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福祉広報 2021年7月 750号 テキストデータ

【表紙】
北海道 新冠町
日高地方、“にいかっぷホロシリ乗馬クラブ”
ホーストレッキングもいいが、サラブレッドたちと触れ合うだけで癒される


社会福祉NOW
避難行動要支援者の円滑な避難支援に向けて

トピックス
「みんなのひろば」は誰もが自分らしく遊べる場所〜都立砧公園「みんなのひろば」(世田谷区)

【連載】コロナ禍でも日常を守るために
~緊急事態宣言期間を中心とした福祉施設・事業所の取組み~
コロナ禍を契機に保育の本質を振り返る〜社会福祉法人菊清会 さくらしんまち保育園(世田谷区)
コロナ禍でも利用者が主役になれる福祉作業所のあり方を考える〜社会福祉法人大泉旭出学園 旭出調布福祉作業所(調布市)

 

 


【NOW】

避難行動要支援者の円滑な避難支援に向けて
令和元年台風第19号等の、近年多発する水害では、特に高齢者等の要配慮者に被害が集中しています。これを背景に、国は「令和元年台風第19号等を踏まえた高齢者等の避難に関するサブワーキンググループ」等を設置し、避難行動要支援者(※1)の避難について検討してきました。
この検討を基に、令和3年5月に災害対策基本法が改正され、避難行動要支援者の円滑な避難を図ることを目的に、市町村に個別避難計画(※2)作成を努力義務化しました。
今号では、避難行動要支援者の円滑な避難支援に向けて、町会を通した取組みを行っている自治体と町会の事例を紹介します。

(※1) 避難行動要支援者:要配慮者(災害対策基本法では、「高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する者」)のうち、「自ら避難することが困難な者であって、その円滑かつ迅速な避難の確保を図るため特に支援を要する者」と定義されている。平成25年の災害対策基本法改正により、避難行動要支援者の名簿作成が市町村に義務化された。
(※2) 個別避難計画:避難行動要支援者ごとに、避難支援を行う者や避難先等の情報を記載した計画。

共助を目的とした個別避難計画作成のモデル事業を実施
~墨田区防災課~
墨田区における災害時の要配慮者支援
墨田区防災課では、大雨や河川の氾濫など、さまざまな場面を想定し、避難行動要支援者名簿(以下、名簿)の整備や防災への意識啓発などを行っています。墨田区の名簿登載者は、75歳以上のみの世帯や障害、要介護等の要件の人です。令和2年9月1日時点では約2万5千人です。
また、墨田区では、平成12年度から要配慮者サポート隊(以下、サポート隊)事業を行っています。これは、阪神・淡路大震災をきっかけに、共助を目的として取り組み始めたものです。町会単位でのサポート隊の結成がすすみ、令和3年4月現在、171町会中145町会で結成されています。サポート隊の役割は、平時には要配慮者の把握やサポート隊の募集、災害時には避難誘導や指定避難所での要配慮者のケアを行うことが主に想定されています。
水害を想定した個別避難計画作成のモデル事業
墨田区では、個別避難計画(※3)(以下、プラン)を、町会を通して作成してきました。しかし、本人への同意付けが困難なことや名簿登載者の多さ等の理由により、十分にすすんでいませんでした。そこで、令和2年度より区独自のモデル事業として「個別避難計画」作成事業を開始しました。
モデル事業を始める一つのきっかけとなったのが、令和元年台風第19号です。「区内の被害はなかったが、荒川の水位がこれまでにない高さまであがった。これを機に、町会の意見も聞きながら、プラン作成の流れを具体的に見直すため、水害を想定したモデル事業を始めた」と墨田区防災課課長の山中淳一さんは話します。
モデル事業の対象地域は、荒川が決壊した時に、流れてくる水と流木等により建物への被害が想定され、早期に立ち退き避難が必要な区の北側の一部地域としました。
住民への事業の周知やプラン作成については、町会に協力してもらいました。発災時には地域住民による共助が不可欠だからです。また、名簿に登載されている人の中で、真に避難に支援が必要な人を町会が知っているのではないかと考えたからです。周知は、回覧板や掲示板、ポスティングなど、町会ごとに工夫して行ってもらいました。
モデル事業でのプラン作成の対象者は、75歳以上、木造住宅(1~2階)に住んでいる方等の要件にあてはまる人で、作成を希望する本人が申請書を区に返送します。区は本人が住む地域の町会にその情報を提供し、後日、町会員が本人宅を訪問します。避難支援者や避難手段等を聞き取りながら記入し、区に返送する流れです。
プランに記載される避難支援者の役割は、電話連絡のみや避難所に同行する等、対象者の状況により変わります。この支援者として前述のサポート隊が主に想定されていることも、町会に協力を依頼した一つの要因です。
「個人では責任が重いと考える人もいるため、町会名での記入も可とした。発災時に十分機能を発揮できるか、今後検証が必要である」と防災課主査の秋田勇一さんは話します。
令和2年度に作成したプランは85件でした。防災課主事の土川翔平さんは「町会としても支援が必要な人を把握でき『つくって良かった』との声もいただいている」と話します。
今後について「3年をかけて、現在対象となっている地域のプラン作成をさらにすすめたい。同じ支援者の名前が何人ものプランに載っているなどの課題や、モデル事業の対象者以外へのプラン作成等、福祉部局との連携も含め一つずつ解決していきたい」と山中さんは話します。

