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インタビュー(2)

知的発達障害部会 利用者支援研究会にて、障害を持つ当事者の方へインタビューを行いました

私の暮らし、私の楽しみ、私の悩み

グループホームで暮らしている梅ちゃんにお話をうかがいました。
(ご本人の希望でお名前を「梅ちゃん」と記しています。)

聞き手)今日はインタビューを引き受けてもらって、本当にありがとうございます。梅ちゃん、自己紹介していただいてもいいですか?お生まれはどこでしたか?

梅ちゃん)青梅です。

聞き手)今おいくつですか?

梅ちゃん)今49歳です。今年12月19日で50歳です。
2001年ぐらいに奥多摩町に引っ越しました。

聞き手)いつ奥多摩から青梅に引っ越されたんですか?

梅ちゃん)確か2014年あたりです。

聞き手)じゃ、13年間奥多摩町の町民だったんですね。

梅ちゃん)はい。

聞き手)奥多摩町ではどこかに通われていたんですか?

梅ちゃん)はい。かもんみーるに行ってました。

聞き手)そこでは作業をしていたんですか?

梅ちゃん)当時、2014年はパン作りです。その後、2015年にあきる野市のグループホーム、Aハイムで暮らしました。
昼間は友愛学園さんがやっている青梅ふくさく(福祉作業所)というところに通いました。

聞き手)今もそこに行かれてるんですね。Aハイムを出られたのはいつ頃ですか?

梅ちゃん)確か2023年です。

聞き手)ということはハイムで8年間暮らしたんですね。2023年に出られて今住んでいるところは?

梅ちゃん)マンション系のグループホームです。          

聞き手)部屋が別々になっているサテライト型のグループホームですね。

梅ちゃん)はい。部屋は別々で、スタッフさんの部屋、事務所みたいな部屋があります。

聞き手)時々食事会や花見などの行事はありますか。

梅ちゃん)特に行事はないですね。世話人さんは割と頼りになります。40歳くらいです。

聞き手)人生経験があるから相談には乗りやすいんでしょうね。ご飯は3食どうされているんですか?

梅ちゃん)週5日ふくさくに行って、そこで昼ご飯が出ます。

聞き手)朝ごはんと夕ご飯はどうされていますか?

梅ちゃん)スタッフさんで作っていただいて、ご飯食べる部屋があって、みんなでそこで食べます。

聞き手)グループホームのご飯はどうですか?

梅ちゃん)美味しいです。

聞き手)良かったです。 お風呂は別々ですか?

梅ちゃん)部屋毎にあるんです。

聞き手)なるほど、じゃ、食事の時だけが一緒。そしたら他人から干渉されなくて自分の時間が持てますね。

梅ちゃん)そうですね。

聞き手)Aハイムは玄関が一つで、部屋だけが別々じゃないですか?今のマンションの形だと玄関も別ですよね。ご飯の時は何人ぐらいで食べるんですか。

梅ちゃん)私を含めて3人くらいです。

聞き手)みなさんふくさくに通われてるんですか?

梅ちゃん)別々です。

聞き手)今のところに2年くらい住まれているんですね。今のところに引っ越そうと思われたきっかけは何でしょうか?

梅ちゃん)確か2018年だと思うんですけど、奥多摩町で海老原(宏美)さんの講演会があったんですよ。その時に1人で生活できるんじゃないかということを言われたんです。それだったらやってみようかなんて思ったんですよ。それでAハイムを出ようと思ったんです。

聞き手)なるほど。 今、食事はグループホームの人が作ってくれて、買物や洗濯などの家事はへルパーさんをお願いしているんですか?

梅ちゃん)ヘルパーさん誰も頼んでいないです。

聞き手)健康上の理由で訪問看護とかも利用されていますか?

梅ちゃん)利用していません。

聞き手)梅ちゃん、電車がお好きだったでしょう?今も土日はどこかに行かれるんですか?

梅ちゃん)そうですね、はい。

聞き手)そうか、電車で遠出されるんですね。今一番の楽しみってなんでしょうか?

梅ちゃん)休みの時にどっか行く時です。

聞き手)鉄道が好きな人は乗るのが好きな人や写真を撮るのが好きな人とか、色んなタイプの人がいますが、どのタイプですか?

梅ちゃん)乗る方が好き。

聞き手)じゃあ乗り鉄ですね。一番遠くまで行かれたのはどこまでですか?

梅ちゃん)新潟まで行きました。

聞き手)そうですか!新潟までお一人で行かれたんですね。前に梅ちゃんが日の出福祉園の当事者シンポジウムに参加された時は趣味の女性用の洋服を着て、それがみんなの前であの格好をされたのが初めてだったでしょう。その後、おくたまふうバリバラでも皆さんの前で披露されましたが、今でも着られているんですか?

梅ちゃん)はい。

聞き手)Aハイムでは自分の部屋だったらいいと、女装することをあんまり快く思っていなかったでしょう?今のグループホームはどうですか?

梅ちゃん)はい、あの別にやめなさいとか言われたりしません。

聞き手)今のところそんなにそんなダメよって言われたりしないんだったら、良かったと思います。

梅ちゃん)実を言うと私、性転換しようと思っているんですけど。リスクとかもあるので、どうしようかと思ってるんですよ。

聞き手)前から女性になりたかったんですか?そうですか。前に梅ちゃんと一緒にシンポジウムに参加されたLGBTの方を覚えていますか?その方は男性として生きていますが、リスクがあるから手術はしないとおっしゃってました。手術はしないで、ホルモン注射もしてないって言っていました。だけど男性として生きているので、男性の服装を着て男言葉を使って生活していました。梅ちゃんは誰に相談していますか?

