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福祉広報 2023年3月 770号 テキストデータ

【表紙】
福岡県 朝倉市 菜の花が一斉に開花すると 
春が来たことを全身で実感する。 
娘たちの笑顔も花のようだ。


社会福祉NOW 
外国人材の受入れ状況について
~「福祉人材の確保・育成・定着に関する調査2022」の調査結果から


【連載】防災・減災に向けた地域の取組み⑦ 
自治体のエリアを超えて誰も取り残さない
早期避難をめざす―「第2回荒川流域防災住民ネットワーク2022」の取組み


明日の福祉を切り拓く 
中途養育を経験した私が描く"ごちゃごちゃ"な社会
A-Step 町田彰秀さん

【NOW】
外国人材の受入れ状況について~「福祉人材の確保・育成・定着に関する調査2022」の調査結果から
福祉人材の確保は依然として厳しい状況が続いています。近年は、外国人介護人材や他業種からの未経験者の参入が増えていたり、新型コロナの影響で職場体験や現場実習の機会が大幅に減少したりするなど、福祉人材を取り巻く環境は常に変化しています。
こうした中、東社協では、2022年9月~10月に、現況を具体的に把握し、今後の福祉人材対策の強化につなげるため、「質と量の好循環をめざした福祉人材の確保・育成・定着に関する調査2022」を実施しました。
今号では、その中から「外国人材の受入れ状況」に関する結果をお伝えします。
実施のあらまし
本調査は、2022年9月22日~10月28日の期間、本会施設部会会員施設・事業所3556か所を対象に実施しました。調査票は施設長向け、指導的職員向け、初任者職員向け、実習生向けの4票で構成しています。調査のあらましは表1の通りです。
本調査の基本的な視点は次の3点です。
(1)福祉人材の確保・育成・定着をめぐる、業種を横断した具体的な状況を把握し、東京固有の課題もふまえながらデータとして発信する。
(2)質の高い福祉サービスを提供できることが確保と定着に結びつくこと(=質と量の好循環)を前提にした福祉人材対策をめざす。
(3)今後の人材確保を想定し、外国人材や福祉を学んだ経験の有無に限らず、安心して成長して働き続けられる環境のあり方を明らかにする。
なお、16年に実施した「質と量の好循環をめざした福祉人材の確保・育成・定着に関する調査」の結果と比較するため、設問や選択肢の多くを前回同様に設定しました。
前回調査と比較した結果、指導的職員の「現況(業務や受ける相談の内容等)」、初任者職員の「福祉の仕事を就職先として選んだ理由」、実習生の「就職にあたって大切にしたいこと」等の主だった調査項目については、大きな差はほとんどありませんでした。
また、今回の調査では、外国人材(※)の受入れ状況や指導的職員が長く勤めている決め手、福祉人材の確保・育成・定着への新型コロナの影響等、新たな視点の設問を追加しました。
外国人材の受入れ状況
〔外国人材の雇用の有無〕
外国人材の活用状況を明らかにするため、施設長に受入れ状況を尋ねました。
外国人材を雇用している施設は、回答施設全体の20・2%でした(図1)。「高齢(特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム)」、「障害」、「保育」の分野別にみると、高齢分野では61・4%と、半数強の施設で外国人材を雇用しています。一方、障害分野は14・7%、保育分野は10・3%と、それぞれ1割強の施設が雇用していることが分かります(図2)。
〔雇用人数〕
