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福祉広報 2020年9月 740号 テキストデータ


【表紙】
社会福祉NOW
東京らしい地域共生社会づくりにむけて
~「生活困窮者支援における自立支援と地域づくりに関する調査」結果概要~

み〜つけた
中学生、高校生の地域の学びの場
Co-study Space “Posse”(府中市)

でたでたDATA
ヘルプマークの認知度向上も、合理的配慮の提供については「知らない」が7割超

【連載】コロナ禍でも日常を守るために ~緊急事態宣言期間を中心とした福祉施設・事業所の取組み~
利用者と協議の上で対策をすすめる 社会福祉法人東京緑新会 多摩療護園(日野市)
感染症を持ち込まないことを第一に 社会福祉法人南風会 シャロームみなみ風(新宿区)

東京都府中市
Posseに集う学生たち
自分らしく過ごせる空間をみつけた
集まった学生たちは
自然と同じ時を過ごし笑顔になる
小さな一歩が社会を明るくしていく

【NOW】
東京らしい
地域共生社会づくりにむけて
~「生活困窮者支援における自立支援と地域づくりに関する調査」結果概要~
東京都社会福祉協議会では、令和2年1月~2月にかけて、共同募金の配分を受け、生活困窮者自立支援法に基づく都内の自立相談支援機関を対象に標記の調査を実施しました。本調査は、その時点での自立相談支援機関における相談支援の状況や、社協をはじめとしたさまざまな主体との連携状況を把握し、今後の「東京らしい地域共生社会づくり」に向けての協働や連携に生かすことを目的としたものです。
令和元年12月に公表された国の「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会(地域共生社会推進検討会)の最終とりまとめ」では、「断らない相談支援」「参加支援」「地域づくりに向けた支援」による包括的支援体制が提起され、令和2年6月公布の「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律」で創設された市町村による「重層的支援体制整備事業」につながりました。
生活困窮者自立支援制度は、対象者の属性や世代に関わらず「生活に困窮している」という状況を捉えて包括的な支援を行うと同時に、その支援を通じた地域づくりを理念としており、今後の包括的支援体制の中核のひとつとしての役割が期待されています。
今号では、調査結果の概要をお伝えします。
※調査結果の概要を東社協ホームページに記載しています。
https://www.tcsw.tvac.or.jp/chosa/documents/seikon-gaiyou.pdf

