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福祉広報 2021年9月 752号 テキストデータ


【表紙】
西東京市 小学5年生の清孝くん
住宅の一角にぱっと広がる“みんなの畑”
手と手を合わせ育てた野菜は愛情たっぷり
収穫どきには思わず笑顔がこぼれ出す

社会福祉NOW
コロナ禍におけるDV等の防止に向けた被害者支援の取組み
トピックス
ポルケフォーラム2021
2019年台風19号被害から考えるこれからの防災・減災
〜主催:精神障害当事者会ポルケ
【連載】地域における多文化共生のいま②
外国にルーツのある子どもたちの学びをサポートする
〜認定NPO法人多文化共生センター東京
み〜つけた
誰もが参加できる「農」を通じたコミュニティづくり
みんなの畑
〜西東京農地保全協議会



【NOW】
コロナ禍におけるDV等の防止に向けた被害者支援の取組み
令和3年3月、内閣府は成人女性の約4人に1人は配偶者から、約6人に1人は交際相手から暴力被害の経験があると報告しました(※1)。また、警察庁は令和2年に全国の警察が把握したドメスティック・バイオレンス(以下、DV)の相談件数が82,643件と、DV防止法(※2)施行後最多を更新したと発表しました(※3)。
新型コロナの感染拡大や感染防止対策の影響による在宅時間の増加は、DV被害を増加、深刻化させるといわれています。これに対し、内閣府は令和2年4月に「DV相談+(プラス)」(※4)を緊急的に開始するなどの対策をすすめています。
今号では、DV被害者への支援に携わる団体の事例から支援の現状と課題についてお伝えします。
(※1) 内閣府 令和3年3月『男女間における暴力に関する調査報告書』
(※2) 正式名称は「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」
(※3) 警察庁 令和3年3月「令和2年におけるストーカー事案及び配偶者からの暴力事案等への対応状況について」
(※4) 24時間の電話相談や、多言語対応のSNS、メール相談、同行支援や緊急保護等の支援を総合的に提供するために緊急的に開始したDV相談事業
地域で質の高いDV被害者支援を実現するために
~NPO法人全国女性シェルターネット
全国女性シェルターネット(以下、シェルターネット)は、DVサポートシェルター等を運営する民間団体の全国ネットワーク組織です。現在、60の加盟団体が国内外のネットワークをつなぎ、DVや性暴力被害者のための緊急避難・回復支援施設の運営をはじめ、女性に対する暴力の根絶をめざすための意識啓発活動や、調査・政策提言活動等を行っています。
コロナ禍におけるDVや虐待防止対策を国に要望
新型コロナの感染拡大がすすみ始めた令和2年3月末、シェルターネットは、DV被害者からの相談の増加を予測し「支援団体の電話相談回線の増設」、「避難を求める人への迅速な一時保護体制の整備」、「世帯主に支給される特別定額給付金の柔軟な給付対応」等を求める要望書を国に提出しました。シェルターネットの共同代表で、広島大学ハラスメント相談室准教授の北仲千里さんは「これまでの経験から、災害などの非常時にはDVや虐待が深刻化する傾向にあった。新型コロナの影響による経済状況の悪化や自宅待機等により、DVや児童虐待が増加することが懸念された」と振り返ります。
この要望等を受け、国は「DV相談+」を開設しました。また、配偶者等からの暴力等を理由に避難している方で、住民票を移すことができない方が所定の手続きにより、特別定額給付金を受け取ることができる措置を講じました。
北仲さんは「DV被害により避難している方に直接特別定額給付金が支給されるようになったのは大きな動きだった。また、『DV相談+』には新型コロナが流行する以前からあったDVに関する相談も多く寄せられており、改めて現在起こっている切実な被害が明らかとなった」と話します。
社会問題の悪化がDV被害の深刻化に影響
コロナ禍におけるDV相談の傾向として「新型コロナへの不安から精神的不安に陥り、相談に行けなくなる」、「在宅勤務や失業等でパートナーの在宅時間が増え、面談や電話での相談ができなくなった」などのケースが目立つようになったといいます。北仲さんは「初回から緊急性の高い相談が多く、これまで以上に迅速な対応が求められるようになった。新型コロナの影響による失業や減収、就職難は被害者の被害防止や自立への大きな障壁となっている。家から逃げ出せたとしても働く目途がつかず、貧困に陥ってしまう状況。社会問題の悪化が、DVの被害を深刻化させている」と危機感を示します。
