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東京都社会福祉協議会

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福祉広報 2019年6月 726号 テキストデータ

【表紙】

鳥取県 西迫郡

肥沃な土壌に恵まれすくすくと育つ稲、
見まわりをする夫婦は稲の成長を、
我が子のように見守っている。


【もくじ】

社会福祉NOW
災害に備えた多様な団体同士の連携・協働

福祉のおしごと通信
株式会社グッドライフケア東京
介護支援専門員 珍田汐花さん

トピックス
認知症の人が住み慣れた地域で自分らしく暮らしていくために(町田市)
当事者の声と地域のつながりから誕生したスターバックス コーヒーでのDカフェ

【連載】社会福祉法人の地域ネットワーク(13)府中市
市内11エリアで住民や関係機関とともに課題解決の取組みをすすめる


【社会福祉NOW】

災害に備えた多様な団体同士の
連携・協働

ここ数年、日本では災害が続いています。災害時、被災者の抱えるニーズは多種多様です。これらの多様なニーズにこたえるためにはさまざまな団体同士が
連携していくことが欠かせません。
今号では、災害時を見据えた平時からの多様な団体間の連携・協働について考えます。

災害時の連携において
求められることとは
災害時には平時と違い、それまでお互いに関わったことのないような多様な団体が支援活動に動きます。行政や社会福祉協議会はもちろん、住民団体、NGO・NPO、福祉施設・事業所、当事者団体、学校、専門家団体、労働団体、青年会議所、生活協同組合、宗教団体、企業等さまざまです。
災害時にはこうした団体同士が協働し、互いの強みを活かしながら取組むことが求められています。しかし、普段関わりのない団体同士が災害時に突然協力しあうことは簡単ではありません。過去の災害でも、互いの組織の価値観や関心、考え方の違いにより、協力関係がうまく結べなかったり、強みを活かしきれなかったケースも見られています。
東京には多様な文化、価値観、生活背景をもつ人たちがいます。だからこそ、災害時においてもそれぞれが力を合わせていくことが求められます。首都直下地震等の大規模な災害が発生した際に、被災してもなお一人ひとりが尊厳ある生活を送れるよう、団体同士が連携・協働できる関係性を平時からどうつくっていくかが大きな課題となっています。
東京ボランティア・市民活動センター(TVAC)では、平時に都内外のさまざまな団体の連携・協働のネットワークづくりをすすめる「東京都災害ボランティアセンターアクションプラン推進会議(※1)」を平成26年より設置し、取組みをすすめています。

地域の団体同士が互いを知り合う
機会に
~調布市「防災まちあるき」の取組み~
平成29年9月、東京都と調布市の合同総合防災訓練が多摩川河川敷で開催されました。この訓練は災害時における都、市、各防災機関との連携の強化および自助・共助に基づく地域防災力の向上をねらいとした訓練です。
この訓練のプログラムの一つとして「防災まちあるき」が行われました。このプログラムは、北多摩南部ブロック(※2)ボランティア・市民活動センターと東京都災害ボランティアセンターアクションプラン推進会議が協働して企画したものです。要配慮者を中心とした市民や支援団体が連携して訓練を行うことで、互いの強みや弱みを知り、災害時の連携を考えるきっかけとすることを目的としています。
「防災まちあるき」に参加した団体の一つ、Global調布!は、自分たち市民の英語運用能力を高め、外国人の方々とコミュニケーションをとることで地域貢献をするという目的で設立された調布市の市民団体です。
代表の村上さんは、「これから就業などで日本に住む外国人の方たちがますます増えることから、日常生活でも災害時でも何か困ったときに『ここに行けば英語が通じる』と安心できる存在、情報の橋渡し役が必要になる」と言います。「防災まちあるき」に参加したきっかけは、Global調布!でつながった外国人の方々が日本の防災について非常に興味を示してくれたことでした。カルフォルニアからの留学生は、被災しても日本人が冷静で、盗難等が起こりにくいことに、インドの高校生は、日本の小中学校で定期的な避難訓練が当たり前に行われていることに驚いていました。
村上さんは、「日本には災害に対する独特の経験の積み重ねがある」と話します。「実際に外国人の方と『防災まちあるき』に参加して、『避難所』『災害食』等、日本語が堪能な外国人でも知らない単語があったり、災害時に各宗教にも配慮した食事をどう確保したらよいか、という課題にも気づけた」と手ごたえを語ります。
調布市にはいま、この「防災まちあるき」をきっかけに、これをもとにした地域の多様な団体同士の関係づくりを推進するイベントがあります。
調布市の多摩川地区協議会は、地域で活動する各種団体や地域住民が連携・協力し、地域のまちづくりを推進するために自主的に活動するネットワーク組織として平成29年3月に設立された団体です。「防災まちあるき」に参加した同会会長(当時)の田中佳子さんは、いろいろな人が参加しやすい「防災まちあるき」を自分たちの地区でも主催したいと考えていました。そこで調布市市民活動支援センターの葛岡敦さんに相談し、「多摩川地区防災まちあるき」が、平成30年2月に会の初イベントとして開催されました。
もともと、多摩川地区協議会の運営委員は、自治会、マンション理事会、民生委員、学校関係者や老人施設関係者で構成されていて、さまざまな生活背景をもった人に声をかけやすいという特性がありました。多摩川地区協議会では地区の小学校と連携し、この4月には3回目の「多摩川地区防災まちあるき」を実施しています。天候等により人数の増減はありましたが、参加者は小学生や教員を中心に、消防団、福祉施設利用者と職員等、要配慮者の方々や支援者を含むのべ140名の多彩な顔ぶれとなりました。車いす体験や消防団による防災倉庫の説明等で楽しみながら学び、まちあるき中に参加者が発見した老朽化した防災用の看板は、のちに市が改善することに結び付きました。
田中さんは、「大変だけれど、続けていきたいイベント。運営側の参加者がさらに増えれば、災害時の支援の強化につながる。また、調布市に通勤している人や若者といった地域に根付いていない層にどうやってつながっていくかも課題」と話します。
葛岡さんは、団体同士のスムーズな連携について、「普段から防災にとどまらず、いろいろな団体と活動を共にすることで、どの団体がどんな強みをもっているのかを知り、その情報を生かして循環させていく、という意識を大事にしていきたい」と語ります。多摩川地区での取組みをみて、Global調布!の村上さんも、外国人を対象とした地域防災への取組みに意欲を見せています。
調布市の地域に根差した活動は、これからももっと新たな広がりを見せてくれそうです。

