【表紙】(写真)
笑顔はじける「あらかわぽっせ」の学生メンバーたち。
“アートで子どもたちに居場所を創造する”を理念に、荒川区で活動中。
この日のイベントでは、来場した子どもたちと一緒にしおりづくりを楽しんだ。
―荒川区社会教育関係団体 あらかわぽっせ 荒川区―
【目次】
1社会福祉NOW
2み~つけた
3連載 福祉施設が取り組む広報活動 第2回
4Focus on! 今、こんな動きがあります
5Information(社福のオモイを地域に届ける! つつまる便/マンスリーニュース/ 東社協トピックス)
6くらし今ひと
--1【社会福祉NOW】
子どもの権利条約から30年、子どもの権利擁護のいま
1994年に子どもの権利条約を日本が批准してから今年で30年。4月施行の改正児童福祉法では、社会的養護のもとにある子どもたちの権利擁護の環境整備が一層求められています。
今回は、「 東社協児童部会」と「一般社団法人 子どもの声からはじめよう」への取材を通して、子どもの権利擁護について考えていきます。
子どもの権利擁護を考え続けて
東社協児童部会 子どもの権利擁護委員会
東京都内の児童養護施設や自立援助ホーム等を中心に構成される 東社協児童部会には、「子どもの権利擁護委員会」が設置されています。そのはじまりは1997年に遡り、子どもの権利に対する職員の意識調査や研修等が当時から行われていました。何より2004年には、児童部会として子どもの権利を尊重し、行動することを示した「倫理綱領」を委員会で策定し、その後はハンドブック等を通じた普及啓発に努めてきました。
本綱領は、全施設が揃う総会の冒頭で必ず全文読み上げられるほか、新任職員を対象とした研修の場で伝えられるなど、各施設、職員が立ち返るものになっているといいます。施設で暮らす子どもたちの権利侵害を防ぎ、子どもたちのより良い権利擁護環境をめざして、その時々に必要なことを委員会として提案してきました。近年では、社会的養護にかかわる子どもたちの意見表明等支援を明確化した「改正児童福祉法」の成立を受け、“アドボケイト”や“子どもの意見表明を支援する仕組み”をテーマに学習会の開催や意見交換を実施しています。
子どもの権利擁護を確かなものに
こうした権利擁護の取組みをすすめる中、施設現場における権利侵害事案が今なお生じています。東京都と一緒に、どうしたら権利侵害を防ぐことができるか。施設職員が集い、考える場が毎年設けられています。小グループに分かれてディスカッションする時間では、それぞれの悩みや取組みが共有され、そのことで改善されていくものもあるといいます。委員長を務める東京育成園園長の髙橋直之さんは「もちろん施設によって特色や違いはあるけれど、権利擁護については、それぞれの施設で標準化していかなければなりません。その役割を部会、そして委員会活動が担っていると思います」と話します。また、委員で朝陽学園の千田真介さんは、子どもの権利擁護において、職員間のチームワークが大切であるとし、「職員同士がぎくしゃくしていると、子どもたちの行動にも影響します。職員がチームとして意見を交わしたり、それぞれの価値観を尊重したりすることが確かである必要があります」と話します。
子どもたちと向き合い、みんなで考えていく
子どもの権利擁護に向けたしくみづくりがすすむ中、「権利」を気にするあまり、子どもと関わることにすくんでしまう職員もいるといいます。「権利侵害をしたくないから、何もしないことが権利擁護だと捉えてしまう職員もいるように思います。退所した子どもたちの声を聞く中で、何もしないのではなく、たとえぶつかって気まずい雰囲気になったとしてもお互いを尊重しながら、とにかく子どもたちと一緒に過ごす、向き合う時間を増やすことが大切だと実感します」と千田さんは繰り返します。
「子どもたちが成長していく中で、大人として専門職として私たちは必要なことを言わなければなりません。だからこそ、伝え方ややり方をみんなで考えていくことが求められています」と髙橋さんは続けます。
倫理綱領策定から今年で20年。引き続き、施設同士のつながりを生かしながら、児童部会として子どもの権利擁護に取り組み続けます。
子どもの「ため」ではなく、子どもと「ともに」
一般社団法人 子どもの声からはじめよう
