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福祉広報 2022年11月 766号 テキストデータ

【表紙】

山口県 岩国市
少年野球チームの仲良し子どもたち、
みんながいればどこでも遊び場


社会福祉NOW 
自らのグリーフについて知る〜長引くコロナ禍でのさまざまな喪失の先に〜

トピックス 
地域との新たなつながり方〜コロナ禍の地域公益活動としての一歩~
社会福祉法人青芳会 特別養護老人ホーム今井苑

【連載】防災・減災に向けた地域の取組み③ 
災害時の支援をイメージしながら地域住民が話し合える場をつくる
「連携ワークショップ」(江東区)の取組み

明日の福祉を切り拓く 
目の前にいる元受刑者を孤独にしない共生社会をつくる
認定NPO法人マザーハウス代表理事 五十嵐弘志さん

 

【NOW】

自らのグリーフについて知る~長引くコロナ禍でのさまざまな喪失の先に~
新型コロナウイルスの国内感染者数は2210万人、死者数は4万6千人超(2022年10月時点)。20年の世界的流行から長引くコロナ禍により社会全体は大きな影響を受け、多くの人がさまざまな喪失を体験しています。今号では、医療や介護現場でも研修等で取り組まれているグリーフ(さまざまな喪失体験による悲嘆)とグリーフケアの取組みについて、上智大学グリーフケア研究所とグリーフサポートせたがやへの取材から紹介します。

グリーフは特別ではなく自然な悲嘆反応
~一人ひとりの向き合い方で~
大切な人を亡くす。思い描いていた人生が送れなくなる。死別だけでなく、人やもの、権利やつながりを失うことも含め、あらゆる喪失による悲嘆反応を「グリーフ」といいます。それは誰もがいずれ経験する自然な反応です。身体面や精神面に反応が現れることが多く、抑うつ状態が続き、仕事ができないほど大きな影響を受ける場合もあります。そうした現れ方や期間は一人ひとり異なります。
「『もう1年も経つから早く立ち直りなさい』との周囲の言葉は、喪失体験をした人にさらに刺さるもの。グリーフの只中にある人を孤独にさせる」と上智大学グリーフケア研究所特任教授の栗原幸江さんは話します。グリーフを知ることは、自らの状況整理だけでなく、他者を傷つけないことにつながります。
◆グリーフと共に生きていくために
喪失体験後、自分のペースでグリーフと向き合い、経験の一部として喪失体験を消化していく作業を「グリーフワーク」と呼びます。辛いこともありますが、自分にしかその作業はできません。失った人の新たな気づきや、改めて大切な思いを得る等、その過程でみえることは貴重です。
グリーフワークの山あり谷ありのプロセスに対するケアとなるものが「グリーフケア」です。グリーフを共有するサポートグループや、誰かが丁寧に話を聞くこともケアにあたります。三回忌などの儀式もその一部といえます。「サポートやケアは、グリーフを抱える人を癒せるわけではない。その人が持っている力で癒えていくプロセスを邪魔しない。半歩下がるペースでついていく」と栗原さんは強調します。サポートやケアの担い手は、きめ細やかに接しながらも適度な距離で話を聞く必要があり、幅広い学びや実践が求められてきます。
◆グリーフを語ることで見えてくること
「グリーフに向き合う一人の時間も大切。ただ、グリーフの共有で自分だけではないという気づきや打ち明けてもいいという安心感を得られる。何より自らの経験が誰かの力になることを実感する」と、栗原さんは他者に語ることの有効性を話します。
しかし、核家族化や施設死の増加等を背景に、こうしたグリーフを語ることのできる場は少なくなっています。「病院で公開講座をした際に定員の倍近い申込があった。終了後も参加者から質問が続き、グリーフを語れる場の少なさを実感した」と栗原さんは話します。
◆グリーフを知り、グリーフを自分事に
