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福祉広報 2020年11月 742号 テキストデータ

【表紙】

社会福祉NOW
運営適正化委員会
制度開始から20年

トピックス
体験を通じて、子どもたちに福祉の魅力を伝える
~世田谷区福祉人材育成・研修センター「夏休み介護体験」

【連載】コロナ禍でも日常を守るために ~緊急事態宣言期間を中心とした福祉施設・事業所の取組み~
子どもたちの『家』である乳児院での生活を守るために〜(社福)聖オディリアホーム 聖オディリアホーム乳児院
不安を少しでも軽減させ、日常生活を送ることができるようにする〜(社福)東京蒼生会 ポルテあすなろ

福祉職が語る
「命を救う」ための医療から、その人の「生活を支える」ための地域医療へ
医療法人社団つくし会 理事長 新田國夫さん

山梨県 甲州市

塩山にある甘草屋敷は
柿が軒一面に干してあることが有名で、
写真愛好家が関東一円から集まってくる。
庭先に干されたコロ柿は
むちっとして濃厚な甘味が魅力だ。。

 

 

【NOW】

運営適正化委員会
制度開始から20年

「運営適正化委員会」は、福祉サービス利用者の苦情などを適切に解決し利用者の権利を擁護する目的で、平成12年6月の社会福祉法改正後に全国でスタートしました。
東京都では、平成12年10月に設置され、20年が経過しました。
今号では、東京における「福祉サービス運営適正化委員会」について、相談内容から見えてきたことをお伝えします。

昭和26年の社会福祉事業法制定以来の、日本の福祉制度の大きな転換が図られた平成12年6月の「社会福祉基礎構造改革」から20年が経ちました。「利用者本位」「措置から契約へ」「多様な事業主体の参入」などが打ち出され、その後の福祉事業の展開に大きな影響を与えた改革でした。
前後して、介護保険制度が導入され、行政処分によりサービス内容を決定する措置から、事業者と対等な関係に基づき利用者がサービスを選択し、契約を結んでサービスを利用する制度が始まりました。
しかし、対等な関係を前提としているといっても、知識、情報量、交渉力などは利用者より事業者のほうが優位なため、利用者が不利益を被らないように「利用者保護のための制度」もあわせて創設されました。
その利用者保護の制度として、福祉サービスの利用を支援する地域福祉権利擁護事業(平成19年から「日常生活自立支援事業」の名称を使用)(※)とともに導入されたのが「苦情解決のしくみ」です。
運営適正化委員会とは
運営適正化委員会は、「苦情解決のしくみ」として、社会福祉法に位置づけられ、都道府県社会福祉協議会に設置されています。
社会福祉法第83条には、「福祉サービス利用援助事業の適正な運営を確保するとともに、福祉サービスに関する利用者等からの苦情を適切に解決するため、都道府県社会福祉協議会に、人格が高潔であって、社会福祉に関する識見を有し、かつ、社会福祉、法律又は医療に関し、学識経験を有する者で構成される、運営適正化委員会を置く」と規定されています。
この条文にあるように、運営適正化委員会には二つの役割があります。一つは、都道府県社会福祉協議会が区市町村社会福祉協議会等と協力して実施する「福祉サービス利用援助事業」(地域福祉権利擁護事業)について、福祉サービスの利用援助や、利用者の日常的な金銭管理や書類の預かり等が適切に運営されているかを調査し、助言・勧告する役割です(利用援助合議体)。
もう一つは、福祉サービスの利用者が、事業者とのトラブルを自力で解決できないとき、専門知識を備えた委員が中立な立場から解決に向けて仲介します。『事業者が誠意ある対応をしない』『更なる不利益を恐れ、苦情を言うこともできない』『問題があると思うが、どうしたら良いか分からない』などのご相談に、対応方法の紹介や状況の調査、解決に向けた調整などを行います(苦情解決合議体)。
東京では、「福祉サービス運営適正化委員会(以下、委員会)」の名称で東京都社会福祉協議会に設置されています。前述の二つの役割に公正・中立に対応するため、社会福祉法第83条に則った外部の有識者19名で構成され、東京都社会福祉協議会の他の活動から独立して運営されています。苦情には大学教授、弁護士、医師などの専門家が対応します。
安心して自立した生活が
送れるように
~地域福祉権利擁護事業の適切な運営確保
地域福祉権利擁護事業は、平成11年10月、介護保険制度の開始と合わせスタートした事業です。認知症、知的障害、精神障害などにより一人では適切に判断することが難しい人を対象に、契約に基づき、福祉サービスの利用に関する相談に応じ、その選択、利用について利用者自身の自己決定を支援することを目的としています。
現在、都内ではすべての区市町村で社会福祉協議会等が地域福祉権利擁護事業を実施し、契約件数は3千801件(令和2年8月末現在)にのぼっています。
「利用援助合議体」では、毎年、9~10か所の実施団体の現地調査を行い、個々の利用者の支援計画と実際の支援状況に齟齬はないか、利用者のモニタリングはできているか、ケースは正確に記録し適切に保管されているか、金銭管理は適切に行われているかなど、利用者への支援の充実と事故防止の観点から、支援面、運営面の問題点をきめ細かく掘り起こし、その改善に向けて、課題を提起しています。
増加する苦情相談から
見え隠れするもの
もう一つの「苦情解決合議体」では、利用者や家族からの苦情に対応し、利用者にとっての真の利益、権利擁護の観点から問題の解決に努めています。東京では、苦情対応の対象として、社会福祉法第2条に位置づけられた福祉サービスに加え、東京都からの要請を受け、認証保育所にも対応しています。
この20年の間に、福祉を取り巻く状況は大きく変わりました。特に障害分野では、平成17年に障害者自立支援法ができ、平成24年には障害者総合支援法となる中、サービスの供給量が増え、それに伴い相談も増え【図1】、現在では、相談数の7割を障害分野の相談が占めています。
相談者は、令和元年度には福祉サービスの利用者本人が7割近くを占め【図2】、 主訴を丁寧に確認しながら、事実関係を整理するとともに、今後の生活の安定につながる方策を考えて対応しなければならないケースが増えています。
また、福祉サービス提供主体が増加し、多様化する中で、利用者の特性への理解や配慮が足りず、職員の言動や丁寧な説明の不足によるトラブルが増えてきています。加えて福祉人材の確保が厳しい状況が、サービスの中止や縮小につながり、苦情となって表れています。【図3】
そして、本来、苦情の対応は、第一義的に事業者において適切に行うことが求められますが、第三者委員など苦情対応のためのしくみが未だ十分機能しているとは言い難い状況が相談からうかがえます。
相談者の中には、地域の中で孤立し、排除され、「心のSOS」を委員会の相談で訴える利用者や家族が少なくないことも昨今の状況です。
より身近な地域で
~3段階の東京独自のしくみ
東京都内における苦情対応のしくみは、3段階あります。まずは、事業者が設ける苦情受付窓口や第三者委員です。
しかし、苦情や不満を言い出しにくい場合や当事者同士では解決できない場合は、東京都独自のしくみとして設置されている「区市町村苦情対応機関」が対応します。東京では、利用者の身近な地域で苦情対応が迅速に行われ、苦情対応にとどまらず次の支援につなげていくことができる重要なしくみとして、区市町村が苦情対応の中心的な役割を担うことが期待されています。
区市町村段階において解決できない場合や地元では相談しにくい場合のために、委員会や東京都国民健康保険団体(介護保険サービスの苦情相談窓口)が設置されています。
多様で根深い苦情案件をひとつひとつ適切に解決するためには、委員会のような広域の紛争解決機関だけでは限界があるといえます。
コロナ禍の今、身近な区市町村苦情対応機関への期待は益々大きくなると思われます。委員会として、今後も行政や苦情対応機関をはじめ、地域のさまざまな機関や関係者と連携し、福祉サービスにおける地域に根差した権利擁護の体制づくりに寄与していきたいと考えます。

