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社会福祉法人による取組み

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「終わりのない関わり」を続けて

社会福祉法人「青少年と共に歩む会」憩いの家(世田谷区)

憩いの家イラスト

自立援助ホームは全国に107か所、そのうち東京都には17か所あります。自立援助ホームが制度化される以前より児童養護施設のアフターケアホームとして、世田谷区内で憩いの家を3軒運営してきた社会福祉法人「青少年と共に歩む会」憩いの家の取組みを紹介します。

福祉広報2012年09月号

中卒、無資格でも生きるために働く

「三宿憩いの家」ができる前の昭和33年に、日本で初めてのアフターケア施設「新宿寮」ができ、経堂憩いの家ができたのと同じ年に「清周寮」ができました(いずれも社会福祉法人 青少年福祉センターが設立)。憩いの家は、街の中の家を借りて、6人の子どもを受け入れるグループホームの先鞭をつけましたが、それをモデルにして、全国各地に同じ規模の自立援助ホームが生まれたとすると、開拓者としての責任を感じます。

都からの委託費は昔に比べると増えましたが、足りない分はチャリティバザー、賛助会費、寄附金等で運営しています。利用している子どもは毎月生活費(3万円)を支払い、働きながら退居後の自立生活に向けて準備をしています。最近では、厳しい雇用状況を踏まえた就労支援の一環として、高校卒業認定の取得や上級学校への進学を支援する自立援助ホームも出てきています。

しかし、高校卒業資格や職業に関する様々な資格がない中でも、生きていくために働かなければならない子がまだ多くいます。高校進学率は高くなったように見えますが、依然として中退者が多く、児童養護施設においても卒業まで施設に残る子は限られています。東京は地方に比べて求人数が多いとはいえ、このような中卒で無資格の未成年では、長期間・長時間の安定した仕事は見つけづらく、月収は10万円に満たない場合もあります。短期間・短時間の仕事を複数掛け持ちしている子もいます。それでも、憩いの家に来たことで、働いていくことで「社会で暮らしていくこと」をわかって欲しいと願います。憩いの家で暮らすことが社会とかけ離れたものではなく、社会に出る第一歩であり、それを見守る大人でありたいと思っています。

子どもの意思による入居

憩いの家への入居依頼は、児童相談所や家裁からありますが、最終的には子どもの意思で入居が開始されます。そのため入居期間は様々で、憩いの家では半年から1年の入居が多いです。入居前には、面接でホームでの生活の説明をし、「試し泊まり」を行いますので、入居を希望する子は「働く」ことを覚悟してやってきます。しかし、積極的に自立援助ホームでの生活を望んでくるというよりも、他に選択肢がない、行くところがないという子も多く、腰を落ち着けて暮らせるようになるまで時間がかかる子もいます。

生活に慣れ仕事を探す段階になると、採用面接を受けても、不安からか、働きたくないからか「決まらないほうがいい」と言う子もいます。仕事が決まり働き始めてからも、必ずしも順調にいく子ばかりではなく、遅刻が増えたり、出勤しても仕事に身が入らなかったり、勝手に辞めてしまう子もいます。このことを何度も繰り返しながら、職場の人にかわいがられたり、気の合う仲間ができたりすることで、「やりがい」や「楽しさ」や「自信」につながってほしいと願っています。

何度でも生活をたて直す手伝いを

退居時期の目安は、仕事をする生活に慣れること、スタッフ等の大人とのコミュニケーションが取れ、お互いが見えてくること、困った時にはここ(憩いの家)に相談できるという感触をつかんでいること等があります。自立生活をはじめるための貯金ができているかも確認した上で、スタッフから子どもに退居の話を持ちかけたり、子どもから「そろそろ外でやってみたい」と言ってくる場合もあります。退居後は、仕事や住居のことなど様々な理由で生活がうまくいかず、時には2度、3度戻ってくる場合もありますが、スタッフは何度でも生活を立て直す手伝いをします。

中には、入居して数日~1週間で憩いの家を出てしまい、歌舞伎町等の性産業の世界へ足を踏み入れてしまう子や、地元の遊び友達のところに戻ってしまう子もいます。本人の意思で退居し連絡も取れなくなってしまうと関わりようがなく、連絡が来るのを待つばかりでやりきれない思いがあります。

終わりのない関わり

憩いの家では、「出てからが本番」と、子どもたちと「永く関わること」を重視してきました。退居後も子どもが求める限り「終わりのない関わり」を続けています。これまでに3つの憩いの家を退居した子どもは約600人です。退居者と関わりがあった際にはスタッフが記録として残しています。昨年度1年間で、3軒の憩いの家では107名の退居者と関わりがありました。退居者1人当たり、最も多い来所が50回、電話が年に20回以上の人が16人、最も多くスタッフが訪問した回数は17回です。