長引くコロナ禍で、病院での面会や葬儀等、私たちの生活は大きく影響を受け、多くの人がさまざまな喪失を体験しています。コロナで家族や友人を亡くした人の中には、その最期に会えなかった人や、コロナという理由でその喪失を周囲に語ることができない人もいます(公認されないグリーフ(※1))。
「『(喪失から)1年経ったから普通の生活に……』といった雰囲気が何となく社会の中にある。多くの人がグリーフを知り、他者のことを自分事とする人が増えていけば」と栗原さんは話します。同研究所では、グリーフを学ぶ講座やグリーフケア人材養成課程を通して、普及啓発に取組んでいます。今まさに、グリーフを自分事として捉える人が増え、語れる場を増やしていくことが社会に求められています。
サポコハウスがそこにあり続けること
~さまざまな喪失の先に~
グリーフを抱える人のサポートに取り組むグリーフサポートせたがや(以下、グリサポ)のコアメンバー松本真紀子さん、生田ゆみさん、佐光正子さん、稲吉久乃さんに、活動内容や活動を通じた思いなどについてお聞きしました。
◆震災後に感じたそれぞれのグリーフから
女性支援や犯罪被害者支援などを行い、つながりのあったメンバーが、東日本大震災後に感じたグリーフへの気づきを機に、ダギーセンター(※2)の研修に参加したことがグリサポのはじまりです。自分たちの地域でも、グリーフを抱える人をサポートする活動やグリーフを抱える人が行ける場所づくりをしたい、と13年にグリサポを立ち上げました。
設立当初は活動場所もない中、世田谷区の協力によりグリーフの連続講座を開催。各回100人近くが参加しました。「震災後で先が見えず、社会全体が揺れていた。誰もがグリーフを抱えていて、多くの参加につながったのでは」と、松本さんは振り返ります。14年には世田谷区の空き家モデル事業により、活動場所である「サポコハウス」をオープンしました。
◆大切な何かを失ったすべての人に
グリサポでは大切な何かを失ったすべての人に向けて広く取り組んでいます。死別体験した人が対象のピアサポートプログラムや、ピアサポートの担い手を育むファシリテーター養成講座。そして、世田谷区グリーフサポート事業の補助を受け、グリーフを抱えるすべての人に対して個別相談や電話相談を行っています。
「ここでは話したいことを自分のペースで話せる。自分をありのままに受けとめられたと感じられる場所でありたい」と、松本さんは話します。保健所や自治体からサポコハウスにつながる人や、自分が抱えていたものがグリーフだとここで初めて気づく人もいます。
◆自らの延長にある支援
「グリーフを他人事、特別なものとしている限り、〇〇してあげるという支援になる。グリーフは自分事であるという意識が大切」と稲吉さんが言うように、ファシリテーター養成講座でも自らのグリーフに気づくことを何よりも大切にしています。「チラシを持ち続け、2年越しに電話をくれた人がいた。その人の力があるから電話をかけることができる。その人が座りたい時は一緒に座って話を聞く」と、生田さんは支援の姿勢を話します。
◆何よりそこにあり続けること
グリサポにたどり着く人の中には、コロナで大切な人を亡くした人もいます。また、在宅時間が増えたことで、グリーフを抱える人の孤独感は増幅しているといいます。佐光さんは「家族じゃなくて誰かとつながれる、行ける場所があることが求められているのではないか」とコロナ禍を通じて再認識しています。オンラインの活用や電話相談を増やし、止まることなくグリサポは取組みを続けました。
「そこで何かをするわけでも、元気でなくても、自分がそこにいてもいい場所。今はしんどくて動けないかもしれないけど、何かあったら行けると思える場所があることが大切」とグリサポのメンバーは考えています。日々揺れ動く社会でさまざまな喪失を体験しながらまた歩みをすすめるには、サポコハウスのような場所がそこにあり続けることが大切といえます。


