【表紙】(写真)
子育て広場「いずみ」のイベント「いずみランランフェスタ」で踊るこども園の園児たち。
目の前は公道で近隣の人々が行き交う。
―子育て広場「いずみ」 八王子市―
p.2 ●社会福祉NOW
質の高い事業所をめざして
~福祉現場のデジタル機器・ICTツール活用のいま
p.4 ●み~つけた
“ゆるさ”と“らしさ”から生まれる新しいつながりの輪
子育て広場「いずみ」(八王子市)
p.5 ●連載 福祉施設が取り組む広報活動【第5回】
広報活動で法人内外にファンを増やし、魅力ある職場に
社会福祉法人 聖風会(足立区・荒川区)
p.6 ●福祉のおしごと通信
患者さんと対話をしながら、退院後のベストな道を探っていきたい
社会福祉法人 仁生社 江戸川病院 川野 絵里香さん
【目次】
1社会福祉NOW
2み~つけた
3連載 福祉施設が取り組む広報活動 第5回
4福祉のおしごと通信
5Information(社福のオモイを地域に届ける! つつまる便/マンスリーニュース/ 東社協トピックス)
6福祉職が語る
--1【社会福祉NOW】
質の高い事業所をめざして
~福祉現場のデジタル機器·ICTツール活用のいま
福祉現場へのデジタル機器·ICTツールの導入·活用が一層すすめられています。主に人材が不足する中で各分野での導入促進に向けた施策が打ち出されており、介護分野では2024年介護報酬改定で「生産性向上推進体制加算」も新設されました。福祉·介護のDX(デジタルトランスフォーメーション)化ともいわれ、職場環境の変容が求められています。デジタル機器·ICTツールを導入·活用する目的は、職員の働きやすい職場づくりを実現することで、結果的に利用者への質の高い支援を提供することにあると考えられます。より良い職場づくりに向けた取組みをすすめる2施設の現状をお伝えします。
障害者支援事業所「竹の塚あかしあの杜」の取組み
働きやすさ向上のため、機器を導入·活用
足立区内で多くの障害者支援事業所を運営する(社福)あいのわ福祉会の「竹の塚あかしあの杜」は、生活介護、短期入所のほか、法人内で唯一、施設入所支援事業を実施する多機能型事業所です。
法人全体で職員の働きやすさの向上につながる取組みを積極的に行っていますが、同施設では数年前より、特に入所部門の業務量増加が課題になっていました。施設長の三瓶善衛さんは「業務見直しを行ってきたものの、さらなる効率化には限界もありました。そこでデジタル機器·ICTツールの導入·活用を通じて、職員の負担軽減、働きやすさ向上と利用者支援の質の向上の両立をめざしました」と言います。2020年度に「業務スリム化委員会(現:業務見直し委員会)」を立ち上げ、事務·通所·入所·医務の各部門の職員約10名で検討を始めました。当初より、東京都の補助金活用を想定し、工程表を組んで準備をすすめました。
業務実態を丁寧に把握し、必要な機器を選定
委員会ではまず、職員アンケート等を通じ、支援員業務の見える化や課題把握を行いました。主任の青木恵子さんは「最大の課題は情報共有でした。建物の構造上、ちょっとした手助けを求める際も他の職員を見つけにくく、内線でのやり取りにも時間がかかりました。またナースコールが重なると待たせてしまう状況がありました」と言います。そこで、ナースコールを押す利用者に「いま行きますね」とまず伝え、安心感を与えられることを重視して、ナースコールと連動するインカムを選定しました。同時に、機器活用の前提となるWi-Fi環境の整備もすすめました。
インカムとともに、都の補助要件となる記録作成支援ソフトと見守り支援機器についてもデモを行い、機器同士の連携も大きなポイントとして選定をすすめ、2022·2023年度に都の補助金(「障害者支援施設等デジタル技術等活用支援事業」による)を活用し、機器導入を実現しました。業者との連絡調整や都への補助申請は事務部門が担いましたが、副主任事務員の佐野あゆさんは「初年度は補助決定から約2か月間で、Wi-Fi環境と3機器を導入しました。十分準備はしていても大変さはありました」と振り返ります。