子どもアドボカシー。子どもが自身の意見や願いを自由に表現することができるようにサポートしたり、子どもの代わりに声を上げたりすることで、子どもの権利を擁護することを意味します。2020年に設立された一般社団法人「子どもの声からはじめよう」は、そうした子どもアドボカシーを担うアドボケイトの養成を行いながら、児童相談所の一時保護所を訪問するなど、子どもの声を始点とした権利擁護に取り組んでいます。
活動のきっかけは、代表理事である川瀬信一さんの問題意識。社会的養護経験者として自らの視点だけで思いや経験を語ることや、当時の社会的養護に関する政策検討のあり方に疑問を抱き、社会的養育の場における当事者参画をすすめる必要性を感じたといいます。「社会的養護経験者といっても自分は何万分の一人でしかなくて、一人ひとりの状況や背景は異なります。当時の政策検討プロセスへの当事者参画は限定的で、かつその当事者の声が消費されているような感覚を抱きました」と川瀬さんは振り返ります。
そんな意識から勉強会を2018年に始めていくのですが、川瀬さんが「アドボカシー」を意識したのは、子どもが声を上げていながらもその尊い命が奪われる事件が相次いだため。この状況を看過できないと考え、子どもの「ため」ではなく、子どもと「ともに」声を上げる、子どもアドボカシーの協働性を大切に感じ、今につながっていきます。
子どもが自らの気持ちに触れ、思いを伝えること
子どもアドボケイトの養成講座では、アドボカシーの理論や実践だけでなく、その前提として必要なチームビルディングや自己覚知など幅広い内容を学んでいきます。現在は講座を終えた40名を超えるアドボケイトが、チームとして互いを尊重しながら子どもアドボカシーに取り組んでいます。
2021年度からは都内特別区児童相談所の一時保護所への訪問を開始。週1回2~3時間程度の滞在で、遊びや運動を通じて子どもたちと関係性を築いていきます。アドボケイトの役割等を広くアナウンスし、子どもが話したい時に利用できるようにしています。一時保護所で過ごした若者へのヒアリングから作成したカードを用いたワークは、子どもが自らの気持ちに触れ、思いを明かすことにつながっているといいます。
自身もアドボケイトとして訪問する川瀬さん。「一時保護は『門』みたいなものだと思っています。施設や里親家庭へ行く意味でも門であるし、仮に家庭に戻ったとしても、その門を経たことで、厳しい状況でも自分の声を聴いてくれる人がいる、声を上げれば助けてくれる人がいる、そのことを経験的に理解する機会が得られる重要な場だと感じています」と思いを明かします。
一人ひとりの子どもの声が尊重される社会へ
こうした取組みは、子どもたちの声を聴きながら実践を考えるほか、社会的養護を経験した若者が参画するなど、子ども・若者とともにすすめられています。その一方で、活動には支援現場の関係者による理解が重要であり、対話と議論を重ねながら子どもの権利擁護をめざしているといいます。
2023年度からは、新たに里親家庭や元の家庭に戻った子どもたち等を対象とした、子どもアドボカシーが始められています。今後について、川瀬さんは「今の取組みを続けながら、学校教育の場で広くアプローチをしていくことが必要だと考えています。そして、さまざまな領域に広がり、最終的にはすべての子どもたちにアドボカシーが届くことをめざしています」と話します。
図 児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)における一般原則
(公財)日本ユニセフ協会 ホームページ参照
(写真 一時保護所で過ごした若者へのヒアリングから作成したカード)
--2【み~つけた】
アートの力で子どもの「やりたい」を引き出す居場所
荒川区出身の学生が立ち上げ
あらかわぽっせは、「アート×居場所×荒川区」をコンセプトに2023年2月に設立された団体で、荒川区でアートを通じた子どもたちの居場所を提供しています。設立メンバーの一人、伊藤七帆さんは「私は、生まれも育ちも荒川区で、高校生の時から地元に家や学校でもない第3の居場所がほしいと思っていました。荒川区の成人式で実行委員を務めたのですが、そこで出会った仲間が私の気持ちに共感してくれて『自分たちでつくってみよう』ということで団体を立ち上げました」と、団体発足の背景を振り返ります。