(※)東京では、事業創設の趣旨を大切にするため、現在も「地域福祉権利擁護事業」の名称を使用しています。

 

 

【トピックス】

体験を通じて、子どもたちに
福祉の魅力を伝える
▼ 世田谷区福祉人材育成・研修センター「夏休み介護体験」

令和2年4月、「世田谷区福祉人材育成・研修センター」(運営:世田谷区社会福祉事業団)が、小田急線梅ヶ丘駅近くに新たに整備された「世田谷区立保健医療福祉総合プラザ」内に移転しました。
同センターでは、世田谷区内の総合的な福祉人材対策推進のため、福祉人材の発掘・育成、定着支援、調査・研究等の事業を実施しています。平成19年のセンター開設当初より、高齢・介護分野を主な対象としてきましたが、今年度から障害分野や子ども・子育て分野、保健医療連携にも拡大しています。
現在、新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」)の感染防止のため、例年の事業手法を見直しながら、事業展開しています。特に、センターの中心的事業である福祉従事者向けの各種研修は、新たにWEBも活用した形で実施しています。日時・会場が決まった集合型研修よりも、事業の都合に合わせて参加しやすいことから、例年より参加者数が増え、受講生の評価も上々です。
次世代に向け、福祉の理解促進に力を入れる
センターの事業の枠組みの一つに「福祉の理解」促進があります。直接的な人材確保・育成だけでなく、区民に福祉の仕事の魅力を伝え、広く理解を促すことも重視しています。
中でも、子どもの頃のボランティア活動や福祉に関係するポジティブな体験が、将来の職業選択の際、福祉の仕事を選ぶきっかけにもつながる可能性があることから、次世代を担う子どもを対象とした事業にも力を入れています。これまで、小中学校等への福祉の出前出張講座を実施してきました。
令和元年度には、世田谷区内の特別養護老人ホーム20か所の協力で、小学3~6年生とその保護者向けの「夏休み親子介護施設体験」を初めて実施しました。センターでは企画、周知、申込み受付、体験先の調整等を行い、各施設がプログラムを用意し、約200人の参加がありました。
当日、施設では、参加した子どもと保護者に対し、施設の概要、職員の仕事や利用者の生活を紹介するとともに、専門的な介護技術や施設内に備える福祉機器の体験等を提供しました。
センター長の瓜生律子さんは「各施設が工夫を凝らして参加者を迎えてくれた。子どもたちからは『雰囲気が明るくて施設のイメージが変わった』『機械浴の設備に驚いた』等の感想があった。現場だからこそ得られる体験が提供できたと思う」と振り返ります。
なお、昨年度は3月にも、春休みの高校生を対象に「高校生介護施設バスツアー」を予定していましたが、新型コロナの感染拡大の影響でやむなく中止しました。
小学生親子・中学生・高校生を
対象とした「夏休み介護体験」
令和2年度は、新型コロナの影響を受け、特に学校生活等において、見学や外出など、子どもたちのさまざまな体験型の学習が制限されています。また、感染防止のため、福祉施設でも面会や見学、ボランティアの受入れができない状況にあります。
そこで、今年度の「夏休み介護体験」は、子どもたちが実体験できる場や機会を提供するとともに、新たなセンターの紹介も兼ね、感染予防策を講じた上で、センターを会場に実施することとしました。
対象は小学3~6年生とその保護者、中学生、高校生とし、年代別に受講日を設定しました。区内の全小中学校と8つの高校、公共施設等にチラシを配布して周知しました。8月中の7日間で全14回開催し、430人を超える申込みがあり、346人が参加しました。
当日のプログラムは、講義と体験の2部構成です。昨年度、各施設が趣向を凝らして実施した内容を参考に、介護の資格を持つセンター職員たちの創意工夫で、独自のプログラムとテキストを作成し、実施しました。
参加者は、世田谷区内の福祉関連の状況について説明を受けた上で、区内特養の協力で作成された施設内の様子や福祉機器(特殊浴槽やICT機器)の紹介、職員の仕事のやりがいの話などの動画を視聴しました。その後、車いす体験、介護ベッド体験、高齢者疑似体験を行いました。体験後は修了証が授与され、一瞬だけマスクを外して参加者全員で記念撮影を行いました。
参加者のアンケートでは、「車いすは道路で乗ったら前にすすみにくいだろうと思った」「介護ベッドは、介護する方とされる方、両方にいいと分かった」「身近にいる人(おじいちゃん、おばあちゃん)の目線になれた」「将来、介護の人になりたい」などの声がありました。小学生と一緒に参加した保護者からも「子どもが楽しんで福祉について学べた」「さまざまな人にとって暮らしやすい社会となるよう自分にできることを考えたい」等の感想がありました。将来の福祉現場での就職を考えた高校生もいたそうです。
今回の体験に参加した子どもたちは、さまざまな身体状況にある人の生活に想像をめぐらすとともに、介護技術や福祉機器の意義や働きを実感できたようです。また、小学生と参加した保護者にとっても、福祉に対する理解や関心がすすんだ様子が見られました。
来年度について瓜生さんは「コロナ禍が収まり、各施設で子どもたちが、高齢者や職員との交流ができることを願っている」と言います。新型コロナの状況に応じ、実施方法を工夫する予定です。
令和2年度は「福祉の仕事の魅力向上・発信」が調査・研修のテーマ
今年度はセンターとして「福祉の仕事の魅力向上・発信」をテーマに、取組みをすすめています。
センターが今年度実施した区内55か所の高齢・障害の事業所へのヒアリング調査では、「福祉の仕事の魅力向上・発信に必要なこと」として「将来を担う子ども世代への理解促進」(61・8%)、次いで「区民への理解促進」(45・5%)、ほか「高校生介護施設体験」「子育て終了、定年退職後の方への働きかけ」「福祉のしごと相談・面接会、出前講座」(各30・9%)の回答がありました。
瓜生さんは「福祉の仕事は、未だ『誰でもできる』『3K』のイメージが持たれている。現場の職員がやりがいや魅力を発信し、専門的な知識や技術に基づく仕事であり、また、人間の尊厳や生活の質を支える社会的に価値のある仕事であることをアピールする必要がある。併せて日常的な学びや研修等でサービスの質の向上を目指すことが重要。そのことを経営層にも伝えていきたい。それが中長期的に見て、福祉人材の確保につながっていく」と、サービスの質の向上と福祉の魅力を発信する必要性を語ります。
今後もセンターでは、コロナ禍においても実現可能な形をさぐりながら、研修や福祉の魅力の発信、理解促進につながる取組みをすすめます。

