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福祉広報 2024年10月 789号 テキストデータ

【表紙】(写真)
ある日の午後。「ただいま~!」「おかえり~!」。
学校帰りの小学生と高齢者が元気にあいさつを交わし合います。
世代を超えた関わりは「深川えんみち」では日常風景です。
―深川えんみち 江東区―

p.2 ●社会福祉NOW
認知症の本人や家族を取り巻く状況と支援の現在

p.4 ●み~つけた
多世代が“ごちゃまぜ”でつながり合う複合型福祉施設
深川えんみち(江東区)

p.5 ●連載 若者の孤独・孤立のいま【第1回】
若者との関係を切らさず、ここからつないでいく
きみまも@歌舞伎町

p.6 ●福祉のおしごと通信
障害のある方が自信をもって働けるように、寄り添い続ける
社会福祉法人 マインドはちおうじ オープンスペース本郷町 塩見 両さん

【目次】

1社会福祉NOW
2み~つけた
3連載 若者の孤独・孤立のいま 第1回
4福祉のおしごと通信
5Information(東京の寄附のカタチ/マンスリーニュース/ 東社協トピックス)
6くらし今ひと


--1【社会福祉NOW】
認知症の本人や家族を取り巻く状況と支援の現在

2024年1月1日に「共生社会の実現を推進するための認知症基本法(以下、基本法)」が施行されました。
認知症の人が尊厳を保ち続け、希望をもって暮らすための基本理念のもと、国や地方公共団体の計画策定等の責務と基本的施策を明らかにするとともに、共生社会の実現を推進することがうたわれています。
今号では、認知症の本人や家族への支援施策がすすむ方向性をふまえ、長く支援活動を行う2つの団体に取材し、その実践とともに、今後の地域や社会への期待などをお聞きしました。

公益社団法人認知症の人と家族の会 東京都支部の取組み

孤立しがちな介護家族がつながる活動の意義

「認知症の人と家族の会」の本部は、1980年1月に京都で設立されました。当時、認知症の方は「呆け老人」と呼ばれ、本人も介護する家族も、家の中に閉じこもり孤立していました。会の設立が報道等を通じて全国各地に広がる中、同年8月に東京都支部が設立されました。以来、「つどい」「会報」「電話相談」を活動の三本柱に、本人や家族の思いに寄り添った支援活動や、社会への発信を続けています。
東京都支部の活動は、介護経験のあるボランティアの「世話人」により運営されています。月1回開催する「つどい」には、家族介護者を中心に、男女問わず参加し、日頃の悩みなどを共有しています。「支部報」は年6回、勉強会やつどいの報告のほか、会員の声などを掲載し、発行しています。支部報が届くとつながりを感じる、という声が多く寄せられています。
「電話相談」は、全国に先駆けて1982年に東京都支部が始め、2022年までの40年間で33,161件が寄せられました。内容は、家族間のトラブルや介護離職等による経済的負担、将来への不安などで、地域での支援につながる前の最初の相談窓口となることが多くあります。副代表の松下より子さんは「傾聴して不安を受け止め、時には他の相談先につなげるなど、一歩前に踏み出すきっかけづくりをしています。地域包括支援センター(以下、包括)やケアマネジャー(以下、ケアマネ)等との関係に悩む相談もありますが、話す中で気づきを得て自ら前を向く方が多くいます」と語ります。
電話相談や学習会等の活動は、当初より記録され、分析の上で報告書として蓄積されています。認知症を取り巻く社会の変化が感じられる貴重な資料となっています。

