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福祉広報 2019年4月 724号 テキストデータ

【表紙】

愛知県 江南市
仲良しスポーツクラブの仲間たち。

満開の桜、
弾ける笑顔に元気をもらう

 

【もくじ】

社会福祉NOW
新たな中期計画で東京の多様性を活かした“地域共生社会づくり"

トピックス
当事者が「本」となり体験を語る
立川市社協市民活動センターたちかわ「ヒューマンライブラリー@立川」

【連載】社会福祉法人の地域ネットワーク(11)清瀬市
広報・情報発信力を強化し、「きよせの社福」の取組みを市民に伝える

福祉のお仕事通信
社会福祉法人天童会
秋津療育園 看護師 岡田恵子さん

 

【社会福祉NOW】

新たな中期計画で東京の多様性を活かした"地域共生社会づくり"

東社協では、このたび、平成31年度(2019年度)から令和3年度(2021年度)までの3か年における『東社協中期計画』を策定しました。新たな計画は、「協働を進め、地域の課題解決力を高める」を共通目標とした『平成28~30年度東社協中期計画』の成果をふまえ、その協働をさらに発展させるとともに、東京の多様性を活かしながら、"地域共生社会づくり"を推進します。

「東京の多様性」を活かす
―めざすべき地域社会と共通目標
平成31年度(2019年度)からの3か年の中期計画(以下、「計画」)では、全事業の取組みを通じて「めざすべき地域社会」の実現をめざします。その地域社会の姿とは、「それぞれの地域生活課題を主体的に解決できる地域社会」です。それに合わせて計画の「共通目標」には、「東京の多様性を活かした『地域共生社会づくり』の推進」を掲げました。計画の策定をすすめた東社協総合企画委員会では、「『東京の多様性』とは何だろうか?」という問いかけがありました。そこで、委員からの意見をふまえて整理したのは、次の3つの多様性です。
一つは、「多様な地域」があるということ。東京には62の区市町村があり、各地域にそれぞれ特性があります。「その地域ならではの力」である社会資源も育っています。そうした地域なりの力を活かしていくことが必要です。
二つめは、「多様な価値観」です。さまざまな人が暮らす東京。その多様な暮らしや価値観を認め合えることが大切です。そして、そのことは、人と人が「気づき、育ち合える」ことにもつながっていきます。
三つめは、「多様な主体」です。地域には社会福祉法人や企業、NPOや民生児童委員、そして、地域住民といったさまざまな主体がいます。受け手や支え手といった枠組みも越えて、専門機関から地域住民までが主体的に協働して福祉基盤をつくりあげることが望まれます。

福祉人材対策と福祉の魅力の可視化
―重点目標(2)と重点目標(6)
こうした「共通目標」のもとに、計画では6つの「重点目標」を設定しました(4ページの図1参照)。その中の一つは「福祉人材の確保、育成、定着の推進」です。これは、現行の中期計画から引き続く重点目標です。
新たな計画の策定にあたって、施設部会連絡会では、「福祉人材の確保は依然として極めて厳しい」という指摘がありました。一方、福祉人材対策の施策は、多面的なアプローチが整理されてきています。それらは「多様な人材の参入の促進」「福祉の仕事に対するイメージの改善」「職場環境の改善や生産性の向上」「職員確保等に資する介護報酬等の設定」「キャリアパス構築への支援」「区市町村の特性をふまえた人材対策」といったアプローチです。そうした方向性もふまえつつ、計画では、福祉業界として今後も「質」と「量」の双方を重視しながら、多様な人材が福祉職場で活躍し、その成長を実感できることをめざします。その多様な人材となる「新たな層」には、次世代、未経験者、外国人介護労働者などが想定されます。
また、前述の総合企画委員会では「やはり福祉の魅力を地道に伝えていく取組みが大切だ」という意見もいただきました。さらに、施設部会連絡会では、「計画期間中には、東京パラリンピックがある。それを障害に対する理解を広げる契機とすべきだ」という指摘がありました。障害のある人一人ひとりが輝く姿が福祉への関心につながることが望まれます。重点目標の一つには「福祉の魅力の可視化」を位置づけました。その際に重視したのは、それを身近な地域で具体的なイメージを持つことができるよう発信すること。地域で福祉施設自身が、その実践を魅力として可視化し、発信していくことを広域から支えていくことが必要です。

地域公益活動の推進と地域づくり
―重点目標(3)と重点目標(4)
現行の中期計画では、「区市町村圏域における社会福祉法人のネットワーク化」をすすめてきました。平成31年2月現在で51の地域でネットワーク化がすすみ、かつ、それぞれの地域でニーズに応える取組みもはじまりました。
さらに、合わせて「地域づくりをすすめるコーディネーター(地域福祉コーディネーター、CSW、生活支援コーディネーター等)の育成」を推進してきました。配置する区市町村社協は44社協となっています。
このように育ってきた力を地域づくりに活かすべく、計画では「社会福祉法人の地域公益活動の推進」と「地域づくりと幅広い参加・協働の推進」の2つを重点目標に位置づけました。

