【表紙】 広島県 尾道市 室町幕府の将軍にゆかりを持つ天寧寺、 境内から一望できる尾道の街並みに圧巻だ 石段をトントンと駆け上がってきた子どもたち こんがりと日に焼けた笑顔がレンズ一杯に広がった 社会福祉NOW 医療的ケア児とその家族へのピア相談事業の取組みから、誰もが安心して暮らせる地域社会を考える トピックス 今住まいが必要な人に~地域のセーフティネットとして~ 社会福祉法人救世軍社会事業団 救世軍自省館 来館者数50万人を達成 歴史の教訓を伝え、差別や偏見のない社会をつくる 国立ハンセン病資料館 【連載】防災・減災に向けた地域の取組み① 身近な視点で防災市民講座を実施し、災害を自分事として考える 社会福祉法人国立市社会福祉協議会の取組み 【NOW】 医療的ケア児とその家族へのピア相談事業の取組みから、誰もが安心して暮らせる地域社会を考える 2021年6月、「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(以下、医療的ケア児支援法)」が可決され、同年9月に施行されました。この法律は、医療的ケア児を明確に定義し、国や地方自治体に医療的ケア児の支援を行う責務があることを初めて明文化したものです。 この法律に関連して、今号では、医療的ケア児支援法の施行前から、医療的ケア児とその家族のピア相談事業を行ってきた杉並区高井戸保健センターとNPO法人みかんぐみの取組みを紹介します。 医療的ケア児の現状 医療的ケア児とは、日常生活や社会生活を営むために、気管に溜まったたんを吸引する「たんの吸引」やチューブで胃に直接栄養を送る「経管栄養」などの医療的ケアを必要とする子どもを指します。医学の進歩を背景に、在宅の医療的ケア児はこの10年で倍増し、2020年時点で全国に約1万9千人いると推計されています。その一方で、地域で暮らしていくための支援体制は十分とはいえません。 医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職防止を目的とした医療的ケア児支援法の施行により、各地域で必要な支援体制をつくりあげていくことが求められています。 医療的ケア児の子育てが始まる家族に支援を届けたい NPO法人みかんぐみ(以下、みかんぐみ)は、杉並区立こども発達センターに通園していた親子8組が、「子どもたちと出かけられる場所や一緒にいられる場所をつくりたい」という思いで、14年に立ち上げた団体で、18年にNPO法人化しました。会員数が約50組となった現在は、イベントの開催のほか、勉強会の実施や家族の就労支援などを行っています。 副代表理事の川田かおりさんは「自分と同じような境遇の人がいることや地域とつながる方法を知らなかったので、子どもが退院し、発達センターに通園を始めるまでの自宅での生活の期間が本当に孤独だった。子どもが大きくなり、少し余裕がでてきた時、今のサポート体制の現状を保健師の方に聞いてみると、孤立してしまう環境はあまり変わっていないようだった」と言います。これから子育てが始まる方や一人で頑張っている方が、先輩の経験談を聞ける場があるといいと感じた川田さんは、みかんぐみとまだつながりのない家族にも支援や情報を届けたい思いで、高井戸保健センターに相談しました。みかんぐみ代表理事の村一浩さんも「行政とNPO法人が持つそれぞれの情報やノウハウを組み合わせれば、本当に支援が必要な人とつながることができると思った」と話します。 高井戸保健センター保健指導担当係長の神保宏子さんは「保健師は区内の子育て世帯へ全戸訪問を行っている。こちらが持っているつながりを活かした協力ができると思い、協働提案事業を活用した」と言います。「協働提案事業」は、杉並区とNPO法人や地域団体などの地域活動団体が、地域の課題解決に取り組む制度です。提案した事業が採択され、20、21年度に事業を行うことになりました。事業の主な内容は、医療的ケア児の子育てをしてきた先輩によるサポートを通して、これから子育てを始める人たちが在宅生活や将来のイメージを持てるようになることをめざしたピアサポート交流会の実施や、冊子の作成などです。 ピアサポート交流会の開催に向けて ピアサポートは、障害分野に限らず、同じような立場や境遇、経験を持つ人同士の支え合いを表す言葉です。横並びの関係性の中でお互いの経験を伝え合い、分かち合うこともピアサポートの一つの形です。交流会を実施するみかんぐみスタッフの不安や負担感が軽くなるよう、講師を招き、ピアサポートの基礎を身につける研修会を開きました。また、スタッフと保健師のミーティングも行いました。「電話をかけても『今は忙しい』と断られてしまう。連絡頻度に迷うことがある」といった保健師の悩みや、「忙しくて対応できない時もあったが、保健師さんには伴走者でいてほしいと思っていた」という当事者側の思いなど、本音を交えたものになりました。神保さんは「現在訪問しているご家庭との一対一のやりとりではなかなか聞けない内容で、保健師にとっても医療的ケア児の子育てを経験してきた先輩方と話ができ、とても貴重な時間だった」と振り返ります。 「一人ではない」と思えるような交流会を ピアサポート交流会当日は、自己紹介と、食事面や入浴面などのテーマを設定したトークや、フリートークの時間を設けました。また、託児スペースを用意するなど、安心して過ごしてもらえるような場づくりを心がけました。交流会は年6回開き、多い時で4名ほどの参加がありました。子どもの体調に合わせて、オンラインでも参加できるようにするなど、臨機応変に開催し、参加者に「一人ではない」と伝わるような交流会をつくりあげていきました。川田さんは「直接会って話すのが一番だが、会場に来るのが難しい方もいる。オンラインを活用することで、つながる方が増えるといい」と話します。 