本人の思いに心を寄せ、社会の「認知症観」を変えていく

東京都支部の代表、大野教子さんは、2000年の介護保険制度・成年後見制度の開始、2004年の「痴呆」から「認知症」への呼称変更と、翌年の啓発キャンペーン等の国の動きが、今日につながる社会の大きな変化のきっかけとなったと言います。また同じ頃、当事者が講演会等で語り始めたことの影響も大きかった、と話します。「私自身、会の世話人の活動をしながら嫁として義母の介護をする中で、当時は多くの家族介護者同様、『なぜ私が』という被害者意識を強く持っていました。初めて当事者の講演を聞き、『本人はこんな思いでいるんだ』と頭を殴られたような衝撃を受けました。本人の思いに心を寄せ、寄り添う大切さに思い至りました」と振り返ります。
その後の施策もふまえ施行された基本法について、世話人の石黒秀喜さんは「法の基本理念や基本施策上にある、認知症の『正しい知識』や『正しい理解』の、『正しい』とは何か。認知症状の説明ばかり聞いても絶望感は増し、『認知症とともに希望をもって生きる』ことにつながりません」と言います。認知症のイメージは“かなり症状が進行した状態”で語られます。そのため、初期に本人を否定し責め、周囲に隠そうとしたり、関係や状況が悪化し、支援につながるのが遅れたりする例が多くあります。石黒さんは「早期に状況を受け入れ、医療や福祉、情報につながることがその後の生活に有効です。社会全体で『歳をとれば認知機能は低下する』ことを理解し、受け入れることが重要です」と話します。
各自治体での計画策定がすすめられる中、大野さんは「今後も現状や大事だと思うことを発信し、つながりを広げていきたいです。本人も家族も、それぞれの人生をどう自分らしく生きられるかが大切だと思います」と語ります。

(NPO)いきいき福祉ネットワークセンターの取組み

「制度の狭間」にある若年性認知症の方の通いの場づくり

NPO法人いきいき福祉ネットワークセンターは、2005年に設立され、目黒区で、高次脳機能障害と若年性認知症の方たちに通所事業等による支援や相談を行っています。
活動のきっかけは、代表の駒井由起子さんが施設で作業療法士として働きながら、若年性認知症の家族会活動に関わる中で、高次脳機能障害と若年性認知症の方の居場所づくりをはじめたことです。「身体は元気でも、家族以外の人との交流や外出の機会がない様子を見て、必要性を感じました」と振り返ります。
2006年には活動を発展させ、介護保険制度の通所事業を開始しました。「若年性認知症の方は介護保険サービスのデイサービスが利用できます。しかし高齢の利用者の中でうまく適応できない場合や、行動上のリスクが高く施設側に通所を断られる場合も多くあります。『制度の狭間』にいる彼らが安心して通える場が必要でした」と言います。区外の方の制度利用上の課題もあり、2か所あった事業所を現在は障害福祉サービス事業所「いきいきせかんど」に統合し、障害者総合支援法上の自立訓練(生活訓練)や就労継続支援B型等を提供しています。
「いきいきせかんど」で、若年性認知症の方は、主に趣味やスポーツ、行事や外出等を楽しむピアサポート活動、お菓子製造やボランティアでの清掃活動などに取り組んでいます。ここでの社会参加の活動は、本人と家族が病気を受け入れ、新たな人生を歩むためのステップとなっています。駒井さんは「高次脳機能障害の方は、訓練を通じて薄皮が剥けるように徐々に症状が改善します。一方、若年性認知症の方たちは徐々に症状がすすみ、数か月から数年でまとまった作業や通所自体が難しくなります。通う中で段階的に病気を受け入れ、地域のケアマネにつないで介護保険サービスの利用に移行していきます」と現状を語ります。