世田谷区福祉人材育成・研修センターホームページURL
https://www.setagaya-jinzai.jp/

センターが入る、世田谷区立
保健医療福祉総合プラザ

「夏休み介護体験」当日の様子

修了後の記念撮影
(小学生親子の回)

世田谷区福祉人材育成・
研修センター職員の皆さん

 

 

【連載】4

コロナ禍でも日常を守るために
~緊急事態宣言期間を中心とした福祉施設・事業所の取組み~

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、福祉施設・事業所には利用者の命・生活、職員の安心・安全を守るため、これまで以上に厳しい感染症対策が求められています。特に国による緊急事態宣言および東京都による緊急事態措置期間中(令和2年4月7日~5月25日)は、各施設等において新たな感染症に配慮しつつ、利用者の日常をいかに守るか苦心し、工夫を重ねていた時期でした。
緊急事態宣言期間を中心に、福祉施設・事業所が未知の感染症にどのように向き合い、利用者の生活を守る工夫や取組みをしてきたのかを発信していきます。今回は、乳児院と母子生活支援施設を取材しました。
*今回、紹介する事例のさらに詳しい内容は、本会の「ふくし実践事例ポータル」でご覧になれます。
(http://fukushi-portal.tokyo/)

子どもたちの『家』である
乳児院での生活を守るために
〜(社福)聖オディリアホーム 聖オディリアホーム乳児院

聖オディリアホーム乳児院は、昭和23年に開設されました。定員60名のうち、49名(10月6日取材時)の0歳から概ね2歳までの乳幼児が生活しています。
同院では、入所から退所まで同じ部屋で生活します。更に、子どもたち一人ひとりには担当保育者がおり、担当保育者不在時にグループ保育者が補佐する担当制グループ保育を行っています。
子どもたちにとって乳児院は『家』
「新型コロナに限らず、子どもたちは日頃からいろいろな感染症にかかるリスクがある。乳児院で感染症が発生する原因の中には、大人の持込みが考えられるため、職員は日頃から手洗い、健康管理の徹底などに取り組んでいる」と普段の感染症対策について看護主任の大庭美智子さんは言います。
新型コロナが感染拡大し始めてからは、これらの対応に加え、職員はマスクを着用し、マスクを外す食事の際には大声で話さない、事務所や調理職員が使用する食堂の机の配置を変えるなどの対応をとりました。
ただ、子どもが生活する上で密は避けられません。「例えば普段離乳食の介助をする時、『あむあむ』『ごっくんね』など、大人の口の動きを見せていた。それがマスクをすることで全く見えなくなってしまった。マスクを外すと感染のリスクがあるという情報がある中では外せる方法が見つからず、模索しているのが現状」と大庭さんは語ります。
施設長の鎌倉道子さんは「乳児院は子どもたちにとっては『家』。家庭ではマスクを外して、大人と一緒に食事をしたり、お風呂に入ると思う。しかし、乳児院は集団生活のため、マスクを外せない。もともと家庭に近い生活を、と意識して行っていたことが難しくなり、直ぐには解決策が見つからない」と難しい現状を語ります。
工夫しながら、日常に近い生活を
めざす
感染拡大し始めた2月頃、マスクなどの衛生用品が途端に手に入りにくくなりました。そのため、地域のボランティアや職員がマスクを手作りし、やりくりしました。
日頃から連携していた保健所や地域の医療機関等とは、感染拡大後も連絡を密に取り、対応を相談しています。
各部屋には新型コロナ対策ファイルを置き、2月頃から話し合ったことを記録したりと、変則勤務である職員の間で正しい情報が共有できるように工夫しています。
面会は、それまでは可能な限り多くの親子が直接会えるように受け入れていましたが、宣言期間中は中止とし、手紙と写真を送り関係を繋げる様配慮しました。宣言解除後は各室午前1組、午後1組として再開しました。
緊急事態宣言期間に入った後は、可能な職員は在宅勤務や時差出勤等を行いました。また、食事は施設内の調理室でつくっていましたが、調理職員の密集を防ぐため、弁当を外注する日をつくりました。これは例えば食中毒など調理室が稼働できない時の対応として想定していたことです。
子どもたちの日中の活動は、公園遊びや散歩等を中止とし、庭遊びに切り替えました。
ショートステイは区などと相談した上で、受入れ人数を縮小しながら継続しました。
里親は、通常は、施設内で子どもたちとたくさん交流してから外泊へとすすめていました。感染拡大後は、関係性を見極めて、これまでよりも早めに外泊へすすめる様にし、家庭訪問などで支援を継続しました。
