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東京都社会福祉協議会

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福祉広報 2022年2月 757号 テキストデータ

【表紙】

山形県 東村山郡
雪遊び
真冬の寒さも吹き飛ばす
そり滑り大会がはじまるよ

社会福祉NOW
福祉職場の新任職員の定着に向けて
~新任職員の育成に取り組むことで組織全体の底上げへ

福祉のおしごと通信
友だち、仲間、家族として、魅力的な人たちを支える
社会福祉法人しあわせ会 白州いずみの家
支援スタッフ・支援リーダー 田邊謙一さん
【連載】地域における多文化共生のいま⑦
さまざまな壁に向き合い、乗り越え、
自分の力で生きていくことを応援する
NPO法人glolab(グロラボ)
トピックス
ダブルケア当事者と行政・支援者の架け橋をめざす
NPO法人こだまの集い

【NOW】

福祉職場の新任職員の定着に向けて
~新任職員の育成に取り組むことで組織全体の底上げへ~
近年、福祉を学んだことがない人や他業種からの転職者などの「未経験者」の福祉分野への参入が増えていると言われています。一方、離職した介護職員のうち、約6割が勤続3年未満の職員というデータがあり、新任職員の定着が課題の一つとなっていると考えられます(出典:(公財)介護労働安定センター「令和2年度介護労働実態調査」)。
これらの背景から、東社協では、未経験者を含む新任職員の定着に着目し、状況改善に取り組んでいる施設のヒアリングをすすめています。今号では、その中から3施設の取組みを紹介します。

