【表紙】 メジロックの アート制作に取り組む渡辺 慈さん キャンバスにこころを写し込む 筆先に没頭し描かれたアートは 小さなアトリエから大きく羽ばたいた 社会福祉NOW 生きづらさを抱えている人に寄り添い、応援する〜社会参加型の就労体験を通して トピックス アートを通じて自分らしさを表現し、他者や地域、社会とつながっていく 社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会  豊島区立目白生活実習所・目白福祉作業所 【連載】防災・減災に向けた地域の取組み④ 防災・減災を切り口に地域のつながりをつくる 日常的な活動の積み重ね=プロセスを重視した取組み(日野市) 福祉のおしごと通信 法人の理念を自分の言葉と行動で後輩たちに伝えられる職員でいたい 社会福祉法人救世軍社会事業団 救世軍機恵子寮 生活支援スタッフ 鈴木晃平さん 【NOW】 生きづらさを抱えている人に寄り添い、応援する~社会参加型の就労体験を通して 日本全国のひきこもり状態にある方は、満15~39歳で54.1万人、満40~64歳で61.3万人(※)と推計されています。ひきこもり状態にある方を含め、地域にはさまざまな生きづらさを抱えている人が多くいます。 今号では、社会参加型の就労体験を通して、ひきこもり状態にある方や障害のある方を応援する取組みを小平市内で展開する「JOY!JOB KODAIRA」を紹介します。 (※)内閣府は、平成27年度に満15~39歳を対象に、平成30年度には満40~64歳までを対象に調査を実施。 さまざまな人の思いが重なり合って始動したプロジェクト JOY!JOB KODAIRAは、「社会に一歩踏み出したい」という思いを持っているひきこもり状態にある方や障害のある方を応援するプロジェクトです。小平市内の福祉施設や企業、農家、飲食店などが社会参加や就労体験の機会を提供しています。体験を通して、参加者は決められた時間に合わせて行動することや作業時間中のコミュニケーションをイメージすることができます。新たな自分の発見や、自信を持つきっかけとなることをめざしています。 この活動は、外壁修繕工事を行う施行会社の株式会社明誠代表取締役の本間幸紘さんの思いから始まりました。本間さんは、身近にひきこもり状態の方がいた時期があり、当時は「このまま解決しないのではないか。自分たちだけでの解決は難しい」と感じていました。そして「同じように悩みを抱えている人たちの力になりたいと考えるようになった」と言います。 つながりのあったHighBridge株式会社取締役の中村麻紀子さんと共に、2021年度から就労準備支援事業を受託している小平市社会福祉協議会こだいら生活相談支援センター(以下、センター)地域福祉コーディネーター(CSW)の上原哲子さんに相談をしました。中村さんは長年福祉業界で働いてきた経験もあり、「本間さんの気持ちに共感できた。全国的にも課題だと思うし、小平の地域から取り組めたら良いと思った」と話します。 同じ頃、上原さんの元には国立精神・神経医療研究センター病院(以下、NCNP)で医療ソーシャルワーカーとして働く間所博子さんからも相談がありました。間所さんは精神疾患を抱える方々へのアウトリーチを担当し、本人の希望を受け止め、さまざまな方向から地域生活を支えるNCNP訪問看護ステーションで訪問活動をしています。「患者の中には就労を希望する方も多いが、それを実現できる場が少ない。患者の思いや希望を受け止め、どうしたらそれらを実現できるのかを模索する中、センターへの相談に至った」と、間所さんは振り返ります。 上原さんは21年春頃に、センターと本間さんら3人との話し合いの場を設けました。思いや今後の方向性を共有した上で、それぞれのつながりから受入れ先を増やし、この活動が始動しました。受入れ先の一つの介護老人保健施設のプラチナ・ヴィラ小平事務長の鯨井進さんは「地域に貢献する活動としてさまざまな受入れをしてきた。ほかにも協力できるものがあれば参加したいと思っていた」と言います。 センターでも、ひきこもり状態にある方や精神疾患のある方から社会と関わる活動がしたいという相談が増えており、上原さんは「それぞれが取り組んでいたことや持っていた思いが重なり合い、1つになっていったと感じた」と話します。話し合いは定例会として続け、21年度は月に1回、22年度は2~3か月に1回程度、負担のない受入れなどについて確認しています。 丁寧なサポートによる体験を通して、自信と新たな発見を得る センターの相談者やNCNPの訪問看護を利用する患者のうち、障害者雇用等での就労が難しいなど、制度の「狭間」にいる方で、「就労や社会参加がしたい」という希望者に体験の説明をし、受入れ先の企業などとつなぎます。その方のできることや興味関心などをヒアリングし、受入れ先での作業との調整を行い、実際に体験が始まります。 現在の受入れ先は小平市内の福祉施設や飲食店など6か所です。農業を営んでいる川里園では野菜の苗植えや収穫を、プラチナ・ヴィラ小平では外構の草むしりなどの体験ができます。21年12月に初回体験が行われ、22年10月末までの体験回数は延べ30回にのぼります。 体験時には、センターやNCNPの訪問看護職員が同行します。上原さんは「サポートがあれば体験ができる方の機会を奪いたくない。