交流会の終了後は、参加者からのアンケート回答をもとに、より良いピアサポートを行っていけるよう、必ず、みかんぐみのスタッフと保健師で振り返りをし、次回に活かすようにしました。川田さんは「協力してくれる看護師や保育士の確保、ほかにも研修の講師や会場の手配の準備は、みかんぐみだけでは困難だった。役割分担をし、それぞれのできることや強みを発揮できたのが良かった」と言います。 22年2月には、交流会を開催するまでの過程や、それぞれの立場の悩みや不安などの気持ちをまとめた冊子『ピアサポート交流会のつくり方』を作成しました。このほかにも、「交流会に行くのはまだ難しい」「みんなの前で自分の話をするのは躊躇してしまう」といった方には、みかんぐみスタッフと保健師で家庭を訪問する訪問事業も行いました。そこから交流会への参加につながった家庭もあり、「訪問事業を通して、交流会に行ってみようかなと思ってくれたら嬉しい」と、神保さんは言います。 川田さんは「この交流会が、つながりや居場所がなく、特に大変な最初の子育ての時期の手助けになるといいと心から願っている」と、活動への思いを語ります。村さんも「冊子のタイトルにもあるように、さまざまな地域で交流の場ができるといい」と話します。 医療的ケア児支援法施行の影響とこれからについて 協働提案事業としてのこの活動は2年間で終了しましたが、医療的ケア児支援法が施行されたこともあり、今年度も引き続き、ピアサポート交流会や訪問事業を実施しています。 杉並区には、教育や保育、学童クラブ関係など、保健と福祉が分野を超えて、今後の医療的ケア児の支援体制を協議する場や、学識経験者や民間団体などが一緒に検討を行う場ができ、その内容が今後の区政に反映されることが期待されます。神保さんは「当事者のご意見は大変貴重。その方々の意見を行政として反映していけるよう、現場の声を伝えていくのが私たち保健師の役割だと思っている」と話します。 また、みかんぐみと他団体が共同で作成した「小児版介護者手帳 ケアラーズノート」を母子手帳の副読本として、未就学の医療的ケア児がいる全家庭への配付(※)も始まっています。「ケアラーズノート」は、重症心身障害児や医療的ケアが必要な親子のための手帳で、子どもの身体の状態や必要なケアの情報を書き込めるページが多いのが特徴です。 村さんは「当事者団体としてのベースを大切に、ピアサポートのほかにも、親の就労支援や学童クラブなどでの受入れ体制整備がすすんでいくよう、これからも活動を続けていけたら」と言います。これからについて、川田さんは「子どもたちにはそれぞれ意思がある。障害や医療的ケアの必要の有無に関わらず、児童館や公園、学校などの居場所が誰にでもあり続けてほしい。安心して生活ができ、『大丈夫、ここにいていい』と、誰もが思える社会であってほしいと願っている」と話します。 (左)NPO法人みかんぐみ 副代表理事 川田かおりさん (中央)杉並保健所保健サービス課高井戸保健センター保健指導担当係長 神保宏子さん ピアサポート交流会の様子 (※)東京都が実施している「障害がある子供など、子供それぞれの特性に応じた情報について、母子健康手帳と一緒に使える様々な手帳」を自治体が該当保護者に配布する際の費用補助を活用。 冊子やピアサポート交流会の詳しい様子は、みかんぐみのホームページからもご覧いただけます。 https://mikangumi.com/ 【トピックス1】 今住まいが必要な人に~地域のセーフティネットとして~ ▼ 社会福祉法人救世軍社会事業団 救世軍自省館 支援は職員寮の1室から 1977年に清瀬市に開設された救世軍自省館は、生活保護法に基づく救護施設として、アルコール依存症の人に生活の場を提供し、さまざまな支援を行っています。2018年に、生活困窮から明日の住まいの確保が必要な人の相談を自治体から受けたことを機に、「施設で何かできないか」と、地域向けに一時的な住まいおよび日常生活上の支援提供を始めました。住まいとして、それまで施設利用者の生活訓練用としていた職員寮の一室(1K)を地域へ開きました。 18年度の利用は5件。確実なニーズを感じ、赤い羽根福祉基金の助成のもと20年には新たに1部屋(2DK)を整備しました。2DKの部屋を中心に、21年度は7件の利用がありました。助成事業は21年度で終了しましたが、現在は自主事業として運営費用を捻出し、地域に向けた支援を継続しています。 住居支援から見るあらゆる課題 「状況や要件に関わらず、『今住まいが必要な人』を受け入れることができる」と、副施設長の髙橋正隆さんは独自の取組みゆえの強みを挙げます。三世代世帯や認知症の単身高齢者と利用層は幅広く、利用背景は家賃滞納による強制退去や生活保護受給までの居所確保等の生活困窮が中心で、多くは非正規雇用です。一方、DV・ストーカー被害からの避難先としての利用もあります。弾力的な取組みだからこそ、幅広いニーズに対応することができます。行政等の関係機関を経て、必要な期間(原則か月)を利用し、退去後はアパートや施設等に移ります。原則、清瀬市民が対象ですが、必要に応じて市外からも受け入れています。 一時的な住まいがあることで、就職先の検討や貯金、必要な支援につながることが可能になります。滞在中は食事支援のほか、希望に応じて面談等も実施します。施設に常時職員がいることも、利用者の安心につながります。救護施設としてのノウハウを提供することもできますが、あくまで住まいや食事等のハード面の提供をベースに、相談等の支援は関係機関が継続して介入し、単独で支援するのではなく、地域の関係機関との連携を前提とした支援を重視しています。 求められる柔軟な支援 「収入が安定していると住居に危機を感じないが、収入面が不安定だとあっという間に住む場所を失う。