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福祉人材の確保・育成・定着(2017年7月)

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私たちの住んでいる町やこの町で働く人は輝いている
―分野をこえて未来の人材へ種をまく

ひのでホーム 齋藤さん、嶋崎さん
(社福)芳洋会 特別養護老人ホームひのでホーム
施設長 齋藤 郁子 さん(右) 総務部 嶋崎 美咲 さん(左)

日の出町では町内23施設の協働により自分たちの手で企画から運営まで行う「日の出町ハートワークフェア」をはじめて開催し、大盛況で終了しました。

「未来の日の出町の人材への種まき」として開催されたフェアの様子と、町と仕事に愛着を持って働く福祉職の方の想いをご紹介します。


東京都西多摩郡日の出町は、地域住民が安心して暮らせるよう福祉施設や病院などの施設がたくさんある地域です。しかし、充実した施設数に対し、町の人口の少なさから福祉人材は不足しています。

未来の子どもたちへ種をまく

5月21日(日)、イオンモール日の出で、町内の保育園、障害事業所、介護事業所、病院など、23施設が協働で「日の出町ハートワークフェア(以下、フェア)」を初開催しました。

実行委員代表の(社福)芳洋会「ひのでホーム」施設長の齋藤郁子さんは、「私たちの仕事は人がする仕事であり、心でする仕事という意味を込めて、ハートワークと呼んでいる」として、「このフェアが、日の出町にたくさんのハートワークがあることを子どもたちへ知らせるための種まきと、今は福祉の仕事を離れている方や、これからやってみようかなと考えている方へのきっかけづくりになればと開催した」と話します。

フェアの準備は、保育・障害・高齢の各分野の施設からそれぞれ1名の職員が実行委員となり、各施設の職員を巻き込みながらすすめました。

「何をやっているのかな」を入口に

フェアの会場は、人が多く集まる1階メインコートを選びました。施設紹介や車いす体験、相談コーナーだけでなく、ステージでは、職員によるライブやトークセッションを行いました。また、中高生に来てもらおうと、お笑い芸人のものまねライブを企画しました。齋藤さんは「通りがかった人に『何をやっているのかな?』と、まずは足をとめてもらいたかった。その後で、ここが福祉を知るためのきっかけになってくれたらと思っていた」と話します。

当日は中高生、小さい子ども連れの家族、高齢者、家族に介護が必要な人がいる方などたくさんの来場がありました。

参加者に好評だった企画は、町亞聖さんを迎え、東京福祉専門学校生徒や福祉職場で働く職員が登壇し、座談会形式で行われたトークセッションです。専門学校生には「なぜ福祉の勉強をしようと思ったか」を尋ね、現役職員には「今の仕事を選んだきっかけ」や「仕事のやりがい」をテーマに、町さんが話を引き出していきました。

トークセッション
トークセッションの様子
進行は介護経験を持つフリーアナウンサーの町さん

フェア実行委員の一人「ひのでホーム」の嶋崎美咲さんは、「トークセッションはステージを見ている学生が数年後の自分の姿と重ねられるようにと企画した。また、手づくりのマンガを入れた冊子を配布し、興味がわけばすぐに資料請求ができるよう福祉が学べる学校一覧を後ろにつけた。小学生には社協が実施している夏体験ボランティアを案内したり、転職を考えている方には、フェアに参加している職員にすぐ話が聞けるようにするなど、興味を持った方がスムーズに次の行動へすすめるように工夫した」と話します。

齋藤さんは、「地域の方にとって『福祉』=『資格が必要』『専門的』というイメージから敷居が高くなってしまうのではないかと考えた。日の出町の人が日の出町で働いてくれるなら、それが福祉職でなくても、地域の活性化につながる。そのために、今までにないような固くない方法で、福祉に興味のない人も巻き込みたかった」と話します。

分野をこえた連携が生み出す効果

嶋崎さんは、「当日フェアに参加した者だけでなく、裏方としても各施設からたくさんの職員が出てきて頑張った。日の出町は施設同士も、役場や社協などとも日頃から関係が深く、相談しやすくて距離が近い。今回23施設が協働できたのも、このような長年の関係性があるからこそだと思う」と話します。

