【表紙】 福島県 郡山市 秋晴れのリンゴ畑、 子供たちのほっぺもリンゴ色だね。 社会福祉NOW 令和4年度からの新たな中期計画の策定に向けて トピックス 性的マイノリティとしての自分に誇りを持ちながら、安心して人生の終末期までを過ごすために NPO法人パープル・ハンズ 福祉職が語る 地域のニーズに誠実に対応することから社会福祉がはじまる 社会福祉法人マザアス 理事長 髙原敏夫さん 【連載】地域における多文化共生のいま④ 外国人も含め、多様な方が暮らしていることを前提とした社会へ ピナット~外国人支援ともだちネット 明日の福祉を切り拓く 家と仕事に困っている人と共に空き家を改修し、安心できる時間と空間を提供 合同会社Renovate Japan代表 甲斐隆之さん 【NOW】 令和4年度からの新たな中期計画の策定に向けて  東社協では、令和4年度からの新たな中期計画の策定をすすめています。今年度が最終年度となる現行の中期計画では、すべての事業の取組みを通じて共通目標と重点目標を達成することをめざしてきました。来年度からの新たな中期計画では、東社協がめざすビジョンや役割をふまえた長期的な方向性に基づき、次の3か年で特に取組みをすすめるべき方向性をふまえた重点事業を設定し、到達目標をより明確にした計画づくりを行います。 4つの基本方針を定め計画策定を検討 現行の「平成31年度(2019年度)からの3か年 東社協中期計画」では、「東京の多様性を活かした〝地域共生社会づくり〟の推進」を共通目標として6つの重点目標を設定し、すべての事業に中期目標と展開方策を定めました。このうち、重点目標達成に寄与する事業を東社協総合企画委員会において「進行管理事業」に指定して、取組みを推進してきました。 新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の影響が長引くことが予想される中、総合企画委員会では新たな中期計画の策定にあたり、東社協の各事業を通じて見えてきた課題をふまえた上で、実現可能な目標・計画としていく方向性が示されました。そこで、4つの基本方針―①この3年間で取り組むべき事項を意識した目標設定、②既存の資源を活かした実現可能な計画づくり、③連携・協働の視点を持った取組みの推進、④法人基盤の強化をさらにすすめる―を定めて検討をすすめることとしました。 新型コロナの影響をふまえた現状と課題 東社協では、事業等を通じて把握した現状と課題を次のように捉えています。 地域では、生活困窮や社会的孤立の問題が深刻化しています。経済情勢の悪化により困窮世帯が増加し、生活福祉資金の緊急小口資金や総合支援資金の特例貸付の件数も急増しました。特例貸付は、これまで社協と接点の少なかった外国籍住民や若者等の生活課題を把握すること につながっています。地域のたすけあい活動やボランティアグループが休止や活動終了に追い込まれ、地域の状況が変化する中、新たに把握した地域課題や社会的孤立等への対応を強化し、継続的な関わりを支援する取組みが求められます。そのためには、これまでも取り組んできた社会福祉法人の地域公益活動や地域の中での多分野の関係機関の連携が不可欠です。 また、福祉人材対策は依然として厳しい状況が続いています。労働力人口の減少が予測されており、いかに福祉人材を確保していくかが大きな課題です。コロナ禍以降の求人・求職状況の変化により福祉業界に関心を持つ人もいます。こうした興味・関心層へ継続的に働きかけるとともに、多様な働き方への対応や環境整備が必要です。また、福祉職場への定着がすすまない状況において、十分に経験を積んだ次世代リーダーの育成も課題となっています。 3か年で特に取組みをすすめるべき方向性 また、この間の福祉施策の動向としては、令和2年の改正社会福祉法により、地域共生社会実現に向けた取組みとして重層的支援体制整備事業が創設されました。東京都では、令和3年度からの3か年を計画期間とする東京都高齢者保健福祉計画や東京都障害者・障害児施策推進計画、東京都地域福祉支援計画の策定がすすめられてきたところです。 現状と課題や施策動向をふまえ、新たな中期計画では、現計画で定めた東社協がめざすべき地域社会の姿や、5つの基本的役割を念頭に置いた6つの長期的な方向性のもと、この3か年で特に取組みをすすめる方向性を次のようにまとめました(網掛け部分。3と4の3か年の取組みは内容を考慮し、まとめて一つに設定)。 1 自立生活を支援するためのしくみづくり 生活が困窮することでより深刻な状況となる社会的孤立を防ぐ取組みを推進する。 2 福祉人材の確保・育成・定着の推進 ①転職者等の未経験者を福祉職場に積極的に導く取組みを推進する。 ②誰もが働きやすい職場環境づくりを推進する。 3 社会福祉法人等の役割発揮、機能の強化 4 幅広い市民参加・多様な主体の協働の推進による地域づくり 地域課題や社会課題の解決につながる多様な主体のネットワークをつくり、そのしくみを活かした取組みを推進する。 5 災害に備えた取組みの推進 人材育成やネットワークの強化に取り組み、発災時に機能するしくみづくりを推進する。 6 社会福祉に関する理解の促進 ①福祉を取り巻く現状や課題とそれに対応する実践を可視化し、その重要性や価値の発信を強化する。 ②誰でも参加でき、福祉が身近に感じられる取組みを推進する。 なお右記とは別に、特例貸付後の対応については、国の方針に基づき必要な体制を整備し、着実に実施する事業として、適正な債権管理をすすめていきます。 今後、取組みの方向性に基づき、具体的な重点事業や到達目標を協働・連携の視点を持って設定します。また、これらを推進する東社協の法人基盤の強化についても検討をすすめます。 ※中期計画〔骨子〕についてお気づきの点がありましたら、挟み込みの別紙によりご意見をお寄せください。 