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福祉広報 2020年10月 741号 テキストデータ

【表紙】

社会福祉NOW
新型コロナウイルス感染拡大状況下
における1万人の民生児童委員活動

トピックス
食糧支援・相談会が、学生の地域活動への興味や関心のきっかけにも
~文京区社協・文京ボランティア支援センター『学生パントリー』の取組み~

【連載】コロナ禍でも日常を守るために ~緊急事態宣言期間を中心とした福祉施設・事業所の取組み~
子どもにとって今しかない一年を大切に  目黒区立目黒本町保育園
子どもたちが生活に楽しみを持てるよう支える  社会福祉法人六踏園 品川景徳学園

福祉のおしごと通信
経験を活かし、多角的に支援していきたい
社会福祉法人有隣協会 自立支援センター荒川寮 主任生活指導員 肥後盛朝さん

群馬県 沼田市

この地で活躍する
小学生のバレーボールチーム。
鍛えられた運動神経で
高いところも川の淵もへっちゃら、
活発な女の子たちだ。

 

 

【NOW】

新型コロナウイルス
感染拡大状況下における
1万人の民生児童委員活動

令和元年12月に、3年一期の一斉改選で約1,500名の新任委員を迎え、1万人余の仲間での新たな活動がスタートしました。東京都民生児童委員連合会(以下、都民連)(※)では、12月から3月にかけて11コース・延べ25日間の新任研修が始まり、地元の民生児童委員協議会(以下、民児協)でも新しい仲間との活動が動きだしていました。
そうした折に新型コロナウイルス感染症が拡大し始め、都民連では2月25日以降500名規模の研修を中止し、地元民児協の活動も、ほぼすべて止まりました。
今回は、「人とのつながり」が活動そのものである民生児童委員活動の、緊急事態宣言中およびその後の新しい生活様式での取組みについてご紹介します。