防災力を高め、自分たちの地域を守る取組み~貫井南町東自主防災会(小金井市)~
小金井市の貫井南町東自主防災会は、戸建住宅を中心に約400世帯が加入する、貫井南町東自治会区域の自主防災組織です。役員は、消防団の活動経験者や自治会役員等が担っています。区域内に暮らす人をよく知っていることが強みであり、地域への愛着が活動の原動力です。過去の災害の教訓やこれまでの訓練体験から、地域の方に対し、発災時にはできるだけ在宅避難すること、そのため日頃から各戸が必要な備えをすることをすすめています。その方針の下、さまざまな防災活動を積極的に行っています。
中学生が自ら考え、動く防災訓練を実施
貫井南町東自主防災会では、夏と冬の年2回、防災訓練を主催しています。夏の訓練は公園で、救命救急訓練や煙体験、消火訓練、炊き出しなどを行います。子ども会の子どもたちが楽しく参加できるよう工夫し、それに付き添う親の防災意識を高めることにも取り組んでいます。
冬の訓練は、発災時の一時避難場所となる市立南中学校において、学校や消防署、市の協力のもと、多くの中学生も参加し、実施しています。中学生が自ら考え、一からテント張り、炊き出しの火おこしや調理、救出救護訓練などに取り組んでもらう形にしています。自主防災会会長の鈴木成夫さんは「大災害の際は在宅避難では対応しきれず、避難所運営は困難を極める。子どもは守るべき存在だが、貴重な担い手でもある。大人が『手伝って』と言える、訓練を経験した顔見知りの子どもが多くいることは、地域にとって大きな力になる」と言います。
悪天候時などに日頃から要支援者の安否確認
小金井市の避難行動要支援者名簿には、75歳以上の独居および高齢者のみの世帯のほか、要介護3~5、各種障害者手帳1、2級の方など、一定の要件を満たす方等が登載されます。平成24年1月に貫井南町東自治会と市は、同市初の災害時要援護者情報の共有に関する協定を結びました。翌25年度からは、同自治会・自治防災会が市で第1号の「災害時要援助者(現:避難行動要支援者)支援モデル地区」となりました。
貫井南町東自治会内の避難行動要支援者のうち、現在、同意の上で個別避難計画(※4)を作成しているのは19人です。1件の重複もなく、1人の要支援者に対し、支援者2人を指定しています。個人情報を取り扱うことから、民生委員2名を含む役員数人のみで慎重に検討しました。信頼できる近隣の人に「○○さんの支援者として、いざというときに声をかけてほしい」と、1人ずつ了解を取り、コーディネートしました。
初めてこのしくみが活かされたのは、平成26年に大雪が降った時です。貫井南町東自治会会長で自主防災会副会長の天野達彦さんが支援者1人ずつに電話連絡し、要支援者の安否確認を依頼しました。実際は、依頼時点ですでに大半の支援者が安否確認を済ませてくれていました。
以来、さらに支援者の意識が高まり、天候悪化時等の要支援者への自主的な声かけが定着しています。令和元年台風第19号の際には、避難準備地域に住む要支援者に避難を促すなどしました。天野さんは「お互い様の気持ちで、できることを自然にやってくれている」と言います。
コロナ禍でもできることを着実にすすめる
令和2年はコロナ禍で、例年の防災訓練はできませんでした。しかし、集合しない訓練として、11月の指定の日時に、無事を知らせる「安否確認カード」を各戸が玄関先に掲示する訓練を行いました。カードには、平時の備えや発災時に取るべき行動、対策本部と防災倉庫の場所、避難場所等の地域の防災情報も記されています。このほか、WEBフォームを活用したアンケート回収等、新たな試みも積極的に行いました。
今後は、近隣自治会等とも協力し、避難所運営協議会の活動を推進したい意向です。鈴木さんは「マニュアルづくりより、まず始めることが重要。災害時にこの地域から犠牲者を出さないため、皆で着実に取り組みたい」と語ります。

(※3・4)「個別避難計画」…墨田区では「災害時個別避難支援プラン」、小金井市では「個別支援プラン」という名称で周知。

町会員が記入しやすいように最低限の項目にしている。

(左から)
墨田区防災課
主査 秋田勇一さん
課長 山中淳一さん
主事 土川翔平さん

貫井南町東自主防災会 役員の皆さん
(後列左より)
副会長 大澤則雄さん
災害支援担当副部長 緒方澄子さん
書記 小島芳恵さん
災害支援担当副部長 稲葉敦子さん
(前列左より)
副会長 天野達彦さん
会長 鈴木成夫さん
副会長 大澤利之さん

一昨年の小金井市立南中学校での防災訓練の一コマ

 

 

【トピックス】

「みんなのひろば」は誰もが自分らしく遊べる場所
▼ 都立砧公園「みんなのひろば」(世田谷区)

