障害者週間記念特設サイト

インタビュー(2)

知的発達障害部会 利用者支援研究会にて、障害を持つ当事者の方へインタビューを行いました

グループホームで暮らしています~仲間とひとつ屋根の下のくらしへ~

今回は、GHで生活を送っている松永文子さんに、GHでの生活について伺いました。松永さんは知的障害があって、いくつかの社会資源を利用しながら、大田区のGHで過ごされています。GHに入るまでの経緯やGHで生活を送る中での様々なことについて、お話していただきました。

これまでの暮らし

聞き手)松永さん、本日はありがとうございます。まず自己紹介をお願いします。

松永さん)私は昭和27年11月4日生まれ、現在70歳です。生活については、49歳までは家族と暮らしていましたが、49歳に父が逝去し、そこからは一人暮らしをしていました。最初は下丸子で生活をしていましたが、中々生活に慣れませんでした。食事は自分で作るようにしていました。しらあえや煮物、すきやきを作ったりしました。朝はパンを食べ、牛乳を飲んでいました。パンが多かったかな…。夜はちゃんと食べていました。

聞き手)お父様が逝去されてからの一人暮らしは中々大変だったんじゃないでしょうか。

松永さん)生活に中々慣れることができませんでした。

 

現在の仕事について

 

聞き手)お仕事は、何をされていたんですか。

松永さん)40歳からうめのき園で仕事をしています。うめのき園は本園と分場があり、本園で8年、分場で22年働いています。

聞き手)大田区内にある就労継続B型のうめのき園で働かれているんですね。

聞き手)うめのき園では、どんな仕事をされているんですか。

松永さん)パンの成形や切る作業、材料を量る作業を主にしています。具体的には、食パンやコーヒーパン、クリームパンを作ってます。これからの時期は、カボチャのパンやお化けのパンを作ったりします。仕上げに顔を描いたりするのは、職員がしてくれます。他には、ピザも作ったりしています。

聞き手)これからハロウィンの時期なので、それに向けても作っていくんですね。どのパンもお話を聞いているだけで食べたくなってしまいます。うめのき園には、月~金曜日で出勤されているんですか。

松永さん)火曜日以外は、うめのき園に出勤しています。火曜日は、デイサービスに通っています。
デイサービスでは、午前体操をしています。午後は、体操やカラオケ、ゲームをします。カラオケでは、「北の宿」「狙い撃ち」「ここにさちあり」「恋の季節」を歌います。カラオケを歌うと、歌が上手と褒められます。体操は、色々なことをします。腕を伸ばしたり、足を曲げたりします。ゲームは、椅子を並べて、お手玉を投げたりします。他にも、ボーリングや風船を飛ばしたりします。

聞き手)デイサービスでは、色々なことをされるんですね。カラオケの歌はどの今日も名曲ですよね。素敵な歌声を聴いてみたいです。

カーサ久が原について

聞き手)現在はカーサ久が原で生活をされていると思いますが、入居の経緯や生活についてお聞かせください。

松永さん)61歳の時にカーサ久が原の募集がうめのき園に入っており、兄に見せたら「カーサ久が原に入りなさい」と言われました。それまでヘルパーさんは火曜しかこなかったので、料理は自分で作っていました。疲れて弁当を買っているのをお兄さんに見られ、「カーサ久が原に入りなさい」と言われました。お兄さんに勧められて入居することにしました。
一人暮らしをしている時には、うめのき園でのパン作りに疲れて帰って来る日もありました。今は料理をしなくなったことで楽になり、疲れる日も少なくなりました。また、GH内の友達もおり、他のかたとも上手くやっています。喧嘩もほとんどありません。色々と話すことができます。

聞き手)一人暮らしだと、自宅に帰ってから食事の用意やその他することがあり、中々ゆっくりできませんよね。食事はどうされているんですか。

松永さん)カーサ久が原の職員が作ってくれます。好きなメニューは、カボチャの煮物、煮魚、お肉を焼いた物が好きです。色々なおかずが出るので楽しみです。嫌いな物はほとんどないですが、きのこを残してしまうことがあります。他の物は全部食べます。また、食事中はみんながいるため、とても賑やかです。

聞き手)美味しそうなメニューばかりですね。一人暮らしだと賑やかな食卓にはならないので、みんなと楽しい時間を過ごせますね。カーサ久が原の職員は松永さんの話を聞いてくれますか。

松永さん)みなさん聞いてくれます。

聞き手)カーサ久が原では、どんなことして過ごしますか。

松永さん)カーサでは、テレビを観たり、CDを聴いています。他の入居者は、73歳、50歳の人がおり、話したりします。

聞き手)カーサ久が原の生活で困っていることはありますか。

松永さん)困ったことはないです

これから行ってみたいところ

聞き手)ヘルパーさんとは、どんなところに行きますか。

松永さん)月に1度ヘルパーさんが入ってくれるので、遊びにいきます。特に楽しかったのは、ディズニーシーや横浜でした。ディズニーシーは、電車で行きました。距離が遠かったので、ヘルパーさんと一緒じゃないと行けませんでした。今度は、ディズニーランドに行ってみたいです。

聞き手)ディズニーは楽しいですよね。他にも行ってみたい所はありますか。

松永さん)ディズニーランドとハリーポッターのミュージカルに行ってみたいです。

 

これから受けてみたいサービスについて

聞き手)何か今後受けてみたいサービスはありますか。

松永さん)今の生活に満足しているので、なにかこれ以上のサービスを受けたいとは思わないです。

聞き手)生活が充実しているんですね。健康上で困ったことはあります。

松永さん)左側の足を骨折しました。ボルトは入ったままになっていますが、もう治っています。

 

今回の記事を見てくれた人に伝えたいこと

聞き手)今回の松永さんのインタビューを見てくれた人に伝えたいことはありますか。

松永さん)GHに入っていれば、震災があったとしても何があっても大丈夫です。安心して生活することができます。

聞き手)松永さん、本日は色々なお話をお聞かせいただき、本当にありがとうございました。

 

インタビュー終えて

今回のお話を通して、松永さんのライフステージの変化を聞かせていただくことができました。ライフステージが変わるたびに、住居や環境の変化があり、その時の苦労や大変さはお話を聞かせていただいている以上だと感じました。現在はとても充足された生活をされており、また、これからの楽しみを色々とお伺いできたのは、今のGHでの生活や人とのつながりがあるからこそだと思いました。
                   知的発達障害部会副部会長 利用者支援研究会副会長 小菅康浩

お話しを聞いて、他の利用者さんとの共同生活を楽しんでおられることが伺われました。昔の長屋暮らしのように、人と人との近い関係で安心感のある生活がグループホームにはあるのではないでしょうか。松永さんがパン作りに現役で活躍されているのも、そんな暮らしの場があってこそだと思いました。
                   利用者支援研究会保健医療スタッフ会代表幹事 林武文