【表紙】 埼玉県 滑川町 田んぼや畑でどろんこになり農作業。 畑には人を元気にする力があるんだよ。 社会福祉NOW 生徒自身の気づきを大切に 福祉施設と社協が協力する福祉教育プログラム トピックス 女性支援法が成立〜なぜ今、「女性」支援が必要なのか 東京都社会福祉協議会 婦人保護部会 【連載】防災・減災に向けた地域の取組み② 個人でも団体でも「ちょっとした会話ができる」リアルな関係づくりが大切 「防災まちあるき」(品川区)の取組み み〜つけた コーダを超え、さまざまな立場の人との関わりを大切に活動する自助グループ コーダえん 【NOW】 生徒自身の気づきを大切に福祉施設と社協が協力する福祉教育プログラム 西多摩郡日の出町では、福祉施設と社協が協力して、小中学校を対象にした福祉教育プログラムを実施しています。特に中学校を対象に行っている車いす体験講座では、多くの福祉施設職員が参加して、生徒自身の気づきを大切にした学びの時間を提供しています。 生徒3人に1人の職員が付き添う「車いす体験講座」 人口約1万6千人の日の出町には、3つの小学校と2つの中学校があります。日の出町社会福祉協議会では、福祉教育に関する学校からの相談や依頼に応じて、複数のプログラムを提案しています。中でも「車いす体験講座」の人気が高いといいます。 講座内容は、舗装路と砂利道などの未舗装路の違いを体験したり、生徒を3人一組のグループに分け、車いすで学校近辺を周回し、車いすに乗る役、押す役、見守る役を順番に体験したりするものです。その際、各グループに必ず福祉施設の職員が1人付き添うことが大きな特徴です。1学年の人数にもよりますが、毎回15~20人程度の施設職員が分野を超えて参加しています。日の出町社協の青木建治さんは、「授業で話をするだけでは深い理解につながらないので、体験や交流を通した学びを重視している」と説明します。 またこの講座では、参加する施設職員に対して次のお願いをしています。それは、(1)安全面に最大限配慮する、(2)車いすの操作方法などを先回りして教えない、(3)生徒とたくさんコミュニケーションを取って仲良くなる、の3つです。特別養護老人ホーム栄光の杜の神田裕子さんは、「私は『教えたい派』なので最初はとても不安だった。でもそこをぐっと我慢して見守っていると、最初は騒いでいた生徒たちも最後には『お互いに助け合うことが大事』と話したりするので、毎回、我慢して良かったと思う」と振り返ります。 体験や交流を通して 気づきや学びを深める 2021年10月に平井中学校の1年生と実施した際には、慣れない車いすの操作をきっかけに、生徒たちに新たな変化が生まれました。 タイヤが溝にはまって動けなくなったり、段差が乗り越えられなかったりすると、はじめは困惑していた生徒たちも次第に声を掛け合うようになります。そして、トラブルを解決するためにチームで話し合い、工夫する姿が見られるようになります。時には施設職員からヒントをもらうこともありますが、基本的には生徒たちが考え、行動しています。解決できた時には、施設職員と一緒に喜ぶ様子もあったといいます。 日の出福祉園の河野英明さんは「順番に体験するので、みんなが車いす利用者の気持ちを想像することができる。『つまづいたらどうしよう』とか『こういう押し方は怖いな』といったことは、自ら経験するからこそ実感できる」と、体験による気づきや学びの大切さを指摘します。 振り返りの時間では、施設職員が自分の受け持ったグループの良かった点を順番に発表していきます。「しっかりコミュニケーションが取れていたね」「他のチームを助けに行っていたね」等、具体例を挙げながら参加者全員で共有します。生徒にとっても、自分たちの行動を褒められることで達成感にもつながっているといいます。 ボランティアセンターの取組みを基盤に、社協と施設が連携 多くの施設職員が参加する福祉教育プログラムは18年から取り組んでいますが、基盤となっているのはボランティアセンターの活動です。10年以上前から、高齢・障害・保育・医療の各施設のボランティア担当が集まる「ボランティア運営委員会」を隔月開催し、関係を築いてきました。15年からは「ボランティア受入施設向け研修会」も定期的に開催しています。 日の出町社協では町内に福祉施設が多数あることから、施設と連携した地域づくりを意識してきたといいます。青木さんは「福祉のプロである施設のことを地域の人にもっと知ってほしい。体験講座や日の出町ハートワークフェア(※)などの機会に、施設職員の優しく面白い人柄を伝えたい」と話します。より良い交流の機会となるよう、福祉教育プログラムでは実施校の近隣施設に職員派遣要請をしています。 当初から参加している神田さんは、「関係性ができている社協からの協力依頼だったので、すぐに応じることができた」と言います。そして「福祉施設の入居者も職員も、同じ社会の一員。特に職員は施設の中だけで働くのではなく、地域の一員として外に出ていくことに意義がある」と、参加の姿勢について説明します。栄光の杜では、副施設長と現場長が中堅の介護職やリハビリ職を中心に参加者を調整しているそうです。 子どもたちが福祉に関心を持つきっかけを コロナ禍以降、施設では地域との接点が少なくなっています。子どもたちにとっても福祉に触れる機会が減っている中、車いす体験講座は施設職員との交流を通して福祉と関わる場にもなっています。 