世田谷区の都立砧公園内にある「みんなのひろば」は、年齢や性別、能力、経済・社会的背景などの違いに関わらず誰もが楽しめる遊具が揃うインクルーシブな広場です。設置の背景について、公益財団法人東京都公園協会砧公園サービスセンター長の川崎幹雄さんは「都立公園はこれまでも『東京都福祉のまちづくり条例』等に基づき公園のユニバーサル化をすすめてきた。さらに公園利用者の多様なニーズに応えるため、さまざまな立場の来園者が快適に利用できる公園環境をめざし、誰もが共に楽しむことができる遊具広場の検討を開始することとなった」と話します。平成30年度には障害のある子どもの関係者やユニバーサルデザインの有識者などの意見をふまえながら設計を開始し、令和元年度に整備に着手、令和2年3月に「みんなのひろば」をオープンしました。
誰もが安心して遊べる設計
「みんなのひろば」は、駐車場からの距離や園路、広場の広さ等を勘案し「アスレチック広場」として開放していた場所に設置されました。それに伴い「アスレチック広場」に設置していた遊具は、公園内にあるもう一つの遊具広場である「子どもの森」に移設し、ユニバーサルデザインに対応している遊具を新たに取り入れることとしました。準備では、遊具周りを中心に転倒時の刺激を軽減するため厚みのあるゴムチップ舗装を施しました。また、駐車場から広場までの動線にはがたつきの少ない密粒度アスファルトを採用し、歩行器や車椅子等でもスムーズに通行できるようにしました。そのほか、広場から一番近い多目的トイレは、手すりの配置を見直し、オストメイトへの対応やユニバーサルシート(大型ベッド)を設置しました。
広場内には1基で多様な遊び方ができる複合遊具や、多くの子どもたちが一緒に遊べる楽器遊具などが複数取り入れられています。また、周辺には、迷子や広場外への子どもの飛び出し防止のため、柵を設けています。川崎さんは「公園周辺には福祉関係施設や病院などが複数ある。歩行が不安定なお子さんや、車椅子などを使用するお子さんも来園することを想定し、誰もが安心して遊べる工夫をしている」と説明します。
自分に合った遊び方ができる場所
複合遊具の一つの船型遊具「みらい号」は「みんなのひろば」の設置にあたって設計された遊具で、広場内のシンボルとなっています。車椅子や歩行器でも上れるよう幅広に設計されたスロープを上ると、公園内を一望できるトップデッキにつながっています。併設されている滑り台は、車椅子の座面とほぼ同じ高さの段差を設けることで、車椅子から乗り移って滑り台を楽しめるよう設計されています。また、ブランコも人気の遊具の一つです。子どもが自分に合ったものを選べるよう、通常の座面に加え、背もたれ付きの座面と皿型の座面の3種類を設置しています。
広場の片隅には、大きな切り株をモチーフにした遊具があります。これは、音などの刺激に敏感な子どもが中に入って心を落ち着かせるためのシェルター遊具です。利用者の多いエリアを避けた静かな場所に設置しており、内部は車椅子でも十分に回転できるスペースを確保しています。そのほか、鍵盤を上から押すことで音が鳴る楽器遊具や、幅広の座面があり、友だちや介助者と一緒に楽しめるシーソー、視覚障害のある子どもでもパネルに刻まれた足跡を辿ってゴールできる迷路など、誰もが楽しめる遊具が揃っています。
川崎さんは「ブランコや滑り台で楽しむのも良いし、広場や草花を眺める、鳥の声や風の音を聴く、シェルター遊具で落ち着いて過ごすのも良い。広場の遊び方、楽しみ方に正解はない」と言います。続けて「子どもたちは公園という同じ空間で遊びを共有することで、人間関係の築き方やルールを学び合い、成長していっている。そこに障害の有無は関係なく、大人よりもごく自然に互いの違いを認め合って遊んでいるように見える」と話します。
必要とする人が安心して利用できる広場に
「みんなのひろば」のオープンにあたり、ホームページへの掲載やリーフレットの配布等で積極的に周知しました。また、区内のNPOの協力のもと、障害児を持つ家庭にも周知しました。しかし、オープンから数日で一度目の緊急事態宣言の発令を受け、3か月間の閉鎖を余儀なくされました。川崎さんは「障害のあるお子さんを持つ家庭にも積極的に利用してもらえるよう、さまざまなイベントを企画していたが、新型コロナの影響ですべて中止になってしまった。一度目の緊急事態宣言の解除後は、障害のあるお子さんを持つ家庭を対象に広場の開放時間を試行的に早めるなどした。平日に実施したため、10人程度の利用だった。まだまだ障害のあるお子さんの利用は多いとは言えない状況」と言います。続けて「現在も、感染リスクの観点から積極的に周知できない状況だが、今後もこの広場を必要とする人が安心して利用できるよう、模索していきたい」と話します。

転んでも刺激を吸収してくれるゴムチップ舗装

船型遊具「みらい号」

シェルター遊具「きりかぶ」

 

 

【マンスリー】2021.5.26 - 6.25

6/4
改正障害者差別解消法が公布
事業者に対して、社会的障壁の除去の実施について、必要かつ合理的な配慮をすることを義務付ける「改正障害者差別解消法」が公布。公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行。

6/8
「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会」の報告書を公表
厚労省は、障害者本人のニーズをふまえた上での一般就労を実現するため、支援者の育成や確保、雇用施策と福祉施策の連携の強化に関する具体的な方針を盛り込んだ報告書を公表。報告書で示された方向性をふまえ、制度改正の議論をすすめる方針。

6/9
改正育児・介護休業法が公布
子どもの出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設や、育児休業を取得しやすい雇用環境整備および労働者に対する個別の周知・意向確認の措置を義務付けること、育児休業給付に関する所用の規定の整備などを盛り込んだ改正育児・介護休業法が公布。令和4年4月1日より順次施行。

6/18
医療的ケア児支援法が公布
医療的ケア児の日常生活や社会生活を社会全体で支援する体制を強化する「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」が公布。保育所や学校に看護師等を配置することや、医療的ケア児支援センターを設置し、切れ目ない支援を実現する等、医療的ケア児への支援が国や地方公共団体の責務として明文化された。令和3年9月18日に施行。

 

 

【連載】12

コロナ禍でも日常を守るために~緊急事態宣言期間を中心とした福祉施設・事業所の取組み~

新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染拡大の影響により、福祉施設・事業所には利用者の命・生活、職員の安心・安全を守るため、これまで以上に厳しい感染症対策が求められています。特に国による緊急事態宣言および東京都による緊急事態措置期間中(令和2年4月7日~5月25日)は、各施設等において新たな感染症に配慮しつつ、利用者の日常をいかに守るか苦心し、工夫を重ねていた時期でした。令和3年に入ってもなお感染拡大の状況が続き、東京では緊急事態措置やまん延防止等重点措置の対応が取られています。
本連載では、令和2年4、5月の一度目の緊急事態宣言期間以降に、福祉施設・事業所等が未知の感染症にどのように向き合い、利用者の生活を守る工夫や取組みをしてきたのかを発信していきます。
今回は、保育園と、福祉作業所について取材しました。
*今回、紹介する事例のさらに詳しい内容は、本会の「ふくし実践事例ポータル」でご覧になれます。(http://fukushi-portal.tokyo/)


コロナ禍を契機に保育の本質を振り返る〜社会福祉法人菊清会さくらしんまち保育園(世田谷区)