充実した採用と育成、定着を実現するために新たな委員会と制度を創設
~【児童養護施設】公益財団法人生長の家社会事業団 生長の家神の国寮(国立市)
生長の家神の国寮では、2017年度に施設内に人財対策委員会を設立しました。委員会のメンバーは入職15年前後の中堅職員3名で、主に採用・育成・定着に関する取組みを行っています。
新任職員育成のための「チューター制度」を創設
生長の家神の国寮では、育成やOJTのしくみを体系化するため、2018年にチューター制度を創設しました。
新任職員は入職直後に3日間の新人研修を受講します。その際に、業務チェックリストとKPTシート、目標設定シートが同封されたファイルを配布します。業務チェックリストは自分がやるべきルーティン業務を細かくリスト化したもので、KPTシートは「K:Keep良かった・続けたい P:Problem難しかった T:Try次回からやってみよう」を記載する日誌形式のシートです。KPTシートには、チューターや先輩職員が毎日コメントを記入し返信します。目標設定シートは、1、3、6か月目に自ら目標を設定するシートです。研修最終日にはチューターと新任職員との顔合わせと挨拶を行い、ファイルの使い方等を説明して現場での業務がスタートします。
現場に出て1か月目は、チューター職員をはじめ、先輩職員と同じ時間帯で勤務し、業務を覚え、毎日終業前の15分程度で業務チェックリストとKPTシートを用いた業務の振り返りを実施します。2~3か月目は、単独勤務となり、終業前10分程度のKPTシートを用いた振り返りのみを行います。4か月目以降は、KPTシートを用いた振り返りが1か月毎となり、入職してから1年経過するまで続きます。
これらのシートをまとめたファイルは、新任職員の成長度を可視化し、ホーム内の職員全員が共通の目的をもって新任職員の指導にあたるツールとして活用されています。
チューター自身の成長も企図する
チューターは、新任職員と年齢が近く、経験年数が比較的浅い職員です。チューター制度は主に新任職員の育成と定着を目的にしていますが、同時に、年齢が若く、経験年数の浅いチューターの意識を高めることもねらいの一つです。チューターは任命後、2時間程度のチューター研修を受講し、チューター制度のしくみ、チューターの役割などについて事前に学びます。また、チューター研修終了後も、定期的にチューターだけが集まる会議を実施し、チューター自身が抱えている困りごとや不安、悩みなどをチューター同士で話し合える場を設けています。その場には人財対策委員のメンバーも参加し、皆で情報を共有して、さらにより良い取組みにするためのブラッシュアップを行い、ホームの先輩職員にもフィードバックしています。それにより、新任職員のさらなる成長と、チューター自身の成長にもつなげています。
チューターの担当期間は1年間で、年度末にはチューターと新任職員が1年を振り返る会を開催しています。チューターから見た新任職員の成長ぶりを讃えたり、新任職員はチューターにお世話になったことへの感謝の言葉を述べ、「2年目もさらに頑張って行こう」と拍手と笑顔で締めくくります。期間の最後まで新任職員とチューターのコミュニケーションの機会を大切にすることで、チューター制度終了後も困ったことが相談できる職場環境をつくっています。
チューター制度導入後、チューターからは「新任職員の指導を任されたことで視野が広がり、自身の成長につながった」といった声が聞かれています。また、チューター以外の職員からは「チーム支援への意識が高まった」などの声が聞かれており、制度導入が組織全体の意識の向上につながっています。
児童支援部門副主任の増子雄治さんは「チューター制度の意義をさらに明確化し、施設全体に浸透する工夫が必要だと考えている。全職員に目標管理面接を実施するなど、チューター制度の要素を全職員にも当てはめることで、今後は組織全体の底上げを図りたい」と話します。
評価制度と育成制度の見直しにより、新任職員の定着を実現
~【特別養護老人ホーム】社会福祉法人清心福祉会 ファミリーマイホーム(八王子市)
エルダー制度の導入により、指導方針を統一
ファミリーマイホームでは、5~6年前に当時の「育成マニュアル」が機能しておらず、指導が統一されていなかったことにより、新任職員の退職が相次いだ時期がありました。
この状況を受け、2018年度から「エルダー制度」と「育成計画書」を導入しました。育成担当となる職員たちが課題を出し合いながら検討し、育成計画書と業務到達度チェック表を作成しました。育成計画書は、新任職員がめざす成長の期間を明確にし、育成側と新任職員とが相互理解しながら、明確な目標に向かって指導できるものとしました。業務到達度チェック表は、日ごとの到達度が可視化されることで、それを見た職員全員が理解でき、育成担当者以外の職員が新任職員のサポートに付いてもスムーズにフォローすることができるようにしました。制度導入により、指導方針を統一し、職員全体で新任職員の育成にあたるしくみをつくりました。
人事考課を見直して新たな評価方法を導入
田代航也さんがファミリーマイホームの施設長として就任した2020年には、人事考課制度を大きく見直しました。
それまで用いていた人事考課シートは、職種問わず同じ内容の書式でした。ファミリーマイホームでは、介護課、医務課、栄養課など各課において求められる専門性はさまざまです。そこで、適切な評価が行えるよう課ごとに人事考課シートを一新しました。
シートでは、どの課にも共通する大項目として「社会人・組織人としての必須項目」を設けました。挨拶、感謝の言葉などは基本的なマナーとしてだけでなく、職員や、利用者との信頼関係を築く上でとても重要だと考え、人事考課シートにおける中核を担う項目として設定しています。それに続く2つ目の項目として、課ごとに内容が異なる「職務内容に対する必須能力」の項目を設けています。そのほか、自分自身のスキルアップの向上を目的とした「資質向上に向けた目標」、「業務改善・コスト削減に向けた目標」という2項目が続き、合計4項目の構成となっています。
基本的なマナーを底上げすることで、組織全体の意識向上になると考え、小さなことから一つずつ足並みを揃えていくことを意識した人事考課シートとしました。現在、法人全体のスタンダードなシートとして活用しています。
また、シートの改訂にあたり評価を「他者評価」に統一しました。真面目に業務に取り組んでいる職員は自己評価が低い傾向にあるなど、個々の職員の姿勢によって自己評価にばらつきがあったためです。一定の根拠に基づき、公平な視点で評価することができるようにしています。
優れた職員を「ベストマナー賞」で個人評価
そのほかの取組みとしてファミリーマイホームでは2018年度から接遇が優れている職員を表彰する「ベストマナー賞」を実施しています。各職員が一票の投票権をもち「この人の接遇はすごい」と思う職員に投票します。上位10名は掲示をし、うち上位3名については職員の前で表彰します。
それまでは、社会人としての基本的マナーや接遇に関しては、人事考課の中で個別面談を通して定期的に振り返るシステムをつくっていましたが、意識化が十分にすすみませんでした。一方で、これらが優れた職員を評価する習慣もありませんでした。2020年度は新型コロナの影響により個別の表彰としましたが、職員の前で表彰することにより、やりがいにつなげるねらいがあります。
外部の良い取組みを柔軟に取り入れる姿勢
育成考課シートや人事考課シート、ベストマナー賞の創設にあたっては、外部研修や関係団体とのつながりを通じて得た情報が大きかったと言います。田代さんは「自分で調べることはもちろんだが、ノウハウの源泉は常にアンテナを張り巡らせながら、外部研修や各施設で実践されていて良いと思ったものを真似ること。まずは取り入れてみて、その後に法人独自の形にカスタマイズしていくことが、新たな取組みの実践への近道」と話します。
「原理原則」から育成のしくみをつくる
~【障害者支援施設】社会福祉法人龍鳳ライフパートナーこぶし(東久留米市)
新任職員の研修とOJTを重視
ライフパートナーこぶし(以下、こぶし)は、新任職員が「楽しい」「できた」など、成長を感じられるような育成のしくみをつくっています。
階層別研修の中で新任職員向けには、障害の特性の基本から理解できるように「基本コース」を設け、年6回実施しています。内容は、自閉症やダウン症等の特性や心理検査の内容、障害のある方とのコミュニケーションの取り方等です。
階層別研修のほか、OJT、SDS(自己啓発援助制度)も実施しています。OJTは、新任職員1人につき2人のトレーナーおよびチームリーダーが付き、計3人の職員で育成しています。また、新任職員自身が1年後の自分の姿を明確化できる育成計画書や、2年目までに身に付けたい知識・技術・態度について確認できるスキルUPシートも設けています。それらOJTのすべての内容が人事考課制度と紐づき、設定した目標をトレーナーと新任職員が協力して達成できるようにしています。
さまざまな職場内プロジェクトで活性化を図る
こぶしでは、新任職員の育成に力を入れるだけでなく、職場全体の良い雰囲気づくりにも取り組んでいます。例えば、職場の活性化や職員の成長等を目的として、働き方改革プロジェクト「やったる課」や人権プロジェクト課等の職場内プロジェクトがあります。
働き方改革プロジェクトでは、職場環境改善に取り組んでいます。人権プロジェクト課では、利用者や支援者の良いところを見つけて書き出す「良いところ探し」や、肯定的な言葉が自然に出るようにするための「肯定語選手権」などを実施しています。肯定語が飛び交う職場になれば、利用者の権利擁護にもつながるからです。
各課の課長には、4〜5年目以降の中堅層を課長に選出し、課長とサブの職員が中心となり、法人の経営計画や組織図に示した各課の職務分担等に基づいて、1年間の運営計画や予算計画を立てます。そうすることで課自体が小さな会社として捉えられ、マネージングや経営的なスキルの積み重ねにつながり、職員自身のやりがいもアップすると言います。
このように取り組んでいる背景には、離職が相次いだ問題がありました。約8年前、連続して複数人の退職者が出た時期があり「当時はトップダウンで物事をすすめていたこともあり、それに対する不平不満があった。その苦い経験から、何かをやる時には職員に対してきちんと説明し、同意を得た方が良いと学んだ」とサービス管理責任者の坂口麻衣子さんは言います。
そこから「人=職員が育つ視点と利用者さんが育つ視点は一緒」という考え方、そして施設長のトップとしての考えや想いを職員に伝えることを大事にしながら、改善をすすめてきました。
「原理原則」の考え方で接する
新任職員の育成について、施設長の貝沼寿夫さんは、基本的には難しく考えなくて良いのではと言います。「きちんと挨拶をする、嘘や悪口は言わない、約束は守るなど基本的なことができれば十分。さらに雰囲気や人間関係が良ければ新任職員も安心できるだろうし、職員も気持ち良く働き続けてくれると思う。当たり前のことを当たり前にやるという『原理原則』は、昔から変わらない。ここがすごい、やってくれてありがとうと伝える方がお互い心地良い。そうすれば、良い所もちゃんと見てもらっているという安心感が組織の中で充たされるはず」と話します。
● ● ●
現在、東社協では、未経験者を含む福祉職場の新任職員の定着に向けて、彼らがよく抱える困りごと事例やそれを解決するための考え方のヒント、実際の施設での取組み事例等を掲載した冊子を作成しています。今号に掲載した施設のより詳細な取組み内容も掲載します。3月に、本会会員施設等に配布する予定です。