また、パートナー等からSNSを通じて性的な画像・動画を要求されたり、同意なく拡散されるといった「デジタル性暴力」に関する相談が急増しています。北仲さんは「デジタル性暴力に対処できる法律が現状はなく、拡散された画像を抹消するには、デジタル系の専門的なノウハウが必要となる。今までとは異なった対応が求められている」と話します。
新型コロナの感染が拡大して以降、SNSやメールによる相談窓口の開設が全国各地ですすめられています。SNSやメールでの相談は、匿名性が高く、気軽に相談できる一方で、相談者の回答を待つタイムラグが生じるため、緊急度を即座に読み取ることが難しいという特徴があります。北仲さんは「面談、電話、SNS、メールの順に円滑なコミュニケーションが難しくなる。また、電話やSNS、メール相談窓口を開設している団体が面談機能を持っていない場合、傾聴や助言、関係機関の紹介にとどまり、直接支援に発展しづらいという課題がある」と話します。
専門性を持って対応できる人材の育成
深刻化するDV被害に対応するため、北仲さんは「地域で支援するしくみの構築と、人材育成は急務」と強調します。被害に迅速に対応するためには、入口の相談から支援、その後のサポートまでを身近な地域で一貫して行えるしくみが必要といいます。また、シェルターネットでは、3年8月に一般社団法人ジェンダーベイスト・バイオレンス専門支援員養成センターを立ち上げ、DV被害者への支援を行う相談員の育成カリキュラムを考案しています。北仲さんは「カリキュラムの実施を通して相談員の知識を高め、専門性を持って困難なケースに対応できる人材を育成したい」と語ります。
DV相談のアウトリーチ化と理解促進をめざして
~NPO法人女性ネットSaya-Saya~
女性ネットSaya-Saya(以下、Saya-Saya)は、DV被害にあった女性や子どもたちの安全な生活と心の回復をめざし、社会とのつながりづくりと就労を支援する活動を行っており、DV被害者等のニーズに合わせたさまざまなプログラム展開を強みとしています。
コロナ禍における相談の入口とその後の支援
Saya-Sayaでは、2年3月頃から電話相談の件数が急激に減少しました。代表理事の松本和子さんは「コロナ禍の影響によりパートナー等が在宅で過ごす時間が増え、家庭内から電話相談ができなくなった背景がある」と話します。同年4月からは、電話相談ができる時間の枠を増やしたほか、もともと行っていた思春期対象のLINE相談に加えるかたちでDV被害者専用のLINE相談を始めるなど、相談の入口を拡大しました。松本さんは「これまで声をあげられなかったDV被害者も多くいる。LINE相談はそのような方々が気軽に相談することができる大きな入口になった」と言います。
相談の入口が広がった一方で、民間シェルターを利用できる枠には限りがあり、支援につなげられないDV被害者も多い現状があります。松本さんは「コロナ禍で、避難したくてもできない人がたくさんいる。声をあげられるツールが増えたことは事実だが、相談した先の支援の確立はまだまだ困難であり今後の課題」と話します。
地域の隣人として寄り添うアウトリーチ
Saya-Sayaでは、平成31年1月から子育て交流広場を拠点としながら「家庭訪問型子育て支援・ホームスタート事業(※5)」を実施しています。元年度には都内の子ども家庭支援センターから委託を受け、要支援家庭に訪問員を派遣する事業も実施しました。また、2年度からは都内の児童相談所から委託を受け、女性支援やDV被害者支援の相談員を派遣し、DVの疑いがある家庭へ訪問するアウトリーチの取組みを始めました。
松本さんは「アウトリーチを通して声をあげられずに悩んでいる被害者が地域の中にまだたくさんいることを実感した。加害者の下を離れても、コロナ禍の影響による経済状況の悪化で、誰にも相談できずに孤立化する女性も大勢いる」と話します。続けて「コロナ禍だからこそ、地域の中で被害者の声に気づき、耳を傾けられる人が必要。理想は〝地域の隣人〟のように、対等な関係で被害者の気持ちに寄り添える存在」と語ります。
DVの理解と認識を深める地域社会に
DV被害者等への一時的な避難場所の提供等の支援を行っている、全国の社会福祉法人施設を対象に内閣府が行った調査(※6)では、DV被害者支援を行う上での課題として『ノウハウ不足』と回答した施設が約3割を占めています。
松本さんは「専門的な知識がないとDV被害者への支援は難しい部分がある。社会福祉法人がDVに関心を持っていただき理解の促進に取組んでくれると大きな力になる」と話します。
「地域社会の中でもDVの認識はほとんどされておらず、DVの理解もまだまだ広がっていない。被害に合わないようにしましょうというメッセージではなく、加害行動をしないようにしましょうというメッセージが地域社会には必要」と松本さんは語ります。
広島大学ハラスメント相談室准教授
全国女性シェルターネット共同代表
北仲千里さん
女性ネットSaya-Saya代表理事 松本和子さん