【トピックス】 性的マイノリティとしての自分に誇りを持ちながら、安心して人生の終末期までを過ごすために ▼ NPO法人パープル・ハンズ(中野区) パープル・ハンズは、性的マイノリティや多様なライフスタイルを生きる人々を対象に、学び合い、仲間づくり、相談、コンサルティングの場を設けることで高齢期も助け合うコミュニティづくりをめざす団体で、2013年に設立しました。 事務局長で自身もゲイの永易至文さんは「20~30代の頃は性的マイノリティである自分を受け止めるために活動してきたが、時の流れとともに見えてくる老後は避けては通れない事実だった。当時は結婚することが当たり前で、多くの性的マイノリティの当事者は30~40歳で家庭を持ち、異性愛者のライフスタイルをとったため、高齢期の性的マイノリティの暮らしについては語られてこなかった。性的マイノリティとしての自分に誇りを持ちながら老後を暮らしていくためには、自分たちで知識を身につけ、モデルをつくっていく必要があると思った」と、設立時の想いを語ります。 高齢期における性的マイノリティの課題 結婚しないことを主体的に選択する非婚化の選択肢が広がりつつある昨今、「おひとりさま」の老後における生活やお金の問題は、性的マイノリティに限らず共通の課題となっています。しかし、当事者は性的マイノリティであることを話すことができないために、相談や援助を求めることが難しく、孤立する場合があります。また、同性パートナーがいても法律に規定がないために親族と認められず、相続や医療の場で締め出されることも少なくありません。 永易さんは「同性パートナーが入院した場合、親族でないことを理由に医者が説明を拒む、最期に立ち会えないというケースがある。しかし、個人情報保護法によると、本人の許諾がある人へは個人情報を伝えても良いとされている。そして、それは『親族に限らない』と、厚労省のガイドラインでもいわれている。知識があれば法律上対応できることもあるため、目の前の課題をどう乗り越えていくかを具体的に考えることが必要」と語ります。 そういった問題意識から、ファイナンシャルプランナーと行政書士の資格を持つ永易さんが中心となって「同性愛者のためのライフプランニング研究会」を2010年に立ち上げ、必要な法制度に関わる情報を収集し、その活用について理解を深めてきました。3年後、コアメンバーが増え、対象も性的マイノリティ全体に広げ、「パープル・ハンズ」としてNPO法人化しました。 暮らしに関するさまざまな知識を共有・提供 パープル・ハンズでは「性的マイノリティとしての自分に誇りを持ちながら、安心して老後を過ごす」ことを目的に、暮らしや老後に役立つ勉強会や電話相談、40代以降の友だちづくりの場としてのサロン開催などを行うほか、同性パートナーシップ保証のための公正証書の作成などの斡旋もしています。 勉強会では、お金・入院時・終活などについて性的マイノリティ版(単身者、婚姻ができない同性ふたり、性別移行、有障害など)の正確な情報を紹介し、質疑応答で受講者相互の経験もシェアしあい、情報の少ない当事者にとって貴重な学びの場となっています。また、老後に役立つ社会資源の現場を訪ねる「おとなの社会科見学『キャラバントーク』」も勉強会の柱となる活動の一つです。これまで、社協や地域包括支援センターなどへ見学に行きました。参加者からは「地域との関わりを持たずに生活していくことに不安があった。地元の地域包括支援センターや社協の情報を調べたいと思った」「市民の一人として、待つだけでなく、自分でアプローチしたいと思った」などの声が聞かれています。 永易さんは「これらの活動が性的マイノリティの当事者の老後の安心した暮らしを守り、地域の社会資源に目を向けるきっかけとなれば良いと思っている」と話します。 一方で「地域の相談窓口が性的マイノリティに理解があるとは限らない」と永易さんは言います。パープル・ハンズでは2016年に『介護や医療、福祉関係者のための高齢期の性的マイノリティ理解と支援ハンドブック』を作成しました。この冊子は、介護、医療、福祉従事者が高齢期の性的マイノリティを理解する上で知ってほしい6つのポイント等を分かりやすく紹介しています。永易さんは「調査や講演などの社会発信活動を通して当事者の状況や課題を伝えていく必要がある」と語ります。 必要な方が必要な時に利用できる「社会教育団体」 現在、新型コロナの影響により、キャラバントークの活動は休止、勉強会やサロンはオンラインと会場のハイブリッド型で実施しています。永易さんは「キャラバントークは、近く再開したい。また、急遽導入したオンライン化であったが、全国からの参加者が増えたという点は良かった。コロナ禍により受けた影響をチャンスと捉え、必要な方が利用できるしくみをつくっていきたい」と話します。続けて「あくまでも私は教える立場ではなく学ぶきっかけづくりをする立場。フラットな関係の中で、必要な情報を学び合うための場を提供しているというスタンス。パープル・ハンズは支援団体ではなく『社会教育団体』として情報や知識を必要とする方が必要な時に利用できる団体でありたい。今後は今までの活動に加え、成年後見や死後事務受任にも取り組みたい」と語ります。 『介護や医療、福祉関係者のための高齢期の性的マイノリティ理解と支援ハンドブック』 ※団体ホームページからダウンロードすることができます。 ▲NPO法人パープル・ハンズ http://purple-hands.net/ 【マンスリー】2021.9.26 - 10.25 10/7 「ふくし未来塾」が開講 全国社会福祉協議会は、共生社会を創造するトップリーダーを育成する「ふくし未来塾」を開講する。社会福祉事業・法人の経営管理に必要な知識を体系的に学習できるよう科目群を設け、基幹、応用、発展の3段階の課程を設定する。動画視聴による自学自習のほか、少人数グループでの討議、発表により、相互の有益な人脈を築くことをねらいとしている。 