不安を解消し、地域の支援につながる中で前に踏み出す

2015年からは「東京都若年性認知症総合支援センター」を都から受託し、専任のコーディネーターが主に23区内を対象に、相談支援や啓発・研修等を実施しています。本人・家族からの相談の大半は、生活に関するものです。「早期に診断を受け、相談や支援にたどりつく方が以前より多くなりました。仕事を辞めると収入が絶たれるという現実的な不安が大きいからです」と、駒井さんは言います。「相談では経済的な支援制度があることを伝え、状況を整理し一緒に手続きをすすめます。その過程で徐々に混乱や不安が収まり、病気になったことを受け止め、少しずつ前向きに、次の生活に踏み出していきます」と言います。
駒井さんは「地域での支援の充実が重要」と語ります。ケアマネや包括、障害の相談支援事業所など、関わる人や機関が増えることが、安心につながるからです。一方で、一人のケアマネが出会う若年性認知症の事例が少なく、支援経験が地域に蓄積されにくいこと、制度の枠組みに状況が合わず使いづらいことは課題です。最近は一人暮らしの本人からの財産処分に関わる相談なども増えており、行政も含めた地域での支援体制の充実が必要だと感じています。
また、「当事者が自ら発信する機会も多くなり、相談でも『自分にできることをやりたい』という声を聴くことが増えました。社会の受け止め方は明らかに変化していると感じます」と言います。基本法の施行を受けて「法では、若年性認知症の方へは『就労支援』が想定されています。しかし本人たちは職場だけでなく、地域で生活していきます。就労の継続が難しくなっても、若い彼らが何か地域の役に立つような役割を担えるといいと思います。そのためにも本人が地域との接点を早く持てるよう、医療と福祉的な相談の連携を早めていくことが必要だと考えています」と今後を語ります。

注 東京都若年性認知症総合支援センター
多摩地区には「東京都多摩若年性認知症総合支援センター」が設置されている(別法人が受託)

(写真 公益社団法人認知症の人と家族の会 東京都支部 松下より子さん、大野教子さん、石黒秀喜さん)
(写真 (NPO)いきいき福祉ネットワークセンター 駒井由起子さん)


--2【み~つけた】
多世代が“ごちゃまぜ”でつながり合う複合型福祉施設

3つの事業を有した複合型福祉施設

今も下町情緒が残る江東区門前仲町エリアにある、複合型福祉施設「深川えんみち」。建物全体が平屋のような開放感のあるデザインで、富岡八幡宮に面する路地からは、のれんとガラス張りの大きな引き戸が見え、地域の人たちの目を引く印象的な空間です。
高齢者デイサービスや学童保育クラブ、子育てひろばの3つの事業を主体として、一人一箱、本棚オーナー制を取り入れた私設図書館「エンミチ文庫」、開放的な空間のオープンキッチン、ピザ窯職人とともにつくり上げたかまども有し、地域の人たちがここを拠点につながる場所になることをめざし、2024年5月にオープンしました。高齢者デイサービス「深川愛の園」施設長兼まこと保育園子育てひろば「ころころ」を運営する聖救主福祉会法人本部長の小久保佳彦さんは「日本財団主催の『みらいの福祉施設建築プロジェクト』の助成金も活用しながら、関係者と検討を重ね、“世代の垣根を超えた、多世代が共生できる地域に開かれた福祉施設”をコンセプトにしたいと考えました」と当初を振り返ります。

「ただいま」と「おかえり」が行き交う日常

デイサービス「深川愛の園」マネジャーの岩﨑美恵子さんは「1階のデイサービスには、抜けのある通路『えんみち(緑道)』があり、2階の学童クラブに通う子どもたちはえんみちを通り抜け、デイサービスの横を通る形で2階へ上がります。そうすることで子どもたちと高齢者に自然な関わりが生まれています」と話します。小学生が学童に来ると、デイサービスの利用者や職員が、口々に「おかえり!」と声をかけ、小学生も「ただいま~!」と元気に応える風景が日常的に見られます。オープンして約半年。深川えんみちを通じて、子どもや高齢者、地域の方との何気ない交流が次々と生まれ、あたりまえの情景になっているといいます。「ライト学童保育クラブ」施設長の荻野貴大さんは「深川えんみちを“門前仲町の玄関”にしたいと思っています。ここに通う子どもや高齢者だけではなく、地域の人や観光で訪れた人たちもつながる入口のような存在でありたいと思っています」と話します。
多世代の人たちが集う地域の拠点として、深川えんみちはこれからも誰もが安心して過ごせる場所であり続けます。