(※5) 研修を受けた地域の子育て経験者が週に1回2時間程度家庭を訪問する子育て支援ボランティア事業
(※6) 内閣府 令和3年3月『社会福祉法人におけるDV被害者等への一時的な避難場所の提供等の支援に関する事例調査報告書』




【トピックス】
ポルケフォーラム2021
2019年台風19号被害から考えるこれからの防災・減災
▼ 主催:精神障害当事者会ポルケ
令和3年7月31日(土)、大田区入新井集会室で、会場とオンラインをつないだハイブリッド形式にて「ポルケフォーラム2021 2019年台風19号被害から考えるこれからの防災・減災」が開催されました。
精神障害当事者会ポルケ(以下、ポルケ)は、精神障害当事者により運営される団体で、平成28年に発足しました。大田区を拠点とし、当事者の交流の場や学びの場のほか、障害者権利条約など国際的な視点に立ちながら、地域社会との積極的な交流や働きかけを行っています。また「障害と防災」をテーマに学習活動にも取り組んでおり、障害者団体としての地域防災との向き合い方や今後のあり方などの検討も行っています。
大田区が取り組む「マイ・タイムライン講習会」
このフォーラムでは、まず初めに、大田区防災危機管理課係長の和田洋治さんから「マイ・タイムライン講習会」の実施結果等についての報告がありました。「マイ・タイムライン」とは、台風等の接近により風水害の恐れがあるなど、いざという時に避難に備えた行動を取ることができるよう、時系列に整理し、住民一人ひとりが作成する防災行動計画です。講習会では、河川情報の専門家が、気象災害の特徴や災害時に発信される情報収集の方法、避難時のポイント等を解説し、「マイ・タイムライン」の作成をサポートします。大田区では、令和元年度より区民向けに講習会を実施しています。ほかにも「水防災講演会」の実施や必要な災害情報が集約された「大田区防災アプリ」を作成するなど、普及啓発に力を入れています。
これからの防災・減災のあり方について
次に、ポルケ代表の山田悠平さんから『2019年台風19号被害から考えるこれからの防災・減災の在り方 報告書』についての報告がありました。この報告書は、令和元年に発生した台風19号の経験に基づき、今後の防災計画や障害者団体として今後取り組むべき行動についてまとめたものです。プロジェクトの実施にあたり、ポルケでは、日本障害フォーラムとの連携をはかりながら、マーシーリリーフ基金、真如苑市民防災減災活動公募助成を活用し、令和2年4月から、防災啓発活動団体や障害福祉関係者、学識経験者、熊本地震の被災・支援経験のある障害当事者の参画による実行委員会を開催してきました。報告では、大田区内の行政機関や福祉関係者、障害当事者へのインタビューやヒアリング、アンケート調査から見えてきた課題などが紹介されました。
台風19号発生当時の福祉避難所の利用について、山田さんは「利用者数は77名と非常に少なかったが、利用者数が少ないからニーズがないとは限らない。実施したインタビューでは『利用したくてもできなかった』といった声もあり、数字に表れていない部分についても気にかけることが大切」と言います。
また、服薬や医療的ケアが必要な精神障害者も地域には暮らしており、災害の規模によっては薬などが手に入らなくなることも想定され、その場合の対応についてもさまざまな立場からの検討が必要と指摘します。
さらに、防災会議等に障害当事者として参加して、このような経験を訴えていくことの大切さを強調するとともに、自分たちにできることを考える必要性についても触れました。「災害や防災について考えることは、心理的負担もある。『なるべく考えたくない』などの声があるので、マイ・タイムライン講習会のような楽しく防災について学べる機会があるのはありがたい」とし、「このような場に障害当事者も積極的に参加することで、障害理解のきっかけとなったり、地域とつながったりできるのではないか」と話します。
「災害時避難を考える」
続いて、NPO法人福祉コミュニティ大田の代表理事の浜洋子さんから、災害時避難について発言がありました。台風19号の際の大田区での状況が、当時の現場の写真を交えながら取り上げられました。災害への備えを事前にしっかりとしていたことでスムーズに避難ができた事例や、避難所の周知や認識が不十分で混乱が生じた事例などを紹介しました。あわせて、東日本大震災時の自身のボランティア経験などをふまえて「災害時に声をかけて助け合えるような、地域での関係性づくりが非常に大切」とし、「そのような関係性を、大田区をはじめ、都市部ではどのように築き上げていくのか考えていかなければいけない」と指摘します。
また、行政などの公的機関と民間団体や地域住民が連携し、並行して災害への備えをする必要があるといいます。「行政はハザードマップを作成するだけでなく、地域の危険度を把握するなどのリスク管理や、住民への広報や周知といった幅広い役割がある。そして、私たち住民にも、災害に関する情報収集、ハザードマップや避難場所・経路の確認をする役割がある」と話します。
まとめ
最後に、東京大学総合文化研究科・教養学部教養教育高度化機構特任准教授の井筒節さんによる国際的な防災の枠組みの観点からまとめがありました。平成27年に宮城県仙台市で行われた「第3回国連防災世界会議」で合意された「仙台防災枠組」では、初めて防災に障害者の視点が取り込まれ、障害者を防災の主要な担い手にする考え方が盛り込まれたことが紹介されました。
井筒さんは、特に「4つの優先行動(※)」について触れ、「平時から、知的障害者や精神障害者等からの視点で災害時のリスクを考える必要があり、災害リスクについて学ぶ場やプログラムを行う際には、その過程に障害当事者の方が入ることが大切」と言います。続けて「障害当事者の意見を取り入れることで、防災に限らず、より包括的な社会をつくっていくことができる」と話します。
そして「今回のフォーラムのような障害当事者や民間団体、行政が立場を超えて集まり、情報共有できる機会は非常に大切だが少ないので、貴重な時間だった」と締めくくりました。
(※)「4つの優先行動」…①災害リスクの理解、②災害リスクの管理のための災害リスクガバナンスの強化、③レジリエンスのための災害リスク軽減への投資、④効果的な対応のために災害準備の強化と回復・復旧・復興に向けた「より良い復興」




【マンスリー】2021.7.26 - 8.25
8/13
47都道府県で最低賃金を引き上げ
厚労省は、令和3年度の地域別最低賃金の改定額を取りまとめた。全国加重平均額は昨年度から28円引き上げの930円で、過去最高額となった。東京都は最高額の1,041円であった。答申された改定額は、都道府県労働局長の決定により、10月1日から10月上旬までの間に順次発効される予定。
7/9
第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数を公表
厚労省は、第8期介護保険事業計画の介護サービス見込み量等に基づき、都道府県が推計した介護職員の必要数を推計。2019年度の介護職員数約211万人に対し、2023年度には約233万人、2025年度に約243万人、2040年度には約280万人の介護職員が必要と公表。
7/27
都立高校6校目となる「チャレンジスクール」が足立区で開校へ
不登校や中途退学等を経験し、これまで能力や適性を活かしきれなかった生徒などが、自分のライフスタイルや学習ペースに合わせながら、新たに目標を見つけてチャレンジする高校「チャレンジスクール」を足立区に開校することが決定。開校は令和4年4月で、キャリア教育をはじめ、学び直しから大学進学支援まで、多種多様な学びの場を提供する方針。
7/30
「令和3年版厚生労働白書」を公表
厚労省は「令和3年版厚生労働白書」を公表。2部構成で、第1部では「新型コロナウイルス感染症と社会保障」をテーマに、新型コロナの感染拡大による国民生活への影響やその対応について分析を行うとともに、社会的危機における社会保障の役割や課題について考察している。




