【表紙】 鹿児島県 指宿市 数ある「富士」の中でも海に浮かぶ開聞岳の美しさは群を抜いている。 そびえ立つ三角の美しい山容から薩摩富士とよばれている。 社会福祉NOW 創立70年記念座談会~東社協10年の歩みとこれからの地域共生社会づくり 【連載】地域における多文化共生のいま⑤ 言葉の理解を超えた心の寄り添いを通じて、安心・安全な産前産後を迎えるために NPO法人Mother’s Tree Japan トピックス 福祉施設と連携して行うボランティア活動のこれまでと現在 青葉町昼食会と白十字ホーム 福祉のおしごと通信 日々を楽しく過ごす雰囲気を利用者様と共につくっていく 社会福祉法人日本障害児協会 島田療育センター 介護福祉士 清水翔平さん 【NOW】 創立70年記念座談会~東社協10年の歩みとこれからの地域共生社会づくり  令和3年、東社協は創立70年を迎えました。  今回、長年にわたり社協・社会福祉法人・民生児童委員・市民活動推進のリーダーとして活躍されている方々による座談会を行いました。  それぞれの立場から、この10年の都内の社会福祉や災害支援等の歩みを振り返るとともに、社協・社会福祉法人(の地域ネットワーク)・民生児童委員(協議会)の「三者連携」を基盤としたこれからの東京における地域共生社会づくりと東社協への期待についてお話しいただきました。 市川 社協関係、社会福祉法人・施設関係、民生児童委員関係、ボランティア・市民活動関係の代表や、この10年以上リーダーとして率先されてきた方々に集まっていただきました。 それぞれの領域・分野におけるこの10年 市川 まずは、各分野・領域におけるこの10年についてお話しいただきたいと思います。 柴山 この10年、区市町村社協は地域福祉コーディネーターの配置をすすめて地域のネットワークを強化する等、地域共生社会づくりをすすめてきました。私が会長を務める港区社協でも「つながり支え合うまち」をめざし、権利擁護と小地域福祉活動に力を入れてきました。  そして、区市町村社協はコロナ禍によって収入が減少した世帯を対象に生活福祉資金の特例貸付を実施してきました。その申請件数は令和3年8月末時点、都内全体で58万件を超えています。きわめて厳しい状況である一方で、これまで社協に訪れたことのなかった相談者も多く見られるようになりました。新しい地域課題が出てきていると思われます。 品川 平成28年の社会福祉法改正により、社会福祉法人による「地域における公益的な取組みを実施する責務」が位置づけられたことは大きな変化です。  東社協は、この責務を事業化するにあたり、事業を①各社会福祉法人による取組み、②各地域(区市町村社協を中心とした)における取組み、③広域(東京都全域)における取組み、という「三層による取組み」とし、これを統括する組織として、「東京都地域公益活動推進協議会」を設立しました。東京都社会福祉法人経営者協議会はこれに全面的に協力しています。現在、区市町村社協を中心としたネットワークは、51の地域に拡大し、広域による取組み「はたらくサポートとうきょう(中間的就労推進事業)」に参加する法人も年々増加しています。 寺田 民生委員制度は、平成29年に創立100周年を迎えました。これまで身近な相談相手として住民に寄り添う役割、各支援制度につなげる役割、制度では充分に対応できなかった、あるいは行われて来なかった支援の充実を図る役割を果たしてきました。  コロナ禍もふまえ、これから大切にしていかなければならないのは、制度の狭間で困難を抱えている世帯を掘り起こし、地域の資源につなげていくということと、同時に地域で生活しているあらゆる人を巻き込みながら、いわば地域ぐるみで取り組むことです。平成28年に策定した「東京版活動強化方策」を羅針盤とし、活動の充実を図っています。 さまざまな困難による生きづらさを持つ方々への支援~10年の歩み 市川 社会がこの10年間で大きく変わりました。ひきこもり、子どもの貧困は拡大し、社会的孤立の問題も深刻です。この10年間深刻化してきた課題への対応として、生活困窮者自立支援制度の取組みをはじめとしたさまざまな支援が出てきましたが、社協、社会福祉法人、民生児童委員のあり方も変わったのではないでしょうか。 柴山 生活困窮の背景には、「孤立」という問題があります。仏教では「共生(ともいき)」という考え方があります。世代や時代を超えて、人の心は引き継がれるものであり、だからこそ、人と人は支え合うことが大切です。家族に限らず地域の子を地域で見守る、家族に対しても親も子もゆとりを持てるように皆で支えていこうということが必要なのではないでしょうか。  東社協が行った調査(※1)によると、コロナ禍により外出や交流の機会が減り、孤立がすすんでいることや、これまではぎりぎりの生活ができていた方の生活が不安定になってしまっていることが明らかになっています。孤立をはじめ、もともとあった課題がコロナ禍で深刻化しています。これらを社協だけで迅速に解決することは困難です。東社協は次期中期計画(令和4年から6年の計画)の検討の中で、社協、社会福祉法人、民生児童委員による「三者連携」を取り上げています。こういったネットワークを活かして解決していくことが必要になっていると思われます。 品川 生活困窮の複合的な課題は、既存の制度等では解決が難しい場合も多くあります。  社会福祉法人の地域における公益的な取組みが問われている今、生活困窮者自立相談支援機関と連携し、社会福祉法人の持つ機能を活用し、法人自らも積極的に支援に取り組むことが期待されています。具体的には、自立相談事業、子どもへの学習支援、就労訓練事業(いわゆる中間的就労)等です。社会福祉法人はそれぞれの地域で、社協を中心としたネットワークを構築してそれに参画しているところが多くあります。ネットワークを活用して、このような活動を今後もさらに広げていきたいと思います。 寺田 全国の民生児童委員に対して行われた調査(※2)では、4人に1人の民生児童委員が、社会的孤立状態にあり生活上の課題を有している方への支援経験があることが分かりました。