チューター会議の様子
(生長の家神の国寮)

ベストマナー賞表彰の様子
(ファミリーマイホーム)

新人職員と先輩トレーナーによるチームビルディング研修の様子
(ライフパートナーこぶし)

 

 

【福祉のおしごと通信】

友だち、仲間、家族として、魅力的な人たちを支える
山梨県北杜市にある障害者支援施設「白州いずみの家」で働いて4年目になる田邊謙一さんに、現在のお仕事に就くまでの経緯や利用者の方々との関わりへの思い等について、伺いました。

田邊 謙一さん
Kenichi Tanabe
社会福祉法人しあわせ会
白州いずみの家
支援スタッフ・支援リーダー

人との出会いで現在の仕事へ
高校を卒業した後上京し、音響の専門学校に入学しました。吉祥寺にあるアパレルの店舗でアルバイトをし、卒業後はそのまま社員となり、25歳まで働きました。その頃、当時のカフェブームの影響を受け、「30代前半には自分の店を持ちたい」と夢を抱きました。飲食業の経験も積むため、地元の山梨県富士吉田市に帰り、イタリアンとフレンチのレストランで3年間ずつ修行をしました。料理の世界は体育会系で、「あの経験に比べれば何事も大したことない」と思えるほど過酷な日々を過ごしました。
音響を学んだことは仕事には結びつきませんでしたが、20代から趣味で音楽イベントの開催を続けていました。30歳の時、イベントのお客さんに誘われて出会ったクライミングに、どっぷりはまりました。ジムに通い、野外の山の岩肌を登ることにも魅了されました。クライミングに没頭するため、精神的にも時間的にもプライベートと完全に切り替えられる仕事として、清掃業に転職しました。
クライミングを通じて仲良くなった人の中に、現在の職場の上司がいました。人間的な魅力あふれる方で、僕の人柄や接客業の経験を買い、仕事に誘ってくれました。障害のある方と接した経験はありませんでしたが「この人がいる職場なら」と思いました。クライミングに適した岩が多くある北杜市や近隣の甲府市の環境にも惹かれ、37歳だった平成29年に、白州いずみの家に入職しました。
「仲良くなる」ことを目標に
白州いずみの家は、昭和62年に開設した、定員30人と最小規模の入所施設です。いわゆる「都外施設」で、利用者の9割が都内出身です。利用者は日中、屋内と屋外に分かれて活動しています。屋内では織物や木工などの作業、屋外では山に入って木を伐り、薪をつくるなど、この環境ならではの活動も行っています。
初めは、福祉や障害のある方への支援の知識はありませんでした。実際、仕事を始める前の施設見学の際、精神疾患のある方にきつい言葉をかけられたことには衝撃を受けました。でも僕は、どんな仕事に就いた時にも、お客さんや同僚とまず「仲良くなる」ことを目標にしてきました。そのため、まずは友だちとして、仲間として、家族として、利用者の方たちと仲良くなろう、楽しんで生活しよう、と思いました。今は支援スタッフとしての専門的な距離感も知っていますが、「仲良くする」気持ちは、これからもずっと大切にしたいと思っています。
利用者の人間的な魅力に惹かれる
施設見学の時、ダウン症の方に名前を聞かれ、「紙に書いて」と言われて渡しました。勤務開始日に名前を呼んでくれ、友だちのように優しく接してもらったことが忘れられません。その後、彼のケース担当になり、さらに関係が深まりました。担当を交代する際、彼のお母さんが「あなたがいてくれて良かった」と言ってくださったことも印象的で、今でも仕事に向かう原動力になっています。
利用者の方たちは、喜怒哀楽の感情表現が豊かで、一緒にいたいと思わせる魅力にあふれています。かつての職場では、厳しい人間関係で大変な思いをしたこともあります。利用者さんに接していると「これでいいんだよ」と言われているようで、こうありたいと思う毎日です。
怖がらずに柔軟な気持ちで
福祉の仕事は未経験でしたが、研修に積極的に参加し、専門知識を身に付けるよう努力しています。自閉症の方の特性の一つである「同一性の保持」の知識を学んだ時には「自分にも譲れないこだわりはあるな」と、利用者さんへの共感を覚えました。支援方法に迷うこともありますが、毎月のケース会議で話し合い、スタッフに助言をもらって学んでいます。
利用者には高齢に差し掛かった方も多いですが、年齢に関わらずその方の良いところを引き出したい、興味を持てることを増やしたいと思っています。一方で、若く活発で行動障害がある方もおり、限られたスタッフでどう双方に充実した支援を提供できるかは目下の課題です。
福祉の仕事は全国どこでも必要とされています。白州いずみの家はとても良い施設なのでぜひ訪ねてください。まずは障害のある方をむやみに怖がらず、また専門知識で頭でっかちになるのでもなく、人として柔軟に関わってほしいです。そうすればきっと利用者さんに魅せられ、楽しく長く働けると思っています。