巻き戻せない」と、事業を通して髙橋さんは再認識しています。20年度の住居確保給付金(※)の決定件数は前年度比34倍の13万5千件(厚生労働白書)。長引くコロナ禍により、「今日寝る場所がない」「明日住む場所がない」、そうした緊急的な状況に置かれるリスクが高まっているといえます。「良い意味で適当な、いろいろなかたちの住居支援が必要」と髙橋さんが考えるように、制度上の支援では対応し得ないニーズがあり、多様な主体による取組みと、それを支えるしくみや制度がいま住居支援には求められています。 (※)生活困窮者自立支援制度の事業で、要件を満たす者へ一定期間家賃相当額を支給 2DKの一室(バストイレ付) 【データ】 過去に金銭の寄附をしたことがある人は4割超 ― 東京都「都民等のボランティア活動等に関する実態調査」より 東京都生活文化スポーツ局は、2022年7月、都内に居住する20歳以上70歳未満の3,000人を対象に2月に行った「都民等のボランティア活動等に関する実態調査」の結果を公表しました。今回は本調査の中から、金銭や物品などの寄附について紹介します。なお、本調査における寄附とは、街頭募金や設置されている募金箱への寄附、ポイント等の利用を含むクレジットカード等の利用、対価性のある還元をもたらすものを除くクラウドファンディングなどや、物品の無償提供を指しています。 まず、これまでの寄附の経験について対象者全員に聞いたところ、項目別では「今までしたことがない」が42.1%で最も多くなっています。金銭の寄附経験については、「直近1年間はないが、過去に金銭の寄付をしたことがある」が30.8%、「直近1年間に金銭の寄附をしたことがある」が14.5%となっており、理論上これらが重複していないとすると、金銭の寄附経験がある人は45.3%になります。一方、物品の寄附経験については、「直近1年間はないが、過去に物品の寄付をしたことがある」が9.1%、「直近1年間に物品の寄附をしたことがある」が2.7%となっています。 また、直近1年間に金銭または物品の寄附をした人に、どのような対象あるいは分野に寄附したかを聞いたところ、「日本赤十字社」が36.4%で最も多く、次いで「共同募金」が32.9%、「緊急災害支援」が26.1%、「国際協力」が15.1%となっています。今回の調査は前回調査(2018年)と調査方法が異なるため単純比較はできませんが、「共同募金」は16.7ポイント減、「緊急災害支援」は26.6ポイント減となっています。 「共同募金」への寄附について職業別に見ると、学生が64.3%と多くなっているほか、ライフステージ別では学校教育期が64.3%となっています。 最後に、金銭の寄附をしたことがある人に、どのような方法で寄附をしたかを聞いたところ、「街頭での募金」が46.7%と半数近くを占め、次いで「設置されている募金箱への寄付(街頭募金を除く)」が40.2%、「銀行やコンビニエンスストア等での振込・口座引落」が23.4%となっています。 今回は寄附について取り上げましたが、調査全体としては、新型コロナの影響下におけるボランティア活動や、ボランティア活動への参加のための支援などについて結果が出ています。詳細はQRコードからご確認ください。 【マンスリー】2022.7.26 - 8.25 7/27 都内の保育サービスの状況を公表 東京都は「都内における令和4年4月1日現在の保育サービス利用状況等」をまとめ、公表した。保育サービス利用児童数は、608人減で、32万3,879人だった。待機児童数は、昨年に比べ、区部で256人、市町村部で413人、全体では669人減り、300人となった。 7/15 令和3年に認知症の行方不明者として警察に届け出があった人は 1万7,636人 警察庁は、「令和3年中における行方不明者の状況」を公表した。令和3年の行方不明者の総数は7万9,218人で、そのうち認知症の行方不明者は1万7,636人で、平成24年の9,607人から1.8倍増であることが明らかになった。ただ、認知症の行方不明者は、受理当日に7割以上、1週間以内に約99%が所在確認され、比較的早期に所在確認されていることも分かった。 8/9 緊急小口資金等の特例貸付の 申請期限が令和4年9月末までに延長 厚生労働省は、緊急小口資金、総合支援資金(初回貸付)の特例貸付および住居確保給付金の特例措置(再支給および職業訓練受講給付金との併給)、新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金について、令和4年8月末までとしていた申請期限を令和4年9月末まで延長することを発表した。 8/23 47都道府県で最低賃金を引き上げ 厚生労働省は、令和4年度の地域別最低賃金の改定額をとりまとめた。改定額の全国加重平均額は961円で、昨年度の930円から31円の引き上げとなった。東京都は1,072円であった。答申された改定額は、都道府県労働局長の決定により、10月1日から10月中旬までの間に順次発効される予定。 【トピックス2】 来館者数50万人を達成 歴史の教訓を伝え、差別や偏見のない社会をつくる ▼ 国立ハンセン病資料館 普及啓発事業の概要 東村山市にある国立ハンセン病資料館は、1933年にハンセン病回復者が中心となり民間施設として設立されました。その後、らい予防法違憲国家賠償請求訴訟の原告側勝訴などを受け、2007年に国立の施設としてリニューアルし、現在に至ります。 資料館の目的は、ハンセン病患者・回復者とその家族の名誉回復を図るために、ハンセン病問題に関する正しい知識を普及啓発し、偏見や差別を解消することです。主な取組みとして、ハンセン病問題の基礎的な理解を深めるための常設展や年2回の企画展、図書資料の閲覧・貸出、資料の収集・保存、講演会や教育機関への出張講座、教員やマスコミ対象のセミナーなどを行っています。 