「1~3人」が最も多く、57・8%でした(図3)。分野別にみても「1~3人」の回答が最も多くなっていますが、高齢分野では「4~6人」が34・3%と、「1~3人」(38・6%)と同様の割合となっています(図4)。
〔外国人材を受け入れて良かったこと〕
半数弱の施設・事業所が「異文化への理解が深まった」(45・3%)としています。次いで「指導体制の見直しができた」(30・5%)、「職場の雰囲気が良くなった」(28・9%)と続きます(図5)。
自由回答からは、「利用者に対するコミュニケーションや介助がとても丁寧で評判が良い」(特別養護老人ホーム)など、福祉人材としての質の良さをあげる回答や、「外国人職員の母国料理を子どもたちと一緒につくり、異文化理解がすすんだ」(児童養護施設)等、利用者への好影響をあげる回答がありました。他にも、「新規採用職員に対する指導も丁寧になった」(特別養護老人ホーム)、「外国人にも分かりやすいマニュアルを作成することで、日本人への指導にも活かされている」(心身障害者施設)等、外国人職員を受け入れることを通して、業務内容や日本人職員の指導体制の見直しにつながった施設もあることがうかがえます。
〔外国人材の受入れにあたり、工夫したこと〕
「外国人職員への説明を丁寧に行った」(62・5%)ほか、「業務に関する指導の時間を確保した」(35・9%)という回答が多くあがりました。また、「住居などの生活に必要な物品の提供」、「日本人職員への説明」、「業務マニュアルの整備」について、それぞれ約3割の施設が取り組み、外国人職員が働く環境を整えていることも明らかになりました(図6)。
具体的な取組みとして、「名札や記録用紙にローマ字表記を加えた。口頭での説明が難しい場合は、動画を活用している」(特別養護老人ホーム)、「毎月ミーティングを行い、不安なこと等を聞いている」(特別養護老人ホーム)、「衣類や住居を提供した。地域のコミュニティへの参加を促し、定期的に参加してもらっている」「日本人職員と先輩外国人職員を必ずつけてOJTを実施している」(知的障害者施設)等があげられました。職場の環境整備だけでなく、外国人職員が日本で働きながら生活することができるように、住居などのサポートをしている施設・事業所もありました。
〔外国人材の受入れにあたり、整備が必要だと思うこと〕
約6割の施設が「指導できる人員」(59・0%)と回答しています。次いで「日本語の指導」(44・3%)が続き、「利用者の理解を深めるための取組み」(31・9%)、「日本人職員の理解を深めるための取組み」(30・8%)となっています(図7)。
自由回答からは「言葉の壁(日本人独特の言い回し)があるので、ある程度の語学力は必要と思われる」(児童養護施設)など、保育、児童分野では、日本語能力や子どもたちに伝えるべき日本文化の理解が必要となるとの回答が見られました。
●                                                    ●                                                           ●                                                                                         
施設長向けのその他の調査結果のほか、指導的職員向け、初任者職員向け、実習生向けの調査結果については、23年3月頃、概要版を本会ホームページに掲載し、また、各調査票を設問ごとにまとめた報告書を出版する予定です。
そして、本調査から得られた結果をもとに、来年度、東社協では外国人材や新任職員など特定の層の人材育成に関する工夫した取組みや、指導体制の見直しにつながった事例をヒアリングし、とりまとめる予定です。