被災地での支援活動を行う団体の
視点から
~災害時を見据えた平時からの連携~
多様な団体同士の連携では「それぞれの団体が信頼関係をベースに互いの強みを活かしあえるような関係を共有していくことが重要」と話すのは、ピースボート災害ボランティアセンター事務局長の上島安裕さんです。ピースボート災害ボランティアセンターは平成23年に起きた東日本大震災を機に継続的な支援を行うため、国際交流の船旅を手掛ける国際NGOピースボートが設立した一般社団法人です。発災時に現場で実際に支援にあたるほか、平時からの防災・減災のネットワークづくり、各団体との連携に取組んでいます。
被災地の外部の支援団体として災害現場で支援してきた経験をもとに、被災地域との連携において意識していることについて、「外部支援者はいつかはいなくなってしまう。地域の人が災害直後の段階から対応に関わることで、その後の復興していく段階でも地域の人や団体同士の連携につながっていく。そのため、外部の支援団体としては、選択肢などは提示することはあるが、地域の人が最終的な判断をできるよう、環境を整えることを重視している」と語ります。
また、平時における取組みで重視していることについて、上島さんは「平時からさまざまな団体や要配慮者と関係をつくっておくことが災害時においても非常に重要。行政との連携も必須である。そのほかにも、被災した地域にはさまざまなボランティアや団体が来ることを知っておくこと、団体同士で事前に共通認識を持っておくことも、支援を受け入れる側になった時に重要になる」と話します。
平時からの関係づくりが災害時にも生かされた具体的な例として、岡山県倉敷市真備町箭田地区での事例があります。この地域では、地ビール製造会社で精神障害のある方を雇用することで、地域と障害者が日頃から接点を持ち、障害者に対する地域の理解を深める取組みがあります。このような関係づくりがあったため、災害直後にも障害のあるなしにかかわらず、地域の団体や住民が中心となり、協力しあい、物資配布等を行うことができました。
また、多様な団体同士の連携を考える際、「『災害』というキーワードだけではなく、それぞれの団体の本来の事業や関心(例えば、『障害』『子ども』『環境』等)に応じて、そこに災害支援の要素をどう入れられるか、という視点も重要」と話します。
今後は長期で被災地を支援できるように企業とも連携を深めていきたいと話す上島さん。「NGOはまだまだ住民や地域組織・企業に十分に知られているとは言えない。災害時を見据え、今後も平時から多様な方たちと連携・協働できる関係をつくっていきたい」と語ります。
● ● ●
「アクションプラン」は5か年の計画となっており、今年度から第2期目(2019.4〜2024.3)がスタートしています。第2期の計画では、これまで十分にアプローチできていなかった生活協同組合や青年会議所、労働団体、専門家団体、企業、学校等との相互の連携も強めていきます。
そのほか東社協では、福祉関係者による災害時の要配慮者支援体制の整備についても取組んでいます(※3)。東社協中期計画では、この2つの連携(東京都災害ボランティアセンターアクションプラン推進会議と東京都災害福祉広域支援ネットワーク)を柱の一つとして、被災者一人ひとりに寄り添った災害対応の取組みをさらにすすめていきます。

※1 アクションプラン推進会議の概要はこちらから
https://tokyo-saigaivc.jimdo.com/
※2 調布市、府中市、小金井市、三鷹市、狛江市
※3 福祉広報2018年7月号「社会福祉NOW I 被災地における災害時要配慮者の支援体制の強化に向けて~東京都災害福祉広域支援ネットワークの取組み報告~」