世田谷区にあるさくらしんまち保育園は、平成20年に開設した定員100名の認可保育園です。
2階建ての園舎の室内は玩具棚で仕切られており、子どもたちは絵本コーナーやおままごとコーナーなど、各自が遊びたい場所を選んで過ごすことができます。また、給食は子どもたちが食べたいタイミングで食事を始めることができ、セミバイキング形式でごはんやおかずの量を選ぶことができるなど、生活のさまざまな場面で子ども自身が選択する機会を大切にしていることが園の特徴です。
緊急事態宣言から休園まで
一回目の緊急事態宣言が発令された令和2年4月、世田谷区では利用者に対し登園自粛要請をしていましたが、4月17日には休園が決定しました。刻々と状況が変化していたこの時期、園長の小嶋泰輔さんは、閉園による子どもや保護者への影響、開園し続けることのリスク、また不安がある中で子どもを預けざるを得ない保護者の思いなどを考えると、悩みが尽きなかったといいます。
休園は当初4月20日から5月6日まででしたが、その後5月末日まで延長されました。休園期間中は対象者を限定した応急保育のみが行われ、5~6人の子どもたちが登園していました。園では、⑴出勤して保育を行う者、⑵出勤して打合せや保育計画作成その他の作業を行う者、⑶自宅待機をする者のローテーション勤務とし、出勤率の抑制を図りました。
動画を活用したウェブ保育
社会的に「ステイホーム」が強く求められた休園期間中、登園できない子どもと保護者が自宅で少しでも安心して過ごせるよう、園のユーチューブチャンネルを活用したウェブ保育を企画しました。歌やおはなし、工作などの遊びはもちろん、保育士による寝かしつけや、保護者向けに給食で使用しているドレッシングのレシピを解説するなど、職員の得意分野を活かした動画を限定配信で家庭に届けました。
保護者へのメッセージとともに毎日のように更新した動画は、合計で70本以上。保護者からは「毎日子どもと楽しく見ています」といった声が寄せられました。
また、6月からの登園再開にあたっては、感染リスク低減を徹底しながら、子どもたちができるだけこれまでと同じような環境やスケジュールで過ごせるよう準備をすすめました。具体的には、登降園や食事などの手順の見直し、コーナー保育の充実、身体的距離を確保できるレイアウト変更などを行いました。
職員ワークショップで保育を見直す
休園期間中には、これまでの保育のあり方やコロナ禍における対応を考える職員ワークショップも実施しました。園が取り組んできたことについて、そもそも何のためにやっているのか、自分たちが保育をする上で大切にしたかったことは何かという点から意見を出し合いました。小嶋さんは「今まで立ち止まって考えたことがなかったので、『これについてどう思う?』と問いかけながらみんなで話し合った」と言います。
その結果、例えば運動会については、子どもの健やかな成長や運動発表の様子を保護者に見てもらうことが大事という結論に達しました。レクリエーション要素の強い種目は割愛し、園内で必要なスペースを取って身体的距離を確保し、保護者見学ありで実施することとしました。
小嶋さんは「行事に限らず、新型コロナという状況を、これまでの保育を見直す絶好のチャンスと捉え直して、業務改善につなげていった。大切なことを確認して工夫していこうと前向きになれた」と振り返ります。
地域の施設としてできることを
新型コロナの影響により、地域における子育て環境は厳しさを増しており、保育園を探すための施設見学にも制約がある状況です。園では令和2年7月には必要な対策を講じた上で施設見学を再開し、子育て全般に関する質問も受け付けたところ、保護者にも喜んでもらえたといいます。また、福祉の担い手を育てるため、保育実習生の受入れも行っています。
小嶋さんは今後について「地域の福祉施設として、これからもさまざまな形で地域の子育てに貢献していきたい」と話します。

コロナ禍でも利用者が主役になれる福祉作業所のあり方を考える〜社会福祉法人大泉旭出学園 旭出調布福祉作業所(調布市)
社会福祉法人大泉旭出学園が運営する旭出調布福祉作業所は、主に知的障害のある方を対象に、就労移行支援事業と就労継続支援B型事業を運営する多機能型事業所です。「利用者が主役になれる支援を提供する」という運営方針に基づき、65名の利用者の支援を行っています。
新型コロナ対策のための新たな対応
令和2年3月以降、毎日の検温や消毒のほか、作業時間の短縮や、更衣室や食事のスペースの人数制限などの感染対策を行っています。
利用者の中には、障害の特性によりマスクへの抵抗がある方やソーシャルディスタンスの理解が難しい方もいるため、感染症対策への意識の定着に注力しました。手洗いの場面で職員がサポートするほか、ポスターを貼って視覚的に訴えたり、利用者に考えてもらうような問いかけを繰り返しながら徐々に根付いてきたと感じています。
国から示された「新型コロナウイルスへの対応に伴う就労継続支援事業の取扱い等について」において、在宅等での柔軟な取り扱いが認められ、希望する利用者には在宅でのサービス提供を行いました。多い時には40名が在宅作業となり、職員が1日2回の電話連絡を行いました。「職員にとってこれまでにない仕事に多くの時間とエネルギーを使う大変さの反面、電話でのやりとりがあったから安心できたという家族の声もあり、コロナ禍の不安を少しでも和らげることができた」と施設長の八重樫央行さんは話します。
工賃の半減や行事の中止による作業の質や生活の質への影響
令和2年度の一人あたりの工賃は月額平均8千100円で例年の約半分に減りました。作業の主力であった贈り物の菓子を生産する企業からの受注が減ったこと等が、工賃へ影響しました。就労移行支援事業でも、就職説明会が軒並み中止となり、企業の経営悪化の影響を受けて新規採用につながる門は狭くなりました。
また、作業所が主催する宿泊旅行やイベントの開催も中止となりました。八重樫さんは「一生懸命働いて、遊んでリフレッシュというメリハリがあるからこそ利用者は作業を頑張れる。自分自身で気分転換することが難しい利用者も少なくないため、作業の質や生活の質へも影響があったと思う」と話します。
このほか、毎年家族との面談を経て作成していた個別支援計画をプリントや電話でのやりとりに変更しました。年3回実施する家族連絡会も令和2年度はすべて中止となり、家族と直接お話しする機会が大幅に減ってしまいました。
さらに、職員の退職や採用内定辞退もありました。仕事の性質上、職員が在宅勤務でできる業務は少なく、業務の継続に不安を感じる職員もいます。このため人材確保がさらに厳しい状況になっています。
地域の人々との交流の場となっていた喫茶店も、外部からの新型コロナの感染リスクを抑えるため、また、利用者がより広い場所で昼食をとれるように閉店しています。利用者は自分が働いている姿を見てもらう張り合いにつながっている場です。 地域の人々にも「この施設があって良かった」と感じてもらいたいと頑張ってきた経緯があるので、いつか再開させたいと考えています。
今まで以上に利用者の居場所となる事業所のあり方を模索する
八重樫さんは「これからは感染症とどのように付き合っていくかという視点で考えていく必要がある」と話します。そのため、コロナ禍の状況に即した日課の組み替えを行う予定です。また、今まではより高い工賃を払うことを目標としてきましたが、これまで以上に利用者の居場所としての役割やコロナ禍における安心とのバランスを取りながら活動することにも重きを置いて事業展開していく必要があると考えています。これからも利用者が主役になれる作業所のあり方を模索していきます。

