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福祉広報 2023年5月 772号 テキストデータ

【表紙】(写真)

ハイビスカスのシャツがよく似合うね
笑顔につられて笑顔で挨拶
こころ温まる日常がここにある

 

目次

1 社会福祉NOW

2 連載 ネットワークを活かした地域公益活動

3 み~つけた

4 東社協発

5 福祉職が語る

6 くらし今ひと


「*見出しの頭には「--(半角で2つハイフン)」の記号が挿入されているので、検索機能を使って頭出しをする際にご利用下さい。また検索の際、目次でご紹介した数字を続けて半角で入力すると、その項目に直接移動することができます。
(例)1をご希望のときは、「--(ハイフンハイフン)1(すべて半角)」と入力。」

 

--1【社会福祉NOW】

ケアリーバーが安心できる場所を社会に

 

2021年3月の厚労省による全国調査(注1)から、社会的養護経験者「ケアリーバー」の厳しい状況や課題が明らかになりました。22年6月に成立した改正児童福祉法では訪問や通所等を通じたケアリーバーへの支援の必要性が明記されています。ケアから離れた後も自立して暮らし続けるために必要な取組みは何か。今回は児童養護施設退所者支援を中心に、児童養護施設と民間団体の取組みを通じて考えていきます。

 

ケアリーバー。児童養護施設等への入所措置や里親委託等が解除された社会的養護経験者を指します。国や東京都の調査から、ケアから離れた後の厳しい状況や課題が浮き彫りになりました。法制度が切れ目のない支援へ向かう一方、施設等においては職員の異動や人材不足等があり、個々に応じた継続的な自立支援という点ではさまざまな課題が存在しています。

 

「子供の家」として退所者とつながり続ける ~社会福祉法人子供の家 児童養護施設子供の家

「子供の家」では、子どもたち一人ひとりの自立と向き合っています。各支援制度を活用し、児童相談所等と連携しながら、高校卒業後も希望に応じて22歳までいられることを標準としています。入所中に自立支援担当職員を中心に多職種が関わり、自立に向けた課題の整理や、悩みや不安の振り返りを行い、退所後の生活のイメージを共につくっていく機会を設けています。退所後の支援として、LINEを通じた情報発信や必要に応じた連絡や訪問等、状況に沿った取組みを展開しています。

 

◆しくみとしての退所者支援に向けて

施設では、退所後支援の方針や具体的な支援について、実施要項を定めて職員に共有がされています。施設長の早川悟司さんは「退所後支援における児童養護施設の役割が法で位置づけられた際も、支援の基準や期間、具体的な取組みは示されなかった。曖昧であると、支援が個々の職員の意識や裁量に依るものとなる。職員の異動や退職を前提に継続的に支援するためには、属人的ではなく、しくみとして施設で取り組む必要がある」と強調します。そのため、施設では退所者支援の計画書を作成し、施設だけではなく児童相談所等とも支援の振り返りや状況の共有ができるよう可視化しています。

一方、自立支援担当職員の渋谷巧さんは「『丸丸さんだから相談できる』という退所者の声がある。やはり退所者にとっては『人』でつながっているので、その支援をどうやってしくみに戻すかが課題」と実感しています。職員が入れ替わる中で、の活用や行事等を通じて、退所者が新たなつながりをもてるよう働きかけることが大切であるといいます。

 

◆地域での暮らしに向けたステップ

20年から「ステップルーム」として施設の近隣にアパートを借り、退所後を見据えて一人暮らし体験を重ねる事業を実施しています。現在7軒を確保し、利用期間は1週間から最長1年を基本としています。一人暮らし体験から、戸締まりや調理の仕方など、施設から離れて気づく課題やニーズを本人と職員で共有することができるといいます。また、「退所後の支援はどんなものなのか。漠然とではなく具体的なイメージを退所前にもつことにつながっている」と、渋谷さんは本取組みによる効果を挙げます。

本事業は入所者の自立に向けた場所であると同時に、地域で生活に困窮した退所者や他施設経験者を受け入れ、再スタートのサポートもしています。利用期間は定めずに対象者の状況に合わせて、生活支援やケースワーク、アフターケア等を必要に応じて関係機関と協働して取り組んでいます。