また、オンライン化も積極的にすすめており、展示の解説や語り部の講演などの動画をYouTubeチャンネルやZoomで配信しているほか、新型コロナ禍以降は出張講座やイベントのライブ配信も行っています。 展示や出張講座で伝えたいこと 常設展は、ハンセン病問題に関する歴史展示に始まり、苛酷な生活の場であった「癩療養所」の様子や、回復後も隔離が続く中でどのように一人ひとりが生き抜いてきたのかを伝える内容となっています。 事業部事業課長の西浦直子さんは「私たちが『ハンセン病患者・回復者』とひとくくりにして差別してきた人たちは、それぞれが人として冒されることのない権利を持っているのだという理解にたどり着くように組み立てている」と説明します。 また企画展では、常設展ではできない幅広いテーマを設定し、絵画や音楽、文学なども扱ってきました。22年8月末まで開催していた「生活のデザイン」では、ハンセン病患者・回復者が実際に使用していた自助具や義肢、補装具などから、一人ひとりの暮らしぶりをイメージできるような展示にしました。 一方、展示と違って時間的制約のある出張講座は、受講者がハンセン病に触れる機会は今回限りかもしれないという前提で構成しているといいます。 事業部社会啓発課長の大髙俊一郎さんは、「概要を押さえた上で、どのような人権侵害や差別による被害があり、当事者の方がどう生きてきたのか。そして私たちが差別のない社会をつくるために、ハンセン病問題の歴史の教訓をどのように活かしていくのかといったことを具体的に伝えている」と言います。そして、「子どもであっても大人であっても、それぞれの立場に引きつけて、ハンセン病問題や人権問題、差別の問題に向き合ってくれたら」と話します。 課題と今後の取組みの方向性 現在、全国のハンセン病療養所入所者の平均年齢は80代後半となり、その体験をいかに聞き取り、つないでいくかが課題となっています。これまで集中的に取り組まれてこなかった当事者家族への聞き取りも必要です。 また、資料館運営に関する有識者会議による提言などにより、関心が薄い層への普及啓発活動により力を入れる方向性が示されている中では、特に学校教育へのアプローチが重要です。そのため、都内および首都圏の教育委員会との連携も少しずつすすめているそうです。 感染症と差別を考えるきっかけに コロナ禍以降は、感染者やその家族、医療従事者などへの偏見や差別が社会的に問題になりました。資料館でも、団体見学の際に「今ある差別に対して自分たちはどうしたらいいのだろう」といった反応や新型コロナ関連の質問が多く出ているといいます。 西浦さんは「感染症と差別について、実感を持って受け止めた方も多かったのでは。コロナ禍の今だからこそ、ハンセン病問題に関心を持ち、感染症と差別について考えてもらえたら」と話します。 国立ハンセン病資料館 東京都東村山市青葉町4-1-13 開館時間:9時30分~16時30分 (入館16時まで) 休館日:月曜日(祝日の場合は開館)、 年末年始、国民の祝日の翌日、 館内整理日 入館料:無料 なるほどWord ハンセン病 「らい菌」という細菌に感染することで引き起こされる感染症の一種。国による誤った隔離政策が原因で、患者や回復者、その家族に対する人権侵害や差別が引き起こされた。 【福祉職が語る】66 女性の「人権の尊重」と 「尊厳の回復」のための支援を続けて 婦人保護施設いずみ寮施設長/全国婦人保護施設等連絡協議会会長 横田 千代子 Chiyoko Yokota 夫は転勤が多かったので、腰を落ち着けて働いたり学んだりすることが難しい時期が続いていました。それでも札幌に滞在していた時期に花屋を約2年間経営したことがありました。そこでの経験が「人と交わる仕事」につながっていったと思います。 東京に戻った時に、新たなチャンスとの出会いがあり、1982年に東京都社会事業学校(※1)に入校しました。それが福祉との出会いでした。学校では、婦人問題を扱ったゼミに参加しました。そこで「売春」問題を知る機会を得たのです。 さらに、貧困や日常的に性暴力・虐待を受けている女性たちの実態を知り、尊厳や人格を否定され生きづらさを抱えた女性たちへの支援について、座学だけでなくさまざまな場面を通して多くのことを学びました。 婦人保護施設いずみ寮との出会い 卒業論文の作成にあたって、担当の先生から「婦人保護施設いずみ寮」を紹介していただき、職員や利用者と交流の時間を持つことができました。いずみ寮職員として採用につながり、婦人保護施設の設置根拠法が「売春防止法」であったことも知りました。働き始めて、さまざまな法による弊害と出会うことにつながりました。施設は売春防止法第4章「保護更生」を目的にして外部(地域)とのつながりは皆無でした。そこでの生活は、私の目から見ると犯罪者のような扱いの生活に見えたのです。プライバシーの配慮が無い空間と、低廉な賃金の内職作業、すべての時間が管理されている生活は、自立のための支援の場とは思えないものでした。それでも、売春防止法の婦人保護事業だけが唯一の公的な女性支援事業として位置づけられ、女性支援のための中核的事業だったのです。 利用者と共に生活する中でさまざまな女性たちの存在に気づかされました。貧困だけでなく、精神疾患の治療を受けている女性、軽度な知的障害により生きづらさを抱えている女性などが少なくありませんでした。福祉的な支援の必要性を痛感しました。施設の中でもできる限り普通の生活ができる構想をこらし、自己決定の尊重やプライバシーの確保、一人ひとりに寄り添った支援をめざしました。 生きているだけの時間から 暮らしの時間に変えていく支援 現在の婦人保護施設の設置根拠は、売春防止法だけではなくDV防止法等もあります。