●実施のあらまし
本調査は、令和2年1月17日~2月7日の期間、東京都内の福祉事務所設置自治体である49区市、および町村地域(13町村)を所管する東京都の生活困窮者自立支援制度所管部署を通じ、所管内の自立相談支援機関58か所に配布を依頼しました(*)。なお、所管地域内に複数の自立相談支援機関を設置する場合は、その運営状況により複数個所をまとめた回答も可とし、結果、まとめての回答も含め、全地域から56か所の回答がありました(回収率100%)。
調査の目的は次の3点です。
(1) 自立相談支援機関における相談状況や、地域づくりに向けての取組みの現状を知るとともに、生活困窮者自立支援制度の理念を実現する上での課題を把握する。
(2) 生活困窮者支援における、自立相談支援機関と社協(社協運営の場合は、社協内における他の地域福祉活動)との連携状況を把握する。
(3) これらを通じて、東京らしい地域共生社会づくりに向け、生活困窮者支援における社協の役割や求められる連携についての検討に資する。
以下、調査結果の主な内容を紹介します。
I 自立相談支援機関における相談支援の状況
〔(1)対象者の状況〕
自立相談支援機関に寄せられる対象者の困りごとや課題、状況について選択肢を設け、「多い」「一定程度ある」「少ない」の3択で尋ねました。〈図1-A・B〉
対象者の困りごとや課題では、全体を俯瞰すると「お金」「仕事」「家」に関するものが多く、特に「当面の生活費に関すること」が突出し、対象者の多くが目前の生活に困る状態になってから相談につながっていることがうかがえました。次いで「家族関係のトラブル」や「就労先でのトラブル」など人間関係の課題が続きます。
対象者の状況では「病気・ケガ・障害」、「発達障害・精神障害(疑い含む)」が多いとした回答が目立ちました。
次に、これら〈図1-A・B〉の選択肢にあるような課題、状況等(以下、「課題等」)を複合的に抱えている対象者の割合について尋ねたのが〈図2〉です。「8割」との回答が最も多く30・4%で、「7割以上」を回答した自立相談支援機関は75%を占めました。
続いて「対象者の抱える課題の特徴や背景」を自由回答で尋ねました。今置かれている困窮の背景として、高齢者では「低年金や無年金による慢性的な生活困窮」、あるいは「能力や意欲喪失等による金銭管理の問題」、若者や中高年では「家計管理、就労上の問題、仕事の続かなさ」などがあげられ、状態としてひきこもりや、いわゆる「8050」と呼ばれる世帯状況での相談が増えている様子がうかがえました。
また、その背景には「発達障害や何らかの疾患や障害、コミュニケーションの難しさ」などが見受けられることが多いこと、さらに状況を難しくしているものに「家庭環境や社会的孤立」などの問題の存在が指摘されており、これらから、対象者の抱える課題等が連続し、複合化している様子がうかがえました。
〔(2)対象者の課題や状況を踏まえ、現在取り組んでいること、あったらよいと考えること〕
〈図1-A・B〉の選択肢にある課題等に対し、自立相談支援機関において「現在取り組んでいる課題等」を選択してもらったのが〈図3〉、「現在取り組めていないが、取組みがあったらよいと考える課題等」を選択してもらったのが〈図4〉です。
両者を比較すると、「取組みがあったらよい」の図4の方が幅広い項目が選択されています。図4「取組みがあったらよい」として、多く選択されたのは、「当面の生活費」35・7%、「就労したいのにできない」30・4%、「ひきこもり状態(40歳以上)」28・6%でした。また、図3と比較して差の割合が大きかった項目では、「ひとり親」差・14・3ポイント、「ひきこもり状態(40歳以上)」差9・0ポイント、「ひきこもり状態(就学期)」差7・1ポイントと続きました。
これらについて、「実際に行っている具体的な取組み」や、「あったらよいと考える取組み」を自由回答で尋ねると、前者では、対象者が抱えるさまざまな課題、状況等に対し、地域社会の理解や社会資源開発に向けた取組み、寄り添い型の支援を模索している状況が回答されていました。特に地域へのアプローチでは、地域の不動産屋、商店、自治会などへの働きかけが、住まいや就労、居場所などの場の創出や理解につながっていることがうかがえました。後者の「あったらよいと考える取組み」では、すでに他の地域で取り組まれているものもありました。具体例では、日払いで工賃がもらえる仕事先の確保、居場所、出張相談会、日常生活の自立に向けた支援のためのアドバイザーの派遣などがあげられます。他地域との情報交換や好事例の共有が期待されます。
〔(3)対象者が早期に相談や支援につながるために取り組んでいること〕
「対象者が早期に相談や支援につながるために取り組んでいること」について自由回答で尋ねました。多くあげられたのが、「関係機関や地域、組織内、庁内などでの情報共有を通じて連携体制を広げるための取組み」です。
効果があった取組みとして「事例紹介を行う会議を開催したところ、早期の相談につながった」という回答がありました。また「ライフライン事業者、住宅関連団体、金融機関、郵便局など要支援者の早期発見に関わる通報協定を締結」という回答もありました。他には、「個別支援の伴走支援を通じて関係機関との連携構築に努めている」「アウトリーチ」「食料支援の窓口」「相談会開催」なども複数の地域からあげられていました。
〔(4)関わりを拒否したり支援プラン作成に至らないケースの最近の傾向〕
自由回答により尋ねました。内容を分類すると「家族や周囲からの相談で自立相談支援機関につながったが、本人に相談の意思がない」というものと「生活費等の貸付や給付など本人が希望する支援策以外は拒否」といった回答がそれぞれ3割強を占めました。いずれも"本人の意思"がキーワードでありポイントといえます。
前者では、ひきこもりやいわゆる「8050」状態の家族との関連での回答が複数あり、中には「経済的に本人を支えている親は地方にいる」、という都会ならではの状態などもあげられていました。また、関係機関からの紹介においても、「本人の意思がないと支援の継続が難しい」という回答が複数あげられるとともに、「拒否」という言葉が散見されました。対応としては、本人の負担にならないよう手紙や電話でアウトリーチをしているという回答もありました。
後者の回答例では「生活の立て直しを提案しても貸付の可否のみにこだわり『お金を借りられないならば支援は要らない』というケースが少なくない」「住居確保給付金や貸付の相談で対象にならない方はその後の関わりを求めてこないことも多い」などがあげられていました。
その他、「連絡がつかなくなる」「支援の中断」といった回答もありました。こうした要因に精神疾患や障害、不安定さ、問題解決に向けての本人の意欲や熱量が続かない、というような指摘もありました。このような場合には、息の長い伴走的な支援が求められると考えられます。
〔(5)「あったらよい」と考えることに現在取り組めていない理由〕
自由回答(複数回答)で尋ねました。「体制上の課題」が最も多くあげられ、回答のあった42の自立相談支援機関のうち、人や時間、予算などを理由にあげた機関が17か所(40・5%)でした。関連して「情報収集のためのアプローチ不足」「地域の実態把握ができていない」などの回答も4か所からあり、必要性を感じながらも情報収集等に手が回ってない様子もうかがえます。
他に「支援先がない、連携が不十分」など、資源の不足、関係機関との連携不足に関する回答も12か所(28・6%)からあげられていました。
〔(6)「あったらよい」と考えることをすすめる上で社協に期待すること〕
社協以外が運営する自立相談支援機関に自由回答(複数回答)で尋ね、36か所から回答がありました。大別すると「社協活動を通じた地域づくり」に要約される期待が最も高く19か所(52・8%)、次いで「連携した支援体制や協働への期待」12か所(33・3%)、「生活福祉資金の貸付への要望」4か所(11・1%)、「地域福祉権利擁護事業への要望」4か所(11・1%)と続きました。「社協活動を通じた地域づくりの期待」に分類した具体的な自由回答では、「地域の情報、課題、ニーズの情報共有」「地域、ネットワークづくり」など、前問で「あったらよいと考えていることに取り組めていない理由」で取り上げられていたことが期待として寄せられていました。
II 自立相談支援機関と社協の地域福祉活動との連携について
〔(1)支援調整会議や支援会議、その他ネットワークづくりを目的とした会議等に社協が参加することへの期待〕
社協以外が運営する自立相談支援機関に、社協職員が関係会議等に参加することによる期待を自由回答(複数回答)で尋ねました。39か所から回答があり、大別すると「地域福祉の推進役としての社協の持つ情報やネットワークを生かした支援への期待」「社協らしい見立てへの期待」「生活福祉資金などの貸付や地域福祉権利擁護事業利用に向けての連携の期待」「連携・協働による個別支援」の順に4つに分類されました。
〔(2)社協との具体的な連携状況〕
〈図5〉は、区市町村社協との具体的な連携状況について尋ねたものです。なお、社協運営の自立相談支援機関については、他部署との連携状況を尋ねています。
〔A相談につなげる〕や、〔C支援につなげる〕の生活福祉資金貸付事業と地域福祉権利擁護事業など、双方の支援につなげるための連携は多くの地域でなされている様子がうかがえます。一方、〔D新たな活動や支援体制づくり〕〔E地域へのアプローチ〕に分類された連携は少なく、また地域により差がある状況がうかがえました。なお、連携したことのある場面ごとに具体的な連携先となる社協の部署等を尋ねたところ、どの項目でも「地域福祉コーディネーター」が高い割合を占め、特にD、Eではほとんどを占めていました。
〔(3)社協との連携による好事例〕
30の事例が好事例として寄せられました。連携した事業で分類をすると、「社協の地域福祉活動との連携による事例」が12事例(40・0%)、「生活福祉資金貸付事業との連携事例」が10事例(33・3%)、「地域福祉権利擁護事業との連携事例」が6事例(20・0%)、「その他」2事例(6・7%)でした。〈図6〉
地域福祉活動との連携事例では、「ボランティア活動により社会とのつながりや居場所を確保した事例」「サロンへ参加した対象者が講師役になり教室開催まで至った事例」「食料支援の必要性を地域に伝えることを通して地域にボランティア主体のフードバンクができた事例」など、困窮者支援を通して地域づくりにつなげた事例が寄せられました。また、「地域福祉コーディネーターとの役割分担により、つながりにくい人とのつながりを保ち続けている」という協働による伴走支援の事例もありました。
〔(4)さまざまな主体との連携による好事例〕
35事例が寄せられ、連携先では民生児童委員と社会福祉法人・施設との事例がそれぞれ10事例ずつと最も多く寄せられました。〈図7〉
東社協では、平成30年度に、民生児童委員、社会福祉法人、社協の3者連携によるチーム方式での地域福祉推進体制を「東京モデル」として提起し、推進しているところです。
民生児童委員との協働事例では、「つなぐ」「アウトリーチを一緒に」「本人に付き添う」「見守り」「声かけ」など、本人の生活との接面における事例が多く寄せられました。
社会福祉法人・施設との協働事例では、就労体験や中間的就労の受入れ、就労先、一時住居の提供、フードドライブ、地域の子ども食堂など、連携場面は多岐にわたっており、地域のさまざまなニーズに社会福祉法人・施設が柔軟に対応している様子がうかがえました。
●     ●     ●
今回の調査により、自立相談支援機関における対象者の多くが何らかの生きづらさや孤立等複合的な課題を抱えている状況が浮き彫りになりました。また、社協をはじめとした関係機関には、困窮者支援を通じた地域への働きかけにおける連携、協働など大きく期待が寄せられていることが分かりました。さらに、現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、困窮世帯の増加、従前からの地域のつながりや地域活動への影響などが生じています。
東京らしい地域共生社会に向け、包括的支援体制を構築し、関係機関が連携・協働していくことがより一層求められています。