「自粛」と「心配」な思いのはざまで揺れ動く
◆活動自粛期間中の状況
新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染拡大に伴い、令和2年3月からは活動の自粛が呼び掛けられ、特に緊急事態宣言・東京都の緊急事態措置等期間の4~5月は、多くの地区で事業が中止・延期等されました。〈図1〉
「定例会」は、地区内の民生児童委員が一堂に会し、行政や都民連からの依頼事項や、最新の福祉等の情報提供、また委員間の困難ケースについて勉強会など行う場で、活動の基礎となる会議です。新型コロナの状況下でどこまで活動したらよいか、また個別の相談が入った場合どうしたらよいのかなど、本来であれば「定例会」で確認し合うところ、郵送で届く民児協代表会長からのメッセージや行政からの事務連絡をもとに、各委員が判断して活動せざるを得ない状況が続きました。一斉改選後で役員が入れ替わった地区もあります。新任委員も多く、またそもそも誰もが初めての状況に、不安を抱えていました。
◆委員間で情報共有、相談し合う
長期化する自粛期間は、これまで緊急時に使っていた、一方通行の「連絡網」や個々の委員同士のつながりだけでは不十分で、複数の委員が双方で相談し合える環境が求められました。
今回多く活用されたのが「LINEグループ」です。単位民児協や部会、班などで新たに作成したとの報告がありました。
一方で、民生児童委員の平均年齢は、区域担当の民生児童委員は65歳、児童問題を主に担当する主任児童委員は55歳です(東京都による改選時の発表数のため八王子市除く/9月現在、最高年齢は75歳)。新型コロナで世の中が「リモート」となる中、まだまだスマートフォンを所持していない方や、不慣れな方も多くいます。
そこで、中止となった定例会の資料を送付する際には、大事な内容が一目で分かるよう概要文を同封したり、送付せずに各地区会長等の役員が役所に取りに行き説明を受け、その役員が自身の地域の委員に直接配布するとともに、困っていること等の相談を受けるなど、工夫が見られました。
また、一斉改選後、2月以降は毎月委員委嘱があり、8月までに約200名の新任委員が誕生しました。しかし、「定例会」が中止続きで、地元の仲間の委員とも顔合わせすらできずにいました。
そこで、〔小金井市北部地区民児協〕では、近隣の大きな公園に集まり、短時間で新任委員紹介と連絡を行いました。さらに、小中学校が休校中だったため、隣接する委員3人がチーム(班)となり、公園等子どもの居場所を見回りました。民生委員は児童委員であることを改めて自覚するとともに、新任委員は地域を知ることができ、かつ情報交換もできる機会となりました。
◆班活動の活用
都民連では、「班活動」を推進しています。これは、都内401地区ある単位民児協と個人との間を埋めるしくみで、ご近所同士で数名で班を組み、地域の情報を共有したり、個別ケースにあたったりするものです。
今回、委員間の情報伝達・共有方法について考える機会となりました。特に「班」は大切な情報を、適切なタイミングで、的確に伝達できることが改めて確認できました。今後、新型コロナだけでなく、風水害や地震においても役立ちます。また、日常においても、委員自身が体調を崩して動けない時などにも、住民への支援が滞ることなくできるため、地域にあった班活動の設置に期待がされます。
新型コロナによる休校明けに、学校から複数の不登校の相談を受けた〔大田区新井宿地区民児協〕においても、班を組んだ見守り活動を行いました。外出自粛が続く中で特定の委員だけが様子を確認しに家の周りを歩いては不自然なため、数人で班を組み、買い物帰り等にさりげなく家の前を通るようにして、気づいた点を区域担当委員に連絡をするようにしました。複数の目で見守る安心感だけでなく、見守りの長期化も考えられるため、担当委員の負担軽減にも役立っています。
◆孤立を心配し安否確認
今回新型コロナの影響下で、多くの委員が心配したのは、もともと孤立しがちなひとり暮らし高齢者や児童虐待が懸念される家庭が、これまで以上にリスクを抱えてしまっているのに、見守り活動ができないことでした。
自粛期間は、個々の判断で地域をパトロールしたり、ひとり暮らし高齢者宅のポストに新聞が溜まっていないか、電気が夜になるとついているかなど、外からの見守りをした方も多かったようです。また、新型コロナ対策や特殊詐欺などのチラシをポスティングしたり、その際一筆添えたり、脳トレのクイズを付けるなど、つながりを保つための工夫も聞かれました。
5月は毎年、民生児童委員活動強化週間があり、全都をあげてパネル展やパレード、街頭PRなどを行っていました。今年はほぼすべて中止となっていた中、〔中央区民児協〕では「活動強化月間」と位置づけ、ひとり暮らし高齢者名簿を活用して、電話による見守り訪問をすることにしました。新任委員は地域の高齢者と顔合わせもできておらず不安も聞かれましたが、LINEグループで小まめに情報提供や情報交換を行い、すすめることができました。
また、居場所づくりとして高齢者サロンや子育てサロンを行っている地区も多くありますが、大半が中止しました。〔世田谷区上馬地区民児協〕では行っていたミニデイを中止しました。会長の松本道子さんは参加者に安否確認の電話をしていましたが、中には、閉じこもりによる認知機能への影響が心配な方も出てきました。そこで、6月からは毎月「ミニデイ通信」をつくり、詐欺の注意喚起や「エコバッグを洗いましょう」など身近な役立つ話など、さまざまな話題を盛り込み、ポスティングを始めました。参加者からはお礼とともに、ミニデイ再開を期待する声も届きました。通信や再会を待ち望む「楽しみ」が、ふさぎがちな引きこもり生活に張りを持たせてくれました。
子どもへの支援として、〔豊島区民児協〕では、学校の休校を受け、ひとり親世帯等を対象に区民ひろばでランチ支援を行うNPO法人の事業に協力しました。当日配布を手伝うだけでなく、事前に主任児童委員等がこれまでの活動でつながっているお母さんにメール等で連絡し、その方から周囲のひとり親世帯のお友達グループに流してもらうなどしました。周知していく中で、「自粛期間で誰とも話せず、子どもにイライラして怒ってしまう」と涙ぐみながら打ち明けてくれる場面もあったそうです。また、日頃気に掛けていたきょうだいに情報を伝えてもらい、お弁当を取りに来た元気なお兄ちゃんの姿に、つながり続ける大切さを感じました。
少しずつ、感染状況を見極めながらも、できることから活動を始める
◆委員自身のモチベーションを保つために
自粛の長期化により、新任委員だけでなく再任委員の意欲も下がりがちになります。何のために自分は民生児童委員として委嘱されたのか、自粛とは本当に何もしなくていいのか。気持ちがふさがないよう、各地区の役員と行政担当者とで相談しながら、感染状況を見極めつつ、少しずつ「住民とつながる」活動が始まっています。
◆コロナ禍だからこその活動
〔文京区民児協〕では、4月以降、ひとり暮らし高齢者に各委員からの電話での声掛け・見守り活動に取り組んでいました。そうした中、2期目の委員から「高齢者は耳の遠い方もいるので、85歳以上の方に手紙を書いた」という話を聞き、それはいいアイデアと会長会で相談し、区全体で「夏のはがき作戦」を開始しました。他の調査とのバランスで、日頃関わる機会が少ない81~84歳の方に対し、往復はがきを送り、近況をお知らせいただくというものです。はがきの内容も、新型コロナの影響で活動がすべて中止となってしまった行事を検討する委員会が担当し、委員や高齢者に負担がかかりすぎず、一方、高齢者に喜んでいただける内容と工夫がされたものとなりました。8月中に投函をし、高齢者も、また返信を受ける委員も、互いににっこり笑いあえる温かな交流が生まれました。
〔立川市民児協〕では例年4月に行っていた「ひとり暮らし高齢者実態調査」を中止にしました。しかし、暑い夏にマスクを使用することで熱中症が心配されたため、8月にかけて、アイスタオルを配布しながら、原則インターホン越しでの安否確認を行うことにしました。「実施するか迷ったものの、新任委員が何か月も何もできずに不安に思っている状態を鑑み踏み切りました。実際やってみて大変好評だった」と代表会長の中村喜美子さんは言います。さらに、この機会に、地域包括支援センターで情報を把握しきれていないオートロックマンション世帯や気になる世帯には、職員も同行してもらい、情報共有もしました。
◆仲間とつくる地域のつながり
東京の民生児童委員活動は今年で102年目を迎えました。地域住民や関係機関・団体と、顔を合わせ言葉を交わし、関係を築いてきた長い歴史があります。コロナ禍であろうと、そのつながりが消え去るわけではありません。くしくも、新型コロナで活動が最小限となり、活動を見直す良い機会にもなりました。住民とどうつながりを深めていくか、都内1万人余の委員の経験と知恵を出し合い、創意工夫でこの困難を乗り越え、新たな活動を展開していきます。

(※)都民連の事務局は、東社協民生児童委員部が
務めています。


「亀有花風船の会」
(葛飾区亀有地区民児協)
民生児童委員が立ち上げたこの会は、週2回、地域の高齢者と駅前の花壇の手入れを行っています。自粛期間も屋外で距離を保っての短時間のため継続することができました。

「高齢者サロン」
(八王子市第5地区民児協)
民児協の管轄内では6カ所の高齢者サロンがあり、そのうち2カ所で再開しました。消毒等、3密にも十分気をつけながらも再開したサロンは、「ほかに行くところないから」と大変喜ばれています。

〔豊島区民児協〕
お弁当を渡して喜ばれました

〔文京区民児協〕
返信用にはチェックで簡単に回答できる
工夫をしました

 

 