(※)本調査において「外国人材」とは、短期間日本で働く外国人、日本に長く住んでいる外国人を指します。例えば、EPA、定住者、永住者、日本人の配偶者等、介護、特定技能等。




【トピックス】
2023年度
国および東京都予算案固まる
2023年度国予算案
政府は、23年度の国予算案を2022年12月23日に閣議決定しました。社会保障関係費は32兆8,514億円で前年度から1.7%の増となっています。
地域共生社会の実現に向けた地域づくりについては、実施区市町村が増える重層的支援体制整備事業の「包括的相談支援事業」や「地域づくり事業」、「多機関協働事業」等が拡充されています。
また生活困窮者自立支援関連では、ニーズの高い居住支援関連施策が強化されているほか、「就労体験・就労訓練先の開拓・マッチングの再編」により、事業内容が拡充されます。ひきこもり支援では、支援者をフォローアップする取組みが新たに始まります。
自殺総合対策では自殺対策の一層の推進を図るため、「ゲートキーパー養成・支援事業」や、「自殺未遂者に対する地域における包括的支援モデル事業」、「若者の自殺危機対応チーム事業」が新たに実施されます。
成年後見制度や権利擁護支援関係では、「都道府県・市町村・中核機関の権利擁護支援体制の強化」や、「地域連携ネットワーク関係者の権利擁護支援の機能強化」、「『持続可能な権利擁護支援モデル事業』の実施自治体の拡大」などが拡充となっています。
福祉・介護人材確保対策等の推進では、「外国人介護人材受入環境整備事業」や、「小規模法人のネットワーク化による協働推進事業」等が拡充されます。
22年5月に成立した困難女性支援法関係では、「婦人相談員活動強化事業」が拡充されるほか、適切な支援を提供するための支援体制整備や、自治体や民間の支援団体が広域で連携できるプラットフォームの構築等が新規事業として盛り込まれています。
2023年度東京都予算案
東京都は2023年1月27日に23年度の予算案を発表しました。「福祉と保健」は、新型コロナ対策経費を除いた額で見ると、前年度比14.5%増の1兆5,384億円です。子育て支援関係の増などが主な理由です。
高齢分野では、科学的裏付けに基づく介護の定着・促進に取り組む事業所を支援する「要介護度等の維持改善に向けた介護事業者の取組促進」や、介護業務の負担軽減につながる取組みをすすめる「介護現場のDX・タスクシェア促進事業」が新規の予算となっています。ほかにも、外国人材の雇用を検討する事業者が受入れ調整機関に相談できる合同相談会を実施する「外国人介護従事者受入れマッチング支援事業」などが新たに実施されます。
障害分野では、医療的ケア児とその家族への支援の充実を図るため、「医療的ケア児日中預かり支援事業」等の保護者の就労支援に資する取組みや、「医療機器等整備費補助」等による短期入所等の受入れ促進、またサービスや支援を担う人材の育成について、新たな取組みが盛り込まれました。
児童分野では、一時保護の新たな受け皿確保や夜間の電話受付業務の体制強化に取り組む「児童相談所業務における民間事業者の活用」や、保育の専門性を活かして在宅子育て家庭の孤立防止や育児不安軽減等に取り組む「保育所等における地域の子育て支援事業」や「多様な他者との関わりの機会の創出」が新規事項となっています。また、24年度の「こども家庭センター」創設を見据えた区市町村の児童福祉部門と母子保健部門の体制や連携の強化をすすめる「子育て家庭に対する包括支援の強化」が拡充されます。

■東京都
2023年度予算

【マンスリー】2023.1.26 - 2.25
2/2
児童虐待通告件数や配偶者からの
暴力事案等の相談等件数、増加
警察庁は「令和4年の犯罪情勢について【暫定値】」を公表。児童虐待またはその疑いがあるとして警察から児童相談所に通告した児童数は年々増加しており、令和4年は11万5,730人と、前年比で7.1%増加し、過去最多となった。心理的虐待が8万4,951人と全体の73.4%を占めている。
また、配偶者からの暴力事案等の相談等件数についても増加し続けており、令和4年は8万4,493件と、前年比で1.7%増加していることが明らかとなった。
2/1
「『医療・介護・保育』求人者向け特別相談窓口」を設置
厚生労働省は、介護や保育などの福祉施設や医療機関が人材紹介会社とトラブルになった際に相談に応じる「『医療・介護・保育』求人者向け特別相談窓口」を、各都道府県にある労働局に設置した。
2/14
東京都医療的ケア児支援ポータルサイトを開設
東京都は、医療的ケア児の家族が子どもの成長に応じて必要な情報を得られるよう、「東京都医療的ケア児支援ポータルサイト」を開設。ライフステージに応じた支援に関する情報や相談窓口などを、分かりやすくまとめて発信する。


【主な掲載内容】
・ライフステージ別(在宅移行期・乳幼児期・学齢期)の支援に関する情報
・障害福祉サービス、手当・手帳等
・困りごとに応じた相談窓口
・関係者向け研修情報
ポータルサイトURL:https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/Medical-Care_Children_Support/