河野さんは「実際に体験することがその分野に関心を持つきっかけになるので、将来につながる取組みだと思う」と話します。日の出福祉園では福祉教育プログラムへの参加を地域貢献活動として位置づけ、業務調整をした上で、なるべく参加したことがない職員に声をかけて、送り出しています。 「職場の代表として車いす体験講座に参加することは、職員にとっても良い影響がある」と河野さんは言います。参加した職員からは、「普段の業務を離れて中学生と接する中で、初心を思い返すことができた」、「他部署や他施設の職員と交流する機会が持てて良かった」、「自分の仕事が価値あるものだと思えた」といったポジティブな感想が多数寄せられており、仕事へのモチベーションアップにもつながっているそうです。 次の展開につながる取組みに 神田さんは「講座の最後に、参加した職員全員が一列に並ぶのを見ると、日の出町には子どもたちを見守るために協力してくれる施設がこんなにたくさんあるんだ、と幸せな気持ちになる」と話します。そして、「施設同士の横のつながりもできているので、これからも協力していきたい。みんなが福祉に興味を持ってくれたら、もっと住みやすい町になる」と期待します。 今後の取組みについて、河野さんは「これまでは車いす体験を通して身体障害について伝えてきたが、これからは視覚や聴覚、精神、知的などさまざまな障害について理解を深める機会をつくりたい」と展望を語ります。 青木さんは、「交流の機会を持ったことで、今度は『福祉教育で一緒に回ってくれた職員がいる施設でボランティアをしてみたい』とか、『職員と話をしてみたい』といった次の展開が生まれる可能性がある。そういったビジョンを持って取り組んでいることを各施設にも伝えながら、一緒に福祉教育プログラムに取り組んでいきたい」と話します。 (※)2017年から日の出町で開催されているイベント。子育て・障害・高齢・医療などの各事業所が集まり、実行委員会形式で運営している。 【車いす体験講座プログラム例】 ①オリエンテーション  参加職員の紹介(氏名・仕事内容・施設の場所などを紹介) ②自走体験  舗装路と未舗装路の違いを体験 ③車いす体験(実践)  3人一組のグループに施設職員1人が付き添い、学校周辺を周回 ④車いすの清掃  グループごとに使用した車いすを清掃 ⑤振り返り  付き添った職員から担当グループの良かった点や感想を共有 左から (社福)同愛会 日の出福祉園 支援主任 河野英明さん (社福)ほうえい会 特別養護老人ホーム栄光の杜 生活相談員 神田裕子さん (社福)日の出町社会福祉協議会 福祉推進課 地域福祉係長 青木建治さん 職員は生徒たちを見守りながら、安全面の確保を行う 坂道を下る際は、後ろ向きで慎重に進む。他のグループを確認する姿も見られる 振り返りの様子。職員が1人ずつ、生徒たちの良かった点を伝えていく 【トピックス1】 女性支援法が成立〜なぜ今、「女性」支援が必要なのか ▼ 東京都社会福祉協議会 婦人保護部会 全国に47ある婦人保護施設は、経済的困窮、DVや性暴力被害などさまざまな背景や問題を抱える女性に、生活支援を含む幅広い支援を行っています。都内には5施設あり、東社協婦人保護部会(以下、部会)として活動しています。 1956年に制定された売春防止法を設置根拠に、「売春をした、あるいは売春をするおそれのある女性(要保護女子)の保護更生、収容のための施設」と定められ、これまで抜本的な改正がないまま今日をむかえていました。支援現場からは、現制度での限界や「人権視点の欠如」等の問題が指摘され、法改正や新法を求める声が早期よりあがっていました。   2022年5月、法制定から66年を経て、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」(以下、女性支援法)が成立しました。人権の尊重や多様な支援の提供等が新たに理念として明示され、婦人保護施設は女性自立支援施設に変わります。24年施行に向け、まさに女性支援は過渡期にあります。 女性を取り巻く環境の変化 部会施設に残る記録では、法制定当時の利用者の多くは、戦争で家族や財産を失い、困窮から性売(※1)せざるを得ない女性でした。現在の利用背景は、貧困、困窮からの性売のほか、DVや性暴力被害等が挙げられます。 副部会長の熊田栄一さんは、「70年近く経過しても、利用背景や課題は共通している。ただ、女性を取り巻く環境は大きく変化した」と話します。スマホ一つでつながりを感じられ、身を寄せることのできる場は増加しています。一見、家庭からは逃げやすい環境になりましたが、その先でまた傷つきを重ねるリスクは非常に高まっているといえます。 「回復」から始まる自立 都内施設では、利用者の80%以上が暴力被害経験者であり、30%以上の成年利用者は強制売春等の性暴力を経験しています。また、95%が何らかの疾患を抱えて通院し、精神疾患がその30%を占めています(※2)。 「利用者はこれまでの経験によりエネルギーを失っている。まずは失われたものを回復する支援が重要。自立は『回復』から始まる」と部会長の熊谷真弓さんは、女性支援の最優先に利用者の「回復」を挙げます。 今後、女性自立支援施設として、困難な問題を抱える女性一人ひとりを受け止め、最適な支援を提供していくことが求められます。