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施設内に理解を深める ~高齢者施設がつくる親子の輪~「こどもランチinひのでホーム」

社会福祉法人芳洋会  特別養護老人ホームひのでホーム

子ども食堂を自分たちだけでやるのは、ハードルが高いという地域の人の声に対して、特別養護老人ホームで、できることを提案しながら参加者同士や地域交流を促進し、子育ての悩みの共有やストレス解消が出来る場を設け、子育て世代・児童・幼児の孤立化を防ぐことを狙いとした取り組みを行っています。

平成30年6月27日掲載

特別養護老人ホームを子どもたちが集まるところに

日の出町は、人口が1万7千人くらい。子育て支援に力を入れており、子育て世代が少しずつ増えています。また、ショッピングセンターができたり、近隣に公立の病院があったり、住みやすい町となっています。

その中で、ひのでホームは「こどもランチ」という取組みをしています。半年に一回程度、地域の親子が集まり、施設の調理師が作った食事を食べながら交流する場です。今年で4回目を迎えます。

来場者

 

取組みのきっかけ

施設長が出席した民生委員との集まりで、子ども食堂の話題があがったことがきっかけです。いきなり個人宅を解放して行うのはハードルが高く、日の出町ではまだ実施できていない状況でした。ただ、「こどもが気兼ねなく集まれる場所があるといいね」と話していく中で、「施設のホールが土日空いていますよ」との施設長の提案から、イベントが動き出しました。特別養護老人ホームといった施設は用事がなければ行かないイメージがありますが、そこを脱却したいという思いをずっとあたためてきたことも背景にあります。

 

職場内の体制づくり~スタッフの持ち味を活かす~

すすめるにあたってまず、施設内の協力者を募るために若くてフットワークの軽い職員に声を掛けました。ひのでホームでは、平成14年から毎年新卒を採用しており、介護職員は20代が中心です。柔軟な考え方や自由な雰囲気を持つ方が多く、協力を促しやすい状況でした。また食事については、外部委託ではなく、厨房で調理員が担当しているため、相談しやすく、自慢の料理を地域の人にふるまう機会が出来るということでモチベーションがあがりました。2人の担当のうち1人はお菓子づくりが得意だったので、それを活かしたものにしました。

食事担当

そうしたスタッフそれぞれの知識、経験を活かしたいという思いをくみ取りながら、自己表現の場として、一役買ってもらえるように機会をつくることを意識しました。

外部とつながりを意識した調整~広報活動~

外部との調整と広報活動は地域とのつながりがあるケアマネジャーが担当し、町や社協、学校などの公益団体、そのほか地域に向けてイベントの開催を告知しました。町や社協のような公益的な団体の協力が得られていると、安心して、子どもやお母さんたちが集まってきます。「つながれ ひろがれ ちいきの輪」のキャンペーンに参加し、冠をつけたのもそうしたことが理由の1つです。費用については食事代100円を参加者からいただき、日頃おつきあいしている食品業者に協賛してもらうことで、まかなっています。

それから、子どもが楽しめるプログラムをみんなで考えました。子どもやお母さん達に大変人気があり、保育園・幼稚園の先生たちで結成された、歌って踊れるグループ「マウンテンズ」に催し物をお願いしました。そのほか、カラオケや、以前は流行った妖怪ウォッチのダンス・AKB48の恋するフォーチューンクッキーをダンスプログラムに入れたところ皆知っていることもあり、簡単に踊っていました。また、民生委員によるボランティアが子育て世代の相談役として間に入りました。

マウンテンズ

 

1回では終わらせない、次につなぐ しかけづくり

当日は、子どもたちがとても楽しんでいて、お母さんたちも食事がおいしいと言ってくださり、その後、リピーターになってくれることもあました。ボランティアで来くれた民生委員の方からは「地域での暮らしに心配していた家族が来て、和やかに過ごしていたので安心しました」という声もありました。

こうしたイベントが1つのきっかけとなり、特養という施設が何気ないことでも相談ができて、力になってくれることを参加してくれた方たちが感じてもらえれば何よりだと考えています。

また、今後別のイベント参加に向けた仕掛けづくりも行いました。当法人では11月に町内の産業まつりでパン屋を出展していますが、その引き換え無料券をこどもランチ参加者に配布したところ、20組ほど来てくれました。

 

取組みで得た職員間のつながり

大切にしたのは、それぞれの強みを生かすというところを意識し、細かく動いて理解を深めてもらいながら、協力を求めること。それから、イベントをつくるというのは、人手や労力が必要なため、すでにある取組みから視点を変えてイベントにするということ。取組みの中で、繋がりを少しずつ広げていくうちに、「施設の中だけで、介護だけをすればいい」という時代ではなくなってきているように感じています。これからも柔軟な考えのもとで横のつながりを大切にしながら、手を伸ばして仲間とともにすすめていきたいと思います。