深川えんみち
場所:江東区富岡1-15-9(門前仲町駅から徒歩5分)

さらに詳しい取材記事は、「ふくし実践事例ポータルサイト」でお読みいただけます。

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(写真 深川えんみち 江東区)


--3【連載 若者の孤独・孤立のいま 第1回】
若者との関係を切らさず、ここからつないでいく

きみまも@歌舞伎町

本連載では、さまざまな生きづらさを抱える若者に向けて取り組む団体等への取材から、その孤独や孤立の実態や背景を明らかにしていきます。第1回目は「君を守りたい」という想いから開設された「きみまも@歌舞伎町」。東京都の委託を受け、歌舞伎町で若者と向き合う社会福祉法人やまて福祉会に、関わりを通じた気づきや想いをお聞きしました。

コロナ禍で浮き彫りになった若者の孤独や孤立。新宿歌舞伎町の新宿東宝ビル周辺(トー横)には、2021年頃からさまざまな理由により行き場を失った多くの若者が集うようになりました。そうした彼らの若さに付け入る大人もいて、性被害や薬物売買などの犯罪やトラブルに巻き込まれるリスクが高まっています。こうした状況を受け、2024年5月末に開設された「きみまも@歌舞伎町(以下、きみまも)」。歌舞伎町に開かれた若者向けの総合相談窓口には、7月末までに延べ1,500人以上が足を運んでいます。

若者との関係を切らさないように

週5日、午後3時から9時まで開かれるきみまもでは、社会福祉士等の資格を有する相談員が対応しています。対象は原則都内の青少年や若者としながらも、利用の半数近くは都外居住者で、最年少は12歳で最年長は38歳(2024年7月末時点)。家から来ていたり、ホテルやネットカフェに滞在していたりとそれぞれ何かしらの事情があってここに行き着いています。話を聞いてくれる大人がいて、仲間とゲームや雑談をして過ごすのもいい。若者にとって安心できる場であることを最優先に、この3か月間模索しながらすすめてきました。事業責任者の奈和良由子さんは「それぞれ生きづらさを抱えていて、歌舞伎町に居場所があるようで、でもないのだろうなと感じます。何とか人とつながっているけれど、安心できるようなものではなくて。関係を切らさないように、何かあればここにおいでと伝えています」と話します。室内には手づくりの掲示物やイラストが貼られ、若者自身も場づくりに関わっていることが伝わってきます。

居場所と、選択肢を広げてくれる大人の存在

そうした関わりから見えてきた、若者の“居場所”と“選択肢”の少なさ。トー横に各地から若者が集まるように、行き場をなくした若者が留まることのできる場が地域に少ないといいます。理事の小田智雄さんは「行くところがないから、どこかに集まる。そんな場があっていいと思います。ただ、そこに悪意のある大人やリスクが入ってはならない」と強調します。また、相談員の篠田正樹さんは若者への情報提供の必要性を挙げ、「働き方についても学校を離れると自分自身で選択肢を見出していくことは難しい。横道に逸れてしまった時に、次の道筋を照らしてくれる大人がいるかどうかが大切だと思います。親でも先生でもない、第三者でいい。人生に対して色んな可能性を提示してくれる大人がたくさんいるといいですね」と考えを示します。

地域とともに、きみを守り、支えていく

1日100人以上が訪れることもあったきみまもは、リスクやトラブルから若者を守り、安心できる場であり続けるため、9月からは登録制としています。この間紡いできた関わりを保ちながらも、今後はより個別に若者と向き合い、適切な情報提供や支援につなげていくことをめざします。東京都の担当者である村田陽次さんは「ひと息ついてもらったり、情報提供をしたり、一時的な場として機能しているけれど、むしろここからつなげていくことが大切。歌舞伎町の問題は歌舞伎町だけでは解決しない。その本質を地域と共有し、ともに取り組んでいくことが都として取り組む意味だと考えます」と話します。続けて小田さんは「ひとりでいるのがきついから、みんな集まっている。そこに自然に入るようなかたちで、一人ひとりが強く生きていけるように支えることができたら」と、今後に向けた想いを明かします。SNSや口コミで広がり、開設からわずかな期間で多くの若者が訪れたきみまも。今後は一人ひとりを守り、支えていく視点を大切に日々若者と向き合っていきます。