そのために、職員全員が経験や研修を重ね、力をつけていく必要があります。また、利用者に適した専門的・継続的な支援には、売春防止法による「保護更生」を目的とした現在の施設のハード面や職員配置等の抜本的見直しが求められます。 部会を超え、女性支援を考える 「婦人保護施設5施設だから」を部会の合言葉に、現行制度やしくみに問題意識を抱き、提言活動や外部発信等、全国婦人保護施設の中心的な存在として多方面に活動を展開してきました。「これからの女性支援においてまさに求められることは『連携』。女性支援の味方が広く必要」と熊谷さんは、周囲を巻き込む必要性を強調します。 そのためには、東京都女性相談センターと区市町村婦人相談員との連携の強化や、新法でも言及されている民間団体との協働も不可欠といえます。また、児童養護施設等の他の種別の施設を経る利用者も多いため、東社協児童・女性福祉連絡会(※3)の場を活かし、施設の種別を超えて、女性支援について共に考えることが一層重要になってきます。 なぜ今「女性」支援なのか 「売春防止法から半世紀以上経った今、なぜ女性支援の新法なのか。『女性』支援が今必要なのか。職員に問いかけている」と熊田さんは話します。日本のジェンダーギャップ指数はG7では最下位と、ジェンダー平等への取組みは後れています。とりわけ経済分野は顕著で、同一労働下の賃金格差や収入格差、そして雇用格差があります。コロナの影響を受けた失職者の多くは、販売やサービス業等の非正規雇用の女性です。厚生労働省によれば、21年の女性の自殺者数は7068人と20年から高止まりしており、コロナ禍で窮状や家庭内暴力等の課題を抱えたままの女性が増加しているといえます。 24年施行まであと1年半。国が基本方針を定め、都道府県は基本計画を策定することになります。部会はこの間、施設の支援力向上や関係機関との連携強化とともに、何より「なぜ『女性』に向けた支援が今必要なのか」を広く社会に発信し続けていきます。 (※1)婦人保護部会では「売春」という言葉は使わず、あえて「性売」という造語で表現している。 (※2)部会調査研究委員会「婦人保護施設実態調査報告書2016・2017・2018年度」 (※3)児童養護施設や母子生活支援施設等の子ども・女性に関連する部会で構成される連絡会 新法施行に向け、今年も区市婦人相談員・女性相談 センターと共に意見交換会を11月に開催 これまで冊子やイベントを通じて、女性支援の必要性を発信 【マンスリー】2022.8.26 - 9.25 9/1 東京都医療的ケア児支援センターを 開設 東京都は、人工呼吸器による呼吸管理や、たんの吸引等の医療的ケアが日常的に必要な子ども(医療的ケア児)やその家族が、子どもの心身の状況に応じた適切な支援を受けられるようにするため、「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」に基づき、区部と多摩地域にそれぞれ1か所ずつ、東京都医療的ケア児支援センターを開設。 相談受付時間:月曜日~金曜日、午前9時~午後5時(祝日・年末年始を除く) 9/6 「広域避難先施設・開設運営マニュアル(暫定ひな型)」を公表 広域避難先の開設・運営方法や広域避難先への避難手段の確保・避難誘導等に関する検討を行っていた内閣府と東京都は、「広域避難先施設・開設運営マニュアル(暫定ひな型)」を公表した。施設規模や周辺環境等によって開設運営方法は異なるため、今後このひな型を基に個別にマニュアルを作成していく必要がある。 9/9 令和3年度児童虐待の相談対応件数は過去最多 令和3年度児童虐待の相談対応件数は20万7,659件で、前年度から2,615件の増加で、過去最多となったことが、厚生労働省のまとめから明らかになった。心理的虐待に係る相談対応件数は12万4,722件で、全体の6割を占めている。次いで、身体的虐待の割合が多い。 9/16 「令和4年度版厚生労働白書」を公表 厚生労働省は、「令和4年度版厚生労働白書」を公表した。2部構成で、その年ごとにテーマを設定している第1部では、「社会保障を支える人材の確保」と題し、現役世代が急減していく人口構造をふまえ、医療・福祉サービスの提供のあり方や人材確保に関する今後の対応の方向性を提示している。 【連載】防災・減災に向けた地域の取組み2 今号では「つながりをつくる」という視点から、9月3日に東京都総合防災訓練の一環として品川区で行われた防災まちあるきの取組みを伝えます。 個人でも団体でも「ちょっとした会話ができる」リアルな関係づくりが大切 「防災まちあるき」(品川区)の取組み 防災まちあるき実施の背景 東京ボランティア・市民活動センターでは、平時にさまざまな団体の連携・協働のネットワークづくりをすすめる「東京都災害ボランティアセンターアクションプラン推進会議」(※1)(以下、アクションプラン推進会議)を2014年に設置し、多様な取組みを行っています。東京都総合防災訓練にあわせ、17年からはプログラムの一つとして開催地域で防災まちあるきを企画、実施しています。 今年は都の訓練実施地域が品川区となったことから、区市町村社協の城南ブロック(品川区、目黒区、渋谷区、世田谷区、大田区)内の社協・ボランティアセンターやNPO、NGO、市民団体等約15の団体とアクションプラン推進会議が共同でプロジェクトチームを結成し、実施しました。 