【連載】防災・減災に向けた地域の取組み7
今号では「知る」「つながる」という視点から、自治体のエリアを超えた「荒川流域防災住民ネットワーク」の取組みについて紹介します。
自治体のエリアを超えて誰も取り残さない早期避難をめざす
「第2回荒川流域防災住民ネットワーク2022」の取組み
東京23区東部を縦断する一級河川「荒川」の氾濫を想定して、上流の埼玉県から下流の江東5区まで、流域の住民やさまざまな団体が、自治体のエリアを超え「誰も取り残さず早期避難する」ことをめざす「第2回荒川流域防災住民ネットワーク2022」が2022年11月に開催されました。この企画の呼びかけ人で実行委員でもあるNPO法人「SDGsいたばしネットワーク」の理事長の加藤勉さんと事務局次長の小倉和子さんにお話をうかがいました。
きっかけは2019年の台風19号
SDGsいたばしネットワークは、国連発のSDGsの基本理念である「誰も置き去りにしない・されない」を実現するため、一人ひとりの思いをつなげ、希望の未来を子どもたちに引き継いでいくためにさまざまな地域活動に取り組んでいます。
そんな中、19年10月に台風19号が関東地方に上陸し、甚大な被害をもたらしました。多摩川・千曲川等が氾濫したこの時の豪雨で巨大河川荒川の水量もみるみる増して、あと50数㎝で堤防を越えるところまで迫りました。加藤さんは「荒川の危険性については、事前に知っていたつもり。しかし、この台風以来、荒川の洪水や堤防決壊は現実のものとしてすぐにでも起こるという恐怖感と、このままではダメだという切迫した危機感を持った」と話します。
荒川流域の住民は運命共同体
加藤さんたちは、板橋区では荒川氾濫を想定した避難体制という地域課題があることに気づき、「SDGsまちの学校高島平」で浸水想定地域の住民に呼び掛けて、防災訓練やシリーズの学習会を行いました。そして、「これは板橋区だけの問題ではなく、荒川流域自治体共通の問題ではないか、流域住民が協力していくことが必要ではないか」という思いに至り、荒川流域の住民や関係者が自治体の枠を超えて、当事者の立場でつながり、知恵と力を出し合って、具体的に問題の解決をめざしていく「荒川流域防災住民ネットワーク」を21年に立ち上げました。「荒川流域の住民は運命共同体だ」「SDGsの視点で、犠牲者を誰一人出さないよう、障がい者や高齢者など要援護者の助け合いの具体策を生み出していこう」というメッセージはエリアを超えた多くの方から共感を得て、21年11月に「第1回荒川流域防災住民ネットワーク」が板橋区内で開催されました。
「第2回荒川流域防災住民ネットワーク2022」の取組み
21年の第1回に引き続き、22年11月に「第2回荒川流域防災住民ネットワーク2022」が板橋区内で開催されました。
実行委員会形式で、地元板橋区だけでなく流域の町会・NPO法人・市民団体などと共に準備をすすめました。自治体・医師会・消防関係等の多くの関係者や団体からの協力と支援もありました。
当日は会場に大勢の人が集い、リモート参加も含めて参加者は150人(所属団体は60)を超えました。午前中の全体会では、トークセッションで西日本豪雨の被災者から体験談を聞いたり、大学生による荒川上流から下流までの映像体験が紹介されたりしました。午後の分科会では、要援護者・外国人・地区防災計画といったテーマの下で早期避難実現のための「自助・共助・公助」による避難のあり方などについて意見交換が行われました。
加藤さんは「荒川上流から下流までの人たちが、当事者の立場で集い、現状と課題を共有し、知恵を出し合う場になった。今後も荒川流域で開催することで、誰も取り残さない早期避難は実現可能になると確信している」と話します。続けて「今回は大東文化大学を中心に都内外の多くの大学生から参加・協力を得ることができた。若い人たちの横のつながりは我々の想像以上の力があった。なによりも彼らの防災・減災への関心の高さがうかがえたことは大きな収穫」と振り返ります。
小倉さんは「避難行動のための支援をどのようにすればよいのか、知る機会がない人は大勢いる。今のままでは障がい者や高齢者の避難は家族や関係者だけの課題になってしまう。町会や地域住民のルーティンとして誰もがあたりまえに避難支援ができるようにならないと、助かる命も助からなくなる。自治体と協働でしくみや制度を整えなくてはならない」と話します。さらに「このネットワークに多様な立場の人が参加し、多様な気づきが生まれることがルールづくりのきっかけになるのではないか」とも話します。
今後の展望
近年、日本各地で大雨による水害や土砂災害が頻発しています。加藤さんは「日本各地には無数の河川がある。それぞれの地域の取組みやアイデアを惜しみなく出し合って、共有できるようになるといいと思っている。そのためのネットワークづくりも今後取り組んでいきたい」と話します。
また、「地震災害と違って、風水害は現在の気象予報技術によって、防災・減災のために必要な時間をつくり出してくれている。この時間をどれだけ有効に活用するかは、人間の意志と知恵と行動によるものだと思う。そのためにもこういった取組みを継続することには大きな意味がある。さらには風水害対策と地震対策の相関性をつなげ、取り組んでいきたい。第3回(2023年11月19日・会場は北区)開催に向けた準備が始まっている」と、今後の展望を語ります。
(左から)
NPO法人SDGsいたばしネットワーク
理事長 加藤勉さん
事務局次長 小倉和子さん
台風19号通過直後の荒川の様子(新河岸地区)
第2回荒川流域防災住民ネットワーク2022 当日、会場の様子