 

 

【連載】7

地域における多文化共生のいま
~東京で暮らす外国にルーツのある方たちをとりまくさまざまな活動・現状と課題~

日本に住む外国にルーツのある方は、言葉や文化、生活習慣の違いなどから、普段の暮らしや地域住民との関係の中でさまざまな困りごとを抱えています。これを解決するために、都内では日本語教室や学習支援、相談支援、外国にルーツのある方と地域住民が相互理解を深めるための交流など、多くの取組みが行われています。
本連載では、同じ地域に暮らす一員である彼らの日常生活のサポートや住民同士の交流を深める取組みを紹介し、多文化共生をすすめる各地域での活動から見える現状や課題を発信していきます。
今号では、外国にルーツを持つ高校生等の若者に向けたキャリア教育やコミュニティ創出事業を行う団体の取組みを紹介します。
さまざまな壁に向き合い、乗り越え、自分の力で生きていくことを応援する
NPO法人glolab(グロラボ)
平成30年に任意団体として活動を始め、令和2年にNPO法人化。自分の力で未来を切り開く外国にルーツを持つ若者を応援するコミュニティであり、社会的に自立できることをめざし、進学・キャリアの情報提供、イベント・ワークショップの運営、在留資格の診断や専門家による個別相談を行う。外国にルーツを持つ社会人や学生もスタッフとして活躍。
*NPO法人glolab ホームページ:https://www.glolab.org/

代表理事 柴山智帆さん


子どもたちに伴走し、学び合える場を
代表理事の柴山智帆さんは、もともとは一般企業で働きながら、外国にルーツを持つ子どもたちの高校進学支援をする団体でボランティアをしていました。その後、同団体に転職し、働く中で、「高校生になるまでの支援はあるが、それ以降の若者へのサポートが少ない。何かできないか」という課題意識を持っていました。平成29年に、都立高校に通う外国にルーツを持つ生徒に向けたガイダンスを企画する機会がありました。そこで、現グロラボ副代表理事の景山宙さんと知り合い、「子どもたちに伴走し、継続的な支援がしたい」と意気投合したことが、グロラボ設立の背景です。
平成30年に文部科学省が行った調査(※)によると、日本語指導が必要な高校生と日本全体の高校生を比べると、高校中退率は7倍で、大学進学率は29ポイントも低くなっています。グロラボとしても客観的に現状を把握するために、令和2年に実施したアンケート調査から、主に4つの課題が見えてきました。
外国にルーツを持つ高校生の現状
一つ目は進路選択の課題です。留学生等と異なり、自分の意志で来日した子は少なく、必ずしも日本に対して前向きにとらえているとは限りません。将来の夢や目標が持ちにくい状況の子どもたちについて、代表理事の柴山さんは「どんなに言葉で伝えてもイメージがしづらい。人生のロールモデルとなる先輩の存在が大きいが、出会える機会が少ないのも現状」と話します。
また、在留資格等について教職員が学べる場が限られていることも課題になっています。「在留資格の制限もあり、そのままの在留資格では就職ができなかったり、奨学金が受給できなかったりすることがある。高校の先生もそういった課題を学ぶ場が少なく、生徒の状況を把握していないこともある」と言います。
二つ目は、孤立・精神面等の課題です。希望を抱いて高校に入学をしても、周りの生徒となかなか友達になれなかったり、同じ国の子が多いと、そのコミュニティの中だけで人間関係が完結してしまうなど、孤独感を感じてしまうケースが多いといいます。
三つ目は、教育や進路選択への親の理解不足です。親自身も、進路情報を母語で得られる手段が少なく、子どもたちの相談に乗るのが難しい場合や、生活基盤をつくるために必死に働き、子どもの進路を考える余裕がないことがあります。
四つ目は、日本語習得・教科学習の困難さです。高校では、小中学校に比べて学習内容の難易度が上がり、授業が難しくなります。加えて、アルバイトや部活動もあり、勉強時間が確保しにくくなります。「この問題に対し、文部科学省は、高校生の日本語指導の制度化をめざしている」と、柴山さんは言います。
グロラボの取組み
これら4つの主な課題のうち、グロラボは、支援が特に手薄だと考える日本語指導・教科学習以外の3つの課題に焦点をあて、「知る」「参加する・つながる」「診断する・相談する」をテーマに活動を展開しています。
日本での進学や就職、在留資格等について「知る」ためのツールとし
て、やさしい日本語や多言語を用いて説明する多言語キャリア進路支援動画を制作し、ホームページ上およびYouTubeに掲載しています。情報提供だけでない、自分の将来について考えるきっかけとなり、自己理解につながるような動画も制作しています。また、外国にルーツを持つ先輩の経験や思いをインタビューした記事「ライフストーリー」を順次公開しています。
「参加する・つながる」では、「知った」ことで自分でも何かしようと思った子が挑戦できる機会をつくっています。さまざまな大人に出会い、自分の将来を考える「みらいチャレンジプログラム」を企画し、次世代育成に注力している北海道十勝郡浦幌町と協力し、実施しています。ほかにも、都立高校の定時制で進路選択等についての授業も行っています。
とはいえ、外国にルーツを持つ若者には進路選択にあたって在留資格を考慮しなければいけない等、さまざまな課題があります。そのため、「診断する・相談する」しくみとして、自分の現在の状況を入力し、アルバイトはできるか、就職はできるかなどの回答を多言語で得られるオンラインツールをつくりました。自身の状況を知った上で、相談したい時には、LINE相談ができるようになっています。「相談に答えるだけではなく、周りの力を借りながら、問題解決に取り組めるような力を培ってほしいという思いで、伴走支援ができるよう心がけている」と、柴山さんは話します。
多くの子どもたちに存在を知ってもらう
こうしたツールをつくっても、ホームページ上に置いているだけでは、子どもたちに使ってもらえないという課題も見えてきています。まずは、彼らにとって身近な大人である学校の教職員や支援団体の方に知ってもらうことが大切だと分かりました。そこで、支援者・教職員向けに、在留資格の課題等について学べるオンライン研修会や、多言語キャリア支援動画を紹介するイベントを実施し、つながりを持つようにしています。グロラボが制作している動画などを授業で使ってもらい、子どもたちに紹介してもらうことで、ツールやグロラボの存在を届けることができるようになります。教育現場で実際に使うことで、新たな使い方や可能性を発見することもあります。
外国にルーツを持つ社会人にインタビューをして、ライフストーリーを公開していますが、やさしい日本語を使ってこのライフストーリーのリライト教材を制作し、配信を開始しています。柴山さんは「日本語学習をしながら、ロールモデルとなる先輩の生き方に触れられ、自分について考えるきっかけとなれば」と言います。ツールだけでなく、さまざまな活動で他団体や企業と連携し、ネットワークを使った「面」でのサポートをめざしています。
全ての若者にのびしろがある
柴山さんは「外国にルーツを持つ若者は、言葉の壁や進学・就職率が低いなど、課題が注目されやすい。しかし、多くの壁にぶつかってきたからこそ自分の頭で考える力があり、日本の社会の『当たり前』を問い直すことができる。彼ら彼女らは国籍に限らず、あらゆる分野の『マイノリティ』への理解に長けているのではないか」と、活動の中で若者たちの可能性を感じています。
「外国にルーツを持つことが壁ではなく、利点としてとらえてほしいという思いがある。課題に対してはサポートをし、周りの若者と同じように学校生活を送り、納得感を持って進路選択ができるような社会になってほしい」と話します。