(※1)90年代にエイズで親を失った子どもなども「公認されないグリーフ」の例として挙げられる
(※2)1982年に米国オレゴン州で開設され、身近な人を亡くした子どもたちのケアを行う施設

上智大学グリーフケア研究所

グリーフサポートせたがや

グリーフワークとしてできること
(参照元:『グリーフケア 大切な人を亡くしたあなたへ』)

サポコハウス内の「火山の部屋」。
ここでは子どもたちが感情を爆発させたり、感情に埋もれたりできる

講座の記録を本としてまとめている
(グリサポHPより注文可)

 


【トピックス1】

地域との新たなつながり方
~コロナ禍の地域公益活動としての 一 歩~
▼ 社会福祉法人青芳会 特別養護老人ホーム今井苑

社会福祉法人は「地域における公益的な取組」(以下、地域公益活動)が、社会福祉法第24条第2項で責務として定められています。しかし、コロナ禍でその地域公益活動の内容も変化しています。
今号では、新型コロナの感染拡大を受け、継続可能な活動に切り替えた施設の事例を紹介します。
施設の中から施設の外へ
青梅市にある特別養護老人ホーム今井苑では、コロナ禍前は、施設や近隣の市民センターで地域公益活動を行っていました。例えば、とろみ食やきざみ食などの試食会や感染症対策講座、防災訓練等といった体験型のプログラムです。また、施設として自治会に加入しており、地域の資源回収活動に参加するなど、地域と関係を築いています。
しかし、新型コロナの感染が拡大する中で、これまで行ってきた地域公益活動は軒並み中止せざるを得ませんでした。
活動停止から半年が経とうとする頃、「このまま何もしないのではなく、やれることからやろう」との意見が施設の中であがりました。
そのような中、「青梅の玄関口である近くの青梅インター付近にゴミがたくさん落ちている」との声が聞かれました。副施設長の岸田全史さんは「特養の地域公益活動というと『介護』に関することというのが頭にあった。しかし、コロナ禍で施設内へ人を呼べない中、まずは初歩的な活動として地域に出て、清掃活動を行ってみよう、との話になった」と振り返ります。「施設の中で人が集まる取組み」から「施設の外に出て行く取組み」へ視点を変えたのです。
清掃活動を2年以上続け、社会福祉法人のイメージアップへ
清掃活動の目的や期待は3つあります。継続的な清掃活動を行うことでゴミを捨てにくい環境をつくること、清掃活動の賛同者が増えること、高齢者福祉業界のイメージアップにつながることです。
2020年12月から活動を始め、月に1回、1時間行っています。40分ほどのルートを2~3設定し、月ごとに順番にまわっています。
今井苑の職員は、中心となって活動する職員3人のほか、栄養士や事務職、介護職員などが職種を超えて参加しています。無理なく参加できるように、シフトや本来の業務に影響がない範囲で調整しています。
また、実施にあたっては、青梅市社協を通じてボランティアを募集しました。すると、地域の方が1人、大学生が3人集まりました。毎回5~6人で、お揃いのビブスを着てゴミ拾いを行っています。
岸田さんと共に、中心的に活動しているケアマネジャーの石岡康宏さんは「世間から見ると、社会福祉法人は何をやっている団体か分かりにくいと思う。ビブスを着て、良い意味で目立つ活動をすることで、福祉業界は地域に貢献する活動も行っていることを知ってほしいというねらいもある」と話します。
活動を続ける中で、目に見えて綺麗になっていくことや、その結果ゴミが捨てられにくくなったことが、モチベーションとなりました。清掃活動を行った場所が綺麗になると、ゴミが落ちている他の場所を市のリサイクル清掃課に問い合わせしました。雑草でゴミが見えづらい場所を連絡して刈ってもらう等、市役所とも連携しています。また、青梅インター付近の長寿会(※)の花壇がコロナ禍により、管理が行き届かないこともあり、清掃活動の合間にその手入れも可能な限り実施しました。
現在まで2年ほど活動を続けたことで、青梅市より「環境衛生・美化優良団体」として感謝状が贈呈されました。施設内でも活動が定着してきています。
清掃活動から生まれた新たなつながりの可能性
これまで地域公益活動として行っていた介護座談会等では、今井苑は「先生役」となることが多くありました。しかし、清掃活動ではボランティアで参加する市民と同じ目的を持って活動することで、対等な関係で接することができました。
岸田さんは「参加している大学生は福祉系の学部ではなく、清掃活動のボランティアに興味があって来られた。これまでは福祉に興味がある人や携わっている人しか関わることがなかったが、今回の活動を通じて新たな交流の入口が築けた」と話します。
石岡さんは「この活動を通して、ゴミ拾いや清掃などの『場』をボランティアに提供できたことが貢献の一つなのかなと思った」と話します。
今後、コロナ禍が落ち着いた時には、今井苑の行事に参加したいという大学生の声も聞かれています。また、自治会や市内の法人にも声をかけ、この清掃活動を広げていくことも考えています。


(※)青梅市内各地区の高齢者が自主的に組織した団体(高齢者クラブ)のこと。本文の長寿会は今井長寿会を指す。


ゴミ拾いの様子
揃いのビブスの後ろには今井苑の文字とロゴが書かれている

清掃活動を行っているメンバー

特別養護老人ホーム今井苑(右から)
副施設長 岸田全史さん ケアマネジャー 石岡康宏さん

 

【マンスリー】2022.9.26 - 10.25

10/14
障害者総合支援法の一部を改正する法律案が閣議決定
政府は、障害者総合支援法改正案を閣議決定した。障害者等の地域生活や就労の支援の強化等により、障害者等の希望する生活の実現を改正の趣旨としている。改正案には、障害者が希望する仕事に就けるよう支援機関が適正評価を行う「就労選択支援」や一人暮らしを望む人への支援体制整備、基幹相談支援センターの設置を市町村の努力義務とする内容などが盛り込まれている。


10/14
新たな「自殺総合対策大綱」が決定
政府は、自殺対策の指針として新たな「自殺総合対策大綱~誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して~」を閣議決定した。見直し後の大綱では「子ども・若者の自殺対策の更なる推進・強化」、「女性に対する支援の強化」、「地域自殺対策の取組強化」、「新型コロナウイルス感染症拡大の影響を踏まえた対策の推進など、総合的な自殺対策の更なる推進・強化」を掲げ、今後5年間で取り組むべき施策として新たに位置づけている。
【関連サイト】
厚生労働省Webサイト「まもろうよこころ」
自殺対策に関する、電話やSNSの相談窓口などを分かりやすく紹介。
https://www.mhlw.go.jp/mamorouyokokoro/