【連載】2
地域における多文化共生のいま
~東京で暮らす外国にルーツのある方たちをとりまくさまざまな活動・現状と課題~
日本に住む外国にルーツのある方は、言葉や文化、生活習慣の違いなどから、普段の暮らしや地域住民との関係の中でさまざまな困りごとを抱えています。これを解決するために、都内では日本語教室や学習支援、相談支援、外国にルーツのある方と地域住民が相互理解を深めるための交流など、多くの取組みが行われています。
本連載では、同じ地域に暮らす一員である彼らの日常生活のサポートや住民同士の交流を深める取組みを紹介し、多文化共生をすすめる各地域での活動から見える現状や課題を発信していきます。
今号では、高校への進学支援を中心に、外国にルーツのある子どもたちの教育支援を行う団体の取組みを紹介します。
外国にルーツのある子どもたちの学びをサポートする
認定NPO法人多文化共生センター東京
「国籍や言語、文化の違いをお互いに尊重する社会を目指す」ことをビジョンに掲げ、高校への進学支援を中心に「たぶんかフリースクール」の運営、多言語による高校進学ガイダンス等を行っている。
多文化共生センター東京のスタッフの方々
写真右が代表理事の枦木典子さん
認定NPO法人多文化共生センター東京(以下、多文化共生センター東京)は、平成13年に設立され、高校への進学支援を主として、外国にルーツのある子どもたちの教育支援を行っています。代表理事の枦木典子さんに活動と活動を通して見えている課題を伺いました。
活動の概要
法人設立当初より「日本語を母語としない親子のための高校進学ガイダンス」や学習支援教室「子どもプロジェクト」をスタートさせ、平成17年には「たぶんかフリースクール」を荒川区内に開設しました。その後、荒川区の委託事業で、来日後間もない区内の中学校に通う生徒が対象の「ハートフル日本語適応指導事業」やボランティアによる土曜日「親子日本語クラス」など、複数の活動を開始しました。土曜ボランティア活動では、子どもたちに遅れがちな教科の学習をはじめとしたサポートを行い、親には学校のお便りや役所の書類等の説明を通じて日常生活もサポートしています。ボランティアは学生からシニアまで、年齢も国籍も多様です。中には、子どもの時に学習支援を受け、社会人になってからは、教える側で活躍している人もいます。
また、「たぶんかフリースクール」は、公教育の狭間で支援がない子どもたちに学ぶ場や居場所を提供しています。母国で中学校を卒業して高校進学をめざす学齢超過の子どもたちや、来日して日が浅く日本語の初期指導を必要とする子どもたちが学んでいます。毎週火曜日から金曜日まで日本語、数学、英語を学校と同様に時間割を組んで学びます。子どもたちは日本語のレベルに合わせてクラス分けされ、元教員や日本語教師養成講座修了者等が教えています。日本を含む20数か国の国籍の子どもたちが、毎年50~60名通学しています。学校以外で学校のように学べる場所は限られているため、埼玉県や千葉県なども含め、都内外から通う生徒が多くいます。荒川校のほかには杉並校があり、開設以来約700名の生徒が卒業し、高校へと進学しています。
外国にルーツのある子どもたちが抱える課題
日本に住む外国にルーツのある子どもたちは、年々増加傾向にあります。文部科学省「外国人の子供の就学状況等調査結果」(令和2年)によると、「学齢相当の外国人の子供の住民基本台帳上の人数」は12万3千830人(小学生相当+中学生相当)、「不就学の可能性があると考えられる外国人の子供」は約2万人いるとされています。
このような状況の中、彼らの抱える課題として、枦木さんは「言葉の壁、制度の壁があり、外国にルーツのある子どもたちは、日本で教育を受ける権利が十分に保障されていない」と指摘します。憲法、教育基本法では、「国民」は義務教育が保障されています。一方、外国籍の子どもたちに教育を受けさせることは義務ではありません。
現在の制度では、来日した時に学齢(14歳以下)であれば、希望すれば日本の公立小学校、中学校へ編入することができるとされています。しかし、日本語が十分でないことを理由に義務教育につながらない不就学の小中学生も多くいるのです。また、母国で義務教育を終えた15歳以上の子どもや高校生だった子どもは公的に学べる場が少なく、情報の少なさや受験要件の複雑さのため、高校進学が難しい現状があります。日本には、学びたくても学ぶ機会がない子どもたちがいるのです。この子どもたちを多文化共生センター東京や、さまざまな民間団体が支援しています。「現在の日本では、高校に進学しなければ将来の選択肢が少なくなる。今後、日本社会で長く生きていく彼らにとって切実な問題だ」と枦木さんは語ります。
また、多文化共生センター東京では、教育に関するさまざまな相談を年間280件ほど受けています。例えば「日本語を学ぶ場所はどこにあるか」といった親からの相談や、不登校の子どもについてスクールソーシャルワーカーからの相談などがあります。
新型コロナによる影響
令和2年から感染拡大している新型コロナにより各活動に影響が出ています。「日本語を母語としない親子のための高校進学ガイダンス」は予約制に変更したため、通常は1回に200人ほど来場していた参加者が、4分の1程度に減少しました。「たぶんかフリースクール」では授業時間数を減らし、アクリル板を机に設置する等、感染症対策を施して授業を行っています。また、企業からの支援を得てオンラインでの授業実施に向けた準備も始まっています。
他方、両親が飲食店で働いているなどで経済的に影響を受けている家庭からの生活に関する相談も増えています。「関係機関とのネットワークを活用しながら相談に対応している。コロナ禍になり、昨年は休校していた期間もあった。より孤立しがちな彼らとつながっていられるようにしたい」と枦木さんは話します。
子どもたちは多様な可能性を秘めている
枦木さんは「法人設立当時、外国にルーツのある子どもたちの存在は、まだ社会に広く認識されていなかった。2010年代に入り、メディアで外国にルーツのある子どもたちの問題が取り上げられるようになり、支援団体も徐々に増えてきた。最初は同じ国のコミュニティ内で私たちの活動が伝わり相談が入っていたが、現在は自治体の多文化共生担当部署や東京都教育相談センターなど幅広い関係団体から相談が入るようになった」と語ります。一方で「今でも体制は十分に整っておらず、多くの課題がある」と話します。それは、やさしい日本語や多言語による発信、学習支援のための場所の確保、人材育成、教材やプログラムの整備、高校進学後、卒業後のサポート等です。これらに対し、多文化共生センター東京では、専門用語の多い数学や理科について「多言語学習用語集」の作成や、東京都教育委員会との協働事業として令和2年から実施している「在京外国人枠校(※)への多文化共生教育スクールコーディネーター派遣」を通して高校に進学した生徒のサポートを行っています。
「外国にルーツを持つ子どもたちは、多様性にあふれ、社会で活躍できるあらゆる可能性を持っている。そんな彼らと一緒に地域を創っていくことは、社会の活力になり、豊かさにつながっていくと思う。これからもさまざまな団体と連携し支援していきたい」と枦木さんは話します。
(※)都立高校のうち8校では、在京外国人生徒対象の入試を行っている。
「たぶんかフリースクール」授業の様子