今、施設利用者の入所理由は圧倒的に「暴力被害」が多い状況です。売春防止法による利用者も、ほとんどが何らかの暴力被害を受けています。 施設で生活している間は暴力被害から守ることができます。さらに必要な支援は、時間をかけて傷ついた心身と自尊心の回復をめざすことにあります。 「生きてきたけれど暮らしてこなかった」。暴力被害の中でぎりぎり生きているだけであった生活から、その人らしい生活の時間につくりかえなくてはなりません。いずみ寮では、06年に「暮らしつくりの支援」を支援の中核に掲げました。職員は、利用者一人ひとりと向き合って、利用者と共にその人らしい暮らしのための時間づくりを支え、尊厳の回復をめざしています。 女性支援のための法律制定に向けて 貧困や暴力により生きづらさを抱えた女性たちと共に「人権の尊重」や「尊厳の回復」を図り生活再建を支援する時、その支援の法的な根拠が曖昧なため、限界を感じることがありました。売春防止法は特別刑法で、自立支援のための法的根拠にはなっていません。女性の自立と人権が保障される新たな制度や法律が必要だと思い続けていました。 08年から、多くの関係者と共に売春防止法の改正と女性の自立支援のための新たな法律の制定に向けた活動を始めました。「女性のニーズに対応できる総合的支援の枠組みと法的根拠の整備」をめざして学習会や検討会を重ねました。18年からはこの問題を厚生労働省が中心となって検討することになり、法整備に向けた動きが加速していきました。 22年5月に、困難な問題を抱える女性の支援・施策を促進し、女性が安心・自立して暮らせる社会を実現するための「困難女性支援法」(※2)(議員立法)が、衆院本会議で全会一致で可決、成立しました。売春防止法による婦人保護から66年ぶりの改革です。法律が変わることで支援の根拠法が売春防止法と言わなくてよくなることがとても嬉しいです。 今後は、この法律の下で「女性自立支援施設」として、当事者を真ん中に、女性の人権の尊重を中核にした施設として、自分らしく生きる権利、心身の健康回復のための支援に一層力を注いでいきます。さらに、退寮後に地域の中で孤立させないようなサポートするしくみも積極的に続けていきたいと思っています。 (※1)1950年ボランティアリーダー・社会福祉主事養成のため 東京都民生局が設立・運営、2001年3月閉校 (※2)困難な問題を抱える女性への支援に関する法律(2024年4月施行) 【連載】防災・減災に向けた地域の取組み1 本連載では、発災前の取組みや平時からのつながりづくりによって災害に備える団体を取材し、多様な団体による協働のすすめ方や取組みの工夫を伺います。 今号では「地域を知る、災害を知る」という視点から、国立市社協国立市ボランティアセンターの防災市民講座の活動を伝えます。 身近な視点で防災市民講座を実施し、災害を自分事として考える 社会福祉法人国立市社会福祉協議会の取組み 防災に関心の薄い人にも届けたい 多摩地域中部に位置する国立市は、都内で2番目に小さい市です。国立市社会福祉協議会地域生活支援課課長の小山茂孝さんは「国立市はこれまで大きな災害に見舞われたことがなく、まち全体で防災意識を高めることが課題となっている。市の南側を流れる多摩川周辺の地域と整備された国立駅周辺では、住民の防災への関心度も違う」と、市内の防災への意識について話します。 2021年頃まで、国立市社会福祉協議会国立市ボランティアセンター(以下、センター)では、ボランティアスキルアップ講座として、災害ボランティアなどをテーマに年1回防災講座を実施していました。しかし、思うように参加者が集まらず、センターの伊藤真理子さんは「どうしたら防災に関心の薄い人にも興味を持ってもらえるかを考えた」と振り返ります。続けて、「市防災安全課、東京ボランティア・市民活動センターと企画する中で、『災害ボランティアと言っても、一般の方には想像しづらいのではないか』という意見が出た。そこから専門的な言葉を使わずに自分事として考えてもらえるよう身近なテーマを設定しようと考えた」と企画の経緯を話します。 自分事として想像できるように 伊藤さんは「国立市で災害が起きたらどうなるのだろう、とまずは自分の立場に引き寄せて考えてもらう。『同じ市内でも、被災する人と助ける側に回る人がいるかもしれない』『災害が起きたら地域がどうなるか』『自分は何ができるか』と想像してもらいながら、そのためには平時に何ができるかを考えることにつなげたかった」と講座の狙いを話します。 22年3月に行った防災市民講座では、まず「自分のまちが災害にあったらどうなるか知る」を目的に、市内を歩きながら、地域の資源や避難について考える「防災まちあるき」を行いました。その後、災害に備えて自分でできることを考えるワークショップを実施しました。 市や国立市社協のコミュニティソーシャルワーカーの協力のもと周知を行い、定員を上回る参加者が集まりました。防災に関心はあったものの、機会がなかったという方や、体験型であることに興味を持ち、初めて参加した方もいたといいます。 今回初めて参加した市民に、継続して関心を持ってもらうため、22年6月には、全3回の防災市民講座を行いました。1回目は、ハザードマップを用いて、市内の被害状況や地域の資源を地図に書き込むワークショップ、2回目は、被災地支援にあたる団体から被災地の状況を学び、3回目は、国立市内で防災の活動をしている企業や自主防災組織など複数の団体を招き、地域でどのような防災の活動が行われているかを知る機会を設けました。 講座から生まれた気づきと動き 参加者からは、ハザードマップの内水被害(※)の想定を見て「大丈夫と思っていた場所でもそうではない」と驚く声や、「実際に自分の目で見て、歩いて、話を聞くことで気づくことが多かった」という声があったといいます。