10/18
日本語指導が必要な児童生徒は5万8,307人
文部科学省は、「日本語指導が必要な児童生徒の受入れ状況等に関する調査(令和3年度)」の結果を公表。日本語指導が必要な児童生徒は、日本国籍が1万688人、外国籍が4万7,619人の計5万8,307人で、前回調査の平成30年度より7,181人増加している。今回初めて特別支援学級における日本語指導が必要な児童生徒数について調査された。

 


【連載】防災・減災に向けた地域の取組み3

今号では「課題解決」という視点から、「災害時における要配慮者支援(災害ボランティア活動)について」をテーマに行われた「連携ワークショップ」の取組みをお伝えします。

災害時の支援をイメージしながら地域住民が
話し合える場をつくる「連携ワークショップ」(江東区)の取組み

共につくりあげた連携ワークショップ
東京都災害ボランティアセンターアクションプラン推進会議では、大規模災害に備えた取組みとして、さまざまな団体同士の相互理解の促進や、災害時に発生する課題に対しての勉強会などを行う「連携ワークショップ」を実施しています。2021年度は、都域のプログラムだけではなく、江東ボランティア・センターと協働で「地域プログラム」を、会場とオンラインのハイブリッド形式で開催しました。
江東ボランティア・センターの成海隆博さんは「今回テーマにした要配慮者支援は、何かの機会に取り上げたいと以前から思っていた。地元で活動している団体と一緒にやりたいと考えた」と言います。協力を呼びかけられたNPO法人東京ユニバーサルデザイン・コミュニケーターズ(以下、TUDC)は、車椅子使用者や視覚障害者、聴覚障害者などが集まり、ユニバーサルデザインの普及・啓発や研究を行う団体です。代表理事の諏訪正晃さんは「当初は、お互いに探り探りの雰囲気だったが、ワークショップの企画段階から一緒につくり上げることができたのは貴重な経験で、面白かった」と振り返ります。
ワークショップに向けては、3か月ほど前から話し合いを重ね、その過程で多くの気づきがありました。諏訪さんは「我々のような身体や聴覚、視覚等の障害特性から要配慮者とされるような人でも、避難所に集まる情報のとりまとめや物資の在庫管理など、災害によって困っている『健常者』をサポートする側になれると気づくことができた。『要配慮者』とは誰のことを指すのか考えさせられた」と言います。成海さんも「災害時には、誰もが強みを持っていると改めて気づかされた。また、障害を持っている方々にもそれぞれ強みと弱みがあり、複合的な視点を持つ必要性を実感した」と話します。
「クロスロード」で多様な意見に触れ、受け入れる
ワークショップ当日の参加者は、江東国際交流協会や朗読の会、江東ボランティア・センターが行う災害ボランティア入門講座の受講生など、40人でした。諏訪さんをはじめ、TUDCのメンバーもファシリテーターを務め、複数のグループに分かれ、クロスロードを行いました。
クロスロードとは、ゲーム形式の防災教育プログラムで、カードに書かれた災害時に判断を迫られる事例について、自分がどのような対応をするか回答するものです。これを参考にして、事前に諏訪さんらが、災害時に障害者が直面する困難な状況を想定したお題をつくり、参加者が意見交換し合えるようにしました。例えば「在宅避難している視覚障害者が『炊き出しがほしい』と避難所を訪ねてきたら?」などのお題を設定しました。
成海さんは「クロスロードのお題は既存のものを使うこともできたが、お題から手づくりをした。それを題材に、地域の方々と同じテーブルで一緒に考えることができて良かった」と言います。諏訪さんは「障害者自身が考えたお題ではあるが、場面設定が専門的になりすぎないよう試行錯誤が必要で、お題をつくる側も非常に勉強になった」と話します。
今回のワークショップでは「みんなで考える」ことに重きを置きました。
諏訪さんは、皆で考え、障害者を解説者にしなかったワークショップの効果について「障害当事者がその場にいると、参加者は『どんな手助けをしてほしいのか』と、つい答えを本人に聞きたくなる。聞いたものを『知識』として持ち帰ることはできるが、そこで思考は完結してしまうし、持ち帰った『知識』は、災害時にお互いが必要とすることのすべてではない。参加者にとって『例えば、こんな災害が起こり、自分の近くにはきっとこんな人がいて……』と、具体的に考えてみる機会になったのではないか」と話します。成海さんも「災害時はその場にいる全員が対等であり、相手を勝手に解釈しないことが大切だと考えている。今回がその練習の場になれば良いという気持ちがあった」と、思いを語ります。
対話を通して、誤解なくお互いを知る
成海さんは「今回は身体や聴覚、視覚障害に焦点を当てたが、今後は知的障害や精神障害者、高齢者、外国籍住民などにワークショップの企画から参加してもらうなど、徐々に広げていきたい。皆が同じ立場で話し合いができる場づくりに努めたい」と、今後について話します。
諏訪さんは「平時でも災害時でも、一人ひとりが対話をし、誤解なくお互いを知ることができるようになると良い。そうして、まちづくりなどあらゆる場面においても、それぞれが納得できるものにたどり着くことが可能になるのではないかと考えている」と話します。