QRコード きみまもホームページ
(写真 東京都生活文化スポーツ局 統括課長代理 村田陽次さん、社会福祉法人やまて福祉会
事業責任者 なわら由子さん(社会福祉士)、理事 小田智雄さん(保護司 社会福祉士)、相談員 篠田正樹さん(キャリアコンサルタント 産業カウンセラー))
(写真 利用者に人気の美容コーナー。事務スペースに併設され、自然と会話が生まれる)


--4【福祉のおしごと通信】
障害のある方が自信をもって働けるように、寄り添い続ける

就労継続支援B型事業所で支援員として働く塩見両さんに、仕事に就いたきっかけや魅力についてお話を伺いました。

利用者の「働きたい」気持ちをサポート

高校生の時に自宅で祖母の介護をしていたことから福祉に興味を持ち、福祉系の大学へ進学しました。卒業後はアルバイト生活などを経て現在の職場に入職し、今年で12年目になります。今は、就労継続支援B型事業所の支援員として、心に障害をもつ方の就労のサポートをしています。ダイレクトメールの封入や投函など室内外の軽作業を利用者さんと一緒に行いながら、一人ひとりの状態に合わせた支援をするのが主な仕事です。また、地域のハローワークや障害者就業・生活支援センターと協力して事業所以外での求職活動の支援や、地域の医療機関と連携を取りながら健康管理を実施するなど、業務内容は多岐にわたります。

迷いが払拭できた、大先輩の金言

利用者さんの中には障害があることだけで自己肯定感が低くなってしまっている方もいます。利用者さんには自信や「働くことは楽しい」という気持ちを持ってほしいので、「すごい!」「さすがですね!」というポジティブな言葉を使いながら、明るい職場環境をつくるように心がけています。楽しいことが好きな自分の性格もありますが、そう思うようになったのは入職当時、専門性にとらわれるあまり、プレッシャーで押しつぶされそうになったことがあったからです。その時に現理事長がかけてくれた「利用者さんと話していて、笑顔になったり気持ちが温かくなったりすること自体が支援。気張らなくていい」という言葉をきっかけに、ふっと力が抜け、ありのままの自分で向き合ってみようと思えました。

前向きな利用者の姿がこの上ない喜び

利用者さんが働く意欲を持って最終的に就職できたり、自分なりの幸せを見つけたりする姿を目の当たりにできることが何より嬉しいですし、仕事への活力につながっています。また、福祉の大学で学んだことだけではなく、これまでの人生で培ってきたことが受け入れられる職場にもやりがいを感じています。地域や時代のニーズが刻一刻と変化していく中で、しっかりとアンテナを立てて、法人としてどういう支援がふさわしいのかを考えながら、利用者さんに向き合っていきたいと思います。利用者さんの工賃や待遇などをさらに上げていけるようにお手伝いできたら嬉しいです。「個」を認め、利用者さんたちがきちんと評価され活躍できる社会になったらいいなと思うと同時に、そのために利用者さんの魅力を伝え続けていくことも支援員の役割だと感じています。

(写真 社会福祉法人 マインドはちおうじ オープンスペース本郷町 精神保健福祉士 社会福祉士 塩見 両さん)
(写真 高校時代までソフトボール一筋で、全国大会まで行ったことも。今は社会人の草野球チームに所属し、仲間と汗を流す瞬間が一番リフレッシュできます。体を動かすことも大好きで、「ヒット(高負荷の運動とクールダウンを繰り返す)」というトレーニングにもハマっています。