乳児院はどんな時も動いている
副施設長の佐々木久美子さんは「当初、院外の会議が中止になり、他の乳児院の動きが見えない中で、難しさを感じることもあった。しかし、メールや電話で他の乳児院の対応や物品等の情報を収集できたことで、安心感が得られた。ただ、この状況がいつまで続くのか、先が見えない不安がある」と言います。
「乳児院は何があっても休止せずに動いている。職員も日々命を預かっている責任感を持って子どもたちに接している。覚悟を持ってこの事態に臨んでいる」と鎌倉さんは話します。

不安を少しでも軽減させ、
日常生活を送ることが
できるようにする
〜(社福)東京蒼生会 ポルテあすなろ

母子生活支援施設のポルテあすなろは、以前は公設民営の施設として運営していました。施設の老朽化により平成31年4月に改築移転し、民設民営の施設としてスタートしました。
定員は入所20世帯、緊急一時保護2世帯です。施設には保育室や学童室、学習室、トワイライトステイの部屋があり、そのほかに地域交流のための多目的室が3部屋設けられています。
仕事や登園・登校で施設への
出入りが常にある
移転後から徐々に入所する世帯数を増やし、新型コロナの感染が拡大しつつあった令和2年2月には15世帯が入所していました。施設長の白石誠一さんは「仕事や日常の買い物、登園、登校等で施設への出入りが常にある。お母さんたちには定例会の懇談の場で新型コロナに対する注意喚起を行ってきた」と話します。
感染症対策については、以前の施設が古く、トイレが共用だったことから、感染症対策が日常業務に組み込まれていたため、新型コロナに対しても日常の対策を継続しました。2月頃からは清掃担当者を採用し、日常清掃の中で消毒を任せています。
感染症対策のマニュアルは従来のものを準用し、そのうえで、法人の方針に沿って対応しています。
また、不足しがちなマスクや消毒液等の物品については近隣の店舗で購入したり、法人内の施設同士で調整し合いました。また、入所者とマスクづくり会の活動も行いました。
就労への影響と休校期間中の対応
4月から5月頃には「お母さんたちの就労にも影響が出てきた。気持ちが落ち込んでしまった方の相談に乗ったり、お話を傾聴していった」と白石さんは振り返ります。
職員についても、保育園に子どもを預けられない職員や妊娠中の職員はお休みとしました。その一方で、子どもたちの対応や、預かり保育を行う体制を確保する必要があるため、学生アルバイト等を採用しました。また、そのような状況の中でも実習生の受入れも行っていきました。
休校期間中の子どもたちには、施設内でストレスが溜まらないように、午後から学童室を開放して遊べるようにしました。そして、多目的室を学習塾のようにして学習時間を設け、学校の勉強もできるようにしました。
退所後のアフターケアについては、外出自粛が言われていたこともあり、電話で対応を行いました。
行事は施設の中でできる範囲で
毎年10月に行っていたバス旅行は中止しました。夏祭りなどの行事は縮小し、外部の人は招かず、施設内部のみで感染症対策を講じたうえで行いました。
行事以外に、施設内でやりたいことを入所者に聞いたところ「"台湾カフェ"をやりたい」という意見があがったので、お茶会を開きました。白石さんは「発案したお母さんが主催者になった。お母さんたちのやりたいことや気持ちを引き出していくことの大切さを改めて感じた機会だった」と話します。
地域との交流もストップ
ポルテあすなろでは多目的室を地域団体に貸し出しています。子育て支援団体が行う事業には、入所中の子どもたちも参加することができるなど、施設との連携も考えて貸し出しています。しかし、感染拡大の影響により、こうした活動はできなくなりました。この状況に「活動が止まると、地域の子どもたちも困ってしまう」と白石さんは強調します。7月頃より、感染対策をしたうえで施設を活動に使えるように準備して、NPO団体が主催する地域食堂を8月には再開しました。また、夏休み中には地域団体から子どもたちに無料で昼食弁当の提供を受けました。
日常生活を止めないために
今後の課題について、白石さんは「災害時にも通じるが、物品の事前準備の必要性を改めて感じた。普段からどの程度ストックしておくか、置き場所をどうするかなどを検討していきたい」と言います。
また、「母子生活支援施設は生活の場。感染の不安は常にあるが、不安を少しでも軽減させ、日常生活を送ることができるかを常に考えて動いていきたい」と話します。