民生児童委員の活動は、行政や専門機関が把握しづらい状態にある方々を発見する上で大きな役割を果たしています。複合的な課題を有する世帯も、早期に支援につなげることで深刻化を防ぐことができますが、一方で支援のつなぎ先の確保が難しく、民生児童委員個人として支援せざるを得ない等、解決が難しいケースも一定数あります。  新任や任期の浅い民生児童委員もいきいきと活動できるよう、一人で抱え込まずに支え合う体制をつくることをめざしています。 山崎 新型コロナの影響を受け、生活福祉資金の特例貸付の申し込みでは、今まで見つけられなかった、あるいは支援が届いていなかった方たちが、社協の窓口に来るという大きな変革が起こっています。こうした状況の中、地域福祉コーディネーターを配置して、既存の生活困窮者支援の仕掛けと一緒に、地域を耕していく取組みが始まっています。  生きづらさを持つ方々の支援について、ボランティア、市民活動、NPOによる新たな取組みが動き始めています。具体的には、近年「子ども食堂」で大変さまざまな動きがみられます。東京ボランティア・市民活動センター(以下、TVAC)は、工夫をこらして共に活動を始めました。無料の学習活動や小さな遊びの輪も始まっています。今大切なことは、気づき、関わり、ともにつながることです。 災害支援の10年~求められる役割・機能 市川 この10年は、全国各地で自然災害が多発しました。それぞれの分野における災害支援の10年について、お話しください。 柴山 都内ではこの10年で、平成25年伊豆大島土砂災害と令和元年台風19号という二つの災害を経験しました。社協部会では、社協のネットワークを活かして、災害時には相互に支援を行う協定を結んでいます。二つの災害でも災害ボランティアセンターの運営を応援職員が駆けつけて支えました。また、令和3年7月の熱海の土砂災害の直後、大島社協職員は8年前に被災した方の家を回り、気持ちのケアに努めました。社協らしい取組みだと思います。  都内の社協では、これまで多くの職員が他県への応援派遣を経験しています。そこからの学びを東京での備えに活かしていくことが必要です。 品川 東社協の「地域福祉推進に関する提言2021」の中で「感染症対策や水害対策を踏まえた福祉避難所の円滑な設置運営に向けて」の提言をしています。その中で、地域ぐるみの防災対策を検討するために、社会福祉法人による地域公益活動のための区市町村ネットワークの活用が勧められています。  また、災害時、地域の要配慮者の避難を実効性のあるものにするためには、自治体だけではなく、要配慮者の近くに居る地域住民や民生児童委員、また本人たちが日頃利用している地域の福祉サービス、そして福祉避難所となる福祉施設の連携が重要となります。「三者連携」による災害支援の取組みも、今後期待するところです。 寺田 伊豆大島土砂災害では、被災者の見舞い訪問を兼ねて生活状況の調査を行いました。その中で、被災者の心のケアや生活再建に向けた継続的な支援の必要性が明らかになったため、被災地域や仮設住宅での見守りや声掛けを手厚く行いました。このほか、社協の災害ボランティアセンターとの連絡調整窓口等、さまざまな場面で協力しました。  これらのことから、私たち民生児童委員は、日頃から社協と足並みを揃えていく必要があり、そのためのプラットフォームをつくっていくことが求められていると思います。 山崎 大規模災害が起こると、発災初動期を経て、生活再興期、生活復興期と、災害支援のステージに合わせた支援が必要になります。初動期の支援が大きく取り上げられがちですが、本当に大事なのはその後です。生活を再興していく場面は、まさに地元の社協や福祉施設、民生児童委員の役割だと思います。  また、発災後、行政の支援が届く前に大きな役割を果たすのは、身近な家族や近隣住民、地域です。そういう意味では、地域とつながりのある民生児童委員が社協と施設と協働できるようになると、これまでとは違う支援体制ができます。  災害対策では、平時における防災や予防のためのネットワークづくりが大事です。TVACでは、平時から東京都災害ボランティアセンターアクションプラン推進会議(※3)で各区市町村社協、施設、NPO、民生児童委員とさまざまな関係者の参加のもとに、東京全体の防災・減災の取組みをすすめています。発災時に、被災地で災害ボランティアセンターをどのように運営していくのか、要配慮者の避難をどのようにするか、社協と民生児童委員はじめ、関係機関が密に協力しながら、必要な方々の支援ができるしくみがつくれると良いと思います。 東京らしい地域共生社会づくりと東社協への期待 市川 最後に、これからの地域共生社会づくりに向けたそれぞれの役割や課題、今後の取組みに向けた目標、そのための東社協の果たす役割は何なのかをお話しください。 柴山 コロナ禍で地域を支える担い手不足が課題となっています。一方、こうした時代だからこそ、改めて人や地域との関わりに関心を持つ若い人もいると思います。こうした層を積極的に地域の活動につなげていかなければならないでしょう。  コロナ禍では、ワクチン接種のインターネット予約が難しい高齢者を地域の若者が手助けしたり、地域福祉コーディネーターと社会福祉法人が連携し、自宅療養者に食料を届ける取組みもありました。地域の課題に即応できる社協の動きを東社協は支援していくべきでしょう。 品川 東社協は、次期中期計画の検討の中で、社協、民生児童委員、社会福祉法人の「三者連携」を取り上げています。この間、社会福祉法人の地域公益活動で区市町村社協との連携による各地域でのネットワーク化はすすんでいます。これを活性化させて、さらに民生児童委員の方たちと共に「三者連携」による取組みをすすめることには、大きな意義があると思います。  社協と社会福祉法人、社協と民生児童委員は、すでにお互いに連携しています。しかし、社会福祉法人と民生児童委員間では、個人情報保護が大きな壁となりほとんどつながりがありません。