10/14 「高齢者施設・障害者施設の新型コロナウイルス感染対策事例集」を作成 都iCDC専門家ボードの感染制御チームでは、これまでの感染対策支援チームのクラスター発生施設への支援事例などから、高齢者施設・障害者施設向けの感染対策事例集を作成。消毒方法、医療廃棄物や個人防護具の取扱いなどの誤った感染対策事例に、正しい対策方法・解説を加えた16事例を掲載。イラストを用いて分かりやすく紹介している。 ▼「高齢者施設・障害者施設の新型コロナウイルス感染症対策事例集」 https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/corona_portal/iryokikan/corona_taisakujirei.html 10/20 リーフレット 「最近少しお疲れ気味のあなたへ」を作成 都福祉保健局は、新型コロナの影響により、生活をする上で悩みや不安を抱える方を支援するため、リーフレットを作成。心のセルフケアの手法や、生活を支えるための情報をまとめた。 ▼リーフレット「最近少しお疲れ気味のあなたへ」掲載ページ https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/tokyokaigi/madoguti/risyokusya.html 【福祉職が語る】 地域のニーズに誠実に対応することから社会福祉がはじまる 社会福祉法人マザアス 理事長 髙原 敏夫 学生時代に看護を学び、その後、都内の病院で勤務しながら大学で福祉を学びました。病院では、病院事務や人事も担当しました。その病院で私が事務長だった時に、入院患者さんから「自分の資産を世話になった医療や高齢社会へ貢献するために寄附したい」との申し出がありました。すぐに準備委員会が設置され、その方からの寄附をもとに横須賀市内の土地を入手し、昭和59年に社会福祉法人をつくり、特別養護老人ホーム(以下、特養)が設立されました。 横須賀市内に設立した特養で地域のニーズに応える 私はこの新設の特養の施設長になり、ここから社会福祉のキャリアがスタートしました。 なぜ縁のなかった横須賀市なのか、それは、土地探しをする中で、この地域に高齢者福祉の大きなニーズがあったからです。行政や地域住民の福祉へのニーズや思いを目の当たりにして、ここならば、と決めました。 特養を立ち上げてから、地域の福祉ニーズにも一つ一つ誠実に対応してきました。 特養内のスペースを活用して、近隣の認知症高齢者を受け入れるデイサービス事業を市からの要請でモデル的にスタートさせました。スタートしてすぐに、週一回だったサービスを増やしてほしい、という利用者と家族からの強い要望を受けました。職員と共に地域を回り、利用者や家族からの在宅生活の様子を伺い、サービスを自前で週二回に増やすなどしました。また、その時に障害がある方の自宅での入浴介助の困難さを知り、施設の浴室が空いている時間を開放して利用してもらうようにしました。職員も、自分たちの施設が地域の中にある福祉の拠点であることを意識して、多様なニーズに対応することを心掛けました。 現在では、社会福祉法人の地域公益活動は責務と位置づけられていますが、当時の高齢者の福祉施設では画期的なことだったと振り返ります。 先駆的に取り組んだ「認知症ケア」と「看取り」 特養では、認知症高齢者の受入れを積極的に行いました。当時、福祉領域に「認知症ケア」が取り入れられた頃で、神奈川県の方針もあり受け入れることになりました。当時はまだ認知症高齢者は、薬物治療の対象として病院に入院するなど、医療の範疇にあるのが一般的で、困っている方や家族を「救出したい」という気持ちでした。在宅生活が困難な方のありのままの姿を受け止めて、治療の場ではなく生活の場として過ごしてもらうよう受入れをすすめ、手探りで対応しました。個室ではなく、あえて多床室を使ってもらったところ、認知症の方同士で会話がうまれるようになりました。また、職員が気持ちに寄り添う支援を意識していろいろと試し継続していったところ、認知症の方たちの周辺症状が軽減して服薬を減らし、状態を改善することにつながりました。 一人ひとりに寄り添う生活支援の重要性を再認識した出来事です。その頃のエピソードは無数にあり、新たな取組みの中から新たな発見がたくさん出てきます。 さらに、「看取り」についても意識して積極的に取り組みました。介護保険開始前の特養では、最期を迎える時には、病院に搬送してそこで臨終を迎えることが常識になっていた時代です。私は「利用者には、自分が過ごす生活の場で、家族に見守られながら最期を迎えさせてあげたい」と考えました。家族に説明し同意していただいた時には、病院への搬送をせずに、自室での看取りができるような提案をしていました。 死は家族や友人・知人との大きな別れですが、その方の人生が完結したことを意味する出来事でもあります。利用者の方たちに「敬意を持ってお見送りをしましょう」と呼びかけて、施設から出棺の際には、裏口からではなく、利用者も職員も大勢が一階のロビーに集まり、施設の正面玄関からお見送りをするようにもしました。「自分の最期の時もこのように送り出してほしい」と多くの方から言われました。看取りのケアを通じて険悪だった親子関係が最後に改善するケースもあります。私たちのやっていることが間違っていなかったと実感した瞬間です。 介護保険開始前、こういった取組みにはさまざまな困難があり、経営的にも決して順調だったとは言えませんが、大きな成果もあったと思っています。職員だけが頑張ってもうまくいきませんが、ニーズに応え、利用者・家族・地域の方たちに理解してもらって共につくり上げていくことで、より良い支援が育っていくことを経験できたのは、私の大きな財産です。 東久留米市に特養を設立 やがて、取組みが評価され、同じような施設をつくってほしいと声がかかるようになりました。東久留米市から依頼を受けて新しい特養を建設することになりました。