使い勝手と手順書を見直し、さらに有効活用
記録作成支援ソフトの導入で、各自がスマホを持ち、随時、支援結果を記録できるようになりました。副主任支援員の香取一平さんは「食事·入浴·排泄等の支援のタイミングごとに、誰でも選択ボタンを押すだけで記録できるよう、業務に合わせてかなりカスタマイズしました」と言います。実績記録や連絡帳の他、請求システムにも連動しており、大幅な業務効率化が図られました。また、見守り支援機器については、体調を崩しやすい利用者にはバイタル測定タイプを、動きがある利用者には安全確保のためにセンサー等を順次導入しました。夜勤の負担軽減とともに、記録との連動で利用者の健康・安全管理を向上させています。
主任支援員でサービス管理責任者の白井嘉代さんは「手順書や研修を通じて職員に使用方法を徹底しました。導入後は機器の使い勝手を調整し、手順書を更新しつつ機能を使いこなすことに取り組んでいます」と言います。三瓶さんは一連の過程を振り返り「職員間や部門間の連携が強まり、施設としての組織力が上がりました。今後はさらに働きやすさの向上に努めつつ、障害分野の他施設にも取組みの成果を伝えていきたいです」と語ります。
特別養護老人ホーム「砧ホーム」の取組み
専門性の高い職場づくりにも活用
世田谷区にある特別養護老人ホーム「砧ホーム」((社福)友愛十字会)では、見守り支援機器や移乗支援機器、コミュニケーションロボット、介護リフト、記録作成支援ソフト、インカムなど、さまざまな機器を活用しています。きっかけは約10年前。区内で特養新設が相次ぎ、人材確保が困難になり、今後の働き手不足を実感したことです。砧ホームでも職員の退職が続き、残る職員が有休を取れない状況になるなど職場環境が悪化しました。そのため、専門性への意識の高い職員を採用·養成し、少数精鋭化する方針を立て、特に介護職の専門性の向上に取り組んできました。
前施設長で、看護師や針きゅうマッサージ師、福祉用具専門員等の資格を持つ鈴木健太さんは、専門知識を生かして施設全体のパフォーマンスを高めることを考える中で、国の方向性もふまえて「ノーリフティングケア(持ち上げない介護)」に取り組むことにしました。福祉用具や介護リフトの知識を職員に伝えてともに学び、2014年に初めて介護リフトを導入しました。「職員が共通の知識や技術を持つことで、積極的な導入につながりました」と振り返ります。
徹底的に介護職の目線で導入し、継続運用
以降、常に多くの機器のデモを行いながら、新たな機器の導入時には徹底的に介護職の目線で選定を行っています。目的のためシンプルに使いこなせて「必ず使う状況をつくれるか」が機器活用を定着させる一つのポイントです。「例えば、目の前の利用者をベッドに移乗したいという時、利用者を待たせて離れた場所にある移動式の介護リフトを取りに行くか、と考えます。ベッド固定式のリフトでは使用対象者は限定されても着実で継続的な利用が見込めます」。そうした視点で一部の利用者から使用を始め、慣れてくると、他の機器の利用にも積極的になります。「導入を決める経営層と使用する職員の目線が違うと、機器活用は難しくなります。発想から導入、使用、継続的運用へは何度も壁がありますが、『使わなくて良い理由を探す』ことにならないことが大切です」と言います。「医療従事者が医療機器を使うように、福祉用具を使いこなすのは福祉の従事者の専門性だと考えています」と鈴木さんは語ります。
利用者ファーストにつながる職員ファースト
砧ホームのこうした取組みの根底には、介護職中心の組織づくりをめざして掲げる「多職種協働原理」があります。専門職同士が互いに信頼し合う関係性を構築し、施設外への発信、視察の受入れなどにも積極的に取り組むことで、職場への帰属意識が高まり人材定着につながっています。鈴木さんは「機器は、あくまで職員の働きやすさ向上のために導入し、活用により生まれた時間は職員の教育、研修、有給休暇取得等に使います。職員が疲弊しては質の高いサービス提供につながらない。利用者ファーストにつながる職員ファーストです」と語ります。
