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明日の福祉を切り拓く(2015年5月号)

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すべての子どもたちが、ありのままで大人になれる社会へ

  写真 やくしみかさん

 

 

 

藥師実芳 Yakushi Mika
特定非営利活動法人ReBit 代表理事

2009年に「早稲田大学公認学生団体ReBit」を立ち上げ代表に就任。2014年に新宿区自殺総合対策会議若者支援対策専門部会委員に就任。著書に「LGBTってなんだろう?」(合同出版)がある。

 

 

藥師実芳さんは、LGBTを含むすべての子どもたちが、ありのままで大人になれる社会を目指す、特定非営利活動法人ReBitの代表理事です。現在は教育、成人式、就活等、LGBTに関する理解の普及やLGBTの若者への支援を行っています。

LGBTとは、レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(性同一性障害を含む身体と心の性が一致しない人)の頭文字で、セクシュアルマイノリティ(性的少数者)を指します。セクシュアリティ(性のあり方)には、生物学的な性と、心の性、そして好きになる対象の性があり、そのあり方は一人ひとり違うものとされています。

約20人に1人がLGBT

日本の人口の約5.2%がLGBTであると言われています(平成24年、電通ダイバーシティ・ラボ調べ)。自分のセクシュアリティについて誰にも相談できず、ひとりで抱え込んでいるLGBTは多く、私も子どもの頃、「LGBTは大人になるまで生きられないし、働くこともできない」と思い込み悩んでいたつらい時期がありました。性同一性障害の約3人に2人は自殺を考えたことがあるという調査もあります。

日本では、法律や社会保障、福祉サービス等の社会のしくみにLGBTへの想定が抜けおちています。そのため、進路、仕事、結婚、老後の生活等について、自分らしい人生を歩むのが非常に難しいのが現状です。

LGBTの子どもたちのために

ReBitはLGBTが大人になるまでの各ライフステージの困難解消のため、LGBTの若者の支援や、社会にはたらきかけて、人々の意識やしくみを変えていけるような発信活動を行っています。

たとえば、LGBTの大学生が小学校へ出向いて出張講座を行う等、子どもや教職員への授業・研修を今までに150回以上実施しました。LGBTについての正しい知識の学習は、LGBTの子どもが、自己否定をしたり、将来に不安をもつことなく、ありのままで生きる可能性を広げます。LGBTでない子どもにとっても、「自分らしさを大切に」というメッセージを通して、多様性への理解や自己肯定感を育む機会になります。

また、LGBTの人たちが「ありのまま」を周囲から祝福される機会を作りたいと、セクシュアリティも年齢も不問の成人式を、23年度から全国9地域で開催しています。25年から実施しているLGBTの就活支援も好評で、イベントを企画し、LGBTとして働く先輩をロールモデルとして紹介する等、「自分らしくはたらく」ための支援を行っています。

福祉分野におけるLGBT

先日、ある保育所からLGBTについて職員研修をしてほしいとの依頼をいただきました。就学前にはすでに自らのセクシュアリティに疑問や違和感をもったり、からかわれた経験があるというLGBTも多く、これから積極的に関わっていければと考えています。

また、障害者や高齢者のLGBT問題についても、施設等の環境やケアを行う上で、セクシュアリティが尊重されない場面も多く、取組みが必要な課題です。

多様性を尊重できる社会に

人にはそれぞれ個性や考え方があり、生き方があります。LGBTは、尊重されるべき多様性のうちのひとつなのです。今後はLGBTを含めた「すべての子どもたちがありのままで大人になれる社会」の実現のため、より広い視点で発信を行っていきたいと思っています。

団体名「ReBit」には、「少しずつ(Bit)」を「何度でも(Re)」という意味をこめています。さまざまな人や団体へ少しずつが何度でも繰り返し重なることで、LGBTの子どもがひとりで泣かないですむ世界をつくれる。そう信じ、活動を続けていきます。

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月刊「福祉広報」

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