また、各回の講座にはグループワークを設けるように工夫しました。参加者が災害への不安を話したり、他地区の防災の取組みを聞いたりすることで、地域の防災について考えたり行動したりするきっかけになったといいます。 講座が終わると早速、参加者から市防災安全課が実施する防災出前講座に申込みがあったほか、発災時のトイレ設置訓練の実施の相談も同課にあり、講座をきっかけに地域の活動につながる動きもありました。 小山さんは「災害はいつ起こるか分からない。もちろん、平時から地域全体で密につながれたら良いが、まずは多くの人と緩やかにつながり、もしもの時に集まれることが大切」と話します。参加者からも「市民も縦割りだったことに気づいた」という声があり、一連の講座を通じて、参加者にもつながりの大切さが伝わっている手応えがあるといいます。 緩やかなつながりを広げていきたい 今後は、防災の話を聞いたり話したりできる場として防災カフェを定期的に開く予定です。今回の防災市民講座でできた関係を絶やさないためにも、年1回の講座だけでなく、定期的に講師から防災について教えてもらい、参加者が話し合う場を計画しているといいます。伊藤さんは「緩やかにつながり、『ここに来たら、防災について聞いたり話したりすることができる』という場所にしたい。参加者と社協がつながったり、参加者同士で新たな活動に発展したり、と広がりができたら良い」と思いを話します。 国立市社協コミュニティソーシャルワーカーの飯田公也さんは「万が一災害が起きた時、徐々に日常に戻っていく復興期の段階で、先行きへの不安を持つ方は多い。その時に困りごとを聞いたり、団体間で情報共有したりすることが社協の役割だが、それは日頃からのつながりがあってこそ機能する」と話します。センターでは、防災の取組みをすすめる行政や公民館との連携だけでなく、地域の青少年地区育成会からの声掛けで防災訓練に参加したり、子ども食堂との防災の講座を計画するなど、積極的に地域に赴いています。 伊藤さんは「災害時には災害ボランティアセンターを立ち上げ、相談の窓口にもなるボランティアセンターの存在を、より多くの方に知ってもらい、人や団体をつなぐ役割を担いたい」と話します。 (左から)地域生活支援課課長 小山茂孝さん 国立市ボランティアセンター 清水咲也子さん、伊藤真理子さん 地域福祉係 飯田公也さん ハザードマップを用いたワークの様子 自主防災組織「中一番自主防災」の活動紹介 (※)急激な豪雨が発生し、雨量が下水道等の排水能力を超えたときに発生する。 【東社協発】 東京都地域公益活動推進協議会は全加入組織となりました 東京都地域公益活動推進協議会(以下、推進協)は、社会福祉法人の地域公益活動を「オール東京」で推進するため、2022年度から東社協に入会するすべての社会福祉法人を会員とする「全加入組織」(※)となりました。 コロナ禍が長期化する中、地域における孤立・孤独、生活困窮等の課題は、一層深刻さを増しています。既存の制度では対応困難な地域生活課題に対して、社会福祉法人への期待も寄せられています。 推進協では、東京の社会福祉法人がすべてつながることにより、各法人の専門性や強みを生かした取組みの推進、区市町村域での種別・分野を超えた連携や、広域での連携をさらに強化するとともに、オール東京での地域公益活動を広く発信していきます。 (※)一部例外あり。 推進協ホームページ 推進協YouTubeチャンネル 東村山市内社会福祉法人連絡会 調布市北ノ台まちづくりネットワーク 足立区社会福祉法人連絡会 【義援金・支援金】 2022年8月3日からの大雨災害に対する義援金・支援金情報 以下のとおり、義援金・支援金を受け付けています。詳細については、受付団体にお問い合わせください。 みなさまのあたたかいご支援よろしくお願いいたします。(9月1日(木)時点) 【義援金】 ■日本赤十字社―2023年3月31日(金)まで ●ゆうちょ銀行・郵便局  口座番号:00190-2-515136  口座加入者名:日赤令和4年8月3日からの大雨災害義援金 ●三井住友銀行  支店名:すずらん支店  口座番号:普通 2787585 ●三菱UFJ銀行  支店名:やまびこ支店  口座番号:普通 2105583 ●みずほ銀行  支店名:クヌギ支店  口座番号:普通 0620561 ※口座名義はいずれも「日本赤十字社(ニホンセキジュウジシャ)」 各県共同募金会の受付期間は下記のとおりです。 詳細は各県共同募金会のホームページをご確認ください。 ■福井県共同募金会[令和4年8月大雨福井県災害義援金] ―9月30日(金)まで ■石川県共同募金会[石川県8月大雨災害義援金] ―12月28日(水)まで (被災状況に応じて、受付期間を延長する場合があります) ■新潟県共同募金会[令和4年8月新潟県大雨災害義援金] ―2023年3月31日(金)まで 【支援金】 被災地で活動するボランティアグループ・NPO団体に助成するしくみです。 ■中央共同募金会[ボラサポ・令和4年8月豪雨] ―12月31日(土)まで(予定) ●三井住友銀行  支店名:東京公務部  口座番号:普通 0162585  口座名義:社会福祉法人中央共同募金会 ※インターネット募金、クレジットカードやコンビニ等でのご寄付も可能です。 ■日本財団[災害復興支援特別基金] ―10月31日(月)まで ●三菱UFJ銀行  支店名:本店  口座番号:普通 1660782  口座名義(漢字):公益財団法人 日本財団  口座名義(カナ):ザイ)ニッポンザイダン 【東社協が発信する災害関連情報】 その他の情報は、 ホームページに随時掲載しております。 