権利擁護と自立支援、災害に強い福祉
―重点目標(1)と重点目標(5)
めざすべき地域社会の具体的な姿の一つに「誰もがライフステージに見通しを持って暮らせる地域社会」があります。福祉業界にとって、「安全・安心」はやはり大切なテーマです。
計画では「権利擁護と自立生活支援の推進」を重点目標の一つに位置づけました。近年の動向には「意思決定支援」が重視されてきていることがあります。厚生労働省は、29年3月に「障害福祉サービスの利用にあたっての意思決定支援ガイドライン」、30年6月には「認知症の人の日常生活・社会生活における意思決定支援ガイドライン」をそれぞれ公表しました。
また、東京都では「東京都障害者差別解消条例」が30年10月に施行されるとともに、「東京都子供への虐待防止条例」が制定されました。国でも「児童虐待防止法」の改正がすすめられています。そして、「都道府県社会的養育推進計画」が31年度(2019年度)末までに策定することが求められています。これらの流れでは、個別支援と地域づくりが視点を一にして取組むことが必要となっています。
そして、「安全・安心」のもう一つの視点は「災害対応」です。30年度に東社協が会員施設・事業所を対象に実施したアンケート調査では、東京における災害時の福祉サービスの供給体制の課題や高齢者、障害者、子どもたちに特有なリスクも明らかになりました。東京の特性をふまえた「災害に強い福祉」の推進が求められます。
さらに、総合企画委員会では、災害ボランティアを含め、東京はこれまでに他県の災害に対する支援の経験は重ねてきたものの、東京で災害が起こったときの具体的な取組みや他県からの支援を受けること(=受援)により一層備えていく必要性も指摘されました。

事業間で相互に取組みを可視化
―全事業の中期目標と協働推進事業
これらの「重点目標」をふまえ、「全部室・全事業」に中期目標と3年間の展開方策を設定しました。総合企画委員会では、「中期計画を通じて事業全体を『見える化』していくことは、ガバナンスの強化につながる」という示唆がありました。合わせて、計画の推進にあたって「事業間や東社協を構成するネットワーク間がお互いの取組みを見えるようにし、一層の協働をすすめる必要がある」と指摘されました。
また、計画では、6つの重点目標と全事業をつなぐため、計画初年度のものとして9つの「協働推進事業」を位置づけました(4ページの図参照)。これらはいずれも重点目標の実現に向けて複数の事業間の協働を必要とするものです。
● ● ●
こうした事業の目標とともに、東社協法人基盤の強化についても、内部管理体制の構築、職員育成やマネジメント力の向上、ネットワークの充実などをすすめていく予定です。
そして、これからの社会に対して「東社協らしい役割」を果たしていくために、中期計画を通じて東社協の持つ幅広いネットワークを活かした取組みがすすみ、地域の力を高めることにつながることが期待されます。

図1 共通目標と6つの重点目標

図2 重点目標と全事業をつなぐ「協働推進事業」

 

【トピックス】

当事者が「本」となり体験を語る
◆ 立川市社協市民活動センターたちかわ「ヒューマンライブラリー@立川」

障害のある方や依存症といった生きづらさを抱える当事者やその家族が体験談を語り、参加者が聴くイベント「ヒューマンライブラリー@立川」が立川市社協の主催で平成31年1月19日、立川市社協市民活動センターたちかわにて開催されました。26年に初開催してから今回で5回目。この日は延べ100名以上の来場者がありました。
会場を公共図書館に見立て、さまざまな悩みを抱えて生きている人自身を「本」として「読み手」に貸し出し、30分間の読書(対話)をするという催しです。
「本を傷つけないこと」という内容の「同意書」を事前に提出した人だけに、本を貸し出すことになっています。当日の本として、LGBT、各種の依存症、薬物依存症、ホームレス、外見に問題を抱えた人、引きこもり、発達障害の当事者やその家族の人たちが参加しました。
貸し出しから読書をするために、(1)対話は「生きている本」1冊(名)に対して、「読み手」は1~5名程度の少人数、(2)語り手の本は、誤解や偏見を受けたことがあった生きづらさを抱えた当事者の体験談、(3)読書(対話)の時間は30分間という最小限のルールがあります。

多様な生き方を知る体験
市内、近隣の当事者や団体から集まった21名が本になりました。
本のタイトルは、「性同一性障害の当事者として生きる」「車いすでオーストラリアに留学したJK(女子高校生)」「障害現役」などです。本のタイトルに沿った自身について語りました。読み手も担った本からは、「他の本の話を聞くことで、自分だけでなく、世間にはさまざまな人がいることを知ることができた」との感想がありました。
読み手からは、「『逃げてはいかん』という話とその言葉に生きるエネルギーをもらった」「気づいていないだけで自分の周りにもいるかもしれない。自分の認識が変わった」といった声が聞かれました。

誰もが生きやすい地域づくり
立川市社協の比留間敏郎さんは「このヒューマンライブラリーは、社協本来の役割を発揮できる活動。地域に暮らす多様な人たちがこの場で出会い、当事者も「本」として自己開示をすることで自信がつき、話した後にはさまざまな変化が現れる。今回、「読み手」や、本と読み手の仲介役である「司書役」として、若い世代の方が多く参加してくれたことは、今後の人生においても大きな財産となり、参加した人が知人にもこの経験を広く伝えることで偏見や差別のない『まち』に近づくと思っている」と話します。
今後について、立川市社協の安藤徹さんは「本の人たちが、地域で生きづらさを感じることなく暮らしていけること。ヒューマンライブラリーを継続することで、それまで関心がなかった人が『読み手』として催しに参加することで、多様性を知ってもらうことをめざしたい」と言います。