東久留米市のさまざまな人との出会いがあり、何よりも福祉へのニーズの大きさを実感したことが決断の大きな要因です。新たな社会福祉法人を立ち上げて、平成7年に新しい特養がスタートしました。これが、現在私が所属している「社会福祉法人マザアス」の特養「マザアス東久留米」です。さらに、平成11年には日野市にも「マザアス日野」、平成22年には「マザアス新宿」をスタートさせました。それぞれの施設でもこれまでのように、地域の福祉ニーズに誠実に対応することを心掛けていることは言うまでもありません。 施設長から東社協の部会活動のリーダーに 活動の軸足を東京に移してから、東社協の老人福祉部会(当時の名称)に所属しました。自分の施設の運営・経営に責任を持つだけではなく、都内の特養や高齢者福祉分野のより良い運営・経営のための活動にも、部会を通して関わりを持つようになりました。 平成13年からは副部会長、平成19年から部会長として活動を続けました。 部会長の時には、介護サービスの大都市特有の問題を協議する首都圏高齢者福祉協議会の立ち上げや、高齢者施設福祉部会(当時の名称)とセンター部会との統合による東京都高齢者福祉施設協議会の立ち上げ、「アクティブ福祉」の活性化など、東京の高齢者福祉の推進のためのさまざまな取組みに率先して関わってきました。多くの仲間に支えられながら積み上げてきた実績が、自分自身の視野を広げることにとても役立っていると思っています。 2040年問題と向き合う 今、わが国では「2040年問題」が大きな課題です。「高齢者人口の急増」と「現役世代人口の急減」が重なり、社会保障をはじめ金融・農業・住宅等のさまざまな分野に大きな影響が出ることが予測されています。とりわけ介護分野への影響は深刻です。厚生労働省からは、2040年度までに「69万人の介護人材増が必要」との試算が出ています。今でも大都市の介護現場では、慢性的な人材不足が大きな課題ですが、今後さらに厳しい状況になると思われます。昨今、国等でさまざまな検討がなされています。介護現場へのITの導入、運営法人の大規模化、介護事業の効率化や他分野との一体化等です。その中で、私は「人材の確保・定着」が将来の介護サービスにとって最も重要であると思います。今後の日本の介護をどのように支えていくかを考えると、外国人介護人材の受入れも、もっと積極的に推進する必要があると思っています。やはり「福祉は人」だからです。 「2040年問題」は、2040年の介護現場の方たちだけで解決する問題ではなく、今から社会全体で真剣にこの課題と向き合ってもらいたいと考えています。 将来の介護サービスがより良質で安定したものであるために、そして、誰もが安心して利用してもらえる介護サービスであり続けるために、ニーズに応え、これからも尽力していきたいと思っています。今、福祉や介護に携わる皆さんにも、目の前にあるニーズに誠実に対応することを大切にし、日々を積み重ねてほしいと思います。 (令和3年9月30日 東社協でのインタビューをもとに編集) 昭和35年 東京衛生病院勤務 昭和59年 社会福祉法人三育会 特別養護老人ホームシャローム 施設長 平成6年 社会福祉法人マザアス 常務理事 平成7年 特別養護老人ホームマザアス東久留米 施設長(~H.25) 平成19年 東社協高齢者福祉施設部会 部会長(~H.25) 平成20年 社会福祉法人マザアス 理事長 平成26年 東社協経営者協議会 副会長 平成29年 東社協総合企画委員会 委員 【連載】4 地域における多文化共生のいま ~東京で暮らす外国にルーツのある方たちをとりまくさまざまな活動・現状と課題~  日本に住む外国にルーツのある方は、言葉や文化、生活習慣の違いなどから、普段の暮らしや地域住民との関係の中でさまざまな困りごとを抱えています。これを解決するために、都内では日本語教室や学習支援、相談支援、外国にルーツのある方と地域住民が相互理解を深めるための交流など、多くの取組みが行われています。  本連載では、同じ地域に暮らす一員である彼らの日常生活のサポートや住民同士の交流を深める取組みを紹介し、多文化共生をすすめる各地域での活動から見える現状や課題を発信していきます。  今号では、地域で外国人支援を行う団体に、子どもを持つ外国人女性等への支援の状況を中心に、お話を伺いました。 外国人も含め、多様な方が暮らしていることを前提とした社会へ ピナット~外国人支援ともだちネット 東京都三鷹市において、1991年のフィリピン、ピナツボ火山の噴火を機に、地域レベルで国際協力・交流活動をすすめる団体として1992年に発足。その後外国人支援や国際理解教育の活動にも取組みを広げ、2015年5月、三鷹・武蔵野地域の在住外国人支援を活動の中心に据えることとし、団体名を現在の名称へ変更。 *「ピナット」ホームページ:https://pinatmitaka.wixsite.com/pinat ピナット事務局スタッフの山家直子さん(左端)、出口雅子さん(右端)。 「バイリンガル絵本づくりワークショップ」 (2019年開催)での一コマ。  地域の在住外国人支援を行う「ピナット~外国人支援ともだちネット(以下、ピナット)」の拠点は三鷹市の住宅街の中にあります。市の人口は約19万1千人、うち外国人は約3千500人(約1.8%)※。23区内に比べると、外国人住民の割合はそれほど高くない地域といえます。  事業の柱は①大人対象の日本語教室、②外国とつながる子どもの学習支援教室、③乳幼児を持つ外国人ママの居場所づくり、④寄り添い支援活動の4つです。事業ごとに担当ボランティアのグループがあり、各グループが横につながりを持ち、事務局運営を担うボランティアが全体を支えながら、活動をすすめています。 大人対象の二つの日本語教室  大人対象の二つのクラスの日本語教室は、1994年に開始しました。  