(上)老朽化した防火水そうの看板。
まちあるき中に発見されたことがきっかけで、新しいものに取り換えられました。

(左)多摩川地区防災まちあるきの様子

(左から)Global調布! 代表 村上むつ子さん
調布市社会福祉協議会 調布市市民活動支援センター係長
葛岡敦さん
多摩川地区協議会 前会長 田中佳子さん


【福祉のお仕事通信】

ご本人の"自分でできることは
自分で"という思いを尊重する

訪問介護・訪問看護事業所で、
介護支援専門員として働く珍田さんにおしごとの魅力を伺いました。

珍田汐花
Shioka Chinda

株式会社グッドライフケア東京
介護支援専門員・介護福祉士・社会福祉士
ホームヘルパーのアルバイトを経て大学卒業後、正職員として採用、2009年から現職。

●生活に密着する仕事にやりがいを感じた
大学時代は文学部英文科で、イギリス文学を専攻していました。福祉を学んでいたわけではありませんでしたが、母が株式会社グッドライフケア東京で働いていたため、自然と介護の仕事への関心が芽生えてきました。大学3年生の時にホームヘルパー2級(現:介護職員初任者研修)の資格を取得し、アルバイトとして働くようになりました。
アルバイト時代の仕事は掃除やお買い物がメインでした。都会の街を自転車で走るのも、ご本人とお話しするのもとても楽しかったです。大学の講義があるときは夜遅い時間帯に働き、講義がない日や長期休暇は週5日で朝から晩まで働いていました。ご本人の生活背景や人柄などによって支援の方法が異なり、生活に密着する介護の仕事にやりがいを感じ、大学卒業後も同社で働きたいという思いに繋がりました。
就職後も、しばらくはホームヘルパーとして勤務していました。就職して4年目には介護支援専門員の資格を、今年3月には社会福祉士の資格を取得しました。いずれも、休日を利用して、勉強に励みました。
●人生の最期までをサポートする
ご本人の多くは、"自分でできることは自分でしたい"という意思をもっています。居宅サービス計画の作成にあたっては、その方の思いに寄り添って、必要な支援が提供できるよう心がけています。
在宅生活を続けていく上で欠かせないのが多職種連携です。訪問看護や訪問介護、リハビリ、福祉用具、訪問診療など、在宅介護はさまざまな職種が関わることで成り立っています。社内、社外を問わず、日頃から連携し、情報共有できる環境を整えることが大切だと思っています。
以前、104歳のひとり暮らしの方を担当していました。担当していた2~3年の中で、できなくなることは増えてきていましたが、残存能力を活かした定期的な訪問看護、訪問介護による支援により、亡くなる直前まで身の回りのことは自分でなさっていました。その方らしい生活を支えることができた時に、やりがいを感じます。
近年、在宅で最期を迎えることを希望する方が増えてきており、訪問介護分野においても終末期のケアの重要性が高まってきています。そのような中で私が大切にしていることは、「ご本人が人生の最期まで自分らしく生活できるようサポートする」ことです。サービスは自立を妨げるものではなく、ご本人の自立や充実した生活を支えるものだと思っています。
一方で、終末期のご本人、ご家族へのかかわりについては難しさを感じています。特に末期のがん患者は急激にADLが低下する方も少なくありません。例えば、歩行ができなくなってからポータブルトイレを発注しても、届いた頃にはトイレでの排泄が困難になっているなど、対応がどうしても遅れてしまうことがあります。しかし、先回りして福祉用具を導入してもご本人が「まだできるのに・・・」と感じてしまうでしょう。サービス導入のタイミングを含め、支援方法については今後も検討していかなければならない課題だと感じています。
●介護支援専門員は命を預かる仕事
日々の実践の中で、介護支援専門員の考え方や知識量がご本人の生活を左右すると感じており、ご本人と関われば関わるほど、福祉制度や医療のことなど、幅広い知識を習得する必要があると実感しています。また、月に数回の限られた面談時間の中でご本人の生活を把握する洞察力や多職種間の密な連携が求められます。そのような中で、介護支援専門員としてご本人の理解者であるよう努めています。大変なことは多いですが、日々新しい発見の連続で、やりがいの方が大きく、介護支援専門員の仕事の魅力を感じています。
今後も、ご本人の生活に少しでも役立てられるよう、知識を深めたいです。また、他の介護支援専門員を指導、育成するために主任介護支援専門員の資格を取得し、自己研鑽に努めていきたいと考えています。


【トピックス】

認知症の人が住み慣れた地域で自分らしく暮らしていくために(町田市)

◆ 当事者の声と地域のつながりから誕生したスターバックス コーヒーでのDカフェ

「この場所は、もう、まちの人の
ものになっている」
「自分の物忘れについての不安が最初の参加のきっかけ」と話すのは、ひとり暮らしのAさんです。その後、Aさんは認知症ではないとの診断を受けましたが、これをきっかけに認知症に関心を持つようになりました。今は支える側として、町田市の認知症カフェ「Dカフェ」に参加しています。認知症のご主人と暮らすBさんは市の広報を見て「コーヒーは好きだし近いから一緒に行ってみよう」と夫婦で参加しはじめました。ご主人は、この場での情報をきっかけに、デイサービスなどを利用するようになりました。
柔らかな日差しと音楽、他のお客も思い思いの過ごし方をされている店内のテーブルに、立て看板が置かれ、この日のDカフェは始まりました。日々のできごと、家族それぞれの思い、葛藤や不安などが言葉になり、交わされていきます。支援者として参加しているNPO法人ひまわりの会代表・本人会議発起人の一人、まちの保健室の松本札子さんは、「一人ひとりの経験が皆の経験になればいい。この場所はそういう場所だから」と初参加の方の言葉に耳を傾けます。そして「認知症の本人も家族も自分からは認知症のことはなかなか人に言いづらい。でも、ぜひ自分の経験を隣近所の人にも伝えてほしい。理解する仲間が増えれば、支援の輪が点から面に広がり、まちはもっと住みやすくなる」と指摘します。
このスターバックス コーヒー 町田金森店でのDカフェは、今年で3年目を迎え、いまや日常の風景となっています。支援者のNPO法人ひまわりの会・まちの保健室室長、平田容子さんは、「ここは、予約もいらない、来たい時に来られる場所。たとえば私たち支援者がDカフェの開始時間に遅れてきてもここは大丈夫。不特定多数の仲間がいる。それくらい、この場所は、もう、まちの人のものになっている」と話します。

始まりは、当事者の「本物の
カフェでやってみたい」から
Dカフェは、さらに遡ること1年前、平成27年から試行錯誤がされていました。この模索をふまえ、当事者の方からは「地域の本物のカフェでやってみたい」「幅広い人たちに理解してほしい」という声があがっていました。
その話を聞いた、近くの地域包括支援センターのセンター長が、同店舗のストアマネージャーの林健二さんを市の担当者に紹介。同コーヒーチェーンは、地域貢献を理念としており、各店舗でさまざまな取組みがされています。町田金森店は、高齢者福祉施設との交流や地域の清掃活動に参加しており、センター長とは交流がありました。この出会いがきっかけで「本物のカフェでやってみよう」という林さんの発案につながりました。
その後も、地域の団体等と協働して当事者の方が店員になる「注文を間違えるカフェ」などのさまざまな取組みもされています。それも、人と人とのつながりが蜘蛛の巣のように広がっていった結果、と林さんは話します。