 

◆とにかくつながる、つながり続ける

こうしたさまざまな取組みを通して継続的に退所者支援を行っている子供の家ですが、以前は退所者の状況把握をできていなかったといいます。「子供の家で働き始めた時は、退所者リストの支援状況が空欄ばかりであった。とにかく支援状況を可視化すること、何よりつながりが切れているなら戻そうとすることが大切」と早川さんは話します。

今後求められる退所者支援について、渋谷さんは地域を巻き込んだ取組みを挙げます。「自立や退所者支援においてまだまだ地域とのつながりがもてていない。在所児童や退所者の居場所を地域につくっていきたい。例えばカフェのように、私たちだけでなく地域の人とつながりをもてるような場所」と話します。早川さんは「施設によって地域性は異なる。都心の施設であれば、退所者は家賃等の都合で物理的に離れることも多く、SNS等を活用してつながっていかなければならない。一方、うちのような都営住宅もあり退所者も近くで暮らせる地域であれば、気軽に立ち寄れる居場所を地域につくっていくことが課題」と、地域を意識した取組みの必要性を挙げます。

 

〝ふつうのカフェ〟だからできる支援 ~一般社団法人SHOEHORN

吉祥寺のカフェを拠点にケアリーバーを含む若者に向けた取組みを続ける一般社団法人SHOEHORNは18年に始まりました。設立者の武石和成さんは児童養護施設で働いていた際に、多くの退所者が路上生活状態や離職に陥っていたことをきっかけに現活動の必要性を考え始めたといいます。「当時、入所者支援をしながら継続的な退所者支援をするには、予算やマンパワー不足等もあり、施設だけで取り組むことに限界を感じた。地域に目を向けると、支援団体や制度等の社会資源は多く存在しているのに、多くの退所者に結びついていなかった」と武石さんは振り返ります。

また、「退所者との関わりから『相談』に高いハードルがあり、支援との接点がないと感じた。一番近くで彼らをみてきた職員等が支援と彼らをつなぐ接点であるべきだと考え、事業を通して『児童養護施設の強力な社会資源』をめざしたいと思った」と話します。同じく職員であった仲間と立ち上げ、現在は関係機関と協働しながら、必要な取組みを続けています。

◆使っても使わなくてもいい、二次的な定点

SHOEHORNは「ふつうのカフェ」からスタートしました。自分のタイミングで訪れることができて、相談も不要。お金を払ってコーヒーを飲むだけの人もいれば、立ち寄って相談する人、職場体験をする人もいるといいます。「ふつうのカフェにこだわったのは『用件が不要』『支援の非定型』『関わりの無期限』を実現できる場だから。相談したければ話を聞くし、必要に応じて外部資源ともつなぐ。ひきこもり等の在所児童の日中活動の場にもなっている。使っても使わなくてもいい、『二次的な定点』になることをめざしている」と武石さんは思いを話します。

カフェを訪れるケアリーバーには、仕事経験が少ない、主たる所属先をもたない者もいて、食事や話をしたり、取材事業(注2)で一緒に働くこと等を通じて長期的にみていきます。「根っこに保護者の不在や被虐経験がある彼らが、失敗やチャレンジを繰り返していつか所属先ができるまで長期的にみていく必要があると認識している」と武石さんは強調します。

◆ケアリーバーの安心を社会で考えていく

3人で事業を運営しているため、広報等まだまだ不十分なことがあります。何より課題は資金不足で、安定した拠点の設置費用や、組織化のためのマンパワーが不足している状況です。

活動を続ける中で、退所者支援に関する支援現場からの発信が必要であると武石さんは感じています。「外部支援団体からこぼれている児童や、支援のミスマッチが散見される。SNS等で当事者や支援団体の発信は多くあるが、児童養護施設が退所者支援について現場目線でもっと発信することが求められていると思う」と話し、今後は職員経験を活かして支援現場の事例を社会にシェアしていきたいといいます。