フェアは大盛況で終了しました。齋藤さんは「すぐに採用に結びついたわけではないが、トークセッションを聞いていた学生が専門学校へ資料請求をしたり、オープンキャンパスに行ったという声も届いている」と話します。そして、「分野を越えて職員同士、法人同士のつながりが生まれたことはもちろん、普段職員が外に向けて発信する機会はあまりないので、やっている側も楽しんでいる姿が印象的だった」とふり返ります。

嶋崎さんは「アンケートの中で『参加している職員の笑顔がよかった』という回答があった。福祉の仕事をしている人の内側から出ている気持ちよさや、雰囲気は会えば感じてもらえるはず。そういうものが伝わってくれたら嬉しい」と話します。齋藤さんは、「職員の笑顔を見て、この仕事が幸せな仕事であることを感じ取ってくれたのかもしれない。日の出町で福祉の仕事をすることを将来の選択肢の一つとして、一人でも考えてくれる若者がいれば嬉しい」と話します。

施設紹介タイム。ダンスを披露するひのでホーム職員
23施設がそれぞれ10分間の施設紹介タイム
「ひのでホーム」は男性職員がダンスを披露

町の人気者「お年寄リスペクト隊」

フェアのステージでもとても盛り上がりを見せた「お年寄リスペクト隊(以下、リスペクト隊)」は、町内の地域包括支援センターや、各居宅介護支援事業所で働くケアマネ有志職員で結成され、①町民と顔の見える関係づくり、②介護の啓蒙をテーマに活動しています。主に認知症サポーター養成講座や町内のイベントで活躍しており、地域の方から親しまれています。

認知症の方への対応の仕方を伝える寸劇はわかりやすいと大好評です。また、「お年寄リスペクト」の歌とダンスも地域の方にとても人気があります。作詞作曲は(社福)ほうえい会「栄光の杜指定居宅介護支援事業所」の田村泰志さんです。この歌を子どもたちが歌ったり踊ったりする中で、将来自然にお年寄りを大切にする気持ちを持ってくれたらという田村さんの想いが詰まっています。

お年寄りリスペクト隊
お年寄リスペクト隊
R=Respect E=Elderly P=People

目的はまじめだけど表現は明るく!

リスペクト隊では、介護の仕事に対してポジティブな発信をめざしつつ、自分たちも楽しむことを大切にしています。(社福)芳洋会「在宅サービスセンターひので理想郷」の越沼研さんは、「介護の仕事をしている人たち楽しそうだな、自分も楽しくできるかなと感じてもらえれば嬉しい。そして、楽しいけど心に響くものをやり続けたい」と話します。

田村さんは「町内の三世代がお年寄リスペクトの歌を口ずさみ、踊ったりしながらお年寄りを大切にする心を持つとともに、少しでも介護に目を向けて関心を高めてくれるようこれからも頑張りたい」と話します。

住んでいる人も働いている人も日の出町が好きだから自然に連携できる

医療法人互生会「介護老人保健施設ファミリート日の出ケアセンター」管理者の岡部雅子さんは「日の出町で仕事していてよかったと思う。普段からメンバーに仕事の話を相談できる」と言います。また、「栄光の杜」の橋本真悟さんも「元々よい関係性があったので、自分が新人の時も入っていきやすく、仕事もやりやすかった」と普段からの関係の良さが仕事にも活きていると話します。

他事業所同士の上手な連携について、田村さんは「連携のしくみも大切だが、〝システムより人〟。私たちは皆で一つのものをつくるうちにコミュニケーションが取れていき、相談しやすい関係性ができていった。形式ばっていない連携ができていると思う。顔と顔が見える関係づくりは一番に町民の利益につながる。そして、未来の自分や家族の安心につながっていくと思う」と話します。

ハートワーカーたちがともに手をつなぎ、連携して地域や未来の町の人材へ積極的にはたらきかけをしている日の出町のこれからにますます期待が高まります。

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月刊「福祉広報」

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