月曜夜のクラスでは、技能実習生や留学生等が、日本語能力のステップアップを目的に学習しています。日本語講師の資格を持つ方や学生等がボランティアで教えています。  主婦層の参加が多い水曜午前クラスは、新型コロナの影響で、現在は個別対応の形で実施しています。これまでは主に子育て中のボランティアが、おしゃべりを通じて子育てや生活の困りごとに寄り添い、支援してきました。学校のお便りの読解や学用品のそろえ方、習い事、行政の手続きなどがよく話題にあがります。  参加者との会話から、楽しいイベントも企画しています。ある時はおにぎりについて「美味しくないと子どもに言われた」「中には何を入れたらいいの」という話を受けて、「おにぎり教室」を開きました。塩をつけてご飯を握ることから伝え、さまざまな具材のおにぎりをつくりました。  また、各国料理の「持ち寄りパーティ」も開いています。日本人の家族から言われて、普段は母国の料理をつくる機会が持てない方もいます。各自がなじみの料理をつくって持ち寄り、母国の話題等で盛り上がります。ピナットの事務局スタッフの出口雅子さんは「一人ひとりの経験やできることを活かせる場にしたい」と考えています。 日本語習得と母語での子育ての関連  2005年からは子ども対象の個別の日本語・学習支援を始めました。来日し、編入学した子どもの日本語指導を頼まれたのがきっかけです。当時、市内の公立学校での日本語指導がわずか20時間であることを知り、公的支援の充実に向けた行政への働きかけも同時に始めました。  その後、母国の学校での学習経験や成功体験などがある来日した子よりも、日本生まれの外国ルーツの子をとりまく課題の大きさに目が向くようになりました。2009年に開設した学習支援教室は、現在、日本生まれの子を主な対象としています。  ピナットでは、行政や学校による外国人保護者への支援が十分でないと感じています。翻訳や読み仮名のないお便りなど言葉の壁に加え、宿題や翌日の持ち物の準備を親が手伝うことなど、日本での「普通」を知らない方も多くいます。そのため「子育てに無関心で、非協力的な親」だとみなされ、学校や周囲を避けるようになる方もいます。こうして、親からはサポートを得られないのに勉強ができないと叱られ、学校からは忘れ物が多い、不真面目だと指導されて、学習意欲も自己肯定感も低くなってしまう子も多いのです。学習支援教室は、子どもが安心して過ごせる居場所になるよう心掛けています。  日本生まれ日本育ちで、日常会話はペラペラなのに、なぜ勉強につまずくのか。年少者言語教育等の専門家らから学ぶ中で分かったことは、「抽象概念の理解や教科学習に必要な学習言語は、習得に繰り返しの努力と時間が必要。そうした言語習得の力は乳幼児期からの豊かな言語体験を基に育まれる。親が母語でたくさん話しかけ、やりとりする言語体験が親子関係や言語習得能力の土台となり、日本語の力もついていく」ということでした。「日本では『日本語で育てるべき』という考えが根強い。だが、不自由な日本語だけでの子育てでは、子どもが『ダブルリミテッド(両方の言語とも年齢相応に発達していない状態)』になりうる」と出口さんは実感しています。  そこで、早い段階から親とつながり、子育て言語について一緒に考えたいと、2012年に外国人ママの居場所づくり活動を始めました。 乳幼児ママの居場所づくり  現在、三鷹市元気創造プラザで月1回、外国人ママ・国際結婚ママ交流会を開催しています。市の乳幼児健診の会場と同じ建物で、アクセスの良い場所です。日本語に自信のない方には負担の大きい事前申込み制でなく、当日参加制にし、ガラス張りの室内を覗けるようにしています。  事務局スタッフの山家直子さんは「参加者の国籍はさまざま。参加目的も、情報がほしい、日本語の練習、母語で話したい、同郷の友人がほしいなど、人それぞれ」と言います。SNSを見て遠方から来る方や、唯一、子どもと外出できる場として参加する方もいます。  プログラムは、テーマを決めたおしゃべりとフリートークが中心です。進行は主に「やさしい日本語」で行い、参加者の母語が話せるボランティアがいれば、隣でフォローします。絵本の読み聞かせや手遊び、ダンスや体操等の時間も設けています。少しでも子どもから離れられるよう、室内に保育スペースを用意し、保育ボランティアが子を遊ばせます。  おしゃべりのテーマは「何語で子育てする?」「病気の手当て」「災害への備え」など、生活や子育てに密着した内容です。「幼稚園・保育園」「日本の学校制度」など説明中心の日もありますが、参観者一人ひとりが話せるように気を配ります。日本の子育てを押し付けるのでなく、出身国の文化の違いや、その方が持つ経験や価値観を大切にしています。  山家さん自身が、かつて乳児を連れて海外に滞在し、孤独を感じた経験から「初めての場に勇気を持って参加した方を『よく来たね』と迎え、親身に話を聞くことが力になる。誰もが歓迎されている雰囲気づくりを心掛けている」と言います。  活動の課題の一つが「広報」です。多言語での宣伝と同時に、顔見知りの人に誘ってもらうことが効果的なため、外国人ママに声をかける人が増えるよう、働きかけています。 特別な存在でなく、同じ住民として  ピナットでは、寄り添い支援活動にも力を入れています。公共機関の手続き等に付き添い、難しい用語を「やさしい日本語」で言い換えるなどします。「様子を見た窓口の人が気づき、次から『やさしい日本語』で対応してくれるようになる。そうした経験を各所で広げたい」と出口さんは言います。山家さんは「国際結婚も増え、すでに多くの外国ルーツの人が地域に暮らしている。そのことに慣れる必要があるのは私たちの側だと思う。『高齢者』や『障害者』という人がいないのと同様、『外国人』という人もいない。日本語や日本の習慣を知らないなどの特性のある住民が、あらゆる公共サービスを利用する前提で、社会のあり方を見直していけたら」と語ります。  