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アクティブ福祉 Digitalうわさの施設

東京都高齢者福祉施設協議会の数ある会員(約1200施設・事業所)のうち、表彰や推薦など、名誉ある経験をもつ施設を紹介するコーナー。毎回‘うわさ’の施設を東京ケアリーダーズが訪問し、お話を伺います。

2025年開催 第20回高齢者福祉実践・研究大会「アクティブ福祉 in 東京‘25」
第7分科会「科学的介護の実践・生産性向上の取り組み、地域包括ケア・地域貢献・地域共生社会」優秀賞

「アクティブ福祉 in 東京'25」第7分科会優秀賞 社会福祉法人大三島育徳会 特別養護老人ホーム博水の郷  働きやすい職場による利用者満足度の向上

待遇改善、職場環境の整備、新人育成システムの強化などを通じて職員の離職を防ぎ利用者満足度を向上させた特別養護老人ホーム博水の郷。目標を明確にしできることをすべて実行する姿勢と、他施設の学びになる具体的な方法が評価され、「アクティブ福祉’25」で優秀賞を獲得しました。今回は、発表者である岩永 真祐(いわなが しんすけ)さんと佐藤 大介(さとう だいすけ)さんにお話を伺いました。

 

 

働きやすい職場による両者満足度の向上
介護職員離職ゼロへの挑戦

 
左から岩永 真祐さん、佐藤 大介さん

――研究の背景をお聞かせください。

岩永 当施設の離職率は全国平均より低いのですが、依然退職者はいました。職員が安心してやりがいを持って働くことが利用者満足度向上につながると考え、研究を始めました。

――取り組みの成果をお聞かせください。

岩永 24か月間離職者ゼロの達成により、教育に割かれていた時間をご利用者とのふれあいや個々の希望に沿ったイベントや行事に費やすことができ、第三者評価によるご利用者、ご家族、職員の満足度向上につながりました。

――ご利用者・職員共にWinWinの成果ですね。職員からの反応はいかがでしたか。

岩永 第三者評価のアンケートで、職員の介護職としてのやりがいや満足度が向上。ご利用者満足度も比例するように上がりました。ご利用者とのふれあいの時間がより多く持てるようになったと思います。

佐藤 例えば外食や施設での園芸活動など、ご利用者それぞれの希望に沿った行事を個別にやりたいという声が職員から多く上がるようになりました。行事が多くなることで、採用活動にもプラスに働いているようです。

――職員配置「1.9対1」達成はすごい成果だと思いますが、どのように実現しましたか。

岩永 人材対策室での積極的なリクルート活動で徐々に職員が増えてきました。また、職員のライフワークバランスや体調面を考慮しながら臨機応変に勤務体制の調整を行い、仕事を続けたい方の離職を減らすことができていると思います。一日に勤務する職員が増えたことで全体的に余裕が出てきました。

――本研究での博水の郷独自の取り組みをお聞かせください。

岩永 休暇取得推進の一環で設けている「家族応援休暇」です。例えば子供の運動会など家族のイベントに応じて年間3日間休暇を取得できるもので、職員のモチベーションの一つになっています。昨年は取得率100%でした。

――家族というと独身職員が取りにくいようにも感じますが、どのように取得を推進していますか。

岩永 家族という言葉を広くとらえていて、例えば親の病院の付き添い、ペットとの時間を過ごす、自分の誕生日、趣味の時間という理由での取得もありました。休暇の使い方がアクティブになったという職員もいます。

佐藤 申請制でなく理由も言わなくてもいいのですが、職員の雑談でプライベートの話が多く出るようになり、職場の雰囲気がよりよくなったとも感じます。また、ご利用者と「お休みにこんなことしたよ」と話すなど、これまで以上に意思疎通が円滑になりました。


<取材の様子>左から博水の郷 佐藤さん、岩永さん、
東京都高齢者福祉施設協議会 広報戦略推進委員 長島さん

――法人施設間合同の職員イベントを実施しているとのことですが、参加者が仲のいい人で固定されないようにする工夫はありますか?

岩永 どんなイベントをしたいか職員にアンケートを取り、上位のものから福利厚生委員会で実施を検討していきます。各部署から幹事を募り計画するのですが、他部署の職員を必ず入れるルールにして交流を促しています。なお、強制参加にはしていません。

佐藤 毎年イベント内容は様々で、今年は映画の影響で歌舞伎を希望する方が多かったです。ラフティングや登山、女性に人気のマッサージといったものもありました。活動に対し、法人から一人1万円の補助をしています。この活動は別部署との連携のやりやすさにつながっていると感じます。

――SNSやWEBはどのように活用していますか。

岩永 昨今の求職者はインスタグラムを見ますので、現場を知ってもらうためのツールとして発信を心がけています。また、遠方のご家族がご利用者の生活の様子を知ることができると喜ばれています。

佐藤 職員によるブログもあり、例えば旅行やペットの写真など、介護と関係ないことも積極的に発信しています。「他の部署にはこんな人がいるんだ」という、職員間の横のつながりを強固にすることも狙いにしています。

――受賞の感想や反響をお聞かせください。

岩永 シンプルに介護業界のイメージアップにつながったと思います。また、自分たちの努力の結果を再発見でき、改めて休みの取りやすさが実感できたという声もありました。大学教授から協働で働く環境の調査をしたいというご連絡も頂きました。

――今後の目標をお聞かせください。

岩永 職員が入職してよかったと感じられ、モチベーションを保てる職場を、一瞬一瞬を積み重ねて実現したいと思います。そのために、不安や相談事をすぐに聞き入れられる姿勢を持ち続けます。

佐藤 介護業界に就職する職員はご利用者の役に立ちたいという志を持っています。日常ケアに加えて「このご利用者にこんなことをしたい」という個別ケアを実現してもらえるよう、無茶だと思えるような案も否定せず、実現できる手立てを一緒に模索していきます。

――今後研究活動を行う施設へのアドバイスをお願いします。

岩永 一つの目標に向かって多くの協力者を募り、皆に他人事じゃないという意識を持ってもらうことがポイントだと思います。仮に受賞ができなくても、皆が自分事として捉え一つの方向に向かうことは、それ自体が成功体験になります。

――私の施設も職員数や休暇も多いのですが、満足度の高さは博水の郷さんほどではないように感じます。どこに差があるのか答えは出ませんが、人材施策では担当者の熱量や現場への想いの浸透度が要因の一つなのかもしれません。ご利用者・職員の満足度をより高められるよう工夫していきたいと思います。本日はありがとうございました。

 


〈施設前での1枚〉左から岩永さん、佐藤さん、長島さん

 

社会福祉法人大三島育徳会 特別養護老人ホーム博水の郷

所在地:〒157-0077 東京都世田谷区鎌田3-16-6                    
電話:03-5491-0340
  • 取材:東京都高齢者福祉施設協議会 広報戦略推進委員会 長島 利恵さん(マイライフ徳丸)
  • 記録・編集:東京新聞 木下 聡文 

2025年12月(アクティブ福祉 第63号掲載)

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