丁寧に応援をしたい」と話します。週に何時間以上などの体験の条件や受入れ回数の決まりは設けていません。間所さんは「相談者や患者の状況はそれぞれ異なるため、受入れ先がバラエティに富んでいることはありがたい」と言います。 体験後は、体験者の感想や受入れ先のメッセージを双方に必ず伝え、体験にどのような意味があったのかを確認できるようにしています。 体験をしたことで企業での就労につながった方もいます。22年9月頃から事務職として1人を雇用している中村さんは「コミュニケーションに苦手意識のある方の中には察することなどが難しい方が多いと思う。しかし、その方が職場にいてくれることで、周りの職員がコミュケーションにより気を付けるようになり、チームワークが良くなったと感じている」と話します。 センターの末長千晴さんもこの活動の意義を感じています。「川里園で体験をした方のいきいきとしていた姿が印象的だった。仕事に対する本人のイメージも変化した」と語ります。 少しずつでも生きづらさが解消されるように 川里園の川里雅法さんは「障害のある方の受入れは、正直最初は不安だったが、受け答えもしっかりされていて、作業も丁寧にやってくれた。接してみないと分からないことばかりで、自分が勝手に抱いていたイメージが変わった」と言います。間所さんは「企業や団体の方々へ、患者それぞれの得意なことや苦手なこと、必要なサポートや希望を丁寧に伝えていくことが私の役割だと考えている。今後地域の方々にも理解が広がり、その人らしさを活かしながら生活ができる社会になってほしい」と話します。 地域への広がりについては、中村さんも「障害の特性に配慮したコミュニケーションができる会社が増えたら、それが地域での生活のしやすさにつながる。少しずつでも働きづらさや生きづらさが解消されると良い」と強調します。末長さんは「すぐには体験に踏み出せない方も多くいる。相談者にとって、この活動があることが安心になったら嬉しい」と言います。 鯨井さんは「今後、職員にも受入れを担当してもらうことでコミュニケーションの場が広がったり、他施設でも受入れが増え、さまざまな体験ができ、つながりや自信を持てる場が増えたりすると良い」と期待しています。 活動について、上原さんは「相談者と向き合いながらも、活動に関わる方々の思いを丁寧に聞き、それぞれに応じた受入れの形やつながり方を意識する必要がある。地域での生活の中にあるのは福祉関係の団体だけではなく、企業や農家、飲食店などさまざま。日々の暮らしの中でつながる先を増やすことが大切」と話します。 本間さんは「小平市内でのこの活動が少しずつでも広がり、さまざまな場所で『助けて・助けられて』の関係が生まれていくことをめざしている」と、今後の希望について語ります。 左から 小平市社会福祉協議会 こだいら生活相談支援センター 末長千晴さん HighBridge株式会社 取締役 中村麻紀子さん 川里園 川里雅法さん 株式会社明誠 代表取締役 本間幸紘さん 国立精神・神経医療研究センター病院 間所博子さん 医療法人徳寿会 介護老人保健施設プラチナ・ヴィラ小平 事務長 鯨井進さん 小平市社会福祉協議会 こだいら生活相談支援センター 係長 上原哲子さん プラチナ・ヴィラ小平の外構の草むしり。丁寧に黙々と作業をされている様子 川里園の様子。体験者と一緒に植えた枝豆が立派に成長 受入れの流れ(小平市社会福祉協議会の資料をもとに作成) 【トピックス】 アートを通じて自分らしさを表現し、他者や地域、社会とつながっていく ▼ 社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会 豊島区立目白生活実習所・目白福祉作業所 活動を重ねて気づいたメジロックらしさ 目白生活実習所と目白福祉作業所では、アートを通じて障害のある利用者による表現活動を行っています。「メジロック」というブランド名で行うこの活動は、福祉作業所でつくる商品を、より広く手に取ってもらえる「かっこいい」ものにしようと2015年に始まりました。 活動を重ねるにつれ、利用者のパワフルで明るい雰囲気がメジロックらしさでもあることに気づき、黒を基調としたロゴや商品から、カラフルなイメージに変わっていきました。 現在、月3回の「アトリエ活動」を中心とするほか、近隣の保育園に通う子どもたちと共に表現活動を楽しんだりコミュニティスペースで展覧会を催したり、地域との交流も大切にしています。 「かっこいい商品づくり」から「自分らしい表現を見つける」へ 支援係長の藤巻佳子さんは「利用者の中には、発話がなく、表情を読み取ることが難しい方や自己表現が苦手な方もいる。初めは商品をつくるための活動だったが、その人らしい表現を見つけることを大切にしようと変化してきた」と話します。イラストや織物、カラフルなゴムを編んだ作品、率直な思いを詠んだ詩など、思い思いの心地よい表現を楽しむようになり、全体の雰囲気もより明るく活発になったといいます。 DJブースをモチーフにしたイラストを多く制作している根岸龍さんは、休日に散歩がてら出かけた公園でDJの練習をするほど音楽が好きという熱い思いが作品にもつながっています。すべての線を定規を使って描く作品づくりについて、根岸さんは「曲線を描くのが難しい。何かを見て、というより、頭の中に浮かんでいるものを描いている」と話します。