砧ホームでは、厚生労働省の「介護サービス事業における生産性向上に資するガイドライン」を事業計画に取り入れ、3M(無理·むら·無駄)の徹底的な見直し、手順書の作成などもすすめています。こうした取組みが評価され「令和5年度介護職員の働きやすい職場環境づくり内閣総理大臣賞」を受賞しました。
鈴木さんは「自施設に限らず、有効な取組みを『横展開』したいと思います。業界内で人が回っても人材不足は解消しません。今後は、機器活用も含め、福祉業界が積極的に生産性向上に取り組み、他業界からの関心を高める必要があると考えています」と語ります。
(写真 竹の塚あかしあの杜 香取一平さん、青木恵子さん、三瓶善衛さん、佐野あゆさん、白井嘉代さん)
(写真 (社福)友愛十字会 法人本部事務局人材確保·育成推進室副室長·介護生産性向上推進室室長/特別養護老人ホーム友愛荘 施設長 鈴木健太さん)
(写真 夜間、ホーム内で全利用者の睡眠覚醒状態を映し出す大型モニター)
--2【み~つけた】
“ゆるさ”と“らしさ”から生まれる新しいつながりの輪
多摩ニュータウンの一角にある地域子育て支援拠点、子育て広場「いずみ」(以下、いずみ)は、近隣の乳幼児とその保護者の交流の場としてはもちろん、地域に開かれた憩いの場としても親しまれています。特に毎月第三水曜日に開催されるイベント「いずみランランフェスタ」では、さまざまな人が集まります。
フェスタの日、いずみを運営する「幼保連携型認定こども園せいび」に通う子どもたちが、前を通る遊歩道で盆踊りを披露すると、音楽に合わせて拍子をとりながら通り過ぎる人もいて、あたりは和やかな空気が流れます。建物入口の「土間」では、近隣の作業所手作りの菓子やパンが販売され、手作り小物やお惣菜もならびます。
キッチンのある「茶の間」には地域包括支援センターの呼びかけもあり、近隣に住む高齢者が集います。コーヒーマイスターの淹れるコーヒーを前に歌が始まると、ピアノの伴奏もあって、さながら歌声喫茶のようです。
茶の間の隣の「遊の間」では歌声を背に、乳幼児とその保護者が思い思いに過ごしています。
フェスタの賑わいを見て、楽器演奏の申し出や自家製の野菜を売りたいと声をかけてくる人もいて、そういった人たちが本体のこども園でも活動するなど、思わぬ広がりを見せるそうです。その様子について、いずみの管理責任者である折井真美さんは「 色んな人が世代や立場を超えて、ゆるやかに集える場になるといいなと思っています」と話します。
みんなの声が動かすサークル活動
折井さんが語るこの多種多様な交流が、声をあげやすい土壌を生み、サークル活動へとつながっています。
そのうちの一つ、編み物サークル「アミーゴ」は、折井さんの手による手編みおもちゃを見た人の「自分も編んでみたい」という声から始まりました。手編みおもちゃを通して子どもたちとつながり、さらには子育て中のママにアミーゴメンバーが編み物を教えるサークル「ママアミーゴ」も始まるなど、世代間交流が自然に生まれていきました。そのときは子ども好きの高齢の方が、保育ボランティアとして活動をサポートしてくれます。
「ここで知り合った人たちが、近所で声をかけ合うような関係になれるのが素敵」と、折井さんは言います。その視線はいずみの中だけではなく、地域や世代を超えた交流へも向けられ、「今後は小中高生ともつながりを広げていきたい」と目を輝かせました。
子育て広場「いずみ」
場所:八王子市南大沢5-12
オープン:月~金 10:00~15:00 ※園庭入口で、職員室に声をお掛けください。
問合せ先:幼保連携型認定こども園せいび 電話042-675-1551
--3【連載 福祉施設が取り組む広報活動 第5回】
広報活動で法人内外にファンを増やし、魅力ある職場に
