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アクティブ福祉 Digitalうわさの施設

東京都高齢者福祉施設協議会の数ある会員(約1200施設・事業所)のうち、表彰や推薦など、名誉ある経験を持つ施設を紹介するコーナー。毎回‘うわさ’の施設を東京ケアリーダーズが取材します。今回は、高齢者福祉施設での日常のさまざまな場面にスポットライトを当てながら、介護の魅力を発信する「東京の介護ってすばらしいグランプリ(以下、東すば)レシピ部門の最優秀賞を獲得した養護老人ホーム浅川ホーム 栄養士の田丸 由香(たまるゆか)さんにお話を伺いました。

2021年「東京の介護ってすばらしい!グランプリ」レシピ部門 最優秀賞

東京の介護ってすばらしいグランプリ2021 レシピ部門最優秀賞 作品名:見ためもカラダもほっこりする南瓜グラタン(浅川ホーム・田丸由香さん)

2021年の東すばレシピ部門では、見た目もカラダもほっこりできて、世代を超えて家族で楽しめる料理が評価された当作品が最優秀賞を受賞しました。

 

受賞作品(見た目もカラダもほっこりする南瓜グラタン)
受賞作品(見た目もカラダもほっこりする南瓜グラタン)
※高齢協ホームページおよびYOTUBEチャンネルで動画をご覧いただけます。

 

――受賞作品のレシピのコンセプトをお聞かせください。

募集テーマの「ココロとカラダが喜ぶ介護食レシピ」に沿ってレシピを作成しました。審査項目も意識しており、「家庭で作れる」の点では調理器具や調味料等、自宅キッチンにあるものや日常使いの材料を用いて試作、「高齢者への工夫」の点では咀嚼や栄養だけでなく、食事を楽しめるメンタル面でのアプローチなどを考えました。

――今回のレシピ作成の経緯をお聞かせください。

家庭内の高齢者の食事作りは咀嚼や嚥下への配慮が大変だと感じていました。そんな中でも、食事する方の料理を待つときの期待と、作り手の相手を喜ばせたい気持ちの両面でわくわく感を演出できるメニューを考えたいと思いました。

――見た目のインパクトがすごいですね。

食事は視覚からの印象も大事ですので、ひと目で「わっすごい、おいしそう!」と思えるものを考え、カボチャを丸ごと使ってインパクトを出しました。

――今回のレシピの特徴と、高齢者が食べやすくするための工夫をお聞かせください。

グラタンのトッピングは通常のチーズだと冷めた時に固くなってしまうため、冷めても固まらないチーズソースを使用しました。かぼちゃはペースト状にしてホワイトソースと3層に重ね、刻み食やミキサー食の方でも食べられるようにしています。

――レシピを作る際のアドバイスはありますか。

かぼちゃは生だと硬くて切れませんので、最初にレンジで温めてやわらかくするとよいでしょう。小さめのかぼちゃを使うと作りやすいと思います。

――施設での食事提供で、チームで取り組んでいることをお聞かせください。

支援員や相談員を含めたメンバーで、交代で食事の準備を行っており、刻み食やミキサー食も作っています。他職種の方は慣れるまで大変でしたが、高齢者が食べやすい食事がどのように提供されているかを厨房の見学などで共有し、実際に作業してもらうことで、施設全体で食事に対する関心が高まり連携が深まりました。

――施設での食事を楽しんでもらうための工夫をお聞かせください。

当施設が改修中のため現在は休止中ですが、衛生面の配慮や見守りの上でご利用者に自分のおにぎりなどを作ってもらうなど、食事を作る楽しさを感じられる企画を実施していました。弁当形式での提供の際には彩りのある盛り付けを意識しています。

――ご利用者に食事を作っていただく際の様子はいかがでしたか。

自作の料理には特別なおいしさを感じていたようです。ご利用者が作るおにぎりは形や大きさでそれぞれ個性がありました。また、昨年災害対策の一環として屋外でご利用者とカレーを作った際には、具材や隠し味、灰汁の取り方に至るまでそれぞれの家庭の味の工夫を楽しそうに話していました。ご利用者主体で料理をしていただくことは、食事の楽しさの秘訣の一つだと思います。

――地域に対して取り組んでいきたいことはありますか。

コロナ禍となる前は地域の方々に季節のイベントに参加いただき、模擬店で一緒に食事をしていただくといった交流がありましたが、現在はできていません。施設の修繕が終わり、コロナ禍が落ち着いたら、地域の方とスタッフがおいしいレシピを互いに教えあうような料理教室を開催したいと思います。

――今後の目標をお聞かせください。

ご利用者の日々のやりがいや自立支援のため、ご利用者にも協力いただく食事提供を推進していきます。給食当番のような提供形式で、自身の子どもの頃の懐かしい記憶を思い出してもらう形も考えています。衛生面などにも配慮の上、楽しい食事提供や食事の時間を得られる環境を職員で協力して作り上げていきます。

――取材を通じて、ご利用者と一緒に食事を作ることは、私の施設でも取り組んでみたいと思いました。また、ミキサー食、刻み食などの食形態への理解も深めていきたいと思います。本日はありがとうございました。


田丸さん 井出さん
      浅川ホーム 田丸 由香さん           井出 日向子さん(東京ケアリーダーズ)
 

 

社会福祉法人清明会 養護老人ホーム 浅川ホーム

所在地:〒193-0841 東京都八王子市裏高尾957  電話:(042) 661-1514

  • 取材:東京都高齢者福祉施設協議会 東京ケアリーダーズ 井出 日向子(いで ひなこ)(シャローム東久留米)
  • 記録・編集:東京新聞 木下 聡文
  • 浅川ホームホームページ

2022年12月(アクティブ福祉 第51号掲載)

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