続けて、「それぞれの立場が発信し、支援について議論することで、新しい選択肢をつくっていかなければならないと考えている」と武石さんは話します。

 

東京都の社会的養護対象者は毎年4000人前後。ケアから離れた後も多様な課題に直面しながら暮らしていくには、気軽に立ち寄れるような場所が地域にあること、そして必要な取組みについて多様な主体が顔を合わせて考えていくことが大切といえます。

 

(注1)…「児童養護施設等への入所措置や里親委託等が解除された者の実態把握に関する全国調査」

(注2)…さまざまなお仕事をされている方に仕事について取材し、Youtubeで発信している

(写真 吉祥寺のカフェで行う「エールチケット」の取組み。カフェ利用者が購入でき、若者に向けてメッセージと”一杯”を届ける)

(QRコード SHOEHORNのホームページでは各取組みについて掲載中です)

(QRコード より詳細な記事は「ふくし実践事例ポータル」でお読みいただけます)

 

 

--2【連載 ネットワークを活かした地域公益活動】

都内法人の区市町村ネットワークによる地域における公益的な取組みの「いま」

 

都内の各社会福祉法人では、その使命に基づき、それぞれの地域課題の解決に向けた取組みをすすめています。とりわけ区市町村単位のネットワークにおいては、コロナ禍も含む地域の複雑多様化した課題と向き合い、1事業所では難しくても、事業所・法人同士がつながるからこそできる、さまざまな活動を区域内で展開しています。今号では、区市町村ネットワークの「いま」をお届けします。

 

◆東京における取組みの状況

東京都地域公益活動推進協議会(以下、推進協)では、22年度より東社協に入会するすべての社会福祉法人を会員とする「全加入組織(注)」となりました。オール東京で取組みを推進することにより、地域共生社会づくりの一翼を担っています。

(注)一部例外あり

東京での「地域における公益的な取組み(以下、地域公益活動)」は、①各法人②区市町村単位のネットワーク③東京都域の3層からなります。とりわけ、社協が事務局機能を担う「複数法人の連携による区市町村ネットワークでの取組み」については、近年増えているひきこもりやヤングケアラーといった制度の狭間の問題や8050(ハチマルゴーマル)問題・ごみ屋敷等の複合的な課題、あるいはコロナ禍で顕在化した外国人やひとり親家庭、学生等の新たな地域課題への対応という視点からも、取組みの広がりや深化が期待されています。コロナ禍で実施された社協の生活福祉資金特例貸付から見えてきた地域の実情が、区市町村ネットワークで共有され新たな取組みの検討や実施につながったケースもあります(例、フードパントリー等)。

現在、都内では島しょ部を除いた53区市町村のうち、45地域でネットワーク組織が立ち上がっており具体的な取組みが行われています。

 

◆地域公益活動責務化の経緯と社会福祉法人の使命

戦後、社会福祉法人制度が誕生して以来、社会福祉法人の事業は行政からの「措置委託」を基本に行われてきました。平成になり、利用者本位での福祉サービスの「契約」という視点が入り、高齢や障害、保育分野では「措置」から「契約」へと流れが大きく変わりました。そして、多様な福祉サービスの安定的な提供という視点から、実施主体として民間企業やNPO法人等にも門戸が開かれてきました。また、税制優遇に守られた高い利益剰余金(いわゆる内部留保)や、他の経営主体との財政上の公平性(=イコールフッティング論)など、社会福祉法人をとりまく社会的な議論も湧き起こりました。そのような流れを経て、16年に社会福祉法の一部が改正され、地域公益活動が責務化されました。社会福祉法人として、複雑多様化した地域課題にもしっかりと向き合い、取組みをすすめることにより、社会福祉法人としての役割や存在意義を広く社会に示していくことが求められるようになりました。その流れを受けて、東社協としても推進協を16年9月に立ち上げ、オール東京での取組みを今日まで継続して推進してきています。

また、社会福祉法人は、社会福祉法で謳われている「地域共生社会の実現」においても、多様な団体や地域住民との協力・連携をもとに、地域生活課題の把握や解決を図り、地域福祉を推進していくことが求められています。このように、社会福祉法人は、その使命感に基づいて、自身の存在を広く示していくためにも、地域において積極的に課題解決等への取組みを行っていく必要があります。