[聖オディリアホーム乳児院]
在宅勤務中に職員が
手作りしたおもちゃ

[ポルテあすなろ]
多目的室の天井から
ビニールシートを下げたり、
アクリルパネルを置くなどして
感染症対策を行っている

 

 

【福祉職が語る】

「命を救う」ための医療から、
その人の「生活を支える」ための地域医療へ
新田國夫 Kunio Nitta

大学病院等の救急救命センターを掛け持ちする外科医が私の医師としてのスタートでした。脳卒中やがん患者さんの「命を救う」ために手術をし、術後の治療にあたっていました。経管栄養やバルーンカテーテル、点滴の投与といった大病院ならではの治療を行い、容体がある程度安定したところで退院です。当時の医療現場では【早期退院】がキーワードでした。私は、退院していく患者さんたちが、退院後にどのような生活をしていくのかを気にしながら、日々治療をしていました。
その後、大学病院ではなく、もっと地に足をつけて地域医療に取り組みたいと思い、平成2年に国立市で【新田クリニック】を開院しました。
他の病院を退院したての患者さんが来院すると、私は、その患者さんが自宅でも入院中と同等に近い療養ができるようにさまざまな手配をして、家族や周囲の方たちに療養の指導をしました。開院当初1~2年は、どこにいても同じレベルの医療を提供することが重要だと思っていました。今思うと家族の方たちにとても大きな負担をかけていたのかもしれません。
在宅療養の高齢者と
向き合って
一人ひとりの症状が違うように、一人ひとりの暮らしも違います。日々、多くの高齢の患者さんを診療していく中で、在宅医療では、治療するだけではなく、その患者さんの「生活を支える」ための医療を提供することが必要だと思いを深めました。むしろ、治療の優先が患者さんの生活の質を落とすことに気づいたのです。
開院時から在宅訪問診療も行っています。在宅で生活している多くの認知症の患者さんを診る中で、認知症の初期から終末までの関わりも数多く経験しました。
在宅で生活する認知症の方たちを支援するため、平成9年に地域の社協の協力の下で、市内の古民家を借りて「つくしの家」を開設しました。つくしの家は、数名の認知症の方たちが日中に来てそこで過ごし、夕方には家に帰る、今でいうデイサービスのようなものです。毎日6~7名の方がお手伝いをしてくれていて、つくしの家でそれぞれの時間を、その人なりに過ごしてもらうために支えます。
当時の認知症の方に対する医療は、周辺症状(BPSD)を抑えるための薬物治療が中心でした。つくしの家に来ている認知症の方たちにもBPSDはありましたが、つくしの家で過ごすうちに徐々にBPSDが改善して、投薬を減らすことができました。さらに、表情が豊かになり会話もできるようになっていきました。私は、支援者が生活を支えることで認知症の症状が消失し家族の負担も軽減することを知り、在宅医療にとって生活支援は必要不可欠なものであることを学びました。介護保険開始前のことです。
医療と介護の連携
(介護職員スキルアップ研修への期待)
その後、地域の介護事業所や医療関係者とともに、在宅医療に関する学習会を重ねて、医療と介護の連携の重要性を共有する取組みに尽力しました。
平成12年に介護保険制度がスタートし、現在では多くの介護職が高齢者の生活を支えています。
介護職は、日常生活の支援の中で、その高齢者の心身の変化にいち早く気づくことができます。高齢者の身体の特徴や、高齢者に多い疾病の概要、健康状態の観察方法や医療介入の必要性などを学ぶことによって、日常の介護をより安全で質の高いものにするとともに、適切に医療職等と連携することができます。
介護職がこういったことを学ぶ場として、東社協では、東京都福祉保健局から委託を受けて【介護職員スキルアップ研修】を行っています。東京都医師会も全面的に協力し、私もカリキュラムづくりから関わり、講師の一人として毎年参加しています。
一人ひとりの職員のスキルアップを図るだけでなく、職場全体の支援の質を高めることをめざしています。介護関係者の皆さんには、こういった研修を積極的に活用していただきたいと思っています。
看取りについて考える
人の死の判定は医師の役割です。だからといって死は医療職が独占するものではありません。介護職の方たちにとっても、看取りは大きなテーマです。
最期をどこで迎えるか、医療の選択はどの様に考えるのか、家族の思いはどうなのか、そこには多くの選択肢があります。すぐに結論が出る問題ではないため、本人の日頃の言葉や思いから感じ取ったことを記録し書き綴り、本人の思いを尊重し家族がその思いを実現できるとよいと思っています。日常生活の支援の中に、こういったACP(アドバンス・ケア・プランニング)の視点を取り入れることが大切です。
看取りには「学び」と「経験」が必要です。介護職の方たちも、死について学ぶことを意識し、デス・カンファレンスを取り入れるなど、看取りの体験を共有して今後の介護に資する、といったスキルアップに努めてもらいたいと思います。

〈経歴〉
1967 早稲田大学第一商学部卒業
1979 帝京大学医学部卒業
帝京大学病院第一外科・救急救命センターなどを経て
1990 東京都国立市に新田クリニック開設 在宅医療を開始
1992 医療法人社団つくし会設立 理事長に就任し現在に至る

