うわさの施設
東京都高齢者福祉施設協議会の数ある会員(約1200施設・事業所)のうち、表彰や推薦など、名誉ある経験をもつ施設を紹介するコーナー。毎回‘うわさ’の施設を東京ケアリーダーズが訪問し、お話を伺います。
今回は、高齢者福祉施設での日常のさまざまな場面にスポットライトを当てながら、介護の魅力を発信する「東京の介護ってすばらしいグランプリ(以下、東すば)2025」において、写真部門の優秀賞を獲得した第二紫水園のユニットリーダーの野田真希(のだまき)さんにお話を伺いました。
2025年開催 「東京の介護ってすばらしいグランプリ2025」『写真部門』優秀賞
東京の介護ってすばらしいグランプリ2025 写真部門 優秀賞 作品名:また来年も一緒に見ようね。おばあちゃん(第二紫水園 ユニットリーダー 野田真希)
2025年の東すば写真部門では、ご利用者の横にそっと職員のお子さんが寄り添い、花火を眺める素敵な姿を撮影した第二紫水園が優秀賞を受賞しました。
<東京の介護ってすばらしいグランプリ2025 写真部門 優秀賞 作品名「また来年も一緒に見ようね。おばあちゃん」>
――この度は受賞おめでとうございます。受賞の感想をお聞かせください。
ユニットでは日々数多くの写真を撮っていますが、この写真は撮影した瞬間に「コンテストに出そう!」と思えた写真ですので、受賞できてうれしいです。
――受賞した作品はどのようなシチュエーションでしたか。
私の娘は当施設にボランティアに来ていて、この写真はご利用者と私の娘が当施設のすぐそばで行われた花火大会を並んで眺めている状況です。普段あまり撮影しない後ろ姿ですが、世代を超えて楽しんでいる雰囲気が伝わると感じて応募しました。
――ご利用者からするとお子さんはひ孫世代で、一緒に過ごせて楽しそうな表情が想像できますね。
娘は施設に来るとご利用者と学校の話をしたり一緒に折り紙をしたりしています。子どもにしか引き出せない笑顔もあると思いますし、私自身も子どもと一緒だとより自然体でご利用者と過ごせると感じます。ご利用者は娘が来るのを楽しみにされたり一緒に撮った写真を部屋に飾ったりするなどよい関係ができています。
――お子さんがボランティア活動をされる中で成長を感じますか。
ご利用者とは顔なじみになっていて、いつもボランティアを楽しみにしています。最近ではご利用者の顔色の変化に気づけたり、体調を心配したりできるようになりました。
――この経験を将来に活かしてもらえるといいですね。本作品の被写体となられた方のコメントはありましたか。
ご本人はいい写真と言ってくれていますし、すごく喜んでくれました。ご家族からは来年もいい写真をよろしく、と言われました。

<第二紫水園施設長の岸千恵子さんと>
――普段、どのような場面で写真を撮影されていますか。
日常を中心にあらゆる場面で、笑っている顔、うれしそうな顔、怒ってる顔などどんな表情でも撮影しています。最初は私が撮影していましたが、次第に同僚も協力してくれるようになり、今では声掛けをしなくても自発的に撮影してくれています。
――写真を数多く取られるようになったきっかけはありましたか。
私には娘が二人おりますが、保育園に通っていた時に行事の写真を見ると自宅では見られない表情が写っていることがありました。施設でも同様に家族に見せるものとは違う表情をぜひご家族へお伝えしたいと思い、写真を多く撮影しています。
――写真を撮る際に意識していることはありますか。
信頼関係を築いて笑顔を引き出すことを意識しています。そのためには相手を知ることが重要だと考え、話しやすい空気感を作り、好きなことが何か、やりたいことが何かといったことを日常の会話で引き出すようにしています。
――ご利用者の笑顔を引きだすコツを教えてください。
まずはご利用者以上に自分が心から笑うことです。また、カメラを常に近くに置いて、機嫌がよく良い表情を取れそうなときにはすぐに撮るようにしています。「この場面を撮ろう」と意識するとご利用者が身構えてしまうので、食事やリハビリ、お手伝いなどご利用者が自然に活動している場面の表情と感情を写真に載せてみんなに知ってもらおうという意識で撮影しています。
――職員に写真撮影で協力してもらうために心がけていることをお聞かせください。
よい人間関係がよい職場を作り、よいケアの提供につながるという考えから、職員に対しても勤務形態に関わらず一人ひとりと向き合う時間を作って信頼関係を築き自発的な行動を促しています。委縮するような緊張感を持つことなく何でも意見を話してもらい、ご利用者に全力で向き合える雰囲気づくりを心がけています。また、職員のどんな協力に対しても感謝を伝えています。
――日常で写真に収めている特徴的な活動はありますか。
私のユニットではご利用者と園芸に取り組んでいて、土いじりや野菜を摘み取る様子を撮影しています。活動の記録になりますし、役割の獲得や残存能力の維持・活用につながっています。
――撮影した写真はどのように活用していますか。
ご家族が面会でいらした際にアルバムをご覧になっていただきます。半年から1年で1冊120枚のアルバムができますが、入所時から時系列で順にみると少しずつ笑顔が増えていくのがわかります。遠方で面会に来られない方には、LINEで定期的に近況と写真をお送りしています。入所して間もない方には動画を撮影して配信しています。
――写真撮影や活用の際、配慮していることはありますか。
撮影や配信の可否はご家族に事前に確認を取り、個別に配信する際は他の方が写り込まないように配慮しています。
――写真の配信に対して、ご家族の反応はいかがですか。
「見たことのない楽しそうな顔を見れて安心した」といった感謝の声を多くいただいています。
――施設での特徴的な活動を教えてください。
平日は毎日3枠のレクリエーションを実施しています。文化的な活動の貼り絵、絵手紙、書道などの作品は施設内に展示しています。体を動かすことが好きな方には体操に参加してもらうなど、ご利用者それぞれの趣向に合った活動を促しています。施設外活動では近隣のショッピングセンターへのお出かけもしています。
――施設内にサービスマナー川柳の作品が掲示されていますね。
サービスマナー改善のために委員会を設置しコンテストを実施し、半年の募集期間でご利用者・ご家族・職員から計19名23作品の応募がありました。ご利用者・ご家族にも審査員に入ってもらい優秀作品をポスターとして掲示しました。

<第二紫水園の施設内掲示板>
――玄関に掲示されているホーム喫茶についてお聞かせください。
管理栄養士からホテルのバイキングを意識したデザートバイキングをしたいと委託業者に伝え実施しました。手作りの写真付きメニューに力を入れていて、ご利用者が楽しそうに選ばれていた様子が印象的でした。
――今後の目標をお聞かせください。
ご利用者の楽しみを日々考え、この施設に入ってよかったと感じてもらうことを大切にしていきたいと思います。「あなたがいてくれてよかった」と言われることはとてもうれしいので、そんな言葉をたくさん引き出す介護をしたいです。
――笑顔を引き出すためには自身が笑顔でいることが大切だと改めて感じました。施設での生活が次第に楽しくなっていく様子を、アルバムを通して家族と共有されるのはとても素敵だと思います。本日はありがとうございました。

<第二紫水園のひまわり>
2026年8月(アクティブ福祉 第66号掲載)