日常の延長線上でのDカフェを
Dカフェ開始当初は、イベント的な大がかりなものを単発で実施するスタイルでした。やがて、一般の方と分け隔てなく、日常のカフェの延長線上で継続的に身近なところにある方がよいと現在の形に至りました。
林さんが「場の作用の力」を感じたできごとがあります。あるとき、Dカフェに参加の前は、「身内に認知症を知られたくない」と言っていた方が、帰るときには、「人に言ってもいいんだ」と180度気持ちが変わっていました。また、オープンスペースでの実施は、周りの方にも影響を与えます。一般のお客が、飛び入りで参加することもあります。
Dカフェを始めて林さん自身も、「認知症の方」「障がい者」という言い方に違和感を覚えるようになってくるなど、捉え方が変わってきたといいます。以前に流行した「世界に一つだけの花」という歌に例えて、「人が花だとしたら、皆が周りの花をよく見て、『きれいですね、良いですね』と共感しあえるような関係性になるといい。信頼と寛容をベースとした、誰でも豊かに認め合い許しあえる社会になれば」と林さんは期待します。
今ではDカフェは町田市内スターバックス コーヒー全8店舗に増え、3~4日に1回市内のどこかで開催される頻度となっています。また、病院が近い店舗では病院職員も参加するなど、地域ごとに個性が出てきています。「病院職員と患者の関係が、Dカフェに場所を変えると、人と人、同じコミュニティの一員になるのが面白いところ」と林さんは語ります。

~市と包括協定・これからも継続して発展・展開をしていけるように~
町田市では、このスターバックスとのDカフェだけではなく認知症の方が住みやすいまちづくりに向け、さまざまなセクターが協働して活動をしています。町田市いきいき生活部高齢者福祉課地域支援担当課長の高橋由希子さんは、「特別なことはしていない。"当事者の声"を大切にしてきた。そこに地域やさまざまなセクターの皆さんが共感・賛同してくれているのだと思う」と言います。
例えば、「認知症初期はカミングアウトしづらい」ということは、当事者会の方々とダイレクトな意見交換を重ねたなかで出されました。また、「日常のなかで、ちょっとした理解と心遣いがあれば、自分でできることもたくさんある。生活のなかでできることは自分でやっていきたい」という声もあがりました。なかには、専門職の方から「難しいのではないか」という声が出たものもありましたが、「当事者がそう言っているのだから」ということでまとまっていきました。
今年4月、町田市はスターバックス コーヒー ジャパン株式会社と改めて「認知症の人にやさしい地域づくりに関する包括的連携協定」を締結しました。今後もDカフェを安定・継続的に実施していくとともに、さらにより若い層に知ってもらうため普及啓発に力を入れていく予定です。
● ● ●
当事者を中心に行政・民間・地域が協働しまちづくりが行われています。さらなる展開に期待がされます。

取材時のDカフェの様子

スターバックス コーヒー 町田金森店 ストアマネージャー 林健二さん

(右から)
町田市いきいき生活部高齢者福祉課のみなさん
地域支援係 池田智子さん
地域支援担当課長 高橋由希子さん
地域支援係 米山雅人さん

町田市「認知症の人にやさしいまちづくり」の取組みの一例
https://dfshop.thebase.in/items/12105420

なるほどWord
認知症カフェ
・認知症の人やその家族、地域の人や専門家と相互に情報を共有しお互いを理解する場。厚生労働省・新オレンジプランにより設置が推奨されている。
・町田市では「Dカフェ(認知症を表すDementiaのD)」としている。


【マンスリー】

福祉のできごと
2019.4.26-2019.5.25
※対象期間外のできごとを掲載させていただく場合もあります

4/25
第1回「農福連携等推進会議」開催
厚生労働省および農林水産省は、農業と福祉の連携について、全国的な機運の醸成を図り、強力に推進していく方策を検討するため、「農福連携等推進会議」を設置した。第1回は、農福連携に関する効果や課題、今後に向けた期待などについて議論された。

4/24
「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者
に対する一時金の支給等に関する法律」成立
旧優生保護法に基づき不妊手術等を受けた方への救済法が24日成立し、公布・施行された。法律の前文に「おわび」が明記され、国は一律320万円の一時金を支給する。

4/26
児童虐待が疑われる事案に係る
緊急点検フォローアップの結果を公表
緊急点検の結果、対象となった児童生徒等(10,417人)について、3月9日~4月15日にフォローアップを実施し、虐待の恐れがある場合等に関係機関へ情報共有を行った。


【連載】

社会福祉法人の地域ネットワーク 連載No.13

平成28年9月に設立した東京都地域公益活動推進協議会は、(1)各法人、(2)地域(区市町村域)の連携、(3)広域(東京都全域)の連携の三層の取組みにより、社会福祉法人の「地域における公益的な取組み(以下、地域公益活動)」を推進しています。東京都地域公益活動推進協議会では、地域ネットワークの立ち上げのための事務費や、複数法人の連携事業開始時期の事業費の助成を行うとともに、地域ネットワーク関係者連絡会等を開催し、他の地域と情報交換できる機会をつくっています。

府中市
市内11エリアで住民や関係機関とともに
課題解決の取組みをすすめる

府中市では、「第3次地域福祉活動計画」(平成27~令和2年度)において、重点目標の一つに「小地域での『わがまち支えあい協議会』の設置」を位置づけ、社会福祉協議会(以下、「社協」)に配置された地域福祉コーディネーターが推進しています。市内11の文化センター圏域を単位としたそれぞれの地域で、住民、福祉・医療の事業所や専門機関、商店街、行政機関等、さまざまな関係者が地域の課題を話し合い、解決するための取組みをすすめており、そこに社会福祉法人も参画しています。身近な地域のために自分たちにできることを、顔の見える関係の中で連携・協力して取組むことで、さまざまな可能性とつながりが広がっています。