ウェブ保育の様子

さくらしんまち保育園園長 小嶋泰輔さん

旭出調布福祉作業所
(右から)
所長 八重樫央行さん
事務長 吉川利英さん
サービス管理責任者 三浦悦子さん
作業担当 松田治代さん

菓子の詰め作業の様子

 

 

【東社協発】

令和2年度
東社協事業報告

令和2年度事業報告および決算が、監査ならびに令和3年6月9日の理事会、同25日の評議員会を経て承認されました。『平成31年度(2019年度)からの3か年 東社協中期計画』の2年目として取組みを推進しました。
令和2年度は、新型コロナの感染拡大防止のため、多くの集合型の事業や活動が中止や延期を余儀なくされました。そのため、WEBを活用した情報発信や、オンラインによる研修や主要な協議の場の設定により、各事業を展開しました。
膨大な申請のあった生活福祉資金の「緊急小口資金」と「総合支援資金」の【特例貸付】の対応を、東社協内および東京都等からの応援職員派遣により行いました。

1安全・安心と権利擁護、
自立生活支援の推進
○地域福祉権利擁護事業の契約件数は3千976件となっています。
○「地域と家庭裁判所の連携による成年後見制度の新たな選任・利用支援のしくみ」を推進し、11区市で取組みが行われました。
○福祉サービス運営適正化委員会では、オンラインを活用した調査やWEBによる研修会等を実施し、適正な運営の確保に努めました。
○新型コロナの影響をふまえた「緊急小口資金」「総合支援資金」の【特例貸付】は、令和2年度の貸付決定件数が32万2千件超、送金額は1千296億円超になりました。
2福祉水準の向上を支える
基盤の強化
○社会福祉法改正後の役員改選時等に役立つ「社会福祉法人のための規定集 役員会運営の実務編」を発行し、適正な法人運営に寄与しました。
○区市町村社協、行政、ハローワークと共催の「地域密着相談面接会」を19地区で20回実施し、参加者数は1千134人でした。新型コロナ感染拡大防止のため、10地域13回を開催中止としました。
○「人材定着・離職防止相談支援事業」では、「福祉のしごとなんでも相談」に事業開始後最多の1千269件の相談がありました。
○東京都福祉人材対策推進機構に新たに専門部会(人材確保)を設置し、東京都福祉人材センターのあり方について検討しました。
○福祉人材センター研修室では、集合型研修の開催が困難な状況の中、確実な学びの場を提供するため、一部の研修を収録型WEB研修に切り替えて実施しました。
○従事者共済会では、令和元年度に実施した数理計算とALM分析等をふまえ、従事者共済会規程と資産管理細則の一部改定を行いました。
3ネットワークの構築・協働と
幅広い参加の促進
○東京都地域公益活動推進協議会では、コロナ禍における社会福祉法人の地域公益活動の状況把握調査を2回実施し、活動継続の工夫やニーズをふまえた新たな活動事例等の把握を行いました。これらをもとに、実践発表会をオンラインで実施し、動画配信を行いました。
○「新型コロナ集団感染症発生施設への応援職員の派遣調整」を、東京都からの委託等により開始しました。
○施設部会では、主要な会議・研修会等でオンライン開催を導入し、部会活動の平常化に努めました。
さらに、各部会の特性に応じて、新型コロナ対策のための委員会活動や調査活動を実施しました。
○東京都民生児童委員連合会では、動画配信による研修会を開催し、事前アンケートを取り、具体的な困りごとなどに対して講師からの助言を盛り込むなど、講義内容に工夫を凝らして研修効果を高めました。
○東京ボランティア・市民活動センターでは、コロナ禍において、活動現場に行くことなくオンラインや在宅で体験できる「リモート・ボランティア」を企画実施しました。
○東京善意銀行では、福祉施設等の寄附配分のニーズを的確に把握するために、アンケート調査を実施して、寄附の適切な配分に努めました。
4地域の取組みの支援と普及
○地域福祉コーディネーター等を対象に、オンラインセミナー「ウィズコロナにおける社協の地域づくり」を開催しました。
○社会福祉法人の地域ネットワーク、民生児童委員協議会、社協の三者連携による協働体制(東京モデル)確立に向けて、三者連携の事例を紹介した動画を作成しました。
○社会福祉法人の連携による地域ネットワークの「区市町村ネットワーク代表者連絡会」をオンラインで開催し、コロナ禍で学校が休校になった家庭に対する支援などの取組みが報告されました。
5情報発信と提言
○地域福祉推進委員会の下で「地域福祉推進検討ワーキング」を5回開催し、7つの提言による報告書「『東京らしい 包摂・共生型の地域社会づくり』をめざして」を作成しました。
○都内62自治体を対象に「感染症リスク下での自然災害に対する福祉避難所の備えと取組みに関する調査」を実施、現状や課題を報告書にまとめました。
○福祉の魅力可視化プロジェクトでは、中学生の職場体験で活用するツールとして、冊子と動画を作成しました。
6東社協法人基盤の強化
○総合企画委員会において、多くの事業の見直しや変更をふまえ、中期計画の推進評価と次期中期計画の策定に向けた検討を行いました。