設立当時は5~6人だったメンバーも現在は27名に増え、高校生から大学生、大学院生、専門学校生で構成されています。
バリエーション豊富な企画が好評
現在は、荒川区でカフェやレンタルスペースなどを展開する「まどゐ荘」のスペースを借りて、週1回のペースで絵画や工作など、アートを軸にしたイベント「ぽっせひろば」を開催しています。基本的に予約なしでもふらっと立ち寄れる居場所です。イベントの運営は、その日に集まれるメンバー間で調整し、企画は対面やZoomでのミーティングで考えています。メンバーそれぞれ通う大学や専攻も異なり、アートだけではなく演劇やダンス、デザインなど得意分野も多様で、だからこそバラエティーに富んだ企画が生まれているといいます。
子どもの保護者からも反響があり「『伊藤さんたちを見ていると、自分の子どもが大人になった時の想像がしやすい』と言ってくださった方がいました。子どもたちのロールモデルとして私たちの活動を評価していただいたのだと心が熱くなりました」と、伊藤さんは話します。
今後もアートを軸に、子どもたちが落ち着いて過ごせる居場所づくりをめざしていくあらかわぽっせ。同時に、自分たちの拠点を持ち、平日は毎日開放できるようにするというのがメンバー共通のゴールです。
伊藤さんは「大人と子どもの橋渡し役になれるのが学生という立場。そこから生まれる視点で子どもの『やってみたい』という気持ちを大切にしながら、これからも居場所を提供し続けます」と、今後について思いを語ってくれました。
荒川区社会教育関係団体 あらかわぽっせ
これまでの活動の様子やイベントスケジュールはホームページやInstagramで確認いただけます。
QRコード あらかわぽっせ ホームページ
QRコード あらかわぽっせ Instagram
(写真 あらかわぽっせ 荒川区)
--3【連載 福祉施設が取り組む広報活動 第2回】
専属の部署によるメディア戦略で
法人の価値を広く発信する
社会福祉法人 サンライズ(日の出町、あきる野市、練馬区)
今号では、YouTubeを主軸に広報誌、パンフレット、SNSなど、さまざまなメディアを最大限活用して情報発信をすすめている社会福祉法人サンライズの取組みを紹介します。
情報発信のための専属部署を新設
1972年設立の(社福)サンライズは、日の出町、あきる野市、練馬区を拠点に特別養護老人ホームやデイサービスなどを展開しています。事業拡大に伴い、2021年に組織の再編成が行われ、そこで広報戦略課が新設されました。
広報戦略課は、法人本部直属の組織で、法人内外に向けた広報のプロモーションを担っています。社会情勢や物価の高騰など、外部環境が刻一刻と変化していく中で、利用者や求職者、地域住民などのあらゆるステークホルダーに「選ばれる施設」になるためには、サンライズが持つ魅力を「誰にどうやって発信していくか」を組織的に考える必要があると理事長は考えました。そして、ニーズ調査から戦略立案、施策の実行を専属で行う広報戦略課がつくられました。
広報戦略課では、『問合せを前年比で1割増やすこと』を目標にし、広報誌やパンフレットをはじめとする紙媒体、YouTubeやInstagramなどの動画とSNSを使った企画立案から撮影、原稿執筆などの制作を担っています。専属で広報戦略課のマネジャーを務める関澤孝文さんは、「最終的にはメディアからホームページや電話へと誘導し、契約や問合わせにつなげるのが目的です」と話します。各事業所から選出された広報委員会のメンバーとも連携しながら制作を行っています。
動画チャンネルを軸に法人の価値を発信
広報戦略の中で特に力を入れているのが、YouTubeチャンネル「Sunrise TV」です。本格的に動き出したのは2019年10月で、当初は動画総数が100本になるまで1週間に2本の動画アップを目標にしてきました。動画の内容は、施設の様子が分かるものや新入職員へのインタビュー、介助の基礎が学べるものなど多岐にわたっていて、現在の動画総数は240にも及んでいます。