そこで、二者を知る社協が中心となって調整役を務め、三者が連携し、機能するような体制づくりを構築していただきたいと思っています。 寺田 私たちに求められていることは、民生児童委員と同じような目線で地域を見てくれる存在をたくさんつくっていくことだろうと思っています。換言すれば、地域に福祉の目を広げる、または地域を耕すということになるでしょう。  重層的支援体制整備事業が始まり、複雑化した生活課題を身近な地域で受け止めて解決することが期待されています。民生児童委員と社協が協働して拠点をつくっていくことが必要ではないでしょうか。 山崎 地域共生社会を創生する上では、地域の構成員である全ての人が関係者ですが、「丸ごと」や「全ての人が」といってもなかなか浸透しません。人と人のつながり方が難しい社会の中で、さらにコロナ禍がその困難を助長してしまっています。  専門機関の支援力をアップすることだけでなく、福祉教育など参画型の教育を通して、身近な一人の困りごとから地域社会をどう捉えるのか、という考え方を育てていくことが必要ではないでしょうか。支援が届いていない、あるいは拒否をしている「支援希求力」が低下してしまった人々を発見していくのはやはり地域の力です。その地域の力を学びの中に活かしていくことが必要ではないかと考えています。 市川 最後に私から、コロナ禍のもとであっても地域福祉において重要なポイントを3つ述べます。   一番目は、協働してきた実践をもう一度検証すること。東社協は、常に現場の状況を把握し、どうバックアップできるかを迅速かつ柔軟に、そして具体的に検討することが不可欠です。  二番目は、本来の活動の意味を問い直すこと。深刻化するさまざまな問題を食い止めるためには、福祉のまちづくりという原点に立ち戻らなければ、住民相互の関係が寸断された社会においては、効果的な支援は成り立ちません。  三番目は、それぞれの役割を問い直していくこと。それぞれができること、求められていること、したいことを確認して、役割の協働を図っていかないといけません。  これまでの地域福祉活動が立ち行かない危機的な状況です。現場の状況を絶えず正しく理解し、支援することが常に求められています。  本日はどうもありがとうございました。 (令和3年9月8日、リモートで実施) 座談会の詳しい内容を、本会の「ふくし実践事例ポータルサイト」に掲載しています。 URL:http://fukushi-portal.tokyo/archives/581 (※1) 令和3年6月「重層的支援体制整備事業にかかわる取組みおよびコロナ禍における地域課題に関する状況 区市町村社協アンケート」 (※2) 平成29年「民生委員・児童委員による社会的孤立状態にある世帯への支援に関する調査」全国民生委員児童委員連合会 (※3) 首都直下地震等の大災害に備えるため、「アクションプラン(5か年の中期実行計画)」をすすめていくために設置されたネットワーク会議体 出席者 東社協総合企画委員会委員長(座長) 市川 一宏 氏 (ルーテル学院大学教授、学術顧問) 区市町村社協部会会長 柴山 義光 氏 (港区社会福祉協議会会長) 社会福祉法人経営者協議会会長 品川 卓正 氏 (社会福祉法人村山苑理事長) 東京都民生児童委員連合会会長 寺田 晃弘 氏 (豊島区民生委員児童委員協議会会長) 東京ボランティア・市民活動センター所長 山崎 美貴子 氏 (神奈川県立保健福祉大学名誉教授) 【マンスリー】2021.10.26 - 11.25 11/2 「東京ボランティアレガシーネットワーク」がオープン 都と東京都つながり創生財団は、ボランティア文化の定着のための取組みとして、東京2020大会で活躍したボランティアをはじめとする活動希望者が、大会終了後も活動を継続し、活動の場を広げるためのポータルサイトを開設。さまざまな分野のボランティア活動情報を公開するほか、ボランティアについて楽しく学べる読み物コンテンツ、ユーザー同士の交流機能を提供している。 ▼「東京ボランティアレガシーネットワーク」 https://www.tokyo-vln.jp/ 10/15 「幼児吃音臨床ガイドライン2021」を公開 国立障害者リハビリテーションセンターは、幼児の医療・保健に日常的に携わる専門職に向けたガイドラインを公開。吃音を非専門とする臨床家・保健関係者等にも分かりやすいよう、吃音についての総論、連携方法についてのフローチャートを盛り込んでいる。 11/10 「2019年社会保障に関する意識調査」結果を公表 厚労省は、「2019年国民生活基礎調査」の対象単位区から無作為抽出した360単位区内の全ての世帯の20歳以上の世帯員を対象に、社会保障制度への関心や情報を得る手段、給付と負担の水準などについての意識調査を実施し、結果を公表した。 今後充実させる必要があると考える社会保障分野は、全ての年齢階級で「老後の所得保障(年金)」が最も多く、次いで39歳以下では「子ども・子育て支援」、40歳以上では「老人医療や介護」であった。 【連載】5 地域における多文化共生のいま ~東京で暮らす外国にルーツのある方たちをとりまくさまざまな活動・現状と課題~  日本に住む外国にルーツのある方は、言葉や文化、生活習慣の違いなどから、普段の暮らしや地域住民との関係の中でさまざまな困りごとを抱えています。これを解決するために、都内では日本語教室や学習支援、相談支援、外国にルーツのある方と地域住民が相互理解を深めるための交流など、多くの取組みが行われています。  本連載では、同じ地域に暮らす一員である彼らの日常生活のサポートや住民同士の交流を深める取組みを紹介し、多文化共生をすすめる各地域での活動から見える現状や課題を発信していきます。  今号では、産前産後を中心に、子育て中の在住外国人女性を対象に支援を行う団体の取組みを紹介します。 