 

◆オール東京におけるネットワークとしての取組み

ここでは区市町村域で社会福祉法人同士が連携しながらネットワークとしての取組みをすすめていく意義を考えていきます。

推進協としては、法人や事業所同士がつながることで「地域がより見えるようになり」「1事業所ではできないこともできるようになり」「それぞれが持ち合わせている強みを発揮できる」と考えています。そして、複雑多様化した地域生活課題に、社会福祉法人が連携して取り組んでいる姿を東京の至るところで目にすることができるその状況こそが、社会福祉法人の存在意義をインパクトを持って広く伝えることのできる重要な要素の一つであるととらえています。

また、地域公益活動を推進することは、さまざまなプラスの副産物を生み出すことにもつながり得ると考えています。福祉人材の確保・育成・定着については、多くの社会福祉法人が抱えている喫緊の課題ですが、地域公益活動に積極的に取り組んでいる法人・事業所の方がそうでない事業所よりも学生の就職率が高いという分析結果も出始めています。複数法人が連携・協働し地域公益活動を推進することによって、社会福祉法人の見える化がすすみ、魅力ある職場(やりがいや地域公益活動を行えるようなしくみや環境整備)の進展、さらなる地域課題への対応力の高まり、安定的・継続的な活動の展開、活動のさらなる広がり、連携・協働のさらなる強化……といったプラスの循環へつながることも期待されます。

 

今号では、現在の東京都内における地域公益活動の取組みの概況や、地域公益活動が法的にも責務化された流れ、区市町村域のネットワークでの取組みの意義等についてお伝えしてきました。

次号からは、区市町村ネットワークでの具体的な取組みを掲載します。「生活相談」「食支援」「就労支援」「災害への取組み」など、地域の実情に応じた多様な取組みが各地域で行われています。ネットワーク活動の意義や大切にしている視点、取組み推進のヒントや課題と感じていることなど、実際に関わっている方の生の声も含め、ネットワークの取組みの「いま」を届けていきます。

 

(図 地域公益活動推進のための地域ネットワークの状況と連携による地域公益活動)

(図 1東京の社福がすべてつながるということの意味)

(図 社会福祉法人の連携・協働がもたらすもの (プラスの循環))

 

 

--3【み~つけた】

子どもも大人も集い、みんなで暮らしやすい優しい地域をめざす

~まほうのほうき(八王子市)

 

「まほうのほうき」は、子育てがしやすく、暮らして楽しい賑わいのある地域を実現することを目的に、2022年1月に設立された任意団体です。活動拠点の「Yottette(よってって)」は22年4月にオープンしました。ここは、八王子市子安町にある空き家を一部改築した場所で、玄関をくぐるとすぐに駄菓子屋をイメージしたスペースが広がり、その奥に四畳半二間の和室があります。そこを子どもたちの居場所として、定期的に英会話教室を開催するなど、さまざまな使い方をしています。

団体名である「まほうのほうき」には、何か困ったことが起きた時に「その人のもとへ、〝まほうのほうき〟に乗ってサーっと飛んでいきたい」、「困ったことをサッと解決できる〝まほうのほうき〟のような存在になりたい」という思いが込められています。代表の沼﨑道子さんは、自身の子育てや仕事の経験から、「『助けて』と言えず、声も上げられないお母さんたちはたくさんいる。そんな人たちの力になりたいとずっと思っていた」と話します。

 

周りの人に支えられて活動できている

「まほうのほうき」のスタッフは15名ほどで、全員がボランティアです。教師や保育士、看護師として働いていた人、福祉関係の仕事をしている人などが中心となっています。「このほかにも協力してくれる人が大勢いて、その人たちがいるから活動が成り立っている。みんなに支えてもらっている」と、沼﨑さんは言います。

地域の他団体とも協力し、拠点以外でも子育て世帯と関わる活動に取り組んでいます。自然体験教室を不定期で開くほか、子どもの成長に伴いサイズが合わなくなった服や靴、使わなくなったおもちゃのリユース、使い道がなくなってしまった食料を集めて必要とする人につなぐフードパントリーなども行っています。

