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アクティブ福祉 Digitalうわさの施設

東京都高齢者福祉施設協議会の数ある会員(約1200施設・事業所)のうち、表彰や推薦など、名誉ある経験をもつ施設を紹介するコーナー。毎回‘うわさ’の施設を東京ケアリーダーズが訪問し、お話を伺います。今回は、「アクティブ福祉in東京’22」の優秀賞を受賞した砧ホームにお話を伺いました。

2022年開催 第17回高齢者福祉実践・研究大会「アクティブ福祉 in 東京‘22」
テーマD「次世代を見据えた人材採用・育成・定着・経営・リスクマネジメント」 優秀賞

社会福祉法人友愛十字会 砧ホーム  福祉施設における社会貢献としてのSDGsの取り組み方についての一考察

世界中でSDGsが推進される中、それを福祉施設で実現できるアクションに落とし込む研究を行った砧ホーム。適切なアクションプランの設定と実践への意味づけが評価され、「アクティブ福祉’22」で優秀賞を獲得しました。

今回は、発表者である副主任介護職員の三浦好顕さんにお話を伺いました。※肩書は当時

【主題】福祉施設における社会貢献としてのSDGsの取り組み方についての一考察
【副題】ブームで終わらせないSDGs のすすめ

 

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左から 東京ケアリーダーズ 荒井裕介さん、砧ホーム 三浦好顕さん

――今回の取り組みを始めた経緯をお聞かせください。

令和3年度、当時の施設長が世界中で進められているSDGsの取り組みを砧ホームでも実践しようと方針を打ち出しました。その中心メンバーに立候補し、推進チームを立ち上げて取り組みをスタートしました。

――チームワークで心がけたことはありますか。

仕事に関係のないことでも何か話しかけるようにするなど、とにかく意識してコミュニケーションをとりました。チーム内がこの意識を持つことで、何気ない気遣いの言葉がけやふとした時にお互いにフォローできる関係ができたと感じています。

――砧ホーム独自の17項目のSDGsアクションはどのように決定しましたか。

施設内でSDGsの啓発書籍を回覧したのち、全職員からアンケートでアクションの案を集りました。その中から17項目に選出しまとめる作業では、実現可能であることと無理なく時間内で継続できることを仕分けの基準にしました。

――オリジナリティあるアクション策定のために、どのような議論を進めましたか。

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当施設の強みであるICT機器の活用や、休暇を取りやすい勤務制度などを活用する宣言(右図:休暇申告用紙のファイルに宣言を貼付)を設定。また、どうしたら実現できるかを重要視し、例えば「⑮ベランダで緑を育てる」のアクション実現のために、施設内の日当たりの精査や園芸の勉強をしています。

▼施設独自のアクションとそれに対する取り組み ※一部抜粋

①あなたの服をワクチンに(古着deワクチン)

→実績のあるNPO法人を検索

⑩外国人実習生に母国語で挨拶をしよう

→ベトナム、インドネシア、フィリピンからの実習生へアクション

――今回の取り組みでの工夫をお聞かせください。

せっかくアクションを設定しても、全職員で取り組まなければ意味がありませんので、目標の共有を徹底しました。さらに、ご利用者にもアクションに関わっていただくことも心がけました。具体的には目標の共有のために、アクションを記した啓発カードを作成して施設内で掲示する、デジタルサイネージで表示するなどしています。

――取り組みの結果、施設ではどのような変化がありましたか。

ご利用者が積極的に取り組んでくださったことが印象的です。例えば「⑦誰もいない居室の電気は消そう」では、不在の居室やトイレの電気を消して回ってくれたご利用者もいます。屋上菜園では、植木のいじり方に対してアドバイスをいただくこともありました。

デジタルサイネージでの表示

トイレ前のアクションカードの掲示

――受賞の感想をお聞かせください。

施設全体で行った取り組みが評価されたことがうれしいと思いました。職員、利用者皆様の努力を発表者として伝えられてほっとしています。

――今後の目標をお聞かせください。

何事も継続が一番難しいことです。発表で終わりにするのではなく、取り組みを継続し、発信していきたいと思います。新たなSDGsアクションも随時検討していきます。

――今後こうした取り組みを検討する施設へアドバイスをお願いします。

どうしても職員の中でモチベーションの差は発生します。そのとき、前向きに取り組めない人を巻き込むことは難しくもあります。まずは実践してみて、改善を繰り返して少しずつそのような方も巻き込むことが大事だと思います。

――今後のアクティブ福祉に応募する方へ、メッセージをお願いします。

介護の仕事は普段は評価される機会が少ないと感じていますが、アクティブ福祉は公的に評価を頂ける場所です。また、発表を共有することで、別施設の同様の課題解決の参考になることもあり、そのサイクルを繰り返せば東京全体の介護のレベルアップにつながると思います。ぜひ、研究発表に挑戦してみてください。

――砧ホームでは様々な分野の活動に挑戦されていますが、どの取り組みでも砧ホームらしさや継続できる要素を入れることで、職員全体の主体性を引き出すことにつながっていると感じます。私自身もケアリーダーズとして、自身の知識や経験に裏打ちされた介護の魅力の発信と、周囲を巻き込んだ活動をしていきたいと思います。本日はありがとうございました。

 

 

 

砧ホームさんのインタビュー動画を含む大会ダイジェスト版動画はこちらこのリンクは別ウィンドウで開きます

砧ホームさんの研究発表の抄録はこちらこのリンクは別ウィンドウで開きます

 

 

社会福祉法人友愛十字会 砧ホーム

所在地:157-0073 東京都世田谷区砧3-9-11  電話:03-5429-6239

  • 取材:東京都高齢者福祉施設協議会 東京ケアリーダーズ 荒井 裕介さん(あかね苑)
  • 記録・編集:東京新聞 木下 聡文
  • 砧ホーム ホームページこのリンクは別ウィンドウで開きます

2023年6月(アクティブ福祉 第53号掲載)

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