【トピックス】

食糧支援・相談会が、学生の地域活動への興味や関心のきっかけにも
▼ 文京区社協・文京ボランティア支援センター『学生パントリー』の取組み

文京区社協の文京ボランティア支援センターでは、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の影響で生活に困っている文京区内在住の単身世帯の大学生・専門学生・大学院生を対象に、ひとり3kgのお米を無料配布する緊急支援『学生パントリー』を7月中旬から9月まで断続的に開催しました。事前にイベント予約サイトの「Peatix」を用いてチケットを配布することで完全予約制とし、当日の密集を避けるようにしました。配布したお米は『学生パントリー』を開始する直前に関係団体から寄附いただいたものです。お米を配布すると同時に、学費や生活費、住居や家賃など、暮らしのことも相談できる場としました。
文京区だからこそ、学生を対象とした支援を実施する必要があった
新型コロナが全国的に蔓延し始めた今年3月以降、文京区社協に近隣の関係団体や住民からたくさんの食糧や生活用品などの寄附が集まりました。当初はそれを活用し『文京フードパントリー』として、主に生活福祉資金の申請のため来所された方などに配布していました。同センター係長の根本浩典さんは「7月頃、新型コロナの影響をふまえた生活福祉資金貸付制度の緊急小口資金と総合支援資金の特例貸付の利用状況を社協内で振り返った。文京区は都内でも大学等の数が多く、学生寮も多い地域であるにもかかわらず、学生の利用が少なく、社協内でもコロナ禍の学生の生活状況を十分に把握できていない状況が分かった。この状況から学生を対象とした支援を実施する必要があると感じ、他県・他地域での実践を参考に、学生パントリーを実施することとした」と言います。
お米の配布をきっかけに、気軽に相談できる環境を
『学生パントリー』の取組みは文京区社協のホームぺージやFacebookなどで周知しました。取組みを知った大学等の先生や学生の口コミで徐々に希望者が増え、期間中41名の利用がありました。同センター主査の伊藤真由子さんは「利用した学生からは"4月以降、講義等がオンラインになり、友人との直接的なつながりがなくなり気が滅入ってしまっていた。誰かと直接対面して話すこと自体久しぶりで、安心できた"という声が多く聞かれる。当日は個室を用意することで密集を避けるだけでなく個別に対応できるようにした。お米の配布をきっかけに気軽に学生が雑談・相談ができる環境をつくった」「約半数は留学生の利用だった。同じ国のコミュニティで助け合って生活している一方で、母国からの支援が得られにくくなり、コロナ禍でアルバイトも十分にできない状況の中で、金銭的に困窮している学生が複数いた。そのような学生には必要に応じて経済的な支援関連の情報提供を行った。自分で問い合わせすることが難しい学生については窓口に電話して状況を伝えるなど申請等の入り口までを支援することもあった。また、日本語が苦手な学生に対しては小型の翻訳機を活用してコミュニケーションを図った」と話します。また「取組みをFacebookなどで知った住民の方が"学生に活用してください"とレトルト食品などを寄附してくださったこともあった。『学生パントリー』の取組みが住民の地域活動に結びついたことにとても嬉しく感じた」と話しました。
『学生パントリー』が学生の地域活動への興味・関心につながれば
今後について、根本さんは「福祉を専攻する学生であっても、社協の存在は知っていても、役割や活動の内容まで理解している人は多くはない。『学生パントリー』を利用した学生には、お米と一緒に社協のパンフレットやボランティア活動等のチラシも渡している。まだ例はないが、社協の活動に興味を持った学生が今後ボランティアなどに参加してくれれば嬉しい」と話します。伊藤さんは「多くの学生は卒業後に地元や就職先付近の地域へ転出するため、文京区の住民として地域活動に参加することはあまりない。『学生パントリー』を間接的な支援のチャンスと捉え、文京区や地域活動に興味を持つきっかけにもつながればよいと思っている。そのためにも『学生パントリー』でつながった学生に対し、社協ではなく地域の居場所に場所を移してお米を配布するなど、地域と学生を結び付けるような取組みを検討している」と話します。

(右から)文京区社会福祉協議会
文京ボランティア支援センター 
係長 根本浩典さん
主査 伊藤真由子さん

『学生パントリー』開催チラシ(日本語・英語表記)
※9月18日にて、終了しています

配布したお米(ご寄附でいただいた魚沼産コシヒカリ)

 

 

【マンスリー】

福祉のできごと
2020.8.26-9.25
※対象期間外のできごとを掲載させていただく場合もあります

8/28
「防災ポータル」がリニューアル
国土交通省は、防災情報サイトを一覧できる「防災ポータル」をリニューアルした。ポータル内の専門用語を減らし、分かりやすい表現に改善したほか、火山噴火や熱中症などのサイトを追加した。また対象地域や災害情報の充実、8言語に対応するなど防災情報の拡充を図った。
〈防災ポータル〉
http://www.mlit.go.jp/river/bousai/olympic/index.html

8/25
カード形式の障害者手帳の交付受付の開始を発表
東京都は、令和2年10月1日からカード形式の障害者手帳の交付申請の受付を開始すると発表した。すでに手帳を所持している方で、カード形式の手帳の交付を希望する場合は、身体障害者手帳・愛の手帳は再交付申請を、精神障害者保健福祉手帳の場合は2年毎の定期更新時に申請することで切り替えることができる。申請先は居住している区市町村等の各障害者手帳の所管窓口。

9/10
「地域における多文化共生推進プラン」の改訂
総務省は、外国人住民の増加・多国籍化、在留資格「特定技能」の創設、多様性・包摂性のある社会実現の動き、デジタル化の進展、気象災害の激甚化といった社会経済情勢の変化をふまえ、「地域における多文化共生推進プラン」を改訂した。外国人住民を地域社会の一員として受け入れ、人の交流やつながり、助け合いを充実するための環境を整備し、多様性と包摂性のある社会を実現することにより、ポストコロナ時代の「新たな日常」を構築することなどが新たに盛り込まれている。

