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アクティブ福祉 Digitalうわさの施設

東京都高齢者福祉施設協議会の数ある会員(約1200施設・事業所)のうち、表彰や推薦など、名誉ある経験をもつ施設を紹介するコーナー。毎回‘うわさ’の施設を東京ケアリーダーズが訪問し、お話を伺います。

2025年開催 第20回高齢者福祉実践・研究大会「アクティブ福祉 in 東京‘25」
第6分科会「日常ケアの向上」優秀賞

「アクティブ福祉 in 東京'25」第6分科会優秀賞 社会福祉法人亀鶴会  特別養護老人ホーム神明園 "楽しみ”の提供からみるサクセスフル・エイジング

ネイルケアサロンを通じてご利用者に楽しみを提供し、活動前後のご利用者と職員の変化を調査した神明園。ネイルケアとチームビルド双方における成果の明確化や、ご利用者に自分らしさと心豊かさを提供する活動が評価され、「アクティブ福祉’25」で優秀賞を獲得しました。今回は、発表者である高篠沙耶香(たかしの さやか)さんと澤田 美央(さわだ みお)さんにお話を伺いました。

 

 

 “楽しみ”の提供からみるサクセスフル・エイジング
~ネイルケアサロンチームの活動を通して~

 
右から澤田美央さん、高篠沙耶香さん、生田目大樹さん(東京ケアリーダーズ)

――実際にネイルケアサロン(以下、サロン)を見学させていただき、ご利用者が笑顔になり会話が増えるのが目に見えてわかりました。うれし泣きされるご利用者もいらっしゃいました。本取り組みを始めたきっかけをお聞かせください。

澤田 当施設では女性比率が高く、部屋に化粧品やクリームを置いているなどおしゃれに関心の高い方が多くいらっしゃいます。日頃からご利用者のやりたい活動をできるだけ実践する方針がある中で、その一環としてコミュニケーションを楽しみ喜んでもらえるサロンをスタートしました。現在の参加者数は約30名です。

◀ネイルケアサロンの様子

――早速話がそれてしまいますが、ご利用者の希望で実践した活動はどのようなものがありますか?

澤田 輪投げ、ボーリング、綱引きなどがあります。月に一度の入居者懇談会で希望を伺い、月に3~6件程度実施しています。基本的には即座に実行することを心がけていて、たいていのご希望は実現できているかなと思います。

高篠 食事に関するご希望が多くて、餃子やお好み焼きづくり、焼き芋なども実施しました。マグロの解体ショーや手作りケーキでのお茶会なども行っています。

――私の施設ではご利用者のご希望にすぐに応えられないこともあります。即座に実践できるのはとてもすごいですね。サロンはどのように実施していますか。

澤田 各フロアを回る形式で行っています。マニキュアは色が少ないと満足できないので、できるだけ色を多くそろえているほか、シールなども用意しています。パルスオキシメーター使用のため、片側の人差し指だけはネイルをしていません。

――サロンを研究題材にしようと思われたきっかけはありますか。

澤田 最初はレクリエーション・遊びの一環で行っていたのですが、マニキュアは1,2週間ではがれてしまうので、きれいを維持したいというご利用者の希望が十分に叶えられていませんでした。そこで、チームを結成し定期的に実践するようにしました。次第にご利用者も職員も笑顔が増え、職員同士、ご利用者同士でも会話が増えるなどよい変化が見られたので、これを発表できたらと思い取り組みました。

◀ネイルケアサロンの様子

――余暇活動から研究に発展するケースは多くはないので、とてもすごいと思います。

高篠 ご利用者同士でネイルを見せ合う場面がみられるようになり、他の方のネイルをうらやましがる様子もありました。そこから次はこんな色や柄にしたいという希望を頂くこともあります。

――職員にはどのような会話が生まれましたか。

高篠 新入職員は会話のきっかけに困ることもありますが、ネイルは目に入りやすいので「きれいですね」など、会話のきっかけになっていますし、ネイルを褒められることにご利用者も喜ばれています。