〈資格・公職等〉
医学博士、日本外科学会外科専門医、日本消化器病学会専門医、
日本医師会認定産業医
一般社団法人 全国在宅療養支援医協会会長
日本臨床倫理学会理事長
NPO法人 福祉フォーラム・東北会長
NPO法人 福祉フォーラム・ジャパン副会長
日本在宅ケアアライアンス議長

 

 

【マンスリー】

福祉のできごと
2020.9.26-10.25
※対象期間外のできごとを掲載させていただく場合もあります

10/1
「介護現場における感染対策の手引き(第1版)」を公開
厚労省は、介護現場で必要な感染症の知識や対応方法等、新型コロナウイルス感染症に限らず、介護現場における感染症への対応力の向上を目的として、「介護現場における感染対策の手引き(第1版)」を取りまとめた。介護職員は、日常のケアを行う上での必要な感染対策の知識や手技の習得のため、介護施設・事業所の施設長・管理者は、その役割と感染管理体制の構築のための手引きとして活用することが想定されている。

9/23
「東京2020パラリンピック競技大会」
特設サイトを開設
日本パラリンピック委員会は、「東京2020パラリンピック競技大会」特設サイトを開設した。大会や日本代表選手団の情報を随時更新していく。東京2020パラリンピックは令和3年8月24日~9月5日までの13日間にわたって開催される予定。
〈東京2020パラリンピック競技大会特設サイト〉
https://www.jsad.or.jp/paralympic/tokyo2020/

9/30
東京しごとセンターに
「専門サポートコーナー」を開設
東京都は、就労を希望しながらも、障害や、社会的・経済的その他の事由により就労することが困難な方を対象に「専門サポートコーナー」を東京しごとセンターに開設した。支援計画の作成、自立支援やパソコンスキル等のプログラムの実施、独自開拓による求人紹介、就労後の定着支援等、きめ細かい支援で就労をサポートする。

10/1
「東京都犯罪被害者等見舞金給付制度」を開始
東京都は、令和2年4月1日以降に傷害など故意の犯罪行為により死亡した被害者遺族または重傷病を負った被害者を対象に「東京都犯罪被害者等見舞金給付制度」を開始した。犯罪被害者等が被害後に直面する経済的な負担を軽減し、日常生活や社会生活等の早期回復を図ることが目的で、遺族には30万円、犯罪行為によって身体の負傷を負った被害者本人には10万円の見舞金を給付する。

10/1
東京都ひとり親家庭支援センター
「はあと多摩」を開設
東京都は、ひとり親家庭がより身近な場所で相談できるよう、これまで区部に設置していた拠点に加え、多摩地域に新たな拠点「はあと多摩」を開設した。ひとり親家庭からの生活や仕事に関する相談を受けるほか、養育費に関する相談や離婚前後の法律相談、面会交流支援、グループ相談会などを行う。

10/7
「第1回令和2年7月豪雨災害を踏まえた高齢者福祉施設の避難確保に関する検討会」が開催
厚労省と国交省は、令和2年7月に発生した豪雨災害での高齢者福祉施設における被害を受けて、被害の再発防止を図るため避難の課題を確認し、実行性を高める対応策を取りまとめることを目的とする有識者検討会を設置し、第1回を10月7日に開催した。

 

 

【東社協発】

WEB研修の受付を開始しました!

東京都福祉人材センター研修室(以下、研修室)では、10月から「収録型WEB研修」の受講受付を開始いたしました。

〈研修の主なラインナップ〉
職員採用(人事)担当者セミナー
管理職のための育成面談研修
リーダーシップ育成研修
メンタルヘルス講習会
施設長のための会計入門研修


WEB研修は、「見たい時に見られる」「繰り返し見られる」「移動時間がかからない」などの利点があり、各職場の状況に合わせて受講が可能です。
視聴期間は、研修により異なり、12月から順次開始いたします(事前申込制)。研修動画は東社協研修受付システム「けんとくん」上の「収録型WEB研修特設サイト」から見ることができます。
研修室が開催する集合型研修と併せてご活用いただき、福祉現場の組織力アップにお役立てください。

【お問合せ】
東京都福祉人材センター研修室
TEL:03-5800-3335
【申込み先】
東社協研修受付システム
「けんとくん」
https://www.shakyo-sys.jp/
kensyu/tokyo/


〔ふくむすび〕Twitter開設のお知らせ
~福祉人材と福祉職場をつなぐポータルサイト~

東京都福祉人材センターが東京都より運用を委託されている、福祉人材と福祉職場をつなぐポータルサイト「ふくむすび」のTwitterアカウントを、10月1日に開設しました。
「ふくむすび」では、東京都内の高齢・障害・保育など各分野の事業所情報や、TOKYO働きやすい福祉の職場宣言事業所の情報、福祉職場に関する研修・イベントなどのお知らせを掲載しています。福祉職場に関する情報を、より身近に感じていただけるよう、本サイトの更新情報をTwitterにていち早くお届けします。
今後も、広報によるサイトの認知度向上とコンテンツの充実に一層取り組み、福祉職場の魅力を発信していきますので、事業所情報の登録・更新に御協力お願いします。

▼詳細はこちら 
〔ふくむすび〕Twitterアカウント
https://twitter.com/tokyofukumusubi


〔ふくむすび〕
東京都福祉人材情報バンクシステム
https://www.fukushijinzai.metro.tokyo.lg.jp/

 

 