関澤さんは「私も広報委員会のメンバーも、それまで動画制作などの経験はなく、初めのうちは『習うより慣れろ』でメンバーと協力しながらつくってきました」と振り返ります。さらに、「メディアをつくり続けていくうちに、動画の一つひとつが資産であり、チャンネルは法人の資産をストックする場所だと気づき、これらの動画をベースに、今あるメディアをいろいろと組み合わせた方が、より効果的に発信できると思いました」と話します。そして、YouTube×Instagramや、ホームページのブログやSNSに関連する動画のQRコードをつけるなど、YouTubeを軸に紙媒体やSNSを組み合わせて、さらに分かりやすく広範囲のターゲットに情報を発信しています。
一方で、子育て世代向けに「こどもフェスタ」や、医療・保育・障害分野と連携して地域就職イベントを開催するなど、地域住民に向けても積極的に発信しています。
発信する側が“楽しむ”ことが大切
現在、メディア制作に携わるメンバーのほとんどが日常業務との兼務です。関澤さんは「動画のほかに事業所ごとに紙媒体やSNSもあるので、あえて記事の内容は媒体ごとに変えずに同じでいいと伝えています。情報の統一性や鮮度、個人情報などには細心の注意を払い、時間をかけずに楽しみながら自分たちの取組みを伝え続けていくことが大切だと思います」と語ります。
法人内でメディアを制作するメリットについて、関澤さんは「プロの業者に任せればきれいにつくってくれますが、私たちが大事にしたいのは、現場だからこそ生まれる視点や表現。そういった意味で、メンバー一人ひとりの広報力を高めるための研修やスキルアップも考えていけたら」と、今後の展望とともに話します。
(写真 社会福祉法人 サンライズ 広報戦略課 マネジャー 関澤 孝文さん)
QRコード YouTubeチャンネル 「Sunrise TV」
--4【Focus on!】
今、こんな動きがあります
地域勉強会の取組みと意義
救護施設とは、生活保護法に基づいて設置される保護施設です。身体や精神に障害があり、経済面を含めて日常生活を送るのが困難な人が、健康で安心して生活することができるように、必要なサービスを提供しています。東京都内の全10施設で構成される 東社協救護部会は、以下のような活動をしており、今回はその中の一つ「地域勉強会」の様子をお届けします。
部会 施設長による定例での協議
交流会委員会 利用者間の交流会を企画・実施
部会だより委員会 部会だよりを企画・発行
研修委員会 職員研修を企画・実施
地域勉強会 地域支援についての情報交換
3か月に1回の「定例会」や年に1回の「拡大勉強会」の実施
ここでいう「地域支援」とは、利用者の目標や希望の聞き取りをした上で、アパートでの一人暮らしに向けた訓練を行ったり、訓練後の一人暮らしをサポートしたりと、地域での安定した生活のための継続した支援のことをいいます。
各救護施設の地域支援担当者が集まる地域勉強会では、各施設での地域支援事例を共有し、ほかの施設の職員から「うちの施設ではこうしている」「前に同じような事例があったときはこのように対応した」といった情報交換をしています。地域勉強会の代表を務める村山荘の小野崎利紀さんは「施設間で共有することで、支援の多様な選択肢に気づき、利用者支援の幅を広げることにつながると考えています。ここでの気づきを自分の施設に持ち帰り実践することが、利用者支援の質の向上に、さらには救護施設全体の底上げにつながると思います」と話し、日々支援をする中で感じている悩みなどをざっくばらんに話せる場であることを大切にしているそうです。
各施設の地域支援にはそれぞれ特色があります。取組み状況に違いがあっても、自分たちには関係ないと思わず、ほかの施設の取組みや対応の仕方に地域勉強会の場で触れていることで、支援を行う際も比較的スムーズに取り組めることにもつながります。救世軍自省館施設長の髙橋正隆さんは「救護施設には、年齢や障害、希望も多様な人たちが暮らしています。つまり、支援のさまざまな場面で迷うことや難しいことが出てくる。施設同士で情報交換をすることは日々利用者をサポートする職員への支援になると思います。地域勉強会は、イベントを通じた交流とは違った日々のつながりが持てる場になっています」と、地域勉強会の意義を話します。
より良い支援を続けていくために