――研究で大変だったことはありますか。

高篠 ご利用者と職員双方にアンケートを取りましたので、集計や変化を表す図表の作成が大変で試行錯誤しました。

――取り組みによるご利用者の反応・変化をお聞かせください。

澤田 予定表に記載されるネイルの日を意識し楽しみにされているので、日時などの見当識によい影響を及ぼしていると感じます。ご利用者同士で「楽しみだね」「明日は何色にしよう」といった話もされています。普段は発話が少なく食事したことを忘れてしまう重度認知症の方も、ネイルは形に残り自分の目にも入るからかサロンは記憶に残り、会話も生まれます。

――ご家族の反応はいかがでしたか。

高篠 面会でご利用者がネイルを見せることがあり、ご家族が「きれいにしてくれてありがとう」ととっても喜ばれていました。SNSで写真も上げていて、日ごろ面会に来られないご家族にも喜ばれています。一時期、男性ご利用者の参加もありました。また、サロンのポスターを施設内に掲示していますが、施設見学に来た方が「こんなこともやっているんですね」と関心を持つこともあると相談員から聞いています。  

――通常の施設見学では入居条件などの話になりがちなので、活動の話が見学時に出てくるのは素敵ですね。職員の方の反応はいかがですか。

高篠 職員アンケートでは「よい取り組みだ」「協力したい」等、肯定的な声を頂いています。サロン参加者が多い時には男性職員も含め案内・誘導等で手伝ってもらっています。アクティブ福祉の受賞で、職員の反応がよりよくなったとも感じます

――受賞の感想をお聞かせください。

高篠 当施設のサロンの取り組みがよいものと感じてもらえたことがとてもうれしく、また、サロンの取り組みは特色あるものだと改めて感じられました。ご利用者のご家族にも報告するとネイルを寄付してくださる方もいました。

――同じ美容系の活動では化粧療法がありますが、ネイルとの差はありますか?

澤田 化粧療法の効果はもちろんあり喜ばれると思いますが、化粧は落とさないといけません。入浴機会は限られますし、全員がクレンジングを使えるわけでもありません。その点ではネイルは毎回落とす必要はなく、継続して美しさを維持できます。

高篠 他の方のネイルを年齢関係なく真似して楽しめることができるのも強みだと思います。

――長時間効果が出ることはとても大きなメリットですね。今回の研究から見えてきた課題と、今後の目標についてお聞かせください。

澤田 今は私たち二人がメインで他の職員にはサポートに入ってもらっていますが、時間がギリギリなので潜在的にやってみたい方(引っ込み思案の方)がやれていないかなと思います。他の職員にもメインで回してもらえればより多くの方に体験してもらえると思いますので、ネイルケアサロンチームの拡大に取り組みたいです。

――今後研究活動を行う施設へアドバイスをお願いします。

澤田 やりたいと思ったことはまず始めてしまうことです。当施設はイベントが多く新しい活動への後押しがあることは背景にもありますが、毎日、毎月楽しみがある飽きない施設づくりをすることが、自然と研究活動にもつながるのではないかと思います。

――サロンを行っているときの楽しそうな雰囲気ももちろん素敵ですが、終わった後のコミュニケーションの増加、認知機能低下の防止など効果が続くことがとても良いと思います。毎月2回継続していることもすごいですし、美容活動に男性が関わっていることも驚きました。本日はありがとうございました。


≪施設前で≫右から園長 中村正人さん、澤田さん、高篠さん、生田目さん

 

社会福祉法人亀鶴会 特別養護老人ホーム神明園

所在地:〒205-0023 東京都羽村市神明園4-2-2                    
電話:042-579-2711
  • 取材:東京都高齢者福祉施設協議会 東京ケアリーダーズ 生田目  大樹さん(今井苑)
  • 記録・編集:東京新聞 木下 聡文 

2026年2月(アクティブ福祉 第64号掲載)

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