藤巻さんは「絵を描くようになり、笑顔や穏やかな表情が増えた。(取材当日にも)誇らしげに自分の絵について話している姿を見られて嬉しい」と話します。 その人が輝く瞬間を共に見つける支援 コーディネーターであり、施設外部の視点から活動をサポートする山口里佳さんは「作業所では受注作業を中心に活動することが多い。表現することも活動の一部として、その人らしい表現ができるよう試行錯誤してきた職員の努力も積み重なり、今のメジロックがある」と話します。 一方で、前例のない活動でもあるため、戸惑いや悩みを感じる職員もいます。活動を続ける中で、その人らしい表現を共に楽しんだり、新たな気づきを共有し合ったり職員の意識も次第に変化が生まれ、活動の意義が根付いてきたといいます。 藤巻さんは「利用者の思いがけない一面を知ることで支援を深めることができ、やりがいにつながることもある。『その人だからできること』『その人が良い顔をしている時はどんな時だろう』と考え、サポートする姿勢を大切にしていきたい」と思いを語ります。山口さんも「アートをすることが目的ではなく、その人らしく居られ、表現できる場をみんなで創っていくのがメジロック。それを社会に届けていくところも外部ならではの目線でサポートしていきたい」と話します。 根岸龍さん このスペースでいつも絵を描いている 根岸龍さんの作品 モチーフはDJブース 【でたでたデータ】 在留外国人の介護保険制度の認知度は5割強 ― 株式会社サーベイリサーチセンター「第二回在留外国人総合調査(2022)」 「在留外国人の医療・健康・福祉について」より 2022年5月、株式会社サーベイリサーチセンターは、「第二回在留外国人総合調査(2022)」の調査結果を公表しました(2022年2月2日~22日実施、全国20歳以上の男女インターネットモニター対象、有効回答数999人)。今回はこのうち、「在留外国人の医療・健康・福祉について」のテーマから、在留外国人の高齢者福祉に関する調査結果を紹介します。 介護保険制度について、「知らなかった」の割合が最も高い(39.4%)ものの、「知っていて利用している」、「知っていて利用したいが利用資格がない」、「知っているが利用していない・利用する必要がない」と回答した割合(以下、認知度という)を合計すると52.8%となり、過半数を占めています。特に、30代以上、4年以上の居住期間のある人の認知度は、過半数を超えています。 在留資格別では、「技能」(認知度91.2%)をはじめ、「定住者」(70.6%)、「永住者」(69.4%)、「技能実習」(60.9%)で特に認知度が高くなっています。高齢者福祉施設での外国人労働者の採用が増えていることなどが背景にあると考えられます。 2020年に行われた第一回調査と比較すると、「知っている」と回答した割合は9.2ポイント増加しています(43.6%→52.8%)。 一方で、地域包括支援センターの認知度は、全体で2.1%と低くなっています。制度の認知度と相談窓口といったその詳細についての認知度を比べると、バラつきが見られます。 その他にも「在留外国人の子どもの教育について」、「在留外国人の防災対応について」など、11のテーマごとに結果が公表されています。詳細は、QRコードからご確認ください。 【マンスリー】2022.10.26 - 11.25 10/27 小・中学校の不登校児童生徒数は9年連続増加し、過去最多に 文部科学省は、「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果を公表。令和3年度の小・中学校における不登校児童生徒数は24万4,940人で、前年度の19万6,127人から4万8,813人増加し、過去最多となったことが明らかになった。小・中学校ともに9年連続で不登校児童生徒数およびその割合は増加している。 10/28 ひきこもりに悩む本人・家族に向けて講演会をオンライン配信 東京都では、ひきこもり状態にある方およびその家族を支援する取組みを行っており、「8050問題 ひきこもり本人・家族の目線から様々な実態を考える」をテーマにした講演会をオンライン配信している。 配信期間:令和5年2月28日(火)まで 動画URL: https://tokyodouga.jp/lueicgrcxgc.html 11/18 令和5年3月大学等卒業予定者の就職内定状況を公表 厚生労働省と文部科学省は、令和5年3月大学等卒業予定者の就職内定状況を共同で調査し、令和4年10月1日現在の状況を取りまとめ、公表した。大学の就職内定率は74.1%で前年同期比2.9ポイント上昇となった。短期大学、高等専門学校、専修学校(専門課程)の就職内定率は、それぞれ45.9%(前年同期比12.4ポイント上昇)、93.2%(同6.1ポイント上昇)、55.3%(同0.6ポイント上昇)であることが明らかになった。 【連載】防災・減災に向けた地域の取組み4 今回は「つながりをつくる」という視点から、日野市社会福祉協議会による防災を切り口にした地域における取組みを、「課題解決」の視点から、自治会活動をベースにした避難所運営の取組みや個別避難計画作成に関わる取組みを紹介します。 