【東社協発】
地域の活動の情報を募集しています
福祉広報では、地域福祉に関わる取組みを掲載しています。
東京都内の社協、施設・事業所、市民活動団体など、さまざまな主体による取組みの情報を下記メールアドレスまでぜひお寄せください。
kouhou@tcsw.tvac.or.jp
情報はこちらからお寄せください▼

ボランティア保険・行事保険のご案内
ボランティア保険・行事保険の加入を受け付けています。
ボランティア保険は年度毎に加入する必要があります。
2023年度もお忘れなく、お手続きください。
2023年度ボランティア保険
▶保険期間 2023年4月1日0時から2024年3月31日24時までの1年間
行事保険
●1日行事は、参加人数5名から対象となり、
熱中症を補償します(傷害補償のみ)。
▶申込み 受付中
※申込み方法 ボランティア保険・行事保険サイトより
ご確認ください。
ご不明点がございましたら
下記までお問い合わせください。
▶加入手続きに関する問合せ
経営支援担当 電話:03(3268)7232
▶補償内容に関する問合せ
有限会社 東京福祉企画 電話:03(3268)0910
ボランティア保険・行事保険サイト▼

東社協中期計画レポート3   ~東京の多様性を活かした“地域共生社会”を一歩前へ
「令和4~6(2022~2024)年度東社協中期計画」の中から、重点事業「三者連携の具体的取組みの推進と情報発信の強化」の進捗をお伝えします

民生児童委員・社会福祉法人・社協の三者が協働し、地域で実施されている事例を紹介する『チームで取り組む地域共生社会づくり』を発行しました。2022年度は、特にコロナ禍で見えてきた地域課題等に対応するための実践事例に着目したブックレットを作成しています。制度の狭間の問題や複合的な課題が増えている中、単一の機関や専門職の力では対応が難しくなっています。多様な取組みの一つの形として、三者による連携、さらには「三者+α」として企業など新しい地域の関係者との協働による取組みへと広がるよう、事例の分析や情報発信をすすめていきます。
『チームで取り組む地域共生社会づくり』はこちらからご覧いただけます。▶
2023年度 東京都福祉人材センター研修室 研修日程一覧令和5年2月1日現在




【明日の福祉を切り拓く】
中途養育を経験した私が描く"ごちゃごちゃ"な社会
町田彰秀さんは、自身の経験から、何かしらの理由で実子以外を養育する
「中途養育者(※1)」への支援を中心に、多様な形態の家族が共に暮らせる社会の実現に向け活動しています。