(※)文部科学省「日本語指導が必要な児童生徒の受入状況等に関する調査(平成30年度)」令和元年9月27日
https://www.mext.go.jp/content/20200110_mxt-kyousei01-1421569_00001_02.pdf


グロラボの皆さん

進路について分かりやすく説明する動画

 

 

【トピックス】

ダブルケア当事者と行政・支援者の架け橋をめざす
▼ NPO法人こだまの集い

ダブルケアとは
ダブルケアとは、子育てと介護を同時に行っている状態を意味します。民間保険会社が、2018年に全国の大学生以下の子どもを持つ30~55歳の男女約1万7千名を対象に「ダブルケアとは『子育てと親・義親の世話・見守り・介護が同時期に発生する状況』である」と説明し、行った調査によると、過去、現在、未来においてダブルケアに直面する人の割合は36・6%でした(※)。高齢者人口の増加や出産年齢の高齢化が背景に挙げられ、今後ますますダブルケア当事者の増加が予測されています。
そのような状況に対し、ダブルケア当事者の思いを行政や支援者に届け、支援のしくみや体制整備に貢献することをめざしているのが、「こだまの集い」です。
ダブルケアはマイノリティじゃない
設立の背景には、代表理事である室津瞳さん自身のダブルケアの経験があります。当時第二子を妊娠中だった室津さんは、3歳の子を育てながら看護師としてフルタイム勤務していました。そんな中、実家に帰ったある日、父が末期がんの診断を受けたことを聞いたといいます。父がターミナルケアに入った頃、母もがんを患い、入院しました。室津さんは「今思えばダブルケアになる予兆はあったとも思うが、その時は、育児と両親のケア、妊婦である自分のケア、そして仕事を突然同時に行うことになったという印象だった」と振り返ります。「介護福祉士として働いていた経験もあり、福祉の知識はあったものの、ダブルケアと仕事を両立するための有益な情報や社会資源には結びつかなかった。家族みんながケアしたりされたりしながら必死に生活していた」と、当時のひっ迫した状況を語ります。
「私と同じような状況の人はほかにもいるのではないか」と感じ、調べていく中でダブルケアが決してマイノリティではないこと、一方でダブルケアの状況を支えるためのしくみや体制は足りていないことを知ったといいます。当事者が何についてどのように困っているのかを行政や支援者に届け、ダブルケアの支援体制の整備をめざすため、2019年5月にこだまの集いを設立しました。
困りごとを社会に届ける
こだまの集いは、ダブルケアを経験したメンバーや、保育や介護に関わる事業所を運営するメンバー11名で構成されています。そのため、子育て分野と介護分野の制度に明るく、支援現場のリアルな声、当事者としての経験も併せ持つチームであることが強みです。
現在は、大きく分けて3つの活動を行っています。一つ目は、「ダブルケア366~子育て×介護×仕事の見える化ワークショップ~」です。育児や介護に関するよくある場面がカードに書かれており「自分でやる」「誰かに頼める」と振り分けることで、何を優先したいかという思考を整理し、周囲を頼ることや早期に社会資源につながることをめざす体験型ワークショップです。当事者だけでなく、今後ダブルケアになりそうという方や支援者の参加もあり、オンラインで2か月に1回程度開催しています。室津さんは「遊び感覚だから話しやすいこともあると思う。ふとした時に思わぬ本音が聞けたり、泣いてしまった参加者をみんなで見守ったり、おしゃべり会の役割も担っているワークショップ」と話します。
二つ目は、武蔵野大学と協働しているダブルケア研究です。室津さんは「支援者からはダブルケアの実態が分からないが故にサポートの仕方が分からないという声もあったので、支援者への情報提供は優先順位が高いことだと考えている」と言います。現在、調査から明らかになったダブルケア当事者の実態や課題、ニーズを伝えられるよう準備をすすめています。
三つ目はセミナーの開催です。さまざまな依頼に応じて行っていますが、最近は、特に介護現場の支援者に向けた依頼が増えているといいます。「支援者がダブルケアの問題にアンテナを立ててくれているのだと思う。現場ではダブルケアの困難さが見え始めているからこそ、こうしたセミナーの機会が必要とされているのかもしれない」と、室津さんは話します。
また、さまざまな人の話を聞く中で、東京と地方では介護の性質が違うことも分かったといいます。「東京は子育て、介護ともに社会資源が比較的多くあるが、頼れる親族や知人は少ない傾向がある。一方、地方では、親族など助けを求められる人が近くにいる可能性は高いが、社会資源が少ないため、身近な人に頼れない場合にはダブルケアラーの負担が大きい」と、室津さんは話します。
ダブルケアラーは見えにくい存在
ダブルケアは、世の中での認知度が低く、その大変さも理解されにくいといいます。それは、ダブルケア当事者の多くが現役世代であることや、子育ても介護もまずは身内で行うという意識があるからだと考えられます。「介護をしている子ども世代が出産を経て子育てに手一杯になると、必然的に親世代へのサポートが弱まる。すると、家族のバランスが崩れ、時には家庭内での暴力や不和につながってしまうこともある。子育ても介護もほかにできる人がいないという理由で、出産2日後に自宅に戻った方もいた。大切な家族のことだからこそ『自分がやるしかない』『頑張るしかない』と無理してしまうと同時に、無理をして何とかなってしまう年齢層だからこそ見えにくい状況があると思う。一見、成り立っているように見えることが一番の危うさであり、それぞれの頑張りだけに頼らないサポートのしくみづくりは急務」と、室津さんは体制づくりの必要性を強調します。
室津さんは「子育て支援の制度、介護に関わる制度はそれぞれあるが、ダブルケアを担う現役世代は時間も体力も限られており、その中で社会資源を調べ、調整することはハードルが高い」と言います。続けて「それぞれの分野が課題を共有し、分野を超えた支援体制を構築して、相談者の状況をつなげていけると負担は軽減できるのではないか」と話します。
子育てにも介護にも後悔しない
現在、支援団体を中心に2月を「ダブルケア月間」と定め、「ダブルケア」という言葉を広く世の中に知ってもらい、支援のネットワークをつくろうとする動きがあります。こだまの集いでも、この動きに合わせ、2月にダブルケア勉強会を開催予定です。
「今後、ダブルケアがさらに増えていくことが予想されている中で、ダブルケアによって、やりたいことや仕事を諦めざるを得ない状況をなくしたい。そして、子育てにも介護にも追い詰められず、後悔もしない社会をめざしたい」と、室津さんは話します。