--5【Information(東京の寄附のカタチ/マンスリーニュース/ 東社協トピックス)】
ラッピング商品で子どもたちを笑顔に
株式会社 包む

株式会社包むは、ラッピング商品やオリジナル文具を取り扱う会社です。「少しでも子どもたちに喜んでもらえないか」との思いから施設への寄附がスタートし、今では会社の大事なイベントの一つになっています。
施設からは「イベントで使用するプレゼントの包装に素敵なラッピングを利用でき、子どもたちも大変喜んでいます」との声をいただいています。

東京善意銀行では社会福祉施設等への寄附のご相談を承っております。
東京善意銀行 検索
(写真 施設の職員や子どもたちから株式会社包むに送られた手紙)

マンスリーニュース
2024/8/26 ~ 9/25

ピックアップ
(9/4)虐待が認められた障害者数、前年度と比べ16%増加
厚生労働省は「令和5年度使用者による障害者虐待の状況等」の結果を公表。通報・届出および虐待が認められた事業所数・対象となった障害者数はすべて増加傾向で、特に経済的虐待の件数は過去最高となった。

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こども家庭庁は「保育所等関連状況取りまとめ(令和6年4月1日)」を公表した。それによると待機児童数が過去最少となった一方、過疎地域など待機児童の少ない地域では定員充足率の低下が課題となっていることが分かった。

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東社協トピックス
東社協 新会員のご紹介

保育部会
あじさい保育園/オンビーノスクエア野方/しろくま保育園/樹保育園/高松保育園/ひなたの丘保育園/練馬区立下石神井第三保育園/あおぞらルーム
知的発達障害部会
稲城市発達支援センター分室レスポーいなぎ大丸/児童発達支援 さくらのみち/日の出町ユートピアサンホーム/花だより リアン/中野区立療育センターアポロ園/調布市知的障害者援護施設 ワークライフカレッジすとっく

身体障害者福祉部会
コーポ友愛/調布市デイセンター まなびや国領

東京都高齢者福祉施設協議会
台東区立特別養護老人ホーム浅草/台東区立特別養護老人ホーム台東/八王子市高齢者在宅サービスセンター中野/台東区立たいとう高齢者在宅サービスセンター/たいとう地域包括支援センター/介護老人福祉施設 ラペ二子玉川/特別養護老人ホーム 下馬の家/代沢地域包括支援センター

東京都介護保険居宅事業者連絡会
指定居宅介護支援事業所堀之内/ウィズケアリハビリセンター/優っくりショートステイ新宿西落合

情報連絡会員
KN蒲田駅前園/ KN久が原園/花だより/東林間ちとせ保育園/上鶴間ちとせ保育園/小金保育園/東金国際こども園/練馬区立しらゆり荘/友興会法人本部/ケアホーム南風イースト/稲城市城山文化センター児童館/特定非営利活動法人すぎなみ子育てひろばchouchou法人本部/子ども・子育てプラザ天沼 一時預かり/子ども・子育てプラザ善福寺 一時預かり/北方保育園/デイサービス輝の杜/五峡小総合プラン/たまっこ/居場所事業リバティ/社会福祉法人翼友会 首都圏本部/深沢わこう学童クラブ/公益財団法人 東京都福祉保健財団/一般社団法人 翔

東社協の本
ご注文は 東社協図書係まで 電話03-3268-7185

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保育現場における配置基準の見直し~見直すことで、こんな風に変わっていける!~ 調査報告書
 東社協保育部会では、配置基準に関する調査を実施し、また都内11園にヒアリングを行い、その結果を報
告書にまとめました。
A4判/242頁
発売日2024.9.30
定価1,320円(本体1,200円+税10%)
(写真 保育現場における配置基準の見直し~見直すことで、こんな風に変わっていける!~ 調査報告書 表紙)

保育園における働き方改革と保育業務の実態 ~調査報告書~
新刊「保育現場における配置基準の見直し」につながった調査報告書です。保育業界全体の質の向上をはじめ、配置基準の見直しの一助に併せてご活用ください。
A4判/142頁
発売日2022.11.2
定価990円(本体900円+税10%)

