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遠藤 智子

TOMOKO ENDO

社会的包摂サポートセンター事務局長

当事者性を保った「通訳者」として
遠藤智子さんは、長く女性の人権問題に関わり、「全国女性シェルターネット」事務局長として、女性たちの力を結集し、DV防止法の改正に携わりました。現在は、「社会的包摂サポートセンター」の事務局長として、どんな人のどんな悩みにもよりそって、一緒に解決する方法を探す24時間365日の電話相談「よりそいホットライン」の運営を担っています。

福祉広報 2013年9月号 明日の福祉を切り拓く

 

女性の人権問題に関わって

私は長く、女性の人権問題、特に女性に対する暴力の根絶に取り組んできました。女性に対する暴力の被害者支援は福祉の視点だけでなく人権救済のスキームで行うべきことですが、制度整備が十分であるとは言えません。
私は、2011年まで地方公共団体で働いていました。入職してすぐに、セクシュアルハラスメント事件が起きました。まだ、「セクハラ」が社会に知られていない時期です。労働組合に話しても理解してもらえず、上司も取り合ってはくれませんでした。思い返してみると、学生の時から、性暴力、セクハラ、ドメスティック・バイオレンスなどの被害にあった女性たちが私の周りにいたことが、きっかけになり、労働組合の役員を27年間担いました。
1980年代から、フェミニストカウンセリングを学び始めました。フェミニズムの神髄は、「個人的なことは社会的なこと」ということにあります。学ぶなかで、女性であるということだけで暴力をふるわれている人がいること、それは個人の問題でなく社会構造の問題だとわかってきました。 

DV防止法改正の運動

私は、説教くさくて、涙もろくて、すぐ問題を引き受けて解決しようとしてしまうので、「相談を受ける人」には、むきません。私は、「社会を変える側の担当」なんだと思っています。
2001年に制定されたDV防止法は、当事者支援の現場からは「不十分な点が多い」という声が挙がりました。だったら、変えれば良いと思いました。全国女性シェルターネットから発信して、「DV法を改正しよう全国ネットワーク」の立ち上げを呼びかけました。
ほぼ1年間、毎週のように国会に足を運び、「全国ネットワーク」として、全部で7回の関係議員や省庁との「意見交換会」を企画・開催し、毎回100名近い人が手弁当で集まってくれました。「法改正への市民参画」と言ってくれる人がいましたが、それまで全国各地で活動してきた、DV被害当事者を支援する団体、個人に「国会に意見を反映するための結集点」を与える役割を果たしたと思います。 

「通訳者」の役割

この運動は、「辺境から中央にせめのぼる」ということでした。その時、重要なのは、「辺境の人」が「辺境の人のまま」で、「中央」に行くことです。相手に合わせて「言葉や態度」を変えなければならないのでは「当事者の切っ先」が鈍ってしまう。そのためには、真ん中に立つ「通訳者」の役割が必要なのです。「辺境」の言葉をメインストリームの言葉に「通訳」していくのが自分の役割だと考えています。

性暴力、DVのホットライン開設

内閣府の事業として2011年2月8日から3月末まで、24時間体制の性暴力・DVの無料電話相談「パーブルダイヤル」が開設されました。国としては初めての試みです。「シェルターネット」としても全面的に協力しました。事業実施中の3月11日に、東日本大震災が起こったのです。国の事業は3月末で終了しましたが、女性たちは、「必要だから、いまやるんだ」と、ホットラインを独自に継続したのです。

よりそいホットラインの開設

そんな中、被災地の孤立の問題にいち早く気づいた医師の熊坂義裕さん(現、社会的包摂サポートセンター代表理事)と出会いました。そして、2011年の10月から、仙台で1回線だけ「よりそいホットライン」を始めました。2012年3月11日からは国の補助金を受けて、全国展開をしています。みえてきたのは相談者の孤立が極めて深刻だということでした。生活困窮や孤立というのは「新しい」問題です。DVと同じです。新しい課題に仮説をたてて、制度を生み出していくことは、これまで私が取り組んできたことです。だから、「よりそいホットライン」を私がすることになったのだと思っています。

支援者とは社会を変える人

社会福祉の役割は、人をサポートするだけではありません。支援者は社会を改革しなければいけないのです。当事者が間違っているのではなく、社会が間違っていると腹の底から信じているかどうか。それが、支援者としての価値だと思います。

えんどう ともこ

1958年生まれ。1993年設立の日本フェミニストカウンセリング研究連絡会(現、NPO法人フェミニストカウンセリング学会)に当初より、運営委員として参画。1999年からDV被害当事者支援民間団体である「多摩でDVを考える会」の活動に参加。2003年のDV法第一次改正時期から、NPO法人全国女性シェルターネットの事務局長として活動。現在、よりそいホットラインを運営する社会的包摂サポートセンター事務局長。

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