【み〜つけた】
誰もが参加できる「農」を通じたコミュニティづくり
みんなの畑
みんなの畑
(運営:西東京農地保全協議会)
西東京市芝久保町
「野菜を育てる。コミュニティを育てる。」をコンセプトに、誰もが参加できる「ごしゃまぜな農体験」、イベント、ハンディキャップを持っている方々への農的就労支援を行う。
オープンデーは毎週水曜日午前中。
ホームページ
https://www.minhata.com/

西東京市にある「みんなの畑」は、誰もが参加できる「農」を通じた地域の居場所です。子どもも大人も高齢者も、ハンディキャップがある人、ない人も集まり、ひとつの畑で作物を育て、収穫し、味わう過程を通して、人と人がつながり、助け合える関係をつくることをめざす市民活動です。
「みんなの畑」を運営する西東京農地保全協議会(以下、ノウマチ)は、会長の岩崎智之さんの「福祉分野でまちを盛り上げたい」という思いと、事務局長の若尾健太郎さんの「農業でまちを盛り上げたい」という思いが出会い、平成25年に立ち上がりました。当初は、デイサービスセンターに通う高齢者を農家さんのもとにつれて、収穫体験や軽作業をしていました。ただ、農家さんが本業の傍ら、体験活動をサポートすることは難しいため、いつ、どのような作業ができるかという調整が難しく、若尾さんはより良い活動方法について考えていました。
同じ頃、西東京市市民協働推進センター「ゆめこらぼ」で「ごしゃまぜの居場所づくり」をテーマにした話し合いが行われていました。高齢者だけではなく、障害者や公民館、社会福祉協議会などさまざまな分野からの参加者が集まり、地域の多様な人々が集える場について複数回に渡って話し合いました。その中で、ノウマチでその場を体現できないか、ということになり、現在の誰もが参加できる活動につながりました。
その後、活動に理解のある地主さんの協力で農作業できる場所が確保でき、一面芝生だった土地を手作業で開墾するところから「みんなの畑」がスタートしました。
交流の時間も大切に
毎週水曜日の誰でも参加できるオープンデーには、人づてに話を聞いた地域住民や福祉施設の利用者と職員、インターネットを通じて活動を知った方など、20名ほどの人が一つの畑に集います。
夏休みが始まっていた取材当日にも、子どもや近隣住民、就労継続B型作業所の利用者、就労支援事業の利用者、デイサービスの利用者など、さまざまな方が集まりました。参加していた小学5年生の男の子は「畑いじりをやってみたいと思っていた。インターネットでみんなの畑を知り、面白そうだと思って参加した」と話します。
畑では季節に合わせて、人参やじゃがいも、玉ねぎ、ナス、トマト等の野菜のほか、販売用に単価の高いにんにくや珍しいハーブなど多種多様な作物が育てられています。そして、育てた夏野菜でカレーづくりやビアガーデン、畑に生えた雑草を使って染め物体験など、イベントも開催しています。コロナ禍前には2か月に1回程度イベントを開催していました。
畑では、収穫物を喜んだり、大変な作業は何人かで分担したり常に明るい声が行き交います。どんなイベントをしたいか、という話も作業中の話題に上るため、そこから「次はこれを育てよう」と育てる作物も自然と決まることが多いといいます。若尾さんは「食は人にとってなくてはならないものであると同時に楽しみにもなる大切な営み」と話します。続けて「地域の課題を真正面から解決しようとするだけではついてくる人は少ないと思う。農作業ももちろん楽しいけれど、途中でおしゃべりをしたり時々のイベントで盛り上がったり、楽しみとなる交流の時間も大切にしている」と活動の中で意識していることを話します。
「お隣に醤油を借りにいく」ようなコミュニティをつくりたい
このような「農」と「食」を土台にした活動の背景には、時代とともに畑や緑が少なくなり、子どもたちの原体験や原風景がなくなってしまうことへの危機感があったといいます。また、虐待や孤独死といった社会問題もコミュニティのつながりが薄くなったことが大きく影響しているのではないかという思いもありました。若尾さんは「そのような社会問題に対して一つ一つ対応するのではなく、横串を通した対応が必要だと思った」と話します。
また、若尾さん自身が青年海外協力隊として、グアテマラ共和国で活動した経験も農業をテーマにした居場所づくりの背景にあります。「農業が生活の中心にあるグアテマラでは、食、労働、勉強、政治、住居が半径1kmの範囲で完結し、そのコミュニティで自然と助け合いながら生活が成り立っていることが衝撃だった。改めて、農業がコミュニティにとって重要なものだと実感した」と振り返ります。
地域に顔見知りが増え、お互いに気遣い合う関係になれば、暮らしやすいコミュニティが自然と生まれ、一人ひとりの強みを活かして助け合えれば解消する課題もある、という思いが活動の原動力になっています。
若尾さんは「ただ昔の日本の姿に戻るということではなく、これからどんな地域をつくっていきたいかを地域の皆さんと一緒に描いていきたい。まずは、お隣にちょっと醤油を借りにいく、顔を合わせたらちょっと雑談する、そんなつながりをつくるところから始めたい」と話します。
「ごしゃまぜの居場所」
どんな人でも参加できるからこそ、地域のさまざまな立場の人との出会いがあります。そして、一人ひとりの得意不得意を活かし、お互いに補い合いながら、同じことを体験して、成果を共有し、それを喜んだり楽しんだりする農作業では、一体感もより大きなものになるといいます。若尾さんは「就労継続支援B型作業所の参加者からは『社会との接点ができることがうれしい』という反応があった。ほかにも、就労支援を通じて参加していた若者が、就労につながることもあった。農作業を通じて他者と自然にコミュニケーションが取れることや育てた作物が大きくなる達成感、自分が得意なことを見つけるヒントを得ることが、自信につながっているのだと思う」と言います。また「退職したシニアの方々からは『居場所ができたことがうれしい』という声もあった」と活動の成果が多くの人に広がっていることの喜びを話します。
これからの展望
今後について、若尾さんは「これからも活動を続け、地域の一員として、地域の問題を地域で解決できるようになりたい」と話します。
そのためには、資金調達のしくみも重要です。若尾さんは「つくった野菜を売ることのほか、行政の支援、民間の助成を受けながら活動を継続していきたい。ゆくゆくは市民活動に留まらず、ソーシャルビジネスとして事業が回り続けるしくみをつくり、さらなる地域づくりにチャレンジしていきたい」と今後の抱負を話します。
西東京農地保全協議会事務局長
若尾健太郎さん
サツマイモのつる返しの様子
てきぱきと草刈りをされていました
「みんなの畑」の皆さん
収穫した野菜の一部