【アンテナ】〈10月30日(金)時点の情報です。感染症拡大防止のため、イベントが中止になる可能性があります。詳細は各団体にお問合わせください。〉

助成金

「連合・愛のカンパ」助成
11月30日(月)必着 新たに地域における「ふれあい・助け合い活動」を開始する任意団体、NPO法人、グループ、サークル等 上限15万円 所定の申請書類を記入し、必要事項を添付のうえ郵送 (公財)さわやか福祉財団 〒105-0011 港区芝公園2-6-8 日本女子会館7階 03-5470-7751
https://www.sawayakazaidan.or.jp/
2021年度 社会福祉助成事業
12月15日(火)消印有効 社会福祉関係者に係る研修事業または研究事業 上限50万円(助成対象経費の合計の80%以内かつ50万円以内) 所定の申請書類を記入し、必要事項を添付のうえ郵送 (公財)日本社会福祉弘済会 助成事業係 〒136-0071 江東区亀戸1-32-8 03-5858-8125
https://www.nisshasai.jp/fukusijyosei
jigyo/jyoseiyoukou-2021.html
障がい者支援の助成金
12月25日(金)消印有効 障がい者支援を行う、3年以上の継続した活動実績がある非営利団体等。かつ活動を実施する施設が関東地区の一都六県にある団体 [対象事業]1)障害者の社会参加を促す活動 2)障害者の理解を深める活動 3)福祉活動に必要な環境整備のための施設整備・備品等 上限30万円 所定の申請書類を記入し、必要事項を添付のうえ郵送 (一財)タチバナ財団 事務局 〒103-0007 中央区日本橋浜町2-56-1 03-6826-1070
http://www.t-group.co.jp/zaidan/guide/index.html
生き生きチャレンジ2020
福祉作業所助成事業
12月11日(金)必着 福祉作業所で、利用者を雇用して収益をあげ、雇用確保や賃金アップをめざす事業の設備投資費等(令和4年3月までに実施する事業が対象) 上限70万円 所定の申請書類を記入し、必要事項を添付のうえ郵送 (社福)読売光と愛の事業団 作業所係 〒100-8055 千代田区大手町1-7-1 読売新聞東京本社内
03-3217-3473
https://www.yomiuri-hikari.or.jp/


講座・シンポジウム

【オンライン(来場も可)】
生協総合研究所公開研究会
11月20日(金)13時半~16時 (1)オンライン:Zoom・ウェビナー利用(2)来場:主婦会館プラザエフ5階※(1)(2)いずれも要事前申込 無料 コロナ禍と生協~「生協らしいつながり方」の模索をテーマに活動報告、意見交換 ホームぺージ、FAXまたはメールにて (公財)生協総合研究所
03-5216-6025 03-5216-6030
ccij@jccu.coop
https://ccij.jp/activity/annai200918_03.html
【オンライン】2020 食でつながるフェスタ東京 全国集会
11月22日(日)10時~16時 無料 100名 コロナ禍の食育、助成の活用、活動方法や連携についての講演、調査報告、事例紹介ほか ホームぺージまたは電話にて (一社)全国食支援活動協力会 〒158-0098 世田谷区上用賀6-19-21
03-5426-2547
https://www.mow.jp/
【オンライン】第34回社会福祉実践家のための臨床理論・技術研修会
11月28日(土)13時~16時 無料 コロナ禍における本人と家族に対する支援の現状と課題〜いま、ソーシャルワーカーに求められる支援力〜をテーマに話題提供、グループワーク 原則、現在社会福祉の諸領域にて実践活動を行っている方 メールまたはFAXにて 11月23日(月)午後5時 明治学院大学社会学部付属研究所
03-5421-5204・5205 03-5421-5205
issw@soc.meijigakuin.ac.jp
http://soc.meijigakuin.ac.jp/fuzoku/consultation/execution-consultation/seminar/
【オンライン】訪問看護
フェスティバル
令和3年1月23日(土)13時~15時 無料 基調講演「訪問看護を基盤とした″まちづくり″」、公開質問会 ホームぺージにて※事前予約制 12月18日(金) (公社)東京都看護協会「訪問看護フェスティバル担当」 03-6300-5398
https://www.tna.or.jp/


その他

【オンライン】福祉機器Web 2020
10月21日(水)~12月末 無料 国際福祉機器展H.C.R.を基盤とするオンラインイベント(1)350社の企業・団体の、最新の福祉機器情報や関連情報(2)有識者などからの福祉機器や、福祉・介護に関わる最新レポート(3)H.C.R.併催イベント「国際シンポジウム」「H.C.R.セミナー」「特別企画」を代替するWebセミナー(ウェビナー) ホームぺージにて※一部に事前の参加登録が必要なものあり (一財)保健福祉広報協会 03-3580-3052
https://www.hcr.or.jp/information/news/
188051

 

 

【資料ガイド】

施策・会議資料
■第15回「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム(オンライン会議)資料(厚生労働省/9月)
■令和2年度全国児童福祉主管課長・児童相談所長会議資料(厚生労働省/9月)
■成年後見制度における市町村長申立に関する実務者協議資料(厚生労働省/10月)
■「今後の人材開発政策の在り方に関する研究会報告書」(厚生労働省/10月)
■「社会保障に係る資格におけるマイナンバー制度利活用に関する検討会(第1回)」資料(厚生労働省/10月)
■音声教材普及推進会議 令和2年度会議配布資料・説明動画(文部科学省/10月)
■義務教育9年間を見通した指導体制の在り方等に関する検討会議(第1回)配布資料(文部科学省/10月)

調査結果
■2019年(令和元年)雇用動向調査結果の概要(厚生労働省/9月)
■公立学校施設のトイレの状況について(令和2年9月1日現在)(文部科学省/9月)
■「東京都の人口(推計)」の概要(令和2年9月1日現在)(都総務局/9月)
■「令和2年度行政相談週間の実施」および「総務省の行政相談における外国人からの相談への対応(令和元年度)」(総務省/10月)
■令和2年度の妊娠届出数の状況について(厚生労働省/10月)
■令和元年(1~12月)における火災の状況(確定値)(消防庁/10月)
■コロナ禍において、介護で困ったことのアンケート調査まとめ(公益社団法人認知症の人と家族の会 東京支部/9月)