東社協ホームページ(災害関連情報) https://www.tcsw.tvac.or.jp/saigai/index.html 東京ボランティア・市民活動センター https://www.tvac.or.jp/news/50751 【アンテナ】9月1日(木)時点の情報です。詳細は各団体にお問合わせください。この他にも東社協ホームページに各種情報を掲載しています。 東社協ホームページ「各種福祉情報の提供」 https://www.tcsw.tvac.or.jp/about/keyword/kakushu.html 助成金 読売光と愛の事業団 2022年度 がん患者在宅療養支援事業助成金 10月31日(月)必着 地域で人生の最終段階にあるがん患者らの自宅での生活支援および家族サポートや看取りなどの活動を支援する、おおむね3年以上継続して活動しているボランティアグループ・団体 上限50万円 所定の申請書類に必要事項を記入し、必要書類を同封の上、郵送 (社福)読売光と愛の事業団 がん患者在宅療養支援係 〒100-8055 千代田区大手町1-7-1 03-3217-3473 03-3217-3474 hikari-ai@yomiuri.com https://www.yomiuri-hikari.or.jp/ 講座・シンポジウム 第1回ワンウェルフェア大会・学会 人と環境・動物問題の現状と展望 10月1日(土)13時半〜16時半(会場とZoom)、10月2日(日)14時〜16時半(Zoom) 中野サンプラザ7階研修室10 会場50名、Zoom500名※先着順 会場参加者1,500円、Zoom参加者1,000円 1日目:「人と環境・動物問題の現状と展望」についての講義とシンポジウム、2日目:分科会 9月23日(金) Webにて (一社)ワンウェルフェア 事務局 info@one-welfare.org https://one-welfare-taikai.peatix.com 第30回 日本介護福祉学会大会 白梅介護福祉学会/家族地域支援セミナー 10月9日(日)9時半〜12時5分 ※Zoomを活用したオンラインセミナー 「多様なケアから介護福祉学を問う―地域共生社会を見据えて―」をテーマに、基調講演「障害者の権利保障運動の軌跡と地域共生社会」と、鼎談「医療ケア児支援法の成立―地域支援と介護福祉の役割―」 無料 300名 Webにて 10月4日(火)16時 白梅学園大学・白梅学園短期大学 子ども学研究所 〒187-8570 小平市小川町1-830 042-313-5990 042-346-5652 kodomogaku@shiraume.ac.jp https://kikaku71.wixsite.com/website-1 2022年度「秋のオンラインライブセミナー」 (1)10月9日(日)13時〜16時20分、(2)10月16日(日)13時〜14時半、(3)11月27日(日)13時〜16時20分、(4)12月4日(日)13時〜16時20分※Zoomウェビナー (1)「幼児期・学童期に育てたい集団参加の力―感情のコントロールへの対応も含めて」、(2)「衝動的な行動 への理解と対応―応用行動分析(ABA)の視点から」、(3)「ワーキングメモリの働きをふまえた学習支援の実際―発達障害のある子を中心に」、(4)「ことばの育ちを支援する―支援者として大切なこと」をテーマにした講座 各4,400円※(2)は2,200円 各150名(定員になり次第締切) Webにて (公社)発達協会 〒115-0044 北区赤羽南2-10-20 03-3903-3800 03-3903-3836 mail@hattatsu.or.jp https://hattatsu.or.jp 2022年度 日本社会事業大学 専門職大学院 福祉実践フォーラム 10月16日(日)13時〜16時半 ※オンライン(Zoom)と対面での開催 御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンター2階 sola city Hall 「共生社会をめざす当事者と専門職の協働―共同創造を学び、その可能性を考える―」をテーマに、基調講演とシンポジウム 無料 400名(オンライン250名、対面(会場)150名)※先着順 Webにて 日本社会事業大学大学院教務課 福祉実践フォーラム事務局 〒204-8555 清瀬市竹丘3-1-30 042-496-3105 inkyoumu@jcsw.ac.jp https://www.jcsw.ac.jp/skillup/extension/kouza/jissen-forum.html その他 いのちを守る何でも相談会 (1)面談相談(予約不要) 9月〜2023年3月の毎月第4月曜日(祝日は除く)18時〜21時(最終受付20時) 司法書士会館(新宿区四谷本塩町4-37) (2)電話相談 9月〜2023年3月の毎月第1、3月曜日(祝日は除く)18時〜20時半(相談は21時まで。TEL:0120-107-123) (1)(2)共通 司法書士が精神保健福祉士または公認心理師・臨床心理士とともに、いじめや仕事、お金等の悩みについてアドバイス。