そして、関わった退居者の最高年齢は58歳です。青年期を過ぎて30代、40代になっても、仕事やお金、家族のことなど悩みは尽きません。話を聞くだけのことが多いですが、できることがあれば一緒に動くこともします。必要な場合には訪ねてきた退居者の宿泊所にもなり、現実的かつ精神的な「居場所」を提供しています。現在、入居している子どもたちには、そのような退居者の姿を見て、「自分も困ったらここに頼っていいんだ」と感じてもらえるような支援を続けています。

関わりの質を維持するために

退居者は自分が関わったスタッフがそこにいてこそ、憩いの家を「拠り所」にして頼ってくれます。入居している子どもとは、籍がなくなったら関わりが終わるわけではありません。関わりの質を維持するためにも、可能な限りスタッフが長く働き続けることが事業を続ける上で求められていると考えます。と同時に、辞めたスタッフの中にも子どもとつながりを続けている人が多く、憩いの家は人と人との出会いの場だと感じます。

児童養護施設退所者に限らない利用者の実態からも、入居中から退居まで自立援助ホームならではの関わり方があり、入居者だけではなく退居者も対象とするよう、「実員」の枠をはずした発想を求めてきました。東京都では児童養護施設に自立支援コーディネーター(調整者)を配置しています。自立援助ホームにおいてもスタッフが退居者のために動く時間を保障してもらい、これからも細くても、長く、つながっていきたいです。
スキー写真
仕事の休みを調整して行ったスキー

憩いの家の3つの約束

1 働くこと

自立するために一番必要なことです。一人暮らしを始めるための貯金をすること、そして一人暮らしを維持していくために、最低でも1日6時間以上週5日以上働くことが目標です。

2 生活費3万円を納めること

子どもも大人もみんなで生活費を出し合って生活しています。食費・光熱費・日用品…。生きていくためにはお金が必要です。

3 門限23時

共同生活は周りへの気遣いが必要です。自分のことだけでなく、他の人に迷惑をかけないようにするのは、アパートに出てからも最低限のマナーです。明日の仕事に備えて自分の為にも夜はゆっくり休みます。

憩いの家が大切にしていること

1 暮らしを共にすること

「憩いの家」は子どもの生活の場所です。だからおとなにとっても「職場」ではなく、「暮らしの場」でありたいと考えています。仕事から帰ってきてくつろいでいる時、何気ない会話の時、みんなで食卓を囲む時、どれも共に暮らしているからこそ生まれる、子どもたちとのとても大切な時間です。

2 子どもの意思決定を尊重すること

「憩いの家」での生活は、大人の都合で振り回されてきたそれまでの生活とは違い、自分の人生を自分で選び、自分で責任を取るということ。今まで選択権どころか感情を抑えて生きてきた子どもたちにとっては戸惑うことも多々あります。そんな時は一緒に考えます。失敗や挫折はつき物、反省と次なる自己決定さえ怠らなければそれは成長の階段です。「憩いの家」は、自分のことを考える練習をする場所、立ち上がる練習をする場所です。

3 こちらから関わりを切らないこと

本当のスタートラインは「憩いの家」を退居する時です。何もかもが初めての経験だから、知らないことも一人では難しいこともたくさんあります。制度や役所の手続きがわからない、愚痴を言いたい、一人暮らしがさみしいなどなど・・・。一人で頑張ってみたけどうにもならない時は、いつでも相談に乗ります。20歳を過ぎても、退居して何年経っても変わりません。「憩いの家」での生活は、退居してからも繋がるための土台作りです。

 玄関

部屋の様子

※自立援助ホームは、様々な理由で家庭では生活できない、義務教育を終えた15歳から20歳までの子どもたちが、自立に向けて働くことを基本としながら生活する場所です。厚労省「社会的養護の課題と将来像への取組(平成24年6月)」によると、被虐待、発達障害、精神科通院、高校中退、家庭裁判所の歩道委託や少年院からの身元引き受けなど、様々な困難を抱えている児童等を引き受けている実態があります。

※都内では、昭和59年に自立援助ホームが制度化される以前から、長年に亘って青少年福祉センターと青少年と共に歩む会の2法人が青少年の相談事業に関わってきました。

 

社会福祉法人「青少年と共に歩む会」憩いの家

世田谷区桜上水1-27-11
TEL03-3304-4702
http://ikoi-setagaya.jp/

昭和42年9月三宿憩いの家開設、昭和49年3月経堂憩いの家開設。
昭和57年12月祖師谷憩いの家開設、昭和59年自立援助ホームを東京都が制度化。
平成10年児童福祉法に明文化され、平成11年3月社会福祉法人「青少年と共に歩む会」に。

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