防災・減災を切り口に 地域のつながりをつくる日常的な活動の積み重ね=プロセスを重視した取組み(日野市) 防災を切り口に地域活動を展開 日野市ボランティア・センター(VC)では、2009年頃からさまざまな防災・減災活動に取り組んできました。 地域における防災教育としては、楽しみながら防災の知識を身につけられる「イザ!カエルキャラバン!」(※1)のほか、防災組織や小中学校でDIG(災害図上訓練)やHUG(避難所運営ゲーム)等を実施しています。また、東日本大震災を教訓に市民や市内の福祉関係者・学識経験者が防災・減災の取組みについて話し合う「みんなでつくる日野の防災プロジェクト」を立ち上げ、「日野市民でつくる防災・減災シンポジウム」(※2)を毎年開催し、今では市民が中心となり企画から運営まで行っています。近年では災害時要配慮者支援に関するヒアリングやワークショップも行っています。 日野市VCの宮崎雅也さんは「普段行っている地域活動の延長線上に防災があると考え取り組んできた。『イザ!カエルキャラバン!』などの活動が口コミで広がって、市民から防災に関する相談や依頼がVCに入ってくるようになった」と振り返ります。 地域の防災組織で小学校の校長先生と顔を合わせたことがきっかけで、防災に関する連続講座の開催につながった例もあります。現在、日野第三小学校では5年生の総合的な学習の時間で、災害時に自分たちができることについて学んでいます。講座では防災について学ぶだけではなく、地域共生社会や災害時要配慮者の視点を取り入れています。小学校の近隣にある重症心身障害児と医療的ケア児を対象にした事業所の利用者とスタッフを招き、児童と交流する機会なども設けました。防災と福祉を分離せず、防災を切り口にしながら自然と福祉的な要素も学べるように工夫しています。 台風の経験をふまえ、避難所運営マニュアルを整備 日野市VCでは、自治会等の地縁組織にも継続的に関わっています。JR豊田駅の南側に位置し、市内を流れる浅川に面した豊田地域もその一つです。 令和元年台風19号では、市内17か所の避難所に最大8600人が避難しました。豊田地域では豊田小学校が避難所として開設されました。 運営に携わった豊田第一自主防災隊の山口晶子さんは、「運営マニュアルや指揮命令系統もなく、集まった住民が周りの状況を確認し、とっさに判断して対応した」と当時の状況を語ります。 17〜18年度に豊田第一自治会の会長を務めていた山口さんは、市主催の女性防災リーダー養成講座で防災活動に熱心に取り組む他地域の住民や宮崎さんとつながり、自治会活動として防災講座や危険箇所を知るウォークラリー、災害時安否確認訓練等を実施してきました。近隣の豊田第二、第三、第四自治会にも声をかけながら活動を継続し、現在に至ります。 令和元年台風19号の後、山口さんたちは避難所運営について振り返りを行いました。運営に関わった人をはじめ、避難してきた人の声を集めて記録に残すとともに、共有する場を持ちました。 その後、市の防災安全課や学校とも調整の上、避難所運営で共に汗を流した豊田第一~第四自治会を軸に、避難所運営マニュアルの策定に取り掛かりました。災害時の対応はケースバイケースなのでマニュアルは不要という意見もありましたが、誰が最初に避難所に来ても対応できるように整備することにしました。 マニュアル案に沿って訓練を行った後、グループワークをして気づいた点をまとめ、修正点をマニュアルに反映していきました。現在は、避難所運営スタッフの役割ごとに、やるべきことをA4サイズ1枚程度に収めた差し替え式のマニュアルとしてまとまっています。また、初動対応をスムーズに行うための初動ボックスも設置しました。 個別避難計画作成はプロセス重視で 山口さんは22年度から市の臨時職員として、避難行動要支援者を対象とした個別避難計画の作成にも携わっています。職員を公募していることを知った宮崎さんが山口さんに声をかけたそうです。宮崎さんは「個別避難計画は、普段の地域活動の延長上でマッチングしていかないと生きてこない。その意味で、地域で避難所運営の取組みにも関わり、要配慮者にも理解がある山口さんは適任だと思った」と経緯を話します。 個別避難計画の作成が必要と思われる方から話し合いを始めているという山口さんは、「計画作成を機に、ご家族で防災について話し合うきっかけにしてもらえたらという思いですすめている。計画作成にあたって必要なことはシートに盛り込んであるので、それを『どうしようか』と話し合うことで防災意識が芽生えてくる。ご本人やご家族の意向はもちろん、ケアマネジャーや医療関係者の話も聞きながら、最終的にはご本人やご家族とで決めていっていただくことをめざしている」と言います。そして「計画をつくるプロセスが最も大切。作成後も状況によってはもちろん更新されることもある」と、計画作成がゴールではなく、計画作成を通して普段から防災について話し合い、必要に応じてメンテナンスをしていくことが大事な点であると強調します。 宮崎さんは、「普段のつながりがあるからこそ、お互いに人となりが分かり、声をかけることができる。防災・減災はみんなに関わりがあることなので、それに取り組むことは地域福祉活動だと捉え、これからも当たり前の活動を続けていきたい」と話します。 (左から) 日野市社会福祉協議会 日野市ボランティア・センター 係長 宮崎雅也さん 豊田第一自主防災隊 山口晶子さん 小学校での授業の様子。