訓練開催区の品川区社会福祉協議会品川ボランティアセンターの岡田竜一さんとプロジェクトチームの一員である国内外で災害支援を行っている認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(以下、PWJ)の橋本笙子さんにお話を伺いました。 舞台となった品川区の概要 品川区の人口は約40万人です。区内には昔ながらの住宅密集地からオフィスビルや高層マンションが立ち並ぶ地域まで、多様です。災害時には区内を走る川を使って、船で物資搬送することも想定されています。 東京で大震災(震度6弱以上)が発生した場合、環状七号線の内側方向へ向かう車両は人命救助等のための車両を除き通行禁止となります。その内側にある品川区は、支援の手が届くのが遅くなることが予想されています。そのため品川ボランティアセンターでは、災害支援団体を講師として招き、年に1回災害ボランティア講座を開催するなど、地域での助け合いの意識を醸成しています。 防災まちあるきの概要と工夫 今回の防災まちあるきは、武蔵小山駅周辺で行われました。指定避難所や神社、福祉避難所となる特別養護老人ホームなどを通常15~20分のところを90分かけてまわるコースです。北コースと南コースを設定し、参加者は各コース10人ずつに分かれて参加しました。コロナ禍でもあるため、防災まちあるきに参加する人数を絞りました。代わりにZoomを活用し、スタジオでプロジェクトメンバーによる被害想定や防災•減災情報の紹介と防災まちあるきの様子の中継を行いました。当日は運営スタッフを含め、全体で76人の参加がありました。 防災まちあるきの参加者は、品川区の住民をはじめ、ベビーカーを押して参加した親子、聴覚障害者、外国人など多様な方でした。「プロジェクトチームに参加する団体と日頃つながりがある城南地域の住民や災害時に要配慮者となり得る人を中心に声をかけた」と岡田さんは話します。 当日、スタッフはコースをまわる中で、参加者に地域の強みを紹介するようにしました。「課題ばかり見つかると嫌な気持ちになる。せっかくマンホールトイレや炊き出しができるベンチなどがあるのに、地域住民が知らなければ宝の持ち腐れとなってしまう。新たな気づきが得られるようにした」と橋本さんは話します。実際、参加者からは「こんなところに消火栓があったんだ」など、新しい発見や気づきの声が多く聞かれました。 参加団体のつながりづくり これまで城南ブロック内のボランティアセンターでは、年2回会議を行っていました。しかし、情報交換のみで合同イベントの企画等を行うまでには至っていませんでした。 岡田さんは「今回、東京都総合防災訓練が品川区で行われ、アクションプラン推進会議からも防災まちあるきの提案があり、『顔の見える関係づくり』を目的に実施した」と話します。橋本さんは「PWJは渋谷区に東京事務所がありながら首都圏の地域とのつながりがこれまで薄かった。現在、組織として地域防災に力を入れており、今回参加した」と経緯を話します。 今回の防災まちあるきの企画の打ち合わせを通してはもちろん、毎月の打ち合わせの会場を持ち回りにする等、参加団体が協力し合いました。その結果、互いの強みや人となりが見えてきました。「ボランティアセンター以外の社協職員に参加してもらったことで、社協内部で発災時の連携の意識づけができた」、「PWJを関係団体に知ってもらうことができた」といった効果もありました。 一方で、つながりづくりを難しくしている状況もあります。例えば、コロナ禍でオンラインを活用せざるを得ない状況や、プライバシーや個人情報保護を重視する点です。これに対し、橋本さんは「例えば、平時から防災まちあるきを行うことで『この団体はこういう強みがある』ことが分かる。リアルにコミュニケーションを取ることで本当の意味での関係づくりができる。防災のためだけではない関係づくりが大切」と言います。 防災まちあるきを行うまで品川ボランティアセンターとPWJは接点がありませんでした。しかし、今回顔の見える関係になったことで、防災ボランティア講座を合同で行う企画が新たに立ち上がりました。 また、参加できなかった青年会議所から防災まちあるきの別途開催を希望する声があり、区内の別地区での実施も検討しています。岡田さんは「ボランティアセンターや災害ごみ等の対応が隣接する区で異なる『区境』の問題も予想される。それをなくすためにも区内だけでなく、区をまたいだ連携も行っていきたい」と展望を語ります。 (写真右)品川ボランティアセンター 室長 岡田竜一さん (写真左)ピースウィンズ・ジャパン 国内事業部次長 橋本笙子さん オンライン配信のスタジオの様子 防災まちあるきの様子 (※1) アクションプラン推進会議の 概要はこちらから 【み〜つけた】 コーダを超え、さまざまな立場の人との関わりを大切に活動する自助グループ コーダえんとは コーダえんは、2020年に設立されたコーダの自助グループです。コーダとは、聴覚障害者の親を持つ聞こえる子どもを指す言葉で、CODA: Children of Deaf Adultsの略です。 自身もコーダであり、団体を運営する村下初海さんと馬場美和子さんは、精神障害者の親を持つ子どもの立場の方との交流がきっかけとなり団体を設立しました。