【DVD】 福祉施設等における集団感染防止の手順や対応をドラマと映像で解説したDVDです。日常的な予防策をまとめた基礎編と発生後の対策をまとめた対応編を収録しています。※平成20年度に東京都福祉保健局感染症対策課が作成し、許諾を得て販売したものを好評につき再販しています。 ◆収録時間 基礎編:約13分30秒 対応編:約13分 ◆発売日 2017.09.29 ◆本体 1,200円+税 社会福祉施設・事業者のためのノロウイルス対応標準マニュアル 本書は、社会福祉施設等におけるノロウイルスによる感染症や食中毒の予防を目的に、東京都福祉保健局が作成した対応標準マニュアルについて、普及を目的に刊行物としてまとめたものです。各施設が取り組むべき対策の解説と標準的な作業方法を掲載しています。 ◆規格 A4判/124頁 ◆発売日 2006.03.22 ◆本体 762円+税 生活相談員のためのショートステイマニュアル2~リスクマネジメント編~【CD-ROM付】 平成27年発行「生活相談員のためのショートステイマニュアル」の第2弾。リスクマネジメントをテーマとした1冊です。施設でのリスクが多様化するなか、より困難なケースも安全性を確保し受入れ、サービス提供していくためのヒントが詰まっています。 ◆規格 A4判/121頁 ◆発売日 2018.12.17 ◆本体 1,700円+税 【くらし今ひと】 娘のペースでゆっくりと成長し、 やりがいをもって過ごしてほしい 特別支援学校高等部を卒業後、社会福祉法人七五三(なごみ)会に就職し、勤続10年を迎える紺野智子さんと、母親の紺野ひろみさんにお話しいただきました。 町田市にある七五三会 いづみの里では勤続10年を迎える職員に対し、表彰を行っています。令和元年12月23日には栄養課の紺野智子さんの表彰式がありました。理事長 髙見けい子さんの「これからも頑張ってください」の声かけに、「頑張ります」と笑顔で応える智子さんの声が会場に響いていました。 ◆智子さんより Q:どんなお仕事をしていますか A:トレーを台車に入れたり、コップを洗ったりしています。あとは、テーブルを拭いたり、お箸をおぼんに並べたりしています。 Q:お仕事は楽しいですか A:とっても楽しいです。大変だと思ったことはありません。 Q:休日は何をしていますか A:(小学1年生から習っている)ピアノを弾いています。施設のクリスマス会で披露する「きよしこのよる」の練習をしています。得意な曲は「にんげんっていいな」です。 Q:お仕事で頑張りたいこと(目標)はありますか A:今のお仕事をこれからも頑張りたいです。 ◆ひろみさんより 就職するまで 娘には生まれつき知的に障害があります。中学校までは、地域の特別支援学級で過ごし、特別支援学校の高等部に進学しました。七五三会さんのことは、当時の進路指導の先生の紹介で知りました。高等部在学中に、2回の現場実習を経て、入職することを決めました。実習中の職員さんとの手紙のやりとりから、娘が落ち着いて作業に取り組むことができていたこと、職員さんが娘の得意なことや苦手なことに合わせきめ細かく働きかけていただいていたことが決め手となりました。 実際に入職が決まってからも、娘に“なにができるか”という視点で、働きやすい時間帯や、得意なことなどを細かく聞いていただき、親子ともに安心した状態で新生活のスタートを切ることができたことを覚えています。 新しいことは親子にとって挑戦 娘は新しい環境や、急な予定変更に対応することが苦手ですが、決められた手順があれば丁寧にこなすことができます。最初の大きな壁は、電車通勤でした。電車は混雑や天候等で運転時間が変更になることが多いため、娘が慣れるにはかなりの時間を要しました。最初の半年間は私が付き添って出勤し、徐々に後方から見守る形をとるようにし、入職5~6年目くらいからは1人で通勤できるようになりました。それからしばらくした頃、娘が乗車する電車がトラブルにより50分程度停止したことがありました。パニックを起こしているだろうと慌てて駅に向かいましたが、娘は車内放送に従って、落ち着いて電車の席に座っていました。今では娘を信じ安心して送り出すことができています。新しい出来事はいつも“挑戦”だという気持ちで乗り越えてきました。 入職してから 入職してからは、栄養課に配属となりました。トレーやコップの洗浄など、娘がルーティンでできる仕事内容を割り振っていただいています。娘も「おじいちゃんとおばあちゃんの手伝いをする仕事」と言い、やりがいをもって働いています。施設の方からは「周りの状況をうかがい次の仕事を見つけることができるようになってきている」と聞いています。娘の成長や意欲に合わせて仕事内容を調整していただいていることがうかがえ、職員さんにはとても感謝しています。家庭でも、洗濯物を干したり、お風呂のお湯を張り替えてくれるなど、気づいた家事を率先して行ってくれるようになりました。勤続10年を迎え、改めてたくさんの方に支えていただいていることを実感しています。これからも娘なりにゆっくりと成長しながら、やりがいをもって仕事に励んでほしいと思っています。 (左)髙見けい子さん、(中央)紺野智子さん(右)、紺野ひろみさん 仕事の様子