9/11
「地域がいきいき 集まろう!通いの場」特設WEBサイトを公開
厚労省は、高齢者本人や、家族、支援者等に対して、居宅においても健康を維持するため、そして安心して通いの場の活動を再開するために必要な情報を発信することを目的に、特設WEBサイトを公開した。高齢者が居宅で健康を維持するための情報のほか、全国の自治体が作成するご当地体操動画の紹介、関連団体のリンク集などが掲載されている。
「地域がいきいき 集まろう!通いの場」
〈特設WEBサイト〉
https://kayoinoba.mhlw.go.jp/

 

 

【連載】3

コロナ禍でも日常を守るために
~緊急事態宣言期間を中心とした福祉施設・事業所の取組み~

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、福祉施設・事業所には利用者の命・生活、職員の安心・安全を守るため、これまで以上に厳しい感染症対策が求められています。特に国による緊急事態宣言および東京都による緊急事態措置期間中(令和2年4月7日~5月25日)は、各施設等において新たな感染症に配慮しつつ、利用者の日常をいかに守るか苦心し、工夫を重ねていた時期でした。
緊急事態宣言期間を中心に、福祉施設・事業所が未知の感染症にどのように向き合い、利用者の生活を守る工夫や取組みをしてきたのかを発信していきます。
今回は、保育園と児童養護施設を取材しました。
*今回、紹介する事例のさらに詳しい内容は、本会の「ふくし実践事例ポータル」でご覧になれます。
(http://fukushi-portal.tokyo/)

子どもにとって今しかない
一年を大切に
〜目黒区立目黒本町保育園
目黒区立目黒本町保育園は、昭和56年に設置された公設公営の認可保育園です。0歳から年長児まで定員99名の乳幼児を保育しています。
区の方針に基づく利用制限や休園
都内では、感染拡大や国の各種要請等の状況をふまえ、3月以降、各区市町村の判断で、保育園の休園等の対応がとられました。目黒区では、区の方針を決める「特別事態緊急会議」の決定事項が、保育課を通じて随時、認可保育園に通知されました。
まず3月10日に、主に在宅勤務中や育児休業中の家庭等を対象に、「登園自粛要請」が出されました。次いで緊急事態宣言下の4月8日からは、区民生活や社会機能の維持に必要な業務への就業家庭やひとり親家庭等以外の方の登園を控えてもらう「利用の制限」期間とし、その後4月22日から5月25日までは「休園」となりました。休園期間中も、特定の職業に就く家庭や事情のある家庭等に限定し、申請の上で「特別保育」が行われました。緊急事態宣言解除後は利用が段階的に緩和され、6月19日に通常保育に戻りました。
同園では、区から対応方針が示される都度、速やかに各家庭へ電話で知らせました。園長の成川良子さんは「感染への不安や緊張もある中、外出自粛で閉じこもる生活で親子のストレスの高まりを懸念していた。電話で直接保護者と話し、家庭の状況を伺い知れたことは、家庭と園双方の安心につながった」と言います。
休園により約1か月、長い家庭では約3か月ぶりに登園した子どもたちは、体力面には若干の低下が見られましたが、保育士たちが驚くほど、穏やかで落ち着いていたそうです。成川さんは「子どもたちには『友だちと会える嬉しさ』と『のびのび遊べる解放感』、また、家庭の安定した環境で長く過ごせたからか『満たされた安心感』が見えた」と言います。
なお同園では、休園期間中も約10人が特別保育を利用しました。
感染症対策の徹底
子どもは特に感染症の影響を受けやすいため、同園では日頃から感染症対策を徹底しています。しかし新型コロナについては「当初は正確な情報が少なく、子の密集が避けられない中、手探りの状態だった」と成川さんは言います。区の園長会での情報交換に加え、区からもガイドラインが示されるなど、対策は徐々に構築されていきました。
現在同園では、子どもや保護者、職員の毎日の検温や手指消毒を徹底し、保護者には送迎時、廊下での密集を避けるため、テープで示した立ち位置を守る依頼等をしています。
また「使用した玩具は最低でも一日に一度は消毒する」「園庭を利用するクラス数を限定する」「会話が盛んになる幼児クラスでは、給食時に机に透明な衝立を置き、他クラスでは対面にならないよう座席を配置する」などの対応を徹底しています。
特に、毎日の玩具の消毒には人手も時間もかかりますが、職員総出で分担し確実に行っています。「業務負担が増え、感染を持ち込まないよう緊張が続く中でも、職員の保育への意欲を下げないようフォローしたい」と成川さんは言います。
直接、保育方針や子の様子を伝える懇談会等が実施できない今、園内の掲示を増やし、保護者に細かく現状を伝えることも心がけています。
その年齢にしかない経験を大切に
園の行事については、3月の卒園式は短縮の上で実施した一方、入園説明会や保育参観など2年度上半期分の多くを中止、見直しとしました。今後は最大限の配慮の下で実施する方法を探っており、10月の運動会は各学年の入れ替え制で実施予定です。
成川さんは「子どもの1年は貴重でその年齢にしか経験させてあげられないことがある。できうる方法を考えることは、その行事や活動の本来の目的を見直す機会にもなり、多くの気づきも得ている」と言います。
保育園は社会に必要な存在
コロナ禍で改めて保育園の役割への理解が高まった面もあります。成川さんは「近隣の方には温かく迎えていただいているが、散歩や公園遊びへの批判や騒音の苦情も受けた経験がある。保育園や保育士の仕事が社会に十分理解されるよう、今後も対応していきたい」と語ります。