コーダだけでなく、さまざまな理由で家族のサポートをしてきた人とのつながりの中で共感や気づきを得られることを実感したからです。 その気づきや学びから、過去の傷つきや悩みを振り返ったり、ネガティブな思いも含めたありのままの気持ちを言葉にしたりする場が必要だと思い、コーダえんを立ち上げたといいます。 悩みや心のわだかまりを少しずつ消化する 当初はコーダを対象に活動していましたが、現在はコーダのほか、関心のある方も参加できます。 現在、主にオンラインを活用し、2つの活動を行っています。 一つ目は、テーマに応じた専門家を招き、講義形式で学ぶ場です。村下さんは「悩みを吐き出しても、消化できないことはある。そんな悩みを消化する道筋の一つになれば」と、学ぶことのねらいを語ります。 直近では、これまで繰り返し語られてきたコーダの悩みに着目し、その悩みが生まれる理由を考える連続講座を行いました。例えば、コーダは、親をサポートする機会が多いために、手助けという意識を超えて、常に親のことを気にかけたり、親と自分を重ねて考えたりしてしまうことが少なくないといいます。その状況について「子どもの発達」という視点から学び、考える講座を行いました。こうした学びの機会によって知識を得ることは、言語化できない悩みや心のわだかまりを整理する助けとなっています。馬場さんは「これまで親のサポートをすることが美談として済まされてしまう傾向があることを受け入れられなかった自分がいた。その気持ちもまた自然なことだと知り、心が軽くなった」と話します。参加者からも「自分の生きづらさの原因が少し分かった」、「子どもの時に知りたかった。親にも知ってほしい」という声があったといいます。 二つ目は、語りの場である「ゆったり時間」です。臨床美術を取り入れた表現活動や、コーダ、ヤングケアラーとしての悩みだけではない他愛ない話題など、その時のメンバーに合わせた内容で行っています。村下さんは「活動を重ね、『コーダの私』ではなく、『私』を真ん中に置いて考えていこうと思うようになった」と言い、「コーダであることに囚われすぎないよう、息抜きのための場としてありたい」と話します。 さまざまな自助グループの一つの選択肢としてありたい 村下さんは「知識を得て、『コーダだから』ではなく、育った環境が要因となって生じる悩みもあると改めて感じた。ヤングケアラーやきょうだい児など多様な『子どもの立場』の方々や団体ともつながり、コーダだけでない視点や知識を得るとともに、自分のことを掘り下げる機会につなげたい」と、展望を語ります。 馬場さんは「コーダと一言で言っても、人によって状況はさまざま。どんな状況の人でも、気持ちを話せたり悩みを消化できたりする場が必要であり、いろいろな形の自助グループの一つの選択肢としてありたい」と今後を話します。 コーダえん 人と人とのつながりと、心の安心と豊かさの回復をめざす、語らいと学びの場を運営するコーダの自助グループ。 学ぶ場は、年3、4回開催。 「ゆったり時間」は年3回開催。次回の開催は、12月17日。 https://20codaen.amebaownd.com 過去の「ゆったり時間」のチラシ 【東社協発】 10月1日より赤い羽根共同募金が始まりました 今年も10月1日から赤い羽根共同募金運動が始まりました。共同募金にお寄せいただいたご寄附金は、民間の社会福祉施設、地域のボランティアグループ、NPO団体、社会福祉協議会などが行うさまざまな社会福祉活動、特にコロナ禍で顕在化した福祉課題への支援活動にも役立てられます。赤い羽根共同募金運動にご理解とご協力をよろしくお願い申し上げます。 共同募金運動期間 10月1日~令和5年3月31日 *東京都共同募金会ホームページ https://www.tokyo-akaihane.or.jp/ 災害協働サポート東京設立総会を開催しました 東京ボランティア・市民活動センター(TVAC)では、首都直下地震等の大規模災害に備え、多様な団体との連携・協働をすすめるべく、新団体「災害協働サポート東京」の設立を各種団体とすすめてきました。 この度、8月17日、中野区の東京都生活協同組合連合会にて設立総会が開催されました。ハイブリッド形式にて開催し、オブザーバーを含め123名の参加がありました。 災害協働サポート東京は、災害発生時にはTVACと協働で東京都災害ボランティアセンターを運営し、平時には、都内の社会福祉協議会や各種民間団体との連携・協働による防災・減災の取組みをすすめていきます。 今後、10月1日の事業開始をめざし、一般社団法人格を取得予定です。ぜひ、東社協会員の皆さまとも一緒に取組みをすすめてまいりたいと考えています。お気軽にTVACまでご連絡ください。 問合せ:TVAC災害担当 TEL 03(3235)1171  ■災害協働サポート東京設立時正会員  ADRA Japan  ジャパン・プラットフォーム  シャンティ国際ボランティア会  全国災害ボランティア支援団体ネットワーク  東京災害ボランティアネットワーク  東京都生活協同組合連合会  東京都社会福祉協議会  ピースボート災害支援センター連合東京 【寄附のカタチ】東京善意銀行への寄附をご紹介します。(不定期掲載) 三菱商事株式会社による社会貢献活動 三菱商事株式会社は、長年にわたり幅広い分野の社会貢献活動に積極的に取り組まれています。