「NPO法人ゆめのめ」による講話と車いす体験を実施した 避難所開設訓練で部屋割りについて確認する 訓練で気づいた点をマニュアルに反映させていく (※1)地域の防災プログラムとおもちゃの交換会を組み合わせた防災イベント。NPO法人プラス・アーツが2005年から普及活動を行っている。 (※2)2022年9月~10月に開催した「日野市民でつくる防災・減災シンポジウム2022」のアーカイブ放送をYouTubeで配信中。 【み〜つけた】 本でひろがる温かい輪 玉ちゃん図書室~空き家を活用した地域のコミュニティ~ 玉ちゃん図書室 町田市玉川学園7-7-21 運営団体:玉川学園地区社会福祉協議会 開室日:毎週水曜日・土曜日 午前10時~午後4時 「お楽しみデー」毎月第3土曜日 午前10時30分~午前11時30分 ※2023年3月まで、現在の場所で開室。4月以降は未定。 2019年、玉川学園地区社会福祉協議会(以下、地区社協)は、地域の課題やニーズを知るため住民に「わが街・くらしのアンケート」を実施しました。「駅の南側に遊び場がない」「近隣との関係が希薄」という意見を受け、親子の居場所づくりや子育て支援、一人暮らしの高齢者など、さまざまな世代の方が交流できる居場所づくりを検討しました。同時に「家庭の本をリユースさせたい」という声も住民からあがり、地区社協の交流室に「玉ちゃん図書室」(以下、図書室)を開室することを決定しました。 たくさんの人に自由な形で本を読んでもらいたい 21年8月、図書室のプレオープンには子ども連れや高齢者など、3日間で70人が訪れました。図書の貸出しや返却方法などの検討を重ね、同年10月に正式にオープンしました。図書室の本のほとんどは地域住民から寄贈されたもので、現在は約4000冊にもなります。 地区社協副会長の舩生みどりさんは「たくさんの方に自由な形で本を読んでもらいたいので、貸出時の記名は求めず、返却期限も決めていない。図書室には、児童書や実用書、小説、写真集にシリーズ本などさまざまな本が並んでいる。おばあちゃんの家に来たみたいにゆっくりしてほしい」と語ります。 開室と同時に「きんじょの本棚(※)」に登録し、ほとんどの本が対象となっています。また、地域の小学校からの「学級文庫の本が足りていない」との発信を受けて、1学期ごとに100冊の本の貸出しも始めました。 「知ってもらう」ことから地域のつながりが始まる オープン後、新型コロナの対策を行いながら活動を続けました。感染状況が落ち着いてきた今秋にはコミュニティセンターで取組みの発表や地域の祭りに出店し、図書室を知ってもらう活動に力を入れました。紙芝居や工作などを行う毎月一度の「お楽しみデー」のチラシで図書室を知った来室者からは、「来て良かった」という声や「カードづくりをしたい」などのリクエストもあります。 地区社協の図書室チーフの森崎知子さんは「イベントを行う際は『しおりをつくります』という告知や、開催後にSNSで写真を掲載するなど随時発信することで、実際に来てもらえるよう工夫している」と言います。 多世代の交流ができる居場所づくりをめざす 現在、20人のスタッフが紙芝居や折り紙、工作、PC作業など、それぞれ得意分野を活かして活動しています。 「スタッフが常駐する図書室なので、気軽に来てもらい、本の良さを知るきっかけになってほしい。地域活動をしたいと思ってもできないことが多い中、図書室がスタッフにとっても居場所となる」と、森崎さんは語ります。 「小さいお子さんからお年寄りまでみんなの居場所となり、多世代が交流できるような企画を考えていきたい。地域での活動は、その人自身が楽しんでやることが大事だと思う。『~のせいで大変』と思うのでなく、『~のおかげで楽しかった』と発想の転換をし、もっと色々なことに挑戦してほしい」と、舩生さんは思いを語ります。 今後も子育て支援、高齢者の交流の場としての「図書室」を起点に、つながりができる地域をめざしていきます。 本を選ぶ子どもたち 「お楽しみデー」でのポップアートカードづくりや紙芝居の様子 (※)町田市を中心に全国に広がる、どこの加盟店で借りても返しても良いブックシェア 【福祉のおしごと通信】 法人の理念を自分の言葉と行動で後輩たちに伝えられる職員でいたい 救世軍機恵子寮で生活支援スタッフ(※)として8年目を迎え、 現在はボーイズホーム(男子ユニット)のリーダーである鈴木晃平さんにお話を伺いました。 「福祉業界合同採用試験」を経て児童養護施設へ 私が小学生の時に、父が大病を患いその後遺症で障害が残りました。それ以来、自宅で福祉サービスを利用するようになり、福祉は身近なものでした。中学生になり、将来の進路を考えた時、自然と福祉の仕事に就きたいと思っていました。 その後、福祉系の大学に進学しました。就職活動ではどのような福祉職場が自分に向いているのか分からず、決めかねていました。そんな時、東京都福祉人材センターの「福祉業界合同採用試験」の開催を知りました。そこにはさまざまな施設種別・業種の求人がたくさんあると聞き、すぐに申込みました。 いろいろな施設の話を聞いてみたいと面接を重ねました。やはり自分は子どもが好きなんだと気づくことができて、児童養護施設の救世軍機恵子寮に就職したいと強く思うようになりました。 カンファレンスを大切に 当時の主任から、どのように仕事をしてみたいか聞かれた際に、私は「子どもたちには、当たり前のことを当たり前にしてあげたい」と答えました。