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福祉×情報(2018年1月)

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ターゲットを明確にした採用ツールによる、伝えたい相手に届ける情報発信

金子さん
(社福)三幸福祉会 総務部 採用担当 金子 紗紀さん

(社福)三幸福祉会は、23区内の複数箇所で特別養護老人ホームや有料老人ホーム、保育所を運営する法人です。

職員数は約250人、平均年齢は26.5歳で、若い人材が多数活躍しています。

今号では、採用広報の情報発信について、情報の受け手の立場から各種ツールを見直し、成果を挙げている事例を紹介します。

 

平成14年に設立された三幸福祉会では、3年後の特養新設を控え、福祉系に限らず学生数自体が減少する厳しい状況のなか、人材の確保・育成・定着に一層、力を入れています。

ターゲットに合わせ、説明会のスライド資料を見直し

法人総務部の金子紗紀さんは、前任者の異動に伴い26年に採用担当になりました。採用活動のすすめ方すらよくわからないなか、副理事長に相談しつつ、できることから取組んでいくことにしました。

はじめに手をつけたのは、職場説明会で使用するスライド資料の更新です。三幸福祉会では、教育や人材ビジネスを展開するグループ法人と同様、可能性ある若い人材を育てていくことを大切にしており、新卒採用に重点が置かれていました。その視点から改めてスライドをチェックしてみると、法人理念や研修体系など必要な要素は入っているものの、見せ方の点で若い世代への訴求力が不足していると感じました。

「ターゲットである新卒学生向けとしては、説明文の表現やイラスト、写真など全体の印象が堅かった」と金子さんは言います。そこで、「色はピンクを基調にかわいく、明るく元気なイメージ」をコンセプトに、スライドを作成し直すことにしました。プレゼンテーションソフトの効果的な使い方をインターネットで調べて、法人運営に関するポジティブな数字をグラフ化したり、職員の表情や職場の雰囲気が伝わる写真を大幅に増やしたりしました。

変更前のスライド
更新前
必要な要素はすべて入っているものの、内容・表現とも全体的に堅いつくり。

変更後のスライド
更新後
法人のアピールポイントを数字化・グラフ化。写真も増やしてやわらかな印象に。

スライドの見直しはお金をかけずにすぐ取組むことができ、説明会で参加者の反応がわかることもよい点でした。また日常業務の説明をする現場職員自身が説明会に参加する意義を感じられるよう、スライドの最後によくある質問の一覧を入れて質問をしやすい雰囲気をつくるなどの工夫もしました。金子さんは「学生は仕事への夢をもって説明会に参加してくれたのだから、夢をもったまま帰ってほしい」と想いを語ります。

親しみある採用サイトと広報ツールの作成

説明会参加者を増やすためには、幅広い情報発信が必要です。若い世代はまずインターネットで情報を探すため、その入口を整えることが不可欠だと考えた金子さんは、採用サイトのリニューアルを提案しました。法人内では必要性がなかなか理解されない状況もありましたが、半年間、粘り強く提案し続け、ようやく27年度に実現しました。採用サイトも説明会のスライドと同様のコンセプトで見直すことを制作会社に伝え、いきいきと働いている職員の姿を前面に出した、楽しく、親しみある雰囲気のサイトになりました。

また、採用広報活動に使用するリーフレットの作成や法人パンフレットのリニューアルにも取りかかりました。リーフレットは採用サイトと同じ制作会社に「かわいく楽しく、福祉っぽくない福祉のイメージで」作成することを依頼し、若者向けファッション雑誌のような満足のいくものができました。リーフレットは求人票と一緒に各回300か所ずつ、年3回学校に送付しているほか、就職セミナー等でも配布しています。金子さんは「合同説明会で配架すると、確実に参加者が足を止めて手にとってくれるようになった」と実感しています。リーフレットのデータは制作会社から買い取り、デザインソフトを購入して法人内で修正・更新できるような環境を整えました。

こうした取組みの効果はどのように出ているのでしょうか。金子さんは「採用サイトの反響がどれくらいかはわからないが、採用者の傾向に変化があった」と言います。たとえば、25年度は新卒採用者27人のうち福祉系大学や専門学校卒は6人でしたが、28年度は新卒採用者29人のうち福祉系大学や専門学校卒が23人に増えました。「福祉系学校の出身者は一般学校の出身者よりも定着率が高いので、その意味で必要としている人材を採用できている」と金子さんは手応えを感じています。

法人全体で情報発信に取組む

29年5月には、これも以前から提案していた法人ウェブサイトのリニューアルを実施しました。作業をすすめるにあたっては、別施設の施設長で、グループ系列の専門学校講師も務める柳沼亮一さんと一緒に行うことになりました。金子さんと同じようにリニューアルの必要性を感じていたためです。そして、この機会に二人で広報部を組織することになり、兼任ではありますが、さらに広報活動を推進していく体制が強化されました。SNSを新たに始める際も、やはり最初は理解が得られにくかったそうですが、柳沼さんがSNSの説明や導入効果に関する資料を作成し、上司を説得することができました。広報部としての協力体制ができた成果といえます。

採用活動からスタートし、法人全体の情報発信まで着実に取組みをすすめてきていますが、苦労や課題もあります。「職員の魅力や職場の雰囲気を伝えるには、とにかく写真が重要。人選から本人への撮影依頼、周りの職員も含めたその後のフォローなど内部調整に気をつけている」と金子さんは言います。他にも利用者や家族など許可を得ていない方が写り込んでいないか、適切でない内容ではないか等にも気を配っており、「写真を見た人から思わぬ指摘を受けることもあるので、細心の注意が必要」と強調します。

金子さんは、介護業界のネガティブなイメージを変えていきたいと考えています。「“介護業界にはこんな素敵な人が働いているんだ!”と共感や尊敬ができるような魅力的な人材を発信していきたい。法人全体で広報や情報発信の意識を高めていけば、もっと変わってくると思う」と今後の展望を語ります。そして福祉を学ぶ学生だけではなく、多くの人に福祉の魅力を伝えていくため、これからも積極的な情報発信に取組んでいきます。

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月刊「福祉広報」

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