言葉の理解を超えた心の寄り添いを通じて、安心・安全な産前産後を迎えるために NPO法人Mother’s Tree Japan(マザーズ・ツリー・ジャパン) 東京都豊島区において、産前産後、子育て中の外国人女性の文化や宗教、個性に寄り添いながら、日本での安心した出産、子育てを支援する団体として令和2年6月に設立。母国語によるカウンセリングや付き添いサービス、交流イベントの企画等を通して地域や子育てのコミュニティづくりの場を提供している。 *「Mother’s Tree Japan」ホームページ:https://mothers-tree-japan.org/ 事務局長 坪野谷 知美さん  「Mother’s Tree Japan(以下、マザーズ・ツリー・ジャパン)」の拠点がある豊島区の人口は、28万4千134人、うち外国人は2万4千488人(約8・6%)(※)と、都内でも外国人住民の割合が高い地域です。 NPO法人設立の経緯  マザーズ・ツリー・ジャパンの設立の背景には、事務局長の坪野谷知美さんと、坪野谷さんの父で理事長の坪野谷雅之さんの海外での生活経験があります。坪野谷さんは、雅之さんの海外赴任により、幼少期から中学生までを香港とイギリスで過ごしました。坪野谷さんは「幼少期は病院にかかることが多かった。母は、慣れない言葉と文化の中で苦労しながら育ててくれていた」と振り返ります。坪野谷さんが中学生の時に、盲腸炎になりイギリスの病院に入院した時のことです。「医師の説明が理解できず、痛みや手術への不安を簡単な英語でしか伝えられなかった。印象的だったのは発熱時に扇風機で身体を冷やされたこと。症状が悪化してしまったため、父から医師に『日本では発熱時に身体を温める習慣がある』ということを伝えてもらい、なんとか症状が改善した。人種が違えば持っている免疫、体質も違うため、症状への対応が異なると知ったが、家族ともども不安な入院生活だった」と話します。一方で「言葉があまり通じなくても、寄り添い、励ましながら看護をしてくれたスタッフの存在に救われた」と言います。  帰国後、祖国日本をより知るため大学で日本史学を学んだ後、通信で保育士資格を取得しました。保育士として保育園に勤めていた頃、友人の産後うつを目の当たりにしたことがきっかけで、自宅で産前産後の女性に寄り添うサロンを始めました。坪野谷さんは「サロンには、外国人女性の方も来ていた。産前産後の精神的不安に加え、異文化の環境の中で、言葉で伝えられない不安な気持ちを押し殺して出産、子育てをしている方が多いことを知った」と話します。産前産後のサロンは継続しており、今年で15年目になります。  これらの経験から、「それぞれの文化や宗教、思いに寄り添いながら、安心・安全に産前産後を迎えられる環境をつくりたい」と思い、令和2年6月に産前産後、子育て中の外国人女性に特化したNPO法人を設立しました。 オンライン中心の啓発活動、事業を展開  令和2年10月より事業を開始する予定でしたが、新型コロナの影響により、予定していた妊娠、産後、子育ての対面相談やイベント等は自粛し、オンラインを中心とした啓発活動、事業展開に重点を置いてきました。  具体的には、区内保健所や区内で多文化共生に取り組む団体とのネットワークづくりや、区内のカフェや公共施設にチラシを配るなどの周知活動を実施しています。坪野谷さんは「新型コロナの影響で、思うように事業展開ができなかったが、ネットワークづくりに時間をかけることができたのは大きい。保健所が対象家庭に訪問する際に、通訳として同行するなど、区内関係団体とのつながりができてきている」と話します。  現在の活動の大半は「母国語によるオンライン相談」です。LINEやZoom、Messengerなどのアプリを用いて個別に相談に応じるほか、月に1回助産師による母国語別の母親相談会を実施しています。これらの相談会には毎回在日外国人スタッフが通訳に入ります。助産師から直接話が聞けることもあり、SNSを通じて海外からの参加もあります。  産褥期は母国語で、乳児が生後半年過ぎた頃からは、地域コミュニティを見据え、母国語に加え、日本語でのやりとりや、母親同士の交流を意識したサロンを実施しています。坪野谷さんは「産褥期は心身ともに疲労し、不安が大きい時期。正確な情報を知りたい時期には母国語で伝えるようにしている」と話します。  そのほか、講師を招いたオンラインでの多文化共生ワークショップや、YouTubeチャンネルを開設し、「産前産後に役立つ日本の情報」や、「季節ごとの過ごし方と体のケアの方法」等のテーマに基づき、動画を公開する等の情報発信も行っています。  一方で、課題となっているのは周知の方法です。坪野谷さんは「オンライン化により、インターネットを使う習慣のない方には届きづらくなってしまう。また、国によって、情報を得るツールが異なり、得たい情報もさまざま。ニーズに合わせた情報提供を意識している」と話します。 母親一人ひとりの意思を尊重した 「指差しお産ボード」の開発  「日本人が思っている以上に、文化や風習を大切にしている外国人女性は多い」と坪野谷さんは言います。例えば、病院食に豚肉が使われていたり、主治医が男性といった状況は、宗教上の理由から精神的負担を与えることがあります。そういった状況に対し「まずは『つらかったね』と外国人女性が直面した感情に寄り添いたい」と坪野谷さんは話します。続けて「多文化支援の活動は、多言語対応に重きが置かれることが多いが、私たちが大切にしているのは、本人の意思を尊重すること。言葉の理解を超えた心の寄り添いを意識している」と強調します。  マザーズ・ツリー・ジャパンでは、助産師や出産を経験した在日外国人スタッフの意見をふまえ、出産の時に役立つ「指差しお産ボード」を開発しました。産前産後に母親と病院がコミュニケーションを取る際に活用できる意思表示ボードで、母親用、病院用をそれぞれ作成しました。坪野谷さんは「お産ボードを活用することで、言葉に表せない不安な感情が共有され、安心・安全にお産が迎えられると良い。内容は今後も意見を聞きながらブラッシュアップしていく予定」と話します。 