東社協 新会員のご紹介

▽東京都高齢者福祉施設協議会
第三みどりの郷/特別養護老人ホーム こぶしえん/小石川ヒルサイドテラス/特別養護老人ホーム 花ざかり/特別養護老人ホーム文京小日向の家/渋谷区恵比寿西二丁目地域包括支援センター/用賀あんしんすこやかセンター
▽東京都介護保険居宅事業者連絡会
ヘルパーステーション長安/特定非営利活動法人パーソナルケアサービス小金井かいわい/ヘルパーステーションいきいき/合同会社オアシス えがお/ニチイケアセンター中村橋/やかた三本木/ニチイケアセンター中野
▽身体障害者福祉部会
障害者支援施設 こぶしえん
▽知的発達障害部会
障害者施設 浅草みらいど
▽保育部会
調布市立下布田保育園/武蔵野市立南保育園/武蔵野市立境保育園/武蔵野市立境南保育園/さくらっこ保育園/矢川保育園/そらのいえ保育園/蒲田音楽学園保育園/外神田かなりや保育園/頌栄しらゆり保育園/墨田わんぱく保育園/つむぎ保育園/パイオニアキッズちょうふ園/若葉の詩保育園/さんさん森の保育園大井町/さんさん森の保育園戸越公園/明日葉保育園西片園/小池保育園/練馬区立豊玉保育園/このめ保育園/クローバー保育園/岩本町ちとせ保育園
▽児童部会
江戸川つむぎの家
▽母子福祉部会
港区立母子生活支援施設 メゾン・ド・あじさい
▽情報連絡会員
ゆくい/らいふすくーる桐ヶ丘/LIFE SCHOOL 溝ノ口/中央区立知的障害者グループホーム フレンドハウス京橋/すこやか 訪問介護/中野区立 若宮高齢者会館/メルディアトータルサポート上野/ブルーワン
▽賛助会員
株式会社 翔設計


都内の中学校・高校で実施中!
フクシを知ろう!なんでもセミナー


東京都福祉人材センターでは、都内の中学・高校からの依頼に応じて出前型で授業を行う「フクシを知ろう!なんでもセミナー」を東京都の委託事業として実施しています。次世代を担う若い世代に介護・福祉の仕事の魅力を伝え、興味関心を高めることを目的にした事業です。
「家庭科」をはじめ、「総合的な時間」や「生活と福祉」などの授業で実施することが多く、学校からの依頼内容も福祉全般をテーマにしたものから、福祉施設職員を講師とした職業講話、障害のある当事者の方からの話など多岐にわたります。(表1)
令和2年度は、新型コロナの影響による休校もあり、依頼件数が前年より減少しましたが、19校から、計51回69コマの依頼を受け、延べ2千703人の生徒にセミナーを実施しました。
コロナ禍において、学校でも例年実施していた職場体験やボランティア体験等が縮小・中止となることが多い中、福祉の仕事の魅力を伝え、身近に感じてもらうことができる貴重な機会となりました。
参加した生徒からは、「自分とは程遠い仕事だと思っていたが、働く様子を聞いて、私もなってみたいと思った」「人として人を支える仕事だったので、イメージが一気に良い方向に変わった!」などの感想がありました。(表2)
今年度も、緊急事態宣言の影響による生徒の分散登校や短縮授業の実施等、学校現場では感染状況をふまえた授業の見直しなど、生徒と社会のつながりや、キャリア教育・総合的な学びの工夫が行われています。東京都福祉人材センターでは、感染対策に留意しながら、引き続き次世代を担う若い世代に福祉の仕事の魅力を発信していきます。

高校でのセミナーの様子

表1 学校からの依頼内容(主な内容)
・福祉やボランティアについての入門的な話。
・福祉をテーマに生徒が課題を見つけるための内容。(弁論大会に向けて、調べ学習のテーマ決め等)
・現場で働いている方の話を聞きたい。(職場体験実施に向けて、職場体験中止に伴い、社会人として「働くということ」について等)
・福祉関係の仕事の種類、仕事に就くために必要な資格、やりがい等について。
・障害のある方から、地域の中で生活している様子が聞きたい。(視覚障害のある方)

表2 生徒の感想(主な内容)
・自分とは程遠い仕事だと思っていたが、働く様子を聞いて、私もなってみたいと思った。
・やりがいや利用者さんの感謝の気持ちがしっかりと伝わって、楽しく仕事ができるのだなと思った。
・たくさんの知識を身につけることができ、大変なこともあれば、やりがいもあるいい仕事だと思った。
・人として人を支える仕事だったので、イメージが一気に良い方向に変わった!
・仕事は難しそうだけど、人と話せて楽しそう。
・福祉は幅広くつながって、色々な人たちの行動でできあがっているんだなと思った。
・福祉はたくさんの身近な場所で私たちの生活を支えてくれているんだと分かった。
・自分がけがや病気をしたり、親の介護などもあるので他人事ではないと思った。
・『ありがとう』といわれる嬉しさがあってサッカー部のマネージャーを続けている。福祉の仕事と通じるところがあり身近に感じた。
・進路にちょうど迷っていたので、一つの案として選択肢に入れようと思った。
・身近に介護職の人がいるので、どんなことをしているのか深く知りたいと思った。
・母が介護福祉士。毎日母がこの仕事をして高齢者の方々を支えていると思うと「とてもすてきな仕事だな」と思った。

 


「地域福祉推進に関する提言2021」を発行しました


東社協地域福祉推進委員会では、毎年、地域福祉推進のために重点的に取り組むべき事項をまとめ、「委員会からの提言」と「部会・連絡会からの提言」を整理し、提言活動を行っています。
国においては、令和2年6月に社会福祉法が改正され、「重層的支援体制整備事業」が創設されました。また、新型コロナの感染はいまだ拡大しており、社会福祉施設・事業所では利用者の命と安心安全な生活を守るため、さまざまな工夫をしながら支援にあたっています。地域においては、コロナ禍で改めて人と人との関わりの大切さが確認され、新たなつながり方による地域づくりに取り組んでいく必要性が高まっています。
委員会ではそうした視点をふまえ「委員会からの提言」と「部会・連絡会からの提言」を行いました。
今後も、関係者の皆さまのご意見をいただきながら、提言活動の充実を図ってまいります。