コロナ禍の今は、一部オンラインに切り替えて活動しています。ピナットでは今後、活動からの学びを発信する場や機会を増やし、多くの人に外国人との関わりについて考えてもらう活動を続けていく予定です。 ※令和3年10月1日現在。 東京都ホームページ「住民基本台帳による世帯と人口」参照。 ピナット制作の紙芝居(ピナットのホームページで、動画やスライドショーを見ることができます。) 【明日の福祉を切り拓く】 家と仕事に困っている人と共に空き家を改修し、安心できる時間と空間を提供 甲斐隆之さんは、令和2年に空き家を活用したソーシャルビジネスをスタートさせました。「誰もが生きやすい社会」をめざし、相対的貧困、偏見や差別、空き家の問題の解決に向けた事業に取り組んでいます。 制度の狭間にいる人を支援したい 私は母子家庭で育ちました。遺族年金などのセーフティネットがあったので、生活水準をある程度保ちながら生活することができたと思います。 今の活動につながるきっかけとなったのは、大学2年生の時に受けた授業でした。その授業は、海外の児童労働や日本のホームレスなど、表立って報道されていないけれど解決されていない世界の問題を取り上げたドキュメンタリーを見て議論するものでした。授業を受けて「自分は母子家庭だったけれど、努力できる環境が準備されていた」ことに気づきました。そして「ともすれば、セーフティネットがなかったり、制度の狭間にいたりして努力したくてもできない環境にあったかもしれない。世の中にはそのような環境にある人や地域がまだまだたくさんあるのだ」と自分の経験と関連づけて強く感じました。「自分が受けた恩恵を還元しないといけない。制度を整え、その狭間にいる人に届く支援をしたい」と思いました。そのため、大学院を卒業後、公共政策に関わるシンクタンクの仕事に就きました。 仕事をする中で、公共政策には限界があると感じました。以前、街を歩いていた時に犬を連れたホームレスの方を見かけた時のエピソードです。ふと、「その方が犬と一緒にシェルター(ホームレス緊急一時宿泊施設)に入りたいと思ってもそれが可能なシェルターがあるのだろうか」と疑問に思いました。一方で公共政策の観点からすると、それを許可した場合不平等が生じてしまうので、全員に対して提供できる場所や予算を確保しなければなりません。政策では一人ひとりの細かな事情に対応するには限界があり、結局はそのような方が制度の間に抜け落ちてしまうことになります。もし、民間の事業者だったらそのような縛りはなく活動できると思いました。ではどうやって場所を提供するかと考えた時、空き家問題と絡めて解決できるのではないかと思い、起業することにしました。 Renovate Japanのしくみ まず、空き家を大家さんから借りて、スタッフがDIYで一部屋ずつ改修を始めます。その後、家と仕事に困っている方をアルバイトとして雇い、改修済みの部屋に一時的な住まいとして住んでもらいながら、ほかの部屋の改修を手伝ってもらいます。私たちはこの方々をリノベーターと呼んでいます。手伝ってもらった分は当社から賃金を支払います。アルバイト付きシェルターのようなイメージです。彼らに数週間~数か月の短期間、生活を立て直すための時間と空間を提供するのです。リノベーターは住み込みの期間お金を貯め、スタッフも相談にのりながら次のステップへ向けて準備をすすめることになります。改修後の物件は、誰もが住めるシェアハウスとして貸し出しています。 現在は1軒目の改修が終わり、運営スタッフを含め4人が住んでいます。2軒目の改修にも取り掛かっています。 リノベーターは、つながりのある、若者の支援団体からの紹介が多いため、20代が中心となっています。 改修する物件はどこも大家さんがこの取組みに理解を示してくれています。 全国にこのしくみが広がると良い 私たちは小さな団体なので、できることには限界があると感じています。そのため、このコンセプトやしくみを全国に広めたいという思いが強くあります。やり方を真似したり、派生した取組みをしてくださったりする方が各地で増えると良いなと思います。実際に真似したいと言ってくださっている方もいるので、これからどのようにこの方々を支援するか考えていく予定です。 よく「改修した後は福祉的な建物として使わないのか」との質問をもらいます。私たちとしては、このしくみは「基本的には助成金などに頼らず、改修した物件できちんと収益を生み出すことで、その収益を使って次に改修する物件でリノベーターが生活を立て直すための時間と空間を生み出している」と考えています。完成後の物件の家賃収入が、次の物件の改修費用やリノベーターの人件費となり、それが循環していくしくみです。私たちは完成後の物件をシェアハウスとして運営していますが、助成金を使って福祉的な施設として運営する方法もあると思いますし、活用方法はさまざまあって良いと思います。 私は、貧困問題ともう一つ、多様性社会にも関心を持っています。現在、外国人や性的少数者の方等、賃貸契約に本来は関係ないことが理由で家を借りにくい方々がいます。改修した後の物件はそのような差別なく、誰もが住める物件であってほしいと思います。そして、そうした物件であることを発信していくことも今の状況に一石を投じる意味で重要だと考えています。 Kai Takayuki 甲斐 隆之 合同会社Renovate Japan代表 大学の授業をきっかけに、社会保障制度を整え、制度の狭間にいる人を支援したいとの思いを持つ。大学院を卒業後、公共政策のコンサルティング等を行うシンクタンクへ就職。その後、家と仕事に困っている人に対し、一時的な住居と空き家の改修に参加することで得られる収入を提供する事業を起業し、取り組んでいる。 完成した物件(シェアハウス)の様子 【アンテナ】10月28日(木)時点の情報です。感染症拡大防止のため、イベントが中止になる可能性があります。詳細は各団体にお問合わせください。 