【東社協発】
2021年 西脇基金チャリティーコンサートを開催します
【西脇基金チャリティーコンサートとは】
西脇基金は、西脇和昭氏の遺志によりご遺族からの寄附を受け、東京都社会福祉協議会に設置している基金です。児童養護施設や里親のもとで暮らしている子どもたちが、大学・短大・各種学校等へ進学する際の学費を支援しています。
基金創設以来34年間で、延べ3,000人以上の子どもたちに奨学金を給付してきましたが、給付件数の増加等により、その運用益だけでは必要な給付財源を確保することが難しくなっています。そこで、平成9年に発足した「西脇基金を支える会」により毎年チャリティーコンサートを開催していただき、その収益の全てを東京都社会福祉協議会にご寄附いただくことで、西脇基金の給付に充てさせていただいております。
【ご案内】
今年は新型コロナウイルス感染症の影響により、コンサートの開催についても協議を重ねてきましたが、チャリティーコンサート本来の趣旨に鑑み、感染症対策に十分配慮をした上で、来る9月27日(月)に、なかのZERO大ホールにてコンサートを開催することになりました。
第一部では、国内外で活躍している「鈴木直樹BAND」による、ジャズとタンゴの楽しい協演をお送りします。
第二部では、障害者の文化・芸術活動として海外からも注目を集めている「富岳太鼓」による、オリジナル創作和太鼓の演奏をお送りします。
コンサートを通じて多くの方に西脇基金の活動を知っていただけますと幸いです。
【コンサート概要】
〈2021年 西脇基金チャリティーコンサート〉
日  時:9月27日(月)18時30分〜(18時開場)
場  所:なかのZERO 大ホール(中野駅南口より徒歩5分)
入場料金:(前売り券)自由席:3,000円、指定席:3,500円
(当日券)自由席:3,500円
出  演:鈴木直樹BAND&富岳太鼓
【チケットお問い合わせ・お申込み先】
■自由席・指定席
西脇基金を支える会 (TEL)03-3256-3674
なお都内の感染状況に応じて、開催方法が変更となる場合がございます。詳しくは、上記西脇基金を支える会までご連絡いただきますようお願い致します。またご来場の際には、事前の検温、マスクの着用、会場での手指消毒等ご協力いただき、体調が優れない方は来場をお控えください。


令和3年7月から8月にかけての大雨災害に対する義援金・支援金情報
以下のとおり、義援金を受け付けております。詳細については、受付団体にお問い合わせください。
みなさまのあたたかいご支援よろしくお願いいたします。(8月31日(火)時点)
【義援金】
■日本赤十字社―10月31日(日)まで
●ゆうちょ銀行・郵便局
口座記号番号:00110-9-604276
口座加入者名:日赤令和3年7月大雨災害義援金
●住友銀行
支店名:すずらん支店
口座番号:普通 2787567
●三菱UFJ銀行
支店名:やまびこ支店
口座番号:普通 2105565
●みずほ銀行
支店名:クヌギ支店
口座番号:普通 0620502
※口座名義はいずれも「日本赤十字社(ニホンセキジュウジシャ)」
※地域を限定しての寄附もあります。
■中央共同募金会―12月30日(木)まで
●三井住友銀行
支店名:東京公務部
口座番号:(普)0162529
口座名義:(福)中央共同募金会災害義援金口
●りそな銀行
支店名:東京公務部
口座番号:(普)0126781
口座名義:(福)中央共同募金会
静岡県、島根県、青森県、福岡県、佐賀県、長崎県の特定の被災県への支援も行っています。詳細は、各県共同募金会のホームページ等をご確認ください。
【支援金】
被災地で活動するボランティアグループ・NPO団体に助成するしくみです。
■中央共同募金会
「ボラサポ・令和3年7月豪雨」―12月31日(金)まで
「ボラサポ・令和3年8月豪雨」―令和4年1月31日(月)まで
●三井住友銀行
支店名:東京公務部
口座番号:(普)0162585
口座名義:(福)中央共同募金会
※インターネット募金、クレジットカードやコンビニ、ペイジー等でのご寄付も可能です。
【ホームページ】
その他の情報は、ホームページに随時掲載しております。
東社協ホームページ
(災害関連情報)
https://www.tcsw.tvac.or.jp/saigai/index.html
東京ボランティア・市民活動センター
https://www.tvac.or.jp/news/50655