子どもたちに普通の生活を過ごしてもらうための手助けをしたい、という思いです。主任からは「当たり前とか普通って、子どもたち一人一人違うものですから」と言われました。個別支援は大学でも学びましたが、分かりやすい言葉で言われたこの一言は、今でも自分の仕事の真ん中にあります。 先輩職員に支えられながら、生活支援スタッフとしての業務がスタートしました。目の前のことに対応するだけで精一杯の日々でした。疲れてくると視野が狭くなり、独りよがりになりがちです。そんな時、カンファレンスの場での先輩たちの視点から多くの刺激を受けました。それぞれの職員の考えや情報をすり合わせしながら、支援の方針や課題を共有していきます。こうしたやり取りを経て、はじめてチームとしての支援になっていく経験を重ねました。 今、自分がリーダーになって、やはりカンファレンスの時間を大切にしています。課題を一人で抱え込まないように、誰もが自由に発言できる場となるように意識しています。また、メンバーの話し方や表情から個々の職員の様子をうかがい知ることもできます。 法人の中堅職員研修を組み立てる 私は法人内の中堅職員研修のプログラムづくりに携わったことがあります。後輩たちには、法人の理念を自分の言葉と行動で伝えられるような職員になってもらいたいと思っています。自分たちは何を大切にしてこの仕事をしているのか、仕事で迷ったり行き違いが生じたときには法人と施設の理念に立ち戻ることを意識してほしいからです。 さらに、中堅職員が上と下の職員をつなぐことも大切な役割だと思っています。研修カリキュラムにはこういったことを組み入れて構築しました。 コロナ禍を乗り切るために 突然のコロナ禍で、生活は一変しました。学校に通う子どもたちは長期休校やリモート授業となり、休日の外出やイベントもすべて中止、施設内で過ごす時間が増えました。日常生活が大きく変化せざるを得ない状況で、その影響を最小限にとどめることが大きな課題になりました。職員の勤務体制も大きく変わり、職員も子どもたちも何が正解なのか分からぬまま、少しでも良い方向へと、手探りな日々が続いています。 今、登校や外出制限が緩和されてきています。それでも引き続くコロナ禍は子どもたちの日常生活に大きな影響を及ぼしています。コロナ禍以前のような生活に戻れるよう、あせらず着実に子どもたちに寄り添い続けていきたいと思っています。 (※)機恵子寮では、職名には「指導(員)」という言葉を使わずに、生活支援スタッフを総称として使用している。 鈴木 晃平さん Kouhei Suzuki 社会福祉法人救世軍社会事業団  救世軍機恵子寮 生活支援スタッフ 【東社協発】 東社協 新会員のご紹介 ▽知的発達障害部会 生活介護ほ~ぷ/プロシード/ジョブ・サポート・プラザ ちよだ/BLUME/ジーコ/ピアーズ咲楽/児童発達支援事業所 Olive/やすらぎの里北小岩 重症心身障害児通所施設もあ/やすらぎ夢ショップ/児童発達支援事業所にじのいえ ▽身体障害者福祉部会 ひかり療育園 ▽東京都高齢者福祉施設協議会 特別養護老人ホーム 小平グリーンてらす/八王子市地域包括支援センター元八王子/明日に架ける橋/やすらぎの里北小岩/大泉地域包括支援センター ▽保育部会 北千住もみじの森保育園/さくらしんまち保育園 ▽介護保険居宅事業者連絡会 ゆくら 立川/デイサービスほほえみ/やはら翔裕園 ▽民間助成団体部会 ホース未来福祉財団 ▽情報連絡会員 エシカルベジタブルズ八王子/Life Design つむぎ/コネクトしぶや/こばと/グループホーム まぁる/アンファン・ボンヌ/しながわがくどうえん/本郷児童館/高千穂わらべ保育園/たかすな保育園/ウィズブック保育園池下/グループホーム らーごむ/小さな保育園ともそだち/練馬区光が丘夏の雲小ねりっこクラブ/日野市立豊田小すみれ学童クラブ/江東区亀戸子ども家庭支援センター/特別養護老人ホーム 横濱かなざわ翔裕園/クリード青梅/菱華保育園/神地保育園/寺分保育園/日吉ちとせ保育園/クオーレけやきの杜グループホーム/みなづき会 法人本部/りそうとひかり/ノテ船橋/三鷹げんきグローバル保育園/わらべ東久留米駅前保育園/クオーレ武蔵台/WORK SPACE hinata/キッズガーデン こもれび/SUN salon 「福祉広報」 読者アンケート実施中! 期間:12月31日(土)まで ◀ご回答はこちらからお願いします。 【お詫び】 『福祉広報』2022年11月号掲載団体の法人格に誤りがございました。 深くお詫び申し上げますとともに、下記の通り訂正させていただきます。 該当箇所:P1(表紙)、P10(明日の福祉を切り拓く) 【誤】認定NPO法人マザーハウス代表理事 【正】NPO法人マザーハウス理事長 【寄附のカタチ】東京善意銀行への寄附をご紹介します。(不定期掲載) RISEクリエーション株式会社 ときに強く、ときにやさしく~We are the one~ RISEは立ち技打撃格闘技団体です。これまで12年間、試合のたびに福祉施設の利用者の方々延べ1,300人以上をご招待いただいています。「RISEを観戦して何かを感じて元気を持ち帰って欲しい」とRISEの担当者は話します。 