中途養育者になって見えてきたもの
幼少期からものづくりが好きで出版や靴の製造に携わり、2000年にベビーシューズの製造や手づくりキットの販売を行う「ファーストステップシューズ」を妻と立ち上げました。靴づくりに面白さを覚え、いつか自分の靴もつくりたいと考えていました。そんな私は03年に妻の親族の子ども2人を引き取ることになります。
中途養育者として実子とともに育てるうちに、子どもの言動に「ちょっと変じゃない?」と思うことが増えていきました。教育相談や医療機関へ行ったりもしましたが、当時は発達障害という言葉も今ほど広まってはなく、手探りで動いていました。
自分なりに情報を集める中、継母によるブログや掲示板を見つけ、似ている境遇や子どもの悩みに共感を覚えました。しかし、それ以上に、中途養育の実情が知られてなく、偏見による心無い声があること、途中から養育に携わるという特殊な立場にありながら支援が十分でない現実を目の当たりにし、社会課題であると感じました。同じ頃、SAJ(※3)にも参加するようになり、中途養育者をはじめ多様な形態の家族が共に暮らせる地域づくりをめざす団体として、09年に「A-Step」を足立区で設立しました。
多様化する家族、変わらない家族観
A-Stepは活動の幅を決めずに中途養育の啓発活動やサロン開催など多様化する家族の課題に応じて支援を展開してきました。サロンなども対象を定めず、さまざまな人が〝ごちゃごちゃ〟に交わることを大切にしています。そのほか、一般社団法人ねっとワーキングの立上げやあだち子ども支援ネットに参加するなど、中途養育に必要な支援を当事者目線で模索してきました。
活動を通じて、「定形家族」の意識が根強い社会と他者の目を気にして課題を一人で抱え込まざるを得ない中途養育者の存在を痛感してきました。立場特有の難しさや不安を感じながらも、周囲を頼れない、理解を得られない状況は、子どもの発達に大きく影響するといえます。マイノリティな立場だからこそ、本来周囲の見守りが重要であり、地域の理解を得るために当事者の一人として声をあげ続ける必要があります。
多様化する家族にそれぞれの立ち位置から関わっていく
現在はゆる育カフェの開催やペアレントメンターの傍ら、社会的養護を知るために3年前から児童養護施設で働き始めています。地域で養育課題を抱える人や途中から養育を代替した人、そうした養育者側の支援をさまざまな立ち位置の人が補う必要があると考えているからです。今後は、馴染みのあるネットワークを使いながら、それぞれの立ち位置から関われる「ハブ機能」のようなしくみづくりをめざし、その一環として自分の靴をつくる工房も実現したいところです。
定形外家族を受け入れる社会には、地域社会の一員として、一人ひとりが社会で生じていることに自ら関わっていく姿勢、つまり個人の視線や器を少しずつ広げていくことが何より大切ではないでしょうか。

Akihide Machida
町田 彰秀さん
靴づくりをしながら、親族の子どもを育てたことを機に、2009年に非営利活動団体「A-Step」を始める。現在ペアレントメンター(※2)や児童養護施設職員としても働きながら中途養育支援の必要性を発信している。
(※1)「何かしらの理由で実子ではない子育てに関わる者」を表すものとして使用。子育てを引き継いだ親族やステップファミリーの継親、里親や施設職員等が該当
(※2)発達障害のある子どもの養育経験を生かして、同じような子を持つ親に対して相談相手になったり、情報提供を行う
(※3)Stepfamily Association ofJapanの略
ファーストステップシューズで提供しているベビーシューズや手づくりキット
ファーストステップシューズHP
A-Stepでは、毎月1回「ゆる育カフェ」を開催。
13時~20時で開かれており、出入り自由で誰でも参加できる。誰もが気持ちよく参加できるために、「普通はこう~」などの決めつけやアドバイスはいらないなどのちょっとしたルールあり
A-Stepは、A(個々)をStep(継ぐ)という意味
A-Step HP