11エリアの「わがまち支えあい協議
会」に社福法人も参加して活動する
府中市では、府中市社協を事務局に、平成26年度末に「第3次地域福祉活動計画」(計画期間:平成27~令和2年度)を策定しました。計画では、小規模な地域で住民相互の支えあいを推進するための「わがまち支えあい協議会(地区社協)の設置」と、その立ち上げをすすめ、困りごとのある個人の課題を地域へ投げかけ、地域全体で解決したり、地域だけでは解決できない課題については専門職との調整・つなぎを行う「地域福祉コーディネーターの配置」が重点目標として位置づけられました。
この計画の進行と同時期の、平成27年6月に「社会福祉法人連絡会」が開催されました。7法人16名が参加し、地域公益活動に市内法人としてどう取組むかを検討しました。
府中市社協から、取組みの方向性として「各地域の実情を踏まえた社会福祉法人のネットワークづくり」「『ニーズの発見と気づきのシステム』づくり」「ニーズを踏まえた支援・事業の創造」「地域の取組み状況等を発信し、広域で共有するための取組み」の4点について提案がありました。これが第3次地域福祉活動計画で目指すものと同じ方向性であることから、ともに地域福祉活動計画を推進していくことについて、参加法人から賛同を得ました。
具体的には、市内全域での法人の組織体づくりから始めるのではなく、市内11か所ある文化センターの各エリアですすめる「わがまち支えあい協議会(以下、「わがまち」)」の活動に、各法人が積極的に関与し活動していくことになりました。
また、府中市では、社会福祉法人に限らず、医療法人、NPO法人、株式会社など、法人の種類を問わずさまざまな施設・事業所等に呼びかけ、取組みをすすめています。市内の福祉や医療を担う施設・事業所は社会福祉法人だけではなく、「わがまち」を推進する上でも、地域の住民とさまざまな団体が関わり、ともに考え、活動していくことを目指しているためです。

近隣の施設・事業所で「ご近助会」を
つくり、地域のサロンを支援
現在、「わがまち」は11のうち3エリアで立ち上がり、8エリアで立ち上げに向けた準備会が行われています。立ち上げ済み、準備中といった段階を問わず、各エリアで、地域の課題解決に向けた具体的な活動がすすめられています。
そのうちの一つが、平成30年4月に立ち上がった、四谷エリアの「わがまち」である「ささえあい四谷」での活動です。約2年前から、月一回、平日の昼間に、誰でも参加できるサロンである「菜々(さいさい)のつどい」を開催しています。サロン開催時に近隣の農家等が野菜の委託販売をし、その売上げの一部を収益にすることで、サロンの参加費を無料にしています。
このサロンの運営に、平成30年8月から、近隣の施設・事業所でつくる「よつや ご近助(きんじょ)会」が関わっています。「ご近助会」は、「ささえあい四谷」でサロンの話を聞き、もともと近隣施設・事業所の連絡会を開催したいと思っていた、地域密着型複合施設「よつや正吉苑」が呼びかけ、地域福祉コーディネーターの調整の下、集まった会です。よつや正吉苑、地域包括支援センターよつや苑、介護老人保健施設ウイング、フローレンスケア、府中日新町内科クリニック、デイサービスりんりんの6施設・事業所がメンバーとなり、地域の活動を支援するため、また自施設の魅力を地域の方に伝えていくことを目的に、活動しています。毎回、サロンの一コーナーとして、その回の当番施設が、得意とすること(体操、講座、相談会等)を提供しています。「ご近助会」として定期的に集まり、サロンに向けた打合せをし、また、バザーに共同でブースを出展するなど、施設間の交流も深めています。

施設をサロン会場とし、運営には
他法人職員も参加。利用者の
サロンへの送迎も支援
西府エリアでは、「わがまち」の立ち上げに向けた「西府準備委員会」を実施しています。その活動の一つとして、精神障害の方が通う就労継続支援A型事業所「パルテ」を会場に、「わがまちサロンにしふらっと」を開催しています。普段はコーヒーや利用者が作ったパンを提供する喫茶スペースで、月に一度、サロンを開いています。運営には、会場の事業所の職員だけでなく、近隣の他法人の施設・事業所の職員もスタッフとして関わっています。
このサロンでは、「西府準備委員会」において、地域の方が「サロンに参加したいという人が近所にいるが、車いすを利用していて一人では参加できない」と話をしていたのを受け、サロンへの送迎のニーズに応えていたことがあります。地域福祉コーディネーターが間に入り、有料老人ホームとつないで、デイサービスの空き時間を活用し、参加者を車で送迎する対応をしていました。こうした形で、各施設が地域の困りごとやニーズを知ることで、「これならできる」ということを実践しています。

小中学校での「総合的な学習」で
現場の職員が講師になる
「わがまち」の活動とは別に、府中市では、小中学校での「総合的な学習」の時間に、地域福祉コーディネーターとともに、学校の近隣の複数の施設・事業所の職員が「地域の専門職」として出張ボランティア講座の講師を担う取組みも実施しています。
施設職員による認知症サポーター養成講座や車いす体験、ガイドヘルプ体験、高齢者疑似体験等と、社協の地域福祉コーディネーターによるボランティア活動の話をセットで開催するなど、それぞれの施設・事業所が専門性を発揮できるよう、さまざまな形で授業を行っています。実施にあたっては、年2回の「福祉協力校連絡会」などで各学校が集まる機会を利用して、社協から協力や理解を呼びかけており、学校との連携がとりやすい状況もあります。平成30年度には、69回の講座を実施し、延べ43事業所163人の職員が講師として参加しました。