読書(対話)の様子

 

【マンスリー】

福祉のできごと
2019.2.26-2019.3.25
※対象期間外のできごとを掲載させていただく場合もあります

3/19
「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案」閣議決定
政府は、児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案を閣議決定した。2020年4月施行予定。児童相談所の体制強化のほか、親権者が児童のしつけに際して体罰を加えてはならないことが明記された。また、民法上の懲戒権のあり方について、施行後2年を目途に検討し、必要な措置を講ずることが盛り込まれた。

3/1
在宅医療を受けた患者が1日に約18万人
厚生労働省は平成29年患者調査の概況を公表した。調査日に在宅医療を受けた患者は推計で約18万人であり、20年の調査以降増加が続いていることがわかった。 在宅医療の種類別にみると、「往診」が44万3千人、「訪問診療」が116万3千人、「医師・歯科医師以外の訪問」が19万6千人となっている。

3/3
新たに28人の「認定介護福祉士」誕生
一般社団法人認定介護福祉士認証・認定機構は、「認定介護福祉士誕生記念イベント」を開催した。600時間の研修を経て2月に新たに28人の認定介護福祉士が誕生し、計55人となった。

3/14
「スペシャルオリンピックス夏季世界大会・アブダビ」開催
「2019 年スペシャルオリンピックス夏季世界大会・アブダビ」が3月14日から21日まで開催された。知的障害のある人たちが日常のスポーツトレーニングの成果を発表。日本選手団は11競技に参加した。スペシャルオリンピックスの世界大会は、オリンピック同様、4年に1度夏季・冬季に開催されている。

 

【連載】

社会福祉法人の地域ネットワーク 連載No.11

平成28年9月に設立した東京都地域公益活動推進協議会は、(1)各法人、(2)地域(区市町村域)の連携、(3)広域(東京都全域)の連携の三層の取組みにより、社会福祉法人の「地域における公益的な取組み(以下、地域公益活動)」を推進しています。東京都地域公益活動推進協議会では、地域ネットワークの立ち上げのための事務費や、複数法人の連携事業開始時期の事業費の助成を行うとともに、地域ネットワーク関係者連絡会等を開催し、他の地域と情報交換できる機会をつくっています。

清瀬市
広報・情報発信力を強化し、「きよせの社福」の取組みを市民に伝える

清瀬市では平成29年10月に「清瀬市社会福祉法人社会貢献事業協議会」を設立しました。全事業所の連携による相談事業「ひとまず相談」を中心的な取組みとしながら、シンボルマークの作成や「きよせの社福 4つの役割」の明文化など広報・情報発信に力を入れてきました。法人が連携して地域のニーズに即した取組みを生み出していけるよう、職員間の交流をすすめています。

2年の準備期間を経て法人ネットワークを発足
清瀬市の社会福祉法人ネットワーク発足に向けた検討は、平成27年9月に始まりました。
同市では東日本大震災の後、清瀬市社協の呼びかけで福祉施設・事業所による災害をテーマにした情報交換会を開催したことはありましたが、それ以外では法人や事業所が分野を超えて集まる場はありませんでした。常設の協議会を立上げるにあたっては、清瀬市社協が事務局となり市内の事業所に参加の呼びかけを行い、幹事会と部会を設置して準備をすすめることとしました。検討段階では、社会福祉法人が連携して取組むことの意義や協議会としてめざすものを共有することを心がけました。
28年12月からは、「社会福祉法人ならではの取組みを考える」「全事業所が関わることができるテーマを盛り込む」「部会同士が連携しながら取組む」といった複数の視点から設置した4つの部会で、具体的な取組み内容の検討を開始。全事業所が連携して実施する相談事業「ひとまず相談」の準備や、事業所が提供できる場所や備品、福祉教育の講座等をまとめた資源帳の作成、取組みをPRするシンボルマークやリーフレットの作成等をすすめました。同時に組織体制の整備や役員選出を行い、29年10月16日に清瀬市社会福祉法人社会貢献事業協議会(きよせの社福)を設立しました。

シンボルマークの作成等で広報・情報発信力を強化
きよせの社福では広報・情報発信に力を入れています。事務局である清瀬市社協のウェブサイト内に専用ページを作り、ネットワークによる取組み紹介をはじめ、各法人・事業所が実施する地域交流や社会貢献活動等を「きよせの社福ニュース」として掲載しています。また、小地域で行われている会議や民生委員児童委員協議会などに出向き、リーフレットの配布や事業説明を行ったほか、市内すべての小中学校へ近隣の社会福祉法人の担当者と一緒に訪問し、関係づくりをすすめてきました。
清瀬市社協地域福祉係長の富田千秋さんは「各法人ではこれまでも福祉教育をはじめいろいろな取組みを行ってきたが、地域のみなさんは社会福祉法人の存在すら知らないことも多い。広報と情報発信をより積極的に行っていく必要がある」と話します。
広報・情報発信の強化に一役買っているのが、市民からの公募によって選定されたオリジナルのシンボルマークです。シンボルマークは準備段階の広報・情報発信部会メンバーの発案により作成されました。清瀬市社協事務局次長の星野孝彦さんは「『社会福祉法人を地域の人に知ってもらいたい、もっと身近に感じてほしい』という施設職員の思いがあった。ゆくゆくは市内の施設職員が名刺に刷り込んでくれたらいいねと話していた」と経緯をふり返ります。
シンボルマークの応募資格は市内在住・在学の小学生から大学生までとし、社協だよりや市報への掲載のほか、学校等を通じて募集チラシを配布しました。応募期間約1か月の間に55点の応募があり、部会で候補作を絞り込んだ後に全体会の投票で優秀作品3点を決定しました。最優秀賞は、清瀬の名物であるひまわりをモチーフにした小学生の作品が選ばれました。このシンボルマークはウェブサイトやリーフレット、資源帳などすべての媒体に掲載し、ひと目できよせの社福であることがわかるよう定着を図っています。
また、きよせの社福では地域に対してできることを、「1 相談支援~思いを受けとめる」「2 様々な場づくり~地域の力を応援」「3 福祉教育・人材育成~わかりあえる人づくり」「4 広報・情報発信~あんしんの力に」の4つの役割としてまとめています。取組みをわかりやすく伝える工夫として、この「きよせの社福 4つの役割」もシンボルマークと同じように主要な媒体に掲載しています。