現在は、「救護施設の見える化」が大きなテーマの一つになっています。地域勉強会では、10施設の特色や、それぞれがどのような地域支援を行っているかなどをまとめた内部向けの冊子を作成。小野崎さんは「今後はこの冊子を、福祉事務所の担当者など、外部の人に渡せるものに仕上げていきたいです。そうすることで、相談者に合いそうな施設がこの冊子で分かったり、ご本人が自分に合った施設を選択できることにつながるといいと考えています」と、思いを話します。副代表を務める優仁ホームの壹岐多加志さんは「制度の話などもしつつ、10施設がお互いの状況を知り、手を取り合っていくことが今後も必要だと思うので、地域勉強会は大切な場だと感じています」と強調します。
(イラスト 東社協救護部会 地域勉強会 代表 村山荘 小野崎 利紀さん)
(イラスト 東社協救護部会 地域勉強会 担当施設長 救世軍自省館 施設長 髙橋 正隆さん)
(イラスト 東社協救護部会 地域勉強会 副代表 優仁ホーム 壹岐 多加志さん)
--5【Information(社福のオモイを地域に届ける! つつまる便/マンスリーニュース/ 東社協トピックス)】
社福のオモイを地域に届ける! つつまる便 ~あなたの地域のやさしい居場所 社会福祉法人~
多世代が集う居場所づくりプロジェクトUI ~結~
社会福祉法人 亀鶴会(きかくかい)
羽村市にある(社福)亀鶴会では、地域における大規模災害対策の一環として、法人が運営する特別養護老人ホーム神明園の敷地内に、防災倉庫「神明台sTorehouse(ストアハウス)」を竣工し、平時からその炊き出し設備や飲食スペースを有効活用するために、子どもから高齢者までさまざまな世代が集い、「つながり」と「やくわり」を生み出す居場所づくりに取り組んでいます。
詳しい取組み内容は、東京都地域公益活動推進協議会のホームページからご覧いただけます。
QRコード 東京都地域公益活動推進協議会 ホームページ
マンスリーニュース
2024/3/26~4/25
ピックアップ
(3/28)虐待通告児童数は12万人超で過去最多
2023年の1年間に、虐待の疑いで警察が児童相談所に通告した18歳未満の子どもの数は、前年比7,044人増の12万2,806人で、過去最多であることが警察庁のまとめで明らかになった。
(3/27)障害者雇用、100万人超え
厚生労働省は、令和5(2023)年度障害者雇用実態調査の結果を公表。従業員規模5人以上の事業所に雇用されている障害者数は110万7,000人と過去最多で、初めて100万人を超えた。2018年度の前回調査に比べて約25万人増加した。
(4/1)介護職場サポートセンターTOKYOを開始
東京都は、(公財)東京都福祉保健財団で実施してきた「介護現場改革促進事業」の支援内容を拡充し、介護職場の生産性向上の取組みを総合的に支援するワンストップ窓口「介護職場サポートセンターTOKYO」を開始した。
東社協トピックス
東社協 新会員のご紹介
保育部会 練馬区立南大泉保育園/つくし保育園/等々力中央保育園/遊愛保育園/目黒東山ちとせ保育園/ひまわり保育園
知的発達障害部会 ワークセンター福咲く/ KOCO・ジャム
児童部会 自立援助ホームえどがわ/子どもシェルター こだま
東京都高齢者福祉施設協議会 特別養護老人ホーム馬事公苑
東京都介護保険居宅事業者連絡会 グループホームぷあそん
情報連絡会員 ケアサポート Anne/キッズナーサリー三鷹の森園/KNきずな保育園石神井台/株式会社 KNリプロ/KN蒲田園/KNベルーガ園/あきる野市 障がい者就労・生活支援センター あすく/ぱずる/グループホームひかり/ひばりの家/日の出町障がい者就労・生活支援センター あるって/めたせこいあ/椚田小学童保育所第一クラブ/椚田小学童保育所第二クラブ/港区立赤坂子ども中高生プラザ青山館/Bスタジオ/グループホーム こなつ/グループホームめぐり/特別養護老人ホーム市崎の杜/板橋第五小学校あいキッズ/公益財団法人 東京都つながり創生財団
東社協の本
ご注文は 東社協図書係まで 電話03-3268-7185
New
母子福祉部会紀要 No.16(令和4年度)
社会的養護の担い手としての母子生活支援施設の役割と課題
母子生活支援施設についての調査結果とともに、部会活動の内容や施設紹介等を掲載しております。
A4判/77頁
発売日2024.4.1
定価2,420円(本体2,200円+税10%)
(写真 母子福祉部会紀要 表紙)