職員が地域とつながる意義や社会資源としての役割を実感できる機会
府中市社協地域活動推進課課長補佐の吉井康之さんは、「施設や事業所の規模や種別によっては、『わがまち』など地域での活動に、なかなか参加する人員を割けないこともある。学校での出張講師の活動等、施設・事業所に地域と関わってもらえる選択肢を複数用意し、できる形で関わってもらう機会を作ることが重要」と話します。また、「現場の職員の方が『わがまち』や学校での講座等、身近な地域の活動に参加することで、単に言葉で伝える以上に、地域とつながる意義や、自施設が社会資源としての役割を果たせることを実感できるという声もあがっている」と、理解の広がりを感じています。
今年度は、「わがまち」の活動がすすんできたこのタイミングで、「ご近助会」のように身近な地域で施設が連携できる場を増やしたり、社会福祉法人を含めた市内全域の関係者が集まる場を設けていくことを予定しています。今後は、それぞれのエリアでの「わがまち」や学校での取組みについて、市内全域の関係者が情報交換をしながら、発展させていくことをめざしています。

左から
府中市社会福祉協議会 地域活動推進課 課長補佐 吉井康之さん、
同課コーディネーター担当 主事(地域福祉コーディネーター)
小川和樹さん

「わがまちサロン にしふらっと」の様子

小学校での「総合的な学習」の講座の様子


【東社協発】

報告

「私たちが中学生に伝えたい福祉の魅力~福祉施設における中学生の職場体験受入れハンドブック」を発行しました

東社協では、平成30年度に共同募金会特別事業費の配分を受け、平成29年度に引き続き「地域における福祉の魅力可視化プロジェクト」を設置・運営しました。施設関係者、教育関係者とともに、平成28~30年度東社協中期計画の重点事業である「福祉専門職の人材確保」と「ボランティア活動等のすそ野の拡大」に共通する視点として、福祉の正確な情報と魅力を可視化し、情報発信していくことを目指し、検討を重ねました。
現在、キャリア教育の推進の一環として、中学生等が福祉分野にも職場体験に来ています。職場体験は、福祉現場の方の福祉への思いや価値観、福祉の魅力を的確に伝えられる絶好の機会のひとつでもあります。
このプロジェクトを通じ、平成29年度に作成した書籍の改訂版として、新たに「私たちが中学生に伝えたい福祉の魅力~福祉施設における中学生の職場体験受入れハンドブック」を作成しました。福祉施設が職場体験受入れの際に使えるよう開発した各種ツールを収録し、その活用方法等を提案しています。ツールの一例として、仕事の内容や魅力についての中学生の考えを体験前後で把握し、比較するためのシートなどがあります。
東社協では、ホームページ等を通じてこのハンドブックを有償頒布するとともに、「東社協ユースのページ」の「福祉施設職員・教員向け資料」ページにツールや資料を掲載しています。ぜひダウンロードしてご活用ください。

●ハンドブックの購入申込み※定価:216円(税込)
https://www.tcsw.tvac.or.jp/php/contents/book.php?key=400101
●各種ツール・資料のダウンロード
https://www.tcsw.tvac.or.jp/youth/
tsutaetai/03.html

▲ツールの一例
(職場体験前後に使用するシート)

ハンドブック
表紙▲

報告

「平成30年度地域福祉フォーラム 東京力×無限大」を開催しました

東社協地域福祉部地域福祉担当では、平成27年度より、都内区市町村社協職員の企画・運営による「地域福祉フォーラム」を年一回開催しています。
生活困窮、虐待、孤立死などの潜在化しやすい福祉課題の予防や解決には、制度による支援だけでなく、身近な地域でのつながりやネットワークを通じた地域福祉活動等が大きな力になります。フォーラムは、大都市東京ならではの課題や可能性に目を向け、身近なつながりをつくる小地域福祉活動等を推進するため、住民や関係者がともに学びあうことを目的に開催しています。平成30年度は、平成31年3月10日(日)に開催し、ボランティアや地域の活動者、福祉関係者等、167人にご参加いただきました。
基調講演「つながり合う東京~私たちで創る地域共生社会」では、日本大学文理学部社会福祉学科教授 諏訪徹さんより、国がすすめる「地域共生社会」の動向をどう理解し、どのように取組みをすすめていくべきか、ご講演いただきました。
諏訪さんからは、「東京では、まちの開発が常に行われている。人が流入し、新たなコミュニティが次々と生まれ、街が変化することで、格差などの課題も生まれやすい状況にもある。小さなコミュニティの中に福祉課題を考える場を数多く作り、豊富な資源を活かして一定の圏域でつなげていく取組みや、それを働きかけていく地域福祉コーディネーターの配置が必要」と提案いただきました。
基調講演後は、「多国籍の方との共生」「複合的課題を抱える世帯への支援」「町会・マンション自治会・お父さんたち等による多様な地域活動」「障害者施設と地域とのつながり」をテーマとした4つの分科会を行いました。参加者からは「明日からの活動に活かしたい」「新たな気づきがたくさんあった」等の声をいただき、盛況のうちに終了しました。
令和元年度のフォーラムは令和2年3月1日(日)に開催予定です。


【アンテナ】

助成金

子育てと仕事の両立支援に対する助成活動
 6月28日(金)消印有効 (1)保育施設等を運営し、指定の事業を実施する法人格を有する団体 (2)行政からの補助を得て放課後児童クラブを行う団体 施設整備費等 上限(1)35万円 (2)20万円 所定の申請書類に必要事項を記入し、郵送にて応募 (一社)生命保険協会「子育てと仕事の両立支援」事務局 〒100-0005 千代田区丸の内3-4-1新国際ビル3階
 03-3286-2643
 https://www.seiho.or.jp/

子ども育成支援事業
 6月28日(金)必着 子どもの健全育成に向けた支援活動を過去3年以上続けている団体 上限100万円 所定の申請書類に必要事項を記入し、郵送にて応募 (社福)読売光と愛の事業団・子ども育成支援係 〒100-8055 千代田区大手町1-7-1
 03-3217-3473
 https://www.yomiuri-hikari.or.jp/