事例検討でお互いの強みを知る
31年3月、きよせの社福として初めての研修会が会員施設のベトレヘム学園で開催され、13施設から20人が参加しました。研修は、きよせの社福による取組みへの理解を深めるとともに、法人間の連携が促進されるよう会員事業所職員間の交流を図ることをねらいとして、部会により企画されました。
日本社会事業大学准教授の菱沼幹男さんの講義の後、施設種別を混ぜたグループで複合的な課題を抱える世帯の事例検討を行いました。現場職員の視点から、自分の施設でできること、あるいはネットワークとしてできることについて、活発な意見交換が行われました。検討のポイントなどを講評した菱沼さんは「事例の世帯を支えるうえで、もしサロンが必要であれば新たに作ったり、施設のスペースを提供したりすることも考えられる。具体的なニーズから資源を生み出す過程で、地域との関係性を作っていくことができる」と施設と地域の関わり方について助言しました。
保育園から参加した職員は「地域包括支援センターの動き方などまったく知らなかった。事例検討を通して普段関わることが少ない他分野の職員の意見を聞くことができて新鮮だった」と話し、刺激を受けた様子でした。

職員レベルでの交流をすすめて連携した取組みの活性化を
顔の見える関係のなかで、他分野の法人の強みや具体的な支援、アプローチ方法などの理解を深めていくことは、事業所間の連携促進にプラスに働きそうです。
きよせの社福の中心的な取組みである「ひとまず相談」は、市民からの困りごとを身近な施設で受け止め、事業所が連携して支援をする相談事業です。利用実績はまだ多くはありませんが、清瀬市社協事務局長の増田健さんは「各事業所では利用者からの相談をたくさん受けている。専門相談以外の相談も安心して受けられるように広がっていってほしい」と話します。
社協の星野さんは「法人が連携して相談支援したケースも出てきている。交流を通して法人間の理解をさらにすすめ、つながりのある2~3の法人が連携してニーズに応じた取組みを生み出すような動きが広がっていってほしい」と展望を語ります。
きよせの社福の代表で障害福祉サービス事業所を運営する(福)清瀬わかば会理事長の緒志嘉彦さんは「協議会を立ち上げたことで、違う分野の法人が同じテーブルに着くことができるようになった」とプラットフォームができたことを評価しています。会議等で他の事業所を訪れる機会も増え、「施設を見学させてもらいながら現状や課題を伺うことができ、視野が広がった」と話します。そして、「各事業所とも人員に余裕があるわけではないが、法人の理解を得ながら、現場職員にもぜひ積極的にネットワークに参加してもらいたい。それが法人の活性化にもつながる」と期待しています。

左から
清瀬市社協地域福祉係長 富田千秋さん
きよせの社福代表・清瀬わかば会理事長 緒志嘉彦さん
清瀬市社協事務局長 増田健さん
清瀬市社協事務局次長 星野孝彦さん

研修会の様子

 

【東社協発】

報告
平成31年度(2019年度)東社協事業計画・予算

平成31年度(2019年度)は、「東京の多様性を活かした"地域共生社会づくり"」をめざした東社協中期計画の初年度になります。以下の6つの柱で各事業を推進します。

1 安全・安心と権利擁護、自立生活支援の推進
○地域福祉権利擁護事業における「意思決定支援」を重視した研修の実施
○「地域と家裁の連携による成年後見制度の新たな選任・利用支援のしくみ」の推進
○福祉サービス利用者からの苦情解決に向けた相談事業および研修会等の実施
○生活福祉資金貸付事業と自立相談支援機関の連携、災害時に備えた「特例貸付実施の手引き」の作成
○低所得世帯の子どもの進学のための受験料の貸付や奨学金の給付
○東日本大震災による都内避難者に対する「孤立化防止事業」「避難者総合相談事業」の引き続きの実施

2 福祉水準の向上を支える基盤の強化
○専任相談員や弁護士、公認会計士等による社会福祉法人の経営に関する相談事業の実施
○各種損害保険の案内
○東京都福祉人材センターによる求職者への個別支援と求人事業所支援の強化
○「福祉の仕事就職フォーラム」の就活の早期化に合わせた開催、「地域密着面接会」の開催地区の増
○「働きやすい職場づくり支援事業」による職場環境整備の支援
○福祉の仕事を小中学校、高校、一般大学等の学生へ普及啓発
○「はじめて社会福祉を学ぶ福祉職員のためのスタートアップ研修」のカリキュラムの見直し
○都内の福祉事業所に対する地域型の研修実施機関との情報交換
○従事者共済会における資産運用と管理の検証