その他
■マンガでわかる働く人の安全と健康(教育用教材)(厚生労働省/10月)
■会社(かいしゃ)をこれからやめるひと/あたらしい仕事(しごと)をさがしているひと(厚生労働省/10月)
■全社協福祉ビジョン2020(全国社会福祉協議会/10月)

 

 

【くらし】

手記を通して路上生活での
経験や思いを伝えたい

ダッチ―さん(ペンネーム・60代男性)は、約3年前から路上生活を送る傍ら、過去にSF作家をめざしていた文才を活かして自らの経験を文字に書き起こしています。今回は現在執筆中の手記の一部を紹介しながら、現在のダッチーさんの暮らしや思いについてお話いただいたことを紹介します。
※『 』内は手記の一部を原文のまま抜粋したものです。

路上生活者を全て
同一視しないでほしい
『ホームレスの9割はいい人です。まともです。多少、「俺は、僕は、私は」と我が道を征く我の強さはありますし、口の悪いものもいるけど、気の良い者達で、コミュニケーション取れています。(中略)ホームレスにもいろいろとあるんです。一般社会と同じだから。人が集まればグループが生まれ、やることが違えば、ジャンル分けされるんです』

路上生活者と聞くといろんなイメージを持つと思いますが、一人の人間です。私を見て、優しく声をかけてくれる人もいれば、冷たい目線を送る人もいます。周囲の目が気にならないといったらウソになりますが、気にしていても仕方ないと思っています。
『路上生活者にとって最大の支援者は人ですが、最凶の敵も人なんです』

文字を通して自分の経験を
伝えたい
お世話になっている教会の人に作家をめざしていたことを話すと「これまでの暮らしについて書いてみたら」と言われたことが手記(*)を書こうと思ったきっかけです。路上生活者の現状、現況を知ってもらう機会になればという思いで自分の経験を書いています。私自身もそうですが、路上生活者の多くは"自分がホームレスになるなんて思っていなかった人々"なんではないでしょうか。人生何があるか分かりません。当時のリアルな心境やその時どう行動したか、現在の暮らしについて自分の経験を文字を通して伝えることで、何らかの理由で悩んでいる方や路頭に迷った方などのいざという時の「HOW TO」物にできたらよいと思っています。手記はまだ一章分しか完成していません。まだまだ書きたいことがあるし、構成もすでに考えてあります。
人は一人では生きられない
『寝れる場所があっても、眠れるとは限らない。(中略)疲れは目一杯なのに、寝ようとすると眠れない。寝ても、5分10分で起きてしまう。寝てはいけない所で、スッと落ちて、起こされる』

寝る場所には何度も悩まされました。人目が付くところで寝れば警備員に声をかけられ、いつの間にか貴重品がなくなっていたこともあります。今は、都心の公園で仲間とテント生活を送っています。しばらくはここで暮らせそうですが、立ち退くように言われれば、また別の場所を探さなければなりません。普段はテント付近で生活していますが、炊き出しがあれば仲間とともに出かけます。炊き出しの情報は、口コミで教えてもらうことが多いです。
路上生活を送る前までの生活は、自分にとって孤独でした。内臓系の疾患を抱え、体調はあまりよくなかったんですが、外見からは分かりづらいため怠惰な人間だと思われ、心無いことを言われたこともあり、社会的に居場所がないように感じる日々でした。当時から自由に、思いのままに暮らしたいという願望がありました。
『食うものがあって、寝る所があれば、この生活もそう悪いもんじゃないですよ。最初はキツかったけど、気の合う話し相手が出来て笑って過ごせる時間が大幅に増え、結構楽しんでいる日々です』

その時々に自分なりに幸せを見つけてきたんで、過去と比較して悲観することはありません。今はさまざまなしがらみから解放されたし、自由です。仲間は特に共通の話題があるわけではないですが、比較し合ったり、互いに干渉しすぎたりせず、心地よい関係です。人はやっぱり一人では生きられません。頼れる仲間、支え合える仲間がいる今は幸せです。

*ダッチ―さんの手記の一部は下記URLから読むことができます。
https://note.com/dachi_encrg

 

 

【本】

NEW 障害者総合支援法とは…〔改訂第3版〕2018年4月に施行された改正障害者総合支援法および児童福祉法に対応し、2020年7月時点の内容について掲載しています。法改正のポイントをふまえ、制度について、図表を交えながら分かりやすく解説しています。監修:丸山晃氏(立教大学特任准教授)
◆規格 A4判/32頁 ◆発売日 2020.10.1
◆本体 500円+税
令和2年版 社会福祉法人会計の実務
第1編 月次編
本書は、「平成29年4月施行 省令会計基準対応 社会福祉法人会計の実務」(第1編~第3編)の改訂版です。従来の4分冊形式を2分冊に変更しています。会計担当者の疑問や不安の解消、より適正な会計データの作成にお役立ていただき、社会福祉事業の円滑な経営にご活用ください。著者:宮内忍氏(公認会計士)、宮内眞木子氏(税理士)
◆規格 A4判/548頁 ◆発売日 2020.9.25
◆本体 6,000円+税
社会福祉法人のための規程集
役員会等運営の実務編 フローチャート付き
本書では、社会福祉法人の役員会等の運営において実務担当者が迷いやすい点を分かりやすく整理し、実務の手順をフローチャートにまとめました。また、定款細則等の規程や様式例を掲載しています。
担当者の実務の手引きとしてご活用ください。監修:小嶋正氏(弁護士)
◆規格 A4判/379頁 ◆発売日 2020.9.2
◆本体 4,000円+

月刊「福祉広報」

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