多文化共生を通して豊かな社会へ  多文化共生への理解がすすみ、産前産後や、子育て中に活用できる多言語対応のツールが複数の団体でつくられるようになりました。一方で、自ら情報を調べ、活用できる人は少ないと考えられます。マザーズ・ツリー・ジャパンでは、それらの情報やツールをまとめて印刷し、すぐ使える状態で外国人女性の手元に届ける「在日外国人ママ応援ギフトプロジェクト」を令和3年11月から始めました。坪野谷さんは「既存の情報、制度を適切に伝えることも私たちの役割。日本人なら当たり前に分かる情報を、外国人女性にも当たり前に届けたい」と話します。  令和3年度内はオンラインの活動を中心に行い、次年度以降、徐々に対面での活動を増やしていく予定です。坪野谷さんは「さまざまな文化に触れることは、自分の経験や考え方を柔軟にさせ、豊かにさせる。外国人女性は『知恵の宝庫』。今後は、母国の子育ての知恵を持ち寄ったワークショップなども開催し、国籍、人種を問わず、多文化共生を楽しめる環境をつくりたい」と話します。 (※)令和3年11月1日現在。 東京都ホームページ「住民基本台帳による世帯と人口」参照。 「指差しお産ボード(タイ語・産前ママ用)」 団体ホームページからダウンロードできます。 【トピックス】 福祉施設と連携して行うボランティア活動のこれまでと現在 ▼ 青葉町昼食会と白十字ホーム(東村山市) 東村山市にある(社福)白十字会白十字ホームは、市内で最も早い昭和42年(1967年)に開設された特別養護老人ホームです。昭和47年(1972年)には「奉仕係(ボランティア係)」を設置するなど、当初から積極的にボランティアを受け入れる体制を整備し、地域の方がホームに深く関わってきた歴史があります。また、現在でいう地域公益活動にも長く取り組んできました。 ボランティアは、趣味や特技を活かしたプログラムの提供や話し相手、行事や外出時のサポート、洗濯物たたみなど、さまざまな形でホームの運営や利用者の生活を支えています。コロナ禍以前までで、延べ5千人のボランティアが活動していました。  しかし、令和2年2月以降は新型コロナの感染拡大防止のため、利用者の家族も含め外部からの立入りを制限しています。そのため、現在も施設へのボランティアの出入りができない状況です。白十字ホーム福祉相談課係長の柿沼由希美さんは「利用者への食事・入浴・排泄の『三大介護』と消毒対応で職員が手いっぱいの状況が続いている。ボランティア不在の中で、よりボランティアの力の大きさを実感している」と言います。 「青葉町昼食会」の活動 白十字ホームとの連携で長くボランティア活動を行うグループの一つに、「青葉町昼食会」があります。平成2年(1990年)から約31年続く会食会活動です。月2回、青葉地域センターを会場に、白十字ホームが用意した昼食で、市内青葉町3丁目に住む一人暮らしや日中独居の高齢者と会食をしています。毎回約20名が参加し、温かい昼食を食べ、体操や歌などの活動やおしゃべりを楽しんでいます。 青葉町昼食会の活動メンバーは、80歳代の8人の女性です。全員が、東村山市社協が呼びかける「福祉協力員(※)」でもあります。当時40〜50歳代だったメンバーは、ボランティアという言葉がまだあまり一般的でなく、デイサービスセンターが各市にはなかった昭和55年(1980年)頃から、社協の「地域のボランティア募集」の呼びかけに応じ、それぞれが地域での活動を始めました。市内他法人が行う配食事業に協力していましたが、昭和63年(1989年)に事業の形が変わり、それまでお弁当を届けるため訪問していた高齢者宅を訪問できなくなったことが、昼食会を始めたきっかけです。同じ頃、白十字ホームでは、利用者が畑づくりの活動を行い、そこで育てた野菜を調理し、利用者と地域の一人暮らし高齢者が参加する「昼食会」を開催していました。白十字ホームで車いす散歩のボランティア活動をしていた重並マユミさんが、「昼食会」の活動を知り、「自分たちの地域でも同じように昼食会を実施したい」と白十字ホームに相談し、活動を始めました。 メンバーで代表の小林保子さんは「配食事業を通じて見知っていた方や近隣の高齢者、関係者に声をかけ、初めて開催した試食会を兼ねた食事会で、白十字ホームから運ばれた温かい食事に感激したことが忘れられない。参加者からも大変好評で、白十字ホームの協力があってこそ続けてこられた」と語ります。 同時期に、青葉町2丁目でも月2回の昼食会が始まり、白十字ホームは青葉町地域では月4回の昼食会への支援をしています。白十字ホーム、ホーム長の西岡修さんは「青葉町は市内では比較的新しい地域。ハンセン病療養所の全生園や精神病院など多くの福祉、医療の施設に囲まれている。同時期に町に住み始めた皆さんが子育て等を通じて知り合い、福祉施設等にも関心を寄せ、自分たちの地域をより良くしたいという思いを持ち、つながっている」とメンバー同士や地域との関係性を語ります。 さまざまな活動を展開 団地の集会室等での開催を経て、平成23年(2011年)に、現在の会場となる青葉地域センターができるまでは、精神障害の方等が通う、(社福)東村山けやき会の就労継続支援B型事業所「平成の里」のスペースを借り、昼食会を開催していた時期もあります。毎年夏に、「平成の里」や白十字ホームの協力のもと、全生園からも竹をもらって流しそうめんを行い、「平成の里」の利用者も地域の高齢者も一緒に楽しんだりもしました。 また以前は年に一度、バスハイクも実施していました。一人では外出が難しい高齢者と、深大寺や花やしき、富士サファリパークなどさまざまな場所に貸切バスで出かけ、楽しみました。このほか、資金集めのバザーを開催したり、新年会や夏祭りなど数多くの地域の活動にも参加しています。「皆さんが楽しむ様子を見るのが私たちの楽しみ」とメンバーの松田和美さんは語ります。 コロナ禍で昼食会を休止する中、活動の意義やつながりを実感 コロナ禍では感染防止のため、昼食会や地域の活動は令和2年2月から休止しています。