東京善意銀行には、美術館や博物館のチケットを多数ご寄附いただき、福祉施設利用者が楽しんでいます。また、館内を貸切り、障害のある方にゆったりと展覧会を鑑賞いただく「特別鑑賞会」や、ひとり親家庭をキャンプに招待する「母と子の自然教室」等では、社員がボランティアとして参加し運営を担うなど、主体的にボランティア活動に取り組む体制づくりをされています。 国立新美術館「ブダペスト国立西洋美術館 & ハンガリー・ナショナル・ギャラリー所蔵 ブダペスト―ヨーロッパとハンガリーの美術400年」(2019-2020) 東社協東京善意銀行では、社会福祉施設等への寄附のご相談を承っております。 ●千代田区神田駿河台1-8-11 東京YWCA会館3階  ☎03-5283-6890  zen-i@tcsw.tvac.or.jp  ホームページ https://www.tcsw.tvac.or.jp/zengin  いただいた寄附や福祉施設等への配分についてTwitterで発信しています。 【おしごと通信】 時には立ち止まり、 自分自身を振り返る時間を大切にする 未経験だった福祉の仕事に挑戦し、現在は支援課長を務める落合アシアさんに、 仕事の魅力や日々大切にしていることをお聞きしました。 大変な気持ちよりも 興味が大きくなっていった 私は1989年にサモアから来日しました。日本で結婚し、出産や子育てを経験してきました。子どもが小学生になると、保護者会や授業参観などで学校に行く機会が増え、日本語がきちんと理解できないと学校での子どもの様子が分からず、とても困りました。そこで、働きながら日本語を学びたいと思い、未経験で福祉業界に飛び込みました。その職場が日の出舎です。日の出舎は、生活介護事業や施設入所支援事業、短期入所支援事業などを行う障害者支援施設です。 最初は、非常勤職員として利用者の皆さんのサポートをしていました。先輩職員の動きを見て学んだり、相談をたくさんしたりするようにしていました。しかし、やはり言葉の壁は大きく、当初は1週間で退職しようと思っていました。しかし、現在まで辞めずに働けているのは一人の利用者の方のおかげです。 当時、その方とは日本語と英語を教え合う約束をしていました。辞めようと考えた時に、英語を教えてあげられないことを謝ると、「どうして? アシアさんに教えてほしいのに」と言われました。この言葉を受けて、その方の様子を気にしながら、その後も仕事を続けていくうちに、支援方法や利用者の言動、ご家族との関係など、さまざまなことに興味を持つようになりました。知りたいことがたくさん出てきて、気がついたら何か月も経っていました。 利用者の状況や変化、記録の仕方など、気になることは周りの職員に聞くように心がけました。分からない言葉は休憩中に教えてもらい、さらに自分の宿題として家に持ち帰って調べ、覚えた言葉をなるべく使うようにしました。 仕事をする上で大切だと思うこと 2015年からは常勤職員に、19年からは支援課長という立場になりました。先輩職員に支えられてここまで続けてこられました。現在の主な業務は、サービスの利用に関する手続きなどの事務作業と、職員が働きやすい環境づくりです。利用者を支援する現場の職員が足りない時にはサポートに入ることもあります。 私は、福祉施設の職員として仕事をする上で大切なのは、自分自身を振り返ることだと考えています。例えば、職員同士の関係性が上手くいかない時、自分の行動や考えを振り返ることができていないと、「次はこうしてみたら?」と言われても「いや、でも……」と、周りの意見を受け入れられなくなると思います。アドバイスをされたことが面白くないと感じて、感情的になってしまう人もいます。利用者支援の場面にも言えることで、利用者と接する時に余裕がなくなり、自分のアンガーマネジメントができず、関係が悪化してしまう可能性があります。 しかし、一度立ち止まって冷静に自分自身を振り返ることで、他の人の意見も「こういう考え方もある」と、捉えられるようになると思います。支援の場面では、目の前の利用者が興奮状態になった場合でも落ち着いて適切な対応をすることができるようになります。 もう一つ大切なことは、利用者の皆さんに信頼され続けることです。自分の仕事に誇りを持ち、利用者が安心して支援を受けられるように接することが福祉施設で働く職員として当たり前のことだと思っています。 一人の人としても成長できる仕事 日の出舎で働いてから、家族に「プラス思考に変わった」と言われたことがありました。その通りだと自分でも思っています。目の前の物事に素直に向き合えるようになり、自分の考え方が変わりました。そして周りの人に対して抱く思いも優しいものに変わったと感じています。福祉の仕事は、自分自身のことも磨ける素敵な仕事です。 落合アシアさん Ashia Ochiai 社会福祉法人泉会日の出舎支援課長 【アンテナ】9月30日(金)時点の情報です。詳細は各団体にお問合わせください。この他にも東社協ホームページに各種情報を掲載しています。 