(左)江東ボランティア・センター 成海隆博さん
(右)NPO法人東京ユニバーサルデザイン・コミュニケーターズ 諏訪正晃さん
「連携ワークショップ」当日の集合会場

ファシリテーターを務める当日の諏訪さんの様子

会場で進行を行う成海さんの様子

 


【東社協発】

東京都地域公益活動推進協議会からのお知らせ

「実践発表会」ぜひご視聴ください!

社会福祉法人は、コロナ禍にあっても地域生活課題の解決に向けてさまざまな取組みを続けてきました。今回はそうした地域公益活動を広く発信する場として、実践発表会をWebにて配信します。
配信期間:12月16日(金)17時まで
参加費無料・申込不要で視聴いただけます。
▼発表内容等詳細はこちら


「マスコットキャラクター」絶賛募集中!

2022年度から東社協の社会福祉法人会員による「全加入組織」となった東京都地域公益活動推進協議会では、社会福祉法人の地域公益活動をより多くの方に知ってもらうため、身近で親しみやすいキャラクターを募集します。
応募締切:12月20日(火)必着
▼応募資格、応募方法等詳細はこちら

 

東社協中期計画レポート  2~東京の多様性を活かした“地域共生社会”を一歩前へ

「令和4~6(2022~2024)年度東社協中期計画」の中から、重点事業「福祉の理解を促進するための情報発信力の強化」について進捗をお伝えします。

初年度の取組みとして、局内プロジェクト「伝える→伝わり合う広報プロジェクト」を立ち上げました。東社協がめざす地域共生社会に近づくため、何を大切にどのようなスタンスで広報をしていくか、その共通理解をつくることを目標に据えています。
広報プランナーの吉田知津子さんに全体監修をお願いし、各部署からなるメンバーとともに検討を重ねています。
先日は、東社協がめざすビジョンでもキーワードとなっている「地域共生社会」について、メンバーそれぞれが自分の言葉で書きだしてみました。「『自分がここにいる』ことに条件を付けられない社会」「一人ひとりが大切にされる社会」「地域には共に生きる仲間がいること」など等身大の言葉で地域共生社会の理念に改めて立ち返りました。日頃の業務が地域共生社会を創ることにつながっていることをより一層意識して、東社協ならではの広報をめざしていきます。

 

Session!TOKYO 2022の開催について

知的発達障害部会では、12月3日~12月9日の「障害者週間」に合わせて、毎年さまざまなイベントを開催してきました。今年は、飯田橋セントラルプラザにて3日間、会員施設自慢の商品販売や、会員施設利用者のアート作品展示などを行います。みなさまのお越しをお待ちしております!

■「Session!TOKYO 2022」について
【日時】 2022年11月24日(木)~11月26日(土) 各日11:00~16:00
【会場】 飯田橋セントラルプラザ 1Fエントランスホール・2Fみやこ橋
【内容】 ①商品販売(クッキー、パン、工芸品など)
②アート作品展示
③キッチンカー販売
■「障害者週間記念特設サイト」の公開について
障害者週間に合わせて、特設サイトも開設します! こちらもぜひご覧ください!
【公開期間】 2022年11月21日~2023年3月31日
【URL】 https://www.tcsw.tvac.or.jp/shogaisha_week/index.html
【内容】①障害者週間とは?
②オンラインアート展「ゲンキノカタマリ2」
③障害当事者の方へのインタビュー
④障害者週間クイズ

特設サイト(11/21〜公開)


令和4年台風15号による被害への東社協における災害支援活動
9月23日からの令和4年台風15号に伴う大雨により、静岡県内各地で土砂災害や浸水による被害が発生しました。被害を受けられた方々に、心よりお見舞いを申し上げます。
こうした中、静岡県内各地では、被災者の支援のため災害ボランティアセンターが開設されています。東社協、および関東近隣の社会福祉協議会ではネットワークによる応援職員の派遣を行っています。

「令和4年台風第15号静岡県災害支援金」のお知らせ
以下のとおり、支援金を受け付けています。詳細については、受付団体に直接お問い合わせください。みなさまのあたたかいご支援をよろしくお願いいたします。
◆中央共同募金会[ボラサポ・令和4年台風15号]
●三井住友銀行
支店名:東京公務部
口座番号:普通 0162585
口座名義:社会福祉法人中央共同募金会
※インターネット募金、クレジットカードやコンビニ等でのご寄附も可能です。