【みーつけた】
中学生、高校生の
地域の学びの場
Co-study Space “Posse”(府中市)
Co-study Space“Posse”
府中市清水が丘3-29-4
糟谷コーポラス202号室
〈利用時間〉 火・水17:00~21:00
土・日10:00~20:00
〈利用料金〉 月会員:1,000円/月
ビジター利用:100円/回
〈Facebook〉
https://facebook.com/Posse.fuchu/
〈note〉
https://note.com/Possefuchu

府中市のアパートにある、あたたかい雰囲気の一室に入ると「Co-study Space“Posse”」(以下、Posse)の文字が出迎えてくれます。
入口近くにあるカウンター形式の「ラウンジ」でスタッフと話したり、自由スペースの「Lab」で自習したり、畳のある落ち着いた雰囲気の「Den」で本を読んだり。Posseを訪れる中学生、高校生(以下、中高生)はその日の気分に合わせて自由に過ごします。実際に訪れた人からは「自由に過ごせて良い」との声が聞かれます。
「人は『今日は読書したい』『今日はスタッフと話したい』と日によって気持ちが変わる。その気持ちにあわせた場所の選択肢を用意するのは大事ではないかと思い、雰囲気、テーマの異なる3つのスペースをつくった」と代表の関谷昴さんは言います。
地域に中高生の学びの場を
つくりたい
Posseは、令和2年2月に、中高生にとって家庭、学校に次ぐ第3の学びの場としてオープンしました。Posseはラテン語で「能力」という意味です。利用時間内は大学生等のスタッフが2人以上常駐し、訪れる中高生に勉強を教えるなどしています。
関谷さんは府中市市民活動センタープラッツの職員としても働いています。Posseの対象を中高生としたのは、地域に中高生の居場所が少ないと感じたことからでした。「中高生と日頃接する中で、『家、学校以外で自分のやりたいことを実現できる場所が少ないよね』、『そういう場所をつくれたらいいよね』と話していたのが始まりだった」と語ります。
関谷さんが関わる、まちづくり活動をする府中市の若者が集まった団体「Youth Action for Fuchu」のプロジェクトの一つとして、同様の想いを持つ仲間と共に、Posseを立ち上げることとしました。
地域と共に学んで、
共に生きていく場所
Posseという場をつくるにあたり、アパートの一室を、自分たちの手でリノベーションすることとしました。必要なお金はクラウドファンディングで集めました。地域との関わりを大事にしたい、地域の人に共感、応援してもらいながら学びの場をつくっていきたいという想いがあったからです。
「中高生になると地域の中で行ける場所が塾、学校などと限られて、地域とつながる機会が少なくなる。Posseは中高生の学びの場ではあるが、ここを起点に中高生が地域の人とつながりをつくっていける場所にもしたいという想いがある。名前に“Co-study”と入れているのも『いろいろな人と共に学んで、共に生きていく』ことを実現したいと思ったから」と関谷さんは語ります。
昼間はコワーキングスペースとして、地域の大人に場所を貸し出しているのも地域とのつながりを意識してのことです。30・40代を中心に利用があり、地域の大人とのつながりも生まれています。
コロナの影響を
ポジティブな経験に
2月にオープンしたPosseは、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、一斉休校と同時期に休止しました。代わりに、オンラインで大学生や大人からさまざまなことを学べる「Posseアカデミー」を開催しました。「コロナの影響で、ただ家にいるだけという状況は学びが少なくなる、新しいものに出会わなくなると危機感を抱いた。このような状況でも『家にいたからこそ新しい人に出会えた、新しいことを知ることができた』というポジティブな経験を中高生にしてほしいと思った」と運営リーダーの村元義樹さんは振り返ります。Posseを利用している中高生を始め、利用したことがなかった中高生等、のべ200人の参加がありました。その後、6月からPosseは再開しました。
中高生が自分らしく居られる
場所として
訪れる中高生とはLINEの公式アカウントを通じてやり取りをしているほか、中高生が気軽に来られるように、Facebook、noteなどのSNSでも意識的に情報発信しています。今後もさらに周知に力を入れていきたいと考えています。
「自分の力を発揮でき、自分らしく居られる場所こそサードプレイスの意味だと思うので、そういう場所にしたい。また、中高生が大学生等と話していく中で、新しい発見や小さな面白い変化が繰り返したくさん起こる場所にしていきたい」と関谷さんは話します。
Posseの入口。(左)関谷昴さん
Labの風景
壁にはクラウドファンディングに
協力してくださった方々の
名前のプレートが並ぶ




