うわさの施設
東京都高齢者福祉施設協議会の数ある会員(約1200施設・事業所)のうち、表彰や推薦など、名誉ある経験をもつ施設を紹介するコーナー。毎回‘うわさ’の施設を東京ケアリーダーズが訪問し、お話を伺います。
今回は、高齢者福祉施設での日常のさまざまな場面にスポットライトを当てながら、介護の魅力を発信する「東京の介護ってすばらしいグランプリ(以下、東すば)2025」イベント部門で最優秀賞を獲得した泉陽会にお話を伺いました。
2025年度開催 「東京の介護ってすばらしいグランプリ2025」『イベント部門』最優秀賞
東京の介護ってすばらしいグランプリ2025 イベント部門 最優秀賞 作品名:やさしさ探検隊!ふくし×ゴミ拾いで 地域のヒーローになろう!(社会福祉法人泉陽会 人材対策室)
2025年の東すばイベント部門では、次世代に向けた介護イメージの改善に直接寄与している当作品が評価され、最優秀賞を受賞しました。
同施設の人材対策室 中島 千幸(なかじま ちゆき)氏にお話を伺いました。

<東京の介護ってすばらしいグランプリ2025 イベント部門 最優秀賞受賞作品「やさしさ探検隊!ふくし×ゴミ拾いで地域のヒーローになろう!」>
――この度は受賞おめでとうございます。受賞の感想をお聞かせください。
新設のイベント部門で初の最優秀賞ですので法人全体で喜んでおります。自分たちで言うのもなんですが良い活動をしているとは思っており、外部からこのような評価を頂いたことは職員一人ひとりの自信につながったと感じています。
――イベントのコンセプトをお聞かせください。
地域の子どもに町で高齢者や障害者と出会ったときの声のかけ方や助け方を知ってほしいことと、介護業界の人材不足問題に対し小学生のうちから福祉にふれる機会をつくり、将来選ばれる仕事にするきっかけを作ることの2つです。採用担当をしていると就職活動時の学生の選択肢に介護職が入っていないと感じます。イベントをきっかけに特養に遊びに来てもらい介護職と交流して、介護職はかっこいい、特養は思っていたイメージと違うと感じてもらえればと思います。
――体験要素のある子ども向けの福祉イベントは珍しいと感じます。イベントの開催状況を教えてください。
2024年12月の初開催以降年2回のペースで実施しています。半年の準備期間を要した初回を除き、準備や地域への告知は2カ月ほど前から行います。
――イベントを企画したきっかけはどのようなものでしたか。
採用・研修・広報を担当する人材対策室では、地域と一緒にできる面白いイベントを考えていました。その中で福祉体験をしながら地域貢献活動をする、介護との接点を持てる種まきとなるような活動のイメージをふくらませ、本イベントを形にしました。
――イベントを実施するまでに大変だったことはありますか。
子ども、保護者、ボランティア併せて約30名が参加するイベントですが、小学生にイベントに来てもらうことは難しく、今も課題の一つです。近隣の小学校の校長先生に趣旨を説明してチラシを配ってもらう、職員の知り合いの子どもに参加してもらう、近隣の公園で遊んでいる子どもに直接声掛けするなどをしていて、子どもの参加者の割合は少しずつ増えてきています。
――地域向けのイベントの集客は本当に難しいですね。
保護者へのアピールが一番重要ですね。施設の秋祭りでチラシを渡した来場者の方がたまたまPTA会長で、イベントに共感を頂き学校でチラシを配ってもらったこともあります。
――私の施設での地域イベントは職員だけになっていて、地域の方と一緒にここまでできるようになったのはとてもすごいと思います。次回の目標をお聞かせください。
次の開催は5月ですが、やはり集客が課題です。3回目の開催以降はグーグルフォームからも申し込めるようにしていて、小学校で配布したチラシを見てリピーターの子どもが申し込んでくれるようになり、以前より申し込みの動きが早くなったと感じます。

<取材の様子>右から泉陽会 中島千幸さん、田名部周悠さん(東京ケアリーダーズ)
――今後、イベントをどのように発展させていきますか。
法人内の未実施施設への水平展開と、継続による認知度向上を図り地域に根付いたイベントに育てることが目標です。改善点も探りつつ、今後より大きなイベントにできたら、複数グループでの開催およびグループリーダーの育成に取り組みたいと思います。
――施設内外との連携はどのようにされていますか。
施設内では職種を問わず本イベントに関わってもらっていて、車いすの介助方法は介護士、白杖や高齢者体験機器の使い方は包括等それぞれの強みを生かしています。外部との連携では理事長が町会長をしているので、町会でのチラシ配布やボランティア協力も頂いています。初回だけですが、付き合いのある介護系大学の先生にご協力いただきゼミの学生と一緒にご参加頂きました。
――多くの方が関わってイベントが実施でき、すばらしいですね。イベント参加者からの声はどのようなものがありましたか。
子どもからは楽しかった、車いすは道がガタガタして大変だった等、イベント趣旨に沿ったコメントを頂けありがたかったです。また、保護者からも目が見えないと人が横を通るだけで怖いと感じる、街で障害者を見かけたら手伝おうと思うなど、ありがたい感想を頂きました。また、福祉系の学生からは施設が地域発信のイベントをしていると思っていなかったと、驚く声もありました。
――運営に関わった職員の声はいかがでしたか。
地域を巻き込んだ多世代交流型のイベントは少ないのでシンプルに楽しく、いろんな主体が集まりワイワイ楽しく福祉を学ぶ機会ができたと感じたようです。また、地域の方が特養に遊びに来てくれたのがうれしく、子どもに車いす操作や声掛けをイベントで学んでもらえたことで、自分たちが大事な仕事をしていると再認識できたという声もありました。
――こういったイベントを通じて施設が地域に身近になり、気軽にふらっと立ち寄れる場所になるといいですね。他にはどんなイベントを開催していますか?
法人内では屋上散歩や人形劇等を通じた地域の保育園との交流、介護美容、麻雀教室、カフェ開設などがあります。また、地域向けに「防災チャリティカレーイベント」でアルファ米カレーの試食会、能登地震ボランティア体験者の講演、AED操作方法講習、起震車での地震体験を行っています。頂いている100円の食費は全額募金しています。
――イベントを企画する際、心がけていることはありますか。
施設側の独りよがりにならない企画にしないといけません。もちろん何かやりたい気持ちは大事ですが、それが対象の方に本当に求められているかを常に考えています。また、イベントで楽しく盛り上がれるところまでイメージできれば、そこに至るまでの大変な準備期間も乗り切れると思います。
――今後グランプリに応募される方へアドバイスをお願いします。
伝えたいことは数多くありましたが、何のためにやっていて何を大事にしているかに焦点を絞って応募書面に盛り込みました。各施設で素晴らしいイベントをされていると思いますので、ぜひ発信する気持ちを持ってください。それを積み重ねることで、介護業界全体のイメージアップにつなげていきましょう。
――お話を伺い、福祉って地域の身近にあるべきものだと感じました。私の施設でも例えば給水スポットのような小さなことからでも始めて、気軽に立ち寄れるような施設にできればと思います。本日はありがとうございました。

社会福祉法人泉陽会 人材対策室
所在地:〒178-0065 東京都練馬区西大泉5-21-2 電話:03-6682-3760
- 取材:東京都高齢者福祉施設協議会 東京ケアリーダーズ 田名部周悠 氏(うきま幸朋苑)
- 記録・編集:東京新聞 木下 聡文
- 社会福祉法人泉陽会 ホームページ
2026年6月(アクティブ福祉 第65号掲載)