活動の参加者は、スタッフの知り合いなどが多いですが、そこから口コミで広がっています。活動報告にはSNSを使っており、23年3月にはLINEの公式アカウントをつくり、イベントの案内を始めました。沼﨑さんは「地域の人も『この場所は何だろう?』と興味を持ってくれてはいるが、もっと知ってもらうにはどうしたら良いか考えていた。近所のお母さんに聞いてみたら、LINEはどうかと教えてくれたので、やってみようと思った」と話します。これまでも、「自分が持ってきた服がどんな風に使われるのか、前もって知ることができたら嬉しい」という声をもらうこともあり、LINEを通じて幅広く発信できるようになりました。

 

新しい出会いや展開を楽しむ

地域の大学に通う学生がボランティアとして来てくれることもありますが、継続した関わりが難しいのが現状です。しかし「大学の地域交流会に顔を出すと、こちらが予想していなかった学部の先生や学生が興味を持ってくれることもあり、新しい出会いもある」と、沼﨑さんは前向きに捉えています。そして、このことは活動にもあてはまるといいます。「こちらが思い描いていたのとは違う形や異なるタイミングで活動が展開していくこともある。やってみないと分からないことの方が多いが、それを楽しみながら、柔軟に続けていけたら良い」と話します。

例えば、2本のポールを使って歩行するノルディックウォーキングを地域の高齢者と一緒に行う活動「Aluttette(あるってって)」は、沼﨑さんが想定していたよりも反応が良く、毎回12~13人ほどの参加があります。指導員をはじめ、病院の理学療法士や地域包括支援センターの職員など、さまざまな人が協力してくれています。

 

誰にとっても住みやすく優しい地域づくりをめざして

「まほうのほうき」は、23年度から、子どもの居場所と同じスペースを活用して、地域の高齢者を対象にしたシニアサロンを開き、交流を図るほか、「住民主体による訪問型サービス」も実施していく予定です。

沼﨑さんは「生きづらさや困りごとを抱えている人がいることをちょっと知るだけで、見る目や声かけが変わってくる。そういう人が増えれば、住みやすくて優しい地域になっていくと思っている」と言います。そのためにも、「まずは子安町の人に、ゆくゆくはもっと多くの人に知ってもらい、高齢者も子どもも障害者も関係なく、みんなの居場所になることをめざしていきたい。たった一人でもここがホッとできる場所と思ってもらえたら嬉しい」と話します。

(写真 Yottetteの外観)

(写真 玄関を入ってすぐの駄菓子屋スペース)

(図 「まほうのほうき」の主な活動内容)

(QRコード 「まほうのほうき」ホームページ)

 

 

--4【 東社協発】

研修受付システム「けんとくん」にご登録ください!

東京都福祉人材センター研修室(以下、研修室)では、都民を対象とする事業所(「都外施設」を含む)の職員を対象として、さまざまな研修を実施しています。

配信期間中はいつでも何度でも視聴可能な「収録型WEB研修」、Zoomを活用してグループワークなどを行う「ライブ型WEB研修」など、内容に合わせた研修形態で実施します。また、一部研修では集合型にて実施します。

研修を受講するには、研修受付システム「けんとくん」にて事業所登録を行う必要があります。登録された事業所には、最新のご案内がメールで届きますので、まずは、「けんとくん」のトップ画面の「新規団体登録」をクリックし、ご登録ください!

 

「けんとくん」トップ画面 「新規団体登録」をクリック https://www.kentokun.jp/

 

 

研修室の2023年度おすすめ研修はこちら!