3 ネットワークの構築・協働と幅広い参加の促進
○関東ブロック社協災害時相互支援協定の幹事県としての支援調整
○関東ブロック社協合同研の開催
○施設部会会員施設・事業所の被災情報の把握システムの構築
○東京都地域公益活動推進協議会による「地域を知り地域とつながるための研修」の開催
○各施設部会における「人材確保・定着・育成」「災害時の福祉的支援」「地域公益活動の推進」の取組み
○施設の建替えに関する諸問題を検討しマニュアルを作成
○外国人介護士の受入れに関する対策と対応を検討、受入れのためのガイドラインを作成
○「都道府県社会的養育推進計画」策定の対応、児童相談所の特別区設置への対応
○「日常生活支援住居施設」の動向等への対応
○東京都民生児童委員連合会における『東京版活動強化方策』の着実な推進と3年に一度の一斉改選への円滑な対応
〇東京ボランティア・市民活動センターによる「企業CSR等連携促進事業」の充実強化と第2期「東京都災害ボランティアセンターアクションプラン」の推進
〇東京善意銀行における寄付者と配分施設の交流促進

4 地域の取組みの支援と普及
○地域づくりをすすめるコーディネーターの活動スタイルの確立
○「地域福祉計画・地域福祉活動計画の推進に関する区市町村主管課および社協の情報交換会」の開催
○「生活支援体制整備強化事業」(生活支援コーディネーターの養成研修)の実施

5 情報発信と提言
○「改正生活困窮者自立支援法の施行をふまえた都内実施状況の把握
○「福祉施設・事業所における福祉人材としての新たな層の受入れに関するヒアリング調査」の実施
○『福祉施設における中学生の職場体験受入れハンドブック』の普及
○『発達障害者支援ハンドブック』の改訂
○戦略的広報事業における「ふくし実践ポータルサイト」の活用促進と福祉広報との連携
○出版活動の充実
○地域福祉推進委員会による「東京らしい地域共生社会づくりのあり方」報告をふまえた新たな検討

6 東社協法人基盤の強化
○新たな中期計画の推進
〇本会による「地域における公益的な取組み」の実施

報告
ヒカリ興業奨学基金の新たな奨学生が決定しました

3月13日(水)、東社協東京善意銀行・都民企業担当では、ヒカリ興業奨学基金による平成31年度高校・大学進学者への奨学金給付を審査するための運営委員会を開催し、新たに9名の奨学生を決定しました。
ヒカリ興業奨学基金は、平成17年度にヒカリ興業(株)様からの寄附を受けて、給付型の奨学金として東社協内に奨学基金を設置し、経済的な理由により高等学校や大学等の進学が困難な者に対して学資の援助を行っています。高校等へ進学する者へは年間15万円、大学等へ進学する者へは年間24万円を、卒業するまでの間毎年給付するというものです。
ヒカリ興業(株)様からは、「苦境に立つ多感な若者にこそ、社会は平等な、恵まれた学びのチャンスを与えるべきだ」との思いで、その後も毎年奨学金のための寄附をいただき、区市町村社協の協力のもとで、奨学基金の事業を継続することができています。
ヒカリ興業奨学基金がスタートしてから、これまでに86名の奨学生に奨学金の給付をしてきました。平成30年度は、25名の奨学生に奨学金の給付を行いました。
運営委員会終了後、東社協事務局長からヒカリ興業(株)様へ、感謝状の贈呈をいたしました。

東社協 新会員のご紹介

▽東京都高齢者福祉施設協議会
特別養護老人ホームかえで園、晴風苑、グランアークみずほ、フラワープラム武蔵村山、三鷹市大沢地域包括センター、大田区地域包括支援センター六郷、至誠ホームオンニ
▽東京都介護保険居宅事業者連絡会
暁倖、ライフケア夢工房、ハーモニー奥戸、颯凌会 まつばらホームクリニック居宅介護支援事業所、ゆき訪問介護事業所
▽知的発達障害部会
コイノニアかみきた、町田おかしの家
▽保育部会
アスク岩戸北保育園、オンビーノスクエア野方、世田谷いちい保育園南ウイング、江戸川中央ちとせ保育園、新田おひさま保育園、なぎさ通り保育園
▽情報連絡会員
(福)トラムあらかわ法人事務局、セーラーズ・ファミリー、GRIPキッズ両国校

写真:右から2人目がヒカリ興業(株)代表取締役川﨑哲也様
右端が常務取締役岩沢真様

 