助成金 さわやか福祉財団「連合・愛のカンパ」助成 11月30日(火)必着 任意団体、NPO 法人、グループ、サークル等が新たに開始する地域における「ふれあい・助け合い活動」 上限15万円 所定の申請書と必要書類を郵送 (公財)さわやか福祉財団 〒105-0011 港区芝公園2-6-8 日本女子会館7F 03-5470-7751 https://www.sawayakazaidan.or.jp/ 生き生きチャレンジ2021 コロナ禍福祉作業所助成事業 12月13日(月)必着 コロナ禍で売り上げが減少し、経営に苦しむ福祉作業所※2023年3月までに実施する事業 上限80万円 所定の申請書と必要書類を郵送 (社福)読売光と愛の事業団・作業所係 〒100-8055 千代田区大手町1-7-1読売新聞東京本社内 03-3217-3473 https://www.yomiuri-hikari.or.jp/ 社会福祉助成事業 12月15日(水)消印有効 社会福祉関係者に係る研修事業または研究事業 助成対象経費の合計の80%以内かつ50万円以内 所定の申請書と必要書類を添付し、メール (公財)日本社会福祉弘済会助成事業係 03-5858-8125 jyosei@nisshasai.jp https://www.nisshasai.jp/fukusijyoseijigyo/jyoseiyoukou-2022.html 2021年障害者支援団体への助成 12月25日(土)消印有効 障がい者支援を行う、3年以上の継続した活動実績がある非営利団体等。かつ活動を実施する施設が一都八県にある団体。対象事業は(1)障がい者の社会参加を促す活動、(2)障がい者の理解を深める活動、(3)福祉活動に必要な環境整備のための施設整備・備品の調達資金等、2022年11月までに完了するもの。 上限30万円 所定の申請書と必要書類を郵送 (公財)タチバナ財団事務局 〒103-0007 中央区日本橋浜町2-56-1 03-3667-7070 http://www.t-group.co.jp/zaidan/ 講座・シンポジウム 【オンライン】第35回社会福祉実践家のための臨床理論・技術研修会 11月27日(土)13時~16時 50名※定員になり次第締切 無料 「福祉現場からの実践報告~コロナ禍の女性支援において顕在化した課題~」をテーマに3名の講師による話題提供、グループワーク 社会福祉実践にかかわる方々 ホームページ 11月25日(木) 明治学院大学社会学部付属研究所 03-5421-5205 https://soc.meijigakuin.ac.jp/fuzoku/consultation/execution-consultation/seminar/ 第38回全国青少年相談研究集会 1月20日(木)14時~1月21日(金)15時半 ※プログラムの一部を後日YouTubeで配信。YouTube配信期間:1月24日(月)~31日(月) 国立オリンピック記念青少年総合センター 無料 「コロナ禍における新たな青少年支援~学び、寄り添い、育む~」をテーマとした、基調講演、行政説明、研究講義、分科会 青少年教育行政担当者、青少年教育施設職員、学校教育行政担当者、学校教員、首長部局相談担当者、警察関係者、法務関係者、社会福祉関係者、その他青少年の相談事業に携わる者 150名程度※先着順 ホームぺージ 1月7日(金) (独)国立青少年教育振興機構事業課 〒151-0052 渋谷区代々木神園町3-1 03-6407-7718 https://www.niye.go.jp 【オンライン】小学校・特別支援学校教育2021フォーラム 1月29日(土)13時~15時 2,000円 小学校・特別支援学校教員、保護者、思春期支援をしている福祉支援者、関心のある方等 「現代社会の思春期の子どもたちのメンタルヘルスと教育支援-思春期外来で出会う子どもたちと発達障害の子どもたちの今」をテーマに、桝屋二郎氏による講演ほか ホームぺージ 1月12日(水)16時 白梅学園大学・白梅学園短期大学子ども学研究所/教職教育・研究センター 〒187-8570 小平市小川町1-830 042-313-5990 http://daigaku.shiraume.ac.jp/openlecture/ その他 第11回杉浦地域医療振興賞 12月31日(金) 正賞として記念品を授与するとともに副賞として褒賞金を贈呈 住み慣れた地域で安心して、その人らしく住み続けることを支援する活動を行った研究者、専門職(医師、歯科医師、看護師、薬剤師、介護福祉士等)、その他(自治体、NPO、ボランティア等)の方で、全国に波及する可能性を有する活動を行っている団体・個人。但し、その活動が現在も継続しているものに限る ホームぺージ上のフォームより応募 (公財)杉浦記念財団事務局 〒474-0011 愛知県大府市横根町新江62-1 0562-45-2731 prize@sugi-zaidan.jp https://sugi-zaidan.jp/ 【資料ガイド】 会議資料 第1回雇用と福祉の分野横断的な基礎的知識・スキルを付与する研修の構築に関する作業部会(資料)(厚生労働省/9月) 第1回在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ 資料(厚生労働省/10月) 外国人雇用対策の在り方に関する検討会(第7回)会議資料(厚生労働省/10月) 不登校に関する調査研究協力者会議(第1回)配付資料(文部科学省/10月) 「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」有識者会議(令和3年度)配付資料(文部科学省/10月) 生徒指導提要の改訂に関する協力者会議(第4回)配付資料(文部科学省/10月) 調査結果 統計トピックスNo.129統計からみた我が国の高齢者(総務省/9月) 令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果(文部科学省/10月) 「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(都教育庁/10月) 「令和2年度における都内私立学校の児童生徒の問題行動・不登校等の実態」(都生活文化局/10月) その他 動画版「令和3年版 労働経済の分析」(厚生労働省/10月) 新しい生活様式における国民の「健康づくり」支援のためのリーフレット『コロナ下での「新・健康生活」のススメ』(厚生労働省/10月) 【くらし】 気楽に買い物を楽しめる機会をつくりたい 令和3年4月、ユニクロ吉祥寺店で、開店前の時間帯に障害がある方が安心して買い物ができるイベントが行われました。