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東京都地域公益活動推進協議会

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地域からの求めにこたえて、働きにくさを抱えた方を雇用する

社会福祉法人泉会 日の出舎(西多摩郡日出町)

テーブルを囲み、利用者やスタッフが食事をしている様子

社会福祉法人泉会「日の出舎」では、施設創設以来、地域のニーズにこたえる形で働きにくさを抱えた方を雇用してきました。柔軟な受入れをしていくなかで、当初は、さまざまな困難を抱えていた方でも、日の出舎の戦力として定着して働いている方が多くいます。

平成28年12月22日掲載

施設前での集合写真
障害者の入所施設や就労継続支援B型事業所等をもつ社会福祉法人泉会「日の出舎」では、引きこもり状態だった方や発達障害のある方、疾患がある方等さまざまな働きにくさを抱えた方が、その人らしく、いきいきと働いています。

「改めて考えてみると7名の方を受入れていた」と日の出エリア統括施設長の西田徹さんが話すように、日の出舎では、施設創設以来、「支援を必要としている人の切迫したニーズにこたえよう」と、働きにくさを抱えた方をごく自然に受入れてきました。その取組みは口コミで広がり、地域の方やハローワーク、障害者センター等から年間約10件の相談が寄せられています。なかには、本人や保護者が飛び込みで来所し、「日の出舎で働かせてくれないか」と直接施設に相談に来ることもあります。

柔軟な受入れをすることが大切

社会への適応が難しく、働きにくさを抱えている方に対しては、時間をかけて柔軟な受入れをすることが大切です。日の出舎では、働きにくさを抱えている方本人の意向を最優先にして、仕事内容や勤務時間を調整し、本人に合わせた受入れをするようにしています。また、どのような方も、基本的には非常勤職員として同一の待遇で受入れています。

一般的に、介護業務はコミュニケーションが苦手な方にとってはやりにくい仕事だと思われていますが、日の出舎では、働きにくさを抱えて就業している方のうち、介護業務を担っている方が、半数以上にのぼります。

もちろん、本人の適性により、パソコンを使った仕事や、就労継続支援B型の「就労日の出舎」で作業の補助をしている方もいます。日の出舎の仕事には合わなくても働く力が十分ある方には、本人の希望に合わせて、転職の支援をすることもあります。ヘルパー2級の資格を取得する支援をして高齢者施設での介護の仕事を紹介した方や、数年かけて本人の気持ちに寄り添い、福祉職以外の仕事に転職する支援をした方などもいます。

また、働きにくさを抱えている方を支えるために、施設長や課長をはじめとした管理職がきめ細かくサポートし、施設の心理士に、本人自身が相談したり、管理職が相談したりできるようにしています。

このようにきめ細かく柔軟な受入れ方をすることで、働きにくさを抱えた方の定着率も高く、勤続年数が5年、10年を超える方が半数以上となっています。

たとえば、働き始めた当初、周囲の人とのコミュニケーションに悩んでいた発達障害のある方で、週1回から数年かけて勤務日数を増やし、今では、週5回・1日7時間、生活介助の仕事を5年以上続けている方がいます。ときどき管理職がじっくり悩みを聞き、本人のつまづきに対してアドバイスをするなかで成長し、先々の手順を見通して丁寧な介護を行うことで、利用者からも職員からも信頼を集めています。日の出舎支援課課長の森敏彦さんは、「定着するまでは、遅刻や欠勤、利用者や職員との関係調整、悩み相談を受けるなど大変なこともあるが、その方にいてもらわないと困ることが必ず出てくる」と話します。

そして、定着していくためのコツとして、「遅刻や欠勤があった時、注意はしても責めないようにしている。まずは、本人が職場に来られる状況をつくることが大切。」と話します。西田さんは、「それは、期待していないからではなく、ゆっくり時間をかけながら接して、少しずつ変わっていくのを待っているから」と説明します。

職員の支援力が高まる

働きにくさを抱えた方を受入れるメリットとして、西田さんは、「地域あっての施設。何より地域のニーズにこたえられることがメリット」としたうえで、「職員にとっても、働きにくさを抱えた方とともに働く経験は、長期的な視野での利用者理解に役立ち、支援の力量が高まっていく」と説明します。森さんは、「いろんな人が働いているのが当たり前のことだと思う職員が増えてくるといい。障害の有無にかかわらず、誰もが介護や子育て、病気などで柔軟な働き方が必要な時がある。どんな職員でも働きやすい日の出舎にしていきたい」と語ります。

テーブルを囲み、団欒している利用者とスタッフ

「多様な人と共に働くことで、より良い対人援助のサービスを提供できる」そんな理念を持って、働きにくさを抱えた方を「当たり前のこと」として受入れる。そして、「当たり前のこと」を実践するために、時間をかけて柔軟なサポート体制を整える。そんな日の出舎のような実践が、もっと広がっていくことで、働きにくさを抱えた方がその人らしく働き、生きていくことができる地域がつくられていくのではないでしょうか。

 

社会福祉法人泉会 日の出舎・就労日の出舎

〒190-0182 東京都西多摩郡日の出町平井3030
TEL:042-597-1451
http://hinodesha.org/index.php

1971年、奥多摩地域で初の福祉施設として、重度身体障害者授産施設「日の出舎」が開設。現在は、障がい福祉新制度施行と共に、障害者支援施設「日の出舎」、障害福祉サービス「就労日の出舎」、指定特定相談支援事業「相談日の出舎」等を持つ。法人理念である「信頼と希望と愛」で地域福祉発展のため社会をつないでいく実践を行う。