ホームページ
その他の情報は、ホームページに随時掲載しております。

東社協ホームページ(災害関連情報)
https://www.tcsw.tvac.or.jp/saigai/index.html

東京ボランティア・市民活動センター
https://www.tvac.or.jp/news/50759

 

「福祉広報」
読者アンケート実施中!
いつも福祉広報をご購読くださりありがとうございます。誌面のさらなる充実のため、アンケートを実施いたします。
下記QRコードを読み取り、アンケート入力フォームから広報誌への声をぜひお寄せください。
記事の感想や掲載してほしいことなど、みなさまの声をお待ちしています。

期間:12月31日(土)まで
◀ご回答はこちらからお願いします。

 

【明日の福祉を切り拓く】

目の前にいる元受刑者を
孤独にしない共生社会をつくる
五十嵐弘志さんは、全国の受刑者と刑を終えた人の孤立防止、住まい・就労等の社会復帰を支援する活動をしています。
さまざまな専門家と協働し、各種研究活動や啓発・アウトリーチ活動にも力を入れています。

Hiroshi Igarashi
五十嵐 弘志さん
認定NPO法人マザーハウス代表理事
自身も20年近く服役した経験を持ち、自らの体験に基づく社会復帰支援を行う。
2012年、刑務所で得た気づきから、全国の出所後の受刑者と刑余者支援活動を始め、2014年5月に法人化。


自分を認めてくれる人との出会い
幼少期の家庭環境が引き金となり罪を犯してきた私ですが、3度目の服役前にキリスト教に出会い、自分の罪深さに気づきました。
また、時には励まし、時には叱ってくれる文通ボランティアや身元引受人となる弁護士、さらに神父との面会や手紙のやり取りを通じて、被害者について、償いについて真剣に考えることで改心することができました。今でも当時、文通をしていた方々とは交流があります。
刑務所での体験から団体を設立
3度目の服役で養護工場(※)に行くことになりました。私は刑務官に推薦され、要介護者15人の責任者となりました。入浴介助や食事補助など高齢受刑者等の身の回りのお世話を出所満期まで4年間続けました。
高齢者や障害のある人は、服役を終えて出所しても新たな生活に適応することが難しいこともあり、再犯率が高まります。行き場をなくし孤独となり、自分と向き合えず、自暴自棄になって社会復帰できないケースが多いのです。
自らの体験を活かし、当事者をサポートし、それを社会が支援する組織をつくりたいと思い、NPO法人マザーハウスを立ち上げました。
「本当の更生」につながる支援を
受刑中には、仮釈放時の身元引受や、更生の支援として「ラブレタープログラム」を行っています。全国の文通ボランティア約350人が約800人の受刑者と手紙を通じて交流を深めています。服役中にもらう手紙は受刑者に大きな力を与えます。
また、毎月1回発行する情報誌「たより」に住民票の取り方を載せたり、「受刑者のための年金ガイド」を作成して、出所後の手続きを事前に伝えたり、キリスト教の書籍を毎月刑務所に送ったり等の活動も行っています。
出所した人には、行先がなければ住まいを探し、就労支援、生活相談、カウンセリング等、社会復帰を支援する活動を行っています。
マザーハウスの事業所では、ジョブトレーニングとして、オリジナルの「マリアコーヒー」の製造からパック詰めの一連の作業や、本の注文をして刑務所に送る作業をしてもらっています。支援者と触れ合い、人のために何かをする経験が本当の更生につながると考えているからです。
社会復帰前のトレーニングが必要
刑務所と社会の中間的な場所がもっと必要なのではないかと考えています。刑を終えた人をいきなり社会に送り出すのではなく、更生保護施設のようにある程度訓練を受けて、地域社会の一員としての常識や社会性を学んで最終的に社会復帰につながる場所がもっと増えれば出所者の更生につながり、社会から犯罪が減るのではないかと期待しています。
頑張っている姿を受け入れてほしい
民法の改正による成年年齢の引き下げに伴い、2023年1月以降、18歳から裁判員制度の対象となります。都内の中高生に刑務所や受刑者のことをもっと知ってほしいです。刑を終えて出所した人を恐れるのではなく、今その人が頑張って生きているなら、その姿を見てあげることが大切です。
私の姿を見せることが共生社会につながると思っているので、目の前の人を大切にして、これからも活動を続けていきたいです。

(※)高齢者や障害のある受刑者が集められ、軽作業などに従事する場所。

著書に『人生を変える出会いの力 闇から光へ』(ドン・ボスコ社)

笠松刑務所へ出張

 