東社協ホームページ「各種福祉情報の提供」 https://www.tcsw.tvac.or.jp/about/keyword/kakushu.html 助成金 令和5年度キリン福祉財団助成金 (1)「キリン・地域のちから応援事業」 地域における障害児(者)・高齢者・子どもなどの福祉向上に関わる幅広いボランティア活動を実施する、4名以上のメンバーで、連絡責任者が令和5年4月1日時点で満18歳以上である団体・グループ 上限30万円 (2)「キリン・福祉のちから開拓事業」 障害者福祉、高齢者福祉、児童・青少年健全育成、地域社会福祉分野等のボランティア活動を全国や広域にまたがり実施しているまたは活動しようと考えている、10名以上のメンバーで、連絡責任者が令和5年4月1日時点で満18歳以上である団体・グループ 上限100万円 (1)(2)共通 10月31日(月)消印有効 所定の申請書類に必要事項を記入し郵送 (公財)キリン福祉財団事務局(北村・太田) 〒164-0001中野区中野4-10-2中野セントラルパークサウス 03-6837-7013 fukushizaidan@kirin.co.jp https://foundation.kirinholdings.com 「発達障害」とともに生きる 豊かな地域生活応援助成 10月31日(月) 「発達障害」(当事者およびその家族等)に対し国内で支援活動を行っている法人または団体、あるいは2023年4月から同様の活動を始める法人または団体 上限100万円 所定の申請書類に必要事項を記入し郵送 (社福)朝日新聞厚生文化事業団 「発達障害」助成金事務局 〒112-0014 文京区関口1-23-6プラザ江戸川橋310 090-4344-6613 onlyone@asahi-welfare.or.jp https://www.asahi-welfare.or.jp/archives/ 14692140 ホース未来福祉財団 障害者福祉助成金 11月30日(水)消印有効 次の事業・活動に対する助成(1)障害者の自立および社会参加に関わる活動(2)障害者によるまたは障害者を対象とするスポーツ・研究・出版等の文化事業(3)障害者を対象とするボランティア活動 東京都内で行われており、2023年4月から2024年3月末までに完了するものなど、その他応募要件あり。団体・個人・法人格の有無は問わない 最大40万円 所定の申請書類に必要事項を記入し郵送 (公財)ホース未来福祉財団 事務局 〒145-0066 大田区南雪谷2-17-8 03-3720-5800 info@horse-fw.or.jp https://horse-fw.or.jp 2023年度ヤマト福祉財団助成金 (1)障がい者給料増額支援助成金 就労継続A・B型事業所、生活介護事業所、地域活動センターのうち、月額平均給料を一人あたり15,776円以上(就労継続A型事業所は79,625円以上)支給している事業所 50万円~上限500万円 (2)障がい者福祉助成金 会議・講演会やボランティア活動、スポーツ活動、文化活動、調査・研究・出版など、障がいのある方の幸せにつながる事業・活動 上限100万円 (1)(2)共通 11月30日(水)消印有効 所定の申請書類に必要事項を記入し郵送 (公財)ヤマト福祉財団助成金 事務局 〒104-8125 中央区銀座2-16-10 03-3248-0691 https://www.yamato-fukushi.jp 講座・シンポジウム 2022年度第10回国内研修事業 10月11日(火)~11月17日(木)消印有効 AP市ヶ谷 社会福祉法人・NPO法人に所属し、障害福祉サービスに従事している方。実務経験3年以上、上限年齢は40歳程度の方 24名程度 2023年2月18日(土)~19日(日)の1泊2日で、障害理解、権利擁護などを学ぶ宿泊型研修を実施 無料 所定の申請書類に必要事項を記入し郵送 (社福)清水基金 〒103-0027 中央区日本橋3-12-2朝日ビルヂング3F 03-3273-3503 https://www.shimizu-kikin.or.jp/about_business/domestic 第47回医療・福祉フォーラム 『認知症対策と地域包括ケアシステム』 11月1日(火)13時~17時(開場:12時30分) 日本赤十字社 2階大会議室 10,000円※テキスト代等含む 「介護保険制度の現状と課題」をテーマにした大西証史氏による基調講演、「地域包括ケアシステムの深化と認知症対策」についてのシンポジウム 電話、メール、FAX フォーラム事務局(北隆館) 03-5720-1161 03-5720-1166 care@hokuryukan-ns.co.jp http://hokuryukan-ns.co.jp 【資料ガイド】 会議資料 第2回障害児通所支援に関する検討会 資料(厚生労働省/8月) 成年後見制度利用促進専門家会議 第1回地域連携ネットワーク ワーキンググループ 資料(厚生労働省/9月) 第122回労働政策審議会障害者雇用分科会(資料)(厚生労働省/9月) 令和4年度全国児童福祉主管課長・児童相談所長会議資料(厚生労働省/9月) 第20回 社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料)(厚生労働省/9月) 第97回社会保障審議会介護保険部会(資料)(厚生労働省/9月) 第52回社会保障審議会児童部会(資料)(厚生労働省/9月) 第47回社会保障審議会生活保護基準部会(資料)(厚生労働省/9月) 調査結果 令和2年度介護保険事業状況報告(年報)(厚生労働省/8月) 令和3年雇用動向調査結果の概況(厚生労働省/8月) 