◯『新任職員の定着・育成入門研修』(2023年度新設/収録型WEB研修)

新任職員の職場定着・育成に関するテーマの幅広さ、これに取り組むための課題の整理方法について学びます。

◯『アンガーマネジメント研修』(2023年度新設/収録型WEB研修)

現場での専門性を高めるためにアンガーマネジメントの考え方や活用法を学びます。

◯『ファシリテーション研修』(2023年度リニューアル/集合型研修)

ファシリテーターに必要な基本的な知識・スキルを学びます。

◯『労働基準法等に関する研修』(ライブ型WEB研修+アーカイブ配信)

労働基準法等の基本的事項を含めた労務管理上の重点ポイントを学びます。

 

その他、リーダーや職員の成長を支える研修を多数ご用意しています。

 

※研修によって、参加対象・参加要件が異なります。

なお、申込み時期などの詳細は「けんとくん」掲載の「年間研修予定一覧」にてご確認ください。

 

【お問合せ】東京都福祉人材センター研修室 TEL:03-5800-3335 けんとくん

 

 東社協 新会員のご紹介

▼保育部会

なかのこども園/目黒天空ちとせ保育園/栄光たまだいら保育園/中野ひかり保育園/子どもの森南町田保育園/練馬区立光が丘保育園/キッズタウン下落合保育園/汐留サーノ保育園

 

▼東京都高齢者福祉施設協議会

レスぺート千住/第3練馬高松園/渋谷区総合ケアコミュニティ・せせらぎ地域包括支援センター/港区立北青山高齢者住宅サービスセンター/特別養護老人ホーム 新宿和光園

 

▼東京都介護保険居宅事業者連絡会

サービス付き高齢者向け住宅 清住の杜町田/ひがしむらやま翔裕園

 

▼知的発達障害部会

シャングリラ/は~と・ピア2/品川区立障害児者総合支援施設〔ぐるっぽ〕 /Leaves練馬高野台

 

▼身体障害者福祉部会

東京都パラスポーツトレーニングセンター

 

▼情報連絡会員

ark/相談室 さくらそう/もりのおうち保育園/奏かつしか/サザンクロスかつしか/矢川プラス/梅木放課後子ども総合プラン(わくわく梅木ひろば)/ハーモニー竹の塚第3/共働学舎相談室/LIFESCHOOL 柏の葉菜/ファミリーイン和楽苑/はなまるキッズ鶴川教室

 

「チームで取り組む 地域共生社会づくり Vol.2~民生児童委員・社会福祉法人・社会福祉協議会の3者連携による4つの実践事例集~」を発行しました

東京都社会福祉協議会地域福祉推進委員会では、2018年3月に、民生児童委員・社会福祉法人・社会福祉協議会の地域福祉コーディネーターなどの 3 者が核となり、地域の多様な主体と連携を図りながら地域共生社会づくりをすすめる「東京モデル」を提起しています。

このブックレットは、22年3月に発行した事例集の続編です。3 者がつながり、地域で実施されている4つの事例を紹介しています。取組みの内容や3者のつながり方はさまざまです。事例や携わる方々の思いが、3者による連携や地域での実践の方向性を考えるきっかけやヒントになれば幸いです。

 

事例1 住民の顔が見える“住みよいまち弥生” @東久留米市内

事例2 コロナ禍でのまごころのふれあい創出 @中央区内

事例3 住民や専門職のつながりによる買い物支援 @日野市内

事例4 食と地域での温かさとやさしさ @板橋区内

 

(QRコード 冊子をお求めの場合は、「福祉の本」ページからご購入いただけます。)

(QRコード ブックレットはPDFで全ページ公開しています。)

 

推進協マスコットキャラクター決定!!

146点の応募作品から東京都地域公益活動推進協議会のマスコットキャラクターに選ばれた「つつまる」です。

「つつまる」のモチーフは風呂敷。どんな大きさのものでも包むことができる風呂敷は、さまざまな人の悩みを布のように暖かく包んで、その人に合った福祉を届ける活動をしてほしいという思いが込められています。うさぎ包みのようなリボンと耳は福祉支援者と地域の人たちとのつながりをイメージしています。

地域における福祉課題の解決に向け、「つつまる」も一緒に地域公益活動を推進していきますので、これからどうぞよろしくお願いします。

(図 つつまる)

 

 

--5【福祉職が語る】

ソーシャルワーカーは、新たな絆をつくり、未来の社会を切り開く

 

ルーテル学院大学名誉教授 市川一宏 (Kazuhiro Ichikawa)

