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アクティブ福祉 Digitalうわさの施設

東京都高齢者福祉施設協議会の数ある会員(約1200施設・事業所)のうち、表彰や推薦など、名誉ある経験をもつ施設を紹介するコーナー。毎回‘うわさ’の施設を東京ケアリーダーズが訪問し、お話を伺います。
今回は、「アクティブ福祉in東京'23」で優秀賞を受賞したケアポート板橋にお話を伺いました。

2023年開催 第18回高齢者福祉実践・研究大会「アクティブ福祉 in 東京‘23」
第5会場「日常ケアの向上②」優秀賞

「アクティブ福祉 in 東京‘23」第5会場優秀賞 社会福祉法人不二健育会 特別養護老人ホームケアポート板橋 特別養護老人ホームにおける入浴介助時の腰痛軽減

QC(品質管理)の手法を用いて、入浴介助時の腰痛軽減につながる取り組みを行った、特別養護老人ホームケアポート板橋。要因の分析により職員の腰痛を軽減した点が評価され、「アクティブ福祉’23」で優秀賞を獲得しました。
今回は、発表者である介護福祉士の岡田 直也(おかだ なおや)さんにお話を伺いました。 ※肩書は当時

【主題】特別養護老人ホームにおける入浴介助時の腰痛軽減

 

――今回の取り組みを始めた経緯をお聞かせください。

当施設では10年ほど前から毎年TQM活動(=組織全体での総合的品質管理)をしています。私が担当した際のテーマは「過去に実施したテーマが定着しているかを検証する」というものでした。10年分の検証をした際、定着率が最も低かったものが腰痛対策だったことから、この改善に取り組みました。

――腰痛対策ではどのような課題がありましたか。

職員の半数以上に腰痛があり、それによる欠勤も発生していました。QC(品質管理)の手法でその要因を分析したところ、入浴介助が負担となっていることがわかり、その環境改善に重点的に取り組みました。

――研究における工夫をお聞かせください。

QCの手法ではプロセスが大事ですので、現状把握と根拠に重点を置きました。また、TQMのチームだけでの実践にこだわらず、職員皆で取り組むようにしました。また、腰痛の要因となりうる姿勢=前屈位20度以上の姿勢を「不良姿勢」と定義し、入浴時の不良姿勢時間を半減できるよう取り組みました。

――施設一体となって取り組まれたのですね。周囲を巻き込むためにどのようなことをされましたか。

腰痛のある方もチームメンバーに加えました。また、職員に個別にお話を伺い、腰痛の要因を明らかにしていくことを大事にしました。

――研究で大変だったことをお聞かせください。

分析においては特性要因図をはじめ様々な要素を調査したことが大変でした。しかし、結果として、ここで下準備をしたことが後々活きてきました。

――取り組みによる好影響をお聞かせください。

以前の機械浴のベッドが低く腰の屈曲を招いていたため、ベッドを交換し不良姿勢を減少させました。また、椅子も大きなものに交換し、洗体時の際の腰の屈曲を軽減。脱衣所にも椅子を設置するなど、持ち運びなどの面倒を省いて継続しやすくしました。結果、腰痛による欠勤も減少しました。

――椅子を交換するだけで負担が軽減されるのは驚きです。ご利用者の反応はいかがでしたか。

取り組みの実施前は椅子に座っての洗体は失礼かもしれないと思っていましたが、実践してみると同じ目線でコミュニケーションが取れることや、せかせかせず、ゆっくり入浴できたという感覚があったようで好評でした。

左:ケアポート板橋 岡田 直也さん、右:東京ケアリーダーズ 高橋 大和さん

 

――研究を終えての感想をお聞かせください。

始めは同期の職員が実施するTQM活動が楽しそうだと感じ、私も取り組んでみたのですが、この取り組みにより根拠のある介護ができると思いました。介護職の専門性の向上にもつながるので、多くの方にTQM活動に取り組んでいただければと思います。

――受賞の感想をお聞かせください。

私自身はTQM活動委員として取り組んだものが受賞につながりありがたいのですが、周囲で協力してくれた職員の協力があってこそのものですので、その点に感謝しています。

――研究を終えて見えてきた課題はありましたか。

今回の研究のきっかけそのものでもあるのですが、定着化することです。取り組みは時間が経つうちに実践されなくなることがありますが、それを防ぐために職員に入浴委員を設けました。また、最初のデータ収集に時間が労力を要しましたので、施設全体でTQMの手法を共有することでその時間を短縮できればと思いました。

――今後の目標をお聞かせください。

今回の取り組みを水平展開していきたいと思います。まずは、併設のデイサービスで実践し、入浴介助における負担軽減を図ります。

――最後に、施設のPRをお願いします。

自施設は、根拠のある介護を常に意識し、TQM活動も活発でグループ施設での発表大会が実施されるなど、競い、学び合える環境があります。上司もやりたいことを後押ししてくれ、研修などの学ぶ機会が数多く提供されています。

――私自身も腰痛を抱えていますが、入浴時に椅子の高さを調整するだけで腰の負担が軽減されるということは、とても参考になりました。これはベッド上での排泄介助や移乗など、様々なことに応用できると思いますので、私の職場でも日常の様々な場面に意識を向けて腰痛対策を考えたいと思います。本日はありがとうございました。

 

*「アクティブ福祉in東京’23」の受賞結果・抄録はこちらこのリンクは別ウィンドウで開きますから

 

社会福祉法人不二健育会 特別養護老人ホームケアポート板橋

所在地:〒174-0041 東京都板橋区舟渡3-4-8  電話:03-3969-3155

2024年2月(アクティブ福祉 第56号掲載)

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