令和3年度障害児施設におけるソーシャルスキルトレーニング実態調査 報告書(都福祉保健局/9月) 令和3年度使用者による障害者虐待の状況等(厚生労働省/9月) 2021年 国民生活基礎調査の概況(厚生労働省/9月) その他 リーフレット「東京仮住まい」(多言語版)(都住宅政策本部/8月) 地域での生活を支える児童福祉施設等による子ども・子育て家庭支援の推進に関する検討委員会 報告書(全国社会福協議会/9月) 2022社会福祉の手引き(都福祉保健局/9月) 【くらし】 子どもたちの未来に影響を与えられるようなサポートがしたい 小学生から高校生、成人している学生まで幅広い層を対象とした無料学習会(認定NPO法人キッズドアが運営)でアルバイトとして活躍するお茶の水女子大学4年生の小島理彩さんに、お話を伺いました。 スクールカウンセラーの存在が私の原動力 私の原点は、中学生時代の経験にあります。それは、家族や友人関係のことでスクールカウンセラーに相談したことです。話を聞いてもらっただけで悩んでいた気持ちが楽になり、「私も子どもたちの心を癒す存在になりたい」と憧れを抱きました。子どもに関わる仕事に就きたいと、大学では心理学を専攻し、将来は心理士になりたいと思っていました。 新型コロナが広がる前、ダンスサークルに所属しながら、民間学童や母子生活支援施設内の学童施設で保育のアルバイトをしました。 キッズドアで学習支援の出会い 子どもたちの学習のサポートができる学習支援に興味を持っていたので、次は学習支援のアルバイトをしようと思いました。 「学校」は子どもたちにとって日常生活の大部分を占めています。「勉強ができない」ことで劣等感を持ち、人生にマイナスの影響を及ぼしてほしくないと思ったからです。インターネットで検索し、「キッズドア」を知りました。 2021年から小中学生を対象にした学習会で、地域の子どもたちに勉強を教えています。また、22年3月からは高校生世代にも勉強を教えています。 生徒に合わせた対応をすることの難しさ 生徒によって学習意欲は異なり、大学合格をめざして毎日来る生徒もいれば、1、2か月に1回しか来ない生徒もいます。生徒一人ひとりに合わせた対応をしています。 学習会は、20代の生徒も多く、一人の人としての考えや意思があるので、どこまで踏み込んでいいのか分からず難しさを感じますが、自分を飾らず相手を尊重して、意見や考え方を聞き、できるだけ冷静に対応することを心掛けています。生徒との関係性を築けるよう雑談を交えながら指導をしています。 10代の生徒は、学校の悩みを打ち明けてくれたり、複雑な家庭の事情や辛い思いを話してくれた時には、「信頼してくれたのかな」と嬉しく感じます。どんな事情があっても将来に向かって頑張っている子どもたちの姿勢に、私自身が勇気づけられています。 学習支援の活動に関わって 私にとって、キッズドアの学習会は、とてもポジティブな場所です。 生徒や職員、学生アルバイトとの会話の中で経験や知識が深まり、日々勉強させてもらっています。その中でも特に子どもたちと関わるのは本当に楽しく、笑顔が見れたときや楽しそうに話してくれたとき、「学習支援に関わることができて良かった」と改めて実感します。 自分の夢をかなえるために 学習会に来てくれる子どもたちがいるのは嬉しい半面、必要としているのに支援の手が届かず、生活面や学習面で困っている子どもたちがいることに心を痛めています。子ども食堂のように、どんな境遇でも気軽に立ち寄れる居場所や学習会が地域にもっと増えればいいなと思っています。 今後は、大学を卒業後、心理士ではなく、社会福祉系の大学に編入して社会福祉士をめざすつもりです。福祉の知識を身に付けて、子どもたちの生活に密に関わりながら働きたいと思っています。 認定NPO法人キッズドアでは、子どもたちに学習支援や居場所支援を提供しています。 今回、高校の中退防止や進学をめざす生徒への支援をしている都内東部の学習会を取材しました。 【本】 チームで取り組む地域共生社会づくり ~民生児童委員・社会福祉法人・社会福祉協議会の3者連携による5つの実践事例集~ 東京都社会福祉協議会 地域福祉推進委員会では、2018年3月に、民生児童委員・社会福祉法人・社会福祉協議会の地域福祉コーディネーター等の3者が核となり、地域の多様な主体と連携を図りながら地域共生社会づくりをすすめる「東京モデル」を提起しています。 本ブックレットでは、その3者がつながり、地域で実施されている5つの事例を紹介しています。 ◆規格 A5判/40頁 ◆発売日 2022.04.18 ◆定価 495円(本体450円+税10%) 地域のニーズにこたえる・2 ~社会福祉法人の地域ネットワークによる 地域公益活動 取組み事例集~ 本事例集では、東京都地域公益活動推進協議会ですすめる3層の取組みのうち、「区市町村域の連携」による14区市の事例を掲載しています。 ◆規格 A4判/82頁 ◆発売日 2020.07.31 ◆定価 770円(本体700円+税10%) 生きづらさや孤立を包摂するための 7つの実践事例集 本事例集は、地域福祉推進検討ワーキング報告書「東京らしい包摂・共生型の地域共生社会づくりをめざして」の資料編を再編集しています。 ◆規格 A4判/36頁 ◆発売日 2021.07.02 ◆定価 935円(本体850円+税10%)