うわさの施設
東京都高齢者福祉施設協議会の数ある会員(約1200施設・事業所)のうち、表彰や推薦など、名誉ある経験をもつ施設を紹介するコーナー。毎回‘うわさ’の施設を東京ケアリーダーズが訪問し、お話を伺います。
今回は、高齢者福祉施設での日常のさまざまな場面にスポットライトを当てながら、介護の魅力を発信する「東京の介護ってすばらしいグランプリ(以下、東すば)2025」イベント部門の優秀賞を獲得した地域包括支援センター西新井 センター長の大西健太郎さんにお話を伺いました。
2025年度開催 「東京の介護ってすばらしいグランプリ2025」イベント部門優秀賞
東京の介護ってすばらしいグランプリ2025 イベント部門 優秀賞「第三回 西新井多世代交流まつり」(社会福祉法人西新井だいわ会 足立区地域包括支援センター西新井)
2025年の東すばイベント部門では、地域の方々と自然な形で混ざり合い、幼児から高齢者まで幅広く参加できるお祭りを開催し地域の活性化につなげた地域包括支援センター西新井が優秀賞を受賞しました。
<東京の介護ってすばらしいグランプリ2025 イベント部門 優秀賞 「第三回 西新井多世代交流まつり」>
――多世代交流を目的とした本イベントの企画のきっかけをお聞かせください。
コロナ禍以前より「この地域で何かやりたいね」と地域の方々とぼんやり企画案が上がっていました。足立区内で先行して実施しているイベントを参考にしながらこの地域の色を出せるものをやってみようと地域の方々と実行委員会を設け、3年前に初回イベントを実施しました。
――企画を実現する上で大変だったことをお聞かせください。
初回の開催までが一番大変で、まっさらな状態から様々なことを議論しました。会場の決定が一番大変で、当施設での実施や、各々の事業所で分散開催する等の案も出ましたが、最終的に公園での実施に落ち着きました。
――会場はどのような経緯で公園になりましたか。
本イベントの初回開催前に足立区内の西部ブロック6カ所のホウカツが合同で公園でのイベントを実施しましたが、それ自体は単発で終わってしまいました。私自身は地域での発信活動を続けたいという想いがあり、そのイベントを踏襲する形で公園での実施にしました。
――開催資金はどのように調達されていますか。
支出は公園の使用費や(削除)チラシ、保険、来場した子どもへのお菓子の配布などがあります。費用削減のためブースは自前で設営しています。資金繰りでは、初回は地域で活動されている方に東京都の助成金を獲得してもらいました。3回目からは東京都の「地域の底力発展事業助成」を申請しています。これは町会や自治会が対象なので、実行委員会に町会に入ってもらい町会が主催名義になっています。
――他にも町会に実行委員会に入ってもらうことによるメリットはありましたか。
公園の使用、催事での食品提供(保健所)、火気使用(消防)、道路使用(警察)(削除)など、申請手続きは多岐にわたりますが、町会が入ることでスムーズに進みました。
――実行委員会はどのようなメンバーで構成されていますか。
医療・介護・福祉の事業所、地域で活動されている方等22団体で構成されています。私はこのイベントとは別に地元の町会連合による2500人規模の地域イベントに関わっていますが、この経験から地域活動に精力的な地元のキーマンを見つけるのが得意で、そのような方にもメンバーに入ってもらっています。全体で議論をすると収拾がつかない場面もあるので、4人のコアメンバーで基軸を固めています。
――ブース出展を希望されるのはどのような方々でしょうか。
地域の就労支援作業所の作品を出したい、町の喫茶店が出展したい等のお話を頂いています。運営は助成金で賄うので出展料は頂いていません。地域にもイベントが定着してきていて、新規で出展したいという声も方々から聞こえてきています。
――開催までの準備期間について教えてください。
年度が明けたらすぐに準備に取り掛かっています。段取り8割当日2割の作業イメージですが、議題がない時期でも集まり顔をつなぐことを大切にしています。
――イベントに600人の来場があったと伺いましたが、集客の目玉は何でしょうか。
お祭りで集客をするには食べ物とアルコールを含む飲み物が大事で、飲食品を提供できる環境を整えました。各事業所で作ったものを販売することもあれば、その場で作るブースもあります。