子どもたちが生活に楽しみを
持てるよう支える
〜(社福)六踏園 品川景徳学園

品川景徳学園は、昭和28年に開設され、平成22年から社会福祉法人六踏園が運営する児童養護施設です。現在、未就学児から高校生まで45人(一時保護児を含む)が生活しています。
児童養護施設の形態は多様ですが、同学園は男女混合、年齢縦割の小舎ユニット制です。3階建ての児童棟の各階を「寮」と呼び、各寮16人が暮らしています。寮ごとに更に8人ずつ2グループに分かれて生活しています。各寮の担当職員7人が交代勤務で、子どもの生活を支えます。
学校一斉休校で突然長期休みに
国の一斉休校の要請を受け、品川区では、3月3日から5月31日まで学校が休校となりました。同学園園長の髙橋朝子さんは「突然休校となり、子どもにも職員にも不安や負担が大きかった」と振り返ります。
同学園では、毎日の消毒や検温等を徹底し、感染防止対策をしています。また、大人数での接触を減らすため、児童棟内のグループを超えた子ども同士の行き来や、事務室や調理室がある事務棟への子どもの出入りは制限しています。体育館とグラウンドの使用時間も寮ごとに決め、外出も適宜制限するなどしました。
看護師の下森優奈さんは「日々、厚労省等の正確な情報を確認し、保健所や園の嘱託医にも連絡を取り、対応を決めてきた」と言います。髙橋さんは「児童養護施設では看護師必置とされていないが、ここでは看護師2名の専門的知識に基づき対策でき、大変心強い」と評価します。
子どものストレスや不安が高まる
日々触れる新型コロナの情報やさまざまな生活上の制限から、特に休校期間中は子どものストレスが高まりました。児童指導員の水口千聡さんは「学校に行けず友人や学園内の他寮の子とも会えなくなり、不安やイライラが見られた。感情は日頃顔を合わせる寮の担当職員にぶつけられ、子ども同士の喧嘩も多くなった」と言います。そのため、身体を動かし楽しみを取り入れる余暇支援を行い、寄り添うよう心がけました。
5月には、学校から授業を先取りするような宿題や課題も多く出されたため、園では生活の時間割を決めて対応しましたが、子どもたちの勉強面での負担も大きい状況でした。
また、高校生はアルバイトに行けず、新入学の子は新しい友達ができないなど、多くの影響がありました。
組織の意思決定のしくみの見直し
学園では、支援内容を中心に、職員全員参加の会議等によりボトムアップで意思決定をしています。
しかしコロナ禍では接触を避け、各寮の代表職員が、寮の子どもや職員の意見を持ち寄り、検討しました。里親支援専門相談員の首藤文一さんは「寮代表の役割が大きくなり、数人で方針を決めることに戸惑いが見られた。検討経緯の全員共有も難しくなった」と言います。今後、学園の意思決定や意見集約のしくみ等について振り返り、検討する予定です。
食事で生活の楽しみを模索
食事は生活の土台であり、大きな楽しみの一つです。同園では、調理員が寮で子どもと会食したり、調理室に子どもが出入りして一緒に食事をつくるなどしてきました。栄養士の岡崎典子さんは「調理室は『第2の保健室』のような場。寮の職員には話せないことを調理員と話したり、寮に居づらい子が来たりと、子どもにとても近い存在」と言います。
しかし3月以降は、仮に調理員が感染すると食事提供できなくなる危機感から、やむを得ず調理室への子どもの出入り等を中止しました。
岡崎さんは、「子どもと直接関われない中、調理室として少しでも楽しみを増やせるよう、お弁当の形で食事提供する『お弁当給食』を始めた。今後も工夫していきたい」と言います。「お弁当給食」の日は寮の職員も協力し、季節に合わせた演出等を工夫して、盛り上げています。
園長の髙橋さんは「これまでの気づきを大切に、子どもにも職員にも更に安心感を持てる対応を考えたい」と語ります。

目黒区立目黒本町保育園内
(掲示を増やして日々の様子を伝える。廊下には立ち位置をマークで示す。)

品川景徳学園の
職員の皆さん

 

 

【東社協発】

在宅やオンラインで施設のボランティア

東京ボランティア・市民活動センターでは、1980年から毎年、地域のボランティアセンターと連携して『夏の体験ボランティア』キャンペーン(通称、夏ボラ)を実施しています。しかし、今年度は新型コロナウイルスの感染予防のため、やむなく中止としました。
ところが、福祉施設の方から「ボランティアが来なくてさみしい」といった声が寄せられ、夏ボラをはじめさまざまな事業で連携している福祉施設やNPO団体の方と「何かできないか」と相談し、在宅やオンラインでできる「夏のリモート・ボランティア2020」を企画しました。プログラムは8つ実施し、未就学児から70代まで、延べ730名以上の方の参加がありました。その中から在宅やオンラインで実施した施設でのボランティア活動をご紹介します。
一つ目は、高齢者施設へ暑中見舞いや残暑見舞いを書くボランティアです。学生を中心に大人から子ども約370名以上が参加。元気が出るような絵やメッセージを届け、施設からは「素敵なお便りに施設の中に明るい空気が流れた」と喜んでいただきました。
二つ目は、高齢者施設とオンライン(Zoom)でつながり、特技を披露するボランティアです。パソコン画面の出演者を施設のスクリーンに映し、デイサービスの利用者の方がピアノ演奏を聴いたり、踊りを一緒に楽しみました。利用者の方からは「ピアノが上手だね」「子どもたちの踊りがかわいかった」、職員の方からも「久しぶりのレクリエーションのボランティアでうれしかった」という声をいただきました。
リモート・ボランティアのよいところは、直接施設へ行くことができなくてもできること、またオンラインでつながることができれば、お互いの顔を見ながらコミュニケーションが取れることです。これからの季節であれば年賀状のボランティア、レクリエーションの時間やイベントにオンラインでのボランティアを取り入れてもよいかもしれません。
福祉施設では日々、新型コロナウイルスの感染予防に取り組みながら利用者の生活を支え、気の抜けない大変な毎日が続いています。東京ボランティア・市民活動センターでは、コロナ禍であっても利用者の方や職員へ元気を届ける機会として、今後もリモート・ボランティアを広げていくことができるよう、取り組んでいきます。

