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アクティブ福祉 Digitalうわさの施設

東京都高齢者福祉施設協議会の数ある会員(約1200施設・事業所)のうち、表彰や推薦など、名誉ある経験をもつ施設を紹介するコーナー。毎回‘うわさ’の施設を東京ケアリーダーズが訪問し、お話を伺います。
今回は、「アクティブ福祉in東京'23」で優秀賞を受賞した昭島市高齢者在宅サービスセンター愛全園にお話を伺いました。

2023年開催 第18回高齢者福祉実践・研究大会「アクティブ福祉in東京’23」
第1会場「日常ケアの向上1」 優秀賞

「アクティブ福祉in東京’23」第1会場優秀賞 社会福祉法人同胞互助会 昭島市高齢者在宅サービスセンター愛全園 コロナ禍における身体機能低下を防ぐ機能訓練の見直しとリラクゼーションの相乗効果

コロナ禍での身体機能低下に対し、機能訓練にリラクゼーションを取り入れるリニューアルを行った昭島市高齢者在宅サービスセンター。ご利用者の意欲を引き出し、加算の算定を得た点などが評価され「アクティブ福祉’23」で優秀賞を獲得しました。
今回は、発表者である介護職員の北條祐貴子(ほうじょう ゆきこ)さんと理学療法士の岡部玲子(おかべ れいこ)さんにお話を伺いました。※肩書は当時

【主題】コロナ禍における身体機能低下を防ぐ機能訓練の見直しとリラクゼーションの相乗効果
【副題】身体機能向上を図ることによってADL維持等加算Ⅱの算定を目指して

 

     

左から 昭島市高齢者在宅サービスセンター 岡部玲子さん、北條祐貴子さん、白十字ホーム 吉岡 聖さん(東京ケアリーダーズ)

――今回の取り組みを始めた経緯をお聞かせください。

北條 コロナ禍ではデイサービスでの体操が制限される場面があり、ご利用者の体力低下や転倒リスクの上昇がみられていましたが、ウィズコロナとなっていく中で体操の再開を目指しました。また、併せてADLの低下も見られたため、ADL維持等加算Ⅱを取得できるよう機能訓練のリニューアルを考えました。

――研究における工夫をお聞かせください。

岡部 デイサービスの送迎は1日2便出ていますが、その時間差による運動量の差が出ないように、プログラムを考えました。

北條 機能訓練を行うだけではご利用者の意欲は湧きづらいので、訓練の合間にリラクゼーションの時間を設けてやる気を引き出すようにしました。また、成果を実感できるよう結果を褒めるようなポジティブな声掛けを徹底するよう職員で共有しました。

――ご利用者はそれぞれADLが異なりますが、目標設定はどのようにしましたか。

岡部 コロナ禍を経て明らかに筋力も活動量も低下していたため、第一にその改善を図りました。また、減少していた趣味活動や地域活動への参加を促進しました。結果としてADLの向上につながりました。

――研究において、大変だったことはありましたか。

北條 動線を含めて全体の流れを大きく変えたことで、最初は職員も戸惑いました。また、ご利用者、特に認知症の方は対応が難しく、新たな形式になじむまでは大変でした。

――コロナ禍ではデイサービスの利用控えもあり大変だと思いますが、利用を促すためにはどのようなことをしましたか。

岡部 共用部の徹底的な消毒やマスク着用の上で発声を控えるなど安心して過ごせる環境を作りました。

――プログラム内容はどのようなものですか。

北條 全体での体操やマシントレーニングに加え、棒体操やセラバンド運動などを通じてインナーマッスルを鍛えます。リラクゼーションはホットパックやエアマッサージ、温泉の湯の花を使った足温浴などがあり雑誌なども用意しています。

 

プログラム内容:セラバンド運動の体験

足温浴のスペース

 

――訓練のリニューアルによるご利用者の反応はいかがでしたか。

岡部 3時間しっかり行うプログラムは最初はきついという声もありましたが、慣れると楽しんでいる様子で、自発的に取り組んでいただけています。時間が短いと感じるご利用者もいました。通所のADL維持等加算もⅠからⅡになりました。

――ご利用者のご家族からの反響はありましたか。

岡部 セラバンド体操はご家族もやりたいという声があがり、セラバンドと運動方法をまとめたシートをご家族にお渡ししています。

――コロナ禍以前の機能訓練からの大きな変化はどのような点ですか。

北條 職員全体で行動分析学の概念を共有することで、職員の意欲が向上しました。また、ご利用者の中には筋肉痛などで運動に嫌気がさす方もいますが、それは効果が出ている証拠だよといった声掛けで継続を促しました。

岡部 運動の効果が出るまでには3か月以上かかることも多々ありますが、ご利用者個々に体力を表すレーダーチャートを作成し、現状から〇%筋力が向上すると歩行が楽になる、可動域が〇度広がると洗濯物を干せるようになるなど、具体的な目標を提示しやる気を維持できるようにしました。

――全体の流れはどのように改善しましたか。

北條 タイムスケジュールを細かく職員に周知することで、プログラムを確実に実践できるようにしました。また、機能訓練の講師による体操の見本を非公開のYouTubeで共有し、手順がわからなくなったときに見られるようにしました。インカムを用いてご家族からの情報や理学療法的評価を共有し、運動強度を随時調整しています。

――受賞の感想をお聞かせください。

北條 研究を評価いただいたことで、自信をもって業務に当たれるようになりました。また、職場全体のモチベーションが向上したと感じています。また、愛全園で運動すると元気になれることを発信できたと思います。

――今後の目標をお聞かせください。

北條 ご利用者が飽きてしまわないよう、新しい体操を随時考えていきます。

岡部 通所ではADLの加算は取れましたが、認知症対応型では取れていないため、認知症重度者も機能訓練に参加しやすく、自宅でもできるような方策を構築したいと思います。

――施設のアピールポイントをお聞かせください。

北條 栄養改善、口腔ケア、レクリエーション活動、機能訓練の4要素を複合的に行い、効果を高めています。また、ご利用者の意欲を高めるため、日常に楽しめる要素を盛り込むことや居心地のよい場所づくりを大切にしています。職員間では、みんぱち(みんなでぱちぱち)で褒め合うことを心がけています。

――取材を終えて
私自身、研究活動に取り組んでみたいと考えていますが、行動分析学の概念はとても参考になりました。研究では職員を巻き込んだ意識づけがとても重要だと思います。また、デイサービスの機能訓練の視点などを他施設の方からお伺いできてとても勉強になりました。本日はありがとうございました。

*「アクティブ福祉in東京’23」の受賞結果・抄録はこちらから

 

社会福祉法人同胞互助会 昭島市高齢者在宅サービスセンター愛全園

所在地:〒196-0014 東京都昭島市田中町2-25-3  電話:042-545-8011

  • 取材:東京都高齢者福祉施設協議会 東京ケアリーダーズ 吉岡 聖(よしおかしょう)さん(白十字ホーム)
  • 記録・編集:東京新聞 木下 聡文
  • 愛全園ホームページこのリンクは別ウィンドウで開きます

2023年12月(アクティブ福祉 第55号掲載)

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