【アンテナ】3月1日(水)時点の情報です。詳細は各団体にお問合わせください。この他にも東社協ホームページに各種情報を掲載しています。
東社協ホームページ「福祉に関する情報について」
https://www.tcsw.tvac.or.jp/info/index.html
講座・シンポジウム
2022年度ストレス科学シンポジウム
「うつにならない 第12弾」
3月25日(土)14時~16時 ※Zoomによるウェビナー配信 無料 500名 「令和3年版自殺対策白書」によると、2020年の全国における自殺者数は2万1,081人で、11年ぶりの前年比増。コロナ禍においてストレスを感じている人が増加しているという調査結果も数多く発表されている。その中で「うつにならない」をテーマに、うつ病臨床の第一人者の先生方からのうつ病予防についての最新の知見などに関する講演会や討論 3月24日(金) ホームページ (公財)パブリックヘルスリサーチセンター ストレス科学研究所 〒169-0051 新宿区西早稲田1-1-7
03-5287-5168 03-5287-5072
kensyu-stress@phrf.jp
http://www.phrf.jp/ssl/education/
令和4年度
高齢者住宅相談員研修会
3月13日(月)10時~3月31日(金)17時 ※WEBセミナー(オンデマンド配信) 4,000円 なし 高齢者向け賃貸住宅において、昨今の新型コロナ等の状況もあり、入居者の見守り・相談支援を担う相談員等の役割がより期待される一方、対応困難な事例が増加。直接入居者と関わる相談員等の方々が、業務を円滑にすすめるために必要な知識を幅広く身につけることを目的に、「高齢者福祉施策の最新動向」や「地域包括ケアシステムについて」などの研修 生活援助員(LSA)、サービス付き高齢者向け住宅相談員、地方公共団体担当者、民間事業者など 3月24日(金) 申込書に必要事項を記入し、メールまたはFAX (一財)高齢者住宅財団 シニア住宅部(ボナージュ横浜サービスセンター内) 〒224-0041 神奈川県横浜市都筑区仲町台5-7-8
045-943-1465 045-943-1467
lsa22@koujuuzai.or.jp
https://www.koujuuzai.or.jp/eventinfo/20230127/
その他
令和5年度
障害者雇用支援月間における絵画・写真コンテスト
(1)絵画コンテスト
働くすがた~今そして未来~
働くこと、または仕事に関係のある内容のものの募集。応募部門は、小学校の部、中学校の部、高校・一般の部 障害のある方(プロ以外であること)
(2)写真コンテスト
職場で輝く障害者~今その瞬間~
障害のある方の仕事にスポットをあて、障害のある方が働いている姿を撮影したものの募集 障害の有無は問わない(プロ以外であること)
(1)、(2)共通
3月1日(水)~6月15日(木)消印有効 障害者雇用への理解と関心を深めることを目的に、障害のある方々が描いた絵画やその働いている姿を撮影した写真を募集し、優秀作品をもとにポスター等を作製・掲示 作品に必要書類を添付し、送付 (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用開発推進部 雇用開発課 指導啓発係 〒261-0014 千葉県千葉市美浜区若葉3-1-3(障害者職業総合センター内)
043-297-9515
tkkike@jeed.go.jp
https://www.jeed.go.jp/disability/activity/contest/guideline.html

助成金・イベント情報を募集しています
東社協ホームページや『福祉広報・Antenna』への、社会福祉関係団体や社会福祉法人などが実施する福祉に関する助成金やイベント、セミナー、シンポジウム情報の掲載 無料
下記のページをご確認の上、フォームよりお送りください。
「助成金情報ページ、イベント・セミナーページへの掲載希望について」
https://www.tcsw.tvac.or.jp/info/eventseminar-irai.html




【資料ガイド】
会議資料
第5回「強度行動障害を有する者の地域支援体制に関する検討会」資料(厚生労働省/1月)
成年後見制度利用促進専門家会議第3回地域連携ネットワークワーキング・グループ 資料(厚生労働省/1月)
第9回「障害児通所支援に関する検討会」資料(厚生労働省/2月)
第2回今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会 資料(厚生労働省/2月)
第14回健康・医療・介護情報利活用検討会医療等情報利活用ワーキンググループ資料(厚生労働省/2月)
第214回社会保障審議会介護給付費分科会 資料(厚生労働省/2月)
生涯学習分科会(第123回)配付資料(文部科学省/2月)
不登校に関する調査研究協力者会議(第6回)配付資料(文部科学省/2月)
通常の学級に在籍する障害のある児童生徒への支援の在り方に関する検討会議(第8回)会議資料(文部科学省/2月)
調査結果
外国人の日本語教育に関する実態調査-地域における日本語教育を中心として-(総務省/1月)
令和4年度夜間中学等に関する実態調査(文部科学省/1月)
「都民生活に関する世論調査」結果(都政策企画局/1月)
国民生活に関する世論調査(内閣府/2月)
その他
「東京都こども・子育てお悩み相談室」ウェブサイト(都子供政策連携室/2月)