社会福祉法人 聖風会(足立区·荒川区)
法人としてのブランド力の強化や職員の働きがいの向上をめざして、Webメディアや広報誌等で介護分野や法人に関するさまざまな情報を発信し続けている聖風会の取組みを紹介します。
法人ブランド力強化のため広報活動を一新
聖風会は足立区内と荒川区内の6拠点で特別養護老人ホームやショートステイ、デイサービス等を展開する社会福祉法人です。「最高に価値のあるものをすべての人に」を法人理念に掲げ、2019年から10年間の中長期計画に取り組んでいます。
中長期計画は3つの柱と14のミッションで構成され、ミッションの実現に向けて、法人内には12の専門委員会が設置されています。その一つである「法人ブランディング委員会」は、中長期計画の3つの柱のうち「人(人材)~働きやすさと働きがいと~」を法人として最重要の柱と捉えていることから、人材の確保・育成に加え、広報誌やWebサイト、SNSの運用により、聖風会のブランド力の強化や価値を高めることを目的にしています。
発信を通じて法人内外にファンをつくる
今までの広報活動を見直し、各拠点で制作していた広報誌を一つにまとめた法人広報誌「クローバースマイル」として発行することにしました。ホームページも刷新し、専門家の意見も参考に、法人が持つ専門性を自分たちで発信できるWebメディア「クローバースマイル」を立ち上げました。
法人ブランディング委員会の下部組織には「広報委員会」があり、各拠点から選出された職員が委員として参加しています。「クローバースマイル」は、広報誌·Webメディアともに、広報委員会の委員が企画立案から取材、撮影、原稿執筆を担います。記事は、法人の研修や委員会の様子を伝える専門性の高いものから、職員の仕事や休日の過ごし方が垣間見えるものまでバラエティ豊富な内容に。委員の一人、阿部真奈美さんは「委員一人ひとりの意見が尊重され、どんどんアイディアが出ます。『各拠点や各部が何をしているか見えづらい』といった『小さな気になる』から企画や記事になることもあります」と、委員会の様子を楽しそうに語ってくれました。
法人ブランディング委員会の委員長を務める小島直樹さんは「各媒体による発信は職員への内部広報の役割も担っています。法人の魅力を職員自身が感じ、“語り部”となり、聖風会のブランドイメージができあがっていくことが非常に重要だと考えています」と話します。
広報委員会について、阿部さんは「委員になるまでは、正直、人材育成に対する法人の思いをよく分かっていませんでした。今では、『聖風会に入って良かった』と職員が感じられるような発信を続けていきたいと思うようになりました」と言います。広報委員会委員長の早川太朗さんも「委員会自体が人材育成の場になっていると感じています。本来の介護業務とは違う広報業務を経験することで、一人ひとりの視野が広がり、レベルアップにもつながると思います」と、広報委員会の意義を話します。
現場の発信から介護業界のイメージも変えていきたい
聖風会の様子を数多く発信している「クローバースマイル」ですが、最終的なベクトルは利用者に向いています。小島さんは「『利用者の人権を最大限に尊重する』ことを常に第一に考え、それにこだわり続けることが職員のやりがいにつながり、誰もが働きやすい職場をつくっていきます。『クローバースマイル』で法人の理念や魅力を伝えることで、職員の帰属意識やモチベーションが高まり、最終的に利用者の満足度につながります。この循環を意識しながら、法人内外に親しまれる企画の発信を続けていきたいです」と語ります。続けて、「こうした現場からの発信が、介護業界全体のイメージアップになればという思いもあります。専門性を持った職員が利用者の幸せのために悩み、模索する真剣な姿や“クリエイティブ”な介護の仕事を社会に伝えていきたいです」と話してくれました。
中長期計画の計画期間も残り5年。聖風会はこれからも、法人が持つ専門性と介護に対する熱い想いを発信し続けます。