【アンテナ】10月31日(月)時点の情報です。詳細は各団体にお問合わせください。この他にも東社協ホームページに各種情報を掲載しています。
東社協ホームページ「各種福祉情報の提供」
https://www.tcsw.tvac.or.jp/about/keyword/kakushu.html

助成金
子供が輝く東京・応援事業
【実績連動型助成(既存の取組のレベルアップ)】
11月28日(月)消印有効 結婚、子育て、学び、就労までのライフステージに応じた事業を行う都内に本社又は事務所を有する法人 上限1,500万円(要件あり) 所定の応募書類に必要事項を記入し、書留など配達記録が残る方法で郵送 (公財)東京都福祉保健財団 事業者支援部運営支援室 子供が輝く東京・応援担当 〒163-0718 新宿区西新宿2-7-1小田急第一生命ビル18F
03-3344-8535
https://www.fukushizaidan.jp/313
kosodate/oubo_j
「連合・愛のカンパ」助成
11月30日(水)必着 新たに始める、地域における「ふれあい・助け合い活動」を開始する任意団体やNPO 法人、グループ、サークル等 上限15万円 所定の申請書類を記入し、必要書類を添付のうえ郵送 (公財)さわやか福祉財団 〒105-0011 港区芝公園2-6-8 日本女子会館7F
03-5470-7751
https://www.sawayakazaidan.or.jp
生き生きチャレンジ2022
福祉作業所助成事業
12月12日(月)必着 障害者が働く福祉作業所。2024年3月までに実施する事業で、障害者の雇用確保や賃金・工賃アップのために売上向上をめざす設備投資費等 上限50万円 所定の申請書と必要書類を郵送またはメール (社福)読売光と愛の事業団 作業所係 〒100-8055 千代田区大手町1-7-1 読売新聞東京本社内
03-3217-3473 03-3217-3474
hikari-ai@yomiuri.com
https://www.yomiuri-hikari.or.jp
社会福祉助成事業
12月15日(木) 社会福祉関係者に係る研修・研究事業 助成対象経費の合計の80%以内かつ50万円以内 所定の申請書類をダウンロードし、メールにて申請 (公財)日本社会福祉弘済会 助成事業係 〒136-0071 江東区亀戸1-32-8
03-5858-8125
https://www.nisshasai.jp/fukusijyosei
jigyo/jyoseiyoukou-2023.html

その他
第3回 福祉・介護のおしごとフェア
in しぶや 2022
11月26日(土)13時~16時(予約不要・入退場自由) 渋谷区役所15階スペース428 就職説明会・職場紹介・最新福祉機器の紹介
パール代官山 03-5458-4811
杜の風・上原 03-6407-4233
第12回 杉浦地域医療振興賞
12月31日(土) 正賞として記念品を授与するとともに副賞として200万円を贈呈 住み慣れた地域で安心して、その人らしく住み続けることを支援する活動を行った研究者、専門職(医師、歯科医師、看護師、薬剤師、介護福祉士等)、その他(自治体、NPO、ボランティア等)の方で、全国に波及する可能性を有する活動を行っている団体・個人。但し、その活動が現在も継続しているものに限る 所定の申請書類に必要事項を記入しホームページにて応募 (公財)杉浦記念財団事務局 〒474-0011 愛知県大府市横根町新江62-1
0562-45-2731(平日9時~17時)
0562-45-2732
prize@sugi-zaidan.jp
https://sugi-zaidan.jp
キーボートを使わないIT講習会
11月~1月 ※受講日はクラスごとに異なるためホームページを参照 豊島区駒込 3-20-14 ソシアル蔵 1F-2 ばんゆうクラブ 受講料無料、教材事務費1,200円 各クラス8名 電話 きゅりっと 豊島区駒込3-20-14 ソシアル蔵1F-2
03-6672-7012(日・月・祝日・季節休暇を除く10時~17時)
info@npo-it.jp
https://npo-it.jp

 

【資料ガイド】

会議資料
第98回社会保障審議会介護保険部会 資料(厚生労働省/9月)
成年後見制度利用促進専門家会議 第1回成年後見制度の運用改善等に関するワーキング・グループ 資料(厚生労働省/9月)
第3回障害児通所支援に関する検討会 資料(厚生労働省/9月)
第12回社会保障審議会介護保険部会介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会 資料(厚生労働省/9月)
第1回強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会 資料(厚生労働省/10月)
医療的ケア児の地域支援体制構築に係る担当者合同会議 資料(厚生労働省/9月)
第21回社会保障審議会生活困窮者自立支援および生活保護部会 資料(厚生労働省/10月)
通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議(第3回)配布資料(文部科学省/10月)
特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する学校における指導・支援の在り方等に関する有識者会議(第14回)配布資料(文部科学省/10月)
調査結果
21世紀出生児縦断調査(平成13年出生児) 第20回調査(文部科学省/9月)
その他
「令和4年度版自殺対策白書」(厚生労働省/10月)