【くらし】
「あなたの話を聞きたい人もいっぱいいるんだよ」と伝えたい
都立紅葉川高等学校のボランティア部「メイプル部」は、都内高齢者施設や地域の行事の補助など幅広く活動しています。メイプル部部長2年生の八巻彩夏さんにお話を伺いました。
私のやる気でみんなを笑顔に
小学校の低学年だった頃、母が図書整理ボランティアとして小学校で活動していて、一緒に手伝いに行っていました。図書室をきれいにすることで、「過ごしやすくなった」と言ってもらえたり、みんなの笑顔を見たりしたとき、頑張った甲斐があったと嬉しくなりました。
私は、人の役に立つことが好きな性格で、高校ではメイプル部の他に生徒会にも所属し、庶務を担当しています。高校生活では、部活動と生徒会が特に楽しいです。
メイプル部は、1年生3人、2年生1人の計4人が主に活動に参加し、部長の私は顧問と相談しながら役割を担っています。受験を控えた3年生の4人は、時間があれば活動を手伝ってくれます。コロナ禍では校内のボランティア活動が多かったのですが、オリンピックの時は、会場までの緑道に花を飾る活動にも参加しました。
昨年からは高校近くの福祉施設「なぎさ和楽苑」が主催する地域の高齢者を対象としたスマホ教室に教える側として参加しています。携帯の使い方を教える以外に、日常の相談に乗ることで地域の方の安否確認などにもつながっていると聞きました。
地域の高齢者とお話しできるスマホ教室はとても貴重な機会だと感じています。初めての参加で緊張されている方も、気持ちがほぐれて「見て! この写真、私の孫なの」「私のワンちゃんなの」と、スマホの使い方だけでなく、日常のことをお話ししてくださります。「活力が出て、元気になったよ」などの声をかけてもらえると「楽しく参加してもらえて良かった!」と思います。これからも相手の目を見て積極的に話しかけていくことを大切にしたいです。
汗だくの思い出が住民の笑顔で満たされた
2022年7月、地域相談拠点「なごみの家葛西南部」から連絡をいただき、近くの団地住民と交流を図り、熱中症の注意喚起などをするため、地域の行事の手伝いをしました。
団地の方たちにイベントに参加して楽しんでもらいたいと思い、団地4棟を部員で手分けをして、一人100戸ポスティングをして、イベントの周知を行いました。新型コロナの影響で、イベントは中止になりましたが、12月には「なごみの家」主催のクリスマス会が開かれ、特にビンゴ大会は盛り上がりました。団地住民をはじめ、施設の利用者や、地域の方など50名ほどが集まり「団地の方に楽しんでいただくことができた」と達成感を味わいました。
団地を訪れて感じたもどかしさ
団地の住戸を訪れた時、真夏でもエアコンをつけず過ごしている高齢の一人暮らしの方が多くいらっしゃり「もしかしたら、一人で倒れているかも!?」と不安に感じました。「団地の中に、一週間、一か月、誰とも話していない人が何人いるのだろう」と考えると、もっと積極的に外に出てもらえたらと思います。外に出ると、「こういう施設があって、こんなイベントがある」と知って前向きな気持ちになれるし、いろいろな人と出会うきっかけになるからです。
多様な人と出会い世界を広げたい
幼少期からダンスを12年続けているので、耳が聞こえない人、体が上手く動かせない人と一緒にダンスをしたいです。また高校1年生から声優養成所に入っていることもあり、将来の夢は歌って踊れる声優になることです。性別や障害の有無に関わらず多様性のある活動に関わり、いろいろな人と出会って世界をもっと広げてみたいです。
スマホ教室で個別に相談に乗っているところ




【本】
社会福祉法人のための規程集
役員会等運営の実務編
社会福祉法人の役員会等の運営において役員改選の実務等を分かりやすく整理しました。コロナ禍の今、法人運営でおさえておきたい【役員会の召集手続の省略】や【決議の省略】についても各種様式を示して解説しています。
◆規格 A4判/380頁 ◆発売日 2020.9.2
◆定価 4,400円(本体4,000円+税10%)
令和4年度改正法施行対応版
社会福祉施設・事業者のための規程集
2022年度から施行された法令の中で、育児・介護休業関係・個人情報保護関係等、特に社会福祉施設・事業者で対応が必要なものを整理して、その解説と改正する規程を例示しました。
◆規格 A4判/132頁 ◆発売日 2022.7.21
◆定価 2,200円(本体2,000円+税10%)
令和2年版社会福祉法人会計の実務
第2編決算編
◆規格 A4判/460頁 ◆発売日 2021.1.25
◆定価 4,400円(本体4,000円+税10%)
令和2年版社会福祉法人会計の実務
第1編月次編
◆規格 A4判/548頁 ◆発売日 2020.9.25
◆定価 6,600円(本体6,000円+税10%)
 

月刊「福祉広報」

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