QRコード Webメディア クローバースマイル
(写真 (社福)聖風会 グリーンハイム荒川 施設長 早川 太朗さん、千住桜花苑 総務課 阿部 真奈美さん、足立新生苑 施設長 小島 直樹さん)
--4【福祉のおしごと通信】
患者さんと対話をしながら、退院後のベストな道を探っていきたい
急性期病院の医療福祉相談室で医療ソーシャルワーカーとして働く川野絵里香さんに、仕事をする上で大切にしている想いなどをお聞きしました。
祖父の入院がきっかけで福祉分野へ
私が中学生の時に祖父が体調を崩して入院し、母と姉が介助をしていました。当時の私には何もできず、悔しい思いをしたことを覚えています。この経験から、将来は何か人の役に立てる仕事がしたいと思い、大学では福祉を学び、社会福祉士の資格を取得しました。卒業後は介護施設へ就職し、働きながら介護福祉士の資格も取りました。その施設は退職しましたが、その後、資格を生かせる職場を探していたところ、江戸川病院の医療福祉相談室で働くことになりました。今年で入職して12年目になり、医療ソーシャルワーカーとして、転院や介護施設へ入る患者さんに対して退院後の療養生活のための支援を行っています。
笑顔で退院できるように最善を尽くす
毎朝、担当する入院患者さんのカルテを確認した後、患者さんやその家族と面談し、場合によってはリハビリに立ち会い、状態を確認します。カンファレンスに参加して、医師や看護師、リハビリスタッフなどとの情報共有もこまめに行います。また、退院支援は私たちの病院だけで解決できるものではなく、回復期病院や介護施設など、院外施設との連携が大切なため、関係者と顔合わせをしたり勉強会に参加したりして、日ごろから顔の見える関係づくりと連携を心がけています。
江戸川病院は急性期の病院のため、入院期間を長く確保できません。患者さんは、短い期間で退院後の生活についての選択を余儀なくされます。一人ひとりの背景も異なるので、短期間で信頼関係を築き、ベストな道を探るのはいつも難しいと感じています。私が新人の頃、初めて患者さんを担当した時に「退院の話をしなくてはいけない」と焦ってしまい、患者さんの本当の気持ちを置いてきぼりにしてしまったことがありました。「もっと話を聞くべきだった」と反省し、それからは患者さんがどう思っているのか、まずは傾聴を心がけること、話しやすい雰囲気をつくるように気をつけています。また「無事、退院できた」といったようなおごりや、事前に聞く患者さんの情報だけをうのみにせず、先入観を持たないように注意しています。
患者さんが笑顔で退院され、「ありがとう」や「退院できてうれしい」という言葉をいただいた時は、「次も頑張ろう」と仕事への原動力になります。これからも患者さんがより良い日常生活が送れるよう、誠意を持って支援を続けていきたいです。
(写真 社会福祉法人 仁生社 江戸川病院 患者サポートセンター
医療福祉相談室 医療ソーシャルワーカー 川野 絵里香さん)
(写真 昔からチョコミント系のお菓子が好きで、見つけるとつい購入しています。職場の中でも“チョコミン党”は多く、暑い時期にさわやかになれるのでおすすめです。)
--5【Information(社福のオモイを地域に届ける! つつまる便/マンスリーニュース/ 東社協トピックス)】
社福のオモイを地域に届ける! つつまる便 ~あなたの地域のやさしい居場所 社会福祉法人~
阿佐ヶ谷子育て支援基地 子育て支援事業「conico」(コニコ)
社会福祉法人 聖友ホーム
(社福)聖友ホームでは、地域の子育て支援事業「conico」を展開しており、プレママの方々が気軽に集い、仲間づくりとこどもの遊び場づくりの提供をする、「子育てきずなサロンconico」を開催しています。誰かと話したい、つながりがほしい、遊び場が知りたい、悩みや不安を持ち寄って子育てのヒントを得たい、そんな親子に寄り添い、5年目の活動を迎えています。