【福祉のおしごと通信】

療育を通して、ゆっくりと人生に寄り添う

重症心身障害児者施設で、看護師として働く岡田恵子さんにおしごとの魅力を伺いました。

●視野を大きく広げたボランティア
高校生のとき運動部に所属していましたが怪我がきっかけで退部しました。放課後の過ごし方に迷っていたとき家族のすすめもあり、地元の社協に行き、知的障害児と暮らす家族のレスパイトケアのボランティアを紹介してもらいました。大学生やほかの学校の高校生と一緒に知的障害のある子どもと遊んだり、親御さんが集会のときには託児をしたり、普段の学校生活では得られない経験でした。もともと手に職をつけたいと考えていたので、ボランティアの経験から福祉施設で働く看護師をめざしました。いまふり返ると、あのとき社協に足を運んでいて良かったと思っています。
専門学校卒業後は急性期病棟で5年間勤務しました。急性期病棟の患者は10日ほどで転院や施設入所になることが多く展開が速いです。次第にボランティアのときのように療育に携わりたい、自分の看護を確かめたいと思うようになりました。肢体不自由児施設で数年勤務したのち、秋津療育園に入職しました。
●利用者を中心に考える
「『自分のやりたい看護ができなかった』と言って退職する人がいるけれど、そもそも"自分のやりたい看護"というものはない。目の前にいる利用者に必要だと思うケアを行う、それが看護である」。これは、前職の上司からの印象的な言葉です。たしかに、ケアをする側が主体になると、どこか支援に行き詰まるように感じます。とはいえ、いつの間にか仕事や業務に追われ、支援者本位になってしまうことがあるので、常に利用者本位を心がけています。
重症心身障害児者施設は看護師だけではなく、医師やリハビリ職、保育士、介護福祉士、社会福祉士、教員免許取得者、栄養士などさまざまな専門職がいます。何かあった際にはすぐに相談し、多角的に解決の糸口を見つけることができます。多職種連携は上下関係ではなく、横並びの関係です。それぞれが自分の仕事に誇りを持って、利用者がより良い支援を受けながら安全で快適に過ごすことを主軸に、歩み寄って支援の方法を考えます。私はボランティアをしていたときに、何かを成し遂げるために企画し実行した後ふり返るというPDCAサイクルを経験していたので、今でも「利用者にとってこんなものがあったら良いのでは?」というアイデアが浮かべば、自分でプロセスを考え周囲にすすめて理解を求めるようにしています。
職員が24時間利用者の様子を見ているからこそわかることがあります。利用者の中には、言葉による意思疎通が図れない方もいます。他の職員から「訓練のときは表情が変わる」と聞くと、利用者の意外な一面を知ることができ、コミュニケーションは言葉だけではないと感じます。ほかにも、出勤してから各部屋を回って「おはようございます」とあいさつすると、利用者の視線を感じたり私の顔を見てくれます。目には見えないパワーをもらっているような気がして、「今日も一日がんばろう!」と思える私の原動力です。
●人生に寄り添える福祉の奥深さ
利用者の中には高齢の方もいます。以前急性期病棟で勤務して、看護に関する知識や経験を積んだ貴重な経験のおかげで高齢にともなう身体的な変化や疾患を予測でき、アセスメントしやすいです。
よく、療育にマニュアルはないと言われます。食事の場面だけでも、利用者一人ひとりに合わせた食事のペースや、車いすの角度があり、お手伝いする方法はさまざまです。入職して1年目は特に覚えることがたくさんあるので、業務をこなすことに必死になってしまうのはみんな一緒だと思います。それでも利用者と春夏秋冬を一緒に過ごすことで、今まで見えてこなかった利用者の笑顔や表情など、非言語で届くサインをキャッチできるようになってきます。
病院とは違う福祉施設で働く魅力。それは自分が働いた分だけ利用者に関われるということです。「昨年の桜は遅咲きでしたが今年はどうでしょう」など、年単位で一緒に時間を過ごすことにより、全人的に利用者それぞれの人柄や考え方を知り、その人の人生に寄り添えます。これは福祉施設で働く特権であり、楽しさや奥深さだと思っています。

岡田恵子
Keiko Okada

社会福祉法人天童会
秋津療育園 看護師
急性期病棟、肢体不自由児施設で数年間勤務した後、8年前から現職

 

【アンテナ】

助成金

障がい者支援団体への助成
5月1日(水)~6月7日(金)必着 (1)原則として障がい者支援を行う非営利の民間団体であり、グループホーム、地域活動支援センター、就労継続支援A/B型などの社会福祉事業、またはそれに準じた事業を行う、規模の小さな団体やNPO法人等の団体を対象とする※加齢に伴う障がいを除く(2)環境整備のための施設改修工事、設備・備品等の調達に必要な資金の一部を助成(3)関東地区1都6県限定※例外あり(4)1団体1施設に限る 1件25万円上限 所定の申込書類に添付書類を添えて郵送 木下財団事務局 〒104-0042中央区入船3-2-7 第二明治ビル6F 03-6222-8927
http://www.kinoshita-zaidan.or.jp/

講座・シンポジウム

シンポジウム「ひとり親をめぐる現状と施策~今求められていること~」
4月20日(土)13時~16時半 有楽町朝日ホール 先着150名 無料   基調講演、基調報告、パネルディスカッション 当事者、ひとり親の支援に携わる行政職員、専門職、NPOなどの民間団体のほか、関心のある市民 電話、FAX、メール、ホームページ 朝日新聞厚生文化事業団
03-5540-7446 03-5565-1643
hitorioya@asahi-welfare.or.jp
http://www.asahi-welfare.or.jp/

高次脳機能障害実践的アプローチ講習会
一括先行申込4月29日(月)、第1回6月3日(月)、第2回9月9日(月) 第1回6月23日(日)10時45分~17時10分、第2回9月29日(日)10時45分~17時半 JA共済ビル1階カンファレンスホール 各回250名※定員に達し次第締切 一括9千円、各回ごと5千円 講義「高次脳機能障害とその支援に向けた取り組み」ほか メール 東京高次脳機能障害協議会 090-1734-5114
kurakata@brain-tkk.com
http://www.brain-tkk.com