10月に行われた大会では、善意銀行とコラボし会場内に募金箱ブースを設置してRISEファイター3選手参加の募金活動が行われ、総額5万8,423円の善意が集まりました。 今後も格闘技を通じてできる社会貢献活動の広がりが期待されます。 会場で善意銀行の募金活動を行う(写真左から)RISEファイターのねぎ魔神選手、原口健飛選手、AKARI選手。 東京善意銀行では、社会福祉施設等への寄附のご相談を承っております。 いただいた寄附や福祉施設等への配分についてTwitterで発信しています。 【アンテナ】 12月1日(木)時点の情報です。詳細は各団体にお問合わせください。この他にも東社協ホームページに各種情報を掲載しています。 東社協ホームページ「各種福祉情報の提供」 https://www.tcsw.tvac.or.jp/about/keyword/kakushu.html 助成金 令和4年度 継続助成(第4回) 12月24日(土)消印有効 中長期視点において、より多くの障害児・者のQOL向上、社会課題の解決に寄与する事業への助成。助成期間は、令和5年6月から最長で令和8年5月まで(3年間) 「既存福祉サービスの強化」や「新規福祉サービスの創造」を事業テーマとし、効果・実績が表れるまでに1年以上を要し、助成終了後も継続的発展が期待される事業。かつ、申請事業の拠点住所(実施場所)が東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県に所在する非営利団体等。ただし、物品購入や改修工事を主とする事業は不可 上限1,000万円(下限200万円) 所定の申請書と必要書類を郵送 (公財)洲崎福祉財団 事務局 〒103-0022 中央区日本橋室町3-2-1 日本橋室町三井タワー15階 https://swf.or.jp/support2/ 2022年度 障害者支援団体への助成 12月25日(日)消印有効 障がい者の社会参加と自立を促進し、障がい者の福祉の向上に貢献すると見込まれる活動を行う団体に対する助成 障がい者支援を行う社会福祉法人や公益法人、NPO法人等の非営利の民間団体で、3年以上の継続した実績がある団体。かつ、活動を実施する施設が1都10県(茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県、長野県、静岡県)にある団体。対象事業は、障がい者の社会参加を促す活動(展覧会、音楽会、スポーツ大会等)費用や障がい者の理解を深める活動費用、福祉活動に直接必要な環境整備のための施設整備・備品等の調達資金 上限30万円 所定の申請書類を郵送 (公財)タチバナ財団 事務局 〒103-0007 中央区日本橋浜町2-56-1 03-3667-7070 zaidan@t-group.co.jp http://www.t-group.co.jp/zaidan 令和5年度 「住まいとコミュニティづくり活動助成」 2023年1月10日(火)必着 地域づくりやコミュニティを基軸にした広範な市民活動に対する「コミュニティ活動助成」および、住まいや住宅地、団地、マンションなどを活動対象にして今日の多様な住宅問題に取り組む活動に対する「住まい活動助成」 非営利の民間団体で、団体として代表責任者が明確であり、意思決定のしくみが確立され、予算決算を含む会計処理が適切に行われている団体 上限120万円 申込書と必要書類を郵送 (一財)ハウジングアンドコミュニティ財団 〒105-0014 港区芝2-31-19 バンザイビル7階  03-6453-9213 03-6453-9214 http://www.hc-zaidan.or.jp 講座・シンポジウム 「コミュニティソーシャルワークとファンドレイジング」基礎研修 2023年2月21日(火)10時~17時・3月3日(金)10時~17時 ※Zoomによるオンラインで実施 社会福祉協議会や地域福祉関連のNPO法人の担当者が、コミュニティソーシャルワークの視点からファンドレイジングのスキルを高め、自主財源の確保に取り組む組織づくりに関する研修 社会福祉協議会や地域福祉関連のNPO法人職員、地域福祉に関する研究者等 一般8,000円 所員6,000円 80名 2023年2月10日(金)先着順 フォームまたはメールにて (特非)日本地域福祉研究所 03-5225-0237 03-5225-0238 jicsw@mx3.alpha-web.ne.jp http://www.jicw.jp 【資料ガイド】 会議資料 第2回「強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会(オンライン開催)」(厚生労働省/10月) 成年後見制度利用促進専門家会議 第2回地域連携ネットワーク ワーキング・グループ 資料(厚生労働省/10月) 東京都子供・子育て会議 第24回全体会議 資料(都福祉保健局/10月) 成年後見制度利用促進専門家会議 第2回成年後見制度の運用改善等に関するワーキング・グループ 資料(厚生労働省/11月) 困難な問題を抱える女性への支援に係る基本方針等に関する有識者会議(第1回)(厚生労働省/11月) 「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」有識者会議(令和4年度)配付資料(文部科学省/11月) 