【データ】
ヘルプマークの認知度向上も、
合理的配慮の提供については
「知らない」が7割超
ヘルプマークは、外見から分かりにくい援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方にそのことを伝えることを目的としたマークです。平成24年に東京都で取組みが始まり、全国に広がっています。東京都は、このヘルプマークの認知度等についての調査を定期的に行っています。今回は、令和元年度第5回インターネット都政モニターアンケート「東京都障害者差別解消条例等について」(令和元年11月6日〜11月12日実施、500人対象、回答率:96.0%)からご紹介します。
まずは認知度の変化です。平成26年度第32回インターネット福祉保健モニターアンケート「障害及び障害のある方への理解についての調査」(平成26年10月22日〜11月4日実施、301人対象、回答率75.4%)での「ヘルプマークを知っているか」という設問に対しての回答は「意味も含めて知っている」(33.5%)、「見たことはあるが、詳しい意味は知らない」(18.9%)、「知らない」(47.6%)でした。それに対し、令和元年度の調査結果では「意味も含めて知っている」(59.0%)、「見たことはあるが、詳しい意味は知らない」(24.2%)、「知らない」(16.9%)となり、認知度は向上していることが分かります。(図1)
しかしながら、令和元年の調査において「障害及び障害のある方への理解促進」について自由回答にて尋ねたところ「何をどう手助けして良いのかがわからない」、「身近にそのような方がいないと、なかなか実情が分かりにくく、情報も入ってきづらい」といった回答もありました。また同調査では「“合理的配慮の提供”という考え方を知っているか」ということについても尋ねています。平成30年10月施行の東京都障害者差別解消条例に規定された、“合理的配慮の提供の認知度”としては、「知らない」(73.8%)は7割を超え、「名前も内容も知っている」(11.3%)、「名前のみ知っている」(15.0%)は2割以下に留まっています。(図2)
ヘルプマークを「知っているだけ」で終わらせず、それをきっかけに援助や配慮についても一人ひとりが考える機会が増えることが期待されます。
(図1) 平成26年度第32回インターネット福祉保健モニターアンケート「障害及び障害のある方への理解についての調査」
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/soumu/moni/mon_anq32/presssoumu141127.htm
令和元年度第5回インターネット都政モニターアンケート「東京都障害者差別解消条例等について」
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/01/23/01.html
を元に作成
(図2) 令和元年度第5回インターネット都政モニターアンケート「東京都障害者差別解消条例等について」
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2020/01/23/01.html
を元に作成




【マンスリー】
福祉のできごと
2020.7.26-8.25
※対象期間外のできごとを掲載させていただく場合もあります
8/11
「教育職員免許法施行規則等の一部を
改正する省令」施行
文科省は、新型コロナウイルス感染症の影響により、今年度の教育実習・介護等体験の実施が困難な状況になっていることに鑑み、代替措置を講じることとした。令和2年度限りの特例的な扱いとして、大学等が令和2年度に教育実習の科目の授業を実施できないことにより、単位を修得できないときは、課程認定を受けた教育実習以外の科目の単位をあてることができるようにする。
8/7
都道府県社会的養育推進計画を
「見える化」
厚労省は、各都道府県・指定都市・児童相談所設置市に対して令和元年度末までに策定を依頼していた「都道府県社会的養育推進計画」について、里親等委託率の数値目標や、推進に向けた取組みをレーダーにチャートして取りまとめ、「見える化」した。今後は、その結果をふまえ、各都道府県等に対して、国の財政面の支援の活用を含めた更なる取組みや里親等委託率の目標の引上げ等について個別に助言等を実施していく予定。
8/12
「総務省の行政相談における新型コロナウイルス感染症への対応」の公表
総務省は、行政相談における新型コロナウイルス感染症への対応状況について、令和2年1月からの約半年間の実績を取りまとめた。新型コロナウイルス感染症に関連する相談は、1万1,477件受け付けており、内容別では金銭面の支援に関する意見・相談が3月下旬以降大幅に増加した。
8/21
40県で最低賃金を引き上げ
厚労省は、令和2年度の地域別最低賃金額の改訂額を取りまとめた。最低賃金の引上げを行ったのは40県で、1円~3円の引上げであった。東京都は最高額の1,013円で据え置きとなった。答申された改定額は、都道府県労働局での関係労使からの異議申出に関する手続を経た上で、都道府県労働局長の決定により、10月1日から10月上旬までの間に順次発効される予定。