(※)ソニー生命保険株式会社「ダブルケアに関する調査2018」
https://www.sonylife.co.jp/company/news/30/nr_180718.html


代表理事室津瞳さん

「ダブルケア366~子育て×介護×仕事の見える化ワークショップ~」の様子

 

 

【マンスリー】福祉のできごと
2021.12.26 - 2022.1.25
※対象期間外のできごとを掲載させていただく場合もあります


12/27
「第二期東京都地域福祉支援計画」を策定
都は、令和3年度から8年度までの6か年の「第二期東京都地域福祉支援計画」を策定。東京における地域共生社会の実現に向け、都、区市町村、関係団体および地域住民等が一体となって地域福祉を推進するための施策の方向性を明らかにしている。

1/15
「シングルママパパつながるライン」を開始
都ひとり親家庭支援センター「はあと」では、ひとり親の当事者への相談体制をさらに強化するため、LINEアプリによる相談窓口を開設。対象は、都内に住むひとり親家庭の方、離婚を考えている方など。
【シングルママパパつながるライン】
相談受付時間:毎週水曜日・土曜日14時~21時半
アカウント名:はあとライン ID:@782gxinv

1/26
災害時要配慮者対策に係る指針を改訂
都は、令和3年5月に改正した災害対策基本法改正および関連指針の改訂を反映した、区市町村向けの「災害時要配慮者への災害対策推進のための指針」および「災害時要配慮者防災行動マニュアル作成のための指針」を改訂。

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ヤングケアラーに係る特設ホームぺージを開設
厚労省は、ヤングケアラーが早期に発見され適切な支援につながる社会を実現するために、ヤングケアラーに係る特設ホームぺージを開設。そのほか、動画、ポスター、リーフレットを作成。都道府県、市区町村、学校などに広く周知する予定。
▼特設ホームぺージ「子どもが子どもでいられる街に。〜みんなでヤングケアラーを支える社会を目指して〜」
https://www.mhlw.go.jp/young-carer/

 

 

【東社協発】

東社協 新会員のご紹介

▽東京都高齢者福祉施設協議会
特別養護老人ホームピオーネ三鷹/さんホーム目黒/高齢者在宅サービスセンター長崎第二豊寿園
▽保育部会
駒込第二若草保育園/亀が岡りりおっこ保育園
▽身体障害者福祉部会
花畑あかしあ園
▽知的発達障害部会
あおいとり上田
▽介護居宅連絡会
サンホーム南大泉
▽情報連絡会員
はなもも/ケアランド南風/アース/リーフ/ウィズブック保育園砂田橋/天神ハイツ/殿町荘/大谷ハイツ/上尾ハイツ/君津ハイツ/検見川ハイツ/浦安ハイツ/東葛西ハイツ/就労継続支援B型事業所ななテラス/グループホームすずらん/町田市鶴川地域障がい者支援センター/ふじ居住支援/地域活動支援センターまちプラ/富士作業所/富士清掃サービス/ATOM/ひあたり野津田


福祉の仕事就職フォーラムのご案内

福祉系合同就職説明会「福祉の仕事就職フォーラム」をオンラインで開催します。福祉の仕事に興味がある方は多くの法人に出会える機会ですので、ぜひご参加ください。参加には各開催日前日17時までに特設サイトで事前登録が必要です。
《イベント概要》
日時 3月2日(水)・3日(木)・4日(金)・5日(土)
各日13時~17時35分
出展数 128法人(都内の福祉関係施設・事業所運営法人)
《主な内容》
①法人説明会 上記4日間で128法人がオンライン説明を実施します。説明を聞き、チャットで直接質問ができます。
②特設サイトで福祉業界や就活について学べるセミナーの動画を配信します。