早稲田大学法学部卒業後、日本社会事業学校研究科、東洋大学大学院社会学研究科社会福祉専攻博士前期課程・後期課程。1983年に現ルーテル学院大学でソーシャルワーカー養成に関わる。2023年3月に定年退職するまでに、14年間学長を務める。キリスト教社会福祉学会会長、日本地域福祉学会理事、日本社会福祉学会理事・監事を歴任。全国・都道府県・市区町村の行政や社協、民間団体の計画の策定、実施、評価および調査研究、人材養成・研修等に多数関わる。

 

2023年3月にルーテル学院大学を定年退職された市川一宏さん(ルーテル学院大学名誉教授)から寄稿いただきました。

 

◆偶然の出会いから始まった私の社会福祉の歩み

大学1年生の夏、阿佐ヶ谷教会が募集した知的障がい児施設の大島藤倉学園でのボランティア活動に、行けなくなった友人の代わりに参加した。当時、出会うことのなかった知的な障がいを持つ方々の生活に接し、自分の生き方が問われた。また知的障がい児者の父、糸賀一雄先生の「この子らを世の光に」という言葉から、私は、この子らがコミュニティで当たり前の生活をしていることが光となり、豊かな社会を創るのだと学んだ。

以降、ボランティア活動を続け、大学3年生の時に将来の道を探し求め、横須賀基督教社会館の館長だった阿部志郎先生をお訪ねした。先生から「ボランティア・市民活動とは、自分を振り返りつつ、連帯・協働して、コミュニティを耕す自発的な活動であり、あるべき社会を描く挑戦である」と学び、その思想を源流とする社会福祉の道にすすもうと決意した。

 

◆ソーシャルワーカーの使命

1983年、私は、現在のルーテル学院大学で、社会福祉の専門職であるソーシャルワーカーの養成に携わり、学生の当事者理解と、援助の専門的知識と技術の習得をめざした。本年3月、40年の教員生活を終えたが、その間、卒業生は、全国の行政、社会福祉協議会、社会福祉法人等の社会福祉領域、医療、教育機関等で重要な役割を果たしている。私の誇りである。

なお、ソーシャルワーカーの使命は、第一に当事者のさまざまな可能性を活かし、利用者自身が誇りを持って生活できるように、自立を支援すること。そのためには、自分勝手につくる利用者像に当事者を閉じ込めてはならない。「専門職である前に、一人の人間として」当事者理解を深めてほしい。

第二の使命は、サービス、活動、保健医療福祉等の専門職、住民、ボランティアという人材の支援等、コミュニティにある資源を活用し、もしくは掘り起こして、当事者の自己実現を図ることである。

 

◆コロナ禍における困難な生活状況にどのように臨むか

コロナ禍にあって、ひきこもり状態にある人、被虐待児童、自殺者の数はますます増加した。さらに仕事を失った方々が増え、多くの方が生活の場、生活する術を失った。同時に子どもや単身世帯の貧困が広がっている。しかも、コロナ禍にあって、多くのサービスや支援が停滞した。その結果、支援してきた方々が生活困難のただ中に置かれた。また例えば特別養護老人ホームでは、感染を恐れ、家族や友人の訪問を制限せざるをえず、忸怩たる思いをもった。ソーシャルワーカーは、まず今までのサービスや活動を検証し、支援を再編、強化していくことが求められる。

私は、東日本大震災発災後から2020年3月まで、石巻市社協と関わり、地域支援を考えてきた。被災直後の津波による被害を見て、呆然と立ち尽した自分を思い出す。家が流され、家族や友人を失い、失意の中にある方々がおられた。しかも、支援者も傷ついており、支援は難しかった。

お金を失うと生活の危機、名誉を失うと心の危機。希望を失うと存在の危機に直面する。現地のソーシャルワーカーがめざしていたことは、互いの存在を認め合い、支え合って共に生きていく寄り添うケアであった。それぞれの人生の一コマ一コマで、さまざまな出会いがあり、困難を乗り越えていくために、多くの絆が生まれる。第二に、ソーシャルワーカーには、相互の絆と希望のあるコミュニティを創り出す役割が求められる。