絵やメッセージでエールを届けました

特技ボランティアにはなんと!海外からも参加

 

 

【東京の寄附のカタチ】東京善意銀行への寄附をご紹介します。(不定期掲載)

JR東日本有楽町駅の有楽大黒
駅の中のパワースポットが福祉の支えに

創立110周年を迎える有楽町駅。その日比谷口に鎮座する有楽大黒は、70余年の由緒あるパワースポットとして利用客に親しまれています。
「大黒様は駅の大切なシンボル。お参りの供物も多く、中には装飾を無償で申し出るお客さまもいるほど」(駅長 富塚幸雄さん)
変貌著しい都会の中で、昔のままの微笑みをみつけて歩みを止める人は絶えません。
有楽町駅のご厚意により、有楽大黒の浄財は、東京善意銀行にご寄附をいただいています。

有楽大黒の前で話す駅長の富塚幸雄さん(右)と副駅長の山田宏美さん(左)

東社協東京善意銀行では、社会福祉施設等への寄附のご相談を承っております。
●千代田区神田駿河台1-8-11 東京YWCA会館3階
☎03-5283-6890 zen-i@tcsw.tvac.or.jp

 

 

【囲み】

10月1日より
赤い羽根共同募金が始まりました

今年も10月1日から赤い羽根共同募金運動が始まりました。共同募金に寄せられるご寄附金は、民間の社会福祉施設、地域のボランティアグループ、NPO団体、社会福祉協議会などが行うさまざまな社会福祉活動、コロナ禍で顕在化する福祉課題に役立てられます。
赤い羽根共同募金運動にご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

共同募金運動期間
10月1日~令和3年3月31日
*東京都共同募金会ホームページ
http://www.tokyo-akaihane.or.jp/

 

 

【福祉のおしごと】

経験を活かし、
多角的に支援していきたい
自立支援センター(※)で主任生活指導員として働く肥後盛朝さんに、
仕事のやりがいや大切にしている姿勢について、お話しいただきました。

直接人の役に立つ仕事がしたい
大学を卒業後、16年程IT業界で働きました。納期に追われ、徹夜続きで仕事するなど、プライベートな時間はありませんでした。30代後半になり、体力的にも辛くなり、会社を辞めました。再就職しようと思った時、これまでは企業の売上のために働いてきましたが、ノルマや納期がなく、直接人の役に立つ仕事がしたいと思いました。そこで分かりやすく思いついたのが福祉業界でした。ここで初めて福祉に関心を持ち、資格や実務経験不問だった自立支援センター文京寮(当時)に応募したのがこの分野で働き始めたきっかけです。

多角的な視点から支援する
自立支援センターは、家やお金に困っており、就労意欲のある方を対象に、6か月間住みながら、仕事や家を探し、自立をめざすための施設です。現在、私が配属されている荒川寮は今年の7月に単身男性専用として開設したばかりですが、現在30名弱の方が入寮しています。
肩書は生活指導員です。生活に関する相談を聞いたり、体調が悪い人には通院を促したりと、6か月という限られた時間の中で幅広く利用者さんを支援するのが仕事です。
6か月で自立をめざす施設なので、利用者さんが苦労しながらもアパートを契約して自立していく姿を見るのは充実感があります。紆余曲折を経て部屋の契約まで行えたある知的障害のある利用者さんのことも印象に残っています。自立に向けて時に厳しく、時に励ましながら支援していく中で、相手の気持ちを分かろうとすることが「伴走して支援していく」ということなのだなと思いました。
支援の姿勢としては、多角的に、客観的に、柔軟に支援することを意識しています。利用者さんから一見難しいことを相談された場合にも無下に否定するのではなく、それを達成するためにはどのようにすれば良いか、いろいろな視点から考えることは支援の基本ではないかと思うからです。この姿勢は前職で、クライアントの要望に応えるためにはどうすれば良いか、常に考えていた経験が活かされていると思います。

これまでの経験が支援に活かされる
入所される方の中には、長く路上生活をされていたことから、仕事探しやお金の管理に慣れていない方もいます。
利用者さんの相談にのる時など、想像以上に、これまでの自分の人生経験を活かすことができると思いました。
例えば、前職を辞める時、貯金がなく、税金を滞納してしまった時期がありました。その時は分割の交渉をして、2~3年かけて払いました。このような経験や引っ越し、転職活動などの経験を利用者さんに話すことで、力になれることを実感しました。
また、同僚が働きやすい環境をつくることも意識しています。福祉の仕事は支援者にある程度心と体に余裕がないと支援できません。前職の経験を活かし、管理表の見直しなど業務効率化の提案をしたり、「無理していない?」「手伝うよ」といった声かけを意識的にしています。職場の同僚がいかに気持ちよく働けるかという環境の改善もやりがいにつながっています。

相手の立場に立つことが大切
福祉業界で働き始めた当初は、福祉の専門知識や「業界の一般常識」とされる専門用語に戸惑いを覚えました。しかし、利用者さんや同僚と接するうちに、相手の立場に立って自分の言葉で分かりやすく伝えることも大切なのではないかと思うようになりました。経験を積んで自信がついてきたのだと思います。
自分のわずかな経験が活かせるこの仕事は天職かと思うほどぴったりです。これからも利用者と直接向き合って、職場の仲間と共に多角的に、柔軟に支援していきたいと思います。


肥後盛朝さん
Moritomo Higo
社会福祉法人有隣協会
自立支援センター荒川寮
主任生活指導員

利用者さんと話している様子

※平成12年度に東京都と特別区(23区)は「路上生活者対策事業に係る都区協定書」を結び、共同で路上生活者対策に取り組んでいる。
その一環として、自立支援センターは23区を5つのブロックに分け、ブロック内の各区に5年ごとに交代で1か所ずつ設置される。