自宅を一軒一軒訪ねることも難しく、参加者の健康を案じています。中には、この約2年のうちにかなり老け込んだ方や亡くなられた方もおり、状況が早く収束することを願っています。 しかしこれまでを振り返り、メンバーは改めて活動の意義や続けてこられた秘訣も実感しています。渡辺明子さんは「昼食会の日はお化粧をして帽子をかぶって身なりを整えて参加される方もいる。一人で出かけづらい方が、唯一の外出先として楽しみにしてくださる場」と言います。昼食会の中では、体操や歌の呼びかけ、集金や受付、会計、食事の後始末など、あえて決めずとも自然な役割分担ができています。渡辺さんは「お互いに、きょうだいや家族のような関係」、野村千鶴子さんは「コロナ禍で活動できず、今日久しぶりに皆で会えてとてもうれしい。陰で支え、快く送り出してくれる、それぞれの夫や家族の協力もあり続けてこられた」と強い絆を語ります。吉野志げ子さんは「気になる方への参加の声かけや、福祉施設に協力いただく働きかけができたのは、福祉協力員という肩書きがあることや白十字ホームの協力があるという安心感、信頼感があってこそだった」とこれまでの地域での活動を振り返ります。 青葉町昼食会は、日頃から2丁目の昼食会ともつながり、活動しています。また、東村山市社協が運営する地域福祉の活動拠点「みんなの家吉田さろん」での居場所づくりの活動などにも広がっています。西岡さんは「皆さんの思いや活動が地域にさまざまな形で広がり、関係をつくってきた」と言います。 ホーム内に立ち入れない中でも、 制作等で行事のお手伝い 白十字ホームでは、コロナ禍で季節ごとのお花見などの外出行事や夏祭り等が、従前のようには実施できずにいます。これまでそうした行事には、青葉町昼食会のメンバーを含め、多くのボランティアが協力してきました。現在は施設内で工夫して代替行事を行っていますが、ボランティアにはその際に使用する物品の制作等に協力してもらっています。 令和3年6月には、例年利用者が職員やボランティアと共に参加している東村山菖蒲まつりが中止となったため、昨年度に引き続き園内で「白十字ホーム菖蒲まつり」を開催しました。ホームの室内に菖蒲の生花のほか、手作りクラフトや切り絵、写真等で模擬的に菖蒲園をつくって飾り、利用者に楽しんでもらいました。青葉町昼食会のメンバーも、例年は利用者の車椅子を押して同行していましたが、今年は代わりに自宅で、菖蒲の切り花を挿す牛乳パックの花瓶づくりを手伝いました。昼食会が開催できない中でも、ホームや利用者とつながる活動となりました。 今後について重並さんは「食事を介した活動なので、感染防止のためまだ再開は見通せない。それでもこれからもこのメンバーで、長く地域のための活動を続けていきたい」と語ります。 (※)「福祉協力員」制度…各地の社協が呼びかける、同じ地域で暮らす住民同士の見守りや声かけ等の役割を担う住民を登録等する制度。地域によりその役割や位置づけ、活動内容等はさまざま。東村山市社協では昭和52年(1977年)に「福祉協力員会」を発足し、現在も活動を継続中。 青葉町昼食会と白十字ホームの皆さん 青葉町昼食会  前列左端より 野村千鶴子さん、吉野志げ子さん、小林保子さん  後列左2人目より 松田和美さん、渡辺明子さん、重並マユミさん 白十字ホーム  後列右端 西岡修さん  後列左端 柿沼由希美さん 【福祉のおしごと通信】 日々を楽しく過ごす雰囲気を利用者様と共につくっていく 重症心身障害児(者)施設で、介護福祉士として19年勤めている、清水翔平さんに仕事をする上で大切にしていることなどについてお伺いしました。 福祉との出会いは偶然だった 高校生の頃、進路について考えていた時に、教室にあった大学や専門学校のパンフレットの中で、目に入ったのが「福祉」や「介護」の文字でした。進路先が決まっている友人もいて、少し焦っていたこともあり、その日のうちに先生に「福祉関係にすすむにはどうしたら良いか」と相談し、福祉の専門学校にすすむことを決めました。きっかけは偶然でしたが、子どもの頃祖父母と暮らしていたことや、中学生の時に一度だけ参加した、老人ホームでのボランティア活動の経験から、もともと「福祉」や「介護」に興味があったのかもしれません。 楽しい雰囲気づくりをめざして 専門学校時代、友人の実習先が島田療育センターでした。友人の話を聞いている中で、障害児施設がどのようなところなのかと興味を持ち、施設で行うお祭りにボランティアとして参加しました。言葉でのコミュニケーションが難しい利用者様が多い中で、利用者様も職員もとてもその場を楽しんでいました。笑顔の利用者様はもちろんですが、あまり表情の変化がない利用者様も、楽しく過ごせていると感じたのはなぜか、自分の中で興味と好奇心が湧きました。それを知りたいと思い、島田療育センターに就職しました。 就職してから、さまざまな活動に参加する中で、利用者様は雰囲気を楽しんでいるのだと思い始めました。利用者様によって活動の好き嫌いはありますが、皆が活動を楽しめるような雰囲気を先輩職員が上手につくっており、私もそんな職員になりたいと思いました。私自身、ワイワイ騒ぐような性格ではないのですが、利用者様の日々の生活が豊かになるように、普段の性格よりも明るく接することを心がけており、今は楽しい雰囲気をつくることができていると思います。 利用者様の力を活かす「待つ」心がけ 利用者様と接する上で「待つ」という事を大切にしています。利用者様は自分のできることを一生懸命行ってくれます。例えば、排泄ケアでズボンを履かせやすいようにお尻を上げてくれる方がいます。しかし、業務に追われていると、お尻を上げるのを待たずにズボンを履かせてしまうことがあり、その方の持っている力を妨げる状態になってしまいます。ワンテンポ待つことを心がけることで、利用者様の喜びや自信につながっていきます。そして、私自身も利用者様の新たな一面に気づけて、仕事に対するやりがいや喜びにつながっています。今では、利用者様と関わる日々の積み重ねで「待つ」ことが身についてきています。 