【連載】No.2
コロナ禍でも日常を守るために
~緊急事態宣言期間を中心とした福祉施設・事業所の取組み~
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、福祉施設・事業所には利用者の命・生活、職員の安心・安全を守るため、これまで以上に厳しい感染症対策が求められています。特に国による緊急事態宣言および東京都による緊急事態措置期間中(令和2年4月7日~5月25日)は、各施設等において新たな感染症に配慮しつつ、利用者の日常をいかに守るか苦心し、工夫を重ねていた時期でした。
緊急事態宣言期間を中心に、福祉施設・事業所が未知の感染症にどのように向き合い、利用者の生活を守る工夫や取組みをしてきたのかを発信していきます。
今回は、障害者福祉分野から、主に身体障害者を対象とする施設と、知的障害者を対象とする施設を取材しました。
*今回、紹介する事例のさらに詳しい内容は、本会の「ふくし実践事例ポータル」でご覧になれます。
(http://fukushi-portal.tokyo/)
利用者と協議の上で対策を
すすめる
〜社会福祉法人東京緑新会
多摩療護園(日野市)
多摩療護園は、昭和47年に開設され、主に身体障害者を対象に、生活介護や施設入所支援、短期入所、相談支援等を行う障害者支援施設です。
感染防止のための物品調達
同園では2月中旬から対策に動きました。副園長の岩谷健治さんは「重度・重複障害の方が多く、感染すれば重症化する可能性が高い。感染させない対策が必須だ」と言います。
しかし、4月中旬をピークに5月末頃まで感染予防に必要な物品が極端に手に入りにくく、調達に追われました。マスクは、取引業者が優先してくれたものの納品が半減し、店頭での購入や妊娠中の職員が在宅勤務をする際に作るなどして数を確保し、直接・間接支援で使い捨てと布マスクを使い分けました。消毒液は使用場所により代替品に切り替え、フェイスシールドやビニールガウン等は市販の材料で自作するなどして揃え、急場をしのいできました。
6月以降、徐々に調達状況は改善しましたが、今後に向けてさらに必要な物品を備える予定です。
利用者間の接触を少なくする工夫
各事業ではできる対策を行った上で、利用者と家族の日常生活を守ることも重視しながら継続しています。
3月より、通所・入所の事業別に利用者同士の接触を避けるため、施設内の利用階を分け、動線を分離しました。入所事業は、入所者ごとに、居室(個室)のある階以外の移動を避け、日中活動のプログラムも階ごとに提供するなどしてきました。
職員については、一部の専門職や夜勤帯では体制上の困難もありますが、可能な限り対応する階を固定する体制をとっています。また、毎日の検温や手指消毒等に加え、5月初めから日常の行動履歴の記録も始めました。記録は自宅保管し、体調不良時の受診の判断や、万が一の感染発覚の際、行動確認等に役立てます。
利用者との協議のもとで対策
同園には、入所者の自治会があります。利用者と職員との月1回の定例の懇談会等に加え、臨時の話し合いを持ち、対応を協議してきました。
緊急事態宣言中は、駅前や街なかへの外出は控えてもらう一方、近隣での散歩や買い物は職員の付き添いのもと、従来通り行えることとしました。園長の平井寛さんは「施設の立地や近隣の感染状況等をふまえ、利用者にのみ過剰に制限をかけるべきでないと判断をした。利用者の日常を守り、ストレスを減らすことも重要と考えた」と言います。
6月に全面的に外出を解禁したものの、感染拡大傾向となった7月からは、家族・友人との外出自粛、利用先の感染症対策の確認、マスク等着用の徹底等、対策を強めています。
また、家族の面会は4月にいったん中止し、5月末から段階的に通常に戻したものの、現在は再度、時間制限等を行っています。これらの対応についても、利用者との意見交換を繰り返して方針を立て、家族にもこまめに連絡するよう努めています。
通所は利用人数枠を減らして実施
通所事業は、緊急事態宣言下では一日の利用人数を約半数に減らし、滞在時間も短縮しました。送迎バスの乗車人数を減らして輸送回数を増やしたり、希望者の多い入浴の提供日を増やすなどの対応を行いました。しかし2月以来、感染を恐れて利用を控え続けている方もいます。重症心身障害の方や家族の感染不安や影響は非常に大きい状況です。
実習の受入れは断念
同園では毎年多くの実習生を受け入れています。今年度も感染症対策のもと、学生約80名の受入れ準備をすすめていましたが、若者の感染拡大により、7月に受入れ中止を決めました。代わりに、学校2校の依頼を受け、リモートで施設を紹介する授業の実施に協力する予定です。
今後も、同園では、慎重に状況を見極め、他法人・施設とも情報交換をしながら、利用者との話し合いのもと、マニュアルの見直しを図り、対策を徹底していく予定です。
感染症を持ち込まないことを
第一に
〜社会福祉法人南風会
シャロームみなみ風(新宿区)
シャロームみなみ風は、平成27年に開設した障害者支援施設です。主に知的障害のある方を対象に、施設入所支援のほか、生活介護、自立訓練(生活訓練)、短期入所、就労継続支援B型事業などを行っています。
新宿区には大きな繁華街もあり、感染拡大については不安の大きい地域です。そのため、2月17日に初回の危機管理委員会を実施し行動計画を立ててきました。施設長の廣川美也子さんは「第一に、施設内に感染症を入れないための対策をできる限りすることを考えた」と話します。
感染症を持ち込む可能性が高いのは職員と考え、学習会を繰り返し、マスク着用と飛沫感染の恐れのある会食等には行かないことを徹底しました。さらに、陽性であっても無症状である可能性もあるため『自分はすでに陽性と考え行動する』という意識を持ってもらうようにしました。
感染対策と物品の確保
施設内での対策では、出勤時と昼休み後の検温と手洗いを徹底し、体温が37度あった時点で退勤としました。発熱した場合、2週間勤務停止としましたが、外出行事の中止や併設のカフェの休業等により、フォロー体制をとることができました。ドアノブ等は1日3回消毒を実施し、電話機やパソコン等は使う度に職員が各自で消毒を行います。また、電解式次亜塩素酸水の携帯用スプレーボトルを職員とその家族にも配布しました。ほかにも、"3密"や職員間の接触を減らすため、スタッフ会議の回数を増やして1回の参加者を少なくし、感染リスクを減らすよう努めました。
また、感染症対策のための物品は入手しづらい状況が続きました。100円均一の店をまわり防護服代わりのレインコートやフェイスシールドをつくるためのサンバイザー等を買い集めました。また、備蓄してあるマスクはなるべく使わずに、手作りのものでしのぎました。
面会・帰省中止と利用者への影響
2月18日以降、入所の利用者の帰省は中止し、面会は原則自粛してもらいました。面会を希望する場合は、手洗い・消毒・検温の上で相談室での面会とし、居室フロアへの立ち入りは禁止しました。4月2日以降は面会も全面中止としました。その代わりに、ホームページに家族専用ページを作成し動画配信をはじめたところ「なかなか見ることのできない普段の様子が見られる」と喜ばれました。
緊急事態宣言期間中は、短期入所の新規の受入れ、音楽療法やスポーツなどの外部講師によるプログラムも中止しました。通所の利用者には通うことの不安から利用を自粛する方もいました。
7月には面会を再開しましたが、都内に感染者数が増えてきたため、やむなく中止にしました。
利用者は大きなトラブルもなく安定して過ごしていました。他の利用者も面会や帰省をしていないことや、日ごろから職員より状況の話を聞いたり、こまめに消毒する様子を見ていたためと思われます。
就労継続支援B型事業所として施設に併設するカフェ&レストラン「おんぶらーじゅ」も宣言期間中は休業し、売上げはゼロになりました。宣言期間後は席数を減らしてカフェを再開し、客足は戻りつつありますが、売上げは通常時の40%以下に落ち込みました。そのため、工賃に充てることと、現状をより多くの方に知ってもらうためにクラウドファンディングも始めています。
今後について
現在も、外出行事は中止していますが、お楽しみ会や夏祭りをグループごとに行うなど、施設内で感染に気をつけながら楽しめることを増やしています。
今後の課題について廣川さんは「防護服等の感染症に係るゴミの処理や、行動障害のある方もいるためゾーンを分けることが難しい箇所がある等の課題がある。また、近隣の法人で協力できるネットワークや、感染が起きたときにSOSが出せるしくみが必要だと感じた」と言います。
また、「家族からの励ましの手紙をいただくなど、職員を応援してくれていることを感じられ大きな支えになった。苦しい状況だがこれからも頑張っていきたい」と話します。
左)多摩療護園園長 平井寛さん
右)同副園長 岩谷健治さん
シャロームみなみ風
施設長
廣川美也子さん