 

 

【アンテナ】〈9月30日(水)時点の情報です。感染症拡大防止のため、イベントが中止になる可能性があります。詳細は各団体にお問合わせください。〉

助成金

令和3年度キリン福祉財団助成金
(1)「キリン・地域のちから応援事業」
~福祉向上で地域を元気にする活動を応援するプログラム~
連絡責任者が令和3年4月1日現在満20歳以上で、4名以上のメンバーが活動する下記(1)~(4)のいずれかの事業を実施する団体・グループ
 (1)子ども・子育て世代の福祉向上に関わるもの(2)シルバー世代の福祉向上に関わるもの(3)障害や困りごとのある人・支える人の福祉向上に関わるもの(4)地域やコミュニティの活性化に関わるもの 上限30万円

(2)「キリン・福祉のちから開拓事業」
~全国や広域にまたがり長期的な視点で福祉の向上を目指す団体を応援するプログラム~
連絡責任者が令和3年4月1日現在満20歳以上で、10名以上のメンバーが活動する下記 (1)~(4)のいずれかの事業を実施する団体・グループ
(1)障害者の福祉向上に関わるもの(2)高齢者の福祉向上に関わるもの(3)児童・青少年の福祉向上に関わるもの(4)地域社会の福祉向上に関わるもの 上限100万円

(1)、(2)共通
10月31日(土)消印有効 所定の申請書類に必要事項を記入し郵送 (公財)キリン福祉財団事務局 〒164-0001 中野区中野4-10-2 中野セントラルパークサウス
03-6837-7013
https://www.kirinholdings.co.jp/foundation/subsidy/
「外国人材の受け入れと日本社会」
助成プログラム
11月21日(土)23時59分 5つの課題についての調査・研究を行い、かつ助成期間中に、その課題解決や状況改善に向けた仕組みや制度の構築等、実践に取組むプロジェクト ※個人のみの応募は対象外 500万円〜1,000万円程度 ホームぺージより応募エントリーのうえ、所定の企画書をアップロード (公財)トヨタ財団 特定課題「外国人材の受け入れと日本社会」
03-3344-1701
migration@toyotafound.or.jp
https://www.toyotafound.or.jp/special/
2020/migration.html
2021年度助成事業
11月27日(金)消印有効 1年以上の活動実績を有する非営利団体(法人格の有無は問いません)が、令和3年4月1日から令和4年3月31日までの間に、実施を予定している公益に資する事業 分野によって助成額が異なるため、詳細はホームぺージにて 所定の申請書類に必要事項を記入し郵送。また、必要事項を記入した助成申請書のデータ(Excel文書)を別途メールで送付 (公財)大阪コミュニティ財団 〒540-0029 大阪市中央区本町橋2-8 大阪商工会議所ビル5階
06-6944-6260
info@osaka-community.or.jp
http://www.osaka-community.or.jp/


その他

木ノ下歌舞伎
『糸井版 摂州合邦辻』
10月22日(木)~10月26日(月) あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター) 一般4,500円、障害者割引3,500円、豊島区民割引4,000円、U24(24歳以下)2,250円 劇作家・演出家・音楽家の糸井幸之介と、木ノ下歌舞伎によるダイナミックな音楽劇
【観劇サポート】対象日程:10月25日(日)12時
■みえない・みえづらい方へ
(1)鑑賞を補助する音声ガイドの利用可 (2)希望者には東京メトロ有楽町「東池袋駅」からの送迎 (3)「触れる客席図」の用意
■きこえない・きこえづらい方へ
(1)鑑賞を補助する字幕タブレットの利用可 (2)赤外線携帯機器による磁気ループ/骨伝導ヘッドホンの利用可 (3)当日受付に手話通訳者が常駐 あうるすぽっと(豊島区立舞台芸術交流センター) 〒170-0013 豊島区東池袋4-5-2ライズアリーナビル2F
03-5391-0751
https://www.owlspot.jp/events/perfor
mance/post_175.html
第10回 杉浦地域医療振興賞
12月31日(木) 正賞として記念品を授与するとともに副賞として200万円を贈呈 住み慣れた地域で安心して、その人らしく住み続けることを支援する活動を行った研究者、専門職(医師、歯科医師、看護師、薬剤師、介護福祉士等)、その他(自治体、NPO、ボランティア等)の方で、全国に波及する可能性を有する活動を行っている団体・個人。但し、その活動が現在も継続しているものに限る 所定の申請書類に必要事項を記入しホームぺージにて応募 (公財)杉浦記念財団事務局 〒474-0011 愛知県大府市横根町新江62-1
0562-45-2731
info@sugi-zaidan.jp
https://sugi-zaidan.jp/

 

 

【資料ガイド】

施策・会議資料
■第1回 職場適応援助者養成研修のあり方に関する研究会(資料)(厚生労働省/8月)
■令和2年度 東京都地域活動に関する検討会(第1回)(都生活文化局/8月)
■子ども家庭福祉に関し専門的な知識・技術を必要とする支援を行う者の資格の在り方その他資質の向上策に関するワーキンググループ(第5回)資料(厚生労働省/9月)
■保育の現場・職業の魅力向上検討会(第6回)資料(厚生労働省/9月)
■第25回社会保障審議会統計分科会資料(厚生労働省/9月)
■令和元年度「生涯学習を通じた共生社会の実現に関する調査研究」報告書(文部科学省/9月)
■災害に強い首都「東京」形成ビジョン 中間まとめ(国土交通省・都都市整備局/9月)