相談無料 東京司法書士会 事務局事業課 03-3353-9191 https://www.tokyokai.jp/news/2022/08/post-462.html 第3回福祉・介護のおしごとフェア 10月1日(土)14時〜16時半(開場13時50分) TKP新宿西口カンファレンスセンター8階D会議室 無料 都内7つの社会福祉法人の職場紹介・個別就職説明会 不要 特別養護老人ホーム博水の郷 担当:佐藤・田中・片桐 03-5491-0340 info@hakusuinosato.or.jp https://ameblo.jp/tokyofukushi-shinjidai/ 【資料ガイド】 会議資料 第5回在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ 資料(厚生労働省/7月) 第46回社会保障審議会生活保護基準部会 資料(厚生労働省/8月) 第18回社会保障審議会 生活困窮者自立支援及び生活保護部会(資料)(厚生労働省/8月) 第11回社会保障審議会 介護保険部会 介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会 資料(厚生労働省/8月) 第96回社会保障審議会介護保険部会(厚生労働省/8月) 第212回社会保障審議会 介護給付費分科会(web会議)資料(厚生労働省/8月) 調査結果 令和3年度公立中学校等卒業者(令和4年3月卒業)の進路状況調査の結果(速報値)について(都教育庁/7月) 【くらし】 いつか「聴く」ことができると信じて 都内に住むSさんは、2021年に脳出血を患い、後遺症として失語症が残りました。入院前後の生活や気持ちの変化などを伺いました。 脳出血で倒れて入院 私は脳出血で倒れるまで、普通の会社員をしていました。いわゆる中間管理職で、定年まであと4年という年齢でした。 2021年2月に脳出血で突然倒れました。発症後1週間くらいは寝たきり状態で記憶もありませんでしたが、だんだん意識が戻りました。しかし、気がつくと右半身が自由にならない状態でした。「これは困ったな。でもいつかは動いて何とかなるだろう」と楽天的に考えていました。 そのうち先生から「さあ、明日からリハビリを始めるよ!」と言われ、1日に3〜4回のリハビリが始まりました。日に日に筋肉の動きが戻ってくる感じがあり、嬉しいというか不思議な感覚でした。  聞こえるのに話の内容が理解できない しかし、脳出血の影響で「失語症」という障害が残りました。失語症は「聴く」「話す」「読む」「書く」の全部または一部に影響が出て、普通の生活に困るようになります。私の場合は、特に「聴く」ことに困っています。 初めておかしいなと思ったのは、病院のロビーで他の患者さんとテレビのお笑い番組を見ていた時でした。「自分だけ笑っていない、なぜ?」と思い、先生に相談したところ「MRI検査をしましょう」となりました。「誰が話しているのかは理解しているのに、その声の意味が解らない⁉」という状態でした。ただ、字幕など文字を一緒に見れば問題ありません。話すことはそれなりにできます。先生から「それが失語症の特徴の一つです」と説明があり、ようやく冷静に理解・納得した気がしました。 もちろん「これからどうしよう」「もうだめなんだ」とネガティブな気持ちになったのも事実です。でも、なってしまったことは悩んでも仕方ありません。すすんだ時間だけは平等です。「後は何ができるのか。前向きに受け止めていくんだ、それしかないよ」と考えました。 退院後の生活と今の気持ち 退院後、ケアマネージャーさんに「会社復帰」に向けてのケアプランを立てていただきました。また、言語聴覚士の方による訪問リハビリを受けています。 幸い会社・同僚の理解があり、在宅勤務と出社を組み合わせる勤務方法で、退院後3か月程で「会社復帰」を果たすことができました。また、最近は地域の失語症友の会にも参加しています。 不幸にも脳出血が突然やってきて、その後遺症で失語症になったわけですが、やはり気持ちの面が大事だと思います。 会社員時代から大事にしていた言葉があります。タイ語で「マイ ペン ライ」。〝なんでもない、大丈夫!!〟という意味です。「(物事を)投げずに、めげずに、あきらめずに続けていけばきっと」という気楽な気持ちで、これからもリハビリを続けていきたいと思います。 「話す」ことは、リハビリにより失語症になる前の「話す」に近くなっている実感があります。きっと「聴く」もリハビリを続ければ、いつかは必ず「聴く」ことができると信じている思いは変わりません。 趣味の自転車を退院後も続けています 書き取りの練習の様子 なるほどWord 失語症 脳卒中等により、脳の言語中枢が損傷され、「聴く」「話す」「読む」「書く」機能に障害が生じる言語障害の一種。「何かを言っているのは聞こえるが、話を理解できない」、「言いたい言葉が出てこない」などの症状があり、その程度は個人差がある。 【本】 【DVD】今すぐ役立つ! 感染症予防 本DVDは、福祉施設等におけるノロウイルスなどの集団感染を防ぐための手順や対応を、ドラマと特殊映像で分かりやすく説明しています。日常でできる予防を解説した基礎編、感染症が発生した際の対応策を説明した対応編の2本を収録。施設の職員研修等にご活用下さい。※監修:東京都福祉保健局 ◆収録時間 基礎編:約13分30秒/対応編約13分 ◆発売日 2017.9.29 ◆定価:1,320円(本体1,200円+税10%) 災害時要援護者支援ブックレット6 『災害に強い福祉』 要配慮者支援活動事例集 本書は災害時要援護者支援ブックレットの第6巻です。「平成27年9月関東・東北豪雨」「平成28年熊本地震」などにおける要配慮者支援の実践事例の数々を紹介しています。また、都内の区市町村が取り組む災害対策の事例も掲載しています。 ◆規格 A5判/270頁 ◆発売日 2017.3.31 ◆定価:1,100円(本体1,000円+税10%) 災害時要援護者支援ブックレット7 『災害に強い福祉』 要配慮者支援活動事例集Ⅱ 東社協「災害に強い福祉」推進プロジェクトで実施したヒアリングをもとに、全国各地の要配慮者支援の実践事例をまとめた第7巻です。事業所再開や一般避難所での要配慮者支援の事例を掲載しています。 ◆規格 A5判/250頁 ◆発売日 2018.4.27 ◆定価:1,100円(本体1,000円+税10%)