【東社協発】
「地域福祉推進に関する提言2020」を発行しました
東社協地域福祉推進委員会では、毎年、地域福祉推進のために重点的に取り組むべき事項をまとめ、「委員会からの提言」と「部会・連絡会からの提言」を整理し、提言活動を行っています。
令和2年度の「提言2020」のとりまとめをすすめる中で新型コロナウイルスの感染が拡大し、社会福祉施設・事業所では利用者の命と生活を守るため、さまざまな工夫をしながら支援にあたる必要が出てきました。また、地域では、これまでの支援活動や地域活動を休止せざるを得ない中で、孤立や虐待、介護問題の深刻化、子どもや障害者の生活課題など、新たなニーズが増加し、コロナ禍での新たな地域づくりに取り組んでいく必要性が高まっています。
そのため委員会として、今年度は、新型コロナウイルス感染症への対応に関わる提言を行うこととしました。
今後も、関係者の皆さまのご意見をいただきながら、提言活動の充実を図ってまいります。
▽内容
●第1部 委員会からの提言
【提言I】新型コロナウイルス感染症に関する福祉施設・事業所等への支援について
【提言II】ウィズコロナ・アフターコロナにおける地域福祉の推進について
●第2部 部会・連絡会からの提言
内容についての詳細は左記URLよりご覧ください。
https://www.tcsw.tvac.or.jp/chosa/teigen/

新型コロナウイルス感染症に伴う
東社協からのお知らせ
■新型コロナウイルス感染症の拡大防止をふまえた、本会事業等について
本会では、新型コロナウイルス感染症の予防に配慮しながら、業務を行っております。
会議・研修・イベント・窓口の状況などは各部室の案内をご覧いただくか、直接お問い合わせくださいますようお願いいたします。
皆さまにもご理解、ご協力のほど、お願いいたします。
●東京都社会福祉協議会 部署一覧(各部署への連絡先)
https://www.tcsw.tvac.or.jp/about/soshiki/busho.html
■新型コロナウイルス感染症の影響による休業や失業で、生活資金にお困りの方々に向けた緊急小口資金・総合支援資金の特例貸付について
ご相談・お申込みの窓口はお住まいの区市町村にある社会福祉協議会となります。
※「緊急小口特例貸付」のみ、中央労働金庫(郵送受付のみ)、郵便局(窓口受付のみ)においても受付を行っています。
※特例貸付に関する詳細はこちらをご覧ください。
https://www.tcsw.tvac.or.jp/activity/2020-0413-1036-17.html
■東社協ホームページ
https://www.tcsw.tvac.or.jp/
(上記は8月31日時点の情報です。)