社会福祉助成金
 7月5日(金)消印有効 障害児者に関する事業及び研究を行う非営利法人、任意団体又は研究グループ(営利法人と個人は除く) (1)事業研究…20~100万円 (2)研究助成…上限100万円 所定の申請書類に必要事項を記入し、郵送にて応募 (公財)みずほ福祉助成財団事務局 〒100-0011千代田区内幸町1-1-5みずほ銀行内幸町本部ビル
 03-3596-5633
 http://mizuhofukushi.la.coocan.jp/

自動車購入費助成
 7月12日(金)17時 東日本地区に所在し、主として障害者の福祉活動を行う特定非営利活動法人 上限120万円 インターネット申請(補完資料は郵送) (公財)損保ジャパン日本興亜福祉財団 〒160-8338 新宿区西新宿1-26-1
 03-3349-9570
 https://www.sjnkwf.org/

社会福祉法人助成事業
 7月31日(水)必着 障害者福祉の増進を目的に運営する社会福祉法人の諸事業 利用者のために必要な機器・車輛・建物等/助成金額は50~1000万円 所定の申込書を郵送または窓口で請求の上、申請 (社福)清水基金 〒103-0027中央区日本橋3-12-2 朝日ビルヂング3階
 03-3273-3503
 https://www.shimizu-kikin.or.jp/

社会福祉助成金
 7月31日(水)必着 障がい者の福祉向上および難病、虐待防止を目的とする事業を実施する法人、団体 上限60万円 所定の申請書類に必要事項を記入し、郵送にて応募 (一財)松翁会事務局 社会福祉事業部助成係 〒100-0004千代田区大手町1-5-5 大手町タワー地下1階
 03-3201-3225
 https://shouohkai.or.jp/

特定活動助成
「自然災害支援プログラム」
 7月31日(水)17時必着 被災地または県外に避難を余儀なくされた方々を対象に、傾聴ボランティアとして活動している団体 最長3年間、上限年50万円 所定の申請書類に必要事項を記入し、郵送にて応募 (公財)ユニベール財団 〒160-0004 新宿区四谷2-14-8 YPCビル
 03-3350-9002
 https://www.univers.or.jp/

植山つる児童福祉研究奨励基金
 8月9日(金)必着 (1)研究A…児童福祉施設職員による児童福祉に関する自主研究 (2)研究B…児童福祉施設職員による基礎的な研究の成果を発展させるための共同研究 (1)研究A…20万円以内 (2)研究B…100万円以内 所定の申込書に必要事項を記入し、郵送にて応募 植山つる児童福祉研究奨励基金運営委員会 〒100-8980 千代田区霞が関3-3-2 新霞が関ビル(社福)全国社会福祉協議会児童福祉部内
 03-3581-6503
 https://www.shakyo.or.jp/guide/shikin/sponsor/20190315_tsuru.html

松の花基金
 8月末日必着 知的障害児(者)の福祉向上を目的とする事業・調査研究を行う社会福祉法人、公益法人 年間総額500万円 所定の申込書に必要事項を記入し、郵送にて応募 (社福)松の花基金 〒103-0004 中央区東日本橋1-7-2 長坂ビル
 03-5848-3645
 http://matsunohana.jp/grant.html

講座・シンポジウム

生活リハビリ講座2019「人間学的
認知症介護論」(東京会場)
 6月14日(金)から全6回 ※いずれも10時半~15時半 120名 1回6000円(セミナー受講日の2週間前までに郵便局で振込) 必要事項を記入のうえ、FAXまたはホームページにて申込 七七舎
 03-5986-1777 03-5986-1776
 http://www.nanasha.net/ns_add/form_m00/form.htm

おおた社会福祉士会
 6月19日(水)19時~20時半 大田区消費者生活センター2階 大集会室 100名※当日先着順 500円 「ギャンブル依存症からの回復支援を考える」 不要 おおた社会福祉士会事務局
  03-3774-2955
 http://otachikukai.lovepop.jp/schedule.html

※この他にも東社協ホームページに各種情報を掲載しています  http://www.tcsw.tvac.or.jp/about/keyword/kakushu.html


【資料ガイド】

施策・会議資料
●「デジタル活用共生社会実現会議」報告書(厚生労働省/3月)
●「社会的孤立状態にある世帯への支援に関する調査 追加集計分析報告書」(民生委員・児童委員による社会的孤立状態にある世帯に対する相談支援活動に関する研究)(全国社会福祉協議会・全国民生委員児童委員連合会/3月)
●市町村成年後見制度利用促進基本計画策定の手引き(全体版)(厚生労働省/3月)
●難聴児の早期支援に向けた保健・医療・福祉・教育の連携プロジェクト(文部科学省・厚生労働省/3月)
●「地域を支える福祉人材確保・育成・定着のための取組方策」改定版(全国社会福祉協議会/3月)
●「障害者活躍推進プラン」(文部科学省/4月)
●第61回厚生科学審議会疾病対策部会難病対策委員会・第37回社会保障審議会児童部会小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会 資料(厚生労働省/5月)

調査結果
●「都民のくらしむき」平成30年年報(都総務局/4月)
●私立専門学校における留学生の受入れ状況の把握に関する都道府県の取組についての調査結果とそれを踏まえた一層の取組について(文部科学省/4月)
●平成31年冬期「路上生活者概数調査」結果(都福祉保健局/4月)