2019年度介護中核人材養成研究会
5月6日(月)12時半~16時 御茶ノ水ソラシティカンファレンスセンター 先着100名 無料 デンマークにおける介護人材養成・確保の実際~ケア理念に基づいた福祉テクノロジーの導入にむけて~ ホームページ 介護中核人材養成研究会事務局 denmark2019kaigo@gmail.com
https://www.secure-cloud.jp/sf/154571
8167QxaXUfUS

第7回国内研修事業
5月9日(木)必着 6月27日(木)~29日(土)※2泊3日宿泊型研修 AP市ヶ谷 24名 実施団体負担 ホームページで公開予定 社会福祉法人、NPO法人に所属し障害福祉サービスに従事している方、原則実務経験3年以上で上限年齢40歳程度 所定の書類と添付書類を郵送 清水基金 〒103-0027 中央区日本橋3-12-2
03-3273-3503
https://www.shimizu-kikin.or.jp/

支援者のための成年後見制度活用講座
(1) 認証単位取得の方
60名 3万3千円(テキスト代別)※東京社会福祉士会会員3万円 社会福祉士
(2) (1)以外の方
20名 3万円(テキスト代別)※東京社会福祉士会会員2万8千円 1.社会福祉士 2.成年後見に関わる相談業務に従事している方、またはその業務を担う可能性がある方
(1)(2) 共通
5月13日(月) 6月29日(土)~30日(日)、7月27日(土)~28日(日) 中央大学駿河台記念館 成年後見制度の法制度と実務への活用について ホームページ 東京社会福祉士会 権利擁護センターぱあとなあ東京 03-5944-8466
http://www.tokyo-csw.org/

東京都点訳・朗読奉仕員指導者養成講習会
(1) 点訳奉仕員指導者(原則火曜日・全20回)
30名 視覚障害者福祉の概要、点字図書に関する専門知識と取扱いほか
(2) 朗読奉仕員指導者(原則水曜日・全25回)
20名 視覚障害者福祉の概要、専門図書の朗読技術、録音装置の操作ほか
(1)(2) 共通
申込書請求受付4月25日(木)~5月27日(月)必着 申込書提出受付4月25日(木)~6月3日(月)必着 7月3日(水)~2020年2月12日(水)14時~16時 日本盲人福祉センター 無料※テキスト代実費負担 点訳または朗読に関する知識と経験があり、講習会修了後、都内で指導活動等ができること 所定の申込書と課題を郵送または窓口提出   [申込・内容について]日本盲人会連合点字図書館 〒169-8664 新宿区西早稲田2-18-2 03-3200-6160
http://nichimou.org/
事業について]東京都福祉保健局障害者施策推進部計画課社会参加推進担当
03-5320-4147
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/koza/tenyakusidousha.html

第40回 医療・福祉フォーラム
6月7日(金)13時~17時 日本赤十字社 8千円※テキスト代等含む 介護政策の新展開と人材の養成確保 電話、FAX、メール フォーラム事務局(北隆館) 03-5720-1161 03-5720-1166
care@hokuryukan-ns.co.jp
http://www.hokuryukan-ns.co.jp/

※この他にも東社協ホームページに各種情報を掲載しています  http://www.tcsw.tvac.or.jp/about/keyword/kakushu.html

 

【資料ガイド】

施策・会議資料
●2019年度休眠預金等交付金活用推進基本計画(平成31年2月25日内閣総理大臣決定)(内閣府/2月)
●第5回全国在宅医療会議資料(厚生労働省/2月)
●人材力活性化研究会(第23回)資料(総務省/2月)
●平成30年度全国児童福祉主管課長会議資料(厚生労働省/3月)
●第28回社会保障審議会議事録(厚生労働省/3月)
●第1回「認知症バリアフリー」に関する懇談会資料(厚生労働省/3月)
●平成30年度居住支援全国サミット資料(厚生労働省/3月)
●第8回社会保障審議会年金部会資料(厚生労働省/3月)
●介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン(厚生労働省/3月)
●第17回社会保障審議会介護給付費分科会介護報酬改定検証・研究委員会資料(厚生労働省/3月)
●第8回在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ資料(厚生労働省/3月)
●「未来イノベーションワーキング・グループ」中間取りまとめ(厚生労働省/3月)
●全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料(厚生労働省/3月)

調査結果
●平成29年度児童手当事業年報(内閣府/2月)
●保育士実態調査結果の概要〈中間のまとめ〉及び保育士等キャリアアップ補助金の実績報告等に係る集計結果(都福祉保健局/3月)
●インターネット福祉保健モニター第3回アンケート結果「障害及び障害のある方への理解」(都福祉保健局/3月)
●成年年齢の引下げに関する世論調査(内閣府/3月)
●東日本大震災により被災した児童生徒の学校における受入れ状況について(平成30年5月1日現在)(文部科学省/3月)

その他
●仕事と育児・介護の両立支援~その現状と対策~(保健福祉広報協会/2月)
●生活困窮者自立支援の実践事例(全国社会福祉協議会/3月)

 