保育園における働き方改革と保育業務の実態 ~調査報告書~
東社協保育部会では、会員園の主に現場職員を対象に保育士業務の実態を調査し、その結果をまとめ、提言に結びつけました。
A4判/142頁
発売日2022.11.2
定価990円(本体900円+税10%)
(改訂版)食育実践ハンドブック 食べることは生きること
施設全体で取り組む食育の実践を実現するために活用していただけると幸いです。
A4判/ 120頁
発売日2022.10.5
定価1,100円 (本体1,000 円+税10%)
--6【くらし今ひと】
装うことに困っている人の話を聞き、ともに解決策を探っていく
性別や障害の有無などに関わらず、装うことの悩みや不便を解決したいという思いから2021年に「studio fuku」を立ち上げ、オーダーメイドの洋服づくりに取り組む廣瀬和子さんにお話を伺いました。
幼少期から介護が身近にあった
私の母の妹は重度の知的障害のあるろうあ者でした。コミュニケーションは簡単には取れないながらも、一緒にご飯を食べたり遊んだり、家族の一員として普通に暮らすことが当たり前の環境で育ってきました。
大学進学は、幼い頃から好きだった手仕事に関われる服飾関係か、海外の困っている人を支援するような2つのルートを考えましたが、国際政治を選びました。勉強する中でソーシャルワークという言葉に出会い、「困難な状況や社会の中で資源を結びつけたり、なければつくり出したりしていくこと」とあって、世の中にはすごい仕事があるんだなあと感銘をうけました。社会人になってから、大学に入り直し、社会福祉士を取得しました。
大学生活の後半は、父方と母方の祖母が2人とも倒れたため、その介護に多くの時間を費やしていました。情報収集がてらシルバーサービス展を訪れ、出展していたさまざまな企業に「就職したいのですけれど……」と、はがきを出して、ご縁があって医療福祉機器メーカーに就職することになりました。
相談者とともに解決策を探るオーダーメイド
19年勤めたメーカーでは、エンドユーザーから困りごとやニーズを教えていただいて、仕事の現場にフィードバックすることをずっとやってきたように思います。
退職後、パターン(型紙、衣服の設計図)の勉強をしていることを知り合いに話したところ、リクライニング型の車椅子用のレインコートがなくて困っている人がいるというので、話を聞きに行きました。「同じものでいいのだけど、もう市販品は売っていなくて……」ということだったので、素人ですがとお断りした上で、製作を引き受けることにしました。その時の精一杯でつくってお納めして、今も問題なく使ってもらっています。その経験から、困っている人がいて自分にできることがあるならやってみようと、studio fukuを立ち上げました。
オーダーメイドですが、お客様も初めから「これをつくってほしい!」という形を具体的に提示できるわけではありません。お互いに話し合って、試作をして、試着してもらって……と2人で解決策を探しているみたいな感じです。お納めするととても喜んでくれて、すてきな笑顔を見せてくれます。その瞬間とそこにたどり着くまでの過程の、最初から最後まで関われるのが楽しいです。
地域のおせっかいおばさんになりたい
おばあちゃんになっても地域で仕事をしている人にあこがれます。将来的には「あの人は裁縫が得意らしいよ」と気軽に相談に来てもらえるような存在になりたいです。
洋服のことはいろいろな制度からこぼれ落ちていて、相談先すらないのですよね。服のことで困っている人はたくさんいるので、相談窓口を設けてそこでノウハウを蓄えるようなしくみがあったらいいと思います。縫える人がそこで情報交換をして、また相談者と向き合うような、そんな人が中学校区に一人くらいいたらいいですね。
私も微力ながらデザインシートという書式をつくって、ウェブサイトで公開しています。服をつくれる方はそれを見てもっと良いものにしてもらいたいし、服に困っている方は「自分が言いたいのはこういうことなの」と伝えられる手段になったら良いと思っています。
(写真 studio fuku 廣瀬 和子さん)
医療福祉機器メーカー勤務を経て、2021年から現職。趣味はフィギュアスケート(観ることと滑ること)
以上で、福祉広報2024年5月号を終わります。