その他
●子どもと里親のためのサポートハンドブック一部改訂(全国社会福祉協議会/2月)
●「ご家族の薬物問題でお困りの方へ」家族読本改訂(厚生労働省/3月)
●学校・教育委員会等向け虐待対応の手引き(文部科学省/5月)
●「退所児童等支援10の取り組み~退所児童等支援実践事例集~」(全国社会福祉協議会/5月)
●「社会福祉法人・福祉施設の『地域における公益的な取組み』の発信率100%へ」パンフレット(全国社会福祉協議会/5月)
●「東京マイ・タイムライン」の作成について(都総務局/5月)
●「SNS東京ルール」改訂(都教育庁/5月)


【くらし今ひと】

"市民目線"を
大切に支援する

認知症や障害等により、自分一人では契約や
財産の管理等をすることの難しい方が、
自分らしく安心して暮らせるよう支援する
「区民成年後見人(市民後見人)」の
齋藤俊夫さんにお話を伺いました。

◆社会のために活動したかった
九年前、図書館で一枚のポスターが目に留まりました。それは、世田谷区の「区民成年後見人養成研修受講生募集」の案内でした。仕事をリタイアした後は社会のために活動したいと考えていたため「これだ」と感じました。早速応募したところ選考に通り、半年間の研修を修了しました。
研修修了から二年後に、90代の女性の成年後見人として家庭裁判所から初めて選任され、その方を含め今までに五人の方の成年後見人となりました。そのうち三人の方がお亡くなりになったので、現在は二人の方を支援しています。
支援の内容は、ご本人の生活や意思を尊重し、医療や福祉サービスの利用契約を結ぶことや、預貯金の出し入れ、不動産等の財産を適正に管理していくことなど多岐に渡り、どれもが非常に責任ある仕事です。また、世田谷区社会福祉協議会が区民成年後見人の監督人として選任され、支援の報告や相談をすることができるため安心して活動することができています。
成年後見人は、親族の他、弁護士や司法書士等の専門職、区民成年後見人等の中から、ご本人の支援に適した方を家庭裁判所が選任します。区民成年後見人が選任されるケースは、親族がいない、またはいても疎遠である場合がほとんどです。区民成年後見人の特徴は、親族と専門職の中間の存在であると考えます。『市民目線』で支援できるのは区民成年後見人ならではではないかと感じています。
◆ご本人の意思を尊重した支援
現在支援している方は、二人とも施設に入所中です。月に一回は必ずそれぞれの施設へ赴きます。一人は80代の男性で、お会いすると相撲等のスポーツの話題で話に花が咲きます。もう一人は60代の重度の障害のある方で、会話はできませんが、ふれあうことでご本人に寄り添います。
私が支援の際に大事にしているのはご本人の意思を尊重することで、キーワードは「喜びと楽しみ」です。どのように支援したらご本人が喜び、楽しみを感じるかを考えます。その方が喜び、楽しむことは、支援する私にとっても喜びと楽しみとなります。認知症や障害により意思を明確に示すことができない方もいらっしゃいますので、ご本人と日ごろから関わっている施設職員や関係者ともコミュニケーションをとり、連携してご本人の意思を尊重した支援をしていくことも大切だと思います。
また、今までの支援の中で印象的だったのは、疎遠だった親族との面会が実現した場面です。最初に成年後見人となった90代の女性は独身で、親族との交流があまりありませんでした。親族へ面会について働きかけを続けた結果、その方が亡くなる一カ月前に面会が実現しました。五年間、その方の成年後見人を務めましたが、そのような努力が実を結んだことにとてもやりがいを感じました。
◆もっと知ってもらうために
区民成年後見人同士の交流や、知識の底上げをするため自主的な勉強会を行っています。皆で集まると、さまざまなケースや情報を共有することができ、ノウハウも蓄積されます。仲間の存在がとてもありがたく感じます。他にも、経験者として区民成年後見人養成研修での講師を務め、現場実習を受け入れるなど後進の育成にも力を入れています。
区民成年後見人がきちんと役割を果たしていることを社会に知ってもらい、今後さらに活躍できるようになっていけたらと思います。
そのためにも、私たち区民成年後見人が一つひとつの事柄にしっかり対応し信頼につなげていかなくては、と気を引き締めています。
私自身、これからも体力の続く限り、現役で区民成年後見人を続けていきたいと考えています。

世田谷区社協キャラクター
「ココロン」と

なるほどWord

市民後見人
区市町村等が実施する養成研修を受講するなどして成年後見人(保佐人、補助人を含む)として必要な知識を得た一般市民の中から、家庭裁判所が成年後見人として選任した方。
世田谷区では「区民成年後見人」と呼んでいる。


【東社協の本】

専門機関と地域住民の協働による地域づくり~暴力・虐待を未然に防ぐ実践事例集~
本事例集は、社会福祉施設等と地域住民の協働による暴力・虐待の未然予防の取組みを掲載しています。暴力・虐待を防ぐための5つのポイントと、10の具体的な実践事例を紹介しています。本書が地域の具体的な取組みの参考になることを期待しています。
暴力・虐待を生まない社会づくり検討委員会
◆規格 A4判/68頁 ◆発売日 2015.12.22
◆本体 600円+税
こんなことに気づいてあげて
~暴力・虐待を防ぐためにあなたにできること~
東社協では、暴力・虐待を防ぐため、地域でできることを皆さんと考えられるよう、この冊子を作成しました。福祉施設に入所してきた方々の事例を加工し紹介しています。
暴力・虐待を生まない社会づくり検討委員会
◆規格 B5判/19頁 ◆発売日 2015.4.7
◆本体 300円+税
暴力・虐待を経験した子どもと女性たち
~暴力・虐待を未然に防ぐアプローチに関する調査報告書~
東社協では児童・女性福祉施設の利用者を対象に、入所前に暴力・虐待の被害を経験してきた実態を把握する調査を実施しました。未然に暴力を防ぐ可能性があること、地域住民にできることがあることも明らかになっています。
暴力・虐待を生まない社会づくり検討委員会
◆規格 A4判/120頁 ◆発売日 2014.4.18
◆本体 800円+税

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