「地域に信頼される保育園になるための調査」調査報告書 ~保育園と地域とのかかわり状況を把握する~
参考事例や、外部からの意見として民生児童委員からのアンケートも収録しています。
A4判/130頁
発売日2019.6.11
定価770円 (本体700円+税10%)

--6【くらし今ひと】
私の経験を語ることが誰かの希望につながるかもしれない

アルコール依存症の家族として苦しんだ経験、また当事者として断酒の経験を持つ浅井光代さんにこれまでの人生やこれからについてお話を伺いました。

過酷な少女時代を経て、就職後すぐ結婚
幸せをつかんだはずなのに

私は神奈川県横浜市磯子区で生まれ、6歳の時、横浜で有名な、寿町と言うスラム街に移り住みました。父は神経質でしたが、優しく頭のいい人でした。けれども一旦お酒が入ると鬼のようになり、母に激しく暴言や暴力をふるい、母を助けようとする私や妹たちにまでかかってきて本当に恐ろしかったです。父がいつお酒を飲み始めるのか、また暴れ始めるのか毎日が不安で、学校にいても勉強が手につかなかったのを今でも覚えています。一番恥ずかしかったのは、生活保護を受給しながら、自分はほとんど働かず、母に働かせていたことです。
家が貧しかったので大学進学は諦め就職しました。そこで出会ったのが夫です。21歳で結婚。私にとっては玉の輿でした。嫁として夫の実家に入り専業主婦となり、幸せな未来を思い描いていました。4人の子宝にも恵まれ、働き者の夫との生活は傍から見たら何不自由ない暮らしだったと思います。でもそんな中、私はアルコールに依存していったのです。

隠れて飲酒することが習慣化やがて入院

「隠れ酒」というのは、お酒を飲みたい、でも飲んでいるところを家族に咎められたくない、だから隠れて飲むアルコール依存症の典型的な行動です。私は23歳から部屋のあちこちにお酒を隠して飲んでいました。
当時、私が堂々とお酒が飲めるのは土日の晩酌のみでコップに2杯ほど。もともとお酒が好きで量も飲める私には全く足りなかったというのが隠して飲む一因です。
でもそれだけではありません。アルコール依存症の場合「世代間連鎖」と言いますが、父のアルコール依存が知らずしらずのうちに私に影響を与えていました。家事や育児に追われる日々のストレスに加え、夫や姑との関係が上手くいかず悩んでいた私にとって、お酒は手軽に楽しめるありがたい嗜好品でした。でも楽しいのは束の間。あっという間に、そのお酒で病んでいきました。その後26年間、お酒に翻弄され、たくさんのものを失い、最終的にはアルコール依存症専門病院に入院しました。退院後は完全断酒を決意し、東京断酒新生会の新宿断酒会に入会しました。そうして現在14年になります。
断酒をしても夫や子どもたち、迷惑をかけた人々の信頼を取り戻すのに何年かかるか分かりません。断酒会の先輩方から「許してくれるまで待つしかない」と教わり、私は必死で断酒を続け、断酒会の例会周りをして5年ほど経った頃、周囲が許し始めてくれたような気がします。

断酒を決意し、新しい人生へ

私の人生はアルコール依存症だけではなく、さまざまな困難の連続でした。今はそんな自分の経験を生かし、新たな人生を歩み始め、東京断酒新生会の事務局長として活動しています。内容としては、主にアルコール専門病院やクリニックで、断酒体験談を通じたメッセージを伝えたり、メールでの酒害相談、啓蒙活動などです。聞いてくださる方の心に響くような、また希望が持てるような話を心がけ、大事なのは何度挫折しても立ち上がることだとお伝えしています。これからも一人でも多くのアルコールで悩んでいる方に、自助会につながることの大切さをお伝えしていければと思います。

(写真 NPO法人 東京断酒新生会 事務局長 浅井 光代さん)
色彩心理学を勉強しています


以上で、福祉広報2024年10月号を終わります。

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