東京都福祉人材センターキャラクターフクシロウ

就職フォーラム特設サイト
https://www.fukushi-forum.com/

 

 

【寄附のカタチ】東京善意銀行への寄附をご紹介します。(不定期掲載)

プレゼントに社員のメッセージを添えてVFジャパン株式会社の社会貢献活動

ライフスタイルブランドを複数擁するグローバル企業であるVFジャパン株式会社より、福祉施設で暮らす子どもたちへプレゼントを贈りたいというお申し出をいただきました。寄附のご意向にしたがい、お菓子や文具をパッケージに詰め合わせ、社員の方々からのメッセージを添えて児童福祉施設へお贈りいただくことになりました。プレゼントを受け取った子どもたちは、お互いのメッセージを見せあいながら、冬の一日を楽しく過ごしました。

本国アメリカでの社会貢献活動をモデルに、プレゼントの贈呈には、商品を包装するパッケージが使われました。
(写真提供:東京都勝山学園)

東社協東京善意銀行では、社会福祉施設等への寄附のご相談を承っております。
●千代田区神田駿河台1-8-11 東京YWCA会館3階
☎03-5283-6890 zen-i@tcsw.tvac.or.jp

 

 

【アンテナ】1月31日(月)時点の情報です。感染症拡大防止のため、イベントが中止または延期になる可能性があります。詳細は各団体にお問合わせください。

助成金
令和3年度下期一般助成
障害児・者(含む難病)に対する自立支援活動への助成
2月28日(月)消印有効 ①障害児・者の自立と福祉向上を目的とした各種活動②障害児・者に対する自助・自立の支援事業を行う、東日本エリア(北海道、東北、関東、中部地方)に拠点住所(実施場所)がある非営利団体等で、令和4年11月30日(半年以内)までに終了する事業 ※難病患者およびその家族を支援している団体等も対象(法人格は不問) 上限200万円(下限10万円) 所定の申請書と必要書類を郵送 (公財)洲崎福祉財団事務局 〒103-0022 中央区日本橋室町3-2-1 日本橋室町三井タワー15F
03-6870-2019 03-6870-2119 
https://www.swf.or.jp/support1
公益信託
池田輝子記念精神障害者福祉基金
3月31日(木)消印有効 次の事業を実施する都内に設置されている障害者総合支援法に基づく障害福祉サービス事業、その他関連する自主事業を行う施設等(除く公立施設)①施設における作業や教育等の処遇向上に資する諸設備・物品の購入等②生活環境改善のための施設改修等 上限100万円程度(下限10万円) 所定の申請書と必要書類を郵送 三井住友信託銀行個人資産受託業務部公益信託グループ 池田輝子記念精神障害者福祉基金申請口 〒105-8574 港区芝3-33-1
03-5232-8910
https://www.smtb.jp/personal/entrustment/public/example/list

講座・シンポジウム
【会場・オンライン】
2021年度 都医学研 都民講座
2月25日(金)14時半~16時 【会場】都医学研講堂 【オンライン】Zoomウェビナー 【会場】40名 【オンライン】500名 ※いずれも先着順 無料 「認知症とともに生きる人の希望を支えるケア」をテーマに、認知症診断直後からの支援の世界的な潮流の紹介、科学的介護を推進するプログラム、コロナ以後の変遷についての講演 2月21日(月)必着 HP、メール、往復はがき (公財)東京都医学総合研究所事務局 研究推進課普及広報係 〒156-8506 世田谷区上北沢2-1-6
03-5316-3109
tomin@igakuken.or.jp
https://www.igakuken.or.jp
【オンライン】
第36回日本精神保健会議
メンタルヘルスの集い
3月5日(土)13時~16時半 無料 400名 ※先着順 「新型コロナウィルスと女性・家族・社会~生きやすい街づくりのためにできること~」をテーマに、特別講演、シンポジウム 一般市民、精神保健福祉関係者、教育関係者他 2月28日(月) HP (公財)日本精神衛生会事務局
03-3518-9524
https://mentalhealth36.com
【オンライン】
リーガルサポート
意思決定支援シンポジウム
3月18日(金)13時~17時半【オンデマンド配信期間:4月1日~6月30日】 無料 500名 「『意思決定支援を踏まえた後見事務のガイドライン』の実務への定着を目指して」をテーマに、基調講演、パネルディスカッション 3月4日(金) HP (公社)成年後見センター・リーガルサポート事務局
03-3359-0541
https://www.legal-support.or.jp
【会場・オンライン】
2021年度ストレス科学シンポジウム
3月20日(日)14時~17時 【会場】フクラシア丸の内オアゾ(丸の内オアゾ15F) 【オンライン】Zoomウェビナー 無料 【会場】50名※定員超の場合、抽選 【オンライン】400名 ※先着順 「うつにならない」をテーマに、うつ病臨床の第一人者の先生方からうつ病予防についての最新の知見等に関する講演や討論 【会場】2月末日 【オンライン】3月10日(木) HP (公財)パブリックヘルスリサーチセンター ストレス科学研究所
03-6205-5877
https://www.phrf.jp

 

 

【資料ガイド】

会議資料
「地域における保育所・保育士等の在り方に関する検討会」取りまとめ(厚生労働省/12月)
障害者活躍推進計画の実施状況(令和2年度)(文部科学省/12月)
第8回「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会(オンライン開催)」資料(厚生労働省/1月)
「雇用保険法等の一部を改正する法律案要綱」諮問及び答申(厚生労働省/1月)
第113回労働政策審議会障害者雇用分科会(資料)(厚生労働省/1月)
社会保障審議会年金事業管理部会資料(第59回)(厚生労働省/1月)
調査結果
学校における専門スタッフ等の活用に関する調査〈勧告に対する改善措置状況(フォローアップ)の概要〉(総務省/12月)
令和2年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果(厚生労働省/12月)
令和2年度「母子保健事業の実施状況等調査」の調査結果(厚生労働省/12月)
令和2年社会福祉施設等調査の概況(厚生労働省/12月)
令和2年度における都内私立学校の体罰に係る実態把握の結果(都生活文化局/12月)
国民生活に関する世論調査(内閣府/1月)
令和3年度大学等卒業予定者の就職内定状況調査(12月1日現在)(文部科学省/1月)
児童養護施設等退所者の実態調査結果(都福祉保健局/1月)
令和2年国勢調査人口等基本集計結果概要(都総務局/1月)
その他
「アニュアルレポート2020-2021」(年次報告書)(全国社会福祉協議会/12月)
令和4年度の年金額改定について(厚生労働省/1月)