詳しい取組み内容は、東京都地域公益活動推進協議会のホームページからご覧いただけます。
東京 地域公益 検索
QRコード 東京都地域公益活動推進協議会 ホームページ
マンスリーニュース
2024/6/26~7/25
ピックアップ
(6/26)「こども性暴力防止法」公布。2年半以内に施行
子どもと接する仕事の事業者が、働く人の性犯罪歴照会を行う「日本版DBS」が盛り込まれる。現職者も照会対象。対象となる前科には痴漢や盗撮などの条例違反も含まれる。
(6/24)「第1回 民生委員·児童委員の選任要件に関する検討会」 を開催
全国的な担い手不足の解消を図るため、選任要件の見直しを検討していく。主に、区域内に3か月以上という居住要件の緩和や、在勤者や近隣に転居した元住民の選任を特例とするなど。年内に結論を得るとしている。
(7/3)障害者を原告とする「旧優生保護法訴訟」最高裁で勝訴
旧優生保護法(1948~96年)下で不妊手術を強制された被害者らが損害賠償を求めた裁判で、最高裁は同法に対し、違憲判決を下した。国が主張した、除斥期間」は適用されず、被害者への賠償が命じられた。
東社協トピックス
『福祉広報』リニューアルに関する読者アンケートへのご協力依頼
いつも「福祉広報」をご覧いただき、誠にありがとうございます。
本誌は、2024年4月号より、情報をコンパクトに、かつ視覚的にも分かりやすく伝えるため、紙面のリニューアルをいたしました。
この間にアンケートフォームよりご意見をお送りくださった皆さま、ありがとうございます。
今回のアンケートにて、広く皆さまから紙面へのご感想やご意見をお寄せいただきたく、回答にご協力をいただけますと幸いです。
お寄せいただいた内容は、今後の紙面の改善や内容の充実につなげてまいりますので、よろしくお願いいたします。
●ご回答方法
アンケートフォームまたは同封のアンケート用紙をFAXにて返送
●回答締切日
2024年9月30日(月)
QRコード アンケートフォーム
東社協の本
ご注文は 東社協図書係まで 電話03-3268-7185
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10/62 もっと知りたい 東京にくらす―10社協の取組み·東京都内62区市町村社協―
都内の62区市町村社協にアンケートを実施し、そのうち10社協の詳しい取組み内容をヒアリングしまとめました。
A5判/68頁
発売日2024.5.15
定価770円(本体700円+税10%)
(写真 10/62 もっと知りたい 東京にくらす―10社協の取組み·東京都内62区市町村社協― 表紙)
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地域福祉推進に関する提言 2024
東社協·地域福祉推進委員会では、地域福祉推進のために重点的に取り組むべき事項を「委員会からの提言」と「部会·連絡会からの提言」としてまとめています。
A4判/126頁
発売日2024.6.25
定価220円(本体200円+税10%)
見てみよう、聞いてみよう 未来を拓く福祉のしごと
福祉を知りたい中学生などのあなたへ
福祉分野の職場で働く職員に取材をし、仕事の魅力ややりがい、1日の仕事内容を紹介しています。職場体験の事前·事後学習にぜひご活用ください。
B5判/36頁
発売日2022.4.14
定価440円(本体400円+税10%)
--6【福祉職が語る】
福祉の原点に立ち返りつつ、新しい時代の人格尊重原理を
福祉の世界と私の関わり
気がつけば、福祉の世界に関わって、もう30年を過ぎました。どうして福祉の世界と関わるようになったのかと尋ねられることも多いのですが、特に理由はありません。福祉の世界が他者の人格尊重を目的としている限り、ビジネスの世界におけるよりも自分がやりがいを見出せたということです。