【くらし今ひと】

医療通訳ボランティアには、人と人とのふれあいの温かみがある

患者さんと医療従事者との橋渡しを行う医療通訳ボランティアとして活躍する清水秋恵さんにお話を伺いました。

◆言葉が通じず不安だった
私は中国出身で、結婚を機に日本へ来ました。まだ日本語があまりうまく話せなかった頃、病院に行きました。中国で日本語の勉強をしてきていましたが、医師が話す病気や薬などの医療用語は日常会話では使わない言葉のため、わかりませんでした。どこがどんな風に具合が悪いのか自分の体調をうまく伝えることもできませんでした。とても不安だったことを覚えています。その経験から「自分と同じように不安に思う方の役に立ちたい」と医療通訳ボランティアに登録し、MICかながわが協定を結んだ病院に伺って活動をしています。当初は子どもがまだ小さかったため週1回程度の活動でしたが、時間ができた今では毎日のように活動するときもあり、重い病気の患者さんや精神科のケースも担当するようになりました。
◆医療通訳で大切にしていること
医療通訳をするうえで大切なのは正確性です。病気や治療のことを誤解や間違いがないように伝えなければいけません。依頼があると、しっかり現場で受け答えできるように事前に調べてから活動に臨みます。たくさんのケースを担当してきましたが、今でも日々勉強です。さらに、通訳は機械的に言葉を置き換えるだけではありません。文化の違いなど目には見えない背景を理解し、わかりやすく伝えることも心掛けています。
医療現場では、時に重く厳しい内容の通訳をすることもありますし、患者さんが感情的になることもあります。担当していた方が亡くなることもあります。医療通訳という立場ですが、人間ですから落ち込んだり、辛く悲しい気持ちになることも事実です。活動内容は個人情報なので自分の家族に相談することはできません。しかし、MICかながわのコーディネーターのサポートもありますし、定期的な研修や言語ごとのグループでの自主的な学習会や交流会など医療通訳同士が顔を合わせ経験を共有する機会もあります。仲間の存在はとても大きく、活動を続けていく中での支えになっています。
◆患者さんも医療現場も支える
私は、ある患者さんの検査結果が伝えられる場面に立ち会いました。結果はガンでした。患者さんは重い病名を聞き、とてもショックを受けていたので、気持ちに寄り添いながら言葉をかけ、話に耳を傾けました。落ち込んでいた患者さんでしたが、会うごとに笑顔が増え、治療がひと段落する頃に「通訳さんがいてくれたから前向きになれた。ありがとう」と言われました。そのとき「やっててよかった」と心の底から思いました。
また、産婦人科の依頼で急きょ病院に駆け付けたケースもありました。出産時に赤ちゃんが低酸素状態となり、お母さんは言葉がわからずパニックになっていました。医療従事者も困っていました。現状と今後の治療について通訳すると、やっとお母さんは落ち着くことができ、医師から「来てくれて本当に良かった」と言葉をかけられました。医療現場を支えることができたと感じた瞬間でした。
◆人が通訳するからこその強み
これから来日する外国人がもっと増えると、医療通訳のニーズもさらに高まってくると思います。翻訳の機械やアプリなどの技術も進歩していて、それらを活用することもメリットがあることだと思います。しかし、かつて私もそうだったように、言葉が通じず慣れない土地で病気になるというのは本当に不安なことです。そんなときに母国語を話せる人と会うことができたら、それだけでホッとできるのではないでしょうか。人と人とのふれあいの温かみがある。それこそが医療通訳ボランティアの良さであり強みではないかと感じています。

グループナビ

認定NPO法人
多言語社会リソースかながわ(MICかながわ)

神奈川県内の日本語を母語としない住民が、医療や公共サービスを受けるための支援をする通訳の養成・派遣を中心に活動。医療通訳の派遣先として協定を結んでいる医療機関は69病院。派遣実績は7,185件(2017年度)にのぼる。
https://mickanagawa.web.fc2.com/


【東社協の本】

こんなことに気づいてあげて
~暴力・虐待を防ぐためにあなたにできること~
東京都社会福祉協議会では、暴力・虐待を防ぐため、地域でできることを皆さんと一緒に考えられるよう、この冊子を作成しました。ここで挙げている事例などは、東京都内の子どもや女性のための福祉施設に入所してきた方々の事例を加工して作成しています。
暴力・虐待を生まない社会づくり検討委員会
◆規格 B5版/19頁 ◆発売日 2015.4.7
◆本体 300円+税

ふくしのしごとがわかる本 2019年版
福祉の仕事と就職活動ガイドの最新版。(1)福祉分野の求人の現状や傾向、(2)高齢・障害・保育・児童・女性・低所得・地域福祉など各分野の職場や職種・仕事内容、(3)福祉関係の主要資格、(4)就職活動の実際、(5)就職や福祉の仕事に関する情報源等、福祉の仕事に興味・関心がある方に最適な一冊です。
◆規格 B5判/105頁 ◆発売日 2018.11.28
◆本体 650円+税

困りごとから探せる
介護サービス利用法〈改訂版〉
本書は「かんたんわかる 介護サービス利用法」(平成25年3月)として発行していたものを、リニューアルした書籍です。地域包括支援センターでよくある相談をもとに、困りごとから使えるサービスを探すことができる「悩み解決!介護サービスナビ」を新たに盛り込みました。
◆規格 A5判/194頁 ◆発売日 2017.5.1
◆本体1,800円+税

月刊「福祉広報」

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