【アンテナ】8月31日(火)時点の情報です。感染症拡大防止のため、イベントが中止または延期になる可能性があります。詳細は各団体にお問合わせください。
助成金
2021年地域貢献助成事業
9月30日(木)消印有効 「防災・減災活動」「環境保全活動」「子どもの健全育成活動」のいずれかの活動を行う、直近の年間収入が300万円以下で設立1年以上の活動実績があるNPO法人、任意団体、市民団体 上限30万円 ホームぺージで応募後、所定の申請書類に必要事項を記入し、メール こくみん共済 coop本部地域貢献助成事務局
90_shakaikouken@zenrosai.coop
https://www.zenrosai.coop/zenrosai/csr/josei
2021年度社会福祉事業
NPO基盤強化資金助成
「認定NPO法人取得資金助成」
10月8日(金)17時 社会福祉分野で活動し、認定NPO法人の取得を計画している特定非営利活動法人(2021年4月1日以降に認定NPO法人の取得申請を提出している団体等も対象) 上限30万円 ホームページから申請の上、必要書類を郵送 (公財)SOMPO福祉財団 〒160-8338 新宿区西新宿1-26-1
03-3349-9570
https://www.sompo-wf.org/ 
2022年度ヤマト福祉財団助成金
(1)障がい者給料増額支援助成金
就労継続A・B型事業所、生活介護事業所、地域活動支援センターのうち、月額平均給料を一人あたり16,369円以上(就労継続A型事業所は78,975円以上)支給している事業所 50万円~上限500万円、件数は30件程度
(2)障がい者福祉助成金
会議・講演会、ボランティア活動、調査・研究・出版、スポーツ・文化活動など、障害に関する事業を行う団体・事業所 最大100万円
(1)(2)共通
10月1日(金)~11月30日(火)消印有効  所定の申請書類に必要事項を記入し、郵送 (公財)ヤマト福祉財団助成金事務局 〒104-8125 中央区銀座2-16-10
03-3248-0691
https://www.yamato-fukushi.jp
講座・シンポジウム
【オンライン】第43回
総合リハビリテーション研究大会
10月2日(土)9時半~17時 1,500円 「コロナ危機下での障害のある人」をテーマに伊東亜紀子氏による基調講演のほか、複数のパネリストが登壇 9月24日(金) ホームぺージまたは申込書に必要事項を記入の上、メール (公財)日本障害者リハビリテーション協会「第43回総合リハビリテーション研究大会事務局」 〒162-0052 新宿区戸山1-22-1
03-5273-0601
rehab@dinf.ne.jp 
http://www.normanet.ne.jp/~rehab/
【オンライン】
リカバリー全国フォーラム2021
10月16日(土)10時~17時15分※17時15分~オンライン交流会(予定)、17日(日)10時~17時40分 一般7,000円、学生4,000円、家族4,000円、当事者3,000円※賛助会員割引あり 「今こそ考えるピアサポート~人と人とが支え合うことの意味~」をテーマに、熊谷晋一郎氏による基調講演、分科会ほか 10月10日(日)※コンビニ支払いの場合は10月9日(土)まで ホームページ上のフォームより申込、またはFAX (認定 NPO)地域精神保健福祉機構(コンボ内)リカバリー全国フォーラム事務局 〒272-0031 千葉県市川市平田3-5-1 トノックスビル2F
047-320-3870 047-320-3871
https://www.comhbo.net
第45回医療・福祉フォーラム
11月1日(月)13時~17時 日本赤十字社2階大会議室 10,000円※テキスト代等を含む 「ポストコロナ禍の経営戦略」をテーマに、古都賢一氏による基調講演、シンポジウムほか 電話、メール、FAX フォーラム事務局(北隆館)
03-5720-1161 03-5720-1166
care@hokuryukan-ns.co.jp
http://www.hokuryukan-ns.co.jp
その他
第19回読売福祉文化賞
9月30日(木)消印有効 表彰および活動内容の新聞での紹介①一般部門(福祉活動全般)3件、②高齢者福祉部門(高齢者支援活動)3件に対し、トロフィーと活動支援金100万円を顕彰 所定の申請書に必要事項を記入し、郵送 (社福)読売光と愛の事業団 福祉文化賞係 〒100-8055 千代田区大手町1-7-1
03-3217-3473
https://www.yomiuri-hikari.or.jp




【資料ガイド】
会議資料
住まい支援の連携強化のための連絡協議会【第2回資料】(厚生労働省/7月)
令和2年度文部科学白書(文部科学省/7月)
令和2年度「厚生年金・国民年金の収支決算の概要」(厚生労働省/8月)
「障害児の新たな移行調整の枠組みに向けた実務者会議」報告書(厚生労働省/8月)
第10回成年後見制度利用促進専門家会議(web会議)(厚生労働省/8月)
調査結果
令和3年度「出生に関する統計」(厚生労働省/7月)
令和2年度学校保健統計調査(文部科学省/7月)
「東京都の人口(推計)」の概要(令和3年7月1日現在)(都総務局/7月)
都内の保育サービスの状況について(都福祉保健局/7月)
住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(令和3年1月1日現在)(総務省/8月)
その他
コロナ禍における児童福祉施設等の取り組みと今後の対応に向けて(令和2年度における検討内容の整理)(全国社会福祉協議会/7月)
障害者総合支援法のサービス利用説明パンフレット(2021年4月版)(全国社会福祉協議会/7月)
文部科学大臣メッセージ「夏休み後の学校がはじまって、不安や悩みがあるみなさんへ」(文部科学省/8月)
内容等のお問い合わせはそれぞれの団体・出版社へお願いいたします。