 

【くらし】

自分が思っていたよりも世間は優しい
視野を広げてくれたガイドヘルパーの世界
知的障害や視覚障害、全身性障害など一人では外出が困難な方に対し、外出時の移動のサポートなどを行うのがガイドヘルパーです。大学在学中にガイドヘルパーを始め、現在はNPO法人風雷社中で働く定岡ありささんにお話を伺いました。

人のカラオケを聞くバイト…?
私は小さな頃からものづくりが好きで、大学時代は自転車屋でアルバイトをしていました。修理をするのは楽しかったのですが、接客は得意ではなかったです。中には待たされると怒り出すお客さんもいたので、苦痛に感じていました。
その頃、大学の友達から「この間、バイトで利用者さんとカラオケに行った」という話を聞いて、「人のカラオケを聞くアルバイト? 楽しそうでいいな~」と思ったことがガイドヘルパーに興味を持ったきっかけです。
社会福祉学科に在籍していましたが、当時は社会保障などの行政分野に関心があったため、ヘルパーのことはまったく知りませんでした。ネットで風雷社中にたどり着き、ヘルパーのアルバイトをすることになりました。卒業後はそのまま就職し、現在はヘルパーの求人や研修も担当しています。
平日は送迎、土日は外出が中心
ヘルパーを始めた当初は、一緒に歩くだけでも毎回とても緊張していました。私が通っていた学校には特別支援学級がなく、作業所なども町中になかったので、知的障害のある人と関わる機会がありませんでした。なので、一緒に過ごすこと自体が新鮮でした。
平日は小学生から60代くらいまでの方の送迎、土日は私と同年代の30歳前後の方と外出をしています。土日はお昼をはさんだ10時から15時までの利用が多く、本人の行きたいところに一緒に行きます。買い物をしたり、博物館に行ったり、公園でダラダラしたり、ずっと電車に揺られていたりなどさまざまです。利用者さんと一対一の活動なので、何かに追われることがなく、ゆったり過ごすことができて楽しいです。
世間は思っていたよりも優しい
電車内でどうしても声が出てしまう利用者さんがいます。注意されることもありますが、「楽しそうねぇ」と声をかけてくれる人もいます。高校生に急にわ―っと話しかけてしまっても、無視することなく返事をしてくれる人もいます。行きつけのファストフード店では、「いつものにする?」と聞いてくれる店員さんもいます。自分が想像していたより、世間は優しいんだなと思います。
また、言葉を発せない重度の人との関わりでは、思っていたよりも伝わるんだということが自分にとって発見でした。単語が分からなくても、「これかな? あれかな?」とこちらの意図を汲もうとしてくれるので、こういった形でコミュニケーションが取れるんだと感じました。
ヘルパーの世界にぜひ一度触れてほしい
学生時代に始めたヘルパーの仕事にはまり、あっという間に8年が経ちました。これまで障害福祉について知らなかった人にも、ぜひ一度、触れてほしい世界です。
この世界を知ると、例えば電車の中で一人でしゃべっている人を見かけた時の捉え方も変わってくると思います。「知らない」ことからくる怖さがなくなるというか、社会を見る目の解像度が上がるのではないかと思います。
そういった方が増えていけば、障害のある人の暮らしやすさも変わってくると信じています。

移動支援中に利用者さんと

趣味のサイクリングでは、学生時代に四国の海岸線を一周したことも。「今やったら次の日動けなくなってしまいますね」

 

【本】

令和2年版社会福祉法人会計の実務
第1編月次編
経験豊かな公認会計士、税理士が社会福祉法人会計基準の実務を分かりやすく解説しています。会計初心者からベテランまで、会計担当者の疑問を解消し、知りたいことを詳述した内容です。
◆規格 A4判/548頁 ◆発売日 2020.9.25
◆定価:6,600円(本体6,000円+税10%)
令和2年版社会福祉法人会計の実務
第2編決算編
第1編月次編とあわせ、会計担当者の疑問の解消、適正な会計データの作成にお役立ていただき社会福祉事業の円滑な経営にご活用ください。
◆規格 A4判/460頁 ◆発売日 2021.1.25
◆定価:4,400円(本体4,000円+税10%)
令和4年度改正法施行対応版
社会福祉施設・事業者のための規程集
2022年度から施行される法令の中で、育児・介護休業関係・個人情報保護関係等、特に社会福祉施設・事業者で対応が必要なものを整理して、その解説と改正する規程を例示しました。
◆規格 A4判/132頁 ◆発売日 2022.07.21
◆定価 2,200円(本体2,000円+税10%)

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