【アンテナ】〈8月31日(月)時点の情報です。感染症拡大防止のため、イベント等が中止または延期になる可能性があります。詳細は各団体にお問合わせください。〉
助成金
2020年度 社会福祉事業
「NPO基盤強化資金助成」
(1)組織および事業活動の強化資金助成
東日本地区に所在し、社会福祉に関する活動を行う特定非営利活動法人・社会福祉法人(原則令和4年3月末までに完了する事業)
上限70万円
(2)認定NPO法人取得資金助成
日本に所在し、社会福祉分野で活動を行い、認定NPO法人の取得を計画している特定非営利活動法人 上限30万円
※以下、(1)(2)共通項目
10月9日(金)17時 ホームぺージの申込フォームから申請のうえ、必要書類を郵送 (公財)SOMPO福祉財団 〒160-8338 新宿区西新宿1-26-1 03-3349-9570
https://www.sompo-wf.org
講座・シンポジウム
2020年度成年後見制度講演会
(1)落語でわかる!成年後見制度
10月10日(土)14時~16時 町田市民フォーラム 3階ホール 86名(申込順)※車椅子席、手話通訳、要約筆記の用意可
往復はがきにて受付
(2)司法書士による成年後見制度相談会
10月10日(土)10時~13時※一人30分  町田市民フォーラム4階 ボランティアセンター講習室 18名(先着順・要事前申込) 電話にて(042-720-9461)で受付
(1)(2)共通
無料 成年後見制度や相続、遺言に関する講演、相談会 (社福)町田市社会福祉協議会 福祉サポートまちだ 成年後見制度講演会担当者 〒194-0013 町田市原町田4-9-8 042-720-9461
https://www.machida-shakyo.or.jp/
【オンライン】いま子どもと親は、
だれに支えられて生きるべきか
―里親家庭編―
9月20日(日)14時~16時 ※16時15分~17時45分オンライン交流会 Zoomを使用 無料 60名 里親を支える活動をテーマとしたトークセッションほか
里親を支える活動に関心のある方、里親になることに関心のある方、社会的養護関連の事業を担当する自治体職員、近しい分野で活動されている団体職員 特設サイト(https://buddyteam0920.studio.design/)の申込フォームにて (NPO)バディチーム
03-6457-5312
http://www.buddy-team.com/
その他
第18回読売福祉文化賞
9月30日(水)消印有効 表彰および活動内容の新聞での紹介(1)一般部門(福祉活動全般)3件(2)高齢者福祉部門(高齢者支援活動)3件に対し、トロフィーと活動支援金100万円を顕彰 所定の申請書類に必要事項を記入し、郵送 (社福)読売光と愛の事業団 福祉文化賞係 〒100-8055 千代田区大手町1-7-1 03-3217-3473
https://www.yomiuri-hikari.or.jp/
いのちを守る何でも相談会
9月14日(月)~令和3年3月29日(月)までの毎週月曜日 18時~20時半(相談は21時まで) 司法書士が精神保健福祉士または公認心理師・臨床心理士とともにいじめ、仕事、お金等の悩みを解決するため電話でアドバイス【TEL】0120-617-123(フリーダイヤル) 不要 東京司法書士会 事務局事業・研修課 〒160-0003 新宿区四谷本塩町4-37 司法書士会館2階 03-3353-9191
https://www.tokyokai.jp/news/2020/08/post-363.html
あなたのいばしょチャット相談
(厚生労働省支援情報検索サイト
登録窓口)
【24時間365日、年齢や性別を問わず誰でも無料・匿名で利用できるチャット相談窓口】
相談員による傾聴により「死にたい」という思いを持っている方に寄り添うほか、DVや児童虐待、性暴力など、生命・身体の危機にある方に対しては、警察・消防・児童相談所等と連携して対応にあたるなど、緊急支援窓口として機能 ホームぺージのチャット相談ぺージより (NPO)あなたのいばしょ事務局
https://talkme.jp/chat




【資料ガイド】
■令和2年度第1回介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会 資料(厚生労働省/7月)
■「障害者活躍推進プラン」の新たなプランと取組状況の公表(文部科学省/7月)
■第1回 住まい支援の連携強化のための連絡協議会 資料(厚生労働省・国土交通省・法務省/8月)
■第98回労働政策審議会障害者雇用分科会 資料(厚生労働省/8月)
■令和元年度「厚生年金・国民年金の収支決算の概要」(厚生労働省/8月)
■介護保険事業(支援)計画における要介護者等に対するリハビリテーションサービス提供体制の構築に関する手引き(厚生労働省/8月)
■保育の現場・職業の魅力向上検討会(第5回)資料(厚生労働省/8月)
■第13回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(オンライン会議)」資料(厚生労働省/8月)
■第14回社会保障審議会 企業年金・個人年金部会 資料(厚生労働省/8月)
■第1回職場適応援助者養成研修のあり方に関する研究会資料(厚生労働省/8月)
■2019年度 青少年のインターネット・リテラシー指標等に係る調査結果(総務省/7月)
■2019年 国民生活基礎調査の概況(厚生労働省/7月)
■平成30年介護サービス施設・事業所調査の概況(厚生労働省/7月)
■ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)結果(厚生労働省/7月)
■都内の保育サービスの状況(都福祉保健局/7月)
■学校基本調査 令和2年度(速報)結果の概要(文部科学省/8月)
■日本に留学中の外国人学生の皆さんへ〈外国人留学生向けの利用可能な制度一覧〉(文部科学省/8月)
■パラリンピック1年前を契機とした東京都の取組(都オリンピック・パラリンピック準備局・政策企画局/8月)
■感染防止に配慮したつながり支援等の事例集(厚生労働省/8月)




