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HIV長期療養者の受入れを推進ー社会福祉法人武蔵野会の取組み

社会福祉法人武蔵野会(八王子市)

HIV感染症は、新薬で感染を防ぎ、進行を抑えることができるようになり、慢性疾患の一つと考えられるようになりました。そのため、加齢による認知症や脳梗塞などから在宅生活が困難となり、福祉施設の利用が必要となる方も増えています。一方で、HIVやエイズに対する正しい知識がないことから不安を持ち、福祉施設の受入れがすすまない状況があります。
このような背景のもと、「HIV長期療養者受入れマニュアル」の作成、研修会、相談事業を実施している社会福祉法人武蔵野会の取組みを紹介します。

平成27年8月取材

HIV、エイズは怖い病気?(「HIV/エイズの正しい知識~知ることから始めよう~」から)

エイズは、様々な病原体から体を守る免疫機能が働かなくなる病気です。エイズはHIVというウィルスに感染することで発症します。HIV感染=エイズではなく、HIV感染により免疫機能が低下し、厚生労働省が定めた合併症を発症した場合にエイズと診断されます。現在では、治療薬をきちんと服薬することでエイズ発症を抑えることが可能になりました。平成10年4月からは状態に応じて身体障害者手帳を申請できるようになりました。HIVは福祉施設で受入れがすすんでいるB型肝炎やC型肝炎に比べて感染力はかなり低く、性的接触や血液の扱いに気を付けていれば日常生活で感染する危険はありません。正しい知識を持ち、標準予防対策=スタンダードプリコーション(すべての人が何らかの病原体を持っていることを仮定して日常的な対応を定めたもの)を実践することが大切です。

法人内研修と調査研究事業の依頼がきっかけ

武蔵野会では、平成19年に法人内の看護師を対象として「HIV感染者の受入れ」をテーマとした研修会を開催しました。「自分を愛するようにあなたの隣人を愛せよ」という法人の理念に照らし、差別や偏見があってはいけないという考えに基づき実施しましたが、受入れについて必ずしも全職員が賛成できない状況がありました。また、同じ頃、現在、法人本部次長の山内哲也さんに「厚生労働科学研究費(エイズ対策研究事業)HIV感染症及びその合併症の課題を克服する研究」の分担研究について依頼があったことをきっかけに、法人の組織改善を図ることや、差別や偏見をなくすことをめざし、法人として組織的に引き受けることを決定しました。


研究事業に中心となって取組んでいる法人本部次長の山内哲也さん

法人の理念を実践するために人と社会を変えていく

武蔵野会では、初年度からHIV長期療養者の福祉施設の受入れの推進について、法人の社会貢献事業の一つに位置付け、法人内の各事業所から施設長、課長、事務員などが参画するプロジェクトチームをつくって取組んできました。

法人としてプロジェクトで社会貢献事業に取組むことについて、山内さんは「職員は目の前の施設利用者だけを見ているのではなく、法人の理念を実践するために人と社会を変えていくことに意義を持ってほしい」と言います。また、「職員が社会とつながっていることによりエンパワメントされ、取組みが社会に認知されることが職員を変える」と加えます。社会貢献事業が地域や社会に対する支援であることと同時に職員育成や組織の活性化としても意義が大きいことがうかがえます。「社会福祉法人武蔵野会という社会資源をどう活用して課題解決をしていくか、職員が理念に立ち返り、マネジメント力をつけていくことを目標としている」と言います、

受入れ準備がすすまない福祉施設、正しい知識を持たない職員

平成20年から、当初は山内さんを含む法人内の4人の施設長により、「長期療養者の受入れにおける福祉施設の課題と対策に関する研究」を開始しました。7社会福祉法人42事業所1400名の福祉施設で働く従事者を対象とした調査では、「感染症マニュアルにHIVに関する事項が含まれている」と回答した人は10.8%。「HIV感染についての勉強会や研修を受講した経験がある」と回答した人は18.1%。「スタンダードプリコーションという言葉を知っている」と回答した人は10.9%。福祉施設では受入れ準備が進んでおらず、正しい知識を持たない職員が多いことが伺えます。また、受入れの意思決定をする施設長等経営者へのインタビュー調査も実施しており、調査に参加した施設長は、HIV感染者の受入れに無関心であり、怖い病気という負のイメージを抱いていることや、曖昧なHIVの知識であることがわかりました。さらにHIV感染者の受入れ課題として、教育研修体制の不備、リスク管理の弱さ、支援方法への悩み、特別視などが挙げられました。

福祉施設側が差別を生み出すことがないように

「福祉施設側がHIV感染者を受入れないことにより、社会的な差別を生み出すことになってしまう。正しい知識を持ち、予防し、差別や偏見を取り除くことが大切」と山内さんは話します。武蔵野会では、研究事業を継続すると共に、研究の一環として、調査結果を踏まえた「福祉施設版のHIV感染者の受入れマニュアル」づくりに取組み、全国の施設、関係者等に配布しています。マニュアルを用いた研修会は法人職員が講師として協力し、平成26年度は全国各地で11回開催され、計622人が受講しました。また、法人本部に福祉相談センターをおき、マニュアルの内容やHIV感染者の受入れに関する相談にも応じています。

福祉施設版のHIV感染者の受入マニュアル
「HIV/エイズの正しい知識~知ることから始めよう~」
※社会福祉法人武蔵野会のホームページからダウンロードすることができます。

マニュアルや研修会を通じた普及啓発の成果

個人のプライバシー保護等により、HIV感染者を実際に受入れている福祉施設の情報が公開されにくい状況があるため、いざ受入れ要請があると唐突に感じてしまうのが一般的な傾向です。しかし、全国で開催した研修会の受講者622人にHIV感染者の受入れについてアンケートをとったところ下記の結果でした。程度の差はあるものの、肯定的な回答が全体の93.3%でした。まずは正しい知識を持つことが重要といえる結果です。

他の利用者と同様に受け入れたい 67.9%
病状が安定していれば受け入れても良いと思う 20.2%
不安があるが受け入れることはできる 5.8%

福祉施設全体の受入れ実数は、まだまだ少ないものの、環境整備を始める施設が出てくるなど、少しずつ、取組みの成果が見えてきていると言います。武蔵野会では、今後もこの事業に引き続き取組み、障害者差別や人権擁護の視点からソーシャルワーカーに働きかけていきたいと考えています。


福祉施設職員を対象としたHIV/AIDS啓発研修の様子

 

社会福祉法人武蔵野会

〒193-0931 東京都八王子市台町1-19-3
TEL:042-623-8509
http://www.musashinokai.jp/

1963年に社会福祉法人として認可。戦災孤児の救済、保護のための運営開始。「自分を愛するようにあなたの隣人を愛せよ」を理念に児童養護施設、障害施設、知的障害者施設、高齢者施設など計24施設を運営。

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