 

 

【くらし】

受け手を想像しながら活動し、一人でも多くの人が喜ぶ支援をしたい
フードバンクは、一般家庭や企業から寄付された食品を困窮世帯や地域の施設・団体に提供する活動です。三鷹市にある「フードバンクみたか」で副代表を務める寺嶋佐妃子さんにお話を伺いました。

参加のきっかけとフードバンク活動を通じて感じる達成感
もともと、フードロス問題に関心がありました。テレビでフードバンク活動を行う団体の取組みを見て、生活困窮者支援にもつながる良い活動だと思いました。定年退職を機に何か社会の役に立つことをしたいと考えていたところ、ちょうど三鷹市社会福祉協議会主催のフードバンク団体立ち上げを目的としたセミナーに参加しました。それがきっかけで、フードバンク活動に関わることになりました。食品の仕分け作業のほか、事務職の経験を活かし、団体の事務処理等も行っています。
活動当初は食品が十分に集まるかどうか不安もありましたが、市報やFacebookなどでの活動発信、寄付食品を受け付ける「まんぷくBOX」をボランティアセンターに設置するなどの活動を行ったことで、市民や企業からたくさんの寄付をいただきました。今では年間約1トンの食品が集まっています。提供先は、困窮世帯だけでなく、福祉施設や子ども食堂など広い範囲でお渡しできています。食品の入っていた段ボールなどの処理や重い食品の仕分けなど、大変なことはありますが、活動を通じて、フードロスに貢献できている大きな達成感を感じています。
想像しながら行う「顔が見えないけれど顔の見える支援」
フードバンク活動では、提供する方のことを想像することを大切にしています。自立相談支援機関からの依頼では、食品提供依頼書をもとに段ボールに食品を詰めていくのですが、「この食品を入れたら喜ぶかな」とか「この食品とこの食品を入れたら、バランスの良い食事がとれるな」といったことを想像しながら作業しています。
お礼のメールや連絡が届くこともあります。私たちが選んだ食品で、喜んでくれる方が一人でもいることがとても嬉しいですし、心が温かくなります。私たちから直接利用者さんにお渡しすることはありませんが、食品提供依頼書やメールなどを通じて、「顔が見えないけれど顔の見える支援」という感覚で活動しています。
子どもの頃の経験が活動や行動につながっている
子どもの頃、体が弱かったので、いろいろな制約の中で育ってきました。そのこともあり、「人や社会の役に立ちたい」という気持ちは昔からあり、それが、幅広い活動に参加する原動力になっているのだと思います。会社員時代から、電話相談や高齢者への配食ボランティアなどにも定期的に参加したり、ホームヘルパーの資格を取り、高齢者や障害者のご自宅に訪問して介護や援助の仕事をしたりしていました。特に、ホームヘルパー活動は、ひざを痛めて半年で辞めざるを得なかったのですが、高齢者や障害者の方たちと触れ合うことが、とても楽しかったことを覚えています。また、趣味も多く、歌舞伎やミュージカルの鑑賞のほか、コロナ禍前は海外旅行にもよく行っていました。小さい頃の制約の反動で、趣味も含めて活発に行動できているのかもしれません。
いろいろなことに興味を持って活動に参加してほしい
今後については、寄付していただいた食品を直接、困窮者世帯にお渡しするような「顔の見える支援」や、地震や災害が起きた時に、ここに保管している食品をどのように提供していくかを考えていく必要があると思っています。
これからもし、ボランティア活動を始めることを考えている人には、いろいろなことに興味を持って、さまざまな活動に参加してほしいなと思います。そして、想像を働かせながら、活動することを大切にしてほしいです。

食品管理の様子

 

 

【本】

コロナ禍でも日常を守るために
福祉施設・事業所の取組み事例集
「福祉広報」令和2年8月号から3年7月号まで12回にわたり連載コーナーで紹介してきた、コロナ禍における多分野の福祉施設・事業所等の取組みをまとめた書籍です。本事例集を通してコロナ禍でも日常を守るために奮闘する福祉施設・事業所の姿とさまざまな工夫を知っていただけたら幸いです。
◆規格 B5判/100頁 ◆発売日 2022.1.24
◆定価:1,430円(本体1,300円+税10%)

ゆるやかに紡ぐPartⅡ(コロナ禍編)
コロナ禍の社会福祉法人の地域における公益的な取組み
本書は、東京都地域公益活動推進協議会で昨年度行われた「実践発表会」で発表された事例をもとに、編集し掲載しています。また、取組み事例の一つをマンガで表現する試みも行っています。
◆規格 四六判/154頁 ◆発売日 2021.6.21
◆定価:880円(本体800円+税10%)

生きづらさや孤立を包摂するための7つの実践事例集
本事例集は、地域福祉推進検討ワーキング報告書「東京らしい包摂・共生型の地域共生社会づくりをめざして」(令和3年3月とりまとめ)の資料編を再編集し、発行したものです。事例を通じ、地域共生社会の実現に向けて一人ひとりに何ができるのかを考えるきっかけにしてほしいと思います。
◆規格 A4判/36頁 ◆発売日 2021.7.2
◆定価:935円(本体850円+税10%)

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