梅ちゃん)色んな方に相談しているんですけど。リスクもあるということを言ってますね。この方と交流したいんです。歌手の西原さつきさん。実はこの方、もともと男性です。

聞き手)ああ、そうなんですか?

梅ちゃん)乙女塾。男性の女性化を支援する人です。

聞き手)この方はどうやって知ったんですか?

梅ちゃん)こういうサイトです。

聞き手)中学校に行って講演したりしている人ですね。お友達になってくださいと書いてありますから、ラインで繋がってみたらどうでしょうか?

梅ちゃん)昔から、なんか男として生まれてきたっていうのがね、なんか違うな?という感じがしてたんです。

聞き手)いつぐらいから性転換したいと思っていたんですか?

梅ちゃん)ちょっとわかんないけど、気がついた時にそうなっていました。

聞き手)グループホームの世話人さんには相談してないんですか?

梅ちゃん)あー、特にしてないですね。

聞き手)なかなか深刻ですね。女性の服装の写真だけじゃなくて、性転換したいって悩んでいることもインタビューに載せていいんですか?

梅ちゃん)いいです。まあ一回しかない一生、果たしてこのままでいいのかと思いますね。

聞き手)手術はしなくても、女性として生きるという選択枝もあると思うんですが。ikkoさんは確か手術していないはずです。カバちゃんは手術したんですよね。 氷川きよしさんはかなり女性っぽくなったからホルモン注射とかやっているかもしれませんね。マツコデラックスさんも手術していないんじゃないでしょうか?

梅ちゃん)ちょっとよくわかんないですけど。

聞き手)手術しない人なりの自分の考えがあって、自分は女性として生きるんだけど、手術しない、注射もしない、体は男性のままでいいんだという人もいる。体を変えたいという人もいるし、いろんな人がいますね。

梅ちゃん)いろんな選択肢が?

聞き手)そうですね。梅ちゃんのご希望としては手術で完璧に女性になりたいというご希望なんですか?

梅ちゃん)複数の選択肢の中から考えてもいいかな。

聞き手)手術した人、してない人、いろんな生き方やパターンがあるから、そういう人に相談してみるのが一番いいんじゃないでしょうか?さっきの西原さんは手術した人なんですよね。 体は女性になった人なんですよね。

梅ちゃん)はい。

聞き手)西原さんにラインでつながるのも一つだし、体を変えずに女性として生きている人とつながるのも一つだと思うんですよ。東京都にここに相談できますよというとこなかったかな? ・・・・Tokyo LGBT相談でネットに出ていますよ。八王子市の市役所には電話相談の案内があったんですが、青梅市に相談窓口があるか、ちょっと調べてみましょうか?・・・・ちょっとしたチラシはあるけど、青梅市は相談窓口を作ってないないですね。今一番困っていることはこのことなんですね。

梅ちゃん)はい。

聞き手)本当に自分の納得できるような生き方ができるように願っています。なんか違うな、なんか違うなってずっと生きていくと、やっぱり心残りでしょうから。ただ、いろんな人の話を聞いた方がいいと思います。最後に、知的障害福祉の支援者に向けてぜひ言いたいことがあったら教えてもらえませんか? こういうことをやって欲しいとか、こういうことはしないでほしいとか、こういうことに気をつけてほしいとか。

梅ちゃん)はいテレビにも出られたらと思っています。

聞き手)テレビにですか?テレビに出て何を訴えたいですか?

梅ちゃん)えっと、私のような人でもこういったリスクを抱えて、性転換するにしてもそれなりのリスクがあって、悩んでいる姿を訴えたい、理解してほしいですね。

聞き手)このインタビューはテレビじゃなくてホームページなんですけど、そういう梅ちゃんのお気持ちはちゃんと書くようにします。 確かに一筋縄ではいかない問題だから、本当に悩まれると思います。支援者に対してこんなことを支援してほしいとかありますか?

梅ちゃん)はい、うーん。これから冬の時期に入るんですけど、女性物のダウンとか着られたらいいと思っています。

聞き手)スタッフから女性物の服は着てはダメと言われているんですか?

梅ちゃん)特に言われてないです。

聞き手)じゃあ、あんまりガミガミ言われたりすることはないんですね。割と自由にやれているから特に支援者にも注文はないんですね。それはよかったです。長い間ありがとうございました。

梅ちゃん)はい、ありがとうございました。年齢を重ても見た目は20代の女性のような姿でいたいです。

 

 

 

●インタビューを終えて

梅ちゃんの悩みは、趣味が女装というだけでなく性転換したいという難しい問題でした。優生保護裁判はセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルスライツ=性と生殖に関する自己決定権をどう保障するのか私たちの社会に問うていると思います。とは言え、性転換手術には大きなリスクが伴います。私たち支援者は、身体的な性に違和感のある人をどう支えていけばいいのでしょうか?梅ちゃんからとても難しい宿題を与えられたインタビューでした。

利用者支援研究会保健医療スタッフ会代表幹事 林武文