多職種と連携をとって利用者様のケアを考える 現在は、利用者様の排泄や入浴、食事等の生活のお手伝いをしています。 島田療育センターでは、一人の利用者様を療育士(介護士)と看護師が担当してみています。日々の生活に関しては、グループで話し合いながら利用者様のケアをしますが、身体的なことや病気に関することなどは医師に相談をすることもあります。食事については、利用者様にとってどんな姿勢であれば食べやすいのか、安全に食事できる姿勢は何か、むせることが多くなった時にはどうすれば良いのかなどをリハビリスタッフと相談しながら、その方に合ったケアの方法を考えています。 多職種が集う職場なので、連携がスムーズにできるように、職員同士でコミュニケーションが取りやすい環境をめざしています。利用者様の生活を豊かにする雰囲気づくりと同様に、私自身も職員には、なるべく自分から話しかけるようにして、良い職場づくりをめざしています。 まずは利用者様との日々を楽しむ 私のように福祉をめざすきっかけが偶然でも、20年近くこの仕事を続けられているのは、利用者様と日々の生活やさまざまな活動を一緒に楽しんでいることが大きな理由になっています。 世の中にはたくさんの仕事があり、どれも楽しいことばかりではありませんが、少しでも興味を持った時点でその仕事に向いていると個人的には感じています。これから福祉職をめざしたり興味のある人には、まず自分自身が「利用者様との日々を楽しむこと」を大切にしてほしいと思います。 清水 翔平さん Syohei Shimizu 社会福祉法人日本障害児協会島田療育センター介護福祉士 【東社協発】 第70回東京都社会福祉大会表彰式典は中止いたします  東京都、東京都共同募金会、東京都社会福祉協議会で共催する、第70回東京都社会福祉大会は、新型コロナの影響をふまえ、表彰式典の開催を中止いたします。  なお、東京の社会福祉に功績のあった個人・団体への表彰は例年通り行います。今年度は、551名43団体に対して、東京都社会福祉協議会会長表彰状・感謝状を贈呈します。東社協会長表彰・感謝の受賞者名と功績概要は、令和3年12月24日以降に本会ホームページに掲載いたします。 ▽問合せ  東京都社会福祉協議会 総務部 電話03(3268)7171 知的発達障害部会障害者週間記念特設サイトのご案内  知的発達障害部会では、毎年12月3日~12月9日の「障害者週間」に合わせて、さまざまなイベントを開催してきました。しかし、令和2年度から引き続く新型コロナの影響により、これまでのように大勢で集まるイベントが開催できなくなった私たちは、社会に向けた発信の場をつくりたいという思いから、期間限定で特設サイトを開設することにいたしました。  この機会にぜひご覧いただけますと幸いです。 URL:https://sites.google.com/view/tcsw-session2021/ 公開期間:2021年11月26日~2022年3月31日 特設サイト内容(予定)  ①障害者週間とは?  ②オンラインアート展「ゲンキノカタマリ」  ③障害当事者の方へのインタビュー  ④本人部会の取り組み  ⑤障害者週間クイズ 【アンテナ】11月30日(火)時点の情報です。感染症拡大防止のため、イベントが延期または中止になる可能性があります。詳細は各団体にお問合わせください。 助成金 洲崎福祉財団『令和3年度継続助成』 令和4年1月15日(土)消印有効 中長期的視点において、より多くの障害児・者のQOL向上や社会課題の解決に寄与する事業を行う1都3県に拠点住所がある非営利団体等 上限1,000万円(下限200万円) 所定の申請書と必要書類を郵送 (公財)洲崎福祉財団事務局 〒103-0022 中央区日本橋室町3-2-1日本橋室町三井タワー15F 電話03-6870-2019 http://www.swf.or.jp/support2/index.html 講座・シンポジウム 【オンライン】令和3年度目黒区障害者就労促進フェア 配信期間:令和4年1月14日(金)10時~1月21日(金)18時※YouTubeでの限定公開/字幕付 目黒障害者就労支援センター※オンライン視聴が難しい方は令和4年1月22日(土)10時~(2時間半程度)予約制で会場での視聴可 なし※会場の場合10名程度 無料 大学における障害学生の「働く」を応援するために必要な視点を、特別支援学校・大学・就労支援センターのそれぞれの立場から講演 どなたでも参加可 電話、FAX、メールまたは申込フォームにて 12月24日(金) (NPO)目黒障害者就労支援センター 電話03-5794-8180 ファックス03-5794-8225 メールmeguro-s@01.246.ne.jp http://meguro-syuro.jp/ その他 よろず電話相談 月曜日~金曜日13時~17時※祝日を除く 一般の方、専門職の方どなたでも 【相談電話:03-6907-0511】犯罪を中心とした電話相談の受付。本人、家族の犯罪に関する相談、犯罪への対応に関する専門職からの相談等 (一社)社会支援ネット・早稲田すぱいく 電話03-6907-0511 https://www.waseda-spike.jp/wp/ 【資料ガイド】 会議資料 第11回 成年後見制度利用促進専門家会議(web会議)(厚生労働省/10月) 生活困窮者自立支援のあり方等に関する論点整理のための検討会ワーキンググループ(第1回)資料(厚生労働省/11月) 特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議(第1回)配布資料(文部科学省/11月) 調査結果 令和2年度東京都福祉保健基礎調査『高齢者の生活実態』結果(都福祉保健局/10月) インターネット福祉保健モニターアンケート結果「児童虐待」について(都福祉保健局/10月) 令和2年度「介護給付費等実態統計」結果(厚生労働省/11月) 令和3年「就労条件総合調査」結果(厚生労働省/11月) 障害者優先調達推進法に基づく国等による障害者就労施設等からの調達実績(令和2年度)について(厚生労働省/11月) 放課後等デイサービス事業運営状況調査について(都福祉保健局/11月) 【くらし】 多胎児家庭がほっとできる居場所をつくり、当事者の声を多くの人に届けたい 同時に2人以上を妊娠・出産して、子育てをする多胎児家庭。