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明日の福祉を切り拓く(2017年2月)

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保育や相談支援の中で気づいた、大人たちの『連携』の意義

佐藤初美さん(中央)、(左)NPO理事・副代表の小林普子さん、(右)NPO法人理事の飯倉聖子さん
(中央)NPO法人 10代・20代の妊娠SOS新宿―キッズ&ファミリー代表理事 佐藤初美さん
愛媛県出身。新宿区立保育園で保育士として34年間勤務。その後、新宿区立子ども家庭支援センターの相談員を経て、NPO法人を設立。著書に「発達がわかれば子どもが見える」(ぎょうせ出版)等。
(左)同法人理事・副代表 小林普子さん
(右)同法人理事 飯倉聖子さん

貧困や虐待の連鎖の中で生まれ育った子どもたちには、居場所や信頼できる大人を持てずに青年期を迎え、さまざまな悩みを一人で抱えている人が少なくありません。佐藤初美さんは、保育士と子ども家庭支援センターの相談員としての経験からNPO法人を立ち上げ、相談者と制度をつなぐ懸け橋として活動をしています。
 

平成28年にNPO法人10代・20代の妊娠SOS新宿―キッズ&ファミリーを立ち上げ、10~20代で、望まない妊娠や性被害等の悩み、生活のことや進路などを誰にも相談できず、一人で悩みを抱えている若い女性のサポートをしています。区立保育園の保育士と子ども家庭支援センターの相談員を経験し、制度の狭間にいる子どもに寄り添う重要性を感じ、活動を始めました。

小学校入学と同時に家庭の課題に直面する子どもたち

新宿区の区立保育園に就職した1970年代は、貧困や虐待が今ほど社会問題として取り上げられていませんでしたが、困難を抱える子どもや家庭は、少なくありませんでした。こうした家庭の子どもは、小学校入学とともに自分の家の貧困等の現実に向き合うことになります。「消しゴム1つが買ってもらえない」「毎日出される音読の宿題に付き合ってくれる家族環境がない」等、日常のさまざまなことから周りの子との違いを感じ、1年生の夏休みを迎える頃には教室に居場所をなくしてしまうこともあります。就学後の子どもに、保育士が直接かかわることはできません。こうした状況を心苦しく思いながら、保育士としてできることとして、在園中に知っている制度を紹介したり、職場の内外の方と研究会を立ち上げ、発達理論等の保育内容や虐待対応等を勉強していました。

行政につながらない子ども

平成21年に新宿区の子ども家庭支援センターが増設され、それに合わせた人事異動で相談員になりました。相談員ならば、保育園と小学校のギャップに悩む子どもにもかかわれます。また、研究会で保育士以外の方と知り合うようになり、色々な機関と連携することが子どもの支援に必要だと感じたことも理由の一つです。

相談員になると、今度は18歳の壁に直面しました。一度制度の狭間に至ると、成人しても行政になかなかつながりません。幼いころから貧困や虐待の連鎖の中で育ち、親や家族を含めた身近な大人への信頼や、それまでの関係性によっては、行政に対する信頼を何度もなくし、制度は知っていても相談できず一人で悩みを抱え身動きが取れなくなったり、自ら命を絶つ子もいます。将来への希望や夢をあきらめ、生きるために繁華街で夜の仕事に就いた子が、相談したいと思う夜間に応じられる機関もありません。子どもたちの状況に即した、子どもと行政をつなぐ支援ができないだろうかと考えるようになりました。

たくさんの可能性を子どもたちに示せる、大人の「連携」

こうした思いから立ち上げたNPO法人では、夜間の電話相談、24時間のメール相談を開設しています。相談者を制度につなぐときも、健康保険の加入手続きや受診に同行したり、市販の妊娠検査薬の結果でも母子手帳を取得できるようにする等、相談者の状況に合った制度利用ができるよう、必要な窓口や機関と連携しています。今後の生活に向けた学習支援や労働相談にも力を入れています。「いつでも、いつまでも、そばにいるから」と、時間をかけた伴走型の支援に取組んでいます。

相談者には、基本的には「何でもあり」の姿勢で接しています。夜の仕事に戻ったり、警察に行くことになっても、その人を受入れ、今つながり続けていることを大切にしています。保育園にいたころ、私の子どもとの接し方が「真っ白」だと、後輩の職員に言われたことがあります。自分の価値観という「色」を出さず、子どものあるがままの姿に向き合いたいという思いを「白」と表現してくれたのかもしれません。このような向き合い方はそのままに、相談者に合わせて柔軟に活動できるのは、公務員と異なり、今だからできる支援だと思います。

その中で改めて感じるのは、「連携」の意義です。さまざまな立場で活動する大人たちが連携することで、子どもの選択肢を広げられます。夢や希望を持ってはいけないと思っている子どもたちに、そのことを示すためにも、大人たちの連携と、それを円滑につなぐ私たちの活動があると考えています。

NPO法人 10代・20代の妊娠SOS新宿―キッズ&ファミリー
 チラシ(連絡先)

チラシ(活動内容、連絡先)

「乳幼児保育研究会」の本

・「発達がわかれば子どもが見える」(ぎょうせい) 定価:1,749円(税込)
・「続・発達がわかればパパもママも子どもが見える」(ぎょうせい) 定価:1,836円(税込)
〈申込先〉電話:0120-953-431、FAX:0120-953-495(担当:浜中)

「保育と虐待対応事例研究会」の本

・「子ども虐待と保育園」(ひとなる書房) 定価:1,080円(税込)
・「続・子ども虐待と保育園」(ひとなる書房) 定価:1,080円(税込)
〈申込先〉ひとなる書房 FAX:03-3413-5052

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月刊「福祉広報」

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