――イベントの参加者層をお聞かせください。
子ども、親世代、高齢者と世代を問わずご来場いただけました。子どもやそのご家族に来てもらうために、子どもたちによる吹奏楽やダンスチームの発表会、ローカルタレントのライブ等のステージイベントを実施しています。
――集客のための告知はどのように行いましたか。
チラシを3000部発行し、各実行委員会を通じて地域へ広く配布しました。実行委員にポスティング会社の社長がいて、無料で1000部を配布してもらいました。チラシのデザイナーもインスタグラムで発信してくれています。地域の掲示板の集客効果も大きいので、ホウカツから町会に依頼して使用しました。
――今後も継続して実施されていきますか。
初回は小さくスタートしましたが3回目は600人ほどの来場があり、一旦はイベントの枠組みの完成形を見ることができました。既に次回の実行委員会も開いていて、ブース出展者の入替はあるかもしれませんが基本的なコンセプトは変えずに開催予定です。
<イベントの様子>
――私の施設でも地域交流に力を入れたいと思いますが、気を付ける点はありますか。
皆のやりたい思いを実現するには、どうしてもすれ違いや引っかかりは出てくるので、モチベーションを下げないためにも基本的な方向性の決め方を整えておく必要があります。また、私たちホウカツが前面に出るとやり取りしづらい調整もあるので、実行委員会を立てる形がよいでしょう。
――東京ケアリーダーズでも認知度向上のために出展出来たらと思います。また、私も地元で大規模なイベントに挑戦したいと思いますが、ノウハウを教えてください。
これまで話した内容と重複するところもありますが、主に4点あります。
①実行委員会を作り、地域内で広く声掛けをして「当事者」を多く作る
②地域の活動家を探して 実行委員会の中に巻き込む
③ネタがなくても定期的に実行委員会を開きメンバーの当事者意識を高める
④目的、規約、会場図、出展内容、物品リスト等をまとめた実施要綱(マニュアル)の冊子を作り、ボランティアまで含めて共有することで皆を当事者にする
②の活動家は、いろんな地域イベントに顔を出している方や中心で動いていそうな方を指します。実際に様々なイベントに出向き声をかけてみるのもよいでしょう。
④のボランティアは様々な方に参加いただいているほか、次回からは中学校と連携して生徒の協力も頂きたいと思っております。
――実行委員会の運営で心がけていることはありますか。
イベントを終えた後は「これがよかった」「次回はこうしたい」というポジティブな振り返りはしても、「あれがダメだった」というようなネガティブな反省はしません。
町づくりの議論では大きな視点を持つことが重要です。細かな課題に目が向きがちなPDCAではなく、未来型志向で「見通し」「行動」「振り返り」を行うAARサイクルを取り入れ前向きな視点で議論しています。
――私がこの規模のイベント実施を目標にするのはハードルが高いとも感じますが、どのような心持ちで取り組むとよいでしょうか。
色々と思案を巡らせても、思い描いた通りに実現することはまずありません。あまり考えすぎず、臨機応変にやっていくのが良いと思います。
――今後の目標をお聞かせください。
ホウカツの日常の業務は地域の方とのつながりで成り立っています。このお祭りはそのつながりの集大成で、地域の皆様に感謝の意を伝える心づもりで実施しています。ホウカツが地域の活性化や町づくりの担い手になり、地域を盛り立て未来に続けていきたいと思います。
――大規模なイベントに挑戦するのはハードルが高くも感じますが、教えていただいたノウハウを基に挑戦していきます。また、東京ケアリーダーズとしてもイベントに関わることができればと思います。
本日はありがとうございました。
<取材の様子>左:大西健太郎さん、右:成田雲乃さん(東京ケアリーダーズ)
社会福祉法人 西新井だいわ会 足立区地域包括支援センター西新井
所在地:〒123-0841 東京都足立区西新井2-5-5 電話:03-3898-8391
- 取材:東京ケアリーダーズ 成田 雲乃 氏(癒しの里南千住)
- 記録・編集:東京新聞 木下 聡文
- 社会福祉法人 西新井だいわ会
2026年8月(アクティブ福祉 第66号掲載)