調査結果
■学校基本調査―令和2年度(速報)結果の概要―(文部科学省/8月)
■21世紀出生児縦断調査(平成13年出生児)第18回調査(文部科学省/8月)
■統計トピックスNo.126 統計から見た我が国の高齢者(総務局/9月)
■令和元年「乳幼児等に係る医療費の援助についての調査」(厚生労働省/9月)
■令和2年 国の機関における障害者任免状況の集計結果(厚生労働省/9月)
■国の行政機関の障害者の採用・定着状況等特別調査の集計結果(20/6/1現在)(厚生労働省/9月)
■令和2年 敬老の日にちなんだ高齢者人口(推計)(都総務局/9月)
■令和元年(2019)人口動態統計(確定数)の概況(厚生労働省/9月)

 

 

【くらし】

卒業式も入学式もできるか心配だった

令和2年2月27日、政府は新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染リスクに備える観点から全国全ての小中学校、高等学校、特別支援学校について、3月2日から春休みまで臨時休業を行うよう要請しました。そのような状況の中で、小学校の卒業を迎え、中学校に入学したYさんに一斉休校中のお話を伺いました。

「休校」と聞いてびっくりした
2月28日の帰りの会で、担任の先生から「明日から学校はお休みです」と話がありました。私はびっくりして「卒業式はどうなるんだろう」と不安になりました。友達も「えー!」「うそ!」と驚いていました。登校日があると言われましたが、クラスの中で半分ずつに分かれて登校するので、次に会うのが卒業式という友達もいました。別の中学校に行く友達もいたので、さみしくなりました。帰りの会のあと、先生が白い大きな紙を配ってくれたので、みんなで寄せ書きをして下校しました。
習い事やクラブもお休みになりました。私は学校の金管バンドクラブに入っていて、卒業コンサートのために放課後たくさん練習していましたが、中止になると聞いて休校のこと以上に残念な気持ちになりました。
これまでとは違う卒業式
両親は仕事をしているので、休校中は学童をお休みすることにした妹と一緒に、近くに住んでいる祖母の家で過ごしました。新型コロナが怖いので友達とは遊ばないで、外出も控えました。宿題が終わってしまうとやることがなく、家の前で縄跳びをしたり、ゲームをやったり、友達とLINEしたりしていました。
卒業式はできるかずっと心配でしたが、マスクをして私たち卒業生と先生だけでやることができました。毎年とは違い、卒業証書授与と校長先生のお話だけで、短い時間で終わりました。保護者は校庭で待っていたので、卒業式が終わったら私たちも校庭に出て、休校前に練習していた歌をきいてもらいました。でも、卒業式は小学校最後の大切な行事だったので本当は両親にも見てほしかったです。
入学式が延期になった
春休み中も、なるべく外出しないようにしていました。3月の終わりにあるはずだった中学校の一日入学も中止になりましたが、入学式は4月にできると連絡が来たので楽しみにしていました。でも、緊急事態宣言が出たので延期になりました。入学式があるはずだった日は登校して、クラスが発表され、教科書と課題をもらっただけで帰りました。
入学式は5月にはできると聞いていましたが、さらに延びました。授業ができないかわりに、登校日に1週間の時間割分の課題がたくさん出たので、計画を立ててやりました。分からないことは、授業があれば先生に聞けるけれど、休校中は自分でやらなければいけなかったので大変でした。何回か電話で先生に質問をしましたが、会ったことがない先生もいたので気軽に質問できませんでした。
6月になって、やっと入学式ができました。学年を半分に分けて、人数を少なくして行われたので、保護者も体育館に入ることができました。卒業式を見てもらえなかった分、とてもうれしかったです。
クラスを半分に分けて分散登校が始まりました。校内ではマスクを着けないといけないので、友達同士でも気をつけていました。友達とは「今日の感染者は何人だろう」とか新型コロナのことを話すことが多かったので、「自分が感染したら、周りにうつしてしまう」と心配になることもありました。
普通の毎日がうれしい
6月中旬からは、通常登校と給食が始まりました。給食は向かい合わずに前を向いて話さずに食べるので、ちょっとつまらないです。初めての中間テストは中止になったけれど、その分、期末テストに向けてがんばって勉強しようと思いました。
一番楽しみだった部活が7月から始まりました。吹奏楽部に入部し、パートはファゴットになりました。個人練習はパートごとに教室に分かれてやり、合奏する場合は半分に分かれて全員が集まらないようにしています。練習は大変ですが、とても楽しいです。
期末テストも終わって、8月に短い夏休みがあったあと、2学期が始まりました。マスクを着け、毎朝体温をはかって、手洗いも続けています。運動会や部活のコンクールも中止になってしまいましたが、授業や部活があるという普通のことがうれしいです。早く新型コロナのことを心配しなくてもいい日が来てほしいです。でも今は気をつけながら、勉強や部活をがんばっていこうと思います。

 

 

【本】

NEW 社会福祉法人のための規程集
役員会等運営の実務編
本書では、社会福祉法人の役員会等の運営において実務担当者が迷いやすい点をわかりやすく整理し、実務の手順をフローチャートにまとめました。
また、定款細則等の規程や様式例を掲載し、担当者が実務の手引きとして使用できるよう作成しています。ぜひご活用ください。監修:小嶋正氏(弁護士)
◆規格 A4判/379頁 ◆発売日 2020.9.2
◆本体 4,000円+税

NEW 令和2年版 社会福祉法人会計の実務
第1編 月次編
本書は、平成29年8月に発行した「平成29年4月施行省令会計基準対応 社会福祉法人会計の実務」(第1編~第3編)の改訂版です。前版以降の改正点をふまえ、かつ今年度WEBを通じて開催予定の会計基礎研修に合わせて、従来の4分冊の形式から2分冊とし、改訂しました(「第2編 決算編」は令和3年2月頃の発行を予定しています)。
本書を会計担当者の疑問や不安の解消、より適正な会計データの作成にお役立ていただき、社会福祉事業の円滑な経営にご活用ください。
著者:宮内忍氏(公認会計士)、宮内眞木子氏(税理士)
◆規格 A4判/542頁 ◆発売日 2020.9.25
◆本体 6,000円+税

月刊「福祉広報」

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