【くらし】
片耳難聴の聞こえ方はいろいろ。当事者の思いを発信していきたい
片方の耳が聞こえにくい、もしくは全く聞こえない片耳難聴の人は、国内に少なくとも30万人以上いると推定されています。2019年設立の当事者組織「きこいろ」では、片耳難聴者のQOL向上を目的として、当事者同士のつながりづくりや社会啓発活動に取り組んでいます。代表で言語聴覚士の岡野由実さんにお話を伺いました。
突発性難聴により左耳を失聴
私は13歳の頃に突発性難聴になり、左耳が全く聞こえなくなりました。6歳上の従兄も中学時代に同じ理由で片耳難聴になっていたので「あ、お従兄ちゃんと同じだ」という感じで、そこまでショックを受けませんでした。
片耳難聴になってからは、母から車や自転車が近づいてきたら振り向いて確認するなど口酸っぱく言われていました。学校生活では、右耳で聞きやすいように場所を移動することを自然と身につけ、親しい友人たちはさまざまな配慮をしてくれていたので、それほど大変だった記憶はありません。でも、中学2年の時に先生に私の席を教卓近くの最前列に固定されたことは、とても嫌でした。後ろの席でも聞こえるし、みんなと一緒に席替えをしたかったので。進級時に母を通して学校に伝え、みんなと同じ扱いにしてもらいました。
ある時には事情を知らない人から「耳悪いんじゃないの」と心無い言葉をかけられたこともありました。でも、思い返してみると母はいつでも100%私の味方でいてくれました。それが私にとっては支えであったと感じます。それも従兄の存在があり、母が事前に情報を持っていたことは大きかったと思います。
聞こえにくい3つの場面
片耳難聴は、常に聞こえにくいということではなく、限られた場面で聞こえにくくなることに特徴があります。具体的には「聞こえにくい耳の方から話しかけられると分からない」「騒がしい場面では聞こえにくい」「どこから声がするのか分からない」の3つの場面です。
片耳難聴の人が一番困るのは、限られた友人関係・コミュニティの中で過ごす学生時代ではなく、社会に出てからだと思います。一期一会の人も多く、いちいち「片耳が聞こえません」と相手に伝えることもしませんし、上座下座があったりと自分の努力ではどうしようもない場面が増えてきます。
そうした中、雑音の中で相手の話を聞き漏らしてはいけないとか、アラームが鳴った時に音の方向を聞き取らなければいけないなどの場面で「ちゃんと聞いていない」「対応が遅い」などと言われてしまったことのある当事者もいらっしゃると思います。しかもそれが片耳難聴の特徴のせいではなく、集中力の問題だと捉えてしまっている当事者もいます。本人の聴力レベルや聞こえにくい3つの場面などについて、医療機関から十分な情報提供がなされていないことも少なからずあります。
知ってほしい当事者の気持ち
現在「きこいろ」の活動は、大きく3つの柱があります。1つ目がウェブページやSNSを活用した当事者への情報発信、2つ目が「片耳難聴Cafe」などの当事者同士のつながりづくり、3つ目が社会への啓発活動です。
最初の2つは少しずつ軌道に乗ってきたのですが、社会への啓発についてはまだ不十分で、興味がない人にも情報を届けることを大きな目標として頑張っています。
「きこいろ」が発行するリーフレットの監修をしていますが、家族がどのような場面で気をつけたらいいか、また、職場や学校でどう配慮したらいいかを具体的に伝えたいと思っています。
広く知ってもらいたいのは、私たちの存在を忘れないでほしいということ。当事者が勇気を出して難聴のことを伝えても、普段の会話が問題なくできるので忘れられてしまうことが多いです。もう一つは、片方の耳が聞こえないと、いつもではなく特定の場面で聞こえにくいという特徴があるということです。
片耳難聴の人の困り感は人によって違います。でも共通しているのは「いつも困っているわけじゃないけれど、片耳が聞こえるから大丈夫だろうとも思われたくない」という微妙な気持ちを持っていることかと思います。
こうしたことが広く社会に知られていき、ちょっとした配慮で、当事者の過ごしやすさも大きく違ってきます。これからも社会へ発信していきたいと思っています。
◀「きこいろ」の最新情報はウェブサイトで。ニュースやコラムが掲載されているほか、リーフレットのダウンロードもできます。




【本】
社会福祉法人のための規程集役員会等運営の実務編
本書では、社会福祉法人の役員会等の運営において実務担当者が迷いやすい点を分かりやすく整理し、実務の手順をフローチャートにまとめました。また、定款細則等の規程や様式例を掲載しています。
◆規格 A4判/379頁 ◆発売日 2020.9.2
◆定価:4,400円(本体4,000円+税10%)
令和2年版社会福祉法人会計の実務/第1編月次編
平成30年3月および令和元年5月の厚生労働省令改正ならびに関係局長通知および課長通知の改正をふまえた内容です。会計担当者の疑問の解消、適正な会計データの作成にお役立ていただき、社会福祉事業の円滑な経営にご活用ください。著者:宮内忍氏(公認会計士)、宮内眞木子氏(税理士)
◆規格 A4判/548頁 ◆発売日 2020.9.25
◆定価:6,600円(本体6,000円+税10%)
令和2年版社会福祉法人会計の実務/第2編決算編
令和元年9月に社会福祉法人の組織再編等の合併および事業譲渡に関し、社会福祉法人会計基準省令および運用上の取扱い局長通知が一部改正されました。当該改正は令和3年4月1日施行で、本書はこれらを反映した内容となっています。著者:宮内忍氏(公認会計士)、宮内眞木子氏(税理士)
◆規格 A4判/460頁 ◆発売日 2021.1.25
◆定価:4,400円(本体4,000円+税10%)
 

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