▽内容
●第1部 委員会からの提言
【提言Ⅰ】「東京らしい 包摂・共生型の地域社会づくり」をめざして
【提言Ⅱ】感染症対策や水害対策をふまえた福祉避難所の円滑な設置・運営に向けて
●第2部 部会・連絡会からの提言
【主な提言~抜粋】
*地域包括ケアの構築には高齢者福祉施設のもつ社会福祉の総合力を活用すること
*災害時・非常時における介護保険事業所の役割について
*福祉人材確保・育成・定着への取組み
*長期化する新型コロナウイルス感染症流行下において増加する生計困難者又は生活困窮者への無料定額診療事業の利用など

※「提言2021」の詳細はこちら
https://www.tcsw.tvac.or.jp/chosa/teigen/

 

 

【囲み】

令和2年度共同募金の御礼

令和2年度の共同募金運動は、多くの都民の皆さまに支えられ、74回目の運動を実施することができました。ご支援、ご協力を賜りました皆さまに厚く御礼申し上げます。
昨年度は、世界中が新型コロナウイルス感染症に翻弄された一年でした。感染症によりお亡くなりになられた方々には心よりお悔やみ申し上げます。また、罹患された方々、感染拡大の影響を受けられた方々に謹んでお見舞いを申し上げます。
共同募金運動も昨年度は感染拡大防止を最優先とし、人との接触の機会が多い募金方法の自粛をお願いさせていただきました。そのような中でしたが、社会福祉施設における感染防止対策、経済活動の縮小に伴う貧困、長引く自粛生活を起因とするDVや虐待の増加など、コロナ禍における新たな福祉課題に対する都民の皆さまの関心も高く、多くの寄付をお寄せいただきました。
先行きの不透明な大変厳しい社会情勢の中にあって、皆さまのたすけあいのお気持ちが子どもから高齢者まで支援を必要とする方々を支えていただいております。今後も皆さまの変わらぬご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
社会福祉法人 東京都共同募金会

 

 

【アンテナ】6月30日(水)時点の情報です。感染症拡大防止のため、イベントが中止になる可能性があります。詳細は各団体にお問合わせください。

助成金
子供が輝く東京・応援事業定額助成(新たな取り組みへのチャレンジ)
7月27日(火)消印有効 結婚、子育て、学び、就労までのライフステージに応じた取組みを行う都内に本社または事務所を有する法人 上限1,000万円 所定の応募書類に必要事項を記入し、書留など配達記録が残る方法で郵送 (公財)東京都福祉保健財団 事業者支援部 運営支援室 子供が輝く東京・応援担当 〒163-0718 新宿区西新宿2-7-1 小田急第一生命ビル18F
03-3344-8535
https://www.fukushizaidan.jp/
公益財団法人ユニベール財団
助成金
(1) 研究助成
心と健康、社会的包摂に関わるソーシャルワーク実践、これからの福祉の環境づくりに関する領域の国際的調査研究を行う①大学、研究機関、教育機関等において研究教育活動を行っている方、または社会福祉の実践に従事している方②大学院修士課程または博士前期課程に在籍ならびに修了している方。またはこれと同等以上の資格や能力を有する方 上限100万円

(2) 特別活動助成
心のケアのための傾聴ボランティアとして活動している団体(自然災害の被災者をはじめコロナ禍で困難な状況にある人等を傾聴) 最長3年間、上限年50万円

(1)(2)共通
7月30日(金)17時必着 所定の申請書に必要事項を記入し郵送 (公財)ユニベール財団 〒160-0004 新宿区四谷2-14-8 YPCビル5F
03-3350-9002
https://www.univers.or.jp/index.php?
FrontPage
2021年度
チャリティプレート助成金
9月30日(木)必着 障害者が通う小規模作業所、アクティビティ・センター(自立生活センター、グループホーム)等で、特に緊急性が明確である団体 上限50万円 所定の申請書類に必要事項を記入し郵送 (特非)日本チャリティプレート協会 〒166-0012 杉並区和田1-5-18 アテナビル2F
03-3381-4071
http://www.jcpa.net/jcpa/?page_id=13

講座・シンポジウム
【会場・オンライン】
いきがい・助け合いサミットin神奈川
9月1日(水)10時~17時50分 ※18時半~20時 大交流会・2日(木)9時~16時半 パシフィコ横浜 会場参加1,500名、オンライン視聴3,500名 2,000円(資料代)※大交流会は別途3,000円 「共生社会をつくる地域包括ケア~生活を支え合う仕組みと実践~」をテーマに、シンポジウム、34の分科会、ポスターセッション 7月31日(土)※定員になり次第締切 申込専用WEBサイト(https://amarys-jtb.jp/summit2021/)またはFAXにて (公財)さわやか福祉財団 〒105-0011 港区芝公園2-6-8 日本女子会館7F
03-5470-7751 03-5470-7755
https://www.sawayakazaidan.or.jp/summit/osaka/kanagawa2021/

その他
第56回NHK障害福祉賞
7月31日(土)消印有効 2つの部門で、体験作文を募集①障害のある本人の部門②障害のある人とともに歩んでいる人の部門【作品発表・表彰】12月に入選作品集を発行、2部門を通じて表彰を行う 所定の応募票を記入の上、作品に添付し、郵送またはホームページにて応募 (社福)NHK厚生文化事業団「障害福祉賞」係 〒150-0041 渋谷区神南1-4-1 第七共同ビル
03-3476-5955 03-3476-5956
https://www.npwo.or.jp/info/19102
第20回定期コンサート
「新倉壮朗の世界」
8月9日(月)13時半~15時半 和光大学ポプリホール鶴川 ダウン症の即興演奏家・新倉壮朗氏のソロコンサート。ギタリスト・大友良英氏、ミュージシャン・菊地成孔氏との即興セッションほか 大人2,000円、小人1,000円、幼児無料 電話またはFAX、メールにて 新倉壮朗コンサート実行委員会
/042-734-7787
takeo_niikura9230@yahoo.co.jp
http://takeoyume.exblog.jp

 

 