肉体的にも精神的にも大きな負担がかかりますが、多胎児家庭ならではのさまざまな困りごとはまだまだ知られていません。武蔵村山市で「多胎サークル happy twins」を運営する中村香織さんにお話を伺いました。 多胎の妊娠・出産・育児 多胎児(双子や三つ子など)の親子連れを見かけた時、「かわいい!でも大変そう……」といった印象を抱くことがあると思います。でも、具体的に何が大変なのかまではあまり知られていません。 単胎児(一人の子)と比べて多胎児は妊娠時からハイリスクなので、NICU(新生児集中治療室)のある病院に通うことになります。産後ケアを受ける際には遠くの病院では不便ですが、近場で助産院や産科を探し直すのも、生まれたばかりの多胎児を見ながらではかなりの負担です。 私は平成29年に第3子・第4子を双子で出産しました。産休・育休を取得してワンオペ育児をしていましたが、授乳やお風呂、おむつ替えや寝かしつけなどの世話を2人同時にすることは2倍以上の大変さでした。夫や両親からサポートを受けることも、それぞれ仕事があったり遠方に住んでいたり高齢であったりと簡単ではないです。母親が働いているか否かに関わらず、どの多胎児家庭でも家族の支えだけで育児や家事をすることは難しいと思います。 孤立で高まる虐待リスク また、地域の子育てイベントなどに参加した時に2人が泣いてしまうと、その対応をするだけで終わってしまいます。それなら外出しなければ良いと家にひきこもりがちになってしまうと、さらに孤立して追い込まれていきます。 多くの育児サービスは単胎児を想定しているため一時預かりも多胎児を一緒に預かってくれるとは限らず、精神的に辛くなってしまった時にも子どもと離れられません。多胎児家庭の虐待リスクはほかと比べて2・5~4倍高いというデータがありますが、虐待のニュースを見る度に「次は自分かもしれない」と感じる多胎児家庭の方は少なくないと思います。 声を集めて自治体に届ける 私の場合は生後10か月の時に双子を保育園に預けて職場復帰していましたが、2歳のイヤイヤ期に入った頃、上の子にも手がかかるようになり、自分がいっぱいいっぱいになってしまいました。もうこれ以上一緒にいたらまずいと感じて仕事の休みの日にも保育を希望しましたが叶わず、地域のファミリーサポートセンターも当時はあまり活動していなかったので、利用できるサービスがありませんでした。多胎育児に行き詰まり辛い状況になった時に利用できる支援が一つもなかったことや、周囲の理解のなさがとても辛かったです。 その一番辛かった時期にインターネットで「多胎育児のサポートを考える会」のアンケート結果を見て、みんな同じような悩みがあるのだと感じました。また、国や都の多胎児家庭支援策が出てきた頃だったので、当事者が集まって安心して話ができる場所をつくって、もし思いが同じならその声を集めて市に届けて、支援策の導入を働きかけようと思いました。近隣市ですでに多胎サークルを運営している方に情報収集をして、令和2年1月に「多胎サークルhappy twins」を立ち上げました。 多胎育児は一人で悩まないで 現在は17組が参加していて、月に1回の集まりやLINEでの情報交換のほか、多胎児限定のベビーマッサージなどのイベントも開催しています。単胎児だと当たり前に経験できることも多胎児では躊躇してしまうことがあるので、子どもと一緒に楽しめることを多胎児家庭でもできればいいなと思い、イベントを企画しています。 活動を始めてうれしかったことは、多胎妊娠中の方がLINEで投げかけた質問に対して、先輩ママたちから「私の時はこうしてたよ」と経験や知識を伝えるやりとりがあったことです。私自身があったらいいなと思っていたことが実現しました。私も含め、サービスがあることを知らずに利用することができなかった多胎児家庭もあるので、情報発信はしっかり取り組んでいきたいです。 いま多胎育児で苦しい思いをしている方には、「自分の我慢が足りないのでは」などと自分を責めず、一人で悩まないでと伝えたいです。 多胎育児の現状をもっと多くの人に理解してもらい、地域格差なくさまざまなサービスが受けられる社会になったら良いと思います。 【本】 子どもの未来を拓く自立支援コーディネーター30の実践 東京都による2012年の「自立支援強化事業」の実施に伴い、自立支援コーディネーターが都内の児童養護施設に配置されました。配置から6年が経過した時点での取組みを実践報告書としてまとめました。本書を通し、子どもたちを支えるしくみが充実することを願っています。 ◆規格 A4判/152頁 ◆発売日 2018.07.19 ◆定価:1,100円(本体1,000円+税10%) 専門機関と地域住民の協働による地域づくり~暴力・虐待を未然に防ぐ実践事例集~ 本事例集は、社会福祉施設等と地域住民の協働により、暴力・虐待を未然に予防する取組みを掲載しています。地域でのさまざまな創作工夫が、各地で参考にされることを期待しています。 編:暴力・虐待を生まない社会づくり検討委員会 ◆規格 A4判/68頁 ◆発売日 2015.12.22 ◆定価:660円(本体600円+税10%) こんなことに気づいてあげて~暴力・虐待を防ぐためにあなたにできること~ 東社協では、暴力・虐待を防ぐために地域でできることを考えられるよう、本書を作成いたしました。本書の事例は、都内の児童・女性福祉施設に入所している方の話を加工して作成しています。 編:暴力・虐待を生まない社会づくり検討委員会 ◆規格 B5判/20頁 ◆発売日 2015.04.07 ◆定価:330円(本体300円+税10%)