幼いころ、私の周囲には知的障がいのある人たちや生活保護を受給しているヴァルネラブルな人たちがいて、ごく普通の交流がありましたから、福祉の世界に関わることに違和感はありませんでした。ごく自然に他者の人格を尊重するために、福祉の世界に関わることができたと思っています。
この10年で変わったもの
ところが、最近10年で世の中が相当変わってきました。いろいろな原因が考えられますが、最も大きいのは、SNSの発達ではないかと思います。以前は、対面でのコミュニケーションこそが他者との精神的な交流を促し、他者の人格を尊重するために不可欠であると思われていました。しかしSNSの時代には、コロナ禍の影響もあって、対面でのコミュニケーションは激減することになったと思います。
SNSのような社会的なコミュニケーション·ツールが発展すること自体が悪いはずもなく、大いに発展すべきものです。しかし、物事には功罪というものがあり、SNSの「罪」の部分は、他者の人格を貶めることを快楽に変えてしまうところにあると思います。あおり運転、ハラスメントやいじめの問題とも共通しているのではないでしょうか。そして、匿名性が高まれば高まるほど、他者の人格に対する攻撃は強度を増すと思います。
これからの福祉の世界に必要なこと
もしそうだとすれば、福祉の世界、特に権利擁護を目的としている世界と、SNSによる「罪」の世界とは、正反対の関係にあるということです。悲しいことだとは思いますが、他者の人格を傷つけ、それ自体を快楽とする人も存在します。
したがって、これからの福祉の世界に必要なことは、福祉の原点に立ち返って、他者の人格を尊重するとはどういうことなのかを、もう一度明確にしていくことなのではないかと思います。それは、福祉の世界が他者の人格を尊重するために存在しているからこそ可能なのだと思います。
ここで福祉の世界で他者の人格を尊重するとは、必ずしも福祉サービス利用者の人格だけに向けられたものではありません。利用者の人格を尊重する現場の最前線にいる職員の人格も含んでいます。今までの福祉の世界では、職員の人格尊重が見えなくなってしまっていたのではないでしょうか。そのため、福祉の現場でのカスタマー·ハラスメントも生じてきたのではないかと思っています。
これからの福祉に携わる人に向けて
私のような前世代の人間が、偉そうに指示すること自体が間違っているように思います。なぜなら、われわれアナログな感覚の世界とは異なる世界がすでに到来し、これからはデジタルな感覚の世界の中で、他者の人格が尊重されるようなシステムが構築されなければならないからです。新しい舟を動かすのは、新しい乗組員のはずです。
新しい時代には、新しい時代としての人格尊重原理が作られなければならないですし、そのための新しい社会福祉のシステムを構築していくことが求められています。特に、ハラスメントやプライバシーなどという変動する概念については、新しい人たちによるビビッドな捉え方が重要になると思います。われわれ前世代の人間も、新しい人たちによるビビッドな捉え方から学ばなければならないでしょう。
政治の世界だけでなく、福祉の世界でも世代交代が適切に図られなければなりません。先人たちの構築してきた素晴らしい成果を否定する必要はありません。先人たちの足跡から学びながら、新しい福祉の世界を新しい世代に構築してもらうために何ができるのかを考える、それこそが前世代の人間が今後貢献していく道ではないかと思っています。
(写真 明治大学専門職大学院法務研究科教授/日比谷南法律事務所パートナー弁護士 平田 厚さん)
1985年3月東京大学経済学部卒業、1990年4月第二東京弁護士会登録、2004年4月明治大学法科大学院専任教授就任、2012年3月日比谷南法律事務所設立。東京都社会福祉協議会における権利擁護センターすてっぷ専門相談員、地域福祉権利擁護事業の契約締結審査会委員長等を歴任。福祉広報2024年7月号に権利擁護センターすてっぷでの学びなどを寄稿。
以上で、福祉広報2024年8月号を終わります。