【くらし】
“なんとかなるさ”の精神で、
これからも私らしく
息子と向き合っていきたい
不慮の事故により脊髄損傷を負い、車椅子を使用して生活している鈴木しほさんは、一児の母になりました。
妊娠中や、出産後の育児についてお話いただきました。
現在、生後7か月になる息子と夫の3人で暮らしています。息子との生活は私の考え方や日常を大きく変えてくれました。
妊娠中の不安が100%なら、出産してからは10%になった
妊娠が発覚した当初は、結婚5年目にして待望の第一子だったこともあり、夫と共にとても喜びました。一方で初産の母なら誰しもが通るであろう、出産や育児に対する不安がありました。それに加えて、「できないことばかりで、夫に負担をかけてしまうかもしれない」と、車椅子を使用する私が満足に育児ができるのかという不安がありました。また、妊娠中は動きづらさから日常生活面でも家族のサポートを得なければいけないことが多く、とても大変だったことを覚えています。
出産に向けて、生活の利便性から里帰りはしませんでした。代わりに出産後は他県に住む私の母が1か月間アパートに来て、生活のサポートをしてくれていました。初めての育児では、チェアにもベッドにもなる高さ調節が可能なベビーラックや、背面に手を回さなくても装着できる抱っこ紐など、車椅子でも使用しやすい育児用品を事前にそろえていたこともあり、想像よりも自分でできることが多く、妊娠中に抱いていた不安の殆どは早い段階で払拭されました。
車椅子生活でも子育てしやすい
世の中になってほしい
とは言え、育児の悩みは尽きません。友達に相談することがほとんどですが、障害があるからこその悩みもあります。例えば、私がお手洗いに行っている間に息子を十分に見守ることができない、息子を車の座席に座らせることが難しく、車移動ができないなどです。困った時に電話一本で支援が受けられるサービスがあればとても助かるのにと、いつも思います。
また、出産・育児を経験して気づいたことは、産婦人科の入口やお風呂に段差があったこと、多目的トイレのオムツ替え台が高い位置にあることなど、育児に関する設備や育児グッズの多くは車椅子を使用する人が使うことが想定されていないということです。車椅子を使用する人でも子育てがしやすい世の中になってほしいと思っています。
息子は私を"車椅子の女性"から
“一児の母”に変えてくれた
夫は息子が産まれる前から日常的に家事等を行ってくれており、出産してからも育児休暇を取得してくれるなど、積極的に育児をしてくれます。私自身、息子が産まれるまでは「手伝ってもらってばかりでごめんね」と申し訳なさから謝ってばかりでした。ですが息子が産まれてからは「協力してくれてありがとう」と感謝の気持ちを伝えられるようになりました。まさに"協力して育児する"ことができており、私に母という役割を与えてくれた息子と「育児は夫婦の共同作業だから」と言ってくれる夫には感謝で一杯です。
外出先では、これまで「車椅子で大変だね」という言葉をかけられることが多かったのですが、息子と出かけるようになってからは「赤ちゃん可愛いね」「何か月なの」と、声をかけられるようになりました。私に対する世間の目が"車椅子の女性"から"一児の母"に変わったことを実感しました。今までよりも、自信をもって過ごせるようになったのは、息子のおかげです。ただ、母かどうかに関わらず車椅子を使用している人への目線はよりフラットになってほしいと思います。
"なんとかなるさ"の精神で、
息子と向き合っていきたい
脊髄損傷で車椅子生活を余儀なくされた時は、不安で一杯でした。ですが、いざ生活が始まると、できることが多く、なんとかなるんだなと思いました。育児も似ているところがあります。不安なことはたくさんありますが"なんとかなるさ"の精神で、これからも私らしく、楽しみながら息子と向き合いたいと思います。




【東社協の本】
母子福祉部会紀要 No.13(令和元年度)
社会的養護の担い手としての母子生活支援施設の役割と課題
本書では部会の各委員会の活動報告と平成31年度の「東京の母子生活支援施設実態調査」を掲載しています。母子生活支援施設は、地域で暮らすひとり親家庭の多様なニーズと、母と子を取り巻く社会環境の変化に対応すべく、支援を積み重ねてきました。その専門性を強みとし、関係機関と密に連携しつつ、地域に対する発信力を強化していきます。
◆規格 A4判/120頁 ◆発売日 2020.8.7
◆本体 1,800円+税
地域のニーズにこたえる・2
〜社会福祉法人の地域ネットワークによる地域公益活動 取組み事例集〜
本事例集では、東京都地域公益活動推進協議会ですすめる3層の取組みのうち、「区市町村域の連携」である地域ネットワークによる14区市の事例を掲載しています。地域単位で社会福祉法人が連携する実践は、地域共生社会への可能性を広げています。
◆規格 A4判/81頁 ◆発売日 2020.7.29
◆本体 700円+税
児童福祉研究 2020 No.28
本書では、都内の先駆的な児童養護施設・グループホーム等の実績・課題・可能性を考察し、自立支援コーディネーター・里親支援専門相談員・ジョブトレーナーの活動や、地域支援の実態を掲載しています。
◆規格 A4判/215頁 ◆発売日 2020.6.30
◆本体 1,500円+税

月刊「福祉広報」

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