【資料ガイド】

会議資料
■地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会(第1回)資料(厚生労働省/5月)
■成年後見制度利用促進専門家会議 第1回成年後見制度の運用改善等に関するワーキンググループ(厚生労働省/6月)
■第1回「障害児通所支援の在り方に関する検討会(オンライン開催)」資料(厚生労働省/6月)
■外国人雇用対策の在り方に関する検討会(第6回)会議資料(厚生労働省/6月)
調査結果
■令和2年度「医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査」の結果(厚生労働省/5月)
■市町村における津波避難計画の策定状況等の調査結果(総務省/6月)
■浸水想定区域・土砂災害警戒区域に立地する学校に関する調査の結果(文部科学省/6月)
その他
■新型コロナウイルス感染症対策に配慮した避難所開設・運営訓練事例集(内閣府/6月)
■新型コロナウイルス感染症対策に配慮した避難所開設・運営訓練ガイドライン(第3版)(内閣府/6月)
■学校の「危機管理マニュアル」等の評価・見直しガイドライン(文部科学省/6月)
■政策委員会「2022(令和4)年度 社会福祉制度・予算等に関する要望書」等(全国社会福祉協議会/6月)

 

 

【くらし】

何かに踏み出すその一歩のきっかけになれたらいい
荒川区にあるジョイフル三ノ輪商店街に約1年前にオープンした街の図書館「なにかし堂」を運営する野口貴裕さんにお話を伺いました。

カメレオンのような場所
なにかし堂は、誰もが使える街の図書館です。子どもたちの放課後の遊び場として、中高生や大学生の居場所として、時には高齢者の方の健康相談の場として、利用する人によって使い方が変化する場所です。
自分たちのやりたいことに取り組むことはもちろんですが「こういうものない?」という地域の方からのリクエストにも応えられるような場所でありたいと思っています。例えば、子どもを持つ地域の親御さんからの声をきっかけに、令和3年4月から塾を始めました。関わる人によって、この場所のあり方は変幻自在です。
ほかにも、大学生の背中を押すことのできる存在でありたいという気持ちがあります。なにかし堂に関わる中で、なんとなく興味を持っていることが具体的になったり、挑戦したい気持ちが生まれたり、学生にとっての「何かが始まるその一歩」をこの場所から踏み出してくれたら嬉しいです。
予定とは全く違う形でのオープン
大学時代は、独学で教育について勉強していましたが「教育関係の専門書は値段が高く手に入れにくい」と感じることが多くありました。そこで、専門書を共同で使うことのできる図書館のようなものがあったらいいと考えるようになり「教育に特化した図書館をつくりたい」という思いで、5、6年前から動き始めました。なかなか物件が見つからなかったのですが、1年半ほど前に偶然この物件に出会いました。学校の先生向けのワークショップの実施などを予定していましたが、新型コロナの影響で、開催が難しくなりました。そのため、利用者を学校の先生に限定せずに、入口を開けていると、思っていたよりも、多くの地域の方々がふらっと立ち寄ってくれました。このことから「地域に住むさまざまな世代の方に向けた居場所にしよう」と思い、令和2年6月に正式にオープンしました。
地域の声が反映されるように、2か月に一度、なにかし堂の運営方針や使い方に関するオープン会議を行っています。スタッフだけでなく、なにかし堂の立ち上げ前から関わりのある学校の先生にファシリテーターとして参加してもらったり、地域の子どもから高齢者の方まで、さまざまな世代の方々に参加してもらったりしています。みんなが使う場所であるからこそ、みんなで話し合う機会を大切にしています。
商店街の面白さ
なにかし堂の強みは商店街の中にあることだと思っています。商店街は、周りの目が常にあるので、地域の子どもや親御さんにとって安心できる場所です。自分たちのような世代がこの商店街に積極的に関わることで、今よりも多くの人が行き交うような空間となり、地域の方同士がつながることができるのではないかと考えています。
幼少期は、両親が共働きだったこともあり、祖父母をはじめとしたさまざま大人に囲まれて過ごしました。また、学校になじめず、不登校だった子が身近にいたこともあり、親や学校の先生以外の大人と関わる環境があることの大切さを実感しています。なにかし堂や商店街がそのような居場所となれればいいと思っています。
一人ひとりの人生に生きがいあふれる瞬間を
この先は、地域で子どもたちの成長を見守り、応援できるようなしくみを定着させていきたいです。「子ども一人を育てるには一つの村が必要」という言葉があるように、多くの大人たちが関わり、子どもがつまずいた時には、頼れる周りの大人の選択肢が多くあるという環境を思い描いています。
そして、子どもや学生、大人たちそれぞれに「今日は楽しかった。また楽しいことがあるかもしれない」と思うことのできる瞬間が訪れてほしいと願っています。「生きがいを感じられる機会や体験を、どうつくり出せるか」をテーマに、時に寄り道しながら、今後も探究・実践し続けていきたいです。

「なにかし堂」の詳細についてはこちらから

 

 

【本】

ゆるやかに紡ぐ PartⅡ(コロナ禍編)
コロナ禍の社会福祉法人の地域における
公益的な取組み
平成28年に東京都地域公益活動推進協議会(推進協)が設立され、今年で6年目を迎えます。推進協では、地域公益活動の「見える化」を推進しています。本書には、昨年度行われた「実践発表会」で発表された事例をもとに、編集し掲載しています。また、取組み事例の一つをマンガで表現する試みも行っています。
◆規格 四六判/154頁 ◆発売日 2021.6.21
◆定価:880円(本体800円+税10%)
ゆるやかに紡ぐ
社会福祉法人の地域における公益的な取組み
本冊子は、平成29年と30年に実施した「実践発表会」の中で発表された7つの法人の取組みをまとめています。上記の書籍と併せて、ぜひご活用ください。
◆規格 四六判/135頁 ◆発売日 2019.8.30
◆定価:880円(本体800円+税10%)
地域包括支援センターの現場に聞いた
小さな工夫
~センター業務を促進するためのリスクマネジメント~
東京都高齢者福祉施設協議会センター分科会は、業務効率化のための工夫やリスクマネジメントについて複数のセンターに調査し、その結果をまとめました。ほかのセンターの実践事例を知ることは、自分たちの取組みを振り返ることにもつながります。ぜひご活用ください。
◆規格 A4判/112頁 ◆発売日 2016.11.21
◆定価:1,100円(本体1,000円+税10%)

月刊「福祉広報」

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