第23回社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」(資料)(厚生労働省/11月) 第5回「障害児通所支援に関する検討会(オンライン開催)」(厚生労働省/11月) 第50回社会保障審議会生活保護基準部会 資料(厚生労働省/11月) 第102回社会保障審議会介護保険部会(厚生労働省/11月) 調査結果 児童虐待死亡ゼロを目指した支援のあり方について(都福祉保健局/10月) 社会保障審議会介護保険部会介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会取りまとめ(厚生労働省/11月) 令和4年度(夏期) 路上生活者概数調査の結果(都福祉保健局/11月) 第17回中高年者縦断調査(中高年者の生活に関する継続調査)(厚生労働省/11月) その他 アニュアルレポート(年次報告)(全国社会福祉協議会/10月) 【くらし】 自分なりのまちづくりで社会の可能性を引き出す 結婚式や卒業式といった〝門出〟をキーワードに、国立を舞台にわくわくする企画を通して人や地域をつないでいる任意団体「街kadode実行委員会」代表の高野宏さんにお話を伺いました。 はじまりは国立から 自分の発想を通して、地域のリソースを活用したまちづくりを行う、現在の活動のルーツは大学時代に遡ります。広島から一橋大学への入学を機に、国立での生活がスタートしました。社会学部で学び、ゼミでは移民政策、卒論では社会運動を取り上げました。まちづくりを目的としたサークルに所属し、国立を舞台にアートや音楽を通したイベントを企画。そうした経験を重ねて、まちづくりの魅力にはまり、何より国立というまちが好きになっていました。学びやサークル活動を経て、多様な人が暮らし、さまざまな問題も生じる東京というまちで、自分の企画を通じて知らない人と出会えて、交流が生まれる場をつくり続けたいと思うようになりました。 違う世界を知り、そして新たな活動につながる 国立市で働くことを第一に、卒業後は市役所の児童青少年課で4年間過ごしました。地域の人と一緒に子どもたちの居場所やサポートの場をまとめた「くにペディア」を作成したことで、自分なりに地域のリソースを活用して何かできないかと考えました。そうして一人で始めたのが街で結婚を祝う「婚カラ」で、現在の「街kadode」の活動につながっていきます。 それから、児童青少年課で働いたことで福祉が身近なものになりました。市役所を離れて4年半近く、事業所で精神障害者のケアや生活サポートをしながら、精神保健福祉士を取得しました。今後は、自分が得意とする企画を通じて、障害のある人が表現できる場、そして仕事となる場を生み出していきたいと考えています! つながりから生まれる新たなまちの可能性 大学生から暮らす国立は「濃密なまち」という印象です。イベントを企画するごとに協力する人が増えるし、小さなまちだから人と人をつなげやすいです。働いていた事業所で結婚式の装飾を作成したり、自分の結婚式の司会を結婚式を企画させてもらった方にお願いしたり(笑)。それぞれ自分のやりたいことをしながらも、快く取組みに協力してくれる、そんな距離感が心地よいです。 企画のディレクターであり、ソーシャルワーカーである自分にとって、特技をはじめその人が持つ原石を引き出し、地域のリソースとかけあわせながら形にしていくことに嬉しさややりがいを覚えています。 自分とは関係ない、利益にならないことに興味を持つ社会へ どんなきっかけでもいいから、リアルにつながっている。普段からのつながりが災害等の非常時でも、地域として対応できるかに直結すると思います。最近では、20〜30代を地域に取り込むために若い世代で街や社会を考える「コワ会議」を始動させています。 活動を通じて、「(一見すると)自分とは関係ない、利益にならない相手」に興味を持つ社会をめざしています。例えば商工会の人が福祉に、福祉の人が商工会にといったように、常識が違う相手ともコミュニケーションが芽生えるしかけをしていきたいです。知らない人に気軽に声をかけても「えっ?」って思われないようなまちの実現に向けて自分なりのまちづくりを続けていきます。 母の日撮影会での1枚 就労継続支援B型事業所で 結婚式のモニュメントを制作 公園で開催された結婚式! 街kadode実行委員会HP 【本】 NEW ふくしのしごとがわかる本 2023年版 ~福祉の仕事と就職活動ガイド~ 福祉の仕事の求人の現状や傾向、特徴をはじめ、高齢者・障害者・児童など分野ごとの仕事の内容、福祉の資格、就職に関わる情報などを幅広く、また詳細に掲載しています。昨年度版を改訂した最新の2023年版です。福祉職場への就職をめざしている方、関心のある方はぜひご活用ください。 ◆規格 B5判/116頁 ◆発売日 2022.11.30 ◆定価:990円(本体900円+税10%) NEW 保育園における働き方改革と 保育業務の実態 ~調査報告書~ 東社協保育部会では、会員園の現場職員を対象に保育士業務の実態を調査し、その結果をまとめ提言に結びつけました。保育業務の現状と課題、提言を、行政や関係機関等にも広く知っていただきたく本書を出版しました。 ◆規格 A4判/142頁 ◆発売日 2022.11.02 ◆定価:990円(本体900円+税10%)