企画を担当した飯島桂代さんにお話を伺いました。 今につながる子育ての経験 14年前に武蔵野エリアのスタッフとして入社し、今は「地域施策」としての企画や新人教育などを担当しています。開店前に障害がある方に向けた営業時間を設けるイベントを企画した背景には、私自身の子育て経験があります。 私には、重度の自閉スペクトラム症と知的障害がある息子がいます。22歳になりましたが、「超」がつくほどの多動なので、いまだに目が離せません。どこまでも歩いていってしまうので、行方不明になることも度々あります。家から居なくなり、必死に探しまわって、明け方に東京ドームの近くを歩いているのを発見したこともありました。 体は丈夫なので、体調不良で学校から連絡がくることはありませんでしたが、ほかの子に噛みついてしまい、毎日どこかに謝りの連絡をしていました。経験則と母親の勘でどんな行動をするか、だんだん予想がつくようになりましたが、やっぱり大変です。 ただ、私自身がポジティブな性格なので、暗くなることはありませんでした。たくさんの人に支えられて彼を育ててきたからこそ、人に感謝する心を忘れないことやコミュニケーション力が身についたと思っています。子育てが一段落した今だから言えることでもありますが…。 気楽に買い物を楽しめる機会をつくりたい ユニクロ吉祥寺店は「超・密着型店舗」として、吉祥寺のまちを地域の皆さんと共に盛り上げていくことをめざしています。その担当として、何ができるか考えていた時に、手ごわい息子を育ててきた自分の経験を活かしたいと思いました。 多動などの特性がある方の家族は、落ち着いて買い物ができません。例えば、並ぶことが苦手なので、試着室や会計の列では、何とかなだめながら並んでいても奇声を発してしまい気まずい思いをしたり、列から離れてどこかへ行ってしまうため、もう一度並びなおさなければいけなかったりします。服を着ないまま試着室を飛び出して行ってしまい、冷や汗をかくこともあります。 奇声や多動などは、障害特性の一つで本人の問題ではありませんが、周りからの視線を感じ、周囲への気遣いをしなければならないことは、家族にとって負担になります。 そうした大変さを知っているからこそ、買い物がしづらくサポートが必要な方、特にその家族に向けて、気楽に買い物を楽しめる機会をつくりたいと考えました。 開催にあたっては、ユニクロのスタッフだけでなく、これまでの子育てでつながっている人脈や行政、社会福祉協議会からも協力を得て、広報を行いました。 当日はたまたま自閉スペクトラム症がある方のみの参加でしたが、障害特性があることが共通の前提だったので、少しでも気楽に買い物してもらえたかなと思っています。実際に、家族連れで楽しそうに買い物をする姿を見た時には企画して良かったと思いました。買い物という目的だけでなく、自立に向けた買い物の練習として利用した方もいました。レジでのやりとりやセルフレジの使い方もご自身のペースでできます。スタッフ側のサポートもお客さんの希望によって配慮することができるので、日頃混み合う店内では難しい希望にも、丁寧に対応できました。 サポートが必要な方へのサービスも大切にしたい 今後は、リクエストがあった高齢者施設での出張販売を予定しています。また、今回のように、サポートを必要としている方のための営業時間を設ける企画も継続したいと思っています。これからも必要な方に手厚くサポートできる企画を考えていきたいです。 ユニクロ吉祥寺店に来て、誰もが買い物の楽しさだけではない「来て良かった」という気持ちになってもらえるような店舗づくりを担っていきたいと思います。 【本】 食育実践ハンドブック 食べることは生きること 社会的養護状況の変遷に伴い、食を取り巻く環境も大きく変化しました。子ども一人ひとりの最善の利益追求のため、施設全体で取り組む食育の実践を実現するためにご活用ください。 ◆規格 A4判/94頁 ◆発売日 2014.3.20 ◆定価:1,100円(本体1,000円+税10%) 質と量の好循環をめざした福祉人材の確保・育成・定着 本書は、平成28年10月に福祉施設・事業所2,644か所を対象に実施した「質と量の好循環をめざした福祉人材の確保・育成・定着に関する調査」をもとに作成しました。本書が、福祉業界全体で「質と量の好循環」促進のきっかけになればと思います。 ◆規格 A4判/179頁 ◆発売日 2017.10.18 ◆定価:1,650円(本体1,500円+税10%) 新しい総合事業の推進のための取組み事例集 ~専門機関と協働した住民主体の地域づくりと介護保険~ 本書は、介護予防・日常生活総合事業自治体の取組みや、住民主体による生活支援の取組み、新たな支え手を育成している取組みを掲載しています。また、区市町村による「在宅医療・介護連携推進事業」の取組み事例についても紹介しています。監修:太田貞司氏(神奈川県立保健福祉大学 名誉教授) ◆規格 A4判/124頁 ◆発売日 2016.05.18 ◆定価:1,100円(本体1,000円+税10%)