 

◆これからの私の挑戦

今、福祉系の大学等教育機関に入学する学生が減少している。そして社会福祉機関・団体が求人を出しても応募者が少ない傾向がみられる。しかし、ソーシャルワーカーを必要とする人々は確実に増加している。この閉塞感を打開するために、生活課題に一緒に取り組み、学び、互いに励まし合いながら解決してきた卒業生、仲間と協働して、未曾有の危機に挑戦していきたい。

(写真 市川一宏先生顔写真)

 

 

--6【くらし今ひと】

地域の人にいただいた優しさ 今度は私が返す番

 

昼はみんなの居場所「ゆずり葉」の理事長として、夜は居酒屋「笑い処」のオーナーとして地域の人をつないでいる齊藤敦子さんにお話を伺いました。

 

◆原点は街の電器屋さん

21歳の時から32年間、両親が営む電器店の高島平支店で働いていました。家族経営だったから朝から晩まで忙しくしていたのですが、お客様からは「スーパーで何か買ってくるよ」など何かと声をかけてもらっていました。

お店ではオーブンレンジやIHなど新しい電化製品の使い方を教えるために、月に2回先生を呼んで料理教室を開いていました。一緒に料理をつくってみんなで食べるとお客様の笑顔が出て元気になるんです。年を取って独り身になると孤食になり、それが粗食にもつながって気分も落ち込むのだと思います。だから自分が居場所をつくるとしたら台所は欠かせないと思いました。

 

◆高齢者が楽しく過ごせる居場所を

気になっていたことは他にもあります。病気で入院したお年寄りの方は、退院すると地域に戻ってくると思いますよね?でも実際には親戚のお世話になったりして、戻ってこないこともあるんです。さらに、誰にも言わずにそっと去っていく。なぜなら、移転先を周囲に知らせて電話などをもらうと、面倒を見てくれている人の負担になってしまうと考えるからです。そこまで気を遣っているお年寄りの方が、最後に楽しく過ごせる場所があったらと思っていました。

そんな時に東日本大震災が発生し、死ぬ前に自分が本当にやりたいことって何だろうと考えるようになりました。それは、私が人生で経験していないことをたくさん教えてくれた地域の人たちに恩返しをすることだと思い至り、電器店をやめて2014年に「ゆずり葉」を立ち上げました。昼は居場所として開けていて、夜は居酒屋として経営しています。

 

◆関係機関や仲間に支えられて

立ち上げてはみたものの、勝手が分からないことも多く、特に認知症については、人生の先輩に対してどんな声かけをすればいいのか見当もつきませんでした。舟渡おとしより相談センターに電話してアドバイスをもらったり、職員に駆けつけてもらったりしたほか、板橋区の認知症施策推進係も親身になって支えてくれました。

サロン登録をしている板橋区社会福祉協議会も、対応に困った時などに勉強会を開いてくれています。私からは参加者に言いにくいことでも、そういった機会に伝えてくれたりしますし、もちろん私自身勉強になっています。

17年に法人化しましたが、居場所やお店に関わっている人が、それぞれの得意分野を活かしてサポートをしてくれています。

 

◆たくさん笑って帰ってほしい

男性を呼び込む工夫として、「箸遊び」などを取り入れています。ピーナッツを箸でつまんで右から左に移す時間を計り、昇級・昇段をめざすものです。途中で失敗してもみんなで笑い合ったりしています。黙っててもできるので、あまりしゃべらない男性にもいいんじゃないかって。私はあまりノーと言わないタイプで、やるためにはどうしたらいいか、もしだめだったらやめればいいという考えでいます。それが、これまでやってこられた理由かもしれません。

今は、認知症の方や家族をもっと支えていくために、厚労省がすすめる「チームオレンジ」の立ち上げに向けてみんなで頑張っています。この居場所に来た人に笑って帰ってもらえるように、これからも取り組んでいきます。

(写真 齊藤敦子さん顔写真)

(写